JP3678605B2 - ゴルフクラブヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、慣性モーメントを増大しうるゴルフクラブヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ゴルフクラブヘッドは、その慣性モーメントが大きいとミスヒットでフェースの芯を外して打球した場合でも、ヘッドはそのままの運動を続けようとしてフェースの向きが変わりにくく、またエネルギーロスも少ないため、方向性のバラツキや飛距離のロスが少なくなる。一般に、ヘッドの慣性モーメントを大きくするためには、ヘッド形状を大型化したり、バックフェース部側などに高比重金属からなるサイドメタル等を設けることが行われている。
【0003】
しかしながら、ヘッド形状の大型化は、ヘッド重量の増大をもたらすためおのずと限界がある。例えば現在主流となっているチタン合金を採用した場合でも、ヘッド体積はおよそ350cc程度が限界と考えられている。また、サイドメタル等を設ける方法では、ヘッドの重心深度が深く慣性モーメントも大きくなるが、サイドメタルの分だけ重量が増すため、その分ヘッド形状を小型化せざるを得ない傾向にある。このようなヘッドは、アドレス時の安心感を損ねる。
【0004】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出なされたもので、ヘッドが、ソール部材及びヘッド本体を溶接することにより形成されるとともに、これらが溶接される溶接部分の位置を限定することを基本として、ヘッドの慣性モーメントを増大でき、しかも容易に製造可能なゴルフクラブヘッドを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、ボールを打撃するフェース部、このフェース部の上縁に連なりヘッド上面をなすクラウン部、前記フェース部の下縁に連なりヘッドの下面をなすソール部、前記クラウン部とソール部との間を継ぎ前記フェース部のトウからバックフェースを通り前記フェース部のヒールまでのびるサイド部、及び前記フェース部と前記クラウン部と前記サイド部とが交わるヒール側の交わり部近傍に配されてシャフトの一端が装着されるシャフト取付部を具えたゴルフクラブヘッドであって、前記ソール部の表面積の60%以上の領域をいう主要部をなすソール部材、及び少なくとも前記フェース部とクラウン部とを有しかつ前記ソール部材に溶接により一体化して前記ヘッドを形成するヘッド本体からなり、かつ前記ソール部材は、前記ソール部の周縁からクラウン部側にのび前記サイド部の一部を含んだソール側壁部を具え、しかもこのソール側壁部が前記ヘッド本体部に溶接された溶接部は、前記クラウン部とサイド部とを区画し前記トウから前記シャフト取付部までのびる稜線から前記ソール側へ3mm以上かつ15mm以内で該稜線に沿ってのびる稜線下方の領域を通る非稜線溶接部分を含み、かつこの非稜線溶接部分の合計長さを、前記稜線の長さの70%以上としたことを特徴としている。
【0006】
一般に、ヘッド本体とソール部材を接合している溶接部分は、ヘッド内側に溶接金属が盛られるため、他の箇所に比べて厚さが大となり重量が増す。本発明では、このような溶接部をクラウン部とサイド部の稜線からソール側へ所定の距離を隔てる領域に設けることにより、重心から離れた位置に重量をより多く配分することができ、ヘッドの重心深度を増しかつ慣性モーメントを増大させることができる。さらに、本発明のヘッドは、前記稜線を通る溶接部分が従来に比して減じられ、或いは皆無となることにより、溶接部を研磨して形状を整えるのが容易となり、製造時の作業性などが向上しうる。
【0007】
またソール部材又はヘッド本体の少なくとも一方は、前記溶接部に沿って形成された厚さが大の増厚部と、この増厚部によって囲まれ該増厚部よりも厚さが小の減厚部とを含むことができる。この場合、前記溶接部に加えて増厚部の重量までもがヘッド周辺に配分されることにより、より一層ヘッドの慣性モーメントを増大させることができる。
【0008】
またソール部材又は前記ヘッド本体の少なくとも一方は、溶接部を介して接合される他方の外表面に滑らかに連なる外表面を有する周縁部と、この周縁部の外表面から段差状部分を介してヘッド内部へ窪んだ内窪み部とを含むことができる。この場合においては溶接部を、ヘッドの重心からより遠くに配置することが可能となり、より一層ヘッドの慣性モーメントを増大させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態について図面に基づき説明する。
図1は本実施形態のゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある。)1を下面から見た斜視図、図2は同上面からみた斜視図、図3は同底面図、図4はバックフェース側から見た側面図、図5はトウ側か見た側面図、図6は図1の分解斜視図をそれぞれ示している。
【0010】
図において、ヘッド1は、ボールを打撃するフェース部2、このフェース部2の上縁2aに連なりヘッド上面をなすクラウン部3、前記フェース部2の下縁(リーディングエッジ)2bに連なりヘッド下面をなすソール部4、前記クラウン部3とソール部4との間を継ぎ前記フェース部2のトウ5からバックフェース6を通り前記フェース部2のヒール7までのびるサイド部9、及びフェース部2とクラウン部3とサイド部9とが交わるヒール側の交わり部10の近傍に配されてシャフトの一端が装着されるシャフト取付部11を具え、本例では内部に中空部分が形成されるウッド型のゴルフクラブヘッドを例示している。
【0011】
また、前記ヘッド1は、図6に示す如く、前記ソール部4の主要部を含んだソール部材12、及び少なくとも前記フェース部2とクラウン部3とを有しかつ前記ソール部材12に溶接により一体化して前記ヘッド1を形成するヘッド本体13からなる。つまり、ヘッド1は、本例では2つの部材から構成されるもの(いわゆる2ピース構造)を例示している。
【0012】
前記ソール部材12は、例えばプレス、鍛造、ロストワックス製法等により形成されるのが好ましいが、ダイカストなどを用いても良い。また、ソール部材12は、例えばステンレス、アルミ合金、チタン、チタン合金など各種の材料を用いることができるが、低比重かつ高強度のチタン、チタン合金などが厚さを減じつつ強度を維持でき、またヘッドの大型化などを容易とするため特に好ましいものとなる。
【0013】
また本例のソール部材12は、前記ソール部4を全て含むものではなく、前記ヘッド本体13に、フェース部2の下縁2bから小距離Yをバックフェース6側へとのびるソール部4のフェース側残部4Bを残したものを例示している。この小距離Yは、例えば10mm以内に設定することができる。このため、本例では前記ソール部4は、ソール部材12のソール主要部4Aと、ヘッド本体13のフェース側残部4Bとからなるものが示される。ただし、ソール部材12は、このような形状に限定されず、ソール部4の全てを含んでも良いし、またヘッド本体13のサイド部9などにソール部4を構成する部材を設けても良い。なお、ソール部材12は、ソール部4の主要部、即ちソール部4の表面積の60%以上を含む領域をいう。
【0014】
またソール部材12は、本例ではソール部4の周縁4eからクラウン部3側にのび前記サイド部9の一部をなすソール側壁部12Sを具えており、これについては後で述べる。
【0015】
前記ヘッド本体13は、本実施形態では、フェース部2、クラウン部3、サイド部9の一部をなす上の側壁部13S、シャフト取付部11、及びソール部4の前記フェース側残部4Bを一体に含むものを示している。また前記上の側壁部13Sは、前記クラウン部3とサイド部9とを区画し前記トウ5から前記シャフト取付部11までのびる稜線Xからソール部4側へと垂下した部分を含むものが示される。そして、本実施形態では、このヘッド本体13の上の側壁部13Sと、前記ソール部材12のソール側壁部12Sとを合わせて前記サイド部9が形成されるものを示している。
【0016】
また、ヘッド本体13は、図6に示す如く、開口縁部Oを具える。この開口縁部Oは、前記ソール部材12の外周縁Eとほぼ合致する形状をなして該ソール部材12と接合される。またこの接合部分は、溶接により固着され、その結果、ソール部材12とヘッド本体13とが一体化しうる。
【0017】
このような形状を具えるヘッド本体13は、例えばロストワックス製法等の鋳造を基本として形成されるのが好ましいが、鍛造などにより形成しても良い。また、ヘッド本体13は、例えばステンレス、アルミ合金、チタン、チタン合金など各種の材料を用いることができるが、低比重かつ高強度のチタン合金などが厚さを減じつつヘッドの大型化を可能とする点で特に好ましい。なおヘッド本体13とソール部材12とは、同一の金属材料、異種金属材料のいずれでも構わない。
【0018】
そして、前記ソール側壁部12Sがヘッド本体部13に溶接された溶接部14は、前記クラウン部3とサイド部9とを区画する前記稜線Xから、前記ソール部4側へ3mm以上かつ15mm以内で該稜線Xに沿ってのびる稜線下方の領域15(図4、図5に示す)を通る非稜線溶接部分Nを含んでおり、この非稜線溶接部分Nの合計長さは、前記稜線の長さの70%以上、好ましくは80%以上である。なお、図4、図5では、稜線Xからソール側に3mm及び15mmを隔てる稜線Xと平行な曲線をL1、L2にて示している。
【0019】
一般に、ヘッド本体13とソール部材12を接合している溶接部14は、図3のA−A、B−B線端面図である図7、図8に示す如く、ヘッド1の内側に溶接金属が盛られて残存する溶接肉盛部14aなどにより他の箇所に比べて厚さが大となりその部分の重量が増す。この溶接肉盛部14aは、例えばヘッド内面からの肉盛り高さhaが0.5〜3mm、さらに好ましくは1〜2mm、また肉盛り巾Wcが2〜8mm、さらに好ましくは4〜6mm、またその横断面積が2〜15mm2 、さらに好ましくは3〜10mm2 程度の範囲で形成されるのが好ましいものである。
【0020】
本発明では、このような溶接肉盛部14aの重量を利用してヘッドの慣性モーメントの増大を図ろうとするものである。すなわち、このような溶接部14を、クラウン部3とサイド部9の稜線Xからソール部4側へ所定の距離を隔てる領域15に所定長さを含んで設けることにより、ヘッド重心から離れた位置へこの溶接部15の重量を好適に配分することができ、ヘッド1の重心深度を増しかつ慣性モーメントを増加させるのに役立たせることができる。
【0021】
また従来知られている2ピース構造のゴルフクラブヘッドでは、例えば特開平8−266690号公報に例示される図12に示すようなものがある。このものは、鍛造により、フェース部aとクラウン部bとを一体化した第1の部材cと、ソール部材dとから形成される。ただし、鍛造は、アンダーカット形状を形成するのが困難であるため、ソール部材dは、ソール部eとサイド部fとを一体に形成している。このサイド部fは前記クラウン部bの周縁g、すなわち、サイド部fとクラウン部bとの稜線において溶接されることとなる。また溶接部分は、通常、表面を研磨して平らに仕上げる必要があるが、このような稜線部分、すなわち2つの面が交差する角の部分を研磨して形状を整えることは非常に多くの手間を要し、またピンホール等が生じていると、再度溶接による手直しが必要となる。
【0022】
溶接部14は、稜線Xの全長さに対する少なくとも70%の前記非稜線溶接部分Nを具えることにより、稜線Xでの溶接を大幅に減じ、又は本例のように皆無として大部分の溶接を平坦なサイド部9の表面にて行いうる。これによって、本実施形態のヘッド1は、製造時の作業性が向上し、製造を容易としうる。
【0023】
ここで、前記溶接部14の大部分が、前記稜線Xから15mmよりも大きい距離をソール部側に超える位置に設けられた場合には、慣性モーメントの十分な増加が図れない。その理由は、サイド部9はソール部4側へ向けて先細状となるため、稜線Xからソール部4側へ距離を隔てるほど、溶接部14の全長さが小さくなり、かつ溶接部14がヘッド1の重心に近づく傾向があるからである。
【0024】
同様に、前記非稜線溶接部分Nの全長さが、稜線Xの長さの70%未満であると、効果的に重量をヘッドの重心から離れた周辺に配分し得ず慣性モーメントを増加できない。逆に、前記溶接部14の大部分が前記稜線Xから3mm以内に設けられている場合には、上述のように溶接部14が稜線Xに重なりがちとなるため研磨による形状の整えが困難となり生産性を低下させる不具合がある。なお稜線Xの長さとは、図9に略示するように、トウ5からバックフェース部6を通り、シャフト取付部11までの長さLとし、非稜線溶接部分Nは連続して前記70%以上を満たしても良いし、途切れた総合計長さが70%以上を満たすものでも良い。
【0025】
また本実施形態の前記ソール部材12は、図1のD−D線部分断面図である図10(A)に拡大して示す如く、前記溶接部14に沿って形成された厚さが大の増厚部17と、この増厚部17によって囲まれ該増厚部17よりも厚さが小の減厚部19とを含んでいる。このような増厚部17及び減厚部19により、ソール部材12は、その重量をヘッドの周辺部により多く配分することが可能になり、ひいてはヘッド1の慣性モーメントをさらに増加させるのに役立つ。
【0026】
また、一般的に見て溶接部14は、金属組成が他の部分と異なるため、そこから亀裂等が入るなどの耐久性のトラブルが発生がしやすい箇所と言える。本実施形態のように、溶接部14に沿って増厚部17を設けることにより、ヘッドの重量増加を最小限にしながらこの部分の強度の向上を図ることも可能となる利点もある。
【0027】
ここで、上述のような効果を有効に発揮させるためには、特に限定されるものではないが、増厚部17は減厚部19よりも1.0mm以上厚さが大であることが望ましい。この増厚部17の厚さtaが、前記減厚部19の厚さtbよりも1.0mm以上大きくないと、増厚部17を設けたにもかかわらず慣性モーメントの向上効果が少ないものとなるからである。ただし、成形性や応力集中を防止する観点より、例えば前記厚さの差(ta−tb)を1.0〜5.0mm、より好ましくは1.0〜3.0mmとするのが望ましい。
【0028】
また、増厚部17の前記溶接部14の外縁jから該外縁Eと直交する向きの巾Wa(図6、図10に示す)は、例えば5〜15mmとすることが好ましい。この巾Waが5mm未満であると、重量周辺配分効果が相対的に低下する傾向があり、逆に前記巾Waが15mmを超えると、ヘッド重量の増加によるヘッド体積の小型化を招くなどの傾向がある。
【0029】
また本例のソール部材12に形成された増厚部17は、図6に示す如く、該ソール部材12の外周縁Eに沿って形成された第1の増厚部17aと、フェース部2側からバックフェース部6側に向けてのびる第2の増厚部17bとを含むものを示している。この第2の増厚部17bは、例えばその巾が、バックフェース部6側へ向けて漸増する如く形成されており、ソール部材12を好適に補強するのに役立つ。そして、これらの第1、第2の増厚部17a、17bの間に前記減厚部19が形成されたものが示される。
【0030】
なおこのような増厚部17、減厚部19は、図10(B)に示す如く、ヘッド本体13に形成しても同様の作用、効果を得ることができる。そして、この場合においても、増厚部17と減厚部19の厚さの差(ta−tb)や増厚部17の巾taなどの好ましい数値範囲は、前記ソール部材12で説明したものと同じものを適用しうる。
【0031】
このように、前記ソール部材12又は前記ヘッド本体13の少なくとも一方、さらには両方に増厚部17、減厚部19を形成しうる。また、増厚部17と減厚部19とは、図10の例のように段差を介して接続されても良いし、また滑らかに厚さが変化するものであっても良い。また増厚部17と減厚部19とが図10の如く段差を介して接続される場合、その段差はヘッド内方に形成されても良い。
【0032】
図11には、本発明の他の実施形態を示している。
この例では、ソール部材12は、図1のD−D線部分断面図である図11(A)に拡大して示す如く、溶接部14を介して接合されるヘッド本体13の外表面に滑らかに連なる外表面を具える周縁部21と、この周縁部21の外表面から段差状部分22を介してヘッド内部へ窪んだ内窪み部23とを含むものが例示される。本例では、前記周縁部21は、一定の巾Wbにてソール部材12の外周縁全域Eに亘り形成している。
【0033】
この実施形態においては、周縁部21が、内窪み部23に比してヘッドの外方へと張り出すこととなる。従って、前述の溶接部14をヘッド1の中心からより遠くに配置させることが可能となり、さらにヘッドの慣性モーメントを増大させることができる点で好ましいものとなる。このような作用をより有効に発揮させるためには、特に限定されるものではないが、内窪み部23は周縁部21よりも1.0mm以上窪むことが望ましい。この窪み量daが1.0mm未満であると、周縁部21等を設けたにもかかわらず慣性モーメントの向上効果が少ないものとなるからである。ただし、成形性や応力集中を防止する観点より、例えば前記窪み量daを1.0〜5.0mm、より好ましくは1.0〜3.0mmとするのが望ましい。
【0034】
また、周縁部21の前記溶接部14の外縁jから該外縁jと直交する向きの巾Wbは、例えば5〜15mmとすることが好ましい。この巾Wbが5mm未満であると、重量周辺配分効果が相対的に低下する傾向があり、逆に前記巾Wbが15mmを超えると、ヘッド重量の増加によるヘッド体積の小型化を招くなどの傾向がある。
【0035】
なおこのような周縁部21、内窪み部23は、図11(B)に示す如く、ヘッド本体13に形成しても同様の作用を得ることができる。そして、この場合においても、周縁部21からの内窪み部23の窪み量daや、周縁部21の巾Wbなどの好ましい数値範囲は、前記ソール部材12で説明したものと同じものを適用しうる。このように、前記ソール部材12又は前記ヘッド本体13の少なくとも一方、さらには両方に、周縁部21や内窪み部23を形成しうる。
【0036】
【実施例】
チタン合金を用いてヘッド体積300ccのゴルフクラブヘッドを表1の仕様にて試作し、その性能を評価した。なお各ヘッドにおいて、ソール部材、ヘッド本体は、ともにロストワックス法により製造したものであり、ヘッド本体の厚さは実施例3を除き実質的に1.0mmで均一なものとした。また実施例のゴルフクラブヘッドは、いずれも非稜線溶接部分が稜線の全長さの90%をなしており、その位置は、稜線からソール側に7mmとして設定した。これに対して、従来例は、図13(A)及びそのC−C端面図である(B)のように、稜線に沿いかつ該稜線からソール側に30mmの位置に溶接部を設定しており、非稜線溶接部分は具えていないものである。また溶接内盛部の巾Wcは約1〜2mm、肉盛り高さは約4〜6mm、横断面積は約3〜10mm2 とした。
【0037】
また性能テストの内容は、各ヘッドをライ角通りに水平面に置き、ヘッドの重心点を通る垂直軸回りの慣性モーメントと、重心深度(上記状態におけるリーディングエッジからヘッドの重心点までの水平方向距離)とを測定した。各ゴルフクラブヘッドの仕様とテストの結果は、表1に示される。実施例では、従来例に比べて慣性モーメントなどが増加していることが確認できた。
【0038】
【表1】
【0039】
次に、これらの各ヘッドにシャフトを装着してゴルフクラブを製造するとともに、3名のゴルファが各クラブを用いて5球ずつゴルフボールを打撃し、そのときのヘッド速度、ボールの打ち出し角、バックスピン量、キャリー、トータル飛距離(キャリー+ラン)、および目標飛球線に対するずれ量(いずれも平均値)を測定した。なお前記ずれ量は、打撃位置と目標位置とを結ぶ直線を目標飛球線とし、この目標飛球線と落下地点(キャリー地点)との最短距離を測定しており、ずれ量は、左右いずれも+値として測定しその平均としている。テストの結果、表2に示すように、実施例のクラブは、慣性モーメントが増加しているため、打球のずれ量が低減しており、また飛距離も向上するなど非常に良好な結果が得られた。
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、ヘッド本体とソール部材との溶接部の重量を好適にヘッドの周辺に配分することにより、慣性モーメントを増加させることができ、かつ容易に製造しうるゴルフクラブヘッドを提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴルフクラブヘッドの下面側から見た斜視図である。
【図2】ゴルフクラブヘッドの上面側から見た斜視図である。
【図3】ゴルフクラブヘッドのソール部側から見た平面図である。
【図4】ゴルフクラブヘッドのバックフェース部側から見た側面図である。
【図5】ゴルフクラブヘッドのトウ側から見た側面図である。
【図6】図1の分解斜視図である。
【図7】図3のA−A端面図である。
【図8】図3のB−B端面図である。
【図9】稜線の長さを説明するヘッドの平面図である。
【図10】(A)、(B)は、図1のD−D線部分断面図である。
【図11】(A)、(B)は、本発明の他の実施形態を示す図1のD−D線部分断面図である。
【図12】従来のゴルフクラブヘッドの分解斜視図である。
【図13】(A)、(B)は従来例のヘッドの底面図及びそのC−C端面図である。
【符号の説明】
1 ゴルフクラブヘッド
2 フェース部
3 クラウン部
4 ソール部
5 トウ
6 バックフェース部
7 ヒール
9 サイド部
10 ヒール側の交わり部
11 シャフト取付部
12 ソール部材
12S ソール側壁部
13 ヘッド本体
14 溶接部
15 稜線下方の領域
X 稜線
N 非稜線溶接部分
Claims (5)
- ボールを打撃するフェース部、
このフェース部の上縁に連なりヘッド上面をなすクラウン部、
前記フェース部の下縁に連なりヘッドの下面をなすソール部、
前記クラウン部とソール部との間を継ぎ前記フェース部のトウからバックフェースを通り前記フェース部のヒールまでのびるサイド部、
及び前記フェース部と前記クラウン部と前記サイド部とが交わるヒール側の交わり部近傍に配されてシャフトの一端が装着されるシャフト取付部を具えたゴルフクラブヘッドであって、
前記ソール部の表面積の60%以上の領域をいう主要部を含んだソール部材、及び少なくとも前記フェース部とクラウン部とを有しかつ前記ソール部材に溶接により一体化して前記ヘッドを形成するヘッド本体からなり、
かつ前記ソール部材は、前記ソール部の周縁からクラウン部側にのび前記サイド部の一部をなすソール側壁部を具え、
しかもこのソール側壁部が前記ヘッド本体部に溶接された溶接部は、前記クラウン部とサイド部とを区画し前記トウから前記シャフト取付部までのびる稜線から前記ソール側へ3mm以上かつ15mm以内で該稜線に沿ってのびる稜線下方の領域を通る非稜線溶接部分を含み、
かつこの非稜線溶接部分の合計長さを、前記稜線の長さの70%以上としたことを特徴とするゴルフクラブヘッド。 - 前記ソール部材又は前記ヘッド本体の少なくとも一方は、前記溶接部に沿って形成された厚さが大の増厚部と、
この増厚部によって囲まれ該増厚部よりも厚さが小の減厚部とを含むことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。 - 前記増厚部は、前記減厚部よりも1.0〜5.0 mm 厚さが大であり、かつ前記溶接部の外縁から該外縁と直交する向きの巾を5〜15mmとしたことを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブヘッド。
- 前記ソール部材又は前記ヘッド本体の少なくとも一方は、溶接部を介して接合される他方の外表面に滑らかに連なる外表面を有する周縁部と、
この周縁部の外表面から段差状部分を介してヘッド内部へ窪んだ内窪み部とを含むことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。 - 前記内窪み部は、前記周縁部から1.0〜5.0 mmを窪むとともに、
前記周縁部は、溶接部の外縁から該外縁と直交する向きの巾を5〜15mmとしたことを特徴とする請求項4記載のゴルフクラブヘッド。
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1999
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