JP3681398B2 - 部分還元遷移金属化合物から炭化遷移金属を製造する方法 - Google Patents

部分還元遷移金属化合物から炭化遷移金属を製造する方法 Download PDF

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Description

本出願は1995年9月12日付けで提出した暫定的米国出願番号60/003,631の利点を請求するものである。
本発明は、遷移金属であるTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの炭化物および上記遷移金属の溶体炭化物を製造することに向けたものである。
一般に2つの形態の炭化タングステン、即ち炭化一タングステン(WC)と炭化二タングステン(W2C)が存在している。WCは商業的価値のある品物、例えば切削工具、ダイスおよび穴開け用工具などの製造で用いるに有用であるがW2Cは一般にあまり有用でないことがよく知られている。実際、W2CがWC物中にほんの少量でも存在しているとWCの特性、例えば強度などが悪化する。
上記WC品物を製造する場合、炭化タングステン粉末をコバルトなどの如き金属と一緒にした後それを加熱することでそれに高密度化を受けさせてWC/Co接合(cemented)炭化物を生じさせるのが通常である。この加熱は真空から大気圧より高い圧力に至る範囲の圧力で実施可能である。
接合炭化物部品の場合の最終部品特性は、炭化タングステンの粒子サイズおよび粒子サイズ分布そして粒子化学の影響を大きく受ける。この上で既に述べたように、接合炭化タングステン部品の製造ではW2Cを存在させないようにすべきである。一般に、接合部品に含まれる粒子のサイズを小さくすればするほど結果として強度が向上する。加うるに、コバルトの添加量が一定であるとすると、粒子サイズを小さくすればするほど結果としてしばしば硬度がより高くなる。接合炭化タングステン部品に含まれる粒子のサイズが均一でないと、その部品を研磨した後の強度および表面状態が悪影響を受ける。この接合WC部品に含まれる粒子サイズの不均一さは、主に、この部品の高密度化を行っている間に粒子成長が過剰に起こることが原因で生じる。このような粒子成長は、粒子成長抑制剤、例えばVC、Cr32またはTaCなどを添加するか或はできるだけ狭い(即ち均一な)粒子サイズ分布を示すWC粉末を用いて出発することで制御可能である。
平均粒子サイズが0.2から0.3ミクロメートル未満のWC粉末を用いると、このように粒子サイズが微細なことに関連して反応性が高くなることから、粒子成長が過剰に起こり得る。また、この上にした如き標準的な粒子成長抑制剤は上記微細WC粉末を用いた接合WC部品の焼結を行う時には効果を示さないと言ったことも報告されている。上記微細WC粉末の焼結を行う時の重要なパラメーターは上記WC粉末の粒子サイズ分布であることが報告された(Suzuki他、J.Jap.Soc.Powder and Powder Met.、19巻、106−112頁、1972)。このように、接合WC部品の高密度化を行っている間に起こり得る粒子成長の度合を低くするには、粒子サイズを大きくするか或は極微細WC粉末(0.2から0.3ミクロメートル未満)の粒子サイズ分布を管理することができるのが望ましい。
炭化一タングステンは典型的に金属タングステンの炭化で生じる。基本的な工程段階は一般に下記である:
(a)パラタングステン酸アンモニウムまたはタングステン酸の焼成で安定な形態の酸化タングステン、例えばWO3、WO2.83、WO2.65およびWO2などの1つを生じさせ、
(b)この酸化タングステンの還元でタングステン金属粉末を生じさせ、
(c)このタングステン金属粉末を粉末形態の炭素と混合し、
(d)このタングステンと炭素の混合物を還元(水素含有)雰囲気中1100℃を越える温度で炭化させる。
結果として生じるWCの粒子サイズは上記段階(b)で生じるW金属粉末のサイズで支配される。タングステン金属の粒子サイズは、米国特許第3,850,614号に記述されているように、主に下記で支配される:
(1)還元中の粉末床の深さ、
(2)水素の流量、
(3)水素ガスの露点、および
(4)還元温度。
生じるタングステン粉末の粒子サイズは、ガス流量を高くし、床の深さを浅くし、水素ガスの露点を低くしそして還元温度を低くすると小さくなる。時間を一定にして、床の深さを浅くしそして温度を低くすると、炭化を受けてWCになり得るタングステン粉末の量が少なくなる。成長の機構は揮発性WOH種に帰するものであり、これは気体雰囲気に存在する水の濃度に直接関係していた(米国特許第3,850,614号)。タングステン金属から炭化一タングステンを生じさせる炭化を行う必要がある工程では、典型的に、生じるWC粉末の粒子サイズは0.8ミクロン以上に限定される、と言うのは、例えばこのサイズよりずっと小さいサイズのW金属が生じるようにするとそのように微細なタングステン金属粉末は自然発火する性質を持つことから困難さに直面するからである。また、WCは非常に堅いことから、WCをそのような小さい粒子サイズに粉砕するのも困難である。WCを容易に微細粒子サイズに粉砕することができたとしても、そのような粉砕過程で生じる粒子のサイズ分布は本質的に管理合成方法(controlled synthesis process)に比較して幅広くなる。
他の炭化一タングステン製造方法には下記の方法が含まれる。Steiger(米国特許第3,848,062号)は、揮発性タングステン種、例えばWC15、WC14、WC12、WO212、WOC14、WOF4およびW(CO)6などを蒸気状炭素源、例えば揮発性炭化水素またはハロゲン化炭化水素などと反応させることを記述している。この上に示した気相反応中、上記蒸気状炭素源を少なくともWCの化学量論的に等しい量で存在させる。その後、この反応で生じる生成物であるWCとW2Cと炭素の混合物に焼成を1000℃の温度で1から2時間受けさせると、結果として、炭化二タングステンを実質的に含まない炭化一タングステンが生じる。
Miyake(米国特許第4,008,090号)は、酸化タングステンと炭素粉末を1000℃以上の温度で反応させてその酸素を除去する第一段階そしてこの第一段階の生成物を上記第一段階よりも高い温度の水素中で反応させて炭化一タングステンを生じさせる第二段階を伴う方法を記述している。Miyakeは、上記酸素を除去する第一段階における温度を1000℃を越える温度にする必要があると明記している。酸素が水素と反応して水蒸気が生じる結果としてその水蒸気が炭素と反応して揮発性の炭素−酸素種を生じることで第二段階の生成物(即ち、所望の炭化一タングステン)の炭素含有量が影響を受けることから、これを避ける目的で酸素を除去する必要がある。
Kimmel(米国特許第4,664,899号)も炭化一タングステンの製造方法を記述しており、この方法は、酸化タングステンまたはパラタングステン酸アンモニウムと炭素粉末を混合する結果として混合物を生じさせ、上記混合物に還元を非還元雰囲気中でその結果としてタングステンと炭化二タングステンと炭化一タングステンを含む還元混合物が生じるに適切な温度で充分な時間受けさせるが、この還元を、上記の結果として生じる還元混合物中の炭素含有量が6.13重量パーセント未満になる程の量で炭素を存在させて実施し、上記の結果として生じる還元混合物の炭素含有量を測定し、上記の結果として生じた還元混合物に炭素をその炭素含有量が少なくとも炭化一タングステンの生成に要する化学量論的量にまで高くなるに充分な量で添加しそしてこのように調整した還元混合物を炭化させることで炭化一タングステンを生じさせることを含む。Kimmelは、更に、酸化タングステンの還元で生じる生成物はWとW2CとWCと遊離炭素の混合物であることと上記酸化物の全部に還元を受けさせることも記述している。
この上に記述した炭化一タングステン製造方法は全部、酸化タングステンまたはタングステン化合物(例えばWC14)に還元を受けさせてタングステンを生じさせるか或はタングステン金属とタングステン炭化物と遊離炭素の混合物を生じさせる必要がある。上記タングステンも混合物も、炭化一タングステンをもたらす炭化を受けさせる前、実質的に酸素(即ち酸化タングステン)を含まない。タングステン金属の炭化中も上記混合物の炭化中も、炭素が酸化または加水分解を受けて揮発損失しないようにする目的で、酸素が本質的に完全に除去されている。この炭化中に炭素が失われると、それが原因で、結果として生じる炭化物生成物の炭素含有量が不均一になる(即ち生成物中にW2Cが存在する)。炭素含有量が不均一になると特に産業的工程では処理すべき炭化物の体積がより大きくなることから問題が生じる。
製造する炭化遷移金属がこの炭化物の製造で用いる前駆体混合物の酸素濃度にあまり敏感でない炭化遷移金属製造方法を提供することができれば、これは産業的方法にとって望ましいことである。加うるに、上記炭化物の粒子サイズが前駆体混合物の粒子サイズのみに依存する(即ち小さい粒子サイズで出発して所望のサイズに成長させる)のではなくその粒子サイズを工程で有意に管理することができる方法が得られたならば、これは望ましいことである。特に、炭化一タングステンを製造するに適した上記方法を提供することができれば、これは望ましいことである。
本発明の目的は、遷移金属化合物の少なくとも部分還元または部分炭化で作られた生成物を含む前駆体混合物から炭化遷移金属を製造する方法であり、この方法は、
a)該前駆体混合物をこの前駆体混合物の炭化で該炭化遷移金属が生じるに充分な量の炭素と一緒に混合することで混和物を生じさせ、そして
b)該混和物を不活性または還元雰囲気中で該混和物が該炭化遷移金属に変化するに充分な温度で充分な時間反応させるが、
該混和物の反応を、
(i)該混和物への熱伝達を高める手段、
(ii)該混和物の少なくとも一部の中を流れる不活性もしくは還元ガス、または
(iii)それらの組み合わせ、
の存在下で行うことを含む。本発明の方法を用いると、特に、上記前駆体混合物に酸化タングステンが有意量で存在していたとしても炭化一タングステンを均一に生じさせることができる。本発明を用いると炭化中に上記混和物内で起こる反応の不均一さが低下することから上記前駆体混合物の炭化中に起こる炭素の加水分解または酸化が原因で引き起こされる生成物の化学的な不均一さが克服されると考えている。
炭化一タングステンの場合、生じる炭化一タングステンの粒子サイズは本明細書の上に記述した混和物の中に通すガスの流量に逆比例することをここに見い出した。このようなガス流量の効果は予想外でありかつ驚くべきことである、と言うのは、米国特許第3,850,614号にはタングステンの粒子サイズ、従って炭化一タングステンの粒子サイズはタングステン粉末をもたらす前駆体混合物の上(中ではなく)に通すガス流に正比例することが記述されているからである。加うるにまた温度を利用して上記炭化一タングステンの粒子サイズを管理することも可能である。
炭化遷移金属生成物:
本発明の方法は炭化遷移金属、固溶体である炭化遷移金属またはそれらの組み合わせを生じさせることに向けたものである。この生じさせる炭化遷移金属は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wから成る群から選択される遷移金属を含む如何なる炭化物であってもよく、そして上記遷移金属の溶体炭化物であってもよい。この炭化遷移金属は、好適には、炭化一タングステン(WC)、炭化一チタン(TiC)、炭化一タンタル(TaC)、炭化一バナジウム(VC)、炭化一ハフニウム(HfC)、炭化一ジルコニウム(ZrC)、炭化一ニオブ(NbC)、炭化二モリブデン(Mo2C)または二炭化三クロム(Cr32)である。本発明に従う方法では、好適には、炭化一タングステンか、或はこの上に示した炭化遷移金属の少なくとも1つと組み合わせた炭化一タングステンか、或は固溶体である炭化金属を製造する。最も好適には、本発明を用いて炭化一タングステンを製造する。
本発明の方法を用いて炭化一タングステンを製造すると、生じる炭化一タングステンは、X線回折で測定して、好適には検出できるほどタングステン金属を含有せず、検出できるほど酸化タングステンを含有せず、かつ炭化二タングステンの含有量は5重量パーセント未満、より好適には炭化二タングステンの含有量は1重量パーセント未満であり、最も好適には検出できるほど炭化二タングステンを含有しない。この定量分析を本明細書の以下に記述するX線回折で行う。
この製造した炭化一タングステンに入っている遊離炭素の濃度は望ましくは0.5重量パーセント未満である。この製造したWCに入っている遊離炭素の量は、好適には0.2重量パーセント未満、より好適には0.1重量パーセント未満、最も好適には0.05重量パーセント未満である。この遊離炭素の量を本明細書の以下に記述する酸消化方法で測定する。
上記炭化遷移金属の製造方法
第一段階(a):
本発明に従う方法の第一段階は、上記前駆体混合物をこの前駆体混合物の炭化で上記炭化遷移金属が生じるに充分な量の炭素と一緒に混合することで充分な炭素を含有する混和物を生じさせる段階である。
炭素:
この炭素は結晶性、非晶質、有機材料またはそれらの組み合わせであってもよい。適切な結晶性もしくは非晶質炭素には、グラファイトまたはカーボンブラック、例えば商標「SHAWANIGA」の下で商業的に入手可能なアセチレンカーボンブラックなどが含まれる。適切な有機材料の例には、有機ポリマー類、例えばフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ類、架橋ポリスチレン類およびセルロース系ポリマー類など、炭水化物、例えば糖類および澱粉など、そして炭化水素が含まれる。
前駆体混合物:
前駆体混合物に、遷移金属化合物、例えば本明細書に記述する遷移金属の酸化物などの少なくとも部分的な還元もしくは炭化で生じる生成物を含める。この前駆体混合物に、遷移金属、炭化遷移金属および酸化遷移金属から成る群から選択される少なくとも1種の遷移金属化合物を含める。加うるに、この前駆体混合物に遊離炭素を存在させることも可能である。上記遷移金属は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wおよびそれらの固溶体から成る群から選択される遷移金属であってもよい。上記炭化遷移金属は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoまたはWの炭化物の1つ以上、または上記遷移金属の少なくとも2つを含む炭化物化合物であってもよい。上記酸化遷移金属は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoまたはWを含む酸化物の1つ以上または上記遷移金属の少なくとも2つを含む酸化物化合物であってもよい。この前駆体混合物に存在させてもよい炭素は残存反応体であるか或はこの前駆体混合物を生成させている間に生じた炭素である。この遊離炭素は結晶性または非晶質であってもよい。この遊離炭素はカーボンブラック、グラファイトまたは有機材料(これらの各々は本明細書の上に記述したものである)などの如き炭素源に由来するものであってもよい。
遷移金属化合物の少なくとも部分的な還元または炭化で生成物を得る結果として所望遷移金属の炭化物(たとえばWC)を含む前駆体混合物を得ることができる。しかしながら、この所望遷移金属の炭化物を前駆体混合物に存在させる場合には、本発明に従い、別の遷移金属化合物、例えば遷移金属の酸化物、所望の炭化遷移金属でない炭化遷移金属(例えばW2C)、遷移金属またはそれらの組み合わせなどを有意量で存在させる必要がある。本明細書では、上記前駆体混合物の5重量パーセント以上が、別の遷移金属化合物の有意量である。
製造すべき炭化遷移金属が炭化一タングステンである場合には前駆体混合物に下記を含めてもよい:
(1)タングステン、
(2)タングステンと炭化二タングステンと炭化一タングステン、または
(3)タングステンと炭化二タングステンと炭化一タングステンと炭素と少なくとも1つの形態の酸化タングステン。
炭化一タングステン(WC)を製造する場合の前駆体に含める酸素量は、5重量パーセントの如き多い量であってもよい。この酸素量を、本明細書の以下に記述する燃焼分析で測定して、好適には3重量パーセント未満、より好適には2重量パーセント未満、最も好適には1重量パーセント未満にする。実際的には、室温の空気中ではタングステンの酸化物の生成の方がそれの炭化物の生成よりも熱力学的に有利であることから、上記酸素濃度が0重量パーセントになることはない。この酸素レベルを実行可能な限り低くしてもよいが、本発明の方法では必ずしも必要ではない。例えば、本発明の方法を実施する時の前駆体の酸素量は0.5重量パーセント以上であってもよい。この酸素はタングステンの酸化物の形態であると解釈し、本明細書の以下に記述する化学量論の計算はWO3であると便利に仮定する。
この前駆体混合物を、一般的には、遷移金属の酸化物粉末に炭化または水素による還元を受けさせて上記酸化物を少なくともある程度還元させることで生じさせる。本明細書の上に記述した前駆体混合物の生成で用いるに適切な方法には、米国特許第4,008,090号、4,644,899号、3,850,614号および3,848,060号(これらの各々引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている方法が含まれる。この前駆体混合物の調製を、好適には、米国特許第5,380,688号(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されていて以下に説明する迅速炭素熱還元(rapid carbothermal reduction)方法を用いて行う。
上記前駆体混合物の調製を、好適には、本明細書の上に記述した如き固体粒子状の炭素源(例えばカーボンブラック)と遷移金属の酸化物を混合することを通して行う。この酸化物に添加する炭素量は、この酸化物の大部分が炭化して炭化遷移金属が生じるに充分な量である。好適には、所望炭化遷移金属の化学量論に等しいか或はそれよりも少ない量で炭素を加える。例えば、WC製造用前駆体混合物を製造する時に存在させる炭素量は、化学量論的量またはそれより少ない量でなければならない。この化学量論的量は炭素が1モルのWO3当たり4モルであることに相当する(即ちWO3+4C=WC+3CO)。
この遷移金属の酸化物は単一の遷移金属の酸化物(単一酸化物)であってもよいか或は遷移金属を2種類以上含む酸化物(本明細書では遷移金属の酸化物アロイと呼ぶ)であってもよい。このような酸化物はこの上に記述した遷移金属の酸化物である。この遷移金属の酸化物を好適には単一酸化物または単一酸化物の組み合わせにする。上記迅速炭素熱還元方法で単一酸化物の組み合わせを用いると、米国特許第5,380,688号に記述されているように、固溶体である炭化物が生じ得る。この遷移金属の酸化物に好適には99パーセント以上の純度を持たせ、そして粒子および凝集物の全部を325メッシュのふるいに通過させて均一な粒子サイズを持たせる(即ち、最も大きな酸化物粒子または凝集物の直径を45ミクロン未満にする)。適切な例には単一酸化物、例えばGTE Products Corp.から商標「TO−3」の下で入手可能な三酸化タングステン(WO3)、Veliscol Chemical Corp.から商標「TITANOX」の下で入手可能な二酸化チタン(TiO2)、そしてAldrich Chemical Companyから入手可能な五酸化二タンタル(Ta25)などが含まれる。
上記遷移金属の酸化物と炭素の混合は粉末の混合に適した如何なる装置で行われてもよい。混合装置の例には、これらに限定するものでないが、シグマミキサー(sigma mixer)、ムラーミキサー(muller mixer)、Vブレンダーおよびコーン型ブレンダーなどが含まれる。この遷移金属の酸化物または炭素の粒子サイズを更に小さくすることが望まれる場合には、上記酸化物または炭素を混合前に磨砕してもよいか、或は磨砕(粉末の粒子サイズを小さくする)能力を有する任意装置、例えばボールミル、ジェットミル、振動ミルまたは撹拌ミル、例えばアトリター(attritor)などを用いて混合と磨砕を同時に行うことも可能である。磨砕を例えばボールミルなどで行う時に磨砕用媒体(milling media)を用いる必要がある場合には、この磨砕用媒体を好適には接合炭化タングステン−コバルトである磨砕用媒体にする。混合した後の炭素と遷移金属の酸化物(類)、遷移金属の酸化物アロイ(類)またはそれらの組み合わせを、本明細書では以降、酸化物−炭素反応性混合物と呼ぶものとする。
この酸化物−炭素反応性混合物を有利には落下方法または連行方法における迅速炭素熱還元で反応させる。この落下方法は、グラファイト製るつぼを誘導炉の加熱ゾーン内で所望の反応温度に加熱することを伴う。このるつぼの加熱を非酸化性雰囲気、例えばアルゴン流中などで行う。このるつぼを上記反応温度にこのるつぼと炉が上記温度で平衡状態になるに充分な時間(30分間)維持する。1秒当たり100から10,000℃(K)の範囲の加熱速度をもたらす誘導炉内に位置させた上記グラファイト製るつぼに上記反応性混合物の一定分量を落下させる。反応体副生成物であるCOのレベルを上記るつぼ内で時間の関数として測定することで反応の度合を監視する。COレベルが低下してほぼ反応開始前のCO濃度に相当するCOレベルに戻ったならば、反応した酸化物−炭素反応性混合物の粒子成長と粒子凝集を最小限にする目的でできるだけ迅速に上記るつぼを冷却して室温に戻すことにより、反応を停止させる。
上記連行方法は、米国特許第5,110,565号(これは引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている種類のグラファイト製垂直管反応炉を用いることを伴う。上記酸化物−炭素反応性混合物をフィードホッパーに入れて非酸化性ガス、例えばアルゴンなどを流すことにより、その粉末にした混合物を粉じん雲として連行させて上記炉の反応チャンバの中に送り込む。この粉末または粒子状混合物を上記反応チャンバ内で1秒当たり10,000から100,000,000℃の加熱速度で加熱する一方で、この炉内における粉末の平均滞留時間を数秒の桁にする。その流れるガスが上記反応チャンバの加熱ゾーンを出る時、そのガスが上記粉末を水冷のステンレス鋼製ジャケットの中に運び込み、反応した粉末は、上記ジャケット内で迅速に10℃(283K)以下にまで冷却される。本発明の前駆体混合物を上記酸化物−炭素反応性混合物から調製する好適な方法は上記連行方法を用いた方法である、と言うのは、この連行方法を用いた方が反応条件をより均一にすることができ、従ってその方が前駆体混合物の粉末を小さい粒子サイズで均一に生じさせることができるからである。
上記酸化物−炭素反応性混合物を室温から反応温度にまで好適には少なくとも1秒当たり100から10,000℃の加熱速度、最適には1秒当たり10,000から100,000,000℃の桁の加熱速度で加熱することにより、上記混合物を反応させる(即ち上記酸化物を炭化させる)。この反応温度は、この反応が熱力学的に有利に起こるに充分な温度でなければならない。これを表現する1つの様式は、上記反応のギブズ(Gibbs)自由エネルギー変化が負でなければならないと言った様式である。言い換えれば、反応生成物の生成自由エネルギーが反応混合物に含まれる成分の生成自由エネルギーよりも小さくなければならない。また、これは、意図した如何なる反応生成物(類)の場合でも、それの融点よりも低くなければならない。炭化タングステンの場合には反応温度を少なくとも1400℃(1673K)にするのが有利であり、1550℃(1823K)から2400℃(2673K)の温度が好適であると考えている。反応生成物の生成自由エネルギーがこの反応生成物を生じさせる時に必要な反応混合物に含まれる成分の生成自由エネルギーよりも小さくなるおおよその温度は下記の通りである:炭化タングステン(WC)677℃(950K)、炭化チタン(TiC)1282℃(1555K)、炭化タンタル(TaC)1108℃(1381K)、炭化バナジウム(VC)659℃(932K)、炭化ハフニウム(HfC)1661℃(1934K)、炭化ニオブ(NbC)955℃(1228K)、炭化ジルコニウム(ZrC)1657℃(1930K)、炭化二モリブデン(Mo2C)469℃(742K)および二炭化三クロム(Cr32)1110℃(1383K)。
上記酸化物−炭素反応性混合物を反応温度に滞留させる滞留時間は、加熱速度および反応温度にある程度依存するが、上記反応体混合物に由来する金属酸化物の少なくとも主要部分が還元を受けるに充分なほど長くなければならない。この滞留時間は、加熱方法、加熱速度、反応温度および望まれる最終粒子サイズに応じて、好適には0.1秒から1/2時間の範囲である。上記落下方法の場合に好適な典型的滞留時間は、反応温度を1500℃(1773K)にして加熱速度を1秒当たり100から10,000℃にした場合には5分から2時間である。上記連行方法の場合の滞留時間は、反応温度を1550℃(1823K)以上にして加熱速度を1秒当たり10,000から100,000,000℃にした場合には0.2から10秒が好適である。加熱速度をより高くして滞留時間を実質的に10秒より長くすると、望ましくなく、粒子状生成物ではなく焼結凝集物が生じる可能性がある。しかしながら、どのような反応温度と滞留時間と加熱速度の組み合わせを選択しようとも、炭素と金属酸化物を含む反応性粒子状混合物が主に金属炭化物で構成された生成物に変化するに充分でなければならない。言い換えれば、例えばWCを製造する場合の上記生成物はこの上に記述した前駆体混合物であろう。
混和物の製造:
この上に記述した炭素と前駆体混合物を一緒に混合することで混和物を生じさせる。この炭素は好適には固体状炭素、例えばカーボンブラックなどである。この上で上記酸化物−炭素反応性混合物を調製する時に行った酸化物と炭素の混合で記述したのと同じ技術および方法を用いて、上記炭素と前駆体を一緒に混合または磨砕する。好適には、接合炭化タングステンコバルト媒体が入っているボールミルで上記炭素と前駆体の混合物を混合する。
この前駆体混合物に添加する炭素量を、典型的には、所望の炭化遷移金属に関係させて実験的に決定する。例えば、上記前駆体混合物と炭素の混和物からWCを水素が5パーセントでアルゴンが95パーセントのガス混合物中で製造する時には、炭素量が、上記前駆体混合物中の酸素を基準にした化学量論的量の約0.67(即ち、WO3+(0.67)4C=WC+3CO)とこの前駆体混合物中のW2Cおよび遊離金属(W)を基準にした化学量論的量の合計を構成するようにすると、典型的に、上記前駆体混合物が遊離炭素量が低くて全酸素量が低い炭化一タングステンに変化することを、本出願者らは見い出した。上記連行方法で調製した炭化タングステン前駆体に炭素を添加する場合の炭素量は、典型的に、この前駆体混合物の重量を基準にして通常1から5重量パーセントの量であり、この量は、より典型的には2から3重量パーセントの範囲である。上記混和物を所望の炭化遷移金属に変化させる時に必要な炭素量は、例えば反応槽、雰囲気および前駆体混合物などに応じて多様であり得る。本発明に従う条件の場合の炭素量は如何なる場合でも本分野の技術者によって上記実験で決定され得る。
第二段階(b):
本発明に従う方法の第二段階は、常規混和物を不活性または還元雰囲気中でこの混和物が上記炭化遷移金属に変化するに充分な温度で充分な時間反応させる段階であり、ここでは、この混和物を、(i)上記混和物への熱伝達を高める手段、(ii)上記混和物の少なくとも一部の中を流れる不活性もしくは還元ガス、または(iii)それらの組み合わせの存在下で反応させる。
この混和物を上記前駆体混合物の実質的に全部が所望の炭化遷移金属に変化するに充分な温度で充分な時間反応させる。例えば、炭化一タングステン(WC)を製造する時には上記混和物を900℃から1800℃の範囲の温度に加熱してもよく、この加熱時間は、上記混和物が本明細書の上に記述したWCに変化するに充分であるならば如何なる時間であってもよい。この混和物を反応させる温度を好適には1000から1600℃の範囲にする。この反応を行う温度がWC生成物の粒子サイズに正比例することが示された。この反応時間は、望ましくは、上記混和物がWCに変化する限りできるだけ短い時間である。この反応時間を好適には少なくとも5分、より好適には少なくとも15分、最も好適には少なくとも30分から、好適には長くて10時間、より好適には長くて5時間、最も好適には長くて2時間にする。
この雰囲気は如何なる還元もしくは不活性雰囲気であってもよい。この雰囲気を作り出すに適切なガスには水素、水素−アルゴンの混合物またはアルゴンが含まれる。好適には、このガスを水素がアルゴンに2−6パーセント入っているガス混合物にする、と言うのは、このような混合物を用いるとこの混合物中の水素量を爆発限界以下にしながら還元環境が得られるからである。また、この雰囲気を、上記混和物に存在する酸素の実質的に全部が取り除かれるまで(即ち、上記反応でCOがほとんどか或は全く生じなくなるまで)、最初、不活性雰囲気、例えばアルゴンなどにした後、この気体雰囲気を還元雰囲気、例えば水素がアルゴンに5パーセント入っている雰囲気などに変えるのも好適である。このように、不活性ガスを用いた後に還元ガスを使用すると、水蒸気[これは後で炭素と反応してCOを生じ得る(即ち、H2+O=H2Oに続いてH2O+C=CO+H2)]が生じないようにすることができるか或はその生成量を低くすることができる。
上記混和物を反応させている間の雰囲気を好適にはガス流で作り出す。このガスを望ましくは流れさすことで、望まれない気体種、例えば水蒸気などを除去する。水蒸気が過剰量で存在していると、これは炭素と反応してCOガスを生じる可能性があり、従って製造した炭化遷移金属の炭素濃度が変化する可能性がある。このガスの流量は、上記混和物の重量を基準にして、この混和物が反応して所望の炭化遷移金属が生じるに充分であるならば如何なる流量であってもよい。このガス流を好適には5から500標準リットル/分・kg、より好適には25から250標準流量/分・kgにする。
この混和物の反応はバッチ式もしくは連続式装置内で実施可能である。この混和物の反応で用いるに適切な装置には、例えば管炉、推進炉、帯炉、回転炉、エレベーター炉、流動床反応槽および回転るつぼ炉などが含まれる。上記混和物の汚染を反応中にもたらさない材料で上記装置を建造するのが望ましい。この炉または反応槽(少なくとも炉または反応槽の加熱セクション)を好適には炭素材料で建造する。この炭素材料の純度を以下のパラグラフで炭素物に関して記述する如き純度にすべきである。
上記混和物を反応させる時、この混和物への熱伝達を高める手段、上記混和物の中を少なくともある程度流れる不活性もしくは還元ガス、またはそれらの組み合わせの存在下で上記混和物を反応させる。上記混和物への熱伝達を高める手段は、このバルク(bulk)混和物が熱を伝達する速度よりも有意に高い速度で熱を伝達する如何なる物であってもよく、例えば濃密な(dense)炭素またはセラミック物などである。この物のサイズを、この物を上記混和物から簡単な機械的手段、例えばそれを手で持ち上げることなどで分けることができるように、上記混和物の粒子サイズよりも有意に大きくする。濃密な炭素物または物類にはグラファイトまたは炭素/炭素複合物(類)が含まれる。この物または物類は好適には炭素物である。この炭素物(類)の純度は上記混和物の汚染を有意にもたらさない純度でなければならない。市販のグラファイトには、通常、ケイ素が有意量で混入している。従って、本発明の方法の実施で用いるグラファイトまたは炭素物では、それに混入しているケイ素および全金属量を好適には25ppm(parts per million)未満、より好適には10ppm未満にする。
この物の幾何形状は如何なる形状であってもよく、例えば板、管、棒、または一連の板、管または棒などであってもよい。この物を上記混和物内に位置させる時、好適には、この物の少なくとも一部が上記混和物内に位置しないようにする。例えば、上記混和物を円形、正方形または長方形のグラファイト製ボート(boat)に入れて、このボートの中心部にグラファイト製の棒または板を、この棒または板が上記ボートの底に接触するように位置させる(例えば、上記棒の縦軸が上記ボートの底から上記ボートの上に伸びるように)。このボートの上方が開放末端である。また、この物または物類が上記ボート内に入れた混和物の上部を越えて伸びるようにするのも好適である。この物が上記ボートの一体部分になるようにこの物をボートに接触させることも可能である。例えば、この物を上記ボートの底に捩込むか、接合させるか、或はそれが切り込むようにしてもよい。適切な接合剤の例はフェノール−ホルムアルデヒド樹脂であり、これは、これを非酸化性雰囲気中で充分に高い温度に加熱すると分解して炭素系材料になる。加うるに、上記物が上記ボートの隣接部分になるように、このボートの機械加工を行うことも可能である。このボートに入れた混和物に覆いを付けてもよいか或は付けなくてもよく、そして次に、この混和物を本明細書に記述する如きバッチ式炉または連続炉、例えば推進炉など内で反応させてもよい。この炉は、好適には連続炉であり、より好適には推進炉である。
上記物または物類を用いて炭化遷移金属を製造する別の例は、上記混和物の反応を本明細書に記述するように回転炉内で行う例である。この例では、上記棒の縦軸が回転炉の中心に向かって半径方向に伸びるように、この棒を上記回転炉の内径(inner diameter)に接触させる。望ましくは、この回転炉にグラファイトまたは炭素/炭素複合体で出来ている回転部分(管)を持たせて、上記棒を上記管の縦軸に沿って上記内径の中に定期的に捩込む。また、有利には、上記棒で上記回転炉内の混和物を掻き混ぜて脱凝集(deagglomerate)させることも可能である。この混和物をこの混和物への熱伝達を高める手段(例えば炭素物)の存在下で反応させると、この混和物への熱伝達を高める上記手段を存在させない時に比較して化学的により均一な炭化遷移金属、特にWCが生じる。化学的均一さがより高いと、結果として、生成物である炭化遷移金属中に存在する望ましくない炭化遷移金属(例えばW2C)の量が少なくなるか、酸素量が少なくなるか、炭素量が少なくなるか、或はそれらの組み合わせがもたらされる。
上記混和物をこの混和物の中を少なくともある程度流れる不活性もしくは還元ガスの存在下で反応させる場合にも、この上に記述したのと同様な装置を用いることができる。例えば、円形、長方形または正方形のグラファイト製ボートに出口(気体を通し得るが上記混和物を通さない)を持たせてこのボートの底に位置させてもよい。適切な出口には、上記ボートの底を貫く穴を少なくとも1つ設けてその穴(類)に上記不活性もしくは還元ガスを通し得るが上記混和物は通さない多孔質膜を取り付けることが含まれ得る。適切な膜にはグラファイト製フェルト、カーボン繊維のメッシュまたは多孔質グラファイトが含まれる。1つの例は、ボートの外側からボートの内側に突き抜ける穴を底の中心部に有する第一底を持たせたボートであろう。この第一底は上記ボートの一体部分である。上記ボート内で上記第一底の上部に位置していてそれを完全に覆っている第二底を上記ボートに持たせて、この第一底と第二底の間に空間部を存在させる。この第二底に上記第一底に開けた穴に平行な穴を複数持たせる。また、この第二底の上にもグラファイト製フェルトを位置させる。
上記混和物を、本明細書に記述するように、この上に記述したボート内で反応させる時、上記混和物をこれが上記グラファイト製フェルトの上に位置するように上記ボートに入れて、それを、例えばバッチ式炉(ガスを上記ボートの第一底に開けた穴に通して導入または排出させる手段を有する)内に位置させる。ガスを排出または導入する手段は、例えば炉の底を突き抜けた後にボートの底に開けた穴の内径でボートの底にかみ合っている(例えばねじ山などで)グラファイト製管などである。この直ぐ上に記述したボートに、勿論、この上に記述した上記混和物への熱伝達を高める物をもたせることができる。
上記混和物を、本明細書に記述するように、上記混和物の少なくとも一部の中を流れる不活性もしくは還元ガスの存在下で反応させる別の例は、この上に記述したグラファイト製管を上記炉の上部の中に挿入して上記管の末端部が固体状底を有するボートに入っている混和物の中のある深さまで来るようにする例であり得る。次に、上記ガスを上記混合物の中に流すと、このガスは上記混合物のある部分の中を通った後、別の場所で上記炉から排出される。この混和物内に位置させる上記管の末端部の幾何構造は、上記ガスが上記混和物の中に最もよく分散するならば、数多く存在する幾何構造のいずれであってもよい。例えば、上記混和物内に位置させる管の末端部にふさがれた末端部を持たせてもよく、この場合、上記ガスは、上記管の末端部の所で外径から内径に突き抜ける通路を通って管を出る。この例の管はまた熱強化手段(thermal enhancement means)としても働き得る。不活性もしくは還元ガスを上記混和物の少なくとも一部の中に通すと、結果として予想外に、炭化遷移金属(特にWC)の粒子サイズが上記ガスの流量に反比例するようになる。加うるに、流量を高くすると、他の反応条件を同じにした場合、結果として、W2Cが全く生じなくなるか或はその量が少なくなる。
本発明の方法に従って生じさせる炭化遷移金属粉末(類)、特にWCは、研磨剤などの如き品物として、そして接合炭化物製耐摩耗性部品、例えば全種類の切削工具およびブラスト用ノズル(blast nozzles)などおよびダイスなどを製造する時の構成要素として用いるに有用である。
試験方法
下記が本明細書に記述する炭化遷移金属の分析で用いた典型的な方法である。
炭素:
本発明の炭化遷移金属中の炭素濃度を「LECO」IR−212炭素分析装置TMを用いて測定する。「LECO」が供給している炭素量が6.16重量パーセントの炭化タングステン標準を用いて上記分析装置の較正を行う。製造業者(LECO)が記述しているように、標準分析物を少なくとも4個用いて上記分析装置の較正を行う。1スクープのLECOCEL IITMおよび鉄チップを用いて各サンプルおよび標準の分析を行う。このスクープは製造業者(LECO)が供給しているスクープである。少なくとも4個の炭化物サンプルを分析する。
酸素:
本発明の炭化遷移金属中の酸素濃度を「LECO」TC−136酸素測定装置TMを用いて測定する。酸素量が0.0246重量パーセントの標準を用いる。上記測定装置の製造業者が記述しているように、標準分析物を少なくとも4個用いて上記酸素測定装置の較正を行う。製造業者が供給している錫製カプセルとニッケル製バスケットにサンプルを0.2グラム入れて炭化物サンプルの分析を行う。少なくとも4個の炭化物サンプルを分析する。
表面積:
炭化遷移金属の表面積をBET方法(Braunauer、EmmettおよびTeller)に記述されている如き窒素ガス吸着で測定する。この分析をQuantachrome Autoscorb 1分析装置を用いて実施する。
遊離炭素:
本発明の炭化遷移金属中の遊離炭素を下記の如く測定する:炭化遷移金属(例えばWC)をある量でフッ化水素酸と硝酸に入れて酸消化を起こさせ、炭素残渣を銀製フィルターで濾過した後、この銀製フィルター上の炭素量を、この上に記述した炭素濃度測定方法で測定する。
相測定:
いろいろな炭化遷移金属相の相および量をX線回折で測定する。いろいろな相がもたらすピークの間のピーク高比とピーク面積積分値を得ることを伴う方法で相の量を測定する。例えば、2.276オングストロームの「d」面間隔の所に位置するW2Cピークのピーク高に2を掛けた値を2.518オングストロームの「d」面間隔の所に位置するWCのピーク高で割った値と上記値を1.884オングストロームの「d」面間隔の所に位置するWCのピーク高で割った値の間の比率からW2Cの量を計算する。
本発明の範囲内の具体的実施例と比較実施例を以下に示す。この具体的実施例は単に説明の目的であり、本明細書に記述する発明を決して限定するものでない。
実施例
実施例1
米国特許第5,380,688号に記述されていて本明細書で説明する連行方法で調製した前駆体混合物とSHAWNIGANTMアセチレンブラック(カーボンブラック)を反応させることで本質的に炭化一タングステンを生じさせる。上記前駆体混合物にはWC、W2C、炭素、酸化タングステンおよびタングステン金属が含まれていて、この混合物の酸素濃度は1.75重量パーセントで、炭素濃度は4.88重量パーセントで、表面積は5.8m2/gであった。
磨砕用媒体である接合WC−Coで部分的に満たしておいたウレタン内張りボールミル内で2.12重量部の上記カーボンブラックと97.88重量部の上記前駆体混合物を混合することで、前駆体混合物−炭素の混和物を製造した。この混和物のかさ密度は1.2g/cm3である。
グラファイト板(上記混和物への熱伝達を高める手段)を5枚用いて長さが23cmで幅が23cmで深さが10cmのグラファイト製ボートを分割することで、長さが23cmで幅が4cmで深さが10cmの空洞部を6個生じさせて、それらの中に上記混和物を入れた。上記板の長さは23cmで深さは10cmで厚みは0.64cmであった。次に、上記空洞部6個の各々に上記混和物をこれの深さが上記ボートの深さよりも若干浅くなるように位置させて、それをグラファイト板で覆った。
実施例1の混和物をこの上に示したボートに入れて、それをグラファイト製炉内で反応させた。この炉を1525℃に加熱してこの温度に3時間維持した後、室温に冷却した。この反応を水素が5パーセントでアルゴンが95パーセントのガス混合物流中で実施した。
実施例1の混和物を反応させたサンプルを、上記ボートの中心部(中心の空洞部)から、この反応した混和物の上部そして上部の下5cmの所の両方で採取した。この反応した混和物の上部で採取したサンプルを本明細書では「上部」サンプルと呼ぶ。上記混和物の上部の下5cmの所で採取したサンプルを本明細書では中央サンプルと呼ぶ。残りの反応混和物をこの上に記述したボールミル内で混合した後に別のサンプルを取り出した。この混合した混和物から取り出したサンプルを本明細書では混合サンプルと呼ぶ。この実施例の方法で生じた炭化一タングステンの特性を表1に示す。
実施例2
反応を1375℃で3.5時間実施する以外は実施例1に記述した方法を用いて実施例2の炭化一タングステンを調製した。この実施例2の混和物を以下に記述する比較実施例2の混和物と同時に同じ炉内で反応させた。この実施例の方法で生じた炭化一タングステンの特性を表1に示す。
実施例3
反応を1445℃で4時間実施する以外は実施例1に記述したのと同じ方法を用いて実施例3の炭化一タングステンを調製した。この実施例3の混和物を以下に記述する比較実施例3と同時に同じ炉内で反応させた。この実施例の方法で生じた炭化一タングステンの特性を表1に示す。
比較実施例1
実施例1に記述した方法を用いて比較実施例1の炭化一タングステンを調製したが、但し比較実施例1の混和物の場合、これをボート内側の長さが23cmで幅が23cmで深さが10cmのグラファイト製ボートに入れた。この比較実施例1で用いるボートは、この比較実施例1のボートを板で分割しない(即ち上記混和物への熱伝達を高める手段を用いない)以外は実施例1で用いたボートと同じであった。この比較実施例1の場合、混和物の深さを上記ボートの深さより若干浅くして、グラファイト板で覆わなかった。この比較実施例1の混和物を実施例1と同時に同じ炉内で反応させた。
比較実施例2
比較実施例1に記述した方法と同じ方法を用いて比較実施例2の炭化一タングステンを調製したが、但し比較実施例2の混和物の場合にはこれを実施例2の混和物と同時に同じ炉内で反応させた。この比較実施例の方法で生じた炭化一タングステンの特性を表1に示す。
比較実施例3
比較実施例1に記述した方法と同じ方法を用いて比較実施例3の炭化一タングステンを調製したが、但し比較実施例3の混和物の場合にはこれを実施例3の混和物と同時に同じ炉内で反応させた。この比較実施例の方法で生じた炭化一タングステンの特性を表1に示す。
Figure 0003681398
実施例1−3および比較実施例1−3のボート内のいろいろな場所で採取した反応混和物サンプルの炭素含有量を表1に示す。表1の結果は、実施例1−3の混和物を反応させた物の炭素濃度の方が比較実施例1−3の混和物を反応させた物の炭素濃度よりも混合物全体に渡って均一であることを示している。例えば、実施例1−3の混和物を反応させた物(炭化一タングステン)の炭素勾配は、相当する比較実施例に比較して(即ち実施例1を比較実施例1と比較した時)、約1/3の炭素勾配であった。加うるに、実施例1から3の炭化一タングステンに存在する遊離炭素の量は、それぞれ、比較実施例1から3の炭化一タングステンに存在する遊離炭素の量の1/3であった。表1のデータは、混和物を反応させる時に上記板をボートに加えると(実施例1−3)生じる炭化一タングステンがより均一になることを示している。
加うるに、表1のデータは、生じる炭化一タングステンの表面積は反応温度に逆比例することを示している。例えば、実施例2の炭化一タングステン(反応温度=1375℃)の表面積の方が実施例1(反応温度=1525℃)の表面積よりも大きい。言い換えれば、本明細書の以下に更に記述するように、上記混和物を反応させた物の粒子サイズは反応温度に比例した。
実施例4
米国特許第5,380,688号に記述されていて本明細書で説明する連行方法で調製した前駆体混合物とSHAWNIGANTMアセチレンブラック(カーボンブラック)を反応させることで本質的に炭化一タングステンを生じさせた。上記前駆体混合物にはWC、W2C、炭素、酸化タングステンおよびタングステン金属が含まれていて、この前駆体混合物の酸素濃度は1.46重量パーセントで、炭素濃度は3.80重量パーセントで、表面積は4.1m2/gであった。この前駆体にはまたケイ素が1000ppm混入していた。
磨砕用媒体である接合WC−Coで部分的に満たしておいたウレタン内張りボールミル内で2.8重量部の上記カーボンブラックと97.2重量部の上記前駆体混合物を混合することで、前駆体混合物−炭素の混和物を製造した。この混和物のかさ密度は磨砕後1.2g/cm3である。
上記混和物の一部を短いグラファイト製容器に入れた。この容器は短い管で構成されていて各末端はグラファイト製キャップが付いていた。各キャップは取り外し可能であり、上記容器の内径と同心の貫通穴を有する。上記キャップの貫通穴直径は上記容器の内径よりも小さい。上記粉末を上記容器の一方の末端部のキャップを外してそこを通して容器の中に入れた後、グラファイト盤(この盤の縦軸に沿って穴が複数開いている)を挿入した。この盤を上記キャップ付き末端部の上に平らに置く。上記グラファイト盤の直径は上記容器の内径とほぼ同じであった。グラファイト製フェルトの薄い片を挿入して上記盤の上に置いた。このグラファイト製フェルトで上記盤を完全に覆う。上記混和物を上記容器の中に入れて上記グラファイト製フェルトの上に均一に置いた。この混和物の上に別のグラファイト製フェルト片を置き、その上に、縦方向の穴を有する盤を置いた後、この容器をこの上に記述したキャップで蓋をした。
このキャップを付けた容器を、上記キャップの1つに開いている貫通穴の所で、グラファイト製管に結合させた。この組み立て物を管炉のSiC製炉管の中に挿入した。この炉管の内径は上記容器の外径よりも大きい。最初に上記容器を挿入した。上記グラファイト製管を水冷フランジの中に通したが、この水冷フランジには、上記グラファイト製管を密封しそしてまた上記グラファイト製管を上記フランジに通して取り出すことを可能にする取り付け具が備わっていた。このフランジを上記炉管に結合させることでこの炉管を閉じ、そして上記フランジを用いて上記容器を上記炉管の縦軸に沿って動かすことができる。この炉管のもう1つの末端を別のフランジ(これを通ってガスが上記炉から出る)で閉じた。次に、このグラファイト製管をガス源に連結することで、ガスの流れを管理様式で上記容器(即ち混和物)の中に通した。
上記容器を上記管炉の加熱ゾーン内に位置させることで上記混和物を反応させた。この炉を20℃/分の加熱速度で1325℃にまで加熱した。この温度で上記混和物を水素が5パーセントでアルゴンが95パーセントのガス混合物中で10分間反応させた。混和物1kg当たりのガス流は40標準リットル/分・kgであった。上記10分が経過した後、上記炉を室温に冷却した。この実施例の方法で生じた炭化一タングステンの特性を表2に示す。
実施例5−11
実施例5−11の方法で生じさせる炭化一タングステンの場合、実施例5−12ではガス流、反応時間および/または反応時間を表2に示すように変えることを除き、実施例4に記述したのと同じ方法を用いてそれらの調製を行った。
実施例12
実施例12の方法で生じさせる炭化一タングステンの場合、加熱速度を以下に記述するように変える以外は実施例4に記述したのと同じ方法を用いてそれの調製を行った。混和物の反応を、最初に上記グラファイト製管を上記炉管から上記容器が上記フランジの内側表面に隣接する地点に取り出す(即ち、上記炉が熱い時には、この容器を上記炉の加熱セクション内に位置させないで、本質的に室温にする)ようにして行う。この炉を1325℃に加熱した。上記容器を上記管炉の加熱セクションに2分かけて入れた(即ち650℃/分の加熱速度)。この混和物を水素が5パーセントでアルゴンが95パーセントのガス混合物中で10分間反応させた。混和物1kg当たりのガス流は40標準リットル/分・kgであった。上記10分が終了した時点で、上記容器を上記加熱セクションから2分かけて取り出した後、この炉全体を冷却した。この実施例の方法で生じた炭化一タングステンの特性を表2に示す。
実施例13および14
実施例13および14の方法で生じさせる炭化一タングステンの場合、反応時間を表2に示すように変える以外は実施例12に記述したのと同じ方法を用いてそれらの調製を行った。
実施例15
実施例15の方法で生じさせる炭化一タングステンの場合、50標準L/分・kgのガス流下でいろいろな前駆体をいろいろな量のカーボンブラックと反応させる以外は実施例4に記述したのと同じ方法を用いてそれの調製を行った。
上記前駆体混合物は、米国特許第5,380,688号に記述されていて本明細書で説明する連行方法で調製した前駆体混合物であった。上記前駆体混合物にはWC、W2C、炭素、酸化タングステンおよびタングステン金属が含まれていて、この前駆体混合物の酸素濃度は0.35重量パーセントで、炭素濃度は5.16重量パーセントで、表面積は5.2m2/gであった。
上記前駆体混合物−炭素の混和物は、磨砕用媒体である接合WC−Coで部分的に満たしておいたウレタン内張りボールミル内で1.4重量部の上記カーボンブラックと98.6重量部の上記前駆体混合物を混合することで調製した混和物であった。
実施例15の方法で生じた炭化一タングステンの特性を表2に示す。
実施例16および17
実施例16および17の方法で生じさせる炭化一タングステンの場合、反応時間を表2に示すように変える以外は実施例15に記述したのと同じ方法を用いてそれらの調製を行った。
Figure 0003681398
Figure 0003681398
表2は、炭化一タングステンを生じさせる時に水素が5パーセントでアルゴンが95パーセントのガス混合物を混和物の中に流した時の結果を示している。1番目の効果は、ガス流量を多くすると表面積が低下することであった。表面積が低下することは、相当球直径(equivalent spherical diameters)(ESD)で示す粒子サイズが大きくなることに相当する。ESD(ミクロメートル)は、6を材料の密度(WCの場合15.63g/cm3)で割った値を粉末の表面積(m2/g)で割った値に等しい。混和物の中に通すガス流の量を反応中に多くした時の効果は実施例4−6を実施例7−9と比較することで明らかになった。表面積が2倍低下し(例えば実施例7に対する実施例4)、その結果としてESDが2倍高くなる。
上記混和物にガス流を通すと、また、生じる炭化一タングステンの化学管理の度合も向上する。例えば、上記混和物の中に通す流量を高くすると(実施例4−6の「低い流量」に対する実施例7−9の「高い流量」)、結果として生じる炭化一タングステン中の酸素量が3倍少なくなった。「高い流量」の実施例の場合には炭素量がWCの化学量論的値(6.13重量%)に近い値にまで上昇した。ガス流量を高くすると、また、生じる炭化一タングステンに含まれるW2C量が検出できないほどの量になった。流量を高くする度合が低い場合でも、生じる炭化一タングステンに影響が生じ得る(実施例4−7に対する実施例15−17)。実施例15−17の反応条件は、それぞれ、ガス流を40標準L/分・kgから50標準L/分・kgに高める以外は実施例4−7と同じ条件であった。実施例4−7では炭化一タングステンに入っている酸素濃度が高く、炭素量がWCの化学量論より低くかつW2Cが存在していることが示された一方、実施例15−17の場合の酸素濃度は実施例4−7のそれよりも有意に低く、炭素濃度はWCの化学量論に近くかつW2Cは検出されなかった。
混和物の中にガスを流しながら混和物を反応させた時の温度の影響を実施例4および10−11に示す。結果として生じた炭化一タングステンの表面積は反応温度の上昇に比例して低下した。例えば、反応を1150℃で行うと(実施例10)、表面積が3.2m2/gの炭化一タングステンが生じるが、反応を1500℃で行うと表面積が0.6m2/gの炭化一タングステンが生じる。その結果として、ESDで示す粒子サイズは反応温度の上昇に比例して高くなる。
炭化一タングステンの生成に対する迅速加熱速度の影響は実施例12−14を実施例4−6と比較することで分かる。迅速に加熱した実施例12−14では、ゆっくりと加熱した実施例4−6に比較して、酸素濃度と表面積がそれぞれ低い炭化一タングステンが生じると見られる。このような迅速加熱が炭素濃度に対して示す影響がほとんどない(実施例4と実施例12の比較)。従って、本明細書の発明に従う炭化一タングステンを生じさせる時に上記混和物を迅速に加熱しても有意には如何なる利点も得られないと見られる。

Claims (10)

  1. 遷移金属化合物の少なくとも部分還元または部分炭化で作られた生成物を含む前駆体混合物から炭化遷移金属を製造する方法であって、
    a)該前駆体混合物をこの前駆体混合物の炭化で該炭化遷移金属が生じるに充分な量の炭素と一緒に混合することで混和物を生じさせ、そして
    b)該混和物を不活性または還元雰囲気中で該混和物が該炭化遷移金属に変化するに充分な温度で充分な時間反応させるが、
    該混和物の反応を、該混和物への熱伝達を高める手段であって該混和物の中に伸びていて該混和物の少なくとも一部に接触している少なくとも1種のグラファイトまたは炭素/炭素複合物である手段の存在下で行う、ことを特徴とする方法。
  2. 該温度が1000℃から1600℃である請求の範囲第1項の方法。
  3. 該時間が5分から2時間である請求の範囲第1項の方法。
  4. 該熱伝達手段が板、管、棒、または一連の板、管もしくは棒である請求の範囲第1項の方法。
  5. 混合をボールミル内で実施する請求の範囲第1項の方法。
  6. 該炭化遷移金属を遷移金属であるTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoまたはWの炭化物または溶体炭化物から選択する請求の範囲第1項の方法。
  7. 該炭化遷移金属が炭化−タングステンである請求の範囲第6項の方法。
  8. 該前駆体混合物がタングステンを含む請求の範囲第7項の方法。
  9. 該炭化遷移金属が炭化−タングステンでありそして該前駆体混合物が燃焼分析による測定で2重量パーセント未満の酸素濃度を有する請求の範囲第1項の方法。
  10. 該雰囲気を該混和物の反応中に不活性雰囲気から水素含有還元雰囲気に変化させる前請求の範囲1〜9のいずれか1項記載の方法。
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