JP3680636B2 - 塗装むら検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装されたワークにおける塗装むらを検査するための塗装むら検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワークの塗装むらを検査する装置には、照明装置によりワークの被検査面を照明し、この照明された被検査面をCCDカメラなどによって撮像し、得られた画像から画像内における各画素の明度や色の差を検出することにより行われている(例えば特開平6−213720号公報など参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の塗装むら検査装置は、照明装置や外界からの光による照明むらがある場合、このような照明むらを塗装むらと判定してしまう恐れがある。このため、従来の装置では、検査に先立ち、予め塗装むらなどのない均一なテストピースを撮像し、得られた画像内におけるむらを検出して、これをテーブルデータ化し、実際の検査時においてこのテーブルを参照することにより照明むらなどを補正した画像が得られるようにしている。照明むらをとる補正をシェーディング補正と称する。
【0004】
このような照明むらは、経時変化などによる照明装置の光源の劣化や汚れなどにより発生頻度が高くなり、また、むら自体の傾向も変化して来る。したがって、シェーディング補正のためのテーブルデータの作成は、検査を行うごとに毎回実行する必要がある。さらにテストピースが汚れないように気を使う必要もある。このため、従来の検査装置では、このようなテーブルデータの作成に多くの時間や手間が掛かるといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、テストピースの撮像といった手間をかけずに、実際に検査するワークを撮像することのみで、照明むらと塗装むらとを完全に分離し、確実に塗装むらのみを検出することができる塗装むら検査装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0007】
(1)ワークの被検査面を撮像手段により2次元エリアで撮像して、得られた画像から塗装むらを検査する塗装むら検査装置において、前記ワークと前記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、前記移動手段により前記ワークと前記撮像手段とが相対的に移動しているときに前記撮像手段が撮像した複数の画像から、該複数の画像間において明度が変化している部分を検出する明度変化検出手段と、を有し、前記明度変化検出手段は、ある2つの画像間で検出できない明度変化をさらに多くの画像間で比較することにより検出することを特徴とする塗装むら検査装置。
(2)ワークの被検査面を撮像手段により2次元エリアで撮像して、得られた画像から塗装むらを検査する塗装むら検査装置において、前記ワークと前記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、前記移動手段により前記ワークと前記撮像手段とが相対的に移動しているときに前記撮像手段が撮像した複数の画像から、該複数の画像間において明度が変化している部分を検出する明度変化検出手段と、前記撮像手段によって撮像された複数の画像から、先に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の明度と、これより後に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の明度とを比較し、該比較した画像間において明度差のない画素について、比較した画像のいずれか一つの画像内における該明度差のない全ての画素の明度を一定値に合わせて出力する画像出力手段と、を有することを特徴とする塗装むら検査装置。
【0008】
)前記明度変化検出手段は、前記撮像手段によって撮像された複数の画像から、先に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の明度と、これより後に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の明度とを比較し、該比較した画像間において明度差のある画素を検出することを特徴とする。
【0010】
(4)ワークの被検査面を撮像手段により2次元エリアで撮像して、得られた画像から塗装むらを検査する塗装むら検査装置において、前記ワークと前記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、前記移動手段により前記ワークと前記撮像手段とが相対的に移動しているときに前記撮像手段が撮像した複数の画像から、該複数の画像間において色が変化している部分を検出する色変化検出手段と、を有し、前記変化検出手段は、ある2つの画像間で検出できない変化をさらに多くの画像間で比較することにより検出することを特徴とする塗装むら検査装置。
(5)ワークの被検査面を撮像手段により2次元エリアで撮像して、得られた画像から塗装むらを検査する塗装むら検査装置において、前記ワークと前記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、前記移動手段により前記ワークと前記撮像手段とが相対的に移動しているときに前記撮像手段が撮像した複数の画像から、該複数の画像間において色が変化している部分を検出する色変化検出手段と、前記撮像手段によって撮像された複数の画像から、先に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の色と、これより後に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の色とを比較し、該比較した画像間において色差のない画素について、比較した画像のいずれか一つの画像内おける該明度差のない全ての画素の色を一定の色に合わせて出力する画像出力手段と、を有することを特徴とする塗装むら検査装置。
【0011】
)前記色変化検出手段は、前記撮像手段によって撮像された複数の画像から、先に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の色と、これより後に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の色とを比較し、該比較した画像間において色差のある画素を検出することを特徴とする。
【0013】
(7)前記塗装むら検査装置はさらに、前記移動手段による前記ワークと前記撮像手段との相対的な移動量を計測する移動量計測手段と、該移動量計測手段が計測した前記ワークと前記撮像手段との相対的な移動量から、前記撮像手段により複数の画像が撮像されたときの各画像におけるワーク上の撮像位置を検出する撮像位置検出手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
(8)前記塗装むら検査装置はさらに、前記移動手段による前記ワークと前記撮像手段とを相対的に移動させて撮像した画像から前記ワーク内の所定位置を追跡して、該所定位置における複数の画像間での明度または色の差を検出する画像追跡手段と、該画像追跡手段により検出された明度または色の差から画像全体の明度または色を補正する補正手段を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、請求項ごとに以下のような効果を奏する。
【0016】
請求項1およびに記載の本発明によれば、塗装むらを検査するワークと撮像手段とを相対的に移動させて被検査面を撮像することで、ワークの被検査面に塗装むらがある場合、その塗装むら自体も移動するため、撮像された画像のうち、先に撮像された画像と後から撮像された画像では、塗装むらとなっている部分が画像間で移動する。このため、塗装むらの部分を捕らえた画素では、画像間でその明度が変化することになる。一方、照明むらによる各画素の明度の違いは、先に撮像された画像と後から撮像された画像間で変化しない。したがって、複数の画像間における明度差の変化した部分を検出することで、塗装むらと照明むらを分離して確実に塗装むらのみを検出することができる。
【0017】
請求項2および3に記載の本発明によれば、塗装むらを検査するワークと撮像手段とを相対的に移動させて被検査面を撮像することで、ワークの被検査面に塗装むらがある場合、その塗装むら自体も移動するため、撮像された画像のうち、先に撮像された画像と後から撮像された画像では、塗装むらとなっている部分が画像間で移動する。このため、塗装むらの部分を捕らえた画素では、画像間でその明度が変化することになる。一方、照明むらによる各画素の明度の違いは、先に撮像された画像と後から撮像された画像間で変化しない。したがって、複数の画像間における明度差の変化した部分を検出することで、塗装むらと照明むらを分離して確実に塗装むらのみを検出することができる。しかも、画像出力手段が、ワークと撮像手段とを相対的に移動させて被検査面を撮像した複数の画像から、先に撮像された画像と後から撮像された画像間で明度差がない各画素について、一つの画像内において、前記画像間で明度差のない各画素の明度を一定値に合わせて出力することとしたので、出力された画像は照明むらのない均一な画像となる。
【0018】
請求項4およびに記載の本発明によれば、塗装むらを検査するワークと撮像手段とを相対的に移動させて被検査面を撮像することで、ワークの被検査面に塗装むらがある場合、その塗装むら自体も移動するため、撮像された画像のうち、先に撮像された画像と後から撮像された画像では、塗装むら、特に色むらとなっている部分も画像間で移動する。このため、この色むらの部分を捕らえた画素では、画像間でその色が変化することになる。一方、照明むらによる各画素の色の違いは、先に撮像された画像と後から撮像された画像間で変化しない。したがって、複数の画像間における色の変化した部分を検出することで、塗装むら、特に色むらと照明むらを分離して、確実に塗装むらの一種である色むらのみを検出することができる。
【0019】
請求項5および6に記載の本発明によれば、塗装むらを検査するワークと撮像手段とを相対的に移動させて被検査面を撮像することで、ワークの被検査面に塗装むらがある場合、その塗装むら自体も移動するため、撮像された画像のうち、先に撮像された画像と後から撮像された画像では、塗装むら、特に色むらとなっている部分も画像間で移動する。このため、この色むらの部分を捕らえた画素では、画像間でその色が変化することになる。一方、照明むらによる各画素の色の違いは、先に撮像された画像と後から撮像された画像間で変化しない。したがって、複数の画像間における色の変化した部分を検出することで、塗装むら、特に色むらと照明むらを分離して、確実に塗装むらの一種である色むらのみを検出することができる。しかも、画像出力手段が、ワークと撮像手段とを相対的に移動させて被検査面を撮像した画像から、先に撮像された画像と後から撮像された画像間で各画素に色差がない場合に、一つの画像内において、前記画像間で色差のない各画素の色を一定値に合わせて出力することとしたので、出力された画像は照明むらのない均一な画像となる。
【0020】
請求項7に記載の本発明によれば、移動量計測手段と撮像位置検出手段によって、ワークの被検査面を撮像した各画像のワーク上の位置が分かるようになるので、明度変化部分または色変化部分が発生したワーク上の位置、すなわち、塗装むらの発生位置を特定することができるようになる。また、複数の画像から明度や色変化部分が検出されたときには、明度変化や色変化の検出された範囲、すなわち、塗装むらの発生している大きさを特定することもできるようになる。
【0021】
請求項8記載の本発明によれば、ワークと撮像手段とを相対的に移動させて撮像した複数の画像から、画像追跡手段がワーク上の同一位置を追跡することで、ワークの移動と共に移動しない照明むらのような画像の変化を検出することができる。したがって、これを元に補正手段が画像を補正することで、テストピースの撮像といった手間をかけずに、照明むらのない画像を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。
【0023】
《実施形態1》
図1は、本発明を適用した塗装むら検査装置の全体構成を示す概略図である。
【0024】
図1に示される塗装むら検査装置は、塗装むらを検査するワークWを載置し、これを移動させる移動手段であるベルトコンベア20と、ワークW上の被検査面を照明する照明装置10と、照明されているワークW上の被検査面を撮像する撮像手段であるCCDカメラ11と、ワークの移動距離を計測する位置センサ12と、CCDカメラ11からの画像信号を受けとり、これを処理して塗装むらの検出を行う共に、位置センサ12からの信号によりワーク上の撮像位置を判断する画像処理装置13と、画像処理装置13からの出力画像を表示するモニタ装置14とからなる。ここで、画像処理装置13は明度変化検出手段、色変化検出手段および画像出力手段、並びに撮像位置検出手段として機能する。
【0025】
照明装置10およびCCDカメラ11は固定されており、ベルトコンベア20に載置されているワークWのみが図示矢印方向へ移動する。したがって、ワークWとCCDカメラ11とが相対的に移動することになる。そして、CCDカメラ11は、ワークWの移動中にワークWの被検査面を連続的に撮像する。
【0026】
照明装置10は、白色光源を有し、被検査面全体を照明する。CCDカメラ11は、カラーCCDエリアイメージセンサによりワークの被検査面の一定領域(2次元エリア)をカラーで撮像して、R(レッド)、B(ブルー)、G(グリーン)の各色の信号を画像処理装置13へ出力する。
【0027】
CCDカメラ11により撮像された画像は、全てそのまま画像処理装置13に入力される。画像処理装置13では、入力された複数の画像を所定枚数記憶して、時間的に先に撮像された画像とそれより後に撮像された画像から、これらの画像間における明度変化部分と色変化部分を検出する。
【0028】
図2は、複数の画像間における明度変化部分および色変化部分の検出動作を説明するための概念図である。
【0029】
図2において、ワークは、移動方向として示す矢印方向に移動させており、画像処理装置13は、CCDカメラ11がワークの移動中に撮像した画像を、撮像範囲内で1画素分移動するごと取り込むようになっている。
【0030】
図2中、A1、B1およびC1は、ワークと、その時の照明範囲および撮像範囲を示す図であり、各図は1画素分ずつ移動した画像である。A2、B2およびC2は、A1、B1およびC1において点線で示した画素並び部分における各画素の階調値を示す図である。なお、この階調値はCCDカメラ11によって撮像された画像の各画素のアナログ信号を公知の方法によりデジタル信号に変換した後、多値化処理を行って得られた階調値である。また、A2、B2およびC2において画素番号は、この説明のために点線で示した画素並びの各画素に割り振った番号であり、実際のCCDカメラ11の撮像範囲内の各画素におけるアドレスとは異なる。
【0031】
ここで、まず、A1およびB1の画像を比較すると、点線で示した画素並びの方向の画像信号は、A2およびB2のようになる。これを比較すると、画素番号4、5、7および8の階調値が画像間で異なる。すなわち、この比較により、画素番号4、5、7および8の階調値がワークを移動させたことにより変化したことが分かる。このような画像間における階調値の変化は、ワークが移動することにより塗装むらも移動するために起きた変化である。
【0032】
これに対し、1つの画像を見た場合、例えばA1の画像では、画素番号1、3および4に対して画素番号2、5、6、7および8の階調値が異なる。もし、この一つの画像で塗装むらの有無を判断すると、画素番号1、3および4、または画素番号2、5、6、7および8のいずれかが塗装むらと判断されてしまう。しかし、A1とB1の2つの画像を比較すると、画素番号1、2および3の階調値は、画像間で同じであり変化していない。したがって、これら画素番号1、2、3における1つの画像内での階調値の違いは、照明むらに起因したもので、塗装むらと明確に区別される。ただし、この比較で画素番号6は画像間で変化していないため、塗装むらとして検出できない。これは塗装むらの範囲によって異なるが、ここで説明した画像例では、あえて、塗装むらであってもその移動で階調値の変化が見られない部分もあることを示している。
【0033】
同様の比較をB1とC1とについて実行すると、画像番号3、4、6および7が画像間で階調値が変化している。したがって、画像番号3、4、6および7の部分で塗装むらがあることが分かる。ここで、先程のA1とB1との比較では変化していなかった画素番号6についても、階調値の変化が検出できている。
【0034】
このような複数の画像間における比較を撮像範囲内の全ての画素について行うことにより、被検査面を照らす照明にむらがあった場合でも確実に塗装むらのみを検出することができるのである。
【0035】
そして、複数の画像を比較したときに変化のあった画素は、連続する画像で次第に移動して行くので、変化のあった画素の位置を記録すれば、ワークの移動量を計測している位置センサ12の信号からワーク上における撮像位置が分かるため、その画像内における変化のあった画素位置とワークの移動位置とから塗装むらの範囲を知ることができる。
【0036】
また、このような複数の画像による比較は、撮像するCCDカメラの画素数や視野内におけるワークの移動量などによっても異なるが、先に示したように、ある2つの画像間(A1とB1)の比較だけでは検出できない変化を、さらに多くの画像間(B1とC1)で比較することで検出することができるようになる。
【0037】
ところで、先に説明したように、1つの画像を見た場合、照明むらによって一つの画像内における各画素の画像信号が異なる場合があるが、このような照明むらに起因した画像信号の違いは、これを複数の画像間で比較すると、各同一画素の画像信号に差はない。そこで、本実施形態では、これを利用し、このような画像間で差のない各画素については、一つの画像内における全ての画素を所定の階調値となるように処理する。そして、この処理を行った画像に、画像間で変化のあった画素部分の変化量を前記所定の階調値に加算(変化量がマイナスの場合は減算となる)して表示することで、モニタ装置14に表示される画像は照明むらが除去された画像となる。
【0038】
ここで、所定の階調値は、例えば画像間で差のなかった全ての画素の平均値としたり、または、差のなかった画素のうちの最高値のものとするなどである。
【0039】
以上のような画像間における変化部分の検出は、実際の塗装むらの検査の際には、画像をカラーのCCDカメラで撮像しているため、塗装むらとして光沢などを評価する場合には、CCDカメラ11から得られたR、G、Bのカラー画像信号を所定の係数を掛けて足し合わせた明度データから階調値を出して検出する。また、色むらを評価する場合には、R、G、Bのカラー画像信号からそれぞれ個別に階調値を出して、各色ごとに複数の画像間における変化部分を検出する。
【0040】
なお、複数の画像間における変化部分の検出にあたっては、予め変化量の閾値を設定し、画像間において変化した量がこの閾値を越える場合にのみ変化があったものとしてもよい。このとき、設定する閾値は、明度と各色ごとにそれぞれ個別に設定してもよい。これにより、明度や各色ごとに、許容するむらのレベルを違えた検査が一度に可能となる。
【0041】
また、変化のあった画素については、その変化量をモニタ装置14に画像と共に表示することで、塗装むらの定量化を行うことも可能となる。定量化の手法としては、色むらの場合、例えば変化のあった画素におけるR、G、Bの変化量を3次元色空間座標に展開し、そのバラツキ距離や標準偏差から評価したり、また、周波数分析(明度(SQR(R*R+G*G+B*B)))を行いある特定の周波数(色むらとして人間が認識する周波数)の積分値などで評価するなど様々な手法を用いることができる。
【0042】
図3は、上述した塗装むら検査装置における塗装むらの検査手順を示すフローチャートである。
【0043】
まず、ベルトコンベア20を動作させてワークWを移動させると共に、CCDカメラ11による撮像を開始する(S1)。
【0044】
続いて、CCDカメラ11の出力から1枚の画像を取り込んで記憶し、その時のワークWの位置を記録する(S2)。
【0045】
続いて、記憶した画像が規定枚数に達したか否かを判断する(S3)。この処理は、少ない画像間で変化のある画素を検出するよりも多くの画像間で互いに検出した方が、その精度が向上するためである。例えば、画像処理装置13に搭載されているメモリの容量にもよるが、好ましくは、撮像範囲内の各画素を1画素ごとに移動した画像を、画素並び方向の数だけ記憶するとよい。具体的には撮像範囲の画素数が20万画素程度のCCDカメラを使用した場合、ワークの移動方向の画素数は450程度となるので、450枚程度の画像を記憶することになる。なお、取り込む間隔は、これに限らず、例えば2画素ごと、あるいは4画素ごと、5画素ごとなどで取り込むようにしてもよい。その場合、同じ画素数のCCDカメラであれば取り込む規定枚数は、1画素ごとに取り込んだ場合の1/2あるいは1/4や1/5程度となる。
【0046】
このステップS3において規定枚数の取り込みが終了していなければ、ステップS2へ戻り画像取り込みを継続する。
【0047】
一方、ステップS3において規定枚数の取り込みが終了していれば、続いて、取り込んだ複数の画像から、先に取り込んだ画像と後から取り込んだ画像を順次比較して、明度、および各色について変化のある画素を検出する(S4)。この検出動作は、図2を参照して説明した通りである。
【0048】
続いて、画像間に変化のあった画素がある場合に、その変化量から塗装むら(色むらなど)の定量化を行う(S5)。
【0049】
続いて、変化のない画素部分を均一化した画像と変化あった画素部分の画像、および定量化した塗装むらの数値などを出力する(S6)。これによりモニタ装置14に照明むらのない画像および塗装むらが定量化された数値などが表示される。
【0050】
続いて、取り込んだ画像のうち最初の画像をクリアし(S7)、検査が終了したか否かを判断して(S8)、終了していなければステップS2へ戻り処理を継続し、終了していれば、全ての処理を終了する。
【0051】
以上の処理により、照明むらを塗装むらとして誤検出することなく、塗装むらのみを確実に検出することができる。また、被検査面の撮像に2次元エリアを撮像するカメラを使用して、ワークを移動させて撮像しているため、塗装むらの検査のために一々ワークを停止させる必要がないので、例えば塗装工程を出たワークを他の工程へ搬送させるラインの途中にこの検査装置を設けることで、他工程への搬送途中で塗装むらの検査を連続的に行うことができるようになる。
【0052】
本実施形態1の説明では、照明むらを排除することを主に説明したが、本実施形態によれば、照明むらに限らず、例えばCCDカメラの各画素における出力ばらつきに起因した画像むらをも排除することができる。その原理は既に説明した照明むらと同じであり、CCDカメラの各画素における出力ばらつきによって生じた画像むらもワークを移動させた場合、移動することはないので、ワークと共に移動する塗装むらのみが検出できることになる。
【0053】
《実施形態2》
本実施形態2は、照明むらを除去して、照明むらのない画像を表示するためのものである。装置構成は図1に示したものと同様であり、該装置構成中、画像処理装置13が画像追跡手段および補正手段となる以外は、前述の実施形態1と同様であるので、装置構成については説明を省略する。
【0054】
図4は、本実施形態2における動作手順を示すフローチャートである。
【0055】
まず、ベルトコンベア20を動作させてワークWを移動させると共に、CCDカメラ11による画像の撮像を開始する(S21)。
【0056】
続いて、ワークWの位置を検出し、ワークWが1画素分に相当する距離を移動した時点の画像を、CCDカメラ11の出力から取り込んで記憶する(S22)。
【0057】
続いて、記憶した画像が規定枚数に達したか否かを判断する(S23)。規定枚数は、撮像範囲内の画像が1画素ごとに移動した画像を、ワークの移動方向と同じ方向の画素数分取り込むとよい。例えば撮像範囲の画素数が20万画素程度のCCDカメラを使用した場合、ワークの移動方向の画素数は450程度となるので、450枚程度の画像を記憶することになる。これにより、ワークが撮像範囲内の端から端まで移動する分だけ移動したときの画像を1画素ごとに全て取り込むことができる。なお、取り込む間隔は、これに限らず、例えば2画素ごと、あるいは5画素ごとなどで取り込むようにしてもよい。その場合、同じ画素数のCCDカメラであれば取り込む規定枚数は、1/2あるいは1/5程度となる。
【0058】
このステップS23において規定枚数の取り込みが終了していなければ、ステップS22へ戻り画像取り込みを継続する。
【0059】
一方、ステップS23において規定枚数の取り込みが終了していれば、続いて、取り込んだ複数の画像を用いて、撮像範囲内におけるワーク上の同一位置を追跡して、その階調値を取得する(S24)。
【0060】
具体的には、例えば、図5Aに示すように、記憶した複数の画像のうち、まず、最初に取り込んだ画像から、ワーク移動方向に垂直な画素並び方向のライン(図示点線Yライン)の各画素の階調値を取得する。続いて、図5Bに示すように、1画素分移動後の画像から、先程の画像で階調値を取得したラインの1画素分次のYラインの各画素の階調値を取得して、前のYラインでの階調値との差を算出する。その後、同様に、1画素分移動後の画像から次のYラインの各画素の階調値を取得することを最後に取り込んだ画像まで継続する。
【0061】
これにより、移動したワークの同一位置における階調値の差、すなわち、照明むらなどのように、ワークの移動と共に移動しない部分の階調値の変化を測定したことになる。
【0062】
なお、実際の階調値の取得は、カラーCCDカメラの場合、R、G、Bの各色ごとに、またはR、G、Bから得られる明度から行う。
【0063】
続いて、画像を補正するための補正テーブルを作成する(S25)。これには、先程取得した全ての画素ごとの階調値から差を取り、そのうち最も大きな値を1とし、その他の画素を1に合わせるための補正係数を各画素ごとに算出して、これを各画素ごとに割り振ったものを補正テーブルとする。
【0064】
その後、作成した補正テーブルを元に最後に取り込んだ画像を補正して(S26)、補正後の画像をモニタ装置14に出力する(S27)。
【0065】
これにより、モニタ装置14には、照明むらのない画像が写し出されるので、そこに塗装むら(色むらなど)がある場合には目視により容易に判別することができる。
【0066】
なお、本実施形態2では、ワークの移動方向を前述した実施形態1と同様に1方向としたが、これは、1方向に限るものではなく、例えば縦、横の2方向としたり、さらに斜め方向を加えるなど多数の方向にワークを移動させてもよい。これにより様々な方向に現れる照明むらや画像むらを補正することができる。
【0067】
以上本発明を適用した実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、移動手段としては、ワークを移動させる代わりに、撮像手段と照明装置とをロボットなどに取り付けて移動させるようにしてもよいし、ワークと撮像手段の両方を移動させるようにしてもよい。また、補正後の画像は直接モニタ装置に写し出すばかりではなく、記憶媒体(ハードディスクや、MO、CD−Rなど)に記憶させて、パソコンなどで使用できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した塗装むら検査装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】 前記塗装むら検査装置による塗装むらの検出動作を説明するための図面である。
【図3】 前記塗装むら検査装置による塗装むら検出の動作手順を示すフローチャートである。
【図4】 前記塗装むら検査装置を用いた画像補正の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】 前記塗装むら検査装置を用いてワーク上の同一位置を追跡するための動作を説明するための図面である。
【符号の説明】
10…照明装置、
11…CCDカメラ、
12…位置センサ、
13…画像処理装置、
14…モニタ装置。

Claims (8)

  1. ワークの被検査面を撮像手段により2次元エリアで撮像して、得られた画像から塗装むらを検査する塗装むら検査装置において、
    前記ワークと前記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、
    前記移動手段により前記ワークと前記撮像手段とが相対的に移動しているときに前記撮像手段が撮像した複数の画像から、該複数の画像間において明度が変化している部分を検出する明度変化検出手段と、を有し、
    前記明度変化検出手段は、ある2つの画像間で検出できない明度変化をさらに多くの画像間で比較することにより検出することを特徴とする塗装むら検査装置。
  2. ワークの被検査面を撮像手段により2次元エリアで撮像して、得られた画像から塗装むらを検査する塗装むら検査装置において、
    前記ワークと前記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、
    前記移動手段により前記ワークと前記撮像手段とが相対的に移動しているときに前記撮像手段が撮像した複数の画像から、該複数の画像間において明度が変化している部分を検出する明度変化検出手段と、
    記撮像手段によって撮像された複数の画像から、先に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の明度と、これより後に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の明度とを比較し、該比較した画像間において明度差のない画素について、比較した画像のいずれか一つの画像内における該明度差のない全ての画素の明度を一定値に合わせて出力する画像出力手段と、
    を有することを特徴とする塗装むら検査装置。
  3. 前記明度変化検出手段は、前記撮像手段によって撮像された複数の画像から、先に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の明度と、これより後に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の明度とを比較し、該比較した画像間において明度差のある画素を検出することを特徴とする請求項1または2記載の塗装むら検査装置。
  4. ワークの被検査面を撮像手段により2次元エリアで撮像して、得られた画像から塗装むらを検査する塗装むら検査装置において、
    前記ワークと前記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、
    前記移動手段により前記ワークと前記撮像手段とが相対的に移動しているときに前記撮像手段が撮像した複数の画像から、該複数の画像間において色が変化している部分を検出する色変化検出手段と、を有し、
    前記変化検出手段は、ある2つの画像間で検出できない変化をさらに多くの画像間で比較することにより検出することを特徴とする塗装むら検査装置。
  5. ワークの被検査面を撮像手段により2次元エリアで撮像して、得られた画像から塗装むらを検査する塗装むら検査装置において、
    前記ワークと前記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、
    前記移動手段により前記ワークと前記撮像手段とが相対的に移動しているときに前記撮像手段が撮像した複数の画像から、該複数の画像間において色が変化している部分を検出する色変化検出手段と、
    記撮像手段によって撮像された複数の画像から、先に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の色と、これより後に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の色とを比較し、該比較した画像間において色差のない画素について、比較した画像のいずれか一つの画像内おける該明度差のない全ての画素の色を一定の色に合わせて出力する画像出力手段と、を有することを特徴とする塗装むら検査装置。
  6. 前記色変化検出手段は、前記撮像手段によって撮像された複数の画像から、先に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の色と、これより後に撮像された少なくとも一つの画像の各画素の色とを比較し、該比較した画像間において色差のある画素を検出することを特徴とする請求項4または5記載の塗装むら検査装置。
  7. 前記塗装むら検査装置はさらに、前記移動手段による前記ワークと前記撮像手段との相対的な移動量を計測する移動量計測手段と、該移動量計測手段が計測した前記ワークと前記撮像手段との相対的な移動量から、前記撮像手段により複数の画像が撮像されたときの各画像におけるワーク上の撮像位置を検出する撮像位置検出手段と、を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の塗装むら検査装置。
  8. 前記塗装むら検査装置はさらに、前記移動手段による前記ワークと前記撮像手段とを相対的に移動させて撮像した画像から前記ワーク内の所定位置を追跡して、該所定位置における複数の画像間での明度または色の差を検出する画像追跡手段と、該画像追跡手段により検出された明度または色の差から画像全体の明度または色を補正する補正手段と、を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の塗装むら検査装置。
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