JP3681990B2 - 推進用立坑構造物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電気通信管路、下水道管、ガス管等の管路を地中へ埋設するに際し、地上を開削しないで管路を築造する非開削工法を用いる場合に、その作業用として使用され、推進管の発進・到達起点となるマンホール兼推進用立坑を構築するために地中に沈設される推進用立坑構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市部では、電気通信管路、下水道管、ガス管等の管路を地中へ埋設する場合、地上を開削しないで管路を築造する非開削工法が利用されつつある。この非開削工法では、任意の地点に推進管の発進・到達起点となるマンホール兼推進用立坑を構築し、立坑間で推進管を発進・到達させることで管路を構築する。この工法で特に肝要な点は、構築予定地(道路)の占用幅を極力少なくして構築中の交通障害と騒音レベルを軽減し、短期間の施工を可能とすることにある。そこで、最近では、組立式の沈設ブロックを用いて推進用立坑としてのマンホールを構築する施工技術が提案され、それに使用される筒状の鉄筋コンクリート製沈設ブロックが提供されている。
【0003】
しかしながら、実際には、沈設ブロックが鉄筋コンクリート製のため、その重量が極めて大であり、作業効率が上がっていないのが現状である。特に都市部では大型トラックによるブロック搬入が困難な狭隘地が多いが、そのような施工現場では運搬作業に大型クレーンを要しており、構築中の交通障害と騒音レベルはさほど軽減できていない。最近では、重量軽減のためにブロックの高さの小寸法化や多分割化などで対応しているが、この方法では組立作業の負担が増大してしまう。
【0004】
また、分割された沈設ブロック組立時に、ブロック間を互いに連結し固定するために、ボルト締結等の補助金具を必要としており、各ブロックには一般に「箱抜き」と呼ばれる手法で多数の凹部が補助金具収納部として形成されている。ところが、この凹部を形成すると、凹部が欠損部分となって沈設ブロック自体の剛性が低下するという問題を生じる。必要な剛性を得るためには壁厚の増加等の補強が必要となり、結果として重量増加が余儀なくされる。
【0005】
加えて、ブロック間の継手構造は、上側ブロック部材の補強鉄筋と下側ブロック部材の補強鉄筋とが連結していないため、引張荷重に対しては、継手部材の強度、継手部材を取付けた部分のコンクリートの強度のみに依存し、沈設ブロック本体部分(鉄筋コンクリート)に比較して極めて小さいために、外力により変形し易い。その接合部も、継手部端面全域に亙るものでもないため、ブロック間の応力伝達に連続性がなく、組立てられた筒状ブロック構造物の全体で高剛性を確保することはできない。
【0006】
したがって、地震等により地盤が変動し、組立てられたブロック構造物に曲げモーメントが作用すると、まず継手構造の部分が破壊される。そして、この破壊部分から地下水が侵入し、これと共に土砂が流れ込み、推進用立坑構造物の基本機能が損なわれるおそれがある。
【0007】
さらに、このような沈設ブロックを組立てるには、何箇所もボルトを挿入して締結しなければならず、しかも凹部の穴埋め作業を要するため、接合時間にも多大な労力を要している。また、その接合作業は狭隘な掘削坑内側で行われるため、埋設深さが深いほど高所危険作業となっている。
【0008】
一方、推進管発進・到達用坑口は、コアドリル等で穿孔すると土砂が立坑内に流れ込んでしまうため、予め流入防止板を設置することとなるが、取付け用鋼材や止水シール材等を坑口内側に取付ける必要があり、推進管口径別にその取付け鋼材等を作成する必要があった。
【0009】
さらに、異なる方向に推進施工で管を取付ける場合には、到達施工誤差によりコアカッター等で穿孔する必要性から地下水の侵入や土砂の流れ込みを防止するため、薬液注入工法等の地盤改良が必要となっている。
【0010】
以上のことから、沈設ブロックの継手部分で本体部分と同等以上の接合強度が得られ、組立てられた筒状沈設ブロック全体の高剛性を確保できるとともに、少ない労力で沈設ブロック同士を接合でき、取扱いが容易で、推進施工時における地下水・土砂流入を容易に防止することができ、さらには推進管の発進・到達の端面の両方に使用できる坑口壁を有した推進用立坑構造物が要望されている。
【0011】
ここにおいて、従来の推進用立坑構造物では、鉄筋コンクリートを使用した筒状沈設ブロックの継手構造であり、いずれも上側部材の補強鉄筋と下側部材補強鉄筋とが連結していない。このため、引張荷重に対しては、継手部材の強度、継手部材を取付けた部分のコンクリートの強度のみに依存し、沈設ブロック本体部分(鉄筋コンクリート)に比較して格段に小さい。よって、外力により変形し易い。
【0012】
さらに、その接合部も継手部端面全域に亙るものでもないため、ブロック間の応力伝達に連続性はなく、推進施工を行う場合、直接ブロック壁に推進力を伝達させても、背面の地盤から十分な反力を得ることができない。したがって、低い推進力で施工できる短距離の推進施工にしか対応できていない。
【0013】
また、これを解決するため反力受け材をマンホール内に設置することも考えられるが、マンホールが必要以上に大きくなってしまい、壁厚の増加等が必要となって経済的でない。そこで、従来、長距離推進施工を行う場合には、発進立坑として水平断面が5m×2.5m程度の立坑を矢板や腹起し、切り梁等の仮設土留め材を用いて築造し、この発進立坑内に推進ジャッキや反力受け設備を備えた推進設備を設置し、その背面の地盤から十分な反力を得られるようにして高い推進力に対応できるようにしている。
【0014】
しかし、仮設土留材の設置作業等が煩雑であり、推進工法による施工完了後、別途、立坑内にマンホールを造るため、施工期間が長く・工事費が大となる。また、開削スペースが広いため、交通の大きな妨げともなっている。そこで、高い推進力に対応した筒状沈設ブロックの推進立坑兼用マンホールが要望されている。
【0015】
上述の問題を有する従来の推進用立坑構造物の一例を図8に示す。図8において、(a)は全体構造を示す斜視図、(b)は中央断面構造を示す断面図である。
【0016】
図8において、地中最低部には、コンクリート中詰めの沈設用刃口ブロック18を配置し、その上に側面に推進管発進・到達用坑口20が形成された鉄筋コンクリート製の沈設ブロック19を重ね、さらに鉄筋コンクリート製の増設用沈設ブロック21を複数段重ねる。最上段には鉄筋コンクリート製の床版ブロック23を重ねる。
【0017】
増設ブロック21には、図9(a)の断面図、(b)の正面図に示すように、底部の複数箇所に補助金具収納部(凹部)22が形成され、天部の収容部22に対応する位置に鋼材によるインサート26が形成される。収納部22にはコ字型の鋼板28が装着され、この鋼板28上からボルト27でインサート26に螺合することで、ブロック間を接合する。
【0018】
接合の際には、その間にシール材31を挟むことで防水加工を施している。下側ブロック19または21の下鉄筋コンクリート部材24、上側ブロック21の上鉄筋コンクリート部材25には、それぞれ補強鉄筋29、30が埋め込まれ、収納部22の形成部分を補強している。
【0019】
上記沈設ブロック18、19、21は矩形(長方形)筒状であり、図10(a)に示すような位置に補助金具収納部22が形成される。また、内面の各4隅(図10(a)中のB部)には、図10(b)に示すように、剛性を高めるためにノッチが形成され、内部に補強鉄筋44が埋め込まれている。
【0020】
上記推進用立坑構造物を立坑に沈設させ、推進作業を行う様子を図11に示す。図11において、刃口ブロック18を坑底部に配置した後、その下部にベースコンクリートが混入され、基礎を構築した後、推進装置41が載置される。この推進装置41は、ブロック19の内壁の推進管発進・到達用坑口20の形成面とその対向面で保持し、推進管発進・到達用坑口20に挿通された推進管43を押し出す。このとき、図示矢印42の方向に反力が働く。
【0021】
しかしながら、引張荷重に対しては、継手部材の強度、継手部材を取付けた部分のコンクリートの強度のみに依存し、沈設ブロック19の本体部分に比較して格段に小さく、外力により変形し易い。さらに、この沈設ブロック19の上下に隣接するブロック18、21との接合部も継手部端面全域に亙るものでもないため、ブロック間の応力伝達に連続性はなく、推進施工を行う場合、直接ブロック壁に推進力を伝達させても、図11中に示すように受働土圧が立坑壁全体で均一にならず、背面の地盤から十分な反力を得ることができない。したがって、低い推進力で施工できる短距離の推進施工にしか対応できていない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、従来の組立式の筒状沈設ブロックを用いた推進用立坑構造物は、沈設ブロックの重量が重すぎる、継手部の接合強度が十分でない、ブロック間の接合作業、推進管の推進施工時における地下水・土砂流入の防止作業が容易でないという問題と共に、推進施工時に背面の地盤から十分な反力を得ることができないという問題を抱えていた。
【0023】
そこで、本発明は上記の問題を解消し、沈設ブロックの継手部分で本体部分と同等以上の接合強度が得られ、組立てられた筒状沈設ブロック全体の高剛性を確保できるとともに、少ない労力で沈設ブロック同士を接合でき、取扱いが容易で、推進施工時における地下水・土砂流入を容易に防止することができ、推進管の発進・到達の端面の両方に使用できる坑口壁を有した上で、推進施工時に背面の地盤から十分な反力を得ることができる推進用立坑構造物を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明に係る推進用立坑構造物は、以下のような特徴的構成を有する。
【0025】
(1)推進管発進・到達用立坑内に沈設され、底部に推進装置が配置される矩形筒状のマンホール構造物であって、不透水性を有するレジン材料を用いた矩形筒状沈設ブロックを複数段重ね合わせ、各ブロック同士を接合面全面に塗布した接着剤により互いに接合して、立坑内に沈設される筒状連続一体構造を形成するようにし、前記矩形筒状沈設ブロックのいずれかの側面には推進管の発進・到達用坑口が形成され、この坑口に挿通される推進管の発進を行う推進装置の稼働時に生じる反力を分散するように、内部角部を曲面形状としたことを特徴とする。
【0026】
(2)(1)の構成において、前記筒状連続一体構造の内面において、前記筒状沈設ブロックの継手部にはみ出した接着剤硬化部分を切削して表面を平滑にするようにしたことを特徴とする。
【0027】
(3)(1)の構成において、前記レジン材料は、骨材としての砕石、砂、珪砂の少なくともいずれかが結合剤で結合されたものであることを特徴とする。
【0028】
(4)(1)の構成において、前記接着剤は、構造用高分子接着剤であることを特徴とする。
【0029】
(5)(1)の構成において、前記推進管の発進・到達用坑口に対し、推進管の発進・到達作業前には、前記坑口を閉塞する仮壁を、緩衝材を介して本体壁に固着するようにしたことを特徴とする。
【0030】
本発明は、高曲げ引張・圧縮強度を有することで引張・圧縮応力に対し、断面の応力分布が全断面有効である特性を持つ高強度レジン材料を用いた筒状沈設ブロックを積み重ね、各ブロック間の継手部端面を構造用高分子接着剤(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル等)により接合面全体を強固に接合し、ブロック間の応力伝達に連続性を持たせ、組立てられた筒状ブロック構造物の全体に対し高い剛性を与えて、推進装置の推進力がブロック壁に作用する際に立坑壁全域に地盤からの反力を得られるようにしている。このとき、各筒状沈設ブロックにおいて内部角部を曲面形状とすることで、推進力により発生するハンチ際の応力集中を緩和する曲面形状を有していることを特徴としている。さらに、推進管の発進・到達用坑口を閉塞するように設けられる坑口仮壁と本体壁の間に緩衝材を介在させることで、本体壁の取り外しが容易となるという特徴も有する。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図7を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0032】
図1は本発明に係る推進用立坑構造物(マンホールとしても利用する)の一実施形態を示すもので、図1(a)はその全体構成を示す斜視図、図1(b)は最下段に配置されるレジン中詰め沈設用刃ロブロックの断面図である。
【0033】
本実施形態の推進用立坑構造物は、矩形筒状のもので、レジン中詰め沈設用刃口ブロック1の上に、高強度レジン材料製の最下段筒状沈設ブロック2、増設筒状沈設ブロック4を、それぞれ構造用高分子接着剤5により接合することで、推進施工用の立坑を形成する。最下段の沈設ブロック2の側面部には、推進管発進・到達用坑口3が形成される。構造用高分子接着剤5には、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等がある。
【0034】
上記レジン中詰め沈設用刃口ブロック1は、図1(b)に示すように、レジンコンクリート又はレジンモルタル1aを鋼板1bの型内に充填したものである。また、最下段の沈設ブロック2に形成される推進管発進・到達用坑口3は、沈設時には後述の坑口仮壁9で塞いでおく。
【0035】
上記筒状沈設ブロック2、4は、レジン材料で作成され、各筒状ブロック2、4同士は構造用高分子接着剤5で強固に接合されている。レジン材料は、骨材としての砕石、砂、珪砂が、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の結合剤で結合されたものである。このような素材による筒状沈設ブロック2、4は、外力に対して弾性変形する弾力性を備えると共に、その耐荷重及び変形量が一般のセメントコンクリートに比較して極めて大きい。また、耐食性に優れ、接着接合により内面を平滑にできることから、防食処理を必要としない。
【0036】
上記構成による推進用立坑構造物を立坑内に組立てる様子を図2及び図3を参照して説明する。ここで、図2は上記高強度レジン製の推進用立坑構造物を地中に沈設させたときの組立断面構造を示しており、図3はそのときの沈設ブロック間の接合状態を示している。
【0037】
まず、立坑内の最下段にレジン中詰め沈設用刃口ブロック1を配置させ、そのブロック内に現場打ちベースコンクリート7を流し込んで凝固させる。続いて、下面全体に構造用高分子接着剤5を塗りつけた最下段レジン製沈設ブロック2を刃口ブロック1の上に載置する。さらに、最下段ブロック2の上に、下面全体に同じ接着剤5を塗りつけたレジン製増設用沈設ブロック4を複数段(ここでは2段)積層させる。
【0038】
推進作業完了後、さらに、最上部には中央部に開口部6aが形成されたレジン製床版ブロック6を、上記接着剤5を介して載置し、接着剤5が完全に凝固するまで重しを載せておく。立坑内の周面部には、ブロック2、4、6が地山と直接接触しないように、裏込め材を埋め込んでおくとよい。
【0039】
筒状沈設ブロック2、4が相互に圧着される場合には、構造用高分子接着剤5が継手面の全面に押し広げられ、継手面の全面に接着剤5が広がって固着することになる。このため、筒状沈設ブロック2、4の接続が強固になると共に、推進用立坑構造物の全面に応力が均一に働き、推進用立坑構造物があたかも一体成形された構造体で作成されたように応力を分散させることができる。
【0040】
ここで、図3(a)に示すように、下レジン部材13と上レジン部材15(例えば2段の沈設ブロック4)の接合時に、継手部の内外周面全体にわたってゴム状弾性体14を貼り付けておき、接着剤5が凝固した後、図3(b)に示すように内面側のゴム状弾性体14を外し、図3(c)に示すように接着剤5のはみ出し部分17を切削することにより、内面側の継手部分を簡単に滑らかにすることができる。
【0041】
上記構造において、以下、従来構造と比較して説明する。
【0042】
従来の構造では、図8に示したように、鉄筋コンクリート製の筒状沈設ブロック19、21は、その組立と固定を行うためにボルト締結等の補助金具を必要としており、一般に「箱抜き」と呼ばれる補助金具収納部22を形成しなければならず、この欠損部により筒状ブロック自体の剛性を低下させている。
【0043】
加えて、継手構造は、図9に示したように、いずれのブロックも上側部材の補強鉄筋30と下側部材29とが連結していないため、引張荷重に対しては、継手部材の強度、継手部材を取付けた部分のコンクリートの強度のみに依存し、ブロック19,21の本体に比較して極めて小さいため、外力により変形しやすい。その接合部分も、継手部端面全域にいたるものでもないため、各ブロック間の応力伝達は不連続な構成となる。
【0044】
したがって、ブロック19(鉄筋コンクリート)に発進・到達用の坑口を開口する場合には、強度が低下するため、補強鉄筋により必要な強度を維持することが必要である。この強度を維持するためには、壁厚さ増加させなければならず、結果として重量が増加してしまう。
【0045】
これに対し、図2、図3に示すように本発明におけるレジン製筒状沈設ブロックでは、接着面が継手面全域であるので、応力が継手面全域に分散するため、各ブロック同士が相互に応力を負担しあうことができる。これにより、筒状沈設ブロック(レジン)に推進管発進・到達用坑口20を開口することによって強度低下が生じても、隣接するブロックで応力を分担することができ、壁厚さの増加を抑えることができる。
【0046】
また、本発明の推進用立坑構造物は、不透水性を有する高強度レジン製筒状ブロックと、不透水性を有する接着剤により接合された接合部により、地下水の流入をなくした構造物であり、内面は平滑にすることが可能であり、防食性が高いことから、漏水防止・劣化防止対策を必要としないという効果を有する。
【0047】
ここで、本発明に係る実施形態において、各ブロックの断面形状は、図4(a)に示すような矩形筒状のものであるが、推進装置41の稼働による推進力に対する反力の応力集中を緩和し、分散させるために、各角部を図4(b)に示すように、曲面形状としている。この場合、例えば厚さhに対して曲率RをR=0.35〜0.5・hとすると、応力緩和の効果が発揮される。これにより、レジン製筒状ブロック構造物は推進施工時に長距離推進用立坑として対応できる。
【0048】
推進工事完了後は、図2に示したようにレジン製床版ブロック6を構造用高分子接着剤5で接合することでマンホールとしても利用できるようになる。
【0049】
上記実施形態の推進用立坑構造物を用いた場合と従来の推進用立坑構造物を用いた場合の地盤の反力が発生する様子を図6に比較して示す。図6(a)は本実施形態の構造の場合、図6(b)は従来の構造の場合を示している。地盤の反力は、背面受動土圧A、側面摩擦抵抗力B、底面摩擦抵抗力Cを加算したものとなるが、図6(a)(b)を比較してわかるように、本実施形態の場合は、背面受動土圧Aが均一にかかるため、側面摩擦抵抗力が従来に比して増大し、全体として大きな反力が得られるようになる。
【0050】
図7は、本発明の他の特徴とする点として、最下段レジン製沈設ブロック2における推進管発進・到達用坑口3に対する坑口仮壁の設置形態と取付け方法について説明するためのものである。
【0051】
図7において、(a)は沈設ブロック2における坑口3形成部分の側面10の断面図、(b)は(a)A−A線方向から見た正面図である。これらの図からわかるように、本実施形態では、坑口3の周囲を予め適度なテーパを持たせて坑口3より径大の孔を穿孔し、その開口した部分へ仮壁9を嵌合させて、接着剤8により強固に固着させている。構築する精度等により予め穿孔できない場合には、図7(c)に示すように、取付けられる坑口仮壁9を予め大きい寸法にすることによって、後で任意の位置に穿孔して坑口3を形成することができる。この場合、坑口仮壁9と筒状ブロック壁12とを容易に分離可能にする緩衝材11を、両者の間に設置しておくと、コアカッター等による穿孔により坑口仮壁と切り離しが容易となり、作業効率を向上させることができる。
【0052】
尚、取付けられる坑口仮壁9の形状は円形に限らず、楕円・多角形状であってもよい。
【0053】
また、この坑口仮壁を取付けた施工例としては、例えば特願平10−342167号「坑口仮壁構造」にあるような微細破壊層と強度確保層を有した仮壁構造と特願平10−328374号「非開削推進用坑口止水装置及び該坑口止水装置を用いた坑口止水工法」にあるような坑口止水装置及び施工方法を利用することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上、本発明では、レジン製筒状沈設ブロック構造物と接着剤の使用により、荷重に対する応力分布に連続性を持たせることができ、水密性を高めることができ、組立てられた筒状ブロック構造物全体に対して高い剛性を与えることができ、ブロック構造物の薄壁化が実現できる。また、接合面は、全断面で応力を伝達できるので、強度不足が生じているブロックに発生する応力集中を緩和でき、特別な補強部材を設置する必要がなくなる。
【0055】
さらに、高強度レジン材料で形成することで、コンクリート製ブロック構造物に比べて厚さを薄くすることができ、1/2程度の重量に軽量化でき、運搬が容易になると共に、接合作業も坑内作業を必要としないため、安全性・施工性が向上する。
【0056】
加えて、推進施工における発進・到達時の坑口開口前においては、微細破壊層と強度確保層を有した坑口仮壁の取付け構造により、水の浸入や土砂の流れ込みのない安全・経済性に優れた施工が期待される。
【0057】
上記効果に加え、各筒状沈設ブロックにおいて内部角部を曲面形状としているので、推進力により発生するハンチ際の応力集中を緩和することができる。
【0058】
したがって、本発明によれば、沈設ブロックの継手部分で本体部分と同等以上の接合強度が得られ、組立てられた筒状沈設ブロック全体の高剛性を確保できるとともに、少ない労力で沈設ブロック同士を接合でき、取扱いが容易で、推進施工時における地下水・土砂流入を容易に防止することができ、推進管の発進・到達の端面の両方に使用できる坑口壁を有した上で、推進施工時に背面の地盤から十分な反力を得ることができる推進用立坑構造物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る推進用立坑構造物の一実施形態として、(a)はその全体構成を示す斜視図、(b)は最下段に配置されるレジン中詰め沈設用刃ロブロックの断面図。
【図2】 上記実施形態の推進用立坑構造物を地中に沈設させたときの組立断面構造を示す断面図。
【図3】 上記実施形態の沈設ブロック間の接合作業の流れを説明するための断面図。
【図4】 上記実施形態の筒状沈設ブロックの断面形状を示す断面図。
【図5】 本発明に係る推進用立坑構造物の筒状沈設ブロックの他の断面形状を示す断面図。
【図6】 上記実施形態の推進用立坑構造物を用いた場合と従来の推進用立坑構造物を用いた場合の地盤の反力が発生する様子を比較して示す図。
【図7】 本発明の他の特徴とする点として、最下段レジン製沈設ブロックにおける推進管発進・到達用坑口に対する坑口仮壁の設置形態と取付け方法について説明するため図。
【図8】 従来の推進用立坑構造物の一例として、全体構造を示す斜視図及び中央断面構造を示す断面図。
【図9】 図8に示す増設用沈設ブロックの接合部構造を示す断面図及び正面図。
【図10】 上記増設用沈設ブロックが円筒状の場合の補助金具収容部形成位置を示す断面図。
【図11】 図9の推進用立坑構造物を立坑に沈設させ、推進作業を行う様子を示す断面図。
【符号の説明】
1…レジン中詰め沈設用刃口ブロック
1a…レジンコンクリート又はレジンモルタル
1b…鋼板
2…最下段レジン製沈設ブロック
3…推進管発進・到達用坑口
4…レジン製増設用沈設ブロック
5…接着部
6…レジン製床版ブロック
6a…開口部
7…現場打ちベースコンクリート
8…坑口仮壁の接着部
9…坑口仮壁
10…沈設ブロック側面
11…緩衝材
12…筒状ブロック壁
13…上レジン部材
14…ゴム状弾性体
15…下レジン部材
16…接着剤
17…硬化後の接着剤はみ出し部
18…コンクリート中詰め沈設用刃口ブロック
19…鉄筋コンクリート製沈設ブロック
20…推進管発進・到達用坑口
21…鉄筋コンクリート製増設用沈設ブロック
22…補助金具収容部
23…鉄筋コンクリート製床版ブロック
24…下鉄筋コンクリート部材
25…上鉄筋コンクリート部材
26…インサート
27…ボルト
28…鋼板
29、30…補強鉄筋
31…シール材
41…推進装置
42…反力
43…推進管
44…補強鉄筋

Claims (5)

  1. 推進管発進・到達用立坑内に沈設され、底部に推進装置が配置される矩形筒状の推進用立坑構造物であって、
    不透水性を有するレジン材料を用いた矩形筒状沈設ブロックを複数段重ね合わせ、各ブロック同士を接合面全面に塗布した接着剤により互いに接合して、立坑内に沈設される筒状連続一体構造を形成し
    前記矩形筒状沈設ブロックのいずれかの側面には推進管の発進・到達用坑口を形成し
    この坑口に挿通される推進管の推進が施工されるとき、前記坑口形成ブロックを含む全てのブロックが推進用反力壁となるとともに、前記推進装置の稼働時に生じる反力を分散するように、内部角部を曲面形状としたことを特徴とする推進用立坑構造物
  2. 前記筒状連続一体構造の内面において、前記筒状沈設ブロックの継手部にはみ出した接着剤硬化部分を切削して表面を平滑にしたことを特徴とする請求項1記載の推進用立坑構造物
  3. 前記レジン材料は、骨材としての砕石、砂、珪砂の少なくともいずれかが結合剤で結合されたものであることを特徴とする請求項1記載の推進用立坑構造物
  4. 前記接着剤は、構造用高分子接着剤であることを特徴とする請求項1記載の推進用立坑構造物
  5. 前記推進管の発進・到達用坑口に対し、前記坑口を閉塞する仮壁を、緩衝材を介して本体壁に固着したことを特徴とした請求項1記載の推進用立坑構造物
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