JP3680136B2 - ポリリンゴ酸の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、ポリリンゴ酸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、リンゴ酸:malic acidの重合ポリエステルであるポリリンゴ酸:poly(malic acid)は、ポリ乳酸(PLA)やポリグリコール酸(PGA)等とともに、生分解性を有するヒドロキシカルボン酸のポリマーとして、医用材料等への応用が注目されている。たとえば、ポリリンゴ酸は、加水分解して代謝生成物のリンゴ酸を放出するため、生体吸収性を示すだけでなく、側鎖のカルボキシル基を利用した機能付与が可能であって、高分子薬剤や薬剤徐放システム(DDS)におけるマトリックスポリマーとしてもその利用が期待されている。
【0003】
このポリリンゴ酸の製造のための方法としては、代表的には、リンゴ酸のエステル化合物をDCCによって脱水縮合して合成する方法と、リンゴ酸のエステル化合物の環状体を合成し、これを開環重合する方法が知られている。また、エステル化合物ではなく、リンゴ酸を直接脱水重縮合してポリリンゴ酸を合成する方法も検討されている(文献1)。
【0004】
しかしながら、前記のDCCによるリンゴ酸エステル化合物の脱水縮合には、多量の縮合剤としてのDCCの使用が必要であり、またリンゴ酸エステル化合物環状体の開環重合では、比較的高分子量のポリリンゴ酸が得られるものの、環状体の合成は必ずしも容易ではないという問題があった。また、これらいずれの方法でも、エステル化とともに、水素化分解によるエステル保護基の除去という付加工程が必要であるという問題があった。
【0005】
一方、リンゴ酸の直接的な脱水重縮合においては、エステル化や保護基の除去という工程は必要がなく、環状体の合成も必要がないことから、簡便な操作が可能であるという利点を有しているものの、ポリリンゴ酸の実用材料としての応用展開には欠くことのできない高分子量ポリリンゴ酸の合成が難しいという大きな問題点があった。実際、これまでの報告(文献1)によれば、減圧下での加熱反応によって得られているのは、平均分子量が2000未満にとどまっているのが実情である。
【0006】
このため、従来では、より高分子量のポリリンゴ酸を簡便な反応操作によって効率的に合成することは実現されておらず、このことによって、ポリリンゴ酸の産業応用が阻害されている。
【0007】
【文献1】
高分子論文集、vol.44, No.9, pp 701-709 (Sept.1987)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの従来の問題点を解消し、より高分子量のポリリンゴ酸を簡便、かつ効率的に、高い反応回収率にて合成することのできる、ポリリンゴ酸の新しい製造方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、リンゴ酸またはそのオリゴマーもしくはこれらの両方を2価のスズ化合物触媒の存在下に脱水重縮合反応させて重量平均分子量が7000以上のポリリンゴ酸を生成させることを特徴とするポリリンゴ酸の製造方法を提供する。
【0010】
また、この出願の発明は、上記方法について、第2には、無溶媒系で反応させることを特徴とする方法を、第3には、1mmHg以下の減圧下に加熱反応させることを特徴とする方法を、第4には100℃〜140℃の温度範囲において反応させることを特徴とする方法を提供する
【0011】
以上のとおりのこの出願の発明によって、重量平均分子量が7000以上のポリリンゴ酸を、たとえば、ポリリンゴ酸回収率が75%以上という優れた効率で得ることが可能になる。これらのことは、従来の技術からは全く予期、予見できなかったことである。
【0012】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下に、その実施の形態について説明する。
【0013】
まず、強調されることは、この出願の発明のポリリンゴ酸の製造方法においては、リンゴ酸のエステル化合物やその環状体を出発物質とすることなしに、リンゴ酸を直接に脱水重縮合反応させることである。
【0014】
そしてまた、リンゴ酸のオリゴマーもしくはリンゴ酸とこれらオリゴマーとを直接に脱水縮合反応させることである。
【0015】
この直接的な脱水重縮合反応では、触媒として、スズ化合物が用いられる。この場合のスズ化合物は、ハロゲン化物、塩、酸化物あるいは錯体等としての無機化合物、有機酸塩、有機金属化合物あるいは有機錯体としての有機化合物のうちの各種のものであってよいが、なかでも、反応活性、取扱い性等の観点から、塩化第一スズ、酸化第一スズ、酢酸第一スズ等の2価のスズ化合物であることが好ましい。
【0016】
触媒としてのスズ化合物の使用量は触媒量であってよく、たとえば、出発物質としてのL−リンゴ酸に対してのモル比で、0.005〜0.5の範囲が好適である。
【0017】
なお、従来、乳酸またはそのオリゴマーの脱水重縮合と脂肪族ポリエステルとの脱水重縮合反応によってブロックコポリエステルを合成する方法において触媒としてスズ化合物を用いることが知られている(文献2)が、この出願の発明にように、リンゴ酸の直接的な重縮合反応の触媒としてスズ化合物が有効であること、そして平均分子量の大きなポリリンゴ酸が高効率で得られることについては全く知られていないし、想到可能ともされていない。
【0018】
【文献2】
特開平10−120773号公報
スズ化合物を触媒とするこの出願の発明の脱水重縮合反応においては、出発原料物質はモノマーのリンゴ酸がまず考慮される。このリンゴ酸としては、生体材料への応用のためのポリリンゴ酸を想定してL−リンゴ酸としてもよいし、D、L−リンゴ酸等であってもよい。
【0019】
また、リンゴ酸とともに、あるいはリンゴ酸とは別に、リンゴ酸オリゴマーを出発原料物質としてもよい。このオリゴマーには、重量平均分子量が3000未満程度のプレポリマーも含まれるものと考慮することができる。
【0020】
オリゴマーの場合は、脱水重縮合反応を、リンゴ酸を出発原料物質とする多段反応の中間生成物として扱うことも考慮される。
【0021】
脱水重縮合反応には溶媒、たとえばエーテル系溶媒やアミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒等を使用してもよいが、むしろ、無溶媒系としてよことが、この出願の発明の特徴の一つである。
【0022】
また、反応は、リンゴ酸の縮合物の分子量の増大のために分子内脱水などの副反応や解重合を抑えるとの観点から、常圧(大気圧)下でもよいが、減圧下で行うのがより好ましく、たとえば1mmHg以下の減圧環境下で行うことが好適である。反応は加熱して行うことが有効であり、たとえば1mmHg以下の減圧下では、100℃〜140℃の範囲において行うのが好ましい。
【0023】
反応時間については特に制限はないが、通常は、30分〜40時間の範囲程度を目安とすることができる。また、反応雰囲気、これらのガスの流通下としては、不活性雰囲気とすることが好ましく、たとえばN2 (窒素)雰囲気や希ガス雰囲気、これらのガスの流過下とすることが考慮される。
【0024】
そして、この出願の発明の方法においては、反応のための触媒種類やその使用量、減圧度、加熱温度等の条件の設定にあたっては、反応による重量平均分子量が約20000以上のポリマーの高分子量分画の比率、つまりたとえばGPC測定結果のクロマトグラムにある分画全体を100%とした時の重量平均分子量が約20000以上のポリマーの高分子量分画の割合を10%以上とすることが考慮される。これによって重量平均分子量が7000以上のポリリンゴ酸のより高効率での製造が可能とされる。
【0025】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
【0026】
【実施例】
(実施例1)
L−リンゴ酸28g(0.2mol)と塩化第一スズ0.1gを130℃で20時間、減圧下(1mmHg以下)N2気流下に加熱攪拌した。回収率(仕込量に対する再沈殿精製後に残っていた化合物量の比)は75%であった。得られたポリリンゴ酸の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、7100であり、高分子量分画は12%であった。NMRの結果からは、生成したポリリンゴ酸にはα型とβ型の両者の混在が認められた。なお、得られた樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。流出溶媒はTHFの100mMクエン酸溶液を使用し、温度40℃で、流量は1.0ml/minである。GPC装置は東ソー株式会社製高速GPC装置(HLC−8220GPC)および同社製カラム(TSK Gel SuperHz2000)である。また分子量はポリスチレンを標準試料とし、換算した値である。
【0027】
(実施例2)
L−リンゴ酸28g(0.2mol)と酸化第一スズ0.1gを130℃で20時間、減圧下(1mmHg以下)N2気流下に加熱攪拌した。回収率は93%であった。得られたポリリンゴ酸の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、7300であり、高分子量分画は14%であった。
【0028】
(実施例3)
L−リンゴ酸28g(0.2mol)と酢酸第一スズ0.1gを130℃で20時間、減圧下(1mmHg以下)N2気流下に加熱攪拌した。回収率は96%であった。得られたポリリンゴ酸の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、7300であり、高分子量分画は13%であった。
【0029】
(実施例4)
L−リンゴ酸28g(0.2mol)と塩化第一スズ0.1gを120℃で25時間減圧下(1mmHg以下)に加熱攪拌した。回収率は99%であった。得られたポリリンゴ酸の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、8200であり、高分子量分画は16%であった。
【0030】
(実施例5)
L−リンゴ酸28g(0.2mol)と塩化第一スズ0.1gを120℃で30時間減圧下(1mmHg以下)に加熱攪拌した。回収率は99%であった。得られたポリリンゴ酸の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、8300であり、高分子量分画は19%であった。
【0031】
(実施例6)
L−リンゴ酸28g(0.2mol)と塩化第一スズ0.1gを120℃で35時間減圧下(1mmHg以下)に加熱攪拌した。回収率は96%であった。得られたポリリンゴ酸の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、9400であり、高分子量分画は23%であった。
【0032】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、より高分子量のポリリンゴ酸を簡便、かつ効率的に、高い反応回収率により合成することが可能となる。

Claims (4)

  1. リンゴ酸またはそのオリゴマーもしくはこれらの両方を2価のスズ化合物触媒の存在下に脱水重縮合反応させて重量平均分子量が7000以上のポリリンゴ酸を生成させることを特徴とするポリリンゴ酸の製造方法。
  2. 無溶媒系で反応させることを特徴とする請求項1のポリリンゴ酸の製造方法。
  3. 1mmHg以下の減圧下に加熱反応させることを特徴とする請求項1または2のポリリンゴ酸の製造方法。
  4. 100℃〜140℃の温度範囲において反応させることを特徴とする請求項3のポリリンゴ酸の製造方法。
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