JP3679347B2 - 柄替えシミュレーションシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、柄替えシミュレーションシステム、特に2次元の背景画像に含まれる曲面物体の柄をその曲面を考慮して自然な状態に変更する際に適用して好適な柄替えシミュレーションシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ・グラフィックスにより、室内等を表わす背景画像に含まれる内装等の柄を変更する柄替えシミュレーションシステムが知られている。
【0003】
その一つである3次元情報で定義された柄替えシミュレーションシステムでは、多角形(ポリゴン)や、曲面へマッピングするテクスチャ素材を変更することにより柄替えを実現する手法が採られている。このような3次元情報を利用するシミュレーションシステムは、自由度が高いという利点があるものの、製作にコストと時間がかかるという欠陥があり、その上実写並のクオリティを実現するためには、レンダリングに多くの時間を要するため、インタラクティブなシミュレーションには不向きである。
【0004】
一方、これとは別に、2次元画像に対する柄替えシミュレーションシステムも知られており、このシステムでは画像内の所望の領域に他の画像(テクスチャ画像)を合成する技術が開発されている。このような2次元画像による柄替えシミュレーションシステムでは、壁面等の平面に対するシミュレーション技術が、例えば特開2000−293667に提案されているように、既に確立されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記2次元画像による柄替えシミュレーションシステムには、カーテンや枕等のような2次元画像の曲面をシミュレーションする場合には、複雑な式を用いてパラメータを設定する等、経験を積むことにより習得するような熟練した技が必要とされることから、誰にでも容易に直ぐに操作できる技術ではない。前記3次元の場合に比べて操作性に優れてはいるものの、奥行き感を表わすパースがかからない等の不自然な合成結果になり易いことから、その適用が平面へのマッピングに限定されることが多いという問題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、簡単な操作により、2次元の背景画像に曲面を有する対象物の画像を、自然な状態で合成することができる柄替えシミュレーションシステムを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、2次元の背景画像に、柄を構成するテクスチャ画像を合成する柄替えシミュレーションシステムにおいて、背景画像を入力する手段と、背景画像に合成するテクスチャ画像を入力する手段と、背景画像中でテクスチャ画像を合成するオブジェクトを指定する手段と、前記オブジェクトに対応する矩形領域に関して、背景画像内の3次元空間における四角形の実際の大きさと、背景画像中の2次元画像上の四角形の領域を規定するための4頂点の座標とが含まれる矩形パラメータと共に、合成するテクスチャ画像を変形するための周期関数のパタメータを設定する手段と、指定されたオブジェクトに対応する矩形領域の座標値を、前記テクスチャ画像に対応する正規化されたテクスチャ座標系の座標値に変換する手段と、前記テクスチャ座標系の座標値を、縦軸及び横軸の少なくとも一方の軸に沿って周期関数により変換する曲線変換手段と、前記テクスチャ座標系に展開されているテクスチャ画像の各画素の画素値を、各画素の座標値を前記曲線変換手段により変更して、前記オブジェクトに対応する矩形領域上の対応する画素に設定する合成手段と、を備えたことにより、前記課題を解決したものである。
【0008】
即ち、本発明においては、画像を合成する背景画像上のオブジェクト領域に、対象物の柄を表わすテクスチャ画像を合成する際、該テクスチャ画像を周期関数により曲線変更するようにしたので、周期関数のパラメータを設定するという簡単な操作により、自然な曲面を有する対象物を画像合成することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明に係る一実施形態の2次元画像による柄替えシミュレーションシステムの概略構成を示すブロック図である。
【0011】
本実施形態の柄替えシミュレーションシステムは、画像合成装置101、画像入力装置102、指示入力装置103、及び画像表示装置104を備えていると共に、前記画像合成装置101は、画像読込部105、パラメータ読込部106及び合成部107を有する構成になっている。
【0012】
本システムは、シミュレーションを行いたい対象画像(以下、“背景画像”と呼ぶ)中にある、シミュレーションを行いたい画像上の曲面を有する対象物(以下、“オブジェクト”と呼ぶ)に、様々な柄画像(以下、“テクスチャ画像”と呼ぶ)を変形し、合成することにより柄替えのシミュレーションを行うことができるようになっている。
【0013】
本システムについて詳述すると、前記画像合成装置101は、以下に説明する画像入力装置102により入力される背景画像、テクスチャ画像等に対して、指示入力装置103で入力される各種パラメータに従い、指定した背景画像内のオブジェクトの柄を変更し、結果を表示装置104に出力する機能を有している。
【0014】
前記画像入力装置102は、背景画像及びテクスチャ画像を画像合成装置101に入力するための装置で、具体的にはデジタルカメラやスキャナ等の画像取込装置や、予め準備しておいた画像を格納しているHDD(ハードディスクドライブ)等である。又、前記指示入力装置103は、背景画像中のシミュレーションを行うオブジェクトの指定や、オブジェクト毎のテキスチャ変形に用いるパラメータを入力するための装置で、具体的にはキーボードやマウス等である。又、前記画像表示装置104は、画像合成装置101で作成されたシミュレーション結果を表示するもので、ディスプレイ等に相当する。
【0015】
前記画像合成装置101について更に説明すると、画像読込部105はシミュレーションを行うためための2次元画像(背景画像、テクスチャ画像等)を読込み、合成部107に入力する機能を有し、パラメータ読込部106は上記画像読込部105により入力された画像に対して、シミュレーションを行いたいオブジェクト毎に設定するパラメータを読み込み、同じく合成部107に入力する機能を有している。又、この合成部107は、上記のように画像読込部105により入力された画像と、パラメータ読込部106により入力されたパラメータを用いて、以下に詳述する画像処理により合成画像を作成すると共に、作成された合成画像を、柄の変更を行ったシミュレーション結果として表示装置104に出力する機能を有している。
【0016】
本実施形態では、前記画像合成装置101、即ち合成部107において、指定されたオブジェクトに対応する矩形領域の座標値を、テクスチャ画像に対応付けられている正規化されたテクスチャ座標系の座標値に変換する手段と、この正規化されたテクスチャ座標系の座標値を、縦軸及び横軸の少なくとも一方の軸に沿って周期関数により変換する曲線変換手段と、前記正規化されたテクスチャ座標系に展開されているテクスチャ画像の画素の画素値を、各画素の座標値を前記曲線変換手段により変更して、前記オブジェクトに対応する矩形領域上の対応する画素に設定する手段とが、ソフトウェアにより実現されている。
【0017】
次に、本実施形態の作用を、図2に示したフローチャートに従って説明する。
【0018】
まず、前記画像入力装置102により、背景画像とテクスチャ画像を画像合成装置101に入力する(ステップ1)。ここでは、背景画像として図3にイメージを示す室内をカメラで撮影した2次元画像を入力し、テクスチャ画像として図4(A)と同図(B)の2つを入力する場合を例として示す。
【0019】
次いで、入力した背景画像を画面表示させ、画面上で柄替えを行いたいオブジェクトを登録する(ステップ2)。これは、柄替えの対象としたいオブジェクトをマウス等により順番に指定することにより、異なるテクスチャを合成するオブジェクト毎、あるいは後述するパラメータの設定が異なるオブジェクト毎に、背景画像内におけるオブジェクトの可視領域(以下、オブジェクト領域とも言う)に対して、識別番号を割り当てて設定することを意味する。図5には、背景画像内におけるオブジェクト領域の設定の一例を示す。この図に示されるように、オブジェクトの登録は、前記図3の背景画像と同一の縦横の大きさを持つ配列データを用意し、テクスチャ合成を行わない領域の画素に対して0の値を設定し、テクスチャの合成を行うオブジェクト領域(ここでは2箇所のカーテンの画像領域)に属する画素に対して、前述した識別番号として、1と2をそれぞれ設定し、オブジェクト1、オブジェクト2として領域指定(登録)したことを表わしている。
【0020】
次いで、前記指示入力装置103により矩形パラメータを入力し、設定する(ステップ3)。後述する背景画像中のオブジェクト領域に対してテクスチャ画像を合成する際には、オブジェクトに対応する矩形領域の座標値(x,y)をテクスチャ画像上の座標値(テクスチャ座標系の座標値(α,β))に変換する処理を行う。そこで、このテクスチャ座標系への変換のためのパラメータとして、前記図4に示した単位のテクスチャ画像を、該座標系に割り付けた場合に、その繰り返しが明確になるようにするために矩形パラメータを設定する。
【0021】
図6には、前記オブジェクト1に対応する矩形領域と、これに設定した矩形パラメータとの関係を示す。この図に示されるように、矩形パラメータは、背景画像内の空間、即ち室内の3次元空間において実際には長方形である窓枠等の四角形(矩形)の大きさと、背景画像上の座標との対応を規定するための数値であり、サイズ(図中size)A、サイズBで示す横方向、縦方向の実際の大きさと、背景画像中の2次元画像上の四角形の領域を規定するための4頂点の座標とが含まれる。これらパラメータの関係から、2次元画像上ではパース(遠近感)がかかっているオブジェクト領域を、パースがかかっていない正規化された直交座標系のテクスチャ座標系に変換することができる。このような変換としては、詳細な説明は省略するが、「計算機幾何と地理情報処理」bit別冊 共立出版(1986)に詳説されている、射影的正規化変換を挙げることができる。
【0022】
即ち、前記図6でサイズA、サイズBは、前記図4に示したようなテクスチャ画像の単位を、縦横それぞれの方向に幾つ並べる(展開する)ことができるかの繰り返し数を決めるために設定するもので、具体的には実際の大きさでそれぞれ0.8m、2.0mのような実寸法で設定しても、あるいは2、5のような単位テクスチャ画像の大きさに対する相対値で設定してもよい。いま、サイズA、サイズBをそれぞれ2、5と、4、10の相対値で設定した場合であれば、前記図4(A)の単位テクスチャ画像は、同図に併記したように、大きさが相対値で1×1(画素単位の大きさが100×100)であることから、前記オブジェクトの矩形領域に対応するテクスチャ座標系では、図7(A)と図8(A)にそれぞれ示すように単位テクスチャ画像が繰り返し配列された、画素を単位とするテクスチャ座標が得られることを意味する。即ち、上記矩形パラメータを設定することにより、オブジェクトに対応する矩形領域を変換して得られる直交座標からなるテクスチャ座標系が決定されることになる。
【0023】
次に、オブジェクトに曲面部分がある場合には、合成するテクスチャを波形変形するために、前記指示入力装置103によりsin(周期関数)パラメータを入力し、設定する(ステップ4)。このパラメータのスケールはテクスチャ座標系と同じである。又、以下の例では、サイズ(size)A=4、サイズB=10であるとする。
【0024】
ここで行う波形変形は、上記ステップ3で設定した矩形パラメータにより正規化変換して作成される長方形を、sin波で歪める処理を行うことであり、その際のパラメータとしては波の数、振幅、初期位相を設定する。いま、テクスチャ座標系で、長方形の横方向をα軸、縦方向をβ軸とし、長方形の点(α,β)が、α軸に沿って揺れるsin波によって変形され、(αsin,βsin)の位置に移動するとした場合、αsin及びβsinは以下の式で表わすことができる。
【0025】
αsin=α …(1)
βsin=A×sin((2πN/sizeA)α+θ)+β …(2)
ここで、A:振幅
N:長方形の横辺におこす波の数
sizeA:長方形の横辺の長さ
θ:初期位相
【0026】
この(1)式、(2)式により、テクスチャを変形するイメージを、便宜上テクスチャ座標系でない前記図6に示したオブジェクト1に対応する矩形領域に相当する図9(A)に示し、更に分り易くするためにこの図の上方の長丸で囲んだ部分を拡大して同図(B)に示す。但し、この例では、波形変換パラメータとして、波の数N=5、振幅A1=0.04、振幅A2=−0.10、β1=0.0、β2=1.0、β3=8.0、β4=10.0、初期位相θ=(1/2)π(rad)をそれぞれ設定し、α軸に沿って揺れるsin波の振幅Aの値をβ軸の値によって、
β1≦β<β2:A1
β2≦β<β3:A1〜A2までリニアに変化
β3<β≦β4:A2
のように、β1〜β2とβ3〜β4では定数を設定し、中間のβ2〜β3では線形補間させている。
【0027】
又、上記sinパラメータを設定する場合には、最終的に合成されるテクスチャ画像が、背景画像に撮影されているオブジェクトの状態にできるだけ近くなるように、それぞれの値を選択するようにする。
【0028】
このようにsinパラメータを設定することは、後述する合成後は、上記図9に示したようにオブジェクトに対応する矩形領域の座標値が波形変換されることになる。但し、前記(1)式、(2)式は、直交座標系のテクスチャ座標を波形変換していることから、この段階ではこれら両式によっては前記図8(A)に示したようにテクスチャ画像が配列(展開)されたテクスチャ座標系の場合であれば、図10(A)から同図(B)のように曲線変形された状態にすることができることを意味する。
【0029】
以上のパラメータ設定等の準備が終了した後、背景画像中に複数あるオブジェクトのうち、柄替えシミュレーションを行いたいオブジェクトを指示入力装置103を用いて指定する(ステップ5)。ここでは、前記オブジェクト1を指定する。次いで、このステップ5で指定したオブジェクトに合成したいテクスチャ画像を指定する(ステップ6)。ここでは、前記図4(A)に示したテクスチャ画像を指定したとする。この指定に際しては、指定したテクスチャ画像の縦横の実際の大きさを、前記ステップ3で設定した矩形パラメータにより正規化変換される長方形の大きさとの相対値である1×1で指示する。即ち、前記図7(A)、図8(A)を用いて説明したように、長方形に縦横幾つのテクスチャが繰り返し合成されるかを指示する。
【0030】
次いで、背景画像中の指定したオブジェクトに対応する矩形領域について、次の(3)式、(4)式の変換式により求められるテクスチャ画像上の画素(xt,yt)に基づいて、後述するように画素値を変更することにより合成を行う(ステップ7)。
【0031】
t=αsin×Stpx/Strx …(3)
t=βsin×Stpy/Stry …(4)
ここで、αsin,βsin:テクスチャ座標系の座標値
Stpx,Stpy:合成するテクスチャ画像上の大きさ(画素単位)
Strx,Stry:合成するテクスチャの実際の大きさ
【0032】
t、ytの値が、Stpx、Stpy以上となる時は、xt、ytを、それぞれStpx、Stpyで割った余りを新たにxt、ytとする。
【0033】
このステップ7の座標変換・合成を、図4(A)の単位テクスチャ画像の場合について詳述する。分り易くするために、sin変換せずに、即ち直交座標系のテクスチャ座標系で表わされているテクスチャ画像を同じオブジェクトに対応する矩形領域に合成する場合を考える。
【0034】
いま、図11に改めて示すオブジェクトに対応する矩形領域を前記正規化変換して得られるテクスチャ座標系が図12(A)であり、矩形領域上の座標(x,y)はテクスチャ座標系の座標(α,β)に対応しているとする。又、図12(B)のテクスチャ画像をこの座標系にマッピング(配列)する場合、座標(α,β)はテクスチャ画像上の画素(xt,yt)に対応しているとする。
【0035】
この場合の画像合成は、sin変換前のテクスチャ座標系の座標(α,β)を使って、前記(3)式、(4)式に相当する、次の(3′)式、(4′)式
t=α×Stpx/Strx …(3′)
t=β×Stpy/Stry …(4′)
により、画素(xt,yt)を座標(α,β)にマッピングすることにより、図12(C)に示す、前記図8(A)の状態に配列することができる。そして、このテクスチャ座標系を前記正規化とは逆の変換(逆変換)を行なうことにより、両座標系を1:1に対応付けて、便宜上図8(B)に示すようにパースがかかった状態に合成することができる。なお、参考のために、前記図7(A)の場合についても示すと、同図(B)にようになる。
【0036】
これに対して、本実施形態では、図12のテクスチャ座標系の座標を前記(1)式、(2)式によりsin変換して、図13にイメージを示すように(α,β)は(αsin,βsin)に座標移動されている。それに伴って、(xt,yt)がマッピングされるのは(α,β)ではなく、(αsin,βsin)になり、オブジェクトに対応する矩形領域の座標系においても、(xt,yt)の画素がマッピングされるのは、(x,y)ではなく移動している。この移動先を(x’,y’)とすると、オブジェクトに対応する矩形領域から得られる座標(x’,y’)に、テクスチャ画像上の(xt,yt)の画素を参照して画素値を設定することにより、合成する。
【0037】
即ち、本実施形態では、(3′)式、(4′)式により、直交座標系の座標値を、テクスチャ画像に対応付けて、オブジェクト領域に1:1で画素値を設定する際、各画素の座標値を前記(1)式、(2)式により同時に変更して合せ込むことにより合成していることになる。
【0038】
いま、射影的正規化変換をf、sinカ―ブ変換(式(1)(2))をg、テクスチャを繰り返しマッピングするための変換(式(3)(4))をh、それぞれの逆変換を−1乗で表わすとすると、上述した画素合成は、図14にオブジェクト画像上の座標、テクスチャ座標系及びテクスチャ画像上の座標の間の相関関係を示すように、以下のような(1)〜(5)の手順で処理していることになる。なお、ここでオブジェクト画像は、オブジェクトに対応する矩形領域と結果的に曲線変形された領域を含むものとする。
【0039】
(1)オブジェクト画像上の座標(x,y)をテクスチャ座標系の座標(α,β)にfで変換する。
【0040】
(2)(α,β)にマッピングする画素のテクスチャ画像上の座標(xt,yt)をhで求める。
【0041】
(3)テクスチャ画像上の座標(xt,yt)の画素pを(α,β)にセットする。
【0042】
(4)(α,β)をgにより求めたsinカーブ変換後の座標(αsin,βsin)に移動させる。
【0043】
(5)(αsin,βsin)をf-1によりオブジェクト画像上の座標(x’,y’)に変換し、(x’,y’)の画素を(αsin,βsin)にセットされている画素pで置換する。
【0044】
このように、前記図13に示したように座標変換させた画素を、正規化変換fの逆変換f-1でオブジェクト画像上の座標系に戻すことによって合成する。但し、この場合、どの(αsin,βsin)がオブジェクト画像上の座標(x,y)にマッピングされるのかがわからないため、オブジェクト画像上の全ての画素に対応するためには無駄な計算が生じることになる。
【0045】
そこで、実際のプログラムでは、実質的に同一の処理ではあるが、前記図13に相当する図15にイメージを示すように、オブジェクト画像上の座標(x,y)が合成の際に参照するテクスチャ画像上の画素は、sin変換の逆変換g-1を使うことにより(α,β)から(α’,β’)を求め、この(α’,β’)にマッピングされる予定の(xt’,yt’)の画素が(α,β)にマッピングされるようにすることにより、オブジェクト画像上の座標(x,y)にマッピングするテクスチャ画像上の画素を直接求めている。
【0046】
即ち、前記図1の合成部107において、前記曲線変換手段により、前記テクスチャ座標系の座標を、前記周期関数の逆変換により逆変換座標とし、前記合成手段が、該逆変換座標に対応するテクスチャ画像上の画素の画素値を、前記逆変換前のテクスチャ座標系の座標に対応する前記オブジェクトに対応する矩形領域上の座標の画素に設定するようになっている。
【0047】
これを具体的に説明すると、前記図14に相当する図16にイメージを示すように、以下のような(1)〜(5)の手順で処理していることになる。なお、図17には、この図16と前記図14との対応関係を示す。
【0048】
(1)オブジェクト画像上の座標(x,y)をテクスチャ座標系の座標(α,β)にfで変換する。
【0049】
(2)(α,β)をsinカーブ変換の逆変換g-1により(α’,β’)に変換する(移動させる)。
【0050】
(3)(α’,β’)をhによりテクスチャ画像上の座標(xt’,yt’)に変換する。
【0051】
(4)(xt’,yt’)の画素p’を(α,β)にセットする。
【0052】
(5)(x,y)の画素を、(α,β)にセットされている画素p’で置換する。
【0053】
以上詳述した処理手順により合成することにより、図18にイメージを示すような自然な曲面状態のカーテンの画像を合成することができる。
【0054】
次いで、オブジェクトに合成するテクスチャを変更したい場合は前記ステップ6へ戻る(ステップ8)。そして、例えば前記図4(B)に示したテクスチャを指定することにより、前記図10の場合と同様にsin変換後のテクスチャ座標系のイメージを示すと、テクスチャ画像のサイズが2×2で合成された場合であれば、図19(A)の画像が、サイズが1.5×1.5の場合であれば、同図(B)のような画像を合成できる。一方、テクスチャを変更しない場合で、合成したいオブジェクトが残っている場合は(ステップ9)、前記ステップ5へ戻って同様の処理を行なう。そして、全てのオブジェクトについて処理を終了した場合は、柄替えシミュレーション結果として作成された合成画像を表示装置104に出力する(ステップ10)。
【0055】
以上詳述した本実施形態によれば、視線の角度変化を考慮する等、複雑な処理が必要と思われる曲面部分への柄替えシミュレーションにおいて、三角関数(sin)という単純な波形のパラメータを設定するだけの簡単な操作により、容易に自然な曲がり方でウェーブしているカーテンを合成したシミュレーション結果を得ることができる。
【0056】
又、前記図9を用いて説明したように、関数の振幅Aを縦方向に変化させることにより、実際のカーテンのウェーブに近付けることが可能となり、一段と自然なシミュレーション結果を得ることができた。
【0057】
以上、本発明について具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に示したものに限られるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0058】
例えば、前記実施形態では横方向のα軸に沿った波形変換を示したが、縦方向のβ軸に沿った波形変換を行うことも可能であることは言うまでもない。又、α軸、β軸の両方向に行ってもよく、例えば両方向にそれぞれ半周期ずつの波形変換を行うことにより、枕等の長方形を膨らませた形の柄替えシミュレーションも容易に行なうことが可能となる。
【0059】
又、波形変換する際、波の開始位置から終了位置にかけて、例えば直線的に振幅を変化させる等、各種パラメータの変化のさせ方を組み合わせるようにしてもよい。又、適用可能な関数としても、前記sinに限らず、cosであっても、他の任意の周期関数であってもよい。更に、前記図12に示した合成画像に陰影情報を重ね合わせるようにしてもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、2次元の背景画像に曲面を有する対象物の画像を簡単な操作で自然な柄の状態に合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の柄替えシミュレーションシステムの概略構成を示すブロック図
【図2】実施形態の作用を示すフローチャート
【図3】背景画像の一例を示す説明図
【図4】テクスチャ画像の一例を示す説明図
【図5】オブジェクトの登録を示す説明図
【図6】矩形パラメータを説明するための線図
【図7】テクスチャ座標系とテクスチャ画像の関係等を示す説明図
【図8】テクスチャ座標系とテクスチャ画像の関係等を示す他の説明図
【図9】sinパラメータを説明するための線図
【図10】テクスチャ座標系と、それをsin変換した状態の関係のイメージを示す説明図
【図11】背景画像におけるオブジェクトに対応する矩形領域と座標の関係を示す説明図
【図12】矩形領域を正規化変換して得られるテクスチャ座標系のイメージを示す説明図
【図13】テクスチャ座標系をsin変換したイメージを示す説明図
【図14】実施形態による画像合成の処理手順の一例を示す説明図
【図15】実際のプログラムによるテクスチャ座標系のイメージを示す説明図
【図16】実際のプログラムによる画像合成の処理手順を示す説明図
【図17】図14と図16との対応関係を示す説明図
【図18】合成結果のイメージを示す説明図
【図19】sin変換したテクスチャ座標系でテクスチャを変更した場合の変形例を示す説明図
【符号の説明】
101…画像合成装置
102…画像入力装置
103…指示入力装置
104…画像表示装置
105…画像読込部
106…パラメータ読込部
107…合成部

Claims (3)

  1. 2次元の背景画像に、柄を構成するテクスチャ画像を合成する柄替えシミュレーションシステムにおいて、
    背景画像を入力する手段と、
    背景画像に合成するテクスチャ画像を入力する手段と、
    背景画像中でテクスチャ画像を合成するオブジェクトを指定する手段と、
    前記オブジェクトに対応する矩形領域に関して、背景画像内の3次元空間における四角形の実際の大きさと、背景画像中の2次元画像上の四角形の領域を規定するための4頂点の座標とが含まれる矩形パラメータと共に、合成するテクスチャ画像を変形するための周期関数のパタメータを設定する手段と、
    指定されたオブジェクトに対応する矩形領域の座標値を、前記テクスチャ画像に対応する正規化されたテクスチャ座標系の座標値に変換する手段と、
    前記テクスチャ座標系の座標値を、縦軸及び横軸の少なくとも一方の軸に沿って周期関数により変換する曲線変換手段と、
    前記テクスチャ座標系に展開されているテクスチャ画像の各画素の画素値を、各画素の座標値を前記曲線変換手段により変更して、前記オブジェクトに対応する矩形領域上の対応する画素に設定する合成手段と、を備えていることを特徴とする柄替えシミュレーションシステム。
  2. 前記曲線変換手段により、前記テクスチャ座標系の座標を、前記周期関数の逆変換により逆変換座標とし、
    前記合成手段が、該逆変換座標に対応するテクスチャ画像上の画素の画素値を、前記逆変換前のテクスチャ座標系の座標に対応する、前記オブジェクトに対応する矩形領域上の座標の画素に設定することを特徴とする請求項1に記載の柄替えシミュレーションシステム。
  3. 前記オブジェクトがカーテンである場合、前記テクスチャ座標系の座標値を、横軸に沿って前記周期関数により変換するとともに、縦軸に沿って該関数の振幅を変化させること特徴とする請求項1に記載の柄替えシミュレーションシステム。
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