JP3677576B2 - 電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶剤を用いた洗浄工程を含む各種電子部品、特にインダクター、トランス等の各種コイル部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器に搭載される極小型のインダクター、トランスなどの各種コイル部品は、[図1]に示すように、コアやボビン等の支持部材2の中間部21上に導電線5を巻装し、全体を外装絶縁樹脂で被覆した構造をとるのが一般的である。
【0003】
このようなコイル部品およびその製造工程は、例えば特開平10−92625号公報に記載されている。この公報に記載されているコイル部品の製造工程では、先ず最初に支持部材2の中間部21に融着皮膜と絶縁皮膜を有する導電線5を巻装する。次に、電極部分24、25にフラックスを含有するクリ−ムハンダを塗布し、加熱して導電線の端部を電極24、25にはんだ付け接続する。その後、化学的処理による洗浄によって融着皮膜とともにはんだ付け工程で付着したフラックス残渣を除去する。融着皮膜を除去することことによって導電線間に生じる間隙に液状熱硬化性絶縁樹脂を塗布、含浸させ、硬化させて線間絶縁物3を形成する。最後に、熱硬化性絶縁樹脂の熱硬化処理をした後に端子の先端部分を除いた全体を熱可塑性絶縁樹脂で包み込んで外装体を成型する。
【0004】
通常、導電線としては、[図2]に示すように、導電芯線51の周囲に絶縁皮膜52とその上に形成された融着皮膜53との二重の被覆を有する線材を用いる。絶縁皮膜52はポリウレタン等からなり、また、融着皮膜53はポリエステル等からなる。融着皮膜53は上述のように化学的処理による洗浄によって除去可能な材料で構成される。また、融着皮膜53は自己融着皮膜ともよばれる。絶縁皮膜52は省略可能ではあるが、製造工程で近接する導電線同士が接触した場合、短絡するおそれがあるので、絶縁皮膜52を有する構造のものが一般的である。
【0005】
洗浄工程では導電線5の絶縁皮膜52を残し、融着皮膜53およびフラックス残渣を除去する。融着皮膜53を除去するのは、熱可塑性成形樹脂で外装成形する際の高温高圧の成形条件下で融着皮膜53が溶融して巻線部を短絡させたり、断線が発生するためである。融着皮膜を除去してこうした危険を防止する。また、はんだ付けによるフラックス残渣がコイルの外装成形時に金型に付着すると、成形不良等の外観不良の原因となり、また、腐食の原因になる。これらの問題を回避するために残ったフラックス残渣も除去する必要がある。
【0006】
従来、洗浄工程では洗浄用溶剤として塩化メチレンを用いていたが、塩化メチレンは環境に対する影響が大きいため、その製造および使用を中止する努力が日本国内および世界で行われている。
本発明者は特願2001−264274で環境に対する影響が大きい塩化メチレンを含まない溶剤を用いた洗浄工程を含む電子部品の製造に好適な洗浄方法および洗浄用溶剤を提供した。この発明に開示の溶剤は優れた洗浄能力を有し、満足のいくものであるが、可燃性を有するという難点があり、火気に厳重な注意が必要である。
【0007】
一方、臭化炭化水素系の溶剤が油分に対して優れた洗浄性を有することは知られている。特に、臭化炭化水素系溶剤であるイソプロピルブロマイド(IPB)やノルマルプロピルブロマイド(NPB)は非引火性であることが知られており、例えば特開平6−220494号公報にはIPBおよび/またはNPBを主成分とし、その安定剤として、ニトロメタンなどのニトロアルカン類を添加した溶剤が開示されている。特開平8−337795号公報には、蒸気洗浄のように高温度で長時間繰り返し使用される条件下でNPBを安定して使用するために、ニトロメタンおよび1,2-ブチレンオキサイドを添加した洗浄組成物が開示されている。特開平9−302389号公報には、n−臭化プロピル及び/又はイソ臭化プロピル、ニトロアルカンおよびブチレンオキサイドを含有する洗浄組成物が開示されている。
しかし、この特許公報に記載の組成物は、ポリエステル等からなる融着皮膜に対しては溶解能がなく、本発明が対象とする電子部品の製造方法では用いることができない。
一方、特開平11−172290号公報には溶解能を改良したプラスチック用溶剤組成物が開示されている。この特許ではIPB及び/又はNPBに安定剤を加えたものを第1成分とし、プラスチックに対して溶解性を有するKB値が70以上の有機溶剤を第2成分としている。しかし、この組成物は有機溶剤を含むため環境および引火性に対する配慮が必要である。
従って、環境への弊害が少ないIPB又はNPBを主成分とし、かつ、ポリエステル樹脂等のプラスチックに対して高い溶解力を有し、しかも、非引火性であるプラスチック用溶剤組成物が望まれている。特に、本発明が対象とする電子部品の製造方法では、ポリウレタンからなる絶縁皮膜を溶解させずにポリエステルからなる絶縁皮膜のみを溶解させるといった、2種類のプラスチックに対する極めてクリティカルな洗浄能力が要求されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点のない電子部品の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の対象は、被覆を有する導電線を支持部材に巻装する巻装工程と、溶剤によって前記被覆を除去する除去工程とを含む電子部品の製造方法において、前記溶剤がイソプロピルブロマイド及び/又はノルマルプロピルブロマイドと、1種又は2種以上のニトロアルカンとを含み、ニトロアルカンが溶剤の全量に対して15〜40重量%であることを特徴とする製造方法にある。
本発明の製造方法はさらに、上記除去工程の前に導電線を端子にフラックスを用いてハンダ付けする工程を含み、ハンダ付け工程で付着したフラックス残渣を前記除去工程で除去するのが好ましい。
本発明の製造方法は、上記の被覆がポリエステルである場合に特に好ましく適用できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法で使用する溶剤はイソプロピルブロマイド及び/又はノルマルプロピルブロマイドと、1種又は2種以上のニトロアルカンとを含み、ニトロアルカンが全量に対して15〜40重量%であり、この組成の溶剤は融着皮膜を溶解する能力を有している。すなわち、ポリウレタンからなる絶縁皮膜を溶解させずに、ポリエステル等からなる絶縁皮膜のみを溶解させるという特徴を有している。
上記溶剤はさらに、はんだ付けに用いるフラックスに対しても洗浄性を有するので、外装成形時の不良や腐食の原因となるフラックス残澄を除去することができる。
【0011】
IPBおよびNPBは、毒性が少ない点、非引火物である点、非水性である点、蒸留再生によりリサイクルが可能な点など、溶剤として優れた特徴を有している。NPBはIPBと比較して毒性がより低いので、より好ましく用いることができる。前記溶剤組成物ではIPB及び/又はNPBは全溶剤に対して通常60〜85重量%、好ましくは65〜75重量%含まれる。IPBおよびNPBの両方を用いる場合には、それらの組成比は任意でよい。
【0012】
本発明で用いるニトロアルカンとしては、通常、炭素数が1〜2のニトロアルカンが好ましく、特にニトロメタン、ニトロエタンは毒性が少ないので好ましい。さらに、ニトロエタンには発ガン性がないことが既に確認されているので、ニトロエタンが最も好ましく用いられる。前記溶剤組成物においてニトロアルカンは、全溶剤に対して通常、15〜40重量%、好ましくは25〜35重量%、より好ましくは30重量%含まれる。溶剤に含まれるニトロアルカンが上記の範囲内にある場合にはプラスチックに対する溶解力とフラックス洗浄力の両方がバランス良くえられ好適である。
【0013】
また、前記溶剤組成物は、上記の化合物の他に、フッ素系溶剤を少量含んでいてもよい。フッ素系溶剤を少量含めると溶剤の表面張力を低下させることができ、溶剤の浸透性を向上させることができる。そのようなフッ素系溶剤の例としてはC5210、C49OCH3、C49OC25、(CF3)2NCH2CF2H、(CF3)2NCH2CF3、(CF3)2NCH2CH3、(CF3)2NC37、CH3CC12F、CH3CF2HC12、CClF2CF2CHClF、CF3CF2CH2OH、CF3CH2〇H、CF3CH2CF2CH3などが挙げられる。
溶剤に含まれるこれらのフッ素系溶剤は、全溶剤に対して0.1〜10.0重量%、より好ましくは0.5〜1.0重量%である。
【0014】
前記溶剤組成物は1,2−ブチレンオキサイドをさらに含むことができる。ニトロアルカンに加えて1,2−ブチレンオキサイドを加えることによってIPBおよびNPBを安定させることができる。この1,2−ブチレンオキサイドの含有量は0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%にする。1,2−ブチレンオキサイドの含有量が0.1重量%未満では上記の安定させる効果が得られず、10重量%を超えるとポリエステルおよびフラックスに対する洗浄性が低下する。
ニトロエタン、1,2−ブチレンオキサイドがIPBおよびNPBの分解反応を抑制する効果を有することは上記の特開平6-220494号公報、特開平8-337795号公報に開示されている。しかし、これらの特許に開示の組成比では本発明の製造方法が対象とする電子部品の洗浄には効果がない。
【0015】
またノルマルプロピルブロマイドの沸点は71℃であり、ニトロエタンの沸点は114℃であるが、本発明の製造方法で使用する溶剤は約80℃で共沸する。従って、乾燥のために他の溶剤を用いて置換洗浄する必要はない。
【0016】
また、前記の洗浄用溶剤は、不発明の効果を損なわない限り、他の成分を含むことができ、また、洗浄用溶剤として用いられる通常の添加剤を含むことができる。その他の任意成分としては、IPB、NPB以外の臭素系溶剤;トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどの塩素系溶剤;アセトン、ジメチルホルムアミド、N−メチルビロリドン、酢酸エチル、乳酸エチルなどの有機溶剤;その他溶剤として用いることができる物質を挙げることができ、さらに、フェノール類、アミン類、エーテル類、アミレン類、エステル熱、有機ホスフェイト類、エポキサイド類、フラン類、アルコール類、ケトン類、トリアゾール類等を含むことができ、さらに、安定剤等を含んでいてもよい。
前記溶剤組成物は上記成分を混合して作ることができ、その混合方法については特に制限はない。
【0017】
以下、本発明の製造方法を[図3]〜[図7]を参照して説明する。
巻装工程
まず、[図3]に示すように、導電線5を支持部材2上に巻装する。導電線5は、[図2]に示したように導電芯線51の周りに絶縁皮膜52と、絶縁皮膜の上に化学的処理によって除去可能な融着皮膜53とを有する線材を用いる。絶縁皮膜52の代表例はポリウレタンであり、融着皮膜53の代表例はポリエステルである。融着皮膜は、化学的処理によって除去可能であればよいので、必ずしもポリエステルである必要はなく、ポリアミド等他の樹脂でもよい。また、絶縁皮膜52は、融着皮膜53を除去した直後、線間絶縁物を形成する前に導電線同士が接触して短絡するのを防ぐのを目的としており、導電線間の短絡が有効に防止できるならば省略することもできる。
【0018】
はんだ付け工程
次に、上記のように導電線5を巻装した支持部材2を、リードフレーム8の一部を切り起して形成された端子6−7間に搭載し、固定する。固定は、支持部材2のつば部22、23の側端面に形成された電極部24、25にクリ−ムハンダを塗布し、電極部分24、25と、導電線5の末端501、502と、端子6、7とを、はんだ付けにより接続することによって行う。なお、図には省略されているが、前記リードフレーム8には、その長さ方向(紙面に対して垂直方向)に沿って、同様の端子6、7が間隔を隔て多数形成されている。
【0019】
被覆除去工程
次いで、洗浄用溶剤を巻線部1に浴びせる化学的処理による洗浄工程によって導電線5を被覆している融着皮膜53を除去する。本発明の製造方法では、例えば1−ブロモプロパンを70重量%、ニトロエタンを27重量%、1,2−ブチレンオキサイドを3重量%含む本発明の洗浄用溶剤を使用する。この洗浄工程において、はんだ付け工程において付着したフラックス残渣等も除去する。洗浄方法には特に限定はなく、シャワー洗浄、蒸気洗浄、浸漬洗浄+バブリング洗浄、浸漬洗浄+超音波洗浄などが使用できる。特に、洗浄用溶剤が常に清浄で、十分な洗浄効果を得ることができること、回収性がよくリサイクルが可能であること、そして、洗浄効果の点から、シャワー洗浄が好ましい。
なお、本発明の洗浄用溶剤の沸点はほぼ80℃であるため、乾燥を目的とした他の洗剤を用いた置換洗浄は必要ではない。
【0020】
[図4]に本発明の方法の洗浄工程を示す。コンベアー82には[図3]に示した製造途中のコイル部品が固定されたリードフレーム81が多数搭載されている。リードフレーム81のコイル部品は洗浄室83でシャワー84によりシャワー洗浄される。シャワー84は、その両側から本発明の洗浄用溶剤が噴き出す構成になっており、本発明の洗浄用溶剤のシャワーによりコンベア82に搭載されたリードフレーム81のコイル部品が洗浄される。本発明によるシャワー洗浄による洗浄時間は例えば5分である。同様な洗浄効果を得るためには蒸気洗浄では7分、浸漬洗浄では10分を要する。
このようにコイル部品が固定されたリードフレーム81をコンベアーにより移動して一連の洗浄工程が完了する。洗浄工程により融着皮膜が除去された後のコイル部品様子を[図5]に示す。間隔Gが融着皮膜の除去によって生じた隙間である。
【0021】
線間絶縁物の形成
次に、[図6]に示すよう、前記融着皮膜を除去した後に生じた隙間Gに、液状熱硬化性絶縁樹脂を塗布して含浸させ、加熱処理を行なって硬化させることにより、線間絶縁物3を形成する。線間絶縁物3は紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂が好ましい。これらの樹脂を用いればその後の外装体の成形工程において熱を加えられても可塑化することなく導体線が固定される。
【0022】
成形工程
次に、[図1]に示すように、端子6、7の先端部分62、72を除いた全体を熱可塑性絶縁樹脂で包み込んで、外装体4を成型する。外装体の成型工程では、既に、導電線5の間に生じる隙間に熱硬化性絶縁樹脂の線間絶縁物3が充填されている。従って、導電線5及び線間絶縁物3が一体化された状態で、高い成型圧力及び成型温度に起因して発生するストレスに対抗する。このため、導電線5の絶縁皮膜52の破壊、導体芯線51(図2参照)の変形もしくは断線、または導体芯線51同士の短絡などを、確実に阻止することができる。しかも、導電線5が線間絶縁物3と一体化されているので、外装体4の成型時に導電線5が動くことがない。このため、巻線部1の巻き態様を良好に保ち、安定したインダクタンス値を確保し得る。最後に、端子6、7を前記リードフレーム8から切り取って[図1]に示すコイル部品が完成する。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の製造方法によるコイル部品の製造工程について、具体的実施例を示して説明する。
実施例で用いた本発明溶剤の組成は以下の通りとした。
本発明の溶剤組成
本実施例ではイソプロピルブロマイド(IPB)及び/又はノルマルプロピルブロマイド(NPB)、ニトロアルカンおよび1,2−ブチレンオキサイドを含む本発明による溶剤1〜6を調整し、各溶剤の成分と融着皮膜(ポリエステル)、フラックスおよび絶縁皮膜(ポリウレタン)に対する洗浄性を検証した。実施例で使用した溶剤の成分および特性を[表1]に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0003677576
【0025】
対照例および比較例の組成
対照例として塩化メチレンを用いた。また、比較例としては特開平8−33775号公報の実施例5に記載の下記組成物(以下、比較組成物という)を用いた:
比較組成物
1−ブロモプロパン 100重量部 (94.8重量%)
ニトロエタン 5重量部 ( 4.7重量%)
1,2−ブチレンオキサイド 0.5重量部 ( 0.5重量%)
【0026】
先ず、上記の溶剤1〜6、対照例および比較組成物の洗浄性能を調べるために下記の各種テストを行った。
[融着皮膜(ポリエステル)に対する洗浄性テスト]
用いた導電線は2CW−N4E(理研電線株式会社製)で、そのスペックは以下の通り:
線径:0.03mm
導電芯線:銅線
絶縁皮膜:膜厚2μmのポリウレタン
融着皮膜:膜厚2μmのポリエステル(溶融温度90℃)
洗浄条件:シャワー洗浄(シャワー流量:75cc/分、ノズル径:φ0.9mm、1リットル瓶)で導電線を洗浄。
評価方法:下記の評価基準で目視により評価した。
〇=導電線が最後まで巻き解ける(自己融着皮膜が残っていない)
×=導電線が最後まで巻き解れない(自己融着皮膜が残っている)
結果を[表2]に示す。
【0027】
【表2】
Figure 0003677576
【0028】
この結果は、本発明の溶剤1〜6は塩化メチレンに比べて5分間までは洗浄性に劣るが、5分間以上の洗浄で塩化メチレンと同様に良好な洗浄性が得られ、自己融着皮膜が除去されることを示している。
【0029】
[絶縁皮膜(ポリウレタン)に対する攻撃性テスト]
[耐圧試験]
導電線
このテストでは2CW−N4Eφ0.15(理研電線製)2本を撚り線(長さ120mm;撚り数24回)とし、また、2CW−N4Eφ0.035(理研電線製)2本を撚り線(長さ120mm;撚り数50回)として、液温40℃で、3、10および100分間超音波洗浄後、耐圧試験機(型式TOS8700;菊水電子工業、MAX:DC10KV)により直流電圧を印加し、耐圧を検討した。
評価方法:
塩化メチレンで洗浄した現状製品の電圧値と比較し、同等かそれ以上であれば合格とする。数値が高いほど絶縁皮膜に与える影響が少ないと判断される。
結果を[表3]に示す。
【0030】
【表3】
Figure 0003677576
【0031】
本発明の溶剤1〜3は塩化メチレンに比べて洗浄性が劣るが、実用上の問題はない。
【0032】
[ピンホール試験]
このテストは導電線の絶縁皮膜の本発明溶剤に対するピンホールテストである。
同じロットの導電線からφ0.15は約6m、φ0.035は約1.5mの試験線を10本作製し、液温40℃で3、10および100分間超音波洗浄後[表3の洗浄条件後、フェノールフタレイン3%アルコール溶液の適量を滴下した0.2%食塩水に長さ5mを浸し、液を正極、試験線を負極とし、12Vの直流電圧を1分間加えて発生するピンホールを目視により評価した。結果を[表4]に示す。
【0033】
【表4】
Figure 0003677576
【0034】
溶剤1〜6、塩化メチレンおよび比較組成物の全てが40℃、100分の超音波洗浄ではピンホールを発生せず、絶縁皮膜(ポリウレタン)に対して、洗浄工程で問題となる攻撃性(溶解性)を持たないことが確認された。
【0035】
[オメガメーターによるフラックス残渣量の測定]
本発明および比較例の溶剤を用いて洗浄したサンプルをさらにIPA75重量%/純水25重量%からなる洗浄液で洗浄し、洗浄液の比抵抗を測定した。測定条件および結果は以下の通り。
測定条件
洗浄液 IPA75重量%/純水25重量%
体積 2000ml
温度 約45℃
洗浄時間 10分
測定器 オメガメータ、型式 600−SMD アルファメタル社
試験数 200
【0036】
【表5】
Figure 0003677576
【0037】
比抵抗値が高い程、洗浄性は優れていると判断される。本発明の溶剤1、2およびで4〜6で洗浄された試料は比較組成物と同程度の高い比抵抗が得られ、好適であり、本発明の溶剤3で洗浄された試料は塩化メチレンと同程度の比抵抗が得られる。
【0038】
次に、本発明、対照例および比較組成物の溶剤を実際のコイル部品の作製で使用した実施例を示す。この実施例では下記組成を有する上記の溶剤6を用いた:
ノルマルプロピルブロマイド 67重量%
ニトロエタン 30重量%
1,2−ブチレンオキサイド 3重量%
1.コイル部品の作製
支持部材に絶縁被膜および融着被膜を有する導電線を巻装し、電極部分にフラックスを含有するクリームはんだ(SPT70−OF−10:千住金属工業製)を塗布し、加熱して電極部分、導電線の端部および端子をはんだ付け接続して、図3のコイル部品を作製した。
【0039】
2.コイル部品の洗浄
次に、[図4]に示した洗浄装置で、本発明の洗浄用溶剤を巻線部に浴びせるシャワー洗浄を行って、融着皮膜およびはんだ付け工程により付着したフラックスを除去した。洗浄時間はシャワー洗浄5分とした。
塩化メチレンを用いた対照例では液温約40℃で、約3分間のシャワー洗浄を行なった。
【0040】
3.線間絶縁物の形成
実施例、比較例とも線間絶縁樹脂を塗布し、外装体を成形してコイル部品を完成させた。
線間絶縁樹脂を塗布する工程では、熱硬化性絶縁樹脂として、シリコンアクリレート絶縁樹脂を用いた。用いられたシリコンアクリレート絶縁樹脂は粘度250mpa・Sの液状絶縁樹脂であり、含浸工程では、加熱温度100℃、加熱時間20秒の熱処理を行ない、熱硬化処理工程では、紫外線を15秒間照射した後、150℃で10分間の加熱硬化処理を行なった。
【0041】
4.成形
外装体の成形工程の成形プロセス条件は以下の通り:
成型条件:インジェクション成形
射出速度:50mm/s
成型圧力:490kg/cm2
シリンダ温度:360℃
金型温度:115℃
成型サイクルタイム:10秒
熱可塑性絶縁樹脂:液晶ポリマー(EC301B、日本石油株式会社製)
【0042】
本発明実施例、対照例、比較例の溶剤を用いて製造されたコイル完成部品の特性を評価したが、いずれのコイル部品も全く同等な特性を示した。
以上、本発明の好適な実施の形態と実施例について説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。いわゆる当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に相当し得ることは明らかであり、それらについても当然日本発明の技術的範囲内に属すると了解される。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述のように、本発明方法に従うと、環境に対する影響が大きい塩化メチレンを含む溶剤を使用する必要がなく、また、火災の危険のない溶剤を用いて電子部品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法が適用される電子部品の一例の断面図。
【図2】 本発明の製造方法が適用される電子部品に使用される導電線の一例の断面図。
【図3】 巻線工程後の電子部品を示す図。
【図4】 本発明の製造方法の洗浄工程の一例を示す図。
【図5】 洗浄工程後の電子部品を示す図。
【図6】 線間絶縁樹脂が塗布された電子部品を示す図。
【符号の説明】
1 巻線部
2 支持部材
3 線間絶縁物
4 外装体
5 導電線
6、7 端子
8、81 リードフレーム
22、23 つば部
24、25 電極
51 導電芯線
52 絶縁皮膜
53 融着皮膜
82 コンベアー
83 洗浄室
84 シャワー

Claims (7)

  1. 被覆を有する導電線を支持部材に巻装する巻装工程と、溶剤によって前記被覆を除去する除去工程とを含む電子部品の製造方法において、
    前記溶剤がイソプロピルブロマイド及び/又はノルマルプロピルブロマイドと、1種又は2種以上のニトロアルカンとからなり、ニトロアルカンが溶剤の全量に対して2040重量%であることを特徴とする製造方法。
  2. 前記溶剤はニトロアルカンの量が全量に対して25〜35重量%である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記溶剤はニトロアルカンが、ニトロメタンまたはニトロエタンまたはこれらの混合物である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記溶剤がフッ素系溶剤をさらに含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記溶剤が1,2−ブチレンオキサイドをさらに含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記除去工程の前にフラックスを用いて導電線を端子にハンダ付けする工程を含み、前記ハンダ付け工程で付着したフラックス残渣を前記除去工程で除去する請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記被覆がポリエステルからなる請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
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