JP3675532B2 - 測量機の微動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は測量機の微動装置に係り、特に固定軸と微動軸とが同軸状に配置された測量機の微動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
測量機の微動装置に関しては、一般に図1で示すように、機体ケーシング1には円筒状の微動雌ねじ2が固定され、この微動雌ねじ2内に固定軸3が配設されている。この固定軸3は、微動雌ねじ2の機体ケーシング1側に配設されたブッシュ1aに沿って軸方向に進退できる。なお符号4は固定ツマミである。
【0003】
そして固定軸3には円筒状の微動雄ねじ5が組付けられ、微動雄ねじ5の雄ねじ部5aは微動雌ねじ2の雌ねじ部2aに螺合し微動雄ねじ5には微動ツマミ6が固設されている。
【0004】
固定ツマミ4を回すと実公平3−51758号公報に示すような緊締機構によって回転軸が緊締されて回転軸が固定される。すなわち、実公平3−51758号公報では、本願図4で測量機本体枠内に内設された回転軸51を回転自在に挿設できるように本体枠Bに対して回転自在に固定環52を設け、回転軸51を圧接し得るように当金53を固定環52の内側に遊嵌する。この当金53を押圧するための押棒54を固定環52に保持させる。
【0005】
そして回転するスパイラルカム61のカム面で押棒54の後端を押圧できるように形成する。そして回転軸51のほぼラジアル方向に固定環52からスパイラルカム61を軸支する。そして固定軸3の後端とスパイラルカム61とを公知のユニバーサル継手60によって連結し、固定ツマミを回すことによって当金53により回転軸51と固定環52とを圧接固定する。
【0006】
そしてこの状態で、微動ツマミ6を回すと微動雄ねじ5が微動雌ねじ2とのねじ螺合部のピッチ速度で進退し、固定軸3も微動雄ねじ5と一体に進退し、回転軸51に固定一体化されている固定環52を回転軸51とともに微少回動させる。
【0007】
上記回転軸としては、測量機の鉛直軸の他に、例えば望遠鏡の水平支軸があり、望遠鏡を水平支軸回りに回転させて望遠鏡の視野の中にターゲットが入るように合わせ、この位置で固定ねじを使って回転軸(望遠鏡の水平支軸)の回転を固定する。次いで微動ツマミを使って回転軸を微少回動させて、十字線位置にターゲットがくるようにして視準が完了する。
【0008】
なお、実公昭62−31843号公報には、「つまみの軸につまみカバーが組付けられておりつまみを使用しないときにはつまみカバーによってつまみが包囲された状態に保持されるのでつまみが誤って回動することがない」という微動装置が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
これは固定ねじと微動ねじとが同軸状に組付一体化された構造ではなくこの実公昭62−31843号公報に開示しているつまみカバーを図1に示す従来技術に適用すると、つまみカバーは微動ツマミと固定ツマミの双方を覆う大きなものとなり、さらに両ツマミが露呈する状態と隠れた状態となるように、つまみカバーの摺動ストロークが大きくなって、微動装置の機体ケーシングからの突出量が非常に大きくなって好ましくない。そして視準終了後測量作業中に誤って微動,固定ツマミ4,6に触れて視準位置が狂ってしまうおそれもある。
【0010】
本発明の目的は、測量作業中に固定ツマミや微動ツマミを誤って回動させるおそれのない測量機の微動装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に係る測量機の微動装置は、測量機のケーシングに固定されて軸受として作用する円筒状の微動雌ねじと、固定ツマミが固設され前記微動雌ねじ内に配設されて回動および軸方向に進退可能な固定軸と、前記固定軸に回動および進退可能に組付けられかつ前記微動雌ねじに螺合する円筒状の微動雄ねじと、前記固定ツマミを包囲する容器状に形成され前記固定軸に回動および進退可能に組付けられた固定ツマミカバー兼用微動ツマミと、前記微動ツマミと微動雄ねじ間に設けられた係脱手段、とを備え、前記微動ツマミの前記固定軸に沿った進退動作に伴って前記係脱手段が係脱されることに応じて、前記微動ツマミと前記固定軸とが連係状態となると共に前記固定ツマミが前記微動ツマミの外部に露出した状態と、前記微動ツマミと前記固定軸とが非連係状態となると共に前記固定ツマミが前記微動ツマミにより包囲された状態と、に切替わることを特徴とする。
【0012】
また前記係脱手段は、請求項2のように、微動ツマミ側の内歯7aと、この内歯に係合する微動雄ねじ側の外歯8aにより構成されている構成とする。
【0013】
さらに請求項3のように、前記固定軸に周設された溝と、前記微動ツマミに設けられたボールプランジャとにより、微動ツマミを所定位置に付勢保持する保持手段が構成されていると好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
図2及び図3は本発明に係る測量機の微動装置の実施例を示すものであり、図2は微動ツマミが固定ツマミを覆った状態の部分切り欠き断面を含む説明図、図3は固定ツマミを露呈させ微動ツマミの内歯と微動雄ねじの外歯とを噛合させた状態の部分切り欠き断面を含む説明図である。
【0015】
本発明の微動装置は、固定ツマミ4を包囲する容器状に形成されて、固定軸3に回動および進退可能に組付けられた固定ツマミカバー兼用微動ツマミ10と、この微動ツマミ10と微動雄ねじ5間に設けられた係脱手段Kとを備えていることを基本的な構成とする。
【0016】
つまり、固定ツマミカバー兼用微動ツマミ10を固定軸3に沿って前進スライドさせると、係脱手段Kが係合して微動ツマミ10と微動雄ねじ5とが連係状態となるとともに固定ツマミ4が露呈する。従ってこの状態では固定ツマミ4の操作による回転軸51の固定及び微動ツマミ10操作による回転軸51の微少回動を行うことができる。
【0017】
また微動ツマミ10を固定軸3に沿って後方スライドさせると、係脱手段Kの係合が外れて微動ツマミ10と微動雄ねじ5とが非連係状態となるとともに固定ツマミ4が微動ツマミ(固定ツマミカバー)10によって隠された状態となる。従ってこの状態では、誤って微動ツマミ10に触れたとしても微動ツマミ10は空回りするだけで、微動雄ねじ5に微動ツマミ10の回動力は一切伝達されない。
【0018】
そして固定ツマミ4は微動ツマミ(固定ツマミカバー)10で覆われており固定ツマミ4が回動されることはない。
【0019】
【実施例】
以下、本発明のより具体的な実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0020】
以下の説明例においては、前記図1で示す従来構造と同一部材は図1と同一の符号で示す。
【0021】
本例第2図において微動装置は、機体ケーシング1に円筒状の微動雌ねじ2が固定され、この微動雌ねじ2内に固定軸3が配設されている。本例の固定軸3は、微動雌ねじ2の機体ケーシング1側に配設されたブッシュ1aに沿って軸方向に進退できるように構成されている。固定軸3には一端に固定ツマミ4が固設され、所定位置には間隔をおいて、V溝12及び13が周設されている。また固定軸3の先端側は、前記した従来例1図と同様な緊締機構によって回転軸51が緊締されて回転軸51が固定される。
【0022】
そして固定軸3の本体側の外周には円筒状の微動雄ねじ5が組付けられ、微動雄ねじ5の雄ねじ部5aは、後述する微動雌ねじ2の雌ねじ部2aに螺合している。
【0023】
図2及び図3における符号10は、固定ツマミカバー兼用微動ツマミであり、微動ツマミ10は、固定ツマミ4を前方(測量機本体側)から少なくとも周囲を包囲できる容器形状に形成され、固定軸3に対して回動及び進退可能に組付けられている。本例の微動ツマミ10では回転把持部10aと、この回転把持部10aに連続して覆部10bが形成され、この覆部10bは、微動雌ねじ2の外周を覆って固定軸3の軸方向へ摺動するように構成されている。
【0024】
本例の係脱手段Kは、微動ツマミ10と微動雄ねじ5にそれぞれ形成された内筒部7,8の歯7a,8aから構成されている。つまり本例の微動ツマミ10には内筒部7が形成されており、この内筒部7には内歯7aが形成されている。また微動雄ねじ5にも内筒部8が形成されており、この内筒部8は、上記内筒部7より小径に形成されており、外周には上記内歯7aと係合可能な外歯8aが形成されていて噛合するよう構成されている。
【0025】
そして微動ツマミ10の固定軸3に沿った進退動作に伴って、内歯7aと外歯8aが係脱し、図2に示すような微動ツマミ10と固定軸3が連係しない態様と、図3に示すような微動ツマミ10と固定軸3が連係する状態とを択一的にとることができるように構成されている。
【0026】
上記例では微動ツマミ10の内筒部7に内歯7aを形成して、微動雄ねじ5の内筒部8に外歯8aを形成しているが、各内筒部7,8の径の大きさを逆にして、これらの内歯7aと外歯8aとの関係は逆に形成してもよいことは勿論である。
【0027】
また微動ツマミ10内にはボールプランジャ9が設けられており、ボールプランジャ9のボール9aが固定軸3に周設されているV溝12,13と係合することで、微動ツマミ10が位置決めされる。またボール9aがV溝12,13に係合する際には、微動ツマミ10をスライドさせる作業者の指にクリック感が得られるので、不必要に微動ツマミ10をスライドさせることもない。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、微動ツマミが固定ツマミを覆った状態では微動ツマミと微動雄ねじとは連係されておらず、微動ツマミに触れても微動ツマミは空回りするにすぎない。また固定ツマミに触れようにも微動ツマミがあるため固定ツマミに触れることはできない。従って誤操作のおそれがない。また微動ツマミを前進させて固定ツマミを露呈させた状態では、固定ツマミ操作も微動ツマミ操作も可能で回転軸を回動及び微少回動させる上で何ら問題はない。特に微動ツマミに固定ツマミカバーとしての機能をもたせたので微動装置の前後長さを大きくすることなく、微動装置の誤操作をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例を示す部分切り欠き断面を含む説明図である。
【図2】本発明に係る実施例を示すもので微動ツマミが固定ツマミを覆った状態の部分切り欠き断面を含む説明図である。
【図3】本発明に係る実施例を示すもので固定ツマミを露呈させた状態の部分切り欠き断面を含む説明図である。
【図4】回転軸の固定装置の断面説明図である。
【符号の説明】
1 機体ケーシング
1a ブッシュ
2 微動雌ねじ
2a 雌ねじ部
3 固定軸
4 固定ツマミ
5 微動雄ねじ
5a 雄ねじ部
7,8 内筒部
7a 内歯
8a 外歯
9 ボールプランジャ
9a ボール
10 微動ツマミ
10a 回転把持部
10b 覆部
12,13 V溝
51 回転軸
K 係脱手段
S 微動装置
Claims (3)
- 測量機のケーシングに固定されて軸受として作用する円筒状の微動雌ねじと、固定ツマミが固設され前記微動雌ねじ内に配設されて回動および軸方向に進退可能な固定軸と、前記固定軸に回動および進退可能に組付けられかつ前記微動雌ねじに螺合する円筒状の微動雄ねじと、前記固定ツマミを包囲する容器状に形成され前記固定軸に回動および進退可能に組付けられた固定ツマミカバー兼用微動ツマミと、前記微動ツマミと微動雄ねじ間に設けられた係脱手段、とを備え、前記微動ツマミの前記固定軸に沿った進退動作に伴って前記係脱手段が係脱されることに応じて、前記微動ツマミと前記固定軸とが連係状態となると共に前記固定ツマミが前記微動ツマミの外部に露出した状態と、前記微動ツマミと前記固定軸とが非連係状態となると共に前記固定ツマミが前記微動ツマミにより包囲された状態と、に切替わることを特徴とする測量機の微動装置。
- 前記係脱手段は、微動ツマミ側の内歯と、この内歯に係合する微動雄ねじ側の外歯により構成されていることを特徴とする請求項1記載の測量機の微動装置。
- 前記固定軸に周設された溝と、前記微動ツマミに設けられたボールプランジャとにより、微動ツマミを所定位置に付勢保持する保持手段が構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか記載の測量機の微動装置。
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