JP3676558B2 - ファン冷却装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子等の発熱体を冷却するためのファン冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の如き発熱体を冷却するためのファン冷却装置として、たとえば、米国特許第5,484,013号の明細書に開示されたものが存在する。この公知のファン冷却装置は、発熱体に取付けられるヒートシンクと、このヒートシンクに着脱自在に装着される装置ケースを備えている。装置ケースにはファン手段が設けられ、このファン手段によってヒートシンクが強制的に冷却される。
【0003】
図4に示すように、一般にマイクロプロセッサの如き半導体素子を冷却するファン冷却装置100においては、装置ケース102の装着操作を容易にするとともに装置ケース102とヒートシンク104を確実に連結するために、装置ケース102を、上下方向に延びる軸線を中心としてヒートシンク104に対して相対的に回転することにより着脱される。また、装置ケース102およびヒートシンク104には、両者を所定の位置関係に解除自在にロックするための第1および第2のロック手段106a,106bが設けられている。第1のロック手段106aは、たとえば、フランジ107とフランジ107に着脱自在に係合して相対的に移動可能である係合爪108との組合せから構成され、たとえば、フランジ107は装置ケース102に設けられ、係合爪108はヒートシンク104に設けられる。また、第2のロック手段106bは、相互に係脱自在である突起110と凹部112の組合せから構成され、たとえば、突起110は装置ケース102に設けられ、凹部112はヒートシンク104に設けられる。
【0004】
このような公知のファン冷却装置100においては、第1のロック手段106aのフランジ107と係合爪108を相互に連結させた状態にて、ヒートシンク104に対して装置ハウジング102を所定方向に装着位置まで回動させると、第2のロック手段106bの突起110と凹部112が係合し、かくして装置ケース102がヒートシンク104に着脱自在に装着される。一方、上述した装着状態において、ヒートシンク104に対して装置ケース102を所定方向と反対方向に回動させると、第2のロック手段106bの突起110と凹部112との係合状態が解除され、しかる後第1のロック手段106aのフランジ107と係合爪108との係合状態も解除され、かくして装置ケース102がヒートシンク104から離脱される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、装置ケースとヒートシンクとの上述した連結構造は、半導体素子の如き発熱体の形状が正方形である場合には適用することができるが、たとえば、発熱体の形状が長方形である(これに対応して、装置ケースおよびヒートシンクの形状も長方形となる)場合には適用することができず、発熱体の形状を問わず適用することができるものが望まれていた。
【0006】
なお、米国特許第5,484,013号の明細書には、上述した形態のファン冷却装置に加えて、ヒートシンクに対して装置ケースを軸線方向に移動させて相互に連結する形態のものも開示されている。しかし、この形態のものにおいては、ヒートシンクと装置ケースとを相互に連結解除自在に連結する連結構造が比較的複雑である。
【0007】
本発明の目的は、比較的構造が簡単で、たとえば、外形が長方形である発熱体にも適用することができるファン冷却装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回路基板上に取付けられた発熱体と、複数の冷却フィンを有し該発熱体に熱伝的に接合するヒートシンクと、このヒートシンクに着脱自在に装着される装置ケースとを備え、該装置ケースに冷却ファンが設けられ、該冷却ファンによって前記ヒートシンクが強制的に冷却されるファン冷却装置において、前記装置ケースは上壁とこの上壁の両側部から実質上垂直下方に延びる一対の側壁とを有し、該側壁に上下方向のスリットを形成することによって前記側壁より分離して少なくとも一対の係合部材が設けられ、該一対の係合部材は前記発熱体及びヒートシンクの両側部に位置付けられ、前記一対の係合部材には、前記回路基板上に形成された貫通孔に係脱自在に係合する係合突起がそれぞれ設けられ、該係合突起は前記側壁の下端より下方に配置されていることを特徴とするファン冷却装置である。
【0009】
本発明に従えば、装置ケースは一対の側壁を有し、これら側壁が発熱体およびヒートシンクの両側に位置付けられる。また、一対の側壁には、それぞれ、係合部材が設けられ、係合部材が発熱体が取付けられる回路基板上に形成された貫通孔に係脱自在に係合する。したがって、一対の側壁および係合部材によって、ヒートシンクと装置ケースとが解除自在に連結される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明に従うファン冷却装置の実施形態を示す断面図であり、図2および図3は、図1のファン冷却装置のヒートシンクと装置ケースとを分解して示す斜視図並びに断面図である。
【0012】
図1乃至図3において、本発明のファン冷却装置は、回路基板上に取付けられた半導体素子等の発熱体に熱伝的に接合するヒートシンク2と、このヒートシンク2を取り囲むように形成され、回路基板に着脱自在に装着される装置ケース4から構成されている。ヒートシンク2は、長方形状の底壁6の上面(発熱体に装着される面とは反対の面)に、横方向(図1において紙面に垂直な方向、図2において右下から左上の方向)に間隔を置いて複数個の冷却フィン8を一体的に並設して構成されている。冷却フィン8はヒートシンク2の長手方向(図1において左右方向、図2において左下から右上の方向)に直線状に延びている。ヒートシンク2の中央部には、複数個の冷却フィン8の一部を切欠くことによって円形状の凹部18が設けられている。この円形状凹部18には、装置ケース4に設けられた冷却ファン20が収納される。
【0013】
ヒートシンク2は、たとえば、アルミニウムのダイカストから形成することができる。このヒートシンク2は図1乃至図3に示すように、たとえば、発熱体としての、マイクロプロセッサの如き半導体素子22に熱伝的に接合した状態で取付けられる。半導体素子22の外形は、これを冷却するヒートシンク2の外形とほぼ等しく、半導体素子22の全域を覆うようにヒートシンク2が取付けられる。また、この半導体素子22が取り付けられる回路基板10には、これを上下方向に貫通する貫通孔16,17が半導体素子22の両側の位置に対応して設けられている。
【0014】
装置ケース4は、長方形状の上壁26と、この上壁26の両側部から実質上垂直下方に延びる一対の側壁28,30を有し、上記冷却ファン20は、上壁26の中央部に設けられている。冷却ファン20は、中空円筒状のファンハウジング32を有し、ファンハウジング32が装置ケース4と一体的に合成樹脂材料から形成されている。ファンハウジング32の内側には支持円筒壁34が設けられ、ハウジング32と支持円筒壁34とが、周方向に間隔を置いて配設された接続部36を介して接続され、隣接する接続部36の間には、冷却用空気を吸入する吸入開口38が形成されている。支持円筒壁34には、一対の軸受40を介して軸部材42が回転自在に支持されている。軸部材42の一端部にはカップ状のロータ44が固定されている。ロータ44の外周面には、周方向に間隔を置いて複数枚のブレード46が一体的に設けられている。一方、ロータ44の内周面には、環状ヨーク48を介してロータマグネット50が取付けられている。ロータマグネット50に対向してステータ52が配設されている。ステータ52は、支持円筒壁34の外周面に取付けられたステータコア54と、ステータコア54に巻かれたコイル56を有している。
【0015】
装置ケース4の側壁28,30には、2対の係合部材58,60が設けられている。片方の側壁28の両端部近傍には、それぞれ、その下端から上方に上壁26まで延びる一対のスリットが形成され、これら一対のスリットによって係合部材58が側壁28から分離して、つまり側壁28とは独立して弾性変形できるように形成されている。また、他方の側壁30においても同様に、一対のスリットが形成され、これら一対のスリットによって回路基板10まで延設される係合部材60が形成されている。各係合部材58,60の幅は、回路基板10の対応する貫通孔16,17の幅とほぼ等しくなるよう設定されている。このように構成されているので、係合部材58,60は、それらの基部(上壁26との接続部位)の弾性変形によって揺動可能であり、幾分内側に向けて弾性変形することによって、係合部材58,60が対応する貫通孔16,17に受入れられる。
【0016】
係合部材58,60の先端部には、外側に突出する爪部62(係合部材58に設けられたものに示す)が一体的に設けられている。各係合部材58,60の先端部は、図1から理解されるとおり、対応する貫通孔16に挿通され、その先端部の爪部62は貫通孔16を貫通してその開口部に係合解除自在に係合する。
【0017】
装置ケース4の上壁26の両端部には、両端から内側にファンハウジング32に向けて延びる矩形状の切欠き66が形成されている。このように切欠き66を形成することによって、複数個の冷却フィン8の両端部が外部に露出するので、冷却フィン8の冷却効果が高められる。
【0018】
次に、上述した構成のファン冷却装置の組付け様式について説明する。ファン冷却装置を回路基板10に装着するには、まず、回路基板10の表面に半田付け等によって取付けられた半導体素子22の上面にヒートシンク2を取付ける。
【0019】
次いで、ヒートシンク2に装置ケース4を取付ける。装置ケース4の取付の際には、一対の側壁28,30をヒートシンク2の両外側の冷却フィン8の外側に位置付けるとともに、側壁28,30の係合部材58,60を幾分内側に押圧して回路基板10の貫通孔16,17内に位置付け、この状態にて装置ケース4をヒートシンク2に向けて下方に移動させて装着すればよい。このように装着すると、係合部材58,60の先端部が貫通孔16,17を通して突出し、係合部材58,60の弾性復元力によってその爪部62が貫通孔16,17の開口部に係合し、かくして装置ケース4が図1に示すようにヒートシンク2に対して着脱自在に取付けられる。なお、ヒートシンク2に対する装置ケース4の誤装着を防止するために、例えば、側壁28側に設けられた一対の係合部材58及びこれに対応する貫通孔16,17の大きさをそれぞれ異ならしめることも可能である。
【0020】
この装着状態においては、装置ケース4の側壁28,30がヒートシンク2の両側の冷却フィン8の外側に位置し、側壁28,30の係合部材58,60の爪部62が回路基板10の対応する貫通孔16,17の開口部に係合し、かくして、装置ケース4はヒートシンク2に着脱自在に且つ確実に装着される。そして、装置ケース4に設けられた冷却ファン20のロータ44およびブレード46がヒートシンク2の凹部18内に収容される。
【0021】
この装着状態においてロータ44が所定方向に回転駆動されると、ブレード46の作用によって、装置ケース4の吸入開口38から吸入され冷却フィン8に沿って長手方向に流れる空気流が生成される。半導体素子22からの熱は、熱伝的に接合するヒートシンク2の底壁6を介して複数個の冷却フィン8に伝達され、吸入された空気が冷却フィン8に沿って流れる際にこれら冷却フィン8が強制的に冷却され、かくして半導体素子22は、ヒートシンク2と冷却ファン20からの空気流によって所要のとおり冷却される。なお、ヒートシンク2から装置ケース4を取外す場合には、係合部材58,60を幾分内側に押圧して爪部62と貫通孔16,17の開口部との係合を解除し、回路基板10に対して装置ケース4を上方に移動すればよい。
【0022】
なお、ヒートシンク2を半導体素子22に熱伝的に取付けるには、図3において示すように、複数個の冷却フィン8の外側の冷却フィン8a,8b(図3において最も左側および右側に位置するもの)を、他の冷却フィンよりも相対的に縦方向(図3において紙面に垂直な方向)に大きく形成し、装置ケース4の上壁26の下側面(冷却フィンに対向する面)の外側冷却フィン8a,8bに対応する部位に形成された凹溝26a,26b内に外側冷却フィン8a,8bの上端部を収納し、装置ケース4を回路基板10に係合する際に装置ケース4をもってヒートシンク2の底壁6を半導体素子22の上面に押圧固定することができる。あるいは、ヒートシンク2を装置ケース4にねじ止め等の手段によって固定し、装置ケース4の回路基板10への装着によってヒートシンク2を半導体素子22に接合することもできる。また、ヒートシンク2を予め半導体素子22に固定しておく場合には、ヒートシンク2の底壁6の下面(放熱フィン8が形成される面と反対側の面)にピン等の突起物を設け、半導体素子22の対応する部分に凹部等を形成しこの凹部にピンを挿入する、あるいは両者を接着する等の手段によっても、ヒートシンク2を半導体素子22に固定することが可能である。
【0023】
また、上述の本発明の実施形態では、各側壁28,30側にそれぞれ2つの係合部材58,60を設けているが、装置ケース4の取付を確実に行うことができるときには、係合部材58,60を各側壁28,30側のそれぞれに1つずつ設けるようにしてもよい。
【0024】
更に、本発明の実施形態においては、理解を容易にするために長方形状の半導体素子に本発明のファン冷却装置を用いた場合を例にとり説明したが、本発明のファン冷却装置は、上述のとおり、縦方向の直線運動のみによってヒートシンク2と装置ケース4を着脱自在に且つ確実に装着することができることから、長方形状以外にも、たとえば、正方形あるいは他の多角形状もしくは円形状の発熱体においても使用することができる。
【0025】
以上、本発明に従うファンの冷却装置の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変形、修正が可能である。
【0026】
【発明の効果】
本発明の請求項1のファン冷却装置によれば、装置ケースは一対の係合部材を有し、これら係合部材がヒートシンクの両側に位置付けられる。また、一対の係合部材には、それぞれ、係合突起が設けられ、これが回路基板に形成された貫通孔に係脱自在に係合する。したがって、一対の係合部材によって、ヒートシンクと装置ケースとが半導体素子を実装した回路基板に解除自在に連結される。
【0027】
また係合部材は、側壁に一対のスリットを形成することによってこれと分離して設けられるので、比較的簡単な構成でもって係合部材を設けることができる。
【0028】
また本発明の請求項2のファン冷却装置によれば、 ヒートシンクの外側冷却フィンは、他の冷却フィンよりも高さ寸法が大きく形成されており、装置ケースの冷却フィンと対向する面に形成された溝内に外側冷却フィンの他の冷却フィンよりも突出した部分が収納されるので、係合部材によって装置ケースを回路基板に係合したときに装置ケースをもってヒートシンクを発熱体上に押圧固定することができる。
【0029】
更に、本発明の請求項3のファン冷却装置によれば、同一側壁に形成された一対の係合部材およびこれに対応する貫通孔の大きさが異なることから、ヒートシンクに装置ケースを装着する際に誤装着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うファン冷却装置の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のファン冷却装置のヒートシンクと装置ケースと分解して示す斜視図である。
【図3】図1のファン冷却装置のヒートシンクと装置ケースと分解して示す断面図である。
【図4】従来のファン冷却装置の装着方法を示す平面図である。
【符号の説明】
2 ヒートシンク
4 装置ケース
6 底壁
8 冷却フィン
8a,8b 外側冷却フィン
10 回路基板
16 貫通孔
20 冷却ファン
22 半導体素子
26 上壁
26a,26b 凹溝
28,30 側壁
58,60 係合部材
62 爪部
Claims (3)
- 回路基板上に取付けられた発熱体と、複数の冷却フィンを有し該発熱体に熱伝的に接合するヒートシンクと、このヒートシンクに着脱自在に装着される装置ケースとを備え、該装置ケースに冷却ファンが設けられ、該冷却ファンによって前記ヒートシンクが強制的に冷却されるファン冷却装置において、前記装置ケースは上壁とこの上壁の両側部から実質上垂直下方に延びる一対の側壁とを有し、該側壁に上下方向のスリットを形成することによって前記側壁より分離して少なくとも一対の係合部材が設けられ、該一対の係合部材は前記発熱体及びヒートシンクの両側部に位置付けられ、前記一対の係合部材には、前記回路基板上に形成された貫通孔に係脱自在に係合する係合突起がそれぞれ設けられ、該係合突起は前記側壁の下端より下方に配置されていることを特徴とするファン冷却装置。
- 前記ヒートシンクの両側の外側冷却フィンは、他の冷却フィンよりも上面が一段高く形成されており、前記装置ケースの前記冷却フィンと対向する面には、該外側冷却フィンの他の冷却フィンよりも突出する部分を収納するための溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載のファン冷却装置。
- 前記係合部材は少なくとも2対設けられ、一方の対の係合部材およびこれに対応する貫通孔の幅方向の寸法と他の係合部材およびこれに対応する貫通孔の幅方向の寸法とが異なることを特徴とする請求項1又は2に記載のファン冷却装置。
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