JP3677461B2 - 汚泥脱水方法及び汚泥脱水装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は汚泥脱水方法及び汚泥脱水装置に係わり、特に、下水処理設備や工場廃水処理設備等より排出される汚泥(余剰汚泥等)の脱水処理に適した汚泥脱水方法及び汚泥脱水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水処理設備や工場廃水処理設備等より排出される水分を含んだ余剰汚泥あるいは湖沼のヘドロやアオコなどの脱水方法として、回転ドラム型真空プリコート式脱水方法がある。
【0003】
この脱水方法は、回転軸が水平になるようにして汚水に半分程度浸っている通水性を備えた回転ドラムがその外周部にろ過助剤としてのプリコート層を有し、回転ドラムの回転に合せて内部を減圧化して、プリコート層に接触している水分を含んだ汚泥を吸着せしめ、吸着した汚泥は汚水外部における回転ドラムの外周部に設けたブレードでプリコート層とともに切削回収し、回転ドラムの内部に流入した水分は排出することで汚泥の脱水を行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
回転ドラム型真空プリコート式脱水を行う回転ドラム型真空プリコート式ろ過装置では、ろ過助剤(プリコート層)としてケイソウ土又は廃棄物として排出される水分を含んだ脱水処理された汚泥を炭化処理及び粉砕分級したもの(以下、炭化汚泥と呼ぶ)を使用している。
【0005】
この種装置で脱水処理を行って行くと、プリコート層に貫入が発生する。貫入は汚泥がプリコート層上に吸着されていく過程において、粒度の小さいものがろ過助剤間の隙間に浸透していくものであり、単純に云えば、目詰まりである。目詰まりが進めば、回転ドラム内部をいくら減圧(真空)化しても、汚泥を吸着させることは不可能となる。
【0006】
従って、良好な脱水を持続させるためには貫入によるろ過抵抗の除去が必要で、吸着汚泥の切削深さを貫入深さ以上として汚泥未貫入領域がプリコート層表面になるようにする。
【0007】
切削除去した汚泥(以下、除去汚泥と呼ぶ)について見ると、これは吸着されあるいは貫入した汚泥とプリコート層を構成するろ過助剤からなっている。除去汚泥におけるろ過除剤と汚泥の比率(DS比=ろ過除剤固形分/汚泥固形分)は低いほうが汚泥固形分の分量が多く、除去汚泥の再利用において有効である。
【0008】
DS比を下げるためには、切削を行うブレードの切込量を減らしていたが、貫入した汚泥、即ち目詰まりの除去が不充分となり、ろ過装置としての処理量減となり、また、プリコート層の収縮・膨張による切削不安定化などの問題があった。
【0009】
それゆえ、本発明の目的は、除去汚泥の再利用を有効に行える汚泥脱水方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、処理量が高くかつ安定な汚泥除去を維持できる回転ドラム型真空プリコート式脱水方法による汚泥脱水方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の特徴とするところは、外周部にプリコート層を有し通水性を備えた回転ドラムの回転に合せて該回転ドラムの内部を減圧化して、該プリコート層に接触している水分を含んだ汚泥を吸着せしめ、吸着した汚泥は該プリコート層とともに該回転ドラムの外周部に設けたブレードで切削回収し、該回転ドラムの内部に流入した水分は排出することで汚泥の脱水を行うものにおいて、プリコート層に吸着した汚泥の表層部を切削することとプリコート層中に浸透した汚泥をプリコート層とともに切削することを分けて実行し、それぞれ切削したものを個別に回収することにある。
【0012】
本発明のさらなる特徴とするところは、前記プリコート層に吸着した汚泥の表層部及び前記切削後の各プリコート層表面部の状況をそれぞれ検出するセンサの検出結果から、前記切削深さを調整することにある。
【0013】
本発明によれば、プリコート層に吸着した汚泥の表層部から切削したものは、汚泥リッチでありDS比は低く、プリコート層中に浸透した汚泥をプリコート層とともに切削したものはろ過助剤リッチであり目詰まりが少ないプリコート層を露出させることができる。分けて切削した2つのものはそれぞれ汚泥とろ過助剤の純度が高いから、個別に回収して再利用することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図に示した本発明の一実施形態になるろ過装置(汚泥脱水装置)の構成及び汚泥脱水方法について説明する。
図1に示す実施形態は、排水をオキデーションディッチ法(以下OD法と呼ぶ)により微生物処理するろ過装置(汚泥脱水装置)に本脱水方法を具体化した装置を組込んだものである。
【0015】
まず、OD法による排水処理では、排水原液1がオキデーションディッチ槽2に供給され、槽内にエア3を送ってエアレーション4を行い微生物処理が為される。微生物処理された処理汚水は沈殿槽5に送り、攪拌モータ6にて攪拌し、沈殿汚泥と上澄み水に分離させる。上澄み水は排水処理池7に送り、塩素殺菌処理を行い処理水8として河川等に放流する。
【0016】
沈殿槽5で得られる沈殿汚泥は固形分濃度が1〜2%と高い濃縮汚泥であり、脱水処理対象として回転ドラム型真空プリコート式脱水を行う回転ドラム型真空プリコート式ろ過装置10に送る。
【0017】
このろ過装置10は、通水性の回転ドラム11の外周にプリコート層12を設けたもので、ドラム11を回転させつつ真空吸引13を行い、脱水する。真空吸引13は回転ドラム11の内部を減圧化して行っており、汚泥はプリコート層12の表面部に吸着される。粒度の細かいものは貫入を起こして、プリコート層12中に浸透する。プリコート層12を構成するろ過助剤としては、後述するように、回収した汚泥を炭化・分級したものを用いている。
【0018】
回転ドラム11におけるプリコート層12の表面に吸着しあるいは層中に貫入・浸透した汚泥に対し、2枚のブレードで二段切削を行い、一段目脱水ケーキ14とに分離して排出する。
【0019】
一段目脱水ケーキ14は汚泥リッチなもので、一段目脱水ケーキ受け容器16に集める。一段目脱水ケーキ14は、乾燥炉17で乾燥させ、炭化炉18にて炭化処理を行い、炭化物となる。その炭化物を、粉砕機19にて微紛に加工し、プリコート剤(ろ過助剤)に最適な粒度分布となるように分級機20にて微紛と粗紛を分離し、最適粒度(一例は後述)の炭化汚泥をろ過装置10に戻してプリコート剤として再利用するために、一旦、プリコート槽21に送り、清水と混合する。
【0020】
二段目脱水ケーキ15は汚泥が僅かでプリコート層を構成しているろ過助剤(炭化汚泥)リッチなもので、洗浄槽22に送り清水を加えて水中ポンプ23で混合する。洗浄槽では炭化汚泥と貫入・浸透の結果そこに含有している汚泥を洗浄(炭化汚泥と付着している汚泥を分離)し、二段目脱水ケーキ含有清水を得る。その二段目脱水ケーキ含有清水を湿式サイクロン24に供給し、比重が軽く粒子径の小さな汚泥と比重が重く粒子径の大きな炭化汚泥に分離する。粒子径の小さな汚泥は沈殿槽5に戻し、再処理する。
【0021】
粒子径が大きい炭化汚泥はプリコート剤として再使用できるので、そのままプリコート槽21に送る。
【0022】
2段切削の結果、ろ過装置10におけるプリコート層12が薄くなったら、適宜な時点で、プリコ−ト槽21からポンプ25で炭化汚泥を含有した清水をろ過装置10に送って、ドラム11を回転しつつ内部を減圧化して、炭化汚泥をプリコート層12として吸着させ増厚させる。
【0023】
この場合、沈殿槽5から送ってあったろ過槽10a内の濃縮汚泥は炭化汚泥含有清水と混合しないように、予め、排出しておく。また、炭化汚泥をプリコート層12として吸着させ終わったら、ろ過槽10aから濃縮汚泥と混合しないように排出してから、濃縮汚泥を供給する。
【0024】
図2は、二段切削を行うろ過装置10の切削部を、図1と回転ドラム11を左右逆転して示している。
回転ドラム11に炭化汚泥をプリコート層12として形成してあり、ドラム11の回転と減圧で、プリコート層12上に吸着汚泥層10bとプリコート層12中に汚泥貫入層12aが形成される。吸着汚泥層10bは一段目ブレード(またはスクレーパ)31で切削されて一段目脱水ケーキ14となるものであり、汚泥貫入層12aは二段目ブレード(またはスクレーパ)32で切削されて二段目脱水ケーキ15となるものである。
【0025】
一段目スクレーパ31と二段目スクレーパ32は、回転ドラム11の半径方向において切削深さを異ならせて位置決めしてあり、それぞれの切削深さは変更できるようにホルダh1,h2とガイドg1,g2とサーボモータm1,m2で個別にスライドできる構造としてある。
【0026】
33〜35は照度計(センサ)である。すなわち、33はプリコート層に吸着した汚泥の表層部の状況を検出する照度計(センサ)である。34は一段目スクレーパ31(第一のブレード)で切削した後のプリコート層表面部の状況を検出する照度計(センサ)である。35は二段目ブレード(第二のブレード)で切削した後のプリコート層表面部の状況を検出する照度計(センサ)である。
【0027】
照度計33,34の検出結果の偏差でサーボモータm1を制御し一段目スクレーパ31の切削深さを調整し、照度計34,35の検出結果の偏差でサーボモータm2を制御し二段目スクレーパ32の切削深さを調整する。切削の前後と深さで炭化汚泥の含有量は異なっていて平滑性や色相が変わり、照度は変化しているから、検出結果の偏差で汚泥リッチな領域とろ過助剤リッチな領域を判別でき、吸着汚泥10bとプリコート層12を深く切削し過ぎない構成となっている。
【0028】
プリコート層12を構成するろ過助剤として用いた炭化汚泥の一例は、累積10%までのものが粒径20〜30μm,累積50%までのものが粒径50〜60μm,累積90%までのものが粒径100〜110μmで構成されるものである。
【0029】
二段目スクレーパ32で切削後のプリコート層12表面は多少凹凸があり平坦ではないので、一段目脱水ケーキ14として切削したものは
汚泥と炭化汚泥の比率が9:1となるようにし、二段目脱水ケーキ14として切削したものは汚泥と炭化汚泥の比率が1:9となるような切削深さとした。
【0030】
一段目脱水ケーキ14は汚泥リッチ(DS比が小)であるから、再度炭化しても灰となるものは少なく、再利用できる回収率が高い。また、一段目脱水ケーキ14は、そのままコンポストに転用しても良い。
【0031】
二段目脱水ケーキ15は炭化汚泥リッチであるから汚泥を炭化汚泥を洗浄などで分離し、炭化汚泥はそのままろ過助剤として再利用でき省エネ効果もある。また、二段目脱水ケーキ15を切削除去した後のプリコート層12は汚泥の目詰まりが殆ど無い状況にあるので、ろ過槽10a内をドラム11が回転していくうちに汚泥を吸着し易く通水性も向上するために、処理量が増加するだけでなく、一段目脱水ケーキ14の含水率は低下する。
【0032】
上記の分級機20としては、多段フィルタからなるものを用い、順次メッシュが細かくなるように配置した多段フィルタからなるものを用い、各段のフィルタを通過できないものをそれぞれ取り出すことで、粒径が異なる炭化汚泥を得ることができる。また、分級用サイクロンを多段に設けても構成できる。
【0033】
スクレーパ31,32の切削深さ調整は、センサ(33〜35)の検出結果によらず、作業者が手動で行っても良いし、サーボモータm1,m2の駆動を試験運転から得たデータを基にしたプログラムに従って行っても良い。
【0034】
【発明の効果】
以上、述べたように本発明によれば、プリコート層に吸着した汚泥の表層部を切削することとプリコート層中に浸透した汚泥をプリコート層とともに切削することを分けて実行し、それぞれ切削したものを個別に回収する。プリコート層に吸着した汚泥の表層部から切削したものは、汚泥リッチでありDS比は低く、プリコート層中に浸透した汚泥をプリコート層とともに切削したものはろ過助剤リッチであり目詰まりが少ないプリコート層を露出させることができる。分けて切削した2つのものはそれぞれ汚泥とろ過助剤の純度が高いから、個別に回収して再利用することができる。従って、除去汚泥の再利用を有効に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のろ過装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1に示したろ過装置の切削部を示した図である。
【符号の説明】
10…ろ過装置
10a…ろ過槽
10b…吸着汚泥層
11…回転ドラム
12…プリコート層
12a…汚泥貫入層
14…一段目脱水ケーキ
15…二段目脱水ケーキ
31…一段目ブレード
32…二段目ブレード

Claims (4)

  1. 汚泥と水を入れたろ過槽の水面部に設置され、かつ、外周部にプリコート層を有し通水性を備えた回転ドラムの回転に合せて該回転ドラムの内部を減圧化して、該プリコート層表面部に汚泥を吸着せしめ、吸着した汚泥は該プリコート層とともに該回転ドラムの外周部に設けたブレードで切削回収し、該回転ドラムの内部に流入した水分は排出することで汚泥の脱水を行う汚泥脱水方法において、
    プリコート層に吸着した汚泥の表層部を切削することとプリコート層中に浸透した汚泥をプリコート層とともに切削することを分けて実行するにあたり、プリコート層に吸着した汚泥の表層部及び該表層部を切削した後のプリコート層表面部の状況をそれぞれ検出するセンサの検出結果からそれぞれの切削深さを調整し、それぞれ切削したものを個別に回収することを特徴とする汚泥脱水方法。
  2. 上記請求項1において、切削したプリコート層表面部に吸着した汚泥を乾燥し炭化し粉砕し分級して得る所望の粒度のものを、プリコート層を形成する物質として使用することを特徴とする汚泥脱水方法。
  3. 上記請求項1において、プリコート層とともに切削したプリコート層中に浸透した汚泥を汚泥とプリコート層を形成する物質に分けて、該物質をプリコート層を形成する物質として使用することを特徴とする汚泥脱水方法。
  4. 汚泥と水を入れたろ過槽の水面部に設置され、かつ、外周部にプリコート層を有し通水性を備えた回転ドラムの回転に合せて該回転ドラムの内部を減圧化して、該プリコート層表面部に汚泥を吸着せしめ、吸着した汚泥は該プリコート層とともに該回転ドラムの外周部に設けたブレードで切削回収し、該回転ドラムの内部に流入した水分は排出することで汚泥の脱水を行う汚泥脱水装置において、
    前記プリコート層に吸着した汚泥の表層部を切削する第一のブレードと、前記プリコート層中に浸透した汚泥をプリコート層とともに切削する第二のブレードと、前後プリコート層に吸着した汚泥の表層部の状況を検出するセンサと、前記第一のブレードで切削した後のプリコート層表面部の状況を検出するセンサと、前記第二のブレードで切削した後のプリコート層表面部の状況を検出するセンサと、前記各センサの検出結果から、前記第一,第二のブレードの切削深さを調整するサーボモータを備えたことを特徴とする汚泥脱水装置。
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