JP3678469B2 - 微生物数の迅速測定法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は微生物が存在する気体、液体の各種試料中の生菌数を簡易且つ迅速に測定する方法に関し、特に合成高分子製濾過膜膜上に微生物を捕集し、寒天培地上で培養して形成されたコロニー数を計測する微生物数の測定法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より試料中の微生物生菌数を求める方法は知られており、広く使用されている。すなわち液状の試料を濾過し、濾過膜上に菌を捕集し、該濾過膜を平板培地上に移し替えて通常25〜37℃の温度で24〜72時間培養して、生成するコロニー数を求めて生菌数を測定する方法が広く採用されてきている。しかしながら、試料採取から生菌数を測定するまでに要する時間が甚大であるため、種々の観点からこの所要時間を短縮する努力がなされ、それなりの成果を上げてきてはいる。例えば最近の技術の一つを挙げるならば、濾過膜上に捕集した菌を短時間培養して界面活性剤や有機溶媒その他で菌由来のアデノシン−三リン酸を細胞より抽出し、ルシフェラーゼの存在下にルシフェリンと反応させて発光させ、その発光輝点をイメージアナライザーで検出して生菌数を測定する方法が迅速な方法として特開平4−30798号に詳細に記載されている。上述した最新の方法以外にも、捕集した微生物を所定の時間培養して、発光色素で処理して、放射された蛍光を自動検出する方法、あるいは微小の光点を検出するためにスキャナーを使用する方法、或いはまた落射蛍光顕微鏡を使用する方法が提案され、すでに上市されているものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法においては、光を検出するために必要な装置が高額な上、その維持管理は必ずしも容易ではなく、その上通常微生物を取り扱うために実験室に備えた汎用設備で簡単に目的を達成する必要性を考えると、より簡便な迅速生菌数測定法を見いだすことがなお所望されてきた。これに対して例えば、特開平4−218392号では微生物を染色し、その着色度その他から微生物生菌数を容易に測定することを特徴とする迅速測定法を提案している。
【0004】
この方法は、目視もしくは汎用性の高い機器を用いて生菌数を測定する点では優れており、それ故に測定キットも提案されているが、残念ながら常に生菌数測定のために参照すべき検量線が不可欠であり、測定前後に検量線をを作成する煩わしさが避けられず、検体中の菌数は1ml当たり104 個以上存在しないと感度良く定量し得なかった。また着色の気孔、特に微生物の何に由来する染色であるかが明らかにされていないので、菌の種類が多岐にわたった場合には、生菌数の測定方法の適用性にはおのずと制限があり、普遍性を欠くうらみがあり、依然として簡易迅速な生菌数測定法が望まれており課題とされてきた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような背景に鑑み、本発明者は高価な機器を用いることなくまた事前もしくは事後の検量線作成を必要とすることなく、普遍性のある簡易且つ迅速な生菌数の測定方法を提供することを種々検討した。その結果、微生物を濾過膜上に捕集し、寒天培地上で培養して形成されたコロニー数を計測する微生物数の測定法において、表面に親水性基を付与した合成高分子製多孔質濾過膜を使用し、微小コロニーに塩基性染料の、メタノール、エタノール、クロロホルム、水30重量%以下を含有するエタノールから選択される有機溶媒溶液を添加し、該有機溶媒を揮散後、顕微鏡下に染色された該微小コロニー数を計測する微生物数の測定法を見いだして本発明を完成するに至った。
【0006】
ここに、本発明による微生物数の迅速測定法の対象となる微生物は、細菌、酵母、かび及びこれらの芽胞のいずれをも含むものである。これらの微生物の捕集は、好ましくは0.8μmあるいはこれ以下の孔径を有する濾過膜を使用してなされるが、常法に従って微生物を含む試料を吸引濾過して捕集するか、少量の試料に適当な数の微生物の存在が推定し得る場合には吸引濾過することなく単に濾過膜上に試料を付着させることにより捕集しても構わない。このような微生物を捕集するための濾過膜は種々知られており、多孔質濾過膜やデプスフィルタが広く採用され、本体材質や表面加工を考慮すると枚挙に暇がないほど数多くの種類の濾過膜が提案されまた上市されている。具体的には、各種ポリオレフィン、特に塩素やフッ素などのハロゲン置換ポリオレフィン、各種ポリアミド、ポリサルホン、ポリエーテル、ポリカーボネート、各種セルロース誘導体などの材料、素材のものが使用され、さらにはそれらの表面を物理的もしくは化学的に修飾して水酸基、アミノ基、陰イオン交換基、陽イオン交換基などの親水性基を付与した機能性濾過膜などが広く使用されてきている。
【0007】
本発明においては、これらの濾過膜には染料溶液に親和性があることが欠かせない。染料溶液と濾過膜との間に親和性が全く無い場合には染色が困難で採用し難いが、乏しい親和性しか有しない場合でも、染料溶液を過剰に用いて濾過面全体に染料溶液が行きわたるように容器内に置かれた濾過膜を軽く揺すったり振動を与えることが必要であり、その際にコロニーが濾過膜面から剥離、移動し合体したりして、適切なコロニー数検出が難しくなりやはり採用し難い。このため、染色溶液と濾過膜の材質間の相互作用は重要で以下に記述するように前記材料の中でも各種セルロース系のものは採用し難い。
【0008】
更に、上記の染色方法において、顕微鏡下に染色コロニー数を数を的確に計測するために濾過膜上に液膜が存在すると焦点が合わせにくいので、溶媒の風乾もしくは加熱乾燥操作が必要になるが、この過程で濾過膜表面が歪むとやはり顕微鏡の焦点が合わせ難くなり、コロニー計数が困難になる。この事実はすでにアプライド・アンド・エンバイロンメンタル・マイクロバイオロジー48巻、2号、433−4頁、1984年(Applied and Enviromental Microbiology,vol.48,No.2,p433−4(1984))に報告されており、水中のバクテリアをセルロース製濾過膜で捕集し培養後、ブロモクレゾールグリーンとメチルレッドのイソプロパノール溶液で染色した後、完全に乾燥すると濾過膜がカールするので、計数が困難となる事実を示している。
【0009】
これらの事実を背景に、他の材質、素材の濾過膜と染料溶液との組み合わせを鋭意検討し、顕微鏡による計数を円滑に進めるために各種処理工程中平面性を維持する濾過膜として、合成高分子製の濾過膜が好適であることを見いだし、更に少量の染色溶液でも濾過膜上に供された際に振動を与えることなく速やかに行きわたらせるには、有機溶媒の染料溶液が適切であることを見いだした。
【0010】
なお、周知の技術に従って、濾過膜上には計数を容易ならしめるように種々の規格の格子を描くことが好ましく、約2〜3mmの正方格子などがプリントされた濾過膜を使用することが好ましい。また、同時に染色されたコロニーとこれら濾過膜面は色彩的に区別し易いコントラストを与えることがいっそう好ましいが、濾過膜面はある程度染色されてもさしつかえない。
【0011】
次に、前記した濾過膜状に捕集された微生物培養について記載するに、前述の微生物捕集面の反対面から培地の養分が円滑に供給されればほとんどの従来の寒天培地が使用でき、特定の検出すべき微生物を検出することを目的として既存の選択培地を使用することも可能である。この際にもちろん好気下もしくは嫌気下いずれの条件も目的に応じて採用できる。ただし、培地成分が染料と反応してコロニーとの染色反応を阻害する場合には使用を回避するか、このような染料を使用せざるを得ない場合には、培養後、染色前にろ紙などを使用して培地成分を吸い取るか、洗浄して洗い去ることが必要である。この際、コロニーの濾過膜面からの剥離や移動を避けるようにしなければならないことは当然である。
【0012】
微生物を培養して得られたコロニーの染色に関して染料と染料溶液について更に説明すると、染料が背景となる濾過膜の染色と比較してコロニーをコントラスト良く染色し通常光の下に検出し得るものならいずれも採用し得るはずであるが、前記有機溶媒への可溶性を考えると塩基性染料を使用することが必要である。塩基性染料としては、メチレンブルー、サフラニン、フクシン、ゲンチアナバイオレットが好適であるが、これらに限定されるものではない。これら染料を溶解する溶媒は各種の有機溶媒、特に極性有機溶媒が好適であるが、染料を溶解し得て染色が速やかになされ、溶媒揮散に支障がなく、濾過膜の平面性を失わない限り、水を溶媒の一部として加えた有機溶媒も使用し得る。その中でも、特に揮発度が高い有機溶媒やそれら溶媒の混合物が好ましいが、加熱乾燥を適用できる場合には必ずしも揮発度の高いことを考慮しなくても構わない。これら適用可能な溶媒の具体例にはメタノール、エタノール、クロロホルム及び水含有量30%以内のエタノールなどが好ましい。
【0013】
濾過膜の乾燥については、揮発度の高い溶媒や低沸点の溶媒は、単に風乾することで除去し得るので特に好都合である。しかし、気化溶媒が引火しない条件で且つ濾過膜の平面性を保持し得るかぎり加熱乾燥も可能である。
【0014】
コロニー計数について顕微鏡の倍率とコロニーの大きさについて言及すると、10〜40倍程度の顕微鏡倍率が好ましいが、それほど煩わしさをいとわない倍率範囲としては100倍程度でも使用でき、一方染色されたコロニーの大きさから表現すると数μm以上であれば計数可能であるが顕微鏡の倍率が高くなり過ぎると走査が煩わしくなり、場合によってはコロニーとは異なる異物をも計数する虞があり好ましくはないので、コロニーの大きさとしては30μm前後もしくはそれ以上が望まし。しかし、いたずらに大きくなるまで培養時間を延長することは迅速測定の目的に照らして避けるべきである。
また、菌糸を有するかび、放射菌などにあってはその特徴的な構造に従って染色されるため、細菌や酵母ときょう雑物との区別も明確になし得て好都合である。
【0015】
上述した各要件を一層理解し易いように各要件間の若干の組み合わせの具体例を、微生物、濾過膜、塩基性染料と溶媒、培地、培養温度と時間の順に列挙すると次の通りである。計数に要する顕微鏡倍率は10〜30倍程度である。
・大腸菌(以下E.coliと略記)、孔径0.45μmのポリビニリデンフルオライド(以下PVDFと略記)製多孔質メンブレイン(日本ミリポア社製デュラポア:以下材料と孔径のみを記述)、メチレンブルー(以下MBと略記)、とエタノール、エスシーディー培地(以下SCDと略記)(日本新薬製)、温度37℃、5時間培養。
・E.coli、PVDF(孔径0.45μm)、MBとエタノール、SCD、37℃、5時間。
・E.coli、ポリカーボネート(孔径0.45μm)、MBとエタノール、SCD、37℃、6時間。
・E.coli、PVDF(孔径0.22μm)、MBとメタノール、SCD、37℃、6時間。
・E.coli、PVDF(孔径0.22μm)、サフラニン(SNと略記)と水・エタノール等量混合物、SCD、37℃、5時間。
・スタフィロコックス アウレウス(以下S.aureusと略記)、ナイロン(孔径0.45μm)、SNとメタノール、SCD、37℃、7時間。
・アセトバクター アセチ(以下A.acetiと略記)、ポリサルホン(孔径0.45μm)、MBとエタノール、ブロムクレゾールパープル添加プレートカウント培地(以下BCPと略記)(日水製)、30℃、9時間。
・ラクトバチルス ブレビス(以下L.brevisと略記)、PVDF(孔径0.45μm)、フクシン(以下FCと略記)とエタノール、BCP、30℃、8時間。
・ミロコックス ルテウス(以下M.luteusと略記)、PVDF(孔径0.45μm)、FCとクロロホルム、SCD、30℃、14時間。
・シュウドモナス ディミニュータ(以下P.diminutaと略記)、ポリエーテルエーテルケトン(孔径0.45μm)、MBとエタノール、TGE(ディフコ社)、30℃、18時間。
・サッカロミセス セレビッシェ(以下S.cerevisiaeと略記)、PVDF(孔径0.65μm)、MBとエタノール、ポテトデキストロース培地(以下PDAと略記)(日水製)、30℃、8時間。
・アスペルギルス ニガー(以下A.nigerと略記)、PVDF(孔径0.65μm)、MBとエタノール、PDA培地、30℃、7時間。
【0016】
かくして、本発明の目標である高価な測定設備を設けることなく培養時間を短縮すること、換言すると容易かつ迅速な微生物検出方法が提供された。すなわち、短時間の培養では顕微鏡下にも難しい微小コロニー検出を染色操作を加味することで容易にし、その結果培養時間だけでなく計数のために要する時間も短縮することができ、目的の菌数を計測すると言う目標、換言すると微小コロニーを計数し得ると言う目標が達成された。本発明における検出時間は微生物の種類に応じて異なり一概には表現し得ないが、コロニーを目視観測可能な通常24〜72時間の培養時間に対して概ね数分の1とすることを可能にする。要するに塩基性染料と有機溶媒を用いた染色と溶媒の揮散によりその存在が際立たせて顕微鏡下で検出し得るので、著しく培養時間及びこれに続く各種の所要時間を短縮し得るところとなった。
【0017】
【作用】
本発明の微生物生菌数測定方法は、微生物を合成分子製濾過膜上に捕集し、コロニーが染色されて低倍率下でも顕微鏡で計数し得るまで培養し、塩基性染料の有機溶媒溶液で染色し、該有機溶媒を揮散後、染色されたコロニー数を測定することにより、元の微生物含有試料中の微生物数を計測する。
【0018】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明するが、例示であり本発明を限定するものではない。
実施例1
E.coliのスラントより1白金耳を採取し、トリプティックソイブロス(以下Triptic Soy Brothと略記)培地(ディフコ社製)9mlを添加した試験管に接種し、37℃の培養器にて16時間培養した。本培養液を生理食塩水で105 倍に希釈し供試液とした。ついで滅菌フィルタホルダーに孔径0.45μm、直径47mmのポリビニリデンフルオライド(以下PVDFと略記)製メンブレンフィルタ(日本ミリポア社製HVLP)をセットした濾過器に生理食塩水を約50ml添加し、続いて供試液0.1mlを加え静かに振動させながら吸引濾過し、さらに生理食塩水約50mlでメンブレンフィルタを吸引洗浄した。このメンブレンフィルタを回収し、トリプティックソイアガー培地(以下TSA培地と略記)10mlを入れた直径60mmのシャーレに静置し37℃の培養器にて5時間培養した。染色液として孔径0.22μmのPVDF製のメンブレンフィルタで濾過した0.1wt%のメチレンブルーのエタノール溶液0.15mlを、培養終了後のメンブレンフィルタの中央部に滴下した。染色溶液がメンブレンフィルタの全面に広がった後メンブレンフィルタをシャーレの蓋に移し替え、通風下で乾燥し、倍率20倍の顕微鏡で観察したところ、青色に染色されたコロニー105個を容易にカウントできた。
染色を行わない目視によるコロニー数102個をカウントできるまでには少なくとも15時間の培養が必要であった。
【0019】
実施例2
メンブレンフィルタとして前記実施例1のHVLPに代えて、孔径0.22μm、直径47mmのPVDF製メンブレン(日本ミリポア社製GVWP)を用い、染色液として実施例1のエタノールに代えてエタノールと水の重量比が70:30の混合液を用いた以外は、実施例1と同様の実験を行った。しかし本実施例に於いては、滴下された染色液はメンブレン表面を拡散しにくかったので0.3mlを滴下した。5時間培養後のコロニーは青く染色され容易に計数し得た。
【0020】
実施例3
実施例1のメチレンブルーのエタノール溶液に代えてサフラニンの0.08wt%メタノール溶液を用いた以外は実施例1と同様の実験を行った。培養5時間後のコロニーは薄い赤色に染色されコロニー数95個を計測し得た。ただし、メチレンブルーに比べてやや染色されたコロニーとメンブレンとのコントラストが悪くメチレンブルーよりはカウントし難かったが結果の評価には何ら問題がなかった。
【0021】
実施例4
S.cerevisiaeのスラントより1白金耳を採取し、ワイエムブロス(以下YMBrothと略記)培地(ディフコ社製)9mlを添加した試験管に接種し、30℃の培養器にて16時間培養した。本培養液を生理食塩水104 倍に希釈し供試液とした。実施例1と同じ様に滅菌フィルタホルダーに孔径0.65μm、直径47mmのPVDF製メンブレンフィルタ(日本ミリポア社製DVPP)をセットした濾過器に生理食塩水を約50ml添加し、続いて供試液0.1mlを加え静かに振動させながら吸引濾過し、さらに生理食塩水約50mlでメンブレンフィルタを吸引洗浄した。このメンブレンを回収しあらかじめ用意しておいたポテトデキストロース寒天培地(以下PDA培地と略記)(ディフコ社製)10mlを入れた直径60mmのシャーレに移し替え、30℃の培養器で8時間培養した。培養終了後実施例1と同様メチレンブルーのエタノール溶液で染色し以下同じ操作を繰り返した。倍率20倍で青色コロニー90個を容易に計数し得た。
【0022】
実施例5
市販のプレーンヨーグルトを滅菌済0.1wt%ペプトン入り生理食塩水106 倍に希釈し供試液とした。HVLP付ミリフレックスのファネル(日本ミリポア社製)に0.1wt%ペプトン入り生理食塩水を約50ml加えて供試液を0.1ml添加し濾過し更に約50mlの0.1wt%ペプトン入り生理食塩水で吸引洗浄した。これを約10mlのトマトジュース寒天培地(ディフコ社)の入った培地カセットにセットし、30℃で6時間培養し、メンブレン付ファネルセット部分を取り外し実施例1で用いたと同じ染色液を0.13ml滴下し乾燥後、拡大鏡を20倍にして観察し青色のコロニー72個を計数し得た。
【0023】
実施例6
輸入ミネラルウォーター0.1mlを実施例2で用いた日本ミリポア製GVWPメンブレンフィルター上に添加し菌を濾過し捕集した。ついで寒天は通常どおり1.5wt%添加してあるが他の培地成分を1/10の低濃度としたTGE培地上に先のメンブレンをのせ、25℃で48時間培養した。培養後メチレンブルー0.1wt%のエタノール溶液0.15mlをメンブレン中央に滴下して染色し顕微鏡下に大小のコロニーが容易にカウントできた。メンブレンフィルターを用いず、寒天培地上で0.1mlの試料培養を行った場合、顕微鏡下では48時間ではまだコロニーは小さいものが多くカウントしにくく、72時間でも寒天培地とコロニーのコントラストが悪くカウントしにくかった。
【0024】
実施例7
滅菌済0.1wt%ペプトン入り生理食塩水で市販のヨーグルトを105 倍に希釈した供試液の0.1mlをトマトジュース寒天培地(ディフコ社製)に置かれた日本ミリポア製メンブレンフィルタHVLP上に滴下し吸引濾過する事なくコンラージ棒でメンブレンフィルター上にひろげ、37℃で6時間培養した。ついで、0.1wt%のマラカイトグリーを含有するエタノール染色液で実施例1と同様にフィルタ上のコロニーを染色した。コロニーは青色に染まりカウントは容易であった。
【0025】
【発明の効果】
微生物を濾過膜上に捕集し寒天培地上で培養して形成されたコロニー数を計測する微生物数の測定法に於て本願発明を適用することにより、従来よりははるかに培養時間を短くしても、即ち形成されたコロニーが微小でも染料の有機溶媒溶液で該微小コロニーを染色し次いで溶媒を揮散し得られた染色微小コロニー数を顕微鏡下に計測する微生物数の迅速測定を可能とした。
その結果さらに、通常微生物を取り扱う実験室に備えた汎用設備で簡単に目的を果たし得ること、生菌数測定のために参照すべき検量線を作成するわずらわしさが避けられること、また例えこの煩雑さを容認し得たとしても従来の染色法が濾過膜1枚に付き104 個以上の微生物の存在が不可欠であったことに対し本法ではかなりの菌数存在という制限が無くなったこと、菌の種類が多岐にわたっても生菌数の測定方法としての適用性が広く普偏性を有すること、ときには染色状態からカビや放線菌の存在を半定量的にも認知し得る効果をもたらすものでもある。
Claims (3)
- 微生物を濾過膜上に捕集し、寒天培地上で培養して形成されたコロニー数を計測する微生物数の測定法において、表面に親水性基を付与した合成高分子製多孔質濾過膜を使用し、微小コロニーに塩基性染料の、メタノール、エタノール、クロロホルム、水30重量%以下を含有するエタノールから選択される有機溶媒溶液を添加し、該有機溶媒を揮散後、顕微鏡下に染色された該微小コロニー数を計測する微生物数の測定法。
- 合成高分子製多孔質濾過膜は、平均孔径0.8μm以下のポリオレフィン、ハロゲン置換ポリオレフィン、ポリアミド、ポリサルホン、ポリエーテル、ポリカーボネートの表面を物理的もしくは化学的に修飾して水酸基、アミノ基、陰イオン交換基、陽イオン交換基などの親水性基を付与した機能性濾過膜より選択される、請求項1の測定法。
- 塩基性染料は、メチレンブルー、サフラニン、フクシン、ゲンチアナバイオレットより選択される、請求項1または2の測定法。
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