JP3676444B2 - 建物の壁面施工方法およびパネル組み立て体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、建物の壁面を施工するための技術、特に、組み立て式のパネルを用いて施工する建物の外壁面と、その外壁面に施す仕上げ板材とを同時に施工するための技術に関するものである。
【0002】
【背景技術】
一般住宅や集合住宅等の建物として、木質系のパネルを用いて施工する、いわゆるパネル組み立て式の建物が多く建築されている。そして、近年では、こうした建物の外壁に対するその表面の仕上げ板材として、無機質系のサイディング材を施すことが多い。その際、そのサイディング材の施工を現場施工とした場合、特に、建物の躯体表面への寸法合わせや切断などの作業に多大な手間がかかる。そのため、最近では、壁パネルの表面に対し、工場等において予めサイディング材を貼り付けておくことによって、現場施工の手間を省く工法も開発されている。
【0003】
この技術によれば、確かに、現場ではサイディング材付きの壁パネルどうしを接合して組み立てた後、その接合部の水密性を確保するための目地処理を施すだけで済むという利点がある。この目地処理方法としては、従来公知の乾式目地材や湿式目地材を用いる方法がある。しかし、乾式目地材を用いる方法では、作業性が良い反面、パネル自体やパネルの建て込み後において全体的に寸法誤差が生じないようにするための高い寸法精度を要求される。湿式目地材の場合、精度的には制約を受けにくいものの、その施工の全てが手作業となるために作業性が悪く、しかも、乾式目地材に比べて、表面に塵埃などが付着しやすい。
【0004】
そこで、例えば実開平4ー100707号公報に記載のように、仕上げ板材の現場施工と目地処理作業とを簡略化する考え方もある。この技術は、下地パネルの外面に対し、工場において仕上げ板材としての外装材をその左右両端だけを残して貼り付けた外壁パネルを造り、現場においてその外壁パネルどうしを接続した後、外装材を貼り付けていない前記両端部分に対して外装材を現場施工する方法である。その場合、工場で貼る外装材も現場で貼る外装材もサネはぎによる接合とすることによって、目地処理作業を省略、あるいは簡略化できるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、組み立て式のパネルを用いて施工する建物では、パネル自体の大きさをどのようにするかは、仕上げ板材の施工を含めて建物全体の施工性を左右する重要な問題である。すなわち、たとえば壁パネルの大きさについて、実開平4ー100707号公報に記載のように、比較的小さく設定した場合、壁パネルどうしの接合箇所が増え、現場での施工性が悪い。一方、ただ単に大きくした場合、内部に設ける芯材、あるいは表面を被う面材等もそれに対応させて大きくしなければならないので、材料加工や製作性に難点が伴う。したがって、大きくする場合には、ある一定の大きさ、あるいは数種類の大きさに規格化した単位パネルを複数用いて一体に接合したパネル組み立て体とするほうが良いと言える。なぜなら、たとえば建物の壁面を複数の壁部分に区分することによってパネルの大きさを設定する際に、パネルの枚数や種類を加減することで、製作性に加えて施工上あるいは工費の点などから総合的に最も好ましい区分の仕方とすることが可能になるからである。こうすることは、仕上げ板材を貼り付ける際にも制約を受けにくく、しかも、接合部の少ない長尺のものを用いることも可能になることが理解できる。
【0006】
一方、下地パネルに対する仕上げ板材の貼り付け形態について着目してみると、前記の実開平4ー100707号公報に記載のように、下地パネルの左右両端の部分だけ仕上げ板材を残す方法では、たとえば建物の上下階の間に設ける仕上げ板材との関係において不都合が生じる場合もあり、この点についての対策も必要である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の建物の壁面施工方法では、施工すべき建物の壁面を複数の壁面部分に区分し、それら各壁面部分をパネル組み立て体Pによって施工する方法であって、前記パネル組み立て体Pが次のA、BおよびCの各条件を満足することを特徴としている。
A 2以上の単位パネル10を接合し、全体として4角形状の下地パネル体20を備えること。
B 前記下地パネル体20の一面を、仕上げ板材30による層が被っていること。
C 平面視するとき、前記仕上げ板材30による層は、前記下地パネル体20より面積が小さく、その下地パネル体20の周辺部のうち、上下左右の少なくとも2方向の部分に下地パネル体20の露出部21、22があること。
【0008】
下地パネル体20は、2以上の単位パネル10を接合し、全体として4角形状である。したがって、施工すべき建物の壁面を複数の壁部分に区分して下地パネル体20の大きさを設定する際に、現場での施工性や工費あるいは構造強度などの点から総合的に最も好ましい大きさにすることができる。その場合、下地パネル体20の大きさについては、接合する単位パネル10の枚数を加減するだけで済み、しかも、単位パネル10自体は、その大きさや種類について製作性を考慮し予め規格化しておくことができる。したがって、全体として下地パネル体20の製作性も良くなる。また、下地パネル体20の一面を被う仕上げ板材30によって単位パネル10どうしの接合部11を補強することが可能になり、全体的な構造強度が高まる。
【0009】
前記下地パネル体20の露出部21、22については、下地パネル体20の周辺部のうち、上下左右の少なくとも2方向の部分に、好ましくは4方向の部分(周囲)に設けるのが良い。4方向に設けた場合、下地パネル体20とその一面を被う仕上げ板材30による層とからなるパネル組み立て体Pそのものが、その周囲の露出部21、22と仕上げ板材30による層との関係において4方サネをもつような形態となる。したがって、パネル組み立て体Pどうしの左右および上下の接合のいずれの場合でも、その接合部分20jにおける前記露出部21、22を、現場施工の仕上げ板材50で被う方法とすることが可能になる。
【0010】
前記の各パネル組み立て体Pの製作は、その生産性や製品精度等を考慮した場合、工場生産方式とするのが望ましい。また、各パネル組み立て体Pどうしを、建物を建てる現場で接合するときの施工性や接合強度等を考慮した場合、互いに隣合うパネル組み立て体P、P1どうしが基本的に同様の大きさおよび構造であることも好ましい形態となる。
【0011】
前記仕上げ板材30としては、種々の大きさや形状のもに加えて種々の素材からなるものを使用できるが一般的には、例えば矩形板状の仕上げ板材30を複数列に並べた構成とすることが多い。そして、各列の仕上げ板材30は、下地パネル体20が4枚の単位パネル10からなる大型のものとなっているので、長手方向途中に接合部30jをもつ構成とすることもある。その場合、できるだけ同じ大きさの仕上げ板材30を多数用いることができるように、各列の接合部30jは整列している形態が好適に採用される。
【0012】
パネル組み立て体Pの好適な全体構造としては、4枚の単位パネル10を接合し、全体として4角形状である下地パネル体20と、その下地パネル体20の一面を被う仕上げ板材30による層とを備え、平面視するとき、前記仕上げ板材30による層は、前記下地パネル体20より面積が小さく、その下地パネル体20の周辺部の全ての部分に下地パネル体20の露出部21、22があり、しかも、その露出部21、22に臨む前記仕上げ板材30の端部がサネとなっている構造である。
【0013】
このパネル組み立て体Pに関し、特に、仕上げ板材30の端部をサネとすることで、現場施工の仕上げ板材50との関係においても互いにサネはぎによる接合形態とすることができる。その場合、左右の露出部22、22に臨む仕上げ板材30の端部と、上部の露出部21に臨む仕上げ板材30の端部をオスサネとし、下部の露出部21に臨む仕上げ板材の端部(残りの端部)をメスサネとするのが、現場施工の仕上げ板材50との関係において特に好都合である。なぜなら、現場施工の仕上げ板材50も下から上へと、あるいは後から容易に貼り付けていくことができるからである。
【0014】
ここで、前記仕上げ板材30による層は、サイディング材31、32が複数列に並んだ構成であり、各列のサイディング材は、長手方向途中に接合部30jをもち、それら接合部30jの接合および互いに隣り合う列間の接合がサネはぎである構成が好適に採用される。そうすることによって、仕上げ板材30全体の貼り付け作業を容易に行え、しかも目地材の施工も省略することができる。
【0015】
前記単位パネル10自体の構成については、特別に限定されることはないが、工場生産方式や規格化するうえで適した構成のもの、例えばパネル内部の芯材1、2と、その芯材1、2の表裏を被う面材とからなる構成のものが好適に採用される。また、下地パネル体20の露出部21、22としては、2階以上の建物におけるパネル組み立て体Pの上下方向の接合形態を考慮して、下地パネル体20の上下左右の全周にわたっている構成とすることが多い。これにより、パネル組み立て体P自体は、その大きさや接合形態に全く左右されない構造となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施の形態について、添付の図1〜図7を参照して説明する。これらの図に示す実施例は、この発明をパネル組み立て式の木質系住宅に適用した例を示すものであり、図1は建物の外壁を構成するためのパネル組み立て体Pの正面図、図2はそのパネル組み立て体Pに対して仕上げ板材30を貼り付ける前の下地パネル体20の正面図、図3は代表的な単位パネルの斜視図である。
【0017】
下地パネル体20は、この図2に示す例では、中央部分に窓用の開口kを備える形態となるように、4つの単位パネル10を接合して構成したものであって、全体として長方形である。各単位パネル10としては、図3に示すように、四角形の枠状に組んだ複数の芯材1、2と、その表裏を被う面材3、4とを備える内部中空な構造である。そして、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填される。各単位パネル10どうしは、工場において、釘打ち、接着剤等を併用して接合している。パネル組み立て体20の幅(長辺方向の長さ)は、ここでは4m程度である。
【0018】
下地パネル体20の一面(外面側)には、仕上げ板材30による層を形成するための第1のサイディング材31と、第2サイディング材32の2種類のサイディング材を貼り付けている。それら第1および第2のサイディング材31、32は共に四方サネをもつ形状であるが、サネの形状の点において基本的に相違している。すなわち、まず第1のサイディング材31は、図4(a)平面図、図4(b)の断面図に示すように、基本的には長方形の板状であって、その長さ方向の両端部に、上面側を帯状に切り欠いた形状のオスサネ310、310を備えている。さらに、その幅方向の一縁側に同じく上面を帯状に切り欠いた形状のオスサネ310を備え、他縁側に下面を帯状に切り欠いた形状のメスサネ311を備えている。
【0019】
一方、第2のサイディング材32については、図5(a)の平面図、図5(b)の断面図に示すように、同じく長方形の板状であるが、その長さ方向の一端部に、上面側を帯状に切り欠いた形状のオスサネ320を、他端部に下面を帯状に切り欠いた形状のメスサネ321を備えている。さらに、その幅方向の一縁側にオスサネ320を備え、他縁側にメスサネ321を備えている。そして、これら第1および第2のサイディング材31、32を、サネはぎによる接合によって、下地パネル体20の幅方向および高さ方向に接合した状態で貼り付けている。各サイディング材31、32の貼り付けは釘打ちやビス止め、あるいはそれらの併用など、通常の方法である。
【0020】
しかし、第1のサイディング材31と、第2のサイディング材32との接合部30jの位置に関しては、図1に示すように、単位パネル10どうしの接合部10jの位置と一致しないように意識的にずらしている。図1では、接合部30jの位置が接合部10jの位置よりも左寄りになるように設定している。こうすることによって、第2のサイディング材32自体のもつ構造強度を、単位パネル10どうしの接合部10j部分の接合強度を補強するために有効に利用できるからである。
【0021】
さて、これら第1のサイディング材31および第2のサイディング材32からなる仕上げ板材30による層は、下地パネル体20の周辺部のうち、上下左右の4方向の部分(全周)に、下地パネル体20の露出部21、22を形成する大きさである。したがって、第1のサイディング材31には、ここでは長さは2.5〜2.8m程度のものを用い、第2のサイディング材32には、長さ1.2〜1.5m程度のものを用い、全体としては4m未満としている。なお、図示例では、上下の露出部21、21の幅を、左右の露出部22、22の幅よりも大きく設定しているが、これについては任意である。
【0022】
図6は、図1に示したパネル組み立て体Pと、そのパネル組み立て体Pとほぼ同様構成のパネル組み立て体P1(窓用の開口kの無い、長さ3m程度のもの)とを連結した正面図を示すものである。この図6から理解できるように、パネル組み立て体P、P1どうしの接合部20j部分には、露出部22の2倍の幅の露出部が形成されることになる。したがって、この露出部には、図7(a)、(b)に示すように、現場施工の仕上げ材50としてのサイディング材51を、同じく釘打ちやビス止めなどの方法で貼り付ける。
【0023】
このサイディング材51としては、図示のように長さの短い端寸のものを複数枚用いるか、あるいは下地パネル体20の高さ方向に長い一枚もの(表面に複数枚に見せるための溝を形成したものでも可)などを用いることができるが、いずれにしても、その上下および左右の縁部にオスサネやメスサネを備える構成とするのが好ましい。図7に示す例では、隣り合うパネル組み立て体P、P1におけるサイディング材との関係で、左右の縁部にオスサネ510、510を設けている。なお、パネル組み立て体P1のサイディング材41の場合、その長さ方向の途中に接合部はなく、その長さ方向の両端部がオスサネ410、410となるものを用いている。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、下地パネル体20は、2以上の単位パネル10を接合し、全体として4角形状としている。したがって、施工すべき建物の壁面を複数の壁部分に区分して下地パネル体20の大きさを設定する際に、現場での施工性や工費あるいは構造強度などの点から総合的に最も好ましい大きさにすることができる。また、下地パネル体20の一面を被う仕上げ板材30によって単位パネル10どうしの接合部10jを補強することが可能になり、全体的な構造強度を高めることができる。
【0025】
さらに、下地パネル体20の露出部21、22について、下地パネル体20の周辺部のうち、上下左右の4方向に設けた場合、下地パネル体20とその一面を被う仕上げ板材30による層とからなるパネル組み立て体Pそのものが、その周囲の露出部21、22と仕上げ板材30による層との関係において4方サネをもつような形態となる。したがって、パネル組み立て体Pどうしの左右および上下の接合のいずれの場合でも、その接合部分20jにおける前記露出部21、22を、現場施工の仕上げ板材50で被う方法とすることができる。この場合、左右の露出部22、22に臨む仕上げ板材30の端部と、上部の露出部21に臨む仕上げ板材30の端部をオスサネとし、残りの端部をメスサネとすることによって、現場施工の仕上げ板材50との関係において、その施工上からも特に好都合なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例を示すパネル組み立て体の正面図である。
【図2】 下地パネル体の正面図である
【図3】 単位パネルの斜視図である。
【図4】 第1のサイディング材を示す図である。
【図5】 第2のサイディング材を示す図である。
【図6】 パネル組み立て体どうしの接合を示す正面図である。
【図7】 現場施工のサイディング材を示す図である。
【符号の説明】
10 単位パネル
20 下地パネル体
21、22 露出部
30 仕上げ材
P パネル組み立て体
Claims (2)
- 施工すべき建物の壁面を上下方向および左右方向に複数の壁面部分に区分し、それら各壁面部分をパネル組み立て体によって施工する方法であって、前記パネル組み立て体の1つは、4枚の単位パネルを接合して中央に開口を形成し、全体として4角形状の下地パネル体とし、前記下地パネル体の一面を仕上げ板材による層が被い、平面視するとき、前記仕上げ板材による層は前記下地パネル体より面積が小さく、その下地パネル体の周辺部の全ての部分に下地パネル体の露出部を設け、前記下地パネル体の露出部に臨む仕上げ材は、左右および上部の端部がオスサネ、下部の端部がメスサネであるとともに、前記仕上げ板材による層は、仕上げ板材が上下に複数列に並んだ構成とされ、その各列の仕上げ板材は長手方向途中において上記4枚の単位パネルの接合部と一致しない部位に接合部をもち、前記各列の仕上材の接合部は整列していることを特徴とする建物の壁面施工方法。
- 4枚の単位パネルを接合して中央部に開口を形成し、全体として4角形状である下地パネル体と、その下地パネル体の一面を被う仕上げ板材による層とを備え、平面視するとき、前記仕上げ板材による層は前記下地パネル体より面積が小さく、その下地パネル体の周辺部の全ての部分に下地パネル体の露出部があり、しかも、その露出部に臨む前記仕上げ板材は、左右および上部の端部がオスサネ、下部の端部がメスサネであり、前記仕上げ板材による層は、仕上げ板材が上下に複数列に並んだ構成であり、その各列の仕上げ板材は夫々長手方向途中に接合部をもち、それら接合部の接合および互いに隣り合う列間の接合がサネはぎであるとともに、前記各列の仕上げ板材の長手方向途中の接合部は整列しており、その整列した接合部は前記4枚の単位パネルの接合部と一致していない構造であることを特徴とするパネル組み立て体。
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