JP3680129B2 - 脊椎支持システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脊椎疾患部分の脊椎手術時に脊椎を安定させた状態で矯正または固定するのに用いられる脊椎支持システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、真っ直ぐに立っている正常人の脊柱(Spinal column)は前から見ると一直線であるが、横から見ると婉曲のS字(lasy-s)形態である。首の骨と腰骨は若干前に、背骨は後ろに緩やかに曲った曲線形態である。
【0003】
人体において脊椎は多数の椎体(Body of spine)がディスクにより連結されS字形(lasy-s)の曲線を成しており、ひとつの脊椎は円筒形の椎体と椎体後ろ側の後弓(posterior spinal arch)により構成されているが、後弓は一対の脊椎頚(Pedicle)と、脊椎頚に延びて後側に伸長された上、下関節突起(Superior or inferior facets)と、追窮板(Laminas)そして棘突起(Spinous process)等により脊椎管(Spinal Canal)を形成しており、上記脊椎管を通ると神経が位置している。
【0004】
上記のような脊椎において、椎体を連結しているディスクが変性したり破裂し、正常の位置から離脱したり脊椎後方の突起により構成された関節が損傷したり変性した場合、脊椎が正常の位置で変形及び転位(Displacement)する等の様々な理由で脊椎管を通過する神経に外力が加わったり圧迫する時には痛みを誘発することで知られている。
【0005】
従って、上記のように脊椎が不安定な状態で維持される場合には継続して痛みを誘発するため、痛みをなくすためにはその病巣部位を減圧(Decompresson)しなければならないが、減圧する際に不安定な状態の脊椎をつくるため、脊椎を安定した状態で矯正または固定する手術が要求される。
【0006】
即ち、脊椎の一部が破損ないし損傷した患者の場合、該当する脊椎または隣接した脊椎を脊椎支持システムを用いて支持し手術をする。この場合用いられる脊椎支持システムは、損傷した又は隣接した脊椎の上、下側脊椎頚(Spinal Pedicle)に挿入設置され、固定台の役割をするねじ釘と、各ねじ釘に挿入されているロッドと、ロッドをねじ釘に固定するための内ボルト及び外キャップから成っている。
【0007】
図1〜図3を参照して従来の脊椎支持システムの概要について説明する。図1は従来の脊椎支持システムの構造を示す分解斜視図であり、図2は従来の脊椎支持システムによる手術過程を示す斜視図であり、図3は従来の脊椎支持システムによる手術状態を示す断面図であり、図4は従来の脊椎支持システムによる手術の困難性を説明するための斜視図である。
【0008】
これらの図面で符号10は、ヘッド12とヘッド12の下部に一体に形成されたボディ14を有するねじ釘、20は上記ねじ釘10のヘッド12内側にねじ組立てされる内ボルト(inner bolt)、30は上記ねじ釘10のヘッド12部分にかぶせて上記内ボルト20の固定力(Holding power)を向上させる外キャップ、40は互いのねじ釘10を連結するためねじ釘10のヘッド12に挿入されるロッドである。
【0009】
上記ねじ釘10のヘッド12は、内側構造と外側構造に分けて説明できる。ヘッド12の内側は、上記内ボルト20を受け入れてねじ組立てするための雌ねじ11と、後述する脊椎支持システム間に連結組立てされる連結用ロッド40を通過させて固定するためのU字形の切開溝16からなり、外側には上記外キャップ30を受け入れてかぶせることにより上記切開溝16の形成によるヘッド12全体の強度低下を防止し、固定力を向上させるキャップ組立て面13と、その下部にボディ14と一体形成された連結部であるヘッドブロック17からなる。
【0010】
上記ねじ釘10のボディ14は長い円錐形からなり、外周に雄ねじが形成され、その上部はヘッド12の下部と一体形成されている。そしてボディ14の下部先端には脊椎への挿入のためのポイント18が形成されている。
【0011】
上記内ボルト20は、上面に組立て用器具(ドライバー)が挿入される工具挿入孔22が形成され、外周側面全体にわたって上記ねじ釘10の雌ねじ11に結合される雄ねじ24が形成されている。
【0012】
上記外キャップ30は、上記キャップ組立て面17に組立てられる内部くぼみ32と上面に断面から見て直角に形成された上面34から成っている。
【0013】
上記ロッド40は、ねじ釘10の切開溝16に挿入される直径から成っている。
【0014】
上記のように構成された従来の脊椎支持システムの作用について、図2及び図3を参照にして説明する。先ず一般的な手術過程を簡単に説明すると、脊椎手術をする部位の皮膚を切開し開いた状態で該当脊椎200の脊椎頚に対し垂直方向にねじ釘が挿入される位置に印をつけ、錐等で孔を形成する(ドリル作業)。
【0015】
上記ドリル孔に脊椎支持システムのピッチに合うタッピング作業を実施し、締結工具100等で脊椎支持システム(正確にはボディ14)を脊椎にはめ込んでおく。以後、必要な数のねじ釘10が脊椎200の脊椎頚に上記した順序通りにねじがはめ込まれ固定されると、上記ヘッド12の切開溝16に、脊椎の湾曲度に合うように適当に曲げた後ロッド40を挿入する。続いて締結工具100で上記内ボルト20をヘッド12の雌ねじ12aにセットした状態で数回回転させ、ロッド40をねじ釘10に臨時固定して外キャップ30をヘッド12のキャップ組立て面13にかぶせた後、内ボルト20を強く締結してロッド40をねじ釘10に堅く固定し、切開した皮膚を縫合することにより脊椎手術が完了する。
【0016】
このようにすることにより、図2に図示したように上記ボディ14が患者の脊椎にきつくはめ込まれた状態でロッド40が切開溝16内で内ボルト20により固定され、さらに外キャップ30により上記内ボルト20とねじ釘10においてヘッド12の固定状態がさらに堅く固定されることになる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の脊椎支持システムによる手術時、次のような欠点及び問題が生じる。
【0018】
1.内ボルト20の最初のねじ組立てセットと外キャップ30挿入の困難性
従来の脊椎支持システムを利用した脊椎手術は、上記内ボルト20を雌ねじ12aにねじ組立てすることによりロッド40をねじ釘10のヘッド12に固定することになるが、上記内ボルト20及び外キャップ30をヘッド12に組立てする順序が、先に内ボルト20をヘッド12の雌ねじ11に組立てた後外キャップ30を組立てることになる。
【0019】
このような組立て順序は次のような問題を引起こす。実際、手術する時には及ぶ限り皮膚切開面積を小さくし、上記内ボルト20は直径がわずか4mm程度しかないため、このような小型部品を何らガイド手段もなく狭い手術空間でヘッド12の雌ねじ11に初期ねじ中心を捕らえ、組立てるということは並大抵の難しさではない。
【0020】
一方、図4を参照すると、場合によってはロッド40の曲率が少し間違って曲る時があるが、この時にはロッド40が切開溝16内から浮き上がっている状態でヘッド12の雌ねじ11に小さい内ボルト20をねじ組立てしなければならないため、手術環境はさらに劣悪する。即ち、上記内ボルト20はロッド40に妨害され曲がってねじ組立てされる場合があり、これを制限された時間内に行おうと、再びねじ中心を捕らえようとすると手術者はうんざりしてしまう。
【0021】
このように、従来内ボルト20を外キャップ30より先に組立てることで、初期にねじ中心を容易く捕らえることができなく、挿入する途中にも滑りや揺れがあり迅速にねじ組立てをするということは決して容易いことではなく、このため手術作業は複雑で困難である。
【0022】
また、例え内ボルト20を雌ねじ11に挿入したとしても、切開溝16をヘッド12に形成することによる強度低下と、内ボルト20の固定力によりキャップ組立て面13が外部に拡張され開いていく現象(bolging out effect)が生じ、外キャップ30をキャップ組立て面13に挿入する作業も困難で手術時間の遅延を招く。
【0023】
さらに、ロッド40の長さが極端に短かったり長い場合には、曲り具合が少しでも違うとロッド40自体の弾性により曲がりながら切開溝16に安着されず後方が持上げらる現象が生じ、このためヘッド12に外キャップ30を組立てる際に外キャップ30の下段がロッド40に干渉され、安定した固定状態を維持できないという欠点があり、用いるのに更なる不便をもたらした。このような現象は、湾曲度が高い第5腰椎と薦椎間のロッド40挿入時に特に多く生じる。
【0024】
そして外キャップ30を組立てたといっても、この外キャップ30はコンテナ機能しかしないため、内ボルト20と一体感あるように作用できなく内ボルト20との強い固定力を喪失する、所謂緩み現象(loosening)や分離現象(separation)が生じ、手術の失敗を招き手術後に患者が痛みを訴えることにより、早期神経回復を図ることや早期再活の目的を達成できなくなる。
【0025】
一方、上記で内ボルト20を先にヘッド12の雌ねじ11に挿入した後、外キャップ30をキャップ組立て面13に挿入することにおいての困難は、外キャップ30を先にヘッド12に挿入した後、内ボルト20を雌ねじ11に挿入することにより解決されると考えられる。しかし、上記のように外キャップ30を先に挿入した場合には、外キャップ30をホールドするための手段がないため、内ボルト20挿入時に外キャップ30の脱去または破損が時折起こる。さらに、ロッド40が切開溝16の後方に持ち上げられた不安定な状態である場合が多いため、このような状態で外キャップ30の下段はロッド40に干渉され、安定した状態でヘッド12に挿入できない。従って従来の脊椎支持システムは、外キャップ30を先にヘッド12に挿入するため上記の問題点を解決するには不合理的な構造をしているのである。
【0026】
2.設計ミスによるねじ釘10の破損現象
従来の脊椎支持システムは、その形状がねじ釘10とヘッド12との関係から理想的に比例しデザインされなかったため、これによる様々なデザイン上の問題が生じ、特にヘッド12がボディ14に比べて極めて大きく形成された場合には、ヘッド12とボディ14の境界部にモーメントが集中し破損する問題を生じさせる。これは脊椎支持システムにおいては致命的欠陥であるといえる。
【0027】
3.内ボルトと外キャップ一体型脊椎支持システムの不均衡回転性及び強度低下問題
従来、内ボルトと外キャップが一体型からなる脊椎支持システム(図示せず)においては、上記内ボルトが外キャップの下部に形成された支持片にのみ掛りねじ回転をするため、精度の高い回転がなされず、下部側でのみ内ボルトを支持するため固定強度が弱かった。
【0028】
このように従来構造の脊椎支持システムにおいての諸欠点は、迅速かつ正確な手術作業を要求する脊椎手術において大きな障害要因として作用するため、関連学界ではこれに対する解決策模索が切実な実情である。
【0029】
本発明者が設定した脊椎支持システムデザインの基本概念は、内ボルトの初期ねじセットと外キャップ挿入の容易性、堅固な固定力を発揮できると共に小型であり使用が容易な器具を提供することにある。
【0030】
使用の容易性は使用する医師側から抽出された概念であり、どんなに良い器具であっても使い方が複雑で医師等が扱うのに時間がかかったり、手術に時間がかかると商品価値は下がるため、必ず考慮しなければならない事項である。このような合理的なデザインを得るには、先ずデザイン要素中の変更が可能なものと変更が不可能な要素を分け、変更が可能な要素を集中的に研究してその機能を可能な限り最大化させなければならない。
【0031】
本発明は、上記従来問題を考慮しこれを解決するために発明されたものであり、その第1目的は、脊椎手術において従来の固定観念を破り、内ボルトより外キャップをヘッドに先に組立てた後、外キャップにガイドされた状態で内ボルトをヘッドに挿入できるようにすると共に、外キャップと内ボルトとロッドとヘッドの固定状態を一体化できるようにして、外キャップの挿入と内ボルトの初期ねじ中心の捕えを簡単にし、固定力も強め寿命延長に寄与できる脊椎支持システムを提供することにある。
【0032】
本発明の第2目的は、ロッドが切開溝から極めて浮き上がっている場合に適当に適用し、内ボルトと外キャップ一体型構造の脊椎支持システムにおいて、内ボルトの安定的な回転性を保障することは勿論、ねじ釘のヘッド部を堅固に支持できる二重構造の外キャップを具備する脊椎支持システムを提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
上記第1目的を達成するための本発明の脊椎支持システムは、少なくとも雌ねじとキャップ組立て面及びヘッドブロックからなるヘッドと、円錐形のボディを具備するねじ釘と、このねじ釘のヘッド内に挿入して装着できるように外周に雄ねじを具備する内ボルトと、上記ねじ釘のヘッドを覆うため内部くぼみを具備する外キャップと、ねじ釘のヘッドに挿入され上記内ボルトと外キャップにより固定されるロッドを含み、上記外キャップは、内部くぼみ上部にガイド雌ねじを形成してなり、実際、手術時には上記内ボルトを上記外キャップのガイド雌ねじに仮締結した状態で、外キャップをねじ釘のヘッド部分に先ず装着した後、内ボルトをねじ釘の雌ねじに完全締結するようにした脊椎支持システムにおいて、
上記外キャップの内部くぼみは、上記ヘッドのキャップ組立て面とヘッドブロックを覆えるように内径が異なる第1段差面と第2段差面を有することを特徴とする。
【0034】
このような構成において、上記ガイド雌ねじは、上記ねじ釘の雌ねじと内ボルトがねじ組立てをする際に、ねじ組立て中心の捕えを妨害しないように内ボルトが外キャップに単純に仮組立てされ、且つ内ボルトの径及びピッチと同じにされ、さらに内ボルトの左右揺動を若干許容する巻数にされることが望ましい。
【0035】
また、上記ねじ釘はキャップ組立て面と上面の境界部、キャップ組立て面とヘッドブロック間の段差部分を各ラウンド面により丸く形成し、上記外キャップは上記第1段差面と第2段差面間の段差部分、第2段差面の下段内側段をラウンド面からより形成することが望ましく、
上記外キャップは、実際の手術時にロッドによる外キャップの挿入妨害を防ぐため、ロッドと触れる部分を2mm程度さらに深い半円形に切断したラウンドカット部に形成することが望ましい。
【0036】
上記第2目的を達成するための本発明の脊椎支持システムは、
少なくとも雌ねじとキャップ組立て面及びヘッドブロックからなるヘッドを円錐形のボディに具備するねじ釘と、
上部側に掛段、下部側に掛溝が各自形成されている内ボルトと、
上段部に支持片が形成され、この支持片が上記内ボルトの掛段に回動可能に結合された外キャップと、
上記外キャップの内部に強引にはめ込まれて結合されていると共に下段部に形成された支持片が内ボルトの掛溝に回動可能に結合された補強リングと、
上記内ボルトを外キャップと補強リングにより上下から支持したままでねじを締められるようにして固定されるロッドとを含むようにしたものである。
【0037】
本発明は、手術部位の外環境で小型の部品である内ボルトを外キャップに先に仮組立てした後、内ボルトよりさらに大きな部品である外キャップを先にねじ釘のヘッドにかぶせ、その後内ボルトを外キャップにガイドされる状態でヘッドの雌ねじに締結するようにしたもので、内ボルトとヘッド雌ねじとの初期ねじセットと外キャップとヘッドの挿入を非常に容易にできる。また、内ボルトの完全締結時に内ボルトとねじ釘のヘッドがねじ挿入されることは勿論、外キャップの固定溝が内ボルトの頭部にかかるようにすることで、ねじ釘と内ボルトと外キャップが一体化した状態の堅固な固定力を発揮する。さらに、外キャップの内部くぼみ下部が大きく形成されていることは勿論、外キャップとねじ釘ヘッドの主要接触部がラウンド面に形成されているため、外キャップを何ら困難もなく容易にヘッドに挿入でき、また外キャップをヘッドに挿入した状態で内ボルトを回転させるだけで自動的に内ボルトがヘッドの雌ねじに正確にねじ挿入され、手術の迅速性と正確性を図ることができる。
【0038】
内ボルトと外キャップ一体型脊椎支持システムにおいては、外キャップと補強リングの二重構造により内ボルトの上下段を支持する構造であるため、内ボルトの安定的な初期ねじ中心を捕えることができるのは勿論、ヘッド部を堅固に支持できる。
【0039】
以下、添付図面を参照し本発明の脊椎支持システムの第1〜2実施例についてより詳しく説明する。従来説明と同一な部分については、同一符号をつけ説明することで説明上の煩雑さを避ける。
【0040】
【発明の実施の形態】
実施例1
図5〜9を参照し本発明の実施例1について説明する。図5は本発明の実施例1の脊椎支持システムの構造を示す分解斜視図であり、図6は本発明の実施例1の脊椎支持システムによる作動原理を示す断面図である。
【0041】
一般的に脊椎支持システムにおいて、ねじ釘10はボディ14とヘッド12が一体した一体型のもの(Rigid Screw)があり、ボディ14上段に具体が形成されヘッド12に対し一定角度で回転運動ができる角度可変形ねじ釘(Polyaxial Screw)がある。実施例1では一体型ねじ釘を例に挙げて説明する。
【0042】
本発明の実施例における図面で、従来と同一な構成については同一符号をつけ、以下従来と異なる構成のみを説明する。
【0043】
本発明のねじ釘10のキャップ組立て面13と上面13bの境界部及びキャップ組立て面13とヘッドブロック17間の段差部間はラウンド面13a、19により丸く形成され強度を高めることにより、外力による剪断現象や破損現象を解消したり、後に説明する外キャップ30の挿入が軟らかくできるようにされている。
【0044】
内ボルト20は上段部外側に延び、突出されるように頭部26に形成されている。
【0045】
外キャップ30は上部に上記内ボルト20の頭部26が挿入できる固定溝33を形成し、この固定溝33の内側先端部に延びてガイド雌ねじ35を形成し、このガイド雌ねじ35に内ボルト20がねじ挿入されている。ここで上記ガイド雌ねじ35は、その雌ねじが形成される部分を1.5回転、即ち540度回転のみができるようにねじ山を形成し、内ボルト20が緩くねじ組立てされるようにすることにより、ねじ釘10の雌ねじ11と内ボルト20がねじ組立てされる際にねじ組立て中心の捕えが妨害されないようにしている。即ち、このガイド雌ねじ35の形成による内ボルト20が外キャップ30に単純に仮組立てのみされるようにしているのである。
【0046】
また、上記外キャップ30は実際の手術時にロッド40により外キャップ30の挿入が妨害されないように、ロッド40と触合う部分に2mm程度さらに深い半円形のラウンドカット部36を形成している。また、上記ヘッド12全体、即ちキャップ組立て面13全体とヘッドブロック17の一部を覆えるようにその内部くぼみ37が第1段差面37aと第2段差面37bからなっている。また、上記ヘッド12の各ラウンド面13a、19に対応して容易かつ円滑な挿入が保障できるように上記第1段差面37aと第2段差面37b間及び下段内側段がラウンド面38、39にラウンド処理されている。
【0047】
このように構成された本発明の実施例1の作用効果について、図7を参照して説明する。図7は本発明の実施例1の脊椎支持システムによる手術順序を示す断面図であり、図8は本発明の実施例1の脊椎支持システムによる手術の一例を示す斜視図である。
【0048】
これら図面を参照すると、概括的な手術順序は従来説明で説明したため以下省略し、本発明の器具的作用についてのみ説明する。先ず図7のAに図示したように、上記ねじ釘10の切開溝16内にはロッド40が若干持ち上がったまま正常に装着された状態である。この状態で本発明の外キャップ30をヘッド12の雌ねじ11に組立てられるが、先行されなければならない事項として、上記内ボルト20を外キャップ30のガイド雌ねじ35に仮組立てることがある。この際、上記内ボルト20がガイド雌ねじ35の540度部分にのみかかるため、仮想線で表示したように左右に若干の遊動が可能である。
【0049】
これは内ボルト20が雌ねじ11にねじ組立てされる「組立て前段階」で、上記雌ねじ11とのねじ組立て中心の捕え時に何ら妨害されないようにするためである。さらに詳しく説明すると、内ボルト20は上記ガイド雌ねじ35にかかる機能のみをし、外キャップ30と単純に仮組立てされた状態で外キャップ30のみをヘッド12に装着する動作だけで、内ボルト20の初期進入時に内ボルト20のねじ中心をヘッド12の雌ねじ11に容易く合わせられ、挿入途中にも滑ったり揺れることがないようにし内ボルト20の挿入作業を正確かつ迅速にするためである。
【0050】
内ボルト20と外キャップ30の仮組立てが完了されると、外キャップ30をねじ釘10のヘッド12に挿入する。この時ヘッド12の各段差部分はラウンド面13a、19からなり、外キャップ30内面の上記第1段差面37aと第2段差面37b間の段差部分と外キャップ30下段の内側段がラウンド面38、39からなっているため次のような容易な挿入動作が起きる。
【0051】
上記外キャップ30をねじ釘10のヘッド12に最初挿入する際、上記第1段差面37aはキャップ組立て面13に、第2段差面37bはヘッドブロック17外面に接触するようになるが、このとき上記外キャップ30のラウンド面38、39がヘッド12のラウンド面13a、19に各接触し外キャップ30は円滑にヘッド12に挿入される。即ち、上記各ラウンド面13a、19、38、39の形成によりこれら挿入ガイド機能をするのである。また、これらは小さい直径と大きな内径の絶妙な調和(harmony with wider diameter zone and narrower diameter zone)により何ら無理なく自動で挿入ガイド機能をする。
【0052】
上記のように、外キャップ30をねじ釘10のヘッド12に完全に挿入した状態で、外キャップ30の第1段差面37aと第2段差面37bは上記ヘッド12のキャップ組立て面13全体とヘッドブロック17の一部を各自覆う状態になる。
【0053】
上記のように外キャップ30をねじ釘10のヘッド12に挿入した後、図7Bに図示したように、上記内ボルト20を締結工具100を用いて締めると上記内ボルト20は外キャップ30に導かれながらねじ釘10の雌ねじ11に自動的にねじ挿入されると共に挿入され、この内ボルト20の固定力によりロッド40はねじ釘10の切開溝16内に挿入される。そして、さらに内ボルト20を締めると図7Cに図示したように、内ボルト20の底面がロッド40を押しロッド40をねじ釘1のヘッド12に堅く締めると共に内ボルト20の頭部26が外キャップ30の固定溝33に挿入固定される。このように内ボルト20を完全に締めた状態では内ボルト20がねじ釘10ヘッド12の雌ねじ11にねじ結合されると共に、ヘッド12は外キャップ30を包んだ状態でその固定溝33が内ボルト20の頭部26にかかった一体化された状態を維持することでロッド40はねじ釘10に堅固に固定される。
【0054】
このように、本発明は外キャップ30を先ずねじ釘10のヘッド12に挿入した後、内ボルト20を回転させヘッド12の雌ねじに自動挿入する動作だけでロッド40をねじ釘10に堅固に固定する。
【0055】
図9は、本発明の実施例1による異なる作用を説明するための断面図を示している。
【0056】
実際の手術では、患者によってマニュアル通りにならない場合が数多い。図9に図示された場合は、上記ロッド40が切開溝16内に比較的正確に装着されない状態、即ちロッド40が正常装着(Well fitting)されない状態で、内ボルト20を締める状況を図示している。この状態は、ロッド40が切開溝16上部に極めて浮き上った状態である。
【0057】
このような状態で本発明の外キャップ30をねじ釘10のヘッド12に挿入すると、外キャップ30に形成されたラウンドカット部36にロッド40が挿入されながら外キャップ30がねじ釘10のヘッド12に仮挿入される。続いて内ボルト20を締結すると、前のように内ボルト20は外キャップ30に導かれながらヘッド12の雌ねじ11にねじ挿入されると共に、外キャップ30をヘッド12に完全に挿入させることで前のように容易かつ堅固にロッド40をねじ釘10のヘッド12に固定する。
【0058】
実施例2
図10は本発明の実施例2における脊椎支持システムの構造を示す分解斜視図であり、図11は本発明の実施例2における脊椎支持システムに適用される外キャップと補強リングの二重構造を示す断面図であり、図12は本発明の実施例2における脊椎支持システムに適用される外キャップと補強リングの二重構造を示す分解斜視図であり、図13は本発明の実施例2における脊椎支持システムを利用した手術の一例を示す分解斜視図であり、図14は本発明の実施例2における脊椎支持システムの作用を説明するための断面図である。
【0059】
図10は、ねじ釘10のヘッド12上段に延びた切断片51が形成されて内ボルト20を締めることにより多数の脊椎支持システムに連結されたロッド40が締まりながら、これに対する反作用により異常位置された脊椎を正常位置に戻す患者に適用するのに適当な脊椎支持システムを図示したものである。これはロッド40が切開溝16から極めて浮いている状態で、内ボルト20によりロッド40が強制で下降圧迫される間、相対的に脊椎支持システムが固定された異常脊椎202は正常位置に戻され、以後不必要な上記切断片51を切断線55に従って切断して取り出す手術に適用する。
【0060】
実施例2においても、実施例1と同一部分については同一符号を使用して説明し、図面では実施例2の特徴部分にのみ符号を付記して図示することで説明上の煩雑さを避ける。
【0061】
本実施例の脊椎支持システムの内ボルト20と外キャップ30は一体型からなっており、外キャップ30内には補強リング50が結合されている。
【0062】
上記内ボルト20は上部側に掛段23が、下部側には掛溝25が形成されている。
【0063】
上記外キャップ30は、上段部に上記内ボルト20の掛段23の外形に対応する湾曲度からなる支持段30cを有する支持片30dが形成され、外面両側の小型部位にはパンチ部30bが形成されている。また、外キャップ30の下段部には挿入時にロッド40と触合う部分にラウンドカット部30fを形成している。
【0064】
上記補強リング50は、外キャップ30の内径に強引にはめ込まれて組立てられている外形を有し、外キャップ30のパンチ部30bに対応する外面にパンチ部30bにかかる固定溝50cが形成されている。また、その下段部には内ボルト20の掛溝25の外径に対応する湾曲度からなる支持段50bを有する支持片50aが形成されている。
【0065】
上記のような構成において、外キャップ30の内部には補強リング50が強引にはめ込まれて結合され、内ボルト20の掛段23と掛溝25は外キャップ30の支持片30dと補強リング50の支持片50aに各自回動可能に挿入されている。
【0066】
本発明の実施例2の作用効果について、図13及び図14を参照して説明する。本実施例が適用される脊椎患者は、脊椎が正常位置から離脱したり転位し神経組織に触れたり圧迫する場合である。本実施例の脊椎支持システムにおいては、上記キャップ組立て面13の上段から延びている切断片51が形成されているため、脊椎が離脱された場合でもロッド40を切開溝16に何ら困難もなく非常に容易く挿入できる。
【0067】
図13を参照すると、3個の脊椎支持システムA、B、Cを利用して転位された異常脊椎202と隣接した正常脊椎200を湾曲されたロッド40により連結し、正常脊椎200を固定する脊椎支持システムCが固定された状態で、内ボルト20を強く締めることによりロッド40は圧迫され、異常脊椎202を固定する脊椎支持システムA、Bが反作用により上部に移動することで異常脊椎202を引上げて正常位置に戻す。その後上記切断片51を適正手術道具と切断線55を利用して切断した後廃棄する。
【0068】
この上記内ボルト20を強く締める際に、異常脊椎202を戻す程の外力を内ボルト20に作用させて締めることになるが、従来には単一外キャップで下部からのみ内ボルト20を支持するため、そのねじ締めが円滑にされないだけでなく、最初のねじ中心捕らえが容易くなく手術が複雑だったが、本発明は上記外キャップ30と補強リング50の二重構成にすると共に内ボルト20の上下部を回動可能に支持したため、外キャップ30をヘッド12に覆いかぶせる動作だけでも内ボルト20の最初のねじ中心を捕えが容易になされる。また内ボルト20がヘッド12に完全に挿入された状態のとき、外キャップ30と補強リング50の二重構造によりヘッド12外周を堅固に支持するため、ヘッド部を堅固に支持できる。
【0069】
上記の第1、2実施例ではボディ14とヘッド12が一体からなる一体型ねじ釘20に適用したものを実施例で説明しているが、本発明はボディ14とヘッド12が回動できるようにした角度可変形ねじ釘に適用できるもので、このようなことが本発明の技術上内に属することは当然である。
【0070】
【発明の効果】
本発明は、手術部位の外環境で小型部品である内ボルトを外キャップに予め仮組立てした後、内ボルトよりさらに大きい部品である外キャップを先にねじ釘のヘッドにかぶせ、後に内ボルトを外キャップにガイドされる状態でヘッドの雌ねじに締結するようにしたもので、内ボルトとヘッド雌ねじとの初期ねじセットと外キャップ、ヘッドの挿入を非常に容易くできる。
【0071】
また、内ボルトの完全締結時に内ボルトとねじ釘のヘッドがねじ挿入されることは勿論、外キャップの固定溝が内ボルトの頭部にかかるため、ねじ釘と内ボルトと外キャップが一体化された状態の堅固な固定力を発揮する。
【0072】
さらに、外キャップの内部くぼみ下部が大きく形成されているのは勿論、外キャップとねじ釘ヘッドの主要接触部がラウンド面に形成されているため、外キャップを何ら困難もなく容易にヘッドに挿入でき、また外キャップをヘッドに挿入した状態で内ボルトを回転させさえすれば自動的に内ボルトがヘッドの雌ねじに正確にねじ挿入されるため、手術の迅速性と正確性を図ることができる。
【0073】
また、外キャップがヘッド部全体をカバーし支持するため固定力も強まり、製品の寿命延長に寄与できる。
【0074】
内ボルトと外キャップ一体型脊椎支持システムにおいては、外キャップと補強リングの二重構造により内ボルトの上下段を支持するための、内ボルトの安定的かつ強い回転性を保証できるのは勿論、ヘッド部を堅固に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の脊椎支持システムの構造を示す分解斜視図である。
【図2】従来の脊椎支持システムによる手術過程を示す斜視図である。
【図3】従来の脊椎支持システムによる手術状態を示す断面図である。
【図4】従来の脊椎支持システムによる手術の困難性を説明するための斜視図である。
【図5】本発明の実施例1における脊椎支持システムの構造を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の実施例1における脊椎支持システムの作動原理を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例1における脊椎支持システムによる手術順序を示す断面図である。
【図8】本発明の実施例1における脊椎支持システムによる手術の一例を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施例1における脊椎支持システムの他の作用を説明するための断面図である。
【図10】本発明の実施例2における脊椎支持システムの構造を示す分解斜視図である。
【図11】本発明の実施例2における脊椎支持システムに適用される外キャップと補強リングの二重構造を示す断面図である。
【図12】本発明の実施例2における脊椎支持システムに適用される外キャップと補強リングの二重構造を示す分解斜視図である。
【図13】本発明の実施例2における脊椎支持システムを利用した手術の一例を示す分解斜視図である。
【図14】本発明の実施例2における脊椎支持システムの作用を説明するための断面図である。
【符号の説明】
10−ねじ釘
11−雌ねじ
12−ヘッド
13−キャップ組立て面
14−ボディ
14c−工具挿入孔
13a、19、38、39−ラウンド面
17−ヘッドブロック
20−内ボルト
24−雄ねじ
26−頭部
30−外キャップ
33−固定溝
35−ガイド雌ねじ
36−ラウンドカット部
37−内部くぼみ
40−ロッド
50−補強リング
100−締結工具
200−脊椎
202−異常脊椎
A、B、C−脊椎支持システム

Claims (4)

  1. 少なくとも雌ねじ11とキャップ組立て面13及びヘッドブロック17からなるヘッド12と、円錐形のボディ14を具備するねじ釘10と、このねじ釘10のヘッド12内に挿入して装着できるように外周に雄ねじを具備する内ボルト20と、上記ねじ釘10のヘッド12を覆うため内部くぼみ37を具備する外キャップ30と、ねじ釘10のヘッド12に挿入され上記内ボルト20と外キャップ30により固定されるロッド40を含み、上記外キャップ30は、内部くぼみ37上部にガイド雌ねじ35を形成してなり、実際、手術時には上記内ボルト20を上記外キャップ30のガイド雌ねじ35に仮締結した状態で、外キャップ30をねじ釘10のヘッド12部分に先ず装着した後、内ボルト20をねじ釘10の雌ねじ11に完全締結するようにした脊椎支持システムにおいて、
    上記外キャップ30の内部くぼみ37は、上記ヘッド12のキャップ組立て面13とヘッドブロック17を覆えるように内径が異なる第1段差面37aと第2段差面37bを有することを特徴とする脊椎支持システム。
  2. 上記ガイド雌ねじ35は、上記ねじ釘10の雌ねじ11と内ボルト20がねじ組立てをする際に、ねじ組立て中心の捕えを妨害しないように内ボルト20が外キャップ30に単純に仮組立てされ、且つ内ボルト20の径及びピッチと同じにされ、さらに内ボルト20の左右揺動を若干許容する巻数にされたことを特徴とする請求項1記載の脊髄支持システム。
  3. 上記ねじ釘10は、キャップ組立て面13と上面13bの境界部、キャップ組立て面13とヘッドブロック17間の段差部分を各ラウンド面13a、19により丸く形成し、上記外キャップ30は上記第1段差面37aと第2段差面37b間の段差部分、第2段差面37bの下段内側段をラウンド面38、39により形成したことを特徴とする請求項1記載の脊椎支持システム。
  4. 少なくとも雌ねじ11とキャップ組立て面13及びヘッドブロック17からなるヘッド12を円錐形のボディ14に具備するねじ釘10と、
    上部側に掛段23、下部側に掛溝25が各自形成されている内ボルト20と、 上段部に支持片30dが形成され、この支持片30dが上記内ボルト20の掛段23に回動可能に結合された外キャップ30と、
    上記外キャップ30の内部に強引にはめ込まれて結合されていると共に下段部に形成された支持片50aが内ボルト20の掛溝25に回動可能に結合された補強リング50と、
    上記内ボルト20を外キャップ30と補強リング50により上下から支持したままでねじを締められるようにして固定されるロッド40とを含むことを特徴とする脊椎支持システム。
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