JP3675885B2 - 耐摩耗性組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、耐摩耗性に優れた組成物に関する。
【0002】
【背景技術】
例えば、シリコンウェハー、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示体用ガラス基板、ハイブリッドIC用セラミックス基板、サーマルヘッド用ガラス基板等各種の基板の製造工程においては、基板を加工、処理、洗浄、輸送、保管するために、各基板を傷つけないように互いに接触することなく収納体に出入、収納することが必要である。それとともに収納体自身も摩耗されにくいものであることが求められる。その上、かかる収納体は、上記洗浄の際、滅菌をするので耐熱性を必要とし、さらに不純物等の混入の虞のないものであることが要求される。
【0003】
耐熱性が要求される点と成形加工性の面から、耐熱性樹脂であるポリアリーレンサルファイドをマトリックス樹脂として用いることが考えられる。しかし、ポリアリーレンサルファイドは、耐熱性、耐薬品性、耐油性に優れ、かつ自己潤滑性もあると期待されるものの、耐摩耗性が殆ど無い。このため、摺動用部材として用いる場合、ポリアリーレンサルファイドに、炭素繊維、グラファイト等の粒状炭素物質を含有させ、摺動性を付与せしめることが広く行われている。
【0004】
ところが、かかるポリフェニレンサルファイドとグラファイトと炭素繊維よりなる摺動材は、耐摩耗性がよいものとはいえなかった。また、特開平2−218752号公報には、ポリアリーレンサルファイド、カーボンビーズ、炭素繊維からなる組成物が開示されているが、ここに具体的に開示されている組成物を用いた摺動材でも、なお摩耗されやすいという問題があった。
【0005】
上記用途とは全く別な用途である、各種薬品あるいはオイル等の流量計のベーン(浮子)のように、耐熱性は要求されないが、耐薬品性、耐油性、液相での耐摩耗性が要求される用途分野が存在する。また、摺動相手材が極めて硬度の高い材料、例えばガラス板のような用途へも、ポリアリーレンサルファイドをバインダーとする摺動部材の応用が試みられるようになってきた。しかしながら、このような分野に対し、ポリアリーレンサルファイドと炭素繊維からなる組成物を適用した場合でも、先の場合と同様に著しく摩耗するという問題があった。ポリアリーレンサルファイド、炭素繊維、グラファイトからなる組成物を用いた場合、ポリアリーレンサルファイド、炭素繊維、カーボンビーズからなる組成物を用いた場合のいずれも、摩耗はある程度抑えられるが、十分ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、硬度の高い材料との摺動性、特に耐摩耗性に優れた摺動性部材用組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来技術において具体的に開示されていた炭素粉末とは異なる特定の炭素粉末と炭素繊維とポリアリーレンサルファイドよりなる組成物が優れた性能を有することを見出したことに基づく。
本発明によれば、炭素粉末1〜25質量%、炭素繊維25〜50質量%及びポリアリーレンサルファイド49〜74質量%を含有する耐摩耗性組成物であって、該炭素粉末が、平均粒径1〜60μmを有し、そして、
(a)X線回析法により求めた(002)面の平均層面間隔d002が0.338〜0.380nmであり、
(b)C軸方向の平均の結晶子の大きさLc(002)が1〜70nmであり、かつ
(c)該d002とLc(002)が下記式(I)
【0008】
【数2】
【0009】
で示される関係を満足する
との特性(a)〜(c)を有するものであることを特徴とする耐摩耗性組成物が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
炭素粉末としては、X線回折法により求めた(002)面の平均層面間隔d002が0.338〜0.380nm、好ましくは0.340〜0.375nmのものが用いられる。平均層面間隔が小さいほど黒鉛化度が進む関係にあり、0.338nm未満の炭素粉末を用いた場合、黒鉛化度が高くなって劈開が生じやすくなり、逆に平均層面間隔が0.380nmを超える炭素粉末を用いた場合には、黒鉛化度が低くなり、摺動した際に潤滑する成分が少なくなる。その結果、いずれの場合も摩耗量が増加する。平均層面間隔は、以下のようにして求めたものである。即ち、炭素粉末をアルミニウム製試料セルに充填し、グラファイトモノクロメーターにより単色化したCuKα線を線源とし、X線回折図形を得る。(002)回折線のピーク位置は、重心法(回折線の重心位置を求め、これに対応する2θ値でピーク位置を求める方法)により求め、標準物質用高純度シリコン粉末の(111)回折線(28.466°)を用いて補正し、Braggの公式
【0011】
【数3】
【0012】
よりd002を計算した。ここでCuKα線の波長λは、0.15418nmとした。
【0013】
炭素粉末は、C軸方向の平均の結晶子の大きさLc(002)が1〜70nm、好ましくは1.1〜60nm、より好ましくは1.2〜50nmのものが用いられる。C軸方向の平均の結晶子の大きさLc(002) は、炭素粉末試料の(002)回折線の半値幅から標準物質用高純度シリコン粉末の(111)回折線の半値幅を差し引いた値β1/2を用い、Scherrerの式
【0014】
【数4】
【0015】
により計算したものである。ここで形状因子Kは、0.9とした。
【0016】
さらに、炭素粉末は、平均層面間隔d002及びC軸方向の結晶子の大きさLc(002)が下記式(I)
【0017】
【数5】
【0018】
で示される関係を満足するものである。
式(I)を満たさない炭素粉末、例えばアセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、活性炭では、耐摩耗性が不十分である。
【0019】
炭素粉末は、光散乱法で求めた平均粒径が1〜60μmのものが用いられ、中でも2〜50μm、特に3〜40μmのものが好ましく用いられる。平均粒径が1μm未満では、成形時における粘度が上昇し成形加工性が損なわれ、また、平均粒径が60μmを超えると、摺動の際に炭素粉末の脱落による摩耗量の増加が生じやすい。
【0020】
上記諸条件を満たす炭素粉末を得るには、例えば次のような方法が好適に採用される。その方法は、特公昭59−10930号公報に記載した方法に似ているが、酸化する際の温度を異にする。即ち、石油系または石炭系ピッチと、沸点200℃以上の2〜3環の芳香族化合物から選ばれた粘度調節剤の混合物を溶融して口金より押出して紐状となしたもの、若しくは該紐状物を延伸したものを、冷却固化せしめてピッチ成形体を得、さらにピッチ成形体を粉砕し、直径に対する長さの比が5以下、特に2以下の棒状ピッチとする。次に粉砕したピッチ成形体を、ピッチ混合物の軟化点以上の熱水中に投入して球状ピッチ成形体を形成した後、ピッチに対して溶解度が低くかつ粘度調節剤に対して溶解度の高い溶剤でピッチ成形体から粘度調節剤を抽出除去せしめ、得られたピッチ成形体を酸化雰囲気中、160〜280℃の温度で酸化処理し、次いで焼成する方法である。酸化が160℃未満の温度では不融化が十分でなく、また280℃を越えると不融化と同時に賦活化も進み、所望の物性が得られにくい。好ましくは170〜270℃で行われる。酸化を行なう時間は、通常30〜90分程度であり、好ましくは45〜75分程度が採用される。焼成は、酸化処理により不融化された後、不活性雰囲気中で600〜2850℃の温度で行なわれる。
【0021】
炭素粉末は、組成物中、1〜25質量%、好ましくは3〜20質量%、より一層好ましくは5〜15質量%含有される。炭素粉末が1質量%未満では、摺動の際の摩耗量が増加し、他方、炭素粉末が25質量%を超えると成形時の組成物の粘度が増大し、成形加工性が損なわれるため好ましくないためである。
【0022】
炭素繊維としては、セルロース繊維、ポリアクリロニトリル繊維、リグニン繊維、石油系ピッチ、石炭系ピッチ等を原料として焼成された、耐炎性の炭素質、易黒鉛化性炭素質等の種々のタイプのものが使用可能である。特に本発明で好ましいのは、黒鉛化率の低い炭素繊維である。
【0023】
炭素繊維としては、平均繊維長が50〜1000μmのものが好ましく、100〜500μmのものがより一層好ましい。平均繊維長が50μmを下回ると撓みが少なくなり、1000μmを上回ると成形時の成形収縮率の異方性が大きくなる。また、組成物における炭素繊維は、その中の繊維長100μm以下の含有率が60質量%以下のものは、組成物の表面に炭素繊維が浮き出ないようにすることができる点で好ましい。炭素繊維中、繊維長100μm以下の含有率は、より好ましくは45質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。組成物中における炭素繊維の割合は、25〜50質量%、好ましくは27〜45質量%である。炭素繊維の割合が25質量%未満では摩耗量が増加し、50質量%を越える場合には成形物を構成する成分相互の接着性が弱く成形物が壊れやすくなる。炭素繊維の平均繊維長及び100μm以下の含有率の測定は、組成物の樹脂を過酸化水素と熱濃硫酸によって除去し、炭素繊維の長さを光学顕微鏡で、500個測定して求めたものである。
【0024】
ポリアリーレンサルファイドは、主構成単位として−(−Ar−S−)−(ここで「−Ar−」は、アリーレン基を意味する。)を50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上含むポリマーである。その中でも二官能性モノマーを主体とするモノマーから得られた実質的に線状構造を有するポリアリーレンサルファイドが靱性に優れるため好ましい。ただし、部分的に架橋構造を含むもの、あるいは酸化架橋により溶融粘度の増大処理(キュアー)を行なったものであっても、機械的物性が損なわれない限り用いることができる。また、ポリアリーレンスルフィドは、ホモポリマーであってもよいし、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0025】
ポリアリーレンスルフィドは、細管粘度計を用いて求めた、310℃、剪断速度1200sec-1における見掛粘度が、5〜2000Pa・sのものが好ましく、10〜1500Pa・sのものがより一層好ましく、15〜1200Pa・sのものが特に好ましい。見掛粘度が5Pa・s未満では、得られた成形物の機械的強度が極めて低く、一方2000Pa・sを超えると成形性が損なわれる。
【0026】
ポリアリーレンサルファイドは、組成物中、49〜74質量%、好ましくは55〜70質量%の割合で含有される。ポリアリーレンサルファイドが49質量%未満では流動性が低下し成形物の表面光沢が失われ、炭素繊維が浮き出て欠落しやすくなり、74質量%を越える場合には摩耗量が多くなる。
【0027】
本発明では、本発明の目的を損なわない限り、他の樹脂、安定剤、加工助剤、充填剤等を含めることができる。本発明の組成物は、押出成形、射出成形等の公知の成形方法により成形される。組成物は、成形に先立ってペレット化するのが好ましいが、直接粉体から成形することもできる。
【0028】
【実施例】
実施例、比較例に示した諸特性のうち、既述していない測定法について以下に述べる。
[テーバー摩耗量]
射出成形機(東芝機械製IS−75)にペレット状の各実施例及び比較例に示す構成からなる組成物を供給し、シリンダ温度310℃、ノズル温度310℃、射出圧力147MPa、金型温度150℃にて厚さ3mm、横幅100mm、縦幅100mmの成形品を作成し、試料とした。摩耗試験は、JIS K 7204に従ってテーバー摩耗試験器により行なった。摩耗輪は、CS−17を用い、荷重を9.8Nとし、1000回転後の摩耗量を測定した。
【0029】
[炭素粉末の粒径]
光散乱法(堀場製作所製 LA−500を使用)により測定した。
【0030】
[実施例1]
(炭素粉末の作成)
軟化点210℃、キノリン不溶分1質量%、H/C原子比0.63の石油系ピッチ68kgとナフタレン32kgとを、攪拌翼のついた内容積300リットルの耐圧容器に仕込み、190℃に加熱し溶融混合した後、80〜90℃に冷却して押出し、直径が約500μmの紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を直径に対する長さの比が約1.5になるように粉砕し、得られた粉砕物を93℃に加熱した0.53%ポリビニルアルコール(ケン化度88%)水溶液中に投下し、攪拌分散し、冷却して球状ピッチ成形体を得た。さらに濾過を行ない水分を除去し、球状ピッチ成形体の約6倍量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。この様にして得られた球状ピッチ成形体を流動層において100gの球状ピッチ成形体に対し、20リットル/分の流量で空気を送り、30℃/時間で165℃まで昇温し、165℃で1時間保持し酸化不融化を行ない酸化ピッチを得た。
【0031】
この酸化ピッチを480℃で1時間熱処理して、揮発分が4.7%の炭素前駆体を得た。この炭素前駆体を粉砕して、平均粒径が約12μmの炭素前駆体微粒子とした。次に、この炭素前駆体微粒子を窒素気流中、2000℃で1時間炭素化し、炭素粉末を得た。得られた炭素粉末の平均層面間隔d002は0.342nm、C軸方向の平均の結晶子の大きさLc(002)は9.22nm、粒径は10μmであった。
【0032】
(組成物の作成)
上記方法によって得られた炭素粉末1kg(組成物中5質量%)、石油ピッチ系炭素繊維(呉羽化学工業製「M107T」を使用、平均繊維長は130μm:100μm以下の含有率は21%)6kg(組成物中30質量%)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、「PPS」と略称する)(呉羽化学工業製、310℃における剪断速度1200秒-1での見掛溶融粘度約120Pa・sを使用)を13kg(組成物中65質量%)秤量し、100リットルのタンブラーミキサーへ投入混合し、混合物を得た。得られた混合物を乾燥後、45mmφ二軸押し出し機へ供給し、シリンダー温度280〜310℃にて混練を行ない、ペレット状組成物を得た。
【0033】
(組成物の特性評価)
得られた組成物を射出成型機(東芝機械製IS75)へ供給し、シリンダーのC1温度を290℃、最高シリンダー温度を330℃、ダイス温度を310℃、金型温度を約150℃として、100mm×100mm、厚さ3mmの板状成形品を得た。得られた板状成型品のテーバー摩耗量は27mgであった。表1に実施例及び比較例の主な構成と特性をまとめて示す。
【0034】
【表1】
【0035】
[実施例2]
実施例1と同様の炭素粉末1.6kg(組成物中8質量%)、炭素繊維6.4kg(組成物中32質量%)、PPS12kg(組成物中60質量%)を秤量し、混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、25mgであった。
【0036】
[実施例3]
実施例1と同様の炭素粉末2.0kg(組成物中10質量%)、炭素繊維6.0kg(組成物中30質量%)、PPS12kg(組成物中60質量%)を秤量し、混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ25mgであった。
【0037】
[実施例4]
実施例1と同様の炭素粉末1.0kg(組成物中5質量%)、炭素繊維7.0kg(組成物中35質量%)、PPS12kg(組成物中60質量%)を秤量し、混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、24mgであった。
【0038】
[実施例5]
(炭素粉末の作成)
炭素前駆体までは実施例1と同様に作成し、この炭素前駆体を粉砕して、平均粒径が約23μmの炭素前駆体微粒子を得た。次に、この炭素前駆体微粒子を窒素気流中、1000℃で1時間炭素化し、炭素粉末を得た。得られた炭素粉末の平均層面間隔d002は0.361nmであった。また、C軸方向の平均の結晶子の大きさLc(002)は1.62nm、平均粒径は22μmであった。
【0039】
(組成物の作成)
得られた炭素粉末1.0kg(組成物中5質量%)、実施例1と同様の炭素繊維6.0kg(組成物中30質量%)、PPS13.0kg(組成物中65質量%)を秤量し、実施例1と同様に混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。
【0040】
(組成物の特性評価)
得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、23mgであった。
【0041】
[実施例6]
実施例5と同様の炭素粉末1.0kg(組成物中5質量%)、炭素繊維7.0kg(組成物中35質量%)、PPS12.0kg(組成物中60質量%)を秤量し、実施例1と同様に混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、24mgであった。
【0042】
[実施例7]
(炭素粉末の作成)
球状ピッチ成形体までは実施例1と同様に作成し、流動床を使用して100gの球状ピッチ成形体に対し、20リットル/分の流量で空気を送り、30℃/時間で260℃まで昇温し、260℃で1時間保持して酸化処理を行い熱に対して不融な多孔性球状ピッチ成形体を得た。この多孔性球状ピッチ成形体を窒素ガスを含む水蒸気雰囲気の流動床内で200℃/時間の条件で600℃まで昇温し600℃に1時間保持し予備焼成を行ない、冷却し炭素前駆体を得た。この炭素前駆体を粉砕し、平均粒径が約26μmの炭素前駆体微粒子を得た。更にこの炭素前駆体微粒子を窒素ガス中で600℃/時間の条件で1200℃まで昇温し、1200℃で1時間焼成した後、冷却し炭素粉末を得た。得られた炭素粉末の平均層面間隔d002は0.377nm、C軸方向の平均の結晶子の大きさLc(002)は1.28nm、平均粒径は25μmであった。
【0043】
(組成物の作成)
上記炭素粉末1.0kg(組成物中5質量%)、実施例1と同様の炭素繊維6.0kg(組成物中30質量%)、PPS13.0kg(組成物中65質量%)を秤量し、実施例1と同様に混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、25mgであった。
【0044】
[実施例8]
(炭素粉末の作成)
実施例7と同様に作成した炭素前駆体を粉砕し、窒素ガス中で600℃/時間の条件で2000℃まで昇温し、2000℃で1時間焼成した後、冷却し炭素粉末を得た。炭素粉末の平均層面間隔d002は0.362nm、C軸方向の平均の結晶子の大きさLc(002)は1.72nm、平均粒径は25μmであった。
【0045】
(組成物の作成)
上記炭素粉末1.0kg(組成物中5質量%)、実施例1と同様の炭素繊維6.0kg(組成物中30質量%)、PPS13.0kg(組成物中65質量%)を秤量し、実施例1と同様に混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、24mgであった。
【0046】
[実施例9]
(炭素粉末の作成)
炭素前駆体までは実施例1と同様に作成し、炭素前駆体を粉砕して平均粒径が約62μmの炭素前駆体微粒子を得た。次に、この炭素前駆体微粒子を窒素気流中、2000℃で1時間炭素化し、平均粒径が約35μmの炭素粉末を得た。炭素粉末の平均層面間隔d002は0.342nm、C軸方向の平均の結晶子の大きさLc(002)は9.22nmであった。
【0047】
(組成物の作成)
上記方法で得られた炭素粉末を1.0kg(組成物中5質量%)、実施例1と同様の炭素繊維6.0kg(組成物中30質量%)、PPS13.0kg(組成物中65質量%)を秤量し、混合、混練を行ない、ペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、27mgであった。
【0048】
[実施例10]
実施例1と同様の炭素粉末2.0kg(組成物中10質量%)、実施例1と同様の炭素繊維7.0kg(組成物中35質量%)、PPS11.0kg(組成物中55質量%)を秤量し、実施例1と同様に混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、27mgであった。
【0049】
[実施例11]
(炭素粉末の作成)
炭素前駆体微粒子までは実施例1と同様に作成し、得られた炭素前駆体微粒子を窒素気流中、2800℃で1時間炭素化し、平均粒径が約10μmの炭素粉末を得た。得られた炭素粉末の平均層面間隔d002は0.340nm、C軸方向の平均の結晶子の大きさLc(002)は50.08nmであった。
【0050】
(組成物の作成)
上記方法によって得られた炭素粉末を1.0kg(組成物中5質量%)、実施例1と同様の炭素繊維6.0kg(組成物中30質量%)、PPS13.0kg(組成物中65質量%)を秤量し、混合、混練を行ない、ペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、28mgであった。
【0051】
[比較例1]
実施例1と同様の炭素繊維6.0kg(組成物中30質量%)、PPS14.0kg(組成物中70質量%)を秤量し、実施例1と同様に混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、40mgであった。
【0052】
[比較例2]
実施例1と同様の炭素粉末1.0kg(組成物中5質量%)、炭素繊維4.0kg(組成物中20質量%)、PPS15.0kg(組成物中75質量%)を秤量し、実施例1と同様に混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形しテーバー摩耗量を測定したところ、52mgであった。
【0053】
[比較例3]
実施例1と同様の炭素粉末1.0kg(組成物中5質量%)、炭素繊維10.0kg(組成物中50質量%)、PPS9.0kg(組成物中45質量%)を秤量し、実施例1と同様に混合、混練を行いペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様にテーバー摩耗量を測定したところ、60mgであった。
【0054】
[比較例4]
実施例1と同様の炭素粉末4.0kg(組成物中20質量%)、炭素繊維4.0kg(組成物中20質量%)、PPS12.0kg(組成物中60質量%)を秤量し、実施例1と同様に混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、48mgであった。
【0055】
[比較例5]
平均層面間隔d002が0.337nm、C軸方向の平均の結晶子の大きさLc(002)が100.80nmの天然黒鉛の粉末(平均粒径25μm)1.0kg(組成物中5質量%)、実施例1と同様の炭素繊維6.0kg(組成物中30質量%)、PPS13.0kg(組成物中65質量%)を秤量し、実施例1と同様に混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、36mgであった。
【0056】
[比較例6]
平均層面間隔d002が0.336nm、C軸方向の平均の結晶子の大きさLc(002)が0.958nmのカーボンブラックの粉末1.0kg(組成物中5質量%)、実施例1と同様の炭素繊維6.0kg(組成物中30質量%)、PPS13.0kg(組成物中65質量%)を秤量し、実施例1と同様に混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、30mgであった。
【0057】
[比較例7]
(炭素粉末の作成)
軟化点182℃、キノリン不溶分10質量%、H/C原子比0.53のピッチ75kgにナフタレン25kgを攪拌翼の付いた内容量300リットルの耐圧容器に仕込み、210℃に加熱溶融混合し、80〜90℃に冷却して直径0.5mmの孔を有する口金から押し出し、直径約150μmの紐状成形体を得た。この紐状成形体を高速カッターに入れ1分間攪拌し、粉砕物を得た。得られた粉砕物の直径に対する長さの比が1.1であった。次いで、90℃に加熱した0.5%ポリビニルアルコール(ケン化度88%)水溶液に投下し、攪拌分散し、冷却して球状ピッチ成形体を得た。さらに、濾過を行ない、水溶分を除去し、球状ピッチ成形体の約6倍量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンの抽出除去を行なった。次に流動層に於いて100gの球状ピッチ成形体に対し、20リットル/分の流量で空気を送り、30℃/時間で300℃まで昇温し酸化不融化を行ない平均粒径が約70μmの不融化ビーズを得た。更に得られた不融化ビーズを200℃/時間の条件で1000℃まで昇温し、1000℃の温度で1時間保持して炭化し、平均粒径が60μmの炭素粉末を得た。得られた炭素粉末の平均層面間隔d002は0.353nm、C軸方向の結晶子の大きさLc(002 )は1.10nmであった。
【0058】
(組成物の作成)
上記炭素粉末1.0kg(組成物中5質量%)、実施例1と同様の炭素繊維6.0kg(組成物中30質量%)、PPS13.0kg(組成物中65質量%)を秤量し、実施例1と同様に混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、31mgであった。
【0059】
[比較例8]
(組成物の作成)
比較例7と同様の方法で得られた炭素粉末1.0kg(組成物中5質量%)、実施例1と同様の炭素繊維4.0kg(組成物中20質量%)、PPS15.0kg(組成物中75質量%)を秤量し、実施例1と同様に混合、混練を行ないペレット状組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様に成形し、テーバー摩耗量を測定したところ、51mgであった。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、摩耗量が従来技術に比べ一段と少ない耐摩耗性組成物が得られる。本発明は、特にシリコンウェハー、ガラス基板等の硬い材料に対し、摺動させても、摩耗されにくい材料を提供するものである。
Claims (15)
- 炭素粉末の平均粒径が2〜50μmである請求項1記載の耐摩耗性組成物。
- 炭素粉末の平均粒径が3〜40μmである請求項1記載の耐摩耗性組成物。
- 炭素粉末の平均層面間隔d 002 が0.340〜0.375nmである請求項1記載の耐摩耗性組成物。
- 炭素粉末のC軸方向の平均の結晶子の大きさLc(002)が1.1〜60nmである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の耐摩耗性組成物。
- 炭素粉末のC軸方向の平均の結晶子の大きさLc(002)が1.2〜50nmである請求項5記載の耐摩耗性組成物。
- 炭素粉末の割合が3〜20質量%である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の耐摩耗性組成物。
- 炭素粉末の割合が5〜15質量%である請求項7記載の耐摩耗性組成物。
- 炭素繊維の平均繊維長が50〜1000μmである請求項1乃至8のいずれか1項に記載の耐摩耗性組成物。
- 炭素繊維の平均繊維長が100〜500μmである請求項9記載の耐摩耗性組成物。
- 炭素繊維が、繊維長100μm以下の含有率が60質量%以下のものである請求項1乃至10のいずれか1項に記載の耐摩耗性組成物。
- 炭素繊維が、その中の繊維長100μm以下の含有率が45質量%以下のものである請求項11記載の耐摩耗性組成物。
- 炭素繊維が、その中の繊維長100μm以下の含有率が30質量%以下のものである請求項12記載の耐摩耗性組成物。
- 炭素繊維の割合が27〜45質量%である請求項1乃至13のいずれか1項に記載の耐摩耗性組成物。
- ポリアリーレンサルファイドが、実質的に線状構造を有するものである請求項1乃至14のいずれか1項に記載の耐摩耗性組成物。
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