JP3676856B2 - 低空頭杭打施工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は低空頭杭打施工法に関するものであり、特に、H鋼を直接地盤に回転圧入させるための回転式鋼杭圧入工法に用いられるものであり、角型鋼杭又は円管状鋼管の直径上にて対峙する外側面に略三角形状突部を軸方向に突設した鋼杭の圧入にも適用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、H鋼を地盤に圧入するための工法は、本願出願人によって特願平6−32585号として提案されている。而して、この先願に係るものは、伸縮式リーダの最下段部材の下端部に回転駆動装置を固設し、そして、該伸縮リーダの最上段部材の上端部にユニバーサル軸受を介して回転チャックを取付け、そして、前記回転駆動装置にH鋼を鉛直方向に挿通し、更に、該H鋼の上端部を前記チャックにて支持し、該回転駆動装置の回転によって該H鋼を回転させ乍ら、リーダの縮少に伴って該H鋼を地盤に圧入するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記H鋼杭の圧入工法は、伸縮式リーダの最下段部材の下端部に回転駆動装置が固設され、そして、該伸縮式リーダの最上段部材にH鋼を固定するための回転チャックが取付けられているため、例えば電線或いは高架橋等の下方部等、H鋼杭を圧入する場所に高さ制限がある場合は、伸縮式リーダを伸張することができないので、該工法を用いることは全く不可能である。
【0004】
そこで、H鋼杭等の回転圧入に際し、場所的に高さ制限のあるところであっても、該H鋼杭等を自在に回転圧入することができるようにするために解決せらるべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、鋼杭圧入機の前方左右にリーダを対峙して配設し、該左右のリーダ間に回転駆動装置を取付け、該回転駆動装置の略中心部に鋼杭の嵌挿孔を開穿して該嵌挿孔に鋼杭を鉛直方向に嵌挿固定し、更に、該回転駆動装置は上下駆動装置によって前記リーダに設けたガイドに沿って上下動自在に構成され、更に、該上下駆動装置によって該回転駆動装置を下降せしめるとき、該回転駆動装置の前記嵌挿孔に嵌挿固定された鋼杭を回転せしめ乍ら地盤に圧入させる杭打施工法に於いて、
上記鋼杭は角型鋼杭又は円筒状鋼管の直径上にて対峙する外側面に略三角形状突部を軸方向に突設した鋼杭であり、且つ、上記嵌挿孔への鋼杭の嵌挿固定は前記嵌挿孔を構成する上壁部に開穿したボルト孔と前記鋼杭の上端部に開穿したボルト孔とをボルト挿通して螺着固定し、前記回転駆動装置が最下段のリーダの下端部まで下降したとき、前記ボルトによる固定を解除し、該回転駆動装置を上昇させて継足する他の鋼杭の下端部を前記鋼杭の上端部に結合して、該継足する鋼杭の上端部を該回転駆動装置の前記嵌挿孔の上壁部のボルト孔に固定し、再び該回転駆動装置を回転せしめ乍ら該継足する鋼杭を前記鋼杭と共に圧入下降させる低空頭杭打施工法を提供するものである。
【0006】
【作用】
鋼抗を回転駆動装置に開穿した嵌挿孔に嵌挿して固定すると共に、該回転駆動装置を左右のリーダ間の上方へ移動させておく。そこで、前記鋼杭を嵌着した該回転駆動装置にて該鋼杭を回転せしめ乍ら、上下動駆動手段にて該回転駆動装置を下降せしめ、そして、該鋼杭を地盤に圧入するのであるが、上記鋼杭は角型鋼杭又は円筒状鋼管の直径上にて対峙する外側面に略三角形状突部を軸方向に突設した鋼杭であり、且つ、上記嵌挿孔への鋼杭の嵌挿固定は前記嵌挿孔を構成する上壁部に開穿したボルト孔と前記鋼杭の上端部に開穿したボルト孔とをボルト挿通して螺着固定し、前記回転駆動装置が最下段のリーダの下端部まで下降したとき、前記ボルトによる固定を解除し、該回転駆動装置を上昇させて継足する他の鋼杭の下端部を前記鋼杭の上端部に結合して、該継足する鋼杭の上端部を該回転駆動装置の前記嵌挿孔の上壁部のボルト孔に固定し、再び該回転駆動装置を回転せしめ乍ら該継足する鋼杭を前記鋼杭と共に圧入下降させるから、前記リーダの高さの範囲内に於ける前記回転駆動装置の上下動によって該鋼杭が地盤に圧入されるので、高さ制限のある場所に於いても該鋼杭の圧入動作が可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図10に従って詳述する。図に於て1は鋼杭圧入機である。該鋼杭圧入機1には前部に操縦室2が設けられ、クローラ3,3にて進行できるように構成されている。
【0008】
該鋼杭圧入機1の前方左右には固定リーダ4,4が対峙して立設され、更に、該固定リーダ4,4の前面に伸縮自在リーダ5,5が左右対峙して配設されている。而して、該固定リーダ4,4の上端部及び下方部には複数のフレーム6,6…が水平に架設されており、更に、前記伸縮自在リーダ5,5の最下段の上端部及び下端部にも同様にフレーム6a,6aが架設されている。
【0009】
又、前記固定リーダ4,4の上端部に架設された前記フレーム6及び、前記伸縮自在リーダ5,5の上端部に架設されたフレーム6aの夫々の後部に夫々油圧シリンダ7,8の一端部を枢着し、更に、該油圧シリンダ7,8の他端部を前記鋼杭圧入機1の前方へ枢着し、そして、該油圧シリンダ7,8によって前記固定リーダ4,4及び該固定リーダ4,4に取付けられている伸縮自在リーダ5,5…を傾動自在に支持すると共に、該伸縮自在リーダ5,5…を伸縮可能に構成されている。
【0010】
上記伸縮自在リーダ5,5の最下段リーダ5a,5a間には回転駆動装置9が配設されている。而して、該回転駆動装置9は図1及び図3に示す如く、前記最下段リーダ5a,5aの内側部前面及び該最下段リーダ5a,5aの中間位置に夫々縦方向に垂設されているガイドロッド10,10,10に沿って上下動できるように構成されている。即ち、該回転駆動装置9の前面左右及び背面に夫々回転ローラ11,11,11を取付けて前記ガイドロッド10,10,10に沿って転動できるように構成すると共に、該回転駆動装置9が該ガイドロッド10,10,10より前方へ離脱しないように爪部材12,12,12を該回転ローラ11,11,11の近傍に取付けて該爪部材12,12,12の先端部にて該ガイドロッド10,10,10を包持し、且つ、前記回転ローラ11,11,11と共に該ガイドロッド10,10,10に沿って上下動自在に構成されている。
【0011】
又、該回転駆動装置9は図3及び図4に示す如くケース13の略中心部に鋼杭14の嵌挿孔15を有する回転部材16を水平方向回転自在に遊嵌し、更に、該回転部材16の周面は円周面に形成されて大形ギヤ17を有し、そして、該大形ギヤ17は該ケース13の背面左右に配設された左右モータ18,18の軸に軸着した小形ギヤ19と噛合させて、該モータ18,18の回転駆動によって該回転部材16がケース13内にて回転可能に構成されている。又、前記嵌挿孔15には鋼杭14が嵌挿されるのであるが、鋼杭は角型鋼杭、又は円管状鋼管の直径上にて対峙する外側面の軸方向に略三角状の突部を突設した鋼杭の嵌挿に適用される。而も、該鋼杭を該嵌挿孔15に嵌挿された後、鋼杭が該嵌挿孔15内を不慮摺動しないように適当な固定方法に依って固定される
【0012】
一方、前記片方の固定リーダ4の上端外側部には前記回転駆動装置9を上下動させるためのモータ20が取付けられている。又、図5に示す如く、該モータ20に連動される回転軸21を前記固定リーダ4,4の上端部に架設し、そして、該回転軸21に固定リーダ4,4に接近してスプロケット22,22を軸着し、更に、之等各スプロケット22,22の直下であって、該固定リーダ4,4の下端部に前記固定リーダ4,4間に架設された軸23にもスプロケット24,24を遊嵌し、更に又、該スプロケット24,24の直前にて前記最下段リーダ5a,5a間に架設された軸25にもスプロケット26,26を夫々回転自在に遊嵌してある。
【0013】
更に、上方部の双方のスプロケット22,22にチェン27,27を夫々巻回し、そして、該チェン27,27の一端部を夫々前記回転駆動装置9の上面に固設し、更に、該チェン27,27の他側部は夫々のスプロケット22,22の直下のスプロケット24,24に巻回されて該スプロケット24,24の直前のスプロケット26,26に巻回され乍ら、夫々の端部を前記回転駆動装置9の下面に夫々固設してある。斯くして、前記モータ20の駆動によって前記回転駆動装置9は該チェン27,27を介して前記最下段リーダ5a,5aの高さの範囲内に於て上下動できるように構成されている。而して、前記H鋼杭14を回転駆動装置9の嵌挿孔15に嵌挿固定し、そして、該回転駆動装置9を回転させ乍ら下降させて地盤Gを穿孔して該H鋼杭14を該穿孔28内に圧入するとき、セメントミルクを該穿孔28内に注入し乍ら掘進せしめるように構成され、更に、該鋼杭圧入機1の下部及び前記固定リーダ4,4の側部には支持シリンダ29,29…が設けられており、該支持シリンダ29,29…にて該鋼杭圧入機1を地盤G上に固定するのである。
【0014】
本発明の一実施例は上述せる如き構成に係るから、図6乃至図10の解説図に示すように、先ず、鋼杭圧入機1の上面に配設されているジャッキ30にて鋼杭14を持ち上げ乍ら該鋼杭圧入機1の前面に建て込み、(図6)そして、図7に示すように該鋼杭14を回転駆動装置9に設けてある嵌挿孔15内に嵌挿し、そして、その上端部を適当な固定手段、例えば該嵌挿孔15を構成する上壁部15aにボルト孔31,31…を夫々開穿すると共に、該ボルト孔31,31…に対応して該鋼杭14の上端部にも夫々ボルト孔32,32…を開穿し、そして、双方のボルト孔31及び32に夫々ボルトを挿通して螺着することにより該鋼杭14を該回転駆動装置9に固定する。そこで、同図に示すように該回転駆動装置9を最下部リーダ5a,5aの上方へ引き上げ、更に、該鋼杭14の下端部に攪拌翼33,33…を取付けると共に、該攪拌翼33,33…の下部中心部からセメントミルクMを吐出させ乍ら、前記回転駆動装置9にて該鋼杭14を回転させ、同時に上下駆動用のモータ20にて該回転駆動装置9を下降させ、図8に示す穿孔28を掘削して該穿孔28内に該鋼杭14を圧入する。
【0015】
更に、該回転駆動装置9が最下段リーダ5a,5aの下端部まで下降したとき、前記ボルトによる固定手段を解除して該鋼杭14をフリーとし、そして、該回転駆動装置9を上昇せしめて継足する他の鋼杭14aの下端部を前記鋼杭14の上端部に結合し、継足した該鋼杭14aの上端部を前記回転駆動装置9の前記嵌挿孔15内に嵌挿して固定手段によって固定し、そして、再びセメントミルクMの吐出及び該回転駆動装置9の回転並びに下降動作によって穿孔28を深く掘り下げて之等の鋼杭14,14aを該掘り下げた穿孔28内に圧入するのである。そして、図10に示す如く、このような動作を繰り返して鋼杭回転圧入動作が完了し、最後に地盤G上に露出している部分を打ち込んで該鋼杭を地盤G内に圧入すると共にセメントミルクMが掘削土と攪拌混合されて硬化し、前記圧入された鋼杭と共に強固な基礎を構築するのである。
【0016】
尚、この実施の形態に於ては、前記回転駆動装置9は伸縮自在リーダ5,5の最下段リーダ5a,5aを用いているが、伸縮しない固定リーダであってもよい。更に、該回転駆動装置9の回転駆動及び上下動は前記実施の形態に限定せらるべきでなく、他の一般の駆動手段を用いてもよい。又、継足せらる鋼杭の嵌挿孔に対する嵌挿固定及び回転駆動装置の上昇等の順序は上記一実施の形態に限定せらるべきではない。その他本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0017】
【発明の効果】
この発明は上記一実施の形態にて詳述せる如く、鋼杭圧入機の前面に左右対峙して立設されているリーダ間に配設され、且つ、該リーダに設けたガイドに沿って上下動すると共に回転自在に設けられている回転駆動装置の嵌入孔に鋼杭等を嵌入固定し、そして、該回転駆動装置を前記リーダの上方部へ上昇せしめて該鋼杭を地盤上に垂直に立て、該回転駆動装置の回転並びに下降動作に従って回転降下する鋼杭により地盤を掘削し乍ら穿孔し、該穿孔内に該鋼杭を圧入し、更に、該鋼杭を継足しする場合は、前記地盤に圧入された鋼杭の下端部を既に地盤に圧入されている鋼杭の上端部に結合する。このとき、該継足せられる鋼杭の上端部を前記回転駆動装置の嵌挿孔に嵌入固定して該回転駆動装置を上昇させ、そして、再度、該回転駆動装置を回転下降させ乍ら該鋼杭で前記穿孔を深く掘り下げ、該穿孔内に継足された鋼杭と共に圧入する。又、上記嵌挿孔への鋼杭の嵌挿固定は前記嵌挿孔を構成する上壁部に開穿したボルト孔と前記鋼杭の上端部に開穿したボルト孔とをボルト挿通して螺着固定するから、上記鋼杭が該嵌挿孔内を不慮摺動するという虞がない。
【0018】
斯くの如く、地盤の状態に応じて穿孔の深さ及び継足せられる鋼杭の長さも決定されるが、この継足時に於いては、前記回転駆動装置はリーダの高さの範囲内に於いてのみ上下動して該鋼杭を地盤に圧入するのであるから、例えば上方に電線等の架線があり、或いは高架橋等の高速道路等があって、その下部で前記鋼抗を地盤に圧入する場合、前記リーダは之等架線又は高架橋の下面に設置することができるので、之等の場所に於いても本発明によって鋼杭が地盤に対して効率よく圧入されて強固な基礎を構築することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示し、鋼杭圧入機の正面図。
【図2】 図1の正面図。
【図3】 本発明の一実施の形態に係る回転駆動装置を示す平面図。
【図4】 図3のA―A線断面図。
【図5】 図3の解説側面図。
【図6】 本発明の一実施の形態の初期動作を示す解説正面図。
【図7】 図6の次のステップを示す解説正面図。
【図8】 図7の次のステップを示す解説正面図。
【図9】 図8の次のステップを示す解説正面図。
【図10】 図9の次のステップであって鋼杭の圧入完了状態を示す解説正面図。
【符号の説明】
1 鋼杭圧入機
5a 最下段リーダ
9 回転駆動装置
10 ガイドロッド
13 ケース
14,14a 鋼杭
15 嵌挿孔
16 回転部材
27 チェン
28 穿孔

Claims (1)

  1. 鋼杭圧入機の前方左右にリーダを対峙して配設し、該左右のリーダ間に回転駆動装置を取付け、該回転駆動装置の略中心部に鋼杭の嵌挿孔を開穿して該嵌挿孔に鋼杭を鉛直方向に嵌挿固定し、更に、該回転駆動装置は上下駆動装置によって前記リーダに設けたガイドに沿って上下動自在に構成され、更に、該上下駆動装置によって該回転駆動装置を下降せしめるとき、該回転駆動装置の前記嵌挿孔に嵌挿固定された鋼杭を回転せしめ乍ら地盤に圧入させる杭打施工法に於いて、
    上記鋼杭は角型鋼杭又は円筒状鋼管の直径上にて対峙する外側面に略三角形状突部を軸方向に突設した鋼杭であり、且つ、上記嵌挿孔への鋼杭の嵌挿固定は前記嵌挿孔を構成する上壁部に開穿したボルト孔と前記鋼杭の上端部に開穿したボルト孔とをボルト挿通して螺着固定し、前記回転駆動装置が最下段のリーダの下端部まで下降したとき、前記ボルトによる固定を解除し、該回転駆動装置を上昇させて継足する他の鋼杭の下端部を前記鋼杭の上端部に結合して、該継足する鋼杭の上端部を該回転駆動装置の前記嵌挿孔の上壁部のボルト孔に固定し、再び該回転駆動装置を回転せしめ乍ら該継足する鋼杭を前記鋼杭と共に圧入下降させることを特徴とする低空頭杭打施工法。
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