JP3675131B2 - 振れ補正機能付きカメラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体に対するカメラ本体の手振れを補正しながら撮影を行うカメラに関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、複数のCCD(電荷結合素子)等の光電変換素子が二次元状に配列されたエリアセンサを用いて、手振れに起因する被写体像の振れを検出し(画像処理方式)、得られた振れ量を打ち消すように補正する機能を備えたカメラが提案されている(特開平8−51566号公報)。即ち、エリアセンサに撮像された被写体像から参照画像を抽出し、これを基準画像と比較することで振れ量を検出し、得られた振れ量を複数個用いて予測振れ量を予測演算し、この予測振れ量に応じて補正レンズを駆動制御することで手振れの補正を行うものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
CCD等を用いた画像処理方式で振れ量を検出する場合、被写体の輝度が撮影環境等により大きく変わると、エリアセンサの各光電変換素子が受光する光量が大きく変化して、撮影された被写体像に差(バラツキ)が出るため、かかる輝度差等の影響を受けて撮像された画像を用いて振れを検出すれば、そのバラツキを含んだまま振れ量が得られることとなり、適正な振れ補正が維持し得なくなるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、振れ検出精度に応じた適切な振れ補正の実行やその精度が悪いときの振れ検出結果の使用禁止等を可能にする振れ補正機能付きカメラを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、被写体に対するカメラ本体の手振れを周期的に検出する振れ検出手段と、前記振れ検出手段の検出結果から振れ量を検出する振れ量検出手段と、前記振れ量検出手段から得られる複数の振れ量を用いて前記振れ検出手段の振れ検出精度を評価する評価手段と、前記評価結果に応じてパラメータを設定するパラメータ設定手段と、設定されたパラメータを用いて予測振れ量を算出する予測振れ量演算手段とを備えてなり、前記パラメータは、予測演算に用いられる複数の振れ量の選択条件を決定する振れ検出時間間隔であって、該振れ検出時間間隔は、第1の時間間隔と該第1の時間間隔より長い第2の時間間隔とを有し、前記パラメータ設定手段は、前記振れ検出精度の評価が高いとき、前記第1の時間間隔を前記パラメータとして設定し、前記振れ検出精度の評価が低いとき、前記第2の時間間隔を前記パラメータとして設定することを特徴とする(請求項1)。
【0006】
この構成では、振れ検出精度の評価結果に応じて予測振れ量が算出されるようになっているので、振れ検出精度に適した振れ補正が実行されるようになる。例えば、振れ検出精度が所定値より小さい場合、即ち振れ検出精度の評価が高い場合には、より新しい振れ量を用いて正確に予測振れ量を算出し、またこれを積極的に利用するようにすれば、振れ検出精度にマッチした適切な振れ補正が実行されるようになる。これに対して、振れ検出精度の評価が低い場合には、正確な予測振れ量を算出するよりもむしろ振れ検出結果のバラツキの大きさを吸収するように、例えば振れ検出精度の評価が高い場合に使用される間隔よりも長い時間間隔を用いて複数の振れ量を選択するようにし、これらを予測振れ量の算出に用いるようにすればよい。或いは、予測振れ量の利用度を小さくしたり、予測振れ量の使用を禁止して振れ量で振れ補正を行うようにしてもよい。これにより、評価の低い振れ検出精度にマッチした振れ補正が実行されるようになる。
【0007】
前記パラメータ設定手段により設定されるパラメータが、予測演算に用いられる複数の振れ量の選択条件を決定する振れ検出時間間隔とされているので、振れ検出精度の評価結果に応じて決定された振れ検出時間間隔を用いて、予測振れ量算出のための複数の振れ量が選択されるようにな、その複数の振れ量から得られる予測振れ量は振れ検出精度に適したものとなって、その振れ検出精度にマッチした振れ補正が実行されるようになる。
【0008】
また、前記振れ検出時間間隔は、第1の時間間隔と該第1の時間間隔より長い第2の時間間隔とを有し、前記パラメータ設定手段は、前記振れ検出精度の評価が高いとき、前記第1の時間間隔を前記パラメータとして設定し、前記振れ検出精度の評価が低いとき、前記第2の時間間隔を前記パラメータとして設定する構成であるので、振れ検出精度の評価が高い場合には、より新しい振れ量から予測振れ量が算出されるようになり、振れ検出精度の評価が低い場合には、振れ検出結果のバラツキを吸収するような時間間隔を用いて選択された振れ量から予測振れ量が算出されるようになる。
【0009】
また本発明は、被写体に対するカメラ本体の手振れを周期的に検出する振れ検出手段と、前記振れ検出手段の検出結果から振れ量を検出する振れ量検出手段と、前記振れ量検出手段から得られる複数の振れ量を用いて前記振れ検出手段の振れ検出精度を評価する評価手段と、前記評価結果に応じてパラメータを設定するパラメータ設定手段と、設定されたパラメータを用いて予測振れ量を算出する予測振れ量演算手段とを備えてなり、前記予測振れ量演算手段は、複数の振れ量を用いて振れ速度と振れ加速度を算出し、これら振れ速度及び振れ加速度を有する演算式を用いて振れ予測を行うもので、前記パラメータは、上記振れ加速度の項に掛かる係数であって、該係数は、第1の係数と該第1の係数より小さい第2の係数とを有し、前記パラメータ設定手段は、前記振れ検出精度の評価が高いとき、前記第1の係数を前記パラメータとして設定し、前記振れ検出精度の評価が低いとき、前記第2の係数を前記パラメータとして設定することを特徴とする(請求項2)。
【0010】
この構成では、上記請求項1と同様な基本作用を奏しつつ、前記予測振れ量演算手段が、複数の振れ量を用いて振れ速度と振れ加速度を算出し、これら振れ速度及び振れ加速度を有する演算式を用いて振れ予測を行うもので、前記パラメータは、上記振れ加速度の項に掛かる係数である構成とされているので、振れ検出精度の評価結果に応じて用いられる係数が予測振れ量の演算式における振れ加速度の項に掛かるようになり、その項の値(予測振れ量の利用度)が振れ検出精度に応じて増減するようになり、振れ検出精度にマッチした振れ補正が実行されるようになる。更に、前記パラメータである係数は、第1の係数と該第1の係数より小さい第2の係数とを有し、前記パラメータ設定手段は、前記振れ検出精度の評価が高いとき、前記第1の係数を前記パラメータとして設定し、前記振れ検出精度の評価が低いとき、前記第2の係数を前記パラメータとして設定する構成とされているので、振れ検出精度の評価が高い場合には、予測振れ量の利用度が大きくなり、振れ検出精度の評価が低い場合には、予測振れ量の利用度が小さくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態のブロック図である。カメラ1は、撮影部2、補正レンズ部3、振れ検出部4、振れ補正量設定部5、駆動部6、位置検出部7、露出制御部8、レリーズ監視部9、測距モジュール10、フォーカス部11及び振れ表示部12により構成されている。
【0012】
撮影部2は、光軸Lを有する撮影レンズ21、装填されたフィルム22を光軸L上の結像位置に給送する図略の機構部、及びフィルム22の前方に配置されるシャッタ23を備え、被写体像を撮影するものである。
【0013】
補正レンズ部3は、撮影レンズ21の前方に配置された横振れ補正レンズ31及び縦振れ補正レンズ32で構成され、被写体像振れをプリズム方式で補正するものである。横振れ補正レンズ31及び縦振れ補正レンズ32は、それぞれ、光軸Lに平行な光軸を有し、光軸Lと直交する面上を互いに直交する横及び縦方向に移動可能に支持されている。
【0014】
図2は、鏡胴内に収納された縦振れ補正レンズ32等の斜視図である。本実施形態では、縦振れ補正レンズ32は、鏡胴24内に収納され、支点Oで回動可能に支持されたフレーム321に取り付けられている。フレーム321の外周部における支点Oの反対側には、ギヤ部322が形成されている。このギヤ部322と噛合するギヤ631を有するモータ632が駆動することで、縦振れ補正レンズ32は略縦方向に移動する。図2から理解されるように、縦振れ補正レンズ32は、鏡胴24の内径に当たる可動範囲R内において、略縦方向に移動可能である。横振れ補正レンズ31についても同様である。
【0015】
振れ検出部4は、検出用レンズ41、振れセンサ42、振れセンサ制御部43及び信号処理部44により構成されており、被写体に対するカメラ1本体の相対的な振れにより生じる被写体像振れを検出するための画像データを得るものである。検出用レンズ41は、撮影レンズ21の光軸Lと平行な光軸を有し、被写体像を後方の振れセンサ42上に結像させるものである。振れセンサ42は、複数のCCD等の光電変換素子が二次元状に配列されたエリアセンサであり、検出用レンズ41により結像された被写体像を受光し、受光量に応じた電気信号を得るものである。被写体像の画像信号は、各光電変換素子で受光されて得られた電気信号である画素信号の平面的な集合として得られる。振れセンサ制御部43は、振れセンサ42に対して所定の電荷蓄積時間(積分時間)で受光動作を周期的に行わせ、各受光動作で得られた画像信号を信号処理部44に送出させるものである。信号処理部44は、振れセンサ42からの各画素信号に対し、所定の信号処理(信号増幅及びオフセット調整等の処理)を施して画素データにA/D変換するものである。
【0016】
図3は、振れ検出部4がカバーする振れ検出エリアの一例を示す図である。本実施形態では、振れ検出部4は、撮影画面に対して、中央に位置する振れ検出エリアA1と左側に位置する振れ検出エリアA2とをカバーするように構成されている。即ち、振れセンサ42は、検出用レンズ41によって結像される被写体像のうち、振れ検出エリアA1内に対応する被写体像をカバーするだけの受光素子が形成された受光面と、振れ検出エリアA2内に対応する被写体像をカバーするだけの受光素子が形成された別の受光面とを有している。
【0017】
なお、振れ検出部4は、撮影画面の全てをカバーする振れセンサ42を用いてもよい。この場合、画像処理の段階で、検出エリアA1,A2に相当するエリアの信号を抽出するようにしてもよい。
【0018】
図1に示される振れ補正量設定部5は、振れ量検出部51、係数変換部52、目標位置設定部53、補正ゲイン設定部54、温度センサ55、メモリ56、位置データ入力部57及びタイマ58によって構成され、振れ補正のための駆動信号を生成するデータを設定するものである。なお、温度センサ55は、カメラ1の環境温度を検出するものである。また、メモリ56は、振れ量検出部51で用いられる画像データや振れ量等のデータを一時記憶するRAMや、係数変換部52で用いられる変換係数等を記憶するROMにより構成される。
【0019】
図4は、振れ量検出部51の構成を説明するためのブロック図である。振れ量検出部51は、振れ量算出部511、データ選択部512、予測振れ量算出部513及び評価設定部514によって構成され、信号処理部44からの画像データを用いて振れ量を求め、この振れ量を利用して予測振れ量を更に求めるものである。
【0020】
振れ量算出部511は、画像データダンプ部511a,検出エリア選択部511b及び画像比較演算部511cにより構成されている。画像データダンプ部511aは、信号処理部44からの画像データをメモリ56(RAM)にダンプするものである。メモリ56には、振れ検出エリアA1,A2の各々の画像データが記憶される。
【0021】
検出エリア選択部511bは、所定の選択基準に応じて振れ検出エリアA1,A2のいずれか一方を選択するものである。振れ検出エリアの選択については、例えば、両エリア内の画像のコントラスト値を比較し、コントラスト値が高い方のエリアを選択するようにしてもよい。
【0022】
また、検出エリア選択部511bは、選択した振れ検出エリア内の画像のコントラスト値が所定値(しきい値)よりも低いか否かの判定を行うとともに、コントラスト値が所定値よりも低ければローコントラスト(ローコン)であることを示すためにローコンフラグFL を“1”に設定する。また、検出エリア選択部511bは、一旦、ローコン状態に入ると、後述する振れ検出精度の演算処理の実行を禁止させるために許可フラグFP を“0”に設定する。これは、一旦、ローコン状態に入ると、短時間でローコン状態から脱する場合の少ないことを考慮したものである。
【0023】
画像比較演算部511cは、検出エリア選択部511bで選択された振れ検出エリア内の画像データと基準画像とを用いて、振れ量を求めるものである。基準画像は、振れ検出の開始時において、補正レンズ部3の各レンズが所定の基準位置、例えば各レンズが互いに逆向きに等距離移動可能な中央位置(図2ではRa=Rbとなる位置)にセットされた状態で、振れ検出部4から取り込まれた画像に含まれる、振れ量検出のための基準となる画像のことである。このように、中央位置を基準にすることで、一方の可動範囲が他方よりも短い場合に生じやすくなる振れ補正レンズが終端に当たりやすくなるという問題が回避される。即ち、画像比較演算部511cは、メモリ56に記憶されている最新画像データから、基準画像に対応する画像を参照画像として抽出し、最初に設定された基準画像の位置に対する参照画像位置の変化量から画素数単位の振れ量を求める演算処理を行う。振れ量は、横及び縦方向の各々について求められ、メモリ56に一時記憶される。
【0024】
また、画像比較演算部511cは、振れ量を求めた演算処理回数が後述の予測開始回数Np以上である場合に、ローコンフラグFL が“1”になると、メモリ56に記憶された最新の横及び縦方向の予測振れ量を、それぞれ横及び縦方向の振れ量として用いる。これは、ローコンの際には、検出された振れ量の信頼性が低いために、最新の予測振れ量を代わりに用いることで、誤差等の不具合を回避するための処理である。
【0025】
図5は、データ選択部512による振れ量データ選択抽出の説明図である。データ選択部512は、評価設定部514により、予測振れ量を求めるためのパラメータとして設定される所定の基準時間間隔(速度演算時間Tv及び加速度演算時間Tα)を利用して、最新の振れ量を含む4個の振れ量をメモリ56から選択抽出するものである。即ち、最新時点t1(以下taとする。)における振れ量Eaが選択抽出され、時点taに対してTv(所要の信頼性を有する振れ速度を求めるのに必要な時間間隔)よりも長く且つ最短となる時点t3(以下tbとする。)が検索され、この時点tbにおける振れ量Ebが選択抽出される。また、時点taに対してTα(所要の信頼性を有する振れ加速度を求めるのに必要な時間間隔)よりも長く且つ最短となる時点t5(以下tcとする。)が検索され、この時点Tcにおける振れ量Ecが選択抽出される。更に、時点tcに対して前述のTvよりも長く且つ最短となる時点t7(以下tdとする。)が検索され、この時点tdにおける振れ量Edが選択抽出される。これら4個の振れ量Ea,Eb,Ec,Ed及び時点ta,tb,tc,tdは、横及び縦方向の各々について選択抽出されるとともに、対応してメモリ56に記憶される。
【0026】
但し、時点t1,t2,…の順に時刻が古くなっている。また各時点は、積分時間の中間時点を表している。更に、各時点における上向きの矢印は、検出された振れ量を表しているもので、これらの振れ量はメモリ56に記憶されているものである。
【0027】
本実施形態では、データ選択部512が用いる所定の基準時間間隔は、評価設定部514により、短い方(例えばTv=5ms)かこれよりも長い方(例えばTv=10ms)のどちらかが設定されるようになっている。
【0028】
なお、データ選択部512は、上記選択方法に限らず、所定の基準時間間隔に最も近い離間時間となる時点における振れ量を選択するものでもよく、或いは所定の基準時間間隔よりも短く且つ最長となる離間時間となる時点における振れ量を選択するものでもよい。
【0029】
図4に示される予測振れ量算出部513は、横及び縦方向の各々について、データ選択部512で選択抽出された4個の振れ量を用いて予測振れ量を算出するものである。即ち、最新の振れ量Eaと過去の1つの振れ量Ebから(数1)により振れ速度V1が求められ、残りの古い方の2つの振れ量Ec,Edから(数2)により振れ速度V2が求められる。そして、振れの速度V1,V2から(数3)により振れ加速度αが求められる。
【0030】
【数1】
Figure 0003675131
【0031】
【数2】
Figure 0003675131
【0032】
【数3】
Figure 0003675131
【0033】
次いで、手振れによる振れはほぼ等加速度運動に従って推移していくとの仮定に基づいて、最新の振れ量Ea、振れ速度V1及び振れ加速度αと評価設定部514により設定される定数kとから、(数4)により予測振れ量EP が算出される。この予測振れ量はメモリ56に一時記憶される。
【0034】
【数4】
Figure 0003675131
【0035】
但し、定数k(0<k<1)は、実際の手振れに近づけるための補正係数で、振れ加速度αに掛かるものである。また、時間TP は、タイマ58からの現時刻(時点trとする。)から、tr−ta+Tdの演算で求められる時間である。更に、時間Tdは、振れ量検出部51が予測振れ量を送出した時点から補正レンズ部3による駆動が完了するまでに要する遅れ時間である。なお、遅れ時間Tdは、時間TP に加味されなくてもよい。また、時間TP は、TP =(1/2)×T1+T2+T3+T4+Tdの関係から求められるようにしてもよい。ここに、時間T1は振れセンサ42の積分時間、時間T2は振れセンサ42の画像情報がメモリ56にダンプされるまでに要する転送時間、時間T3は振れ量算出の演算時間、時間T4は予測振れ量算出の予測演算時間である。
【0036】
また、予測振れ量算出部513は、振れ量算出部511の演算処理回数が予測開始回数Np未満である場合に、ローコンフラグFL が“0”になるとき、メモリ56に記憶された最新の横及び縦方向の振れ量を、それぞれ横及び縦方向の予測振れ量として用いる。これにより、予測振れ量による振れ補正が開始したときに、スムーズな振れ補正の駆動を行わせるようにしている。
【0037】
評価設定部514は、検出精度演算部514a、検出精度評価部514b及びパラメータ設定部514cにより構成され、振れ検出結果から振れ検出精度を算出・評価し、この評価結果に応じて、前述した速度演算時間Tv、加速度演算時間Tα及び定数kという各パラメータ(以後、単にパラメータTv,Tα,kという。)を設定するものである。
【0038】
検出精度演算部514aは、振れ加速度を利用して振れ検出部4の振れ検出精度を求めるものである。
【0039】
図6は、振れ検出結果のバラツキの様子を示す図で、(a)は振れセンサ取付不具合等によるズレを含んだ状態のバラツキの様子を示し、(b)はそのズレ要因を含まないバラツキの様子を示している。振れ検出結果が図6(a)に示されるように振れの真値に対してどちらかの側(図では上側)に偏るとしたら、この偏りは、振れ検出精度によるものではなく、振れセンサ取付不具合等に起因するものである。この偏りがなければ、振れ検出結果は、図6(b)に示されるように、振れの真値を挟むようなバラツキ状態となる。このような偏りのないバラツキ状態にある検出結果を示す振れ検出精度は、検出精度演算部514aが実行する以下の方法による演算結果で表される。
【0040】
図7は、振れ検出精度測定の説明図で、(a)はバラツキが大きい場合の振れ検出結果を示し、(b)はバラツキが小さい場合の振れ検出結果を示している。図7(a),(b)に示される振れ量Ea〜Ed間の時間は、前述の基準時間間隔で選択抽出されるため、大きく見積もっても30ms程度である。
【0041】
例えば、図7(a)に示されるように、30ms程度の時間に山と谷が存在するとしたら、その波形は、人の手振れの上限値である10Hzよりも高い周波数になっていることから、人の手振れに起因しない振れ検出誤差を含んでいると考えられる。本実施形態では、振れ検出部4に画像処理方式を採用しているので、低輝度の場合には振れ検出精度が低くなって、図7(a)に示されるような振れ検出結果のバラツキになる場合がある。これに対して、高輝度の場合には検出精度が高く、図7(b)に示されるように、変化の小さい滑らかな振れ検出結果のバラツキになる。
【0042】
そこで、Ea〜Edの振れ検出精度は、図6(b)に示されるようなバラツキを考慮して表すようにすればよいから、振れ速度の変化量で表すことも可能であるが、本実施形態では、振れ加速度の変化量で表すようにしている。この場合、Ea〜Edの振れ検出精度は、振れ加速度αの算出には少なくとも3つの振れ量が必要なので、例えばEa〜Ecによる振れ加速度とEb〜Edによる振れ加速度を用いると、(数5)の振れ加速度変化Cで表される。
【0043】
【数5】
Figure 0003675131
【0044】
但し、Ea〜Edを得るために用いられた各画像信号の積分周期は、ほぼ一定とみなせるので、ta−tb,tb−tc,tc−tdは同一の積分周期T1’でくくれる。また、バラツキの状態を表すのが目的であるので、振れ加速度変化Cを正確に求める必要はなく、それに対応する値が得られれば十分であり、また値の大きい積分周期T1’で除算すると精度が落ちるので、T’=1とし、或いは無視して計算するようにしている。これにより、演算処理時間の短縮が可能になる。
【0045】
得られた振れ加速度変化Cの値は積算される。この積算値(総和)は、各振れ加速度変化Cが符号を持つので、各振れ加速度変化Cの自乗値について求められる。そして、最終的な振れ検出部4の振れ検出精度は、横及び縦方向の総和の平均値、即ち(横方向の総和+縦方向の総和)/2で示される。なお、評価を早く得るための素早い演算処理(遅いと適切な振れ補正の時間が短くなる。)や適切な統計処理等を考慮すれば、振れ精度検出の回数は20回程度が好ましい。
【0046】
なお、上記総和は、各振れ加速度変化Cの自乗値で求められるようにしているが、各振れ加速度変化Cの絶対値で求められるようにしてもよい。また、最終的な振れ検出部4の振れ検出精度は、横及び縦方向の総和の平均値で表されるようにしているが、これに限らず、横及び縦方向の総和のどちらかで、或いは値の大きい方を用いて表されるようにしてもよい。
【0047】
また、縦及び横方向について、個々に判定を下すという方法もあるが、こうすると、予測に使うデータの選択時間が2倍になり、処理時間が長くなるので、上記演算処理の方がより好ましい。
【0048】
図4に示される検出精度評価部514bは、手振れをsin波形等に見立て、これに所定のバラツキを与えた検出結果の加速度変化を求めることで得られる所定の評価基準値を用いて、振れ検出部4の振れ検出精度が高いか否かの評価(判定)を行うものである。即ち、検出精度演算部514aからの振れ検出精度値が上記評価基準値よりも小さければ、振れ検出精度は高い(バラツキが小さい。)と評価され、そうでなければ振れ検出精度は低い(バラツキが大きい。)と評価される。このとき、評価フラグFB は、バラツキが大きければ、即ち評価結果が低ければ“1”に、バラツキが小さければ、即ち評価結果が高ければ“0”に設定される。
【0049】
パラメータ設定部514cは、検出精度評価部514bの評価結果に応じて、パラメータTv,Tα,kをデータ選択部512及び予測振れ量算出部513に設定するものである。ここで、評価結果が高い場合に設定されるパラメータを第1パラメータといい、低い場合のパラメータを第2パラメータという。第1パラメータのTv,Tαの値は、それぞれ第2パラメータのTv,Tαの値よりも小さく、また第1パラメータのkの値は、第2パラメータのkの値と同等か又は大きくなるように設定されている。即ち、パラメータ設定部514cは、評価フラグFB が“0”で許可フラグFP が“1”であれば、第1パラメータを設定し、評価フラグFB が“1”或いは許可フラグFP が“0”であれば、第2パラメータを設定するようになっている。
【0050】
図8は、振れの真値に対し±σのバラツキを有する振れ検出結果を示す図で、(a)は第1パラメータのTvを用いて選択抽出された振れ量の誤差の影響を示す図で、(b)は第2パラメータのTvを用いて選択抽出された振れ量の誤差の影響を示す図である。但し、R1,R2,R3は、それぞれ振れ量E1,E2,E3に対する振れの真値(真の振れ量)を示す。
【0051】
図8(a),(b)において、最大誤差を含む振れ速度Vbaは、(数6)により求められる。
【0052】
【数6】
Figure 0003675131
【0053】
上式の2×σ/Tvは、真の振れ速度(R1−R2)/Tvに加わる誤差分である。ここで、第1パラメータのTvをTv1とおき、第2パラメータのTvをTv2とおくと、図8(a)の場合の誤差分は2×σ/Tv1、図8(a)の場合の誤差分は2×σ/Tv2となる。このとき、Tv1<Tv2の関係が成立するので、上記誤差分の関係は、2×σ/Tv1>2×σ/Tv2となる。これにより、バラツキσが大きい場合、第2パラメータのTvを使用することで、誤差分を小さくすることが可能になることが理解される。
【0054】
そこで、本実施形態では、バラツキσが大きい場合、即ち評価結果が低い場合は、第2パラメータのTv,Tαを使用するようにしている。また、この場合、(数4)の振れ加速度項の信頼性が低いので、その誤差の影響を低減させるために、第1パラメータのkよりも値が小さい第2パラメータのkが使用される。
【0055】
これに対して、評価結果が高い場合は、第1パラメータのTv,Tαを使用することで、できるだけ現在時点に近い時点で得られた振れ量を使用するようにして、振れ補正精度を高く維持するようにしている。また、この場合、振れ加速度項の信頼性が高いことから、この振れ加速度項を積極的に振れ予測に反映させるべく、第2パラメータのkよりも値が大きい第1パラメータのkが使用される。
【0056】
図9は、第1,第2パラメータによる振れ補正精度のシミュレーションのグラフである。このシミュレーションは、手振れの振動をsin波形に見立てて求めたものである。図9において、第1曲線は、sin波形の振れ量と、このsin波形に対し、第1パラメータで求められた予測振れ量との差である振れ補正精度(補正残り)を表している。同様に、第2曲線は、sin波形の振れ量と、このsin波形に対し、第2パラメータで求められた予測振れ量との差である振れ補正精度(補正残り)を表している。
【0057】
図9に示されるように、振れ補正精度は、振れ検出精度値が評価基準値よりも小さければ、第1パラメータを用いて得た予測振れ量の方が良い振れ補正精度になるのが理解される。一方、振れ検出精度値が評価基準値よりも大きければ、第2パラメータを用いて得た予測振れ量の方が良い振れ補正精度になっている。本実施形態では、検出精度評価部514bで用いられる評価基準値は、このようなシミュレーションによって予め求められている。
【0058】
図10(a)は、図9の評価基準値を具体的数値で示した図である。振れ補正精度(補正残り)は、振れ検出精度値が0.007563[deg]という評価基準値よりも小さければ、第1パラメータを用いた方が高くなり、大きければ第2パラメータを用いた方が高くなっている。
【0059】
なお、本実施形態では、振れ検出精度は、振れ加速度変化から算出されるようにしているが、これに限らず、振れ速度変化から算出されるようにすれば、図9の具体的なシミュレーション結果は、図10(b)に示されるようになる。
【0060】
図1に戻って、係数変換部52は、横及び縦方向の予測振れ量を、メモリ56に記憶されている変換係数を用いて、補正レンズ部3に対する横及び縦方向の目標角度位置(駆動量)に変換するものである。また、係数変換部52は、温度センサ55で検出された環境温度に応じて補正係数を算出し、この補正係数で横及び縦方向の目標角度位置を補正する。この補正係数は、環境温度変化に伴って生じる検出用レンズ41の焦点距離や補正レンズ部3による光の屈折率(パワー)の変動分を補正するためのものである。
【0061】
目標位置設定部53は、温度補正された横及び縦方向の目標角度位置を目標位置情報(駆動終了位置)に変換するものである。これら横及び縦方向の目標位置情報は、それぞれ設定データSDPH,SDPVとして駆動部6にセットされる。
【0062】
また、目標位置設定部53は、振れ量算出部511の演算処理回数が予測開始回数Np未満である場合に、ローコンフラグFL が“1”になるとき、前回の設定データSDPH,SDPVを再度利用して駆動部6にセットする。これにより、補正レンズ部3の各レンズは、現在位置に停止するようにされる。
【0063】
補正ゲイン設定部54は、温度センサ55で検出された環境温度に応じて、横及び縦方向のゲイン補正量を求め、それぞれを設定データSDGH,SDGVとして駆動部6に出力するものである。横及び縦方向のゲイン補正量は、それぞれ横及び縦方向の基本ゲインを補正するものである。設定データSDGH,SDGV及び基本ゲインの詳細については後述する。
【0064】
位置データ入力部57は、位置検出部7の各出力信号をA/D変換し、得られた各出力データから、横振れ補正レンズ31及び縦振れ補正レンズ32の各位置をモニターするものである。この位置データをモニターすることで、補正レンズ部3用の駆動メカの異常状態等が検出可能となる。
【0065】
駆動部6は、駆動制御回路61、横アクチュエータ62及び縦アクチュエータ63により構成されている。駆動制御回路61は、目標位置設定部53及び補正ゲイン設定部54からの設定データSDPH,SDPV,SDGH,SDGVに応じて、横及び縦方向の駆動信号を生成するものである。横アクチュエータ62及び縦アクチュエータ63は、コアレスモータ等で構成され(図2のモータ632及びギヤ631参照)、それぞれ駆動制御回路61で生成された横及び縦方向の駆動信号に応じて、横振れ補正レンズ31及び縦振れ補正レンズ32を駆動するものである。
【0066】
図11は、サーボ回路の一部を構成する駆動制御回路61の一例を示すブロック図である。まず、駆動制御回路61にセットされる設定データSDGH,SDGVについて説明する。カメラ1は、その環境温度が変化すると、振れ補正の駆動系に関する種々の特性が変化する。例えば環境温度変化に伴って、駆動部6における各モータ(図2のモータ632参照)のトルク定数、補正レンズ部3及び駆動部6における駆動系(可動メカ)のバックラッシュ、及びその駆動系のギヤ(図2のギヤ部322及びギヤ631参照)の硬さなどが変化する。
【0067】
図12は、この変化の一要因となるモータトルクの温度特性図である。図12から理解されるように、環境温度が基準温度(例えば25℃)から外れると、モータトルクは基準温度での値とは異なる値を示す。この結果、振れ補正に関する駆動特性が変化してしまうこととなる。このように、横及び縦方向の基本ゲイン(基準温度における駆動ゲイン)による駆動特性は、温度センサ55で得た環境温度が基準温度から外れると、変動するようになる。
【0068】
そこで、補正ゲイン設定部54は、温度センサ55で得た環境温度に応じて、横及び縦方向の各基本ゲインによる駆動特性の変動を補正するゲイン補正量を生成する。本実施形態では、環境温度が基準温度から外れることにより生じるモータトルク、バックラッシュ及びギヤの硬さ等の各変動を個別に補正するゲイン補正量を求めるための関数(環境温度を引数とする。)が、横及び縦方向の各々について予め求められている。そして、横及び縦方向の各々について、各補正関数に温度センサ55で検出された環境温度が入力され、得られた各値の合計値がゲイン補正量として求められる。これら横及び縦方向のゲイン補正量は、それぞれ設定データSDGH,SDGVとして、駆動制御回路61にセットされる。
【0069】
次に、駆動制御回路61について説明する。図1では、説明の便宜上、設定データSDGH,SDGVは、2本の信号線で伝送されるように図示しているが、実際には、図略の2本のデータ線(SCK,SD)及び3本の制御線(CS,DA/GAIN,X/Y)によりシリアル伝送されてセットされる。同様に、設定データDPH,SDPVも交互に駆動制御回路61に送出される。
【0070】
このため、駆動制御回路61は、バッファ及びサンプルホールド回路等を備えている。即ち、図11において、バッファ601,602は、それぞれ目標位置設定部53から交互にセットされる設定データSDPH,SDPVを記憶するメモリである。
【0071】
DAC603は、D/A変換器であり、バッファ601にセットされた設定データSDPHを目標位置電圧VPHに変換する。また、DAC603は、バッファ602にセットされた設定データSDPVを目標位置電圧VPVに変換する。
【0072】
S/H604,605はサンプルホールド回路である。S/H604は、DAC603で変換された目標位置電圧VPHをサンプリングし、次のサンプリングまでその値をホールドする。同様に、S/H605は、DAC603で変換された目標位置電圧VPVをサンプリングし、次のサンプリングまでその値をホールドする。
【0073】
加算回路606は、目標位置電圧VPHと横位置検出部71からの出力電圧VH との差電圧を求めるものである。加算回路607は、目標位置電圧VPVと縦位置検出部72からの出力電圧VV との差電圧を求めるものである。即ち、加算回路606,607では、それぞれ横位置検出部71及び縦位置検出部72において負電圧で出力電圧VH,VVを得るようにしているので、加算することにより差電圧が求められる。
【0074】
V/V608は、入力電圧を、基準温度に対して予め設定された比率で、横方向の比例ゲインとしての電圧に増幅するものであり、V/V609は、入力電圧を、基準温度に対して予め設定された比率で、縦方向の比例ゲインとしての電圧に増幅するものである。ここで、横方向の比例ゲインとは、横振れ補正レンズ31の目標位置と横位置検出部71により検出された横振れ補正レンズ31の位置との差に比例するゲインのことである。また、縦方向の比例ゲインとは、縦振れ補正レンズ32の目標位置と縦位置検出部72により検出された縦振れ補正レンズ32の位置との差に比例するゲインのことである。
【0075】
微分回路610は、基準温度に対して予め設定された時定数による微分を、加算回路606で求められた差電圧に施して、横方向の微分ゲインとしての電圧を得るものである。この得られた電圧は、横方向の速度差(目標の駆動速度と現在の駆動速度との差)に相当する。同様に、微分回路611は、基準温度に対して予め設定された時定数による微分を、加算回路607で求められた差電圧に施して、縦方向の微分ゲインとしての電圧を得るものである。この得られた電圧は、縦方向の速度差(目標の駆動速度と現在の駆動速度との差)に相当する。
【0076】
このように、V/V608,609及び微分回路610,611によって、横及び縦方向の各々について、基準温度に対する基本ゲインとしての比例及び微分ゲインの設定が行われる。
【0077】
バッファ612は、補正ゲイン設定部54からの設定データSDGHを記憶するメモリである。この設定データSDGHとは、横方向の基本ゲイン(比例及び微分ゲイン)を補正するゲイン補正量(比例及び微分ゲイン補正量)である。バッファ613は、補正ゲイン設定部54からの設定データSDGVを記憶するメモリである。この設定データSDGVとは、縦方向の基本ゲイン(比例及び微分ゲイン)を補正するゲイン補正量(比例及び微分ゲイン補正量)である。
【0078】
HPゲイン補正回路614は、V/V608で得られた横方向の比例ゲインに対して、バッファ612からの横方向の比例ゲイン補正量に相当するアナログ電圧を加えて、温度補正後における横方向の比例ゲインを出力するものである。また、VPゲイン補正回路615は、V/V609で得られた縦方向の比例ゲインに対して、バッファ613からの縦方向の比例ゲイン補正量に相当するアナログ電圧を加えて、温度補正後における縦方向の比例ゲインを出力するものである。
【0079】
HDゲイン補正回路616は、微分回路610で得られた横方向の微分ゲインに対して、バッファ612からの横方向の微分ゲイン補正量に相当するアナログ電圧を加えて、温度補正後における横方向の微分ゲインを出力するものである。また、VDゲイン補正回路617は、微分回路611で得られた縦方向の微分ゲインに対して、バッファ613からの縦方向の微分ゲイン補正量に相当するアナログ電圧を加えて、温度補正後における縦方向の微分ゲインを出力するものである。
【0080】
このように、HPゲイン補正回路614、VPゲイン補正回路615、HDゲイン補正回路616及びVDゲイン補正回路617によって、基本ゲインとしての比例及び微分ゲインが温度補正される。
【0081】
LPF618は、HPゲイン補正回路614及びHDゲイン補正回路616の各出力電圧に含まれる高周波ノイズを除去するローパスフィルタである。LPF619は、VPゲイン補正回路615及びVDゲイン補正回路617の各出力電圧に含まれる高周波ノイズを除去するローパスフィルタである。
【0082】
ドライバー620は、LPF618、619の出力電圧に対応した駆動電力を、それぞれ横アクチュエータ62及び縦アクチュエータ63に供給するモータ駆動用のICである。
【0083】
図1に戻って、位置検出部7は、横位置検出部71及び縦位置検出部72により構成されている。横位置検出部71及び縦位置検出部72は、それぞれ横振れ補正レンズ31及び縦振れ補正レンズ32の現在位置を検出するものである。
【0084】
図13は、横位置検出部71の構成図である。横位置検出部71は、発光ダイオード(LED)711、スリット712及び位置検出素子(PSD)713を有している。LED711は、横振れ補正レンズ31のフレーム311におけるギヤ部の形成位置に取り付けられる(図2のLED721を参照)。スリット712は、LED711の発光部から射出される光の指向性を鋭くするためのものである。PSD713は、鏡胴24の内壁側におけるLED711に対向する位置に取り付けられる。PSD713は、LED711からの射出光束の受光位置(重心位置)に応じた値の光電変換電流I1,I2を出力するものである。光電変換電流I1,I2の差が測定されることで、横振れ補正レンズ31の位置が検出されるようになっている。縦位置検出部72も、同様にして縦振れ補正レンズ32の位置を検出するように構成されている。
【0085】
図14は、横位置検出部71のブロック図である。横位置検出部71は、LED711及びPSD713に加えて、I/V変換回路714,715、加算回路716、電流制御回路717、減算回路718及びLPF719等により構成されている。I/V変換回路714,715は、それぞれPSD713の出力電流I1,I2を電圧V1,V2に変換するものである。加算回路716は、I/V変換回路714,715の出力電圧V1,V2の加算電圧V3を求めるものである。電流制御回路717は、加算回路716の出力電圧V3、即ちLED711の発光量を一定に保持するようにトランジスタTr1のベース電流を増減するものである。減算回路718は、I/V変換回路714,715の出力電圧V1,V2の差電圧V4を求めるものである。LPF719は、減算回路718の出力電圧V4に含まれる高周波成分をカットするものである。
【0086】
次に、横位置検出部71による検出動作について説明する。PSD713から送出された電流I1,I2は、それぞれI/V変換回路714,715で電圧V1,V2に変換される。
【0087】
次いで、電圧V1,V2は加算回路716で加算される。電流制御回路717は、この加算により得られた電圧V3が常に一定となる電流をトランジスタTr1のベースに供給する。LED711は、このベース電流に応じた光量で発光する。
【0088】
他方、電圧V1,V2は、減算回路718で減算される。この減算により得られた電圧V4は、横振れ補正レンズ31の位置を示す値になっている。例えば、PSD713の中心から右側に長さx離れた位置に受光位置がある場合には、長さx,電流I1,I2及びPSD713の受光エリア長Lは、(数7)の関係を満たす。
【0089】
【数7】
Figure 0003675131
【0090】
同様に、長さx,電圧V1,V2及び受光エリア長Lは(数8)の関係を満たす。
【0091】
【数8】
Figure 0003675131
【0092】
これより、V2+V1の値、即ち電圧V3の値が常に一定となるように制御すれば(数9)の関係が得られ、V2−V1の値、即ち電圧V4の値が長さxを示すものとなり、電圧V4をモニターすれば横振れ補正レンズ31の位置を検出することが可能となる。
【0093】
【数9】
Figure 0003675131
【0094】
図1に示される露出制御部8は、測光部81及び露出決定部82により構成されている。測光部81は、Cds(硫化カドミウム)等の光電変換素子で被写体からの光を受光して、被写体の明るさ(被写体輝度)を検出するものである。露出決定部82は、被写体輝度に応じて、適正露出時間(tss)を決定するものである。シャッタ23は、図略のシャッタ開閉部により開閉されるようになっており、開いた時点からの経過時間が適正露出時間以上になれば閉じられる。
【0095】
レリーズ監視部9は、シャッタレリーズボタンが半押しされてスイッチS1がオンになったか否かの判定を行うとともに、シャッタレリーズボタンが全押しされてスイッチS2がオンになったか否かの判定を行うものである。スイッチS1がオンされると、撮影準備処理が実行され、スイッチS2がオンされると撮影処理が実行される。
【0096】
測距モジュール10は、赤外線を発光するLEDと、被写体で反射して戻ってくるLEDからの光を受光する一次元PSD等により構成され、PSDの受光位置に応じて被写体距離を測距するものである。なお、測距モジュール10は、このアクティブ方式のものに限らず、被写体からの光を受光する一対のラインセンサ等により構成される外光パッシブモジュールでもよい。外光パッシブモジュールでは、一対のラインセンサで被写体像が受光され、両ラインセンサ間での被写体像の位相差から被写体までの距離に相当する測距データが求められるようになっている。
【0097】
フォーカス部11は、測距モジュール10からの測距情報に応じてデフォーカス量(合焦からのずれ量)を求め、このデフォーカス量に応じて撮影レンズ21を合焦位置に駆動するものである。
【0098】
振れ表示部12は、例えばファインダー内においてLEDセグメント等で、振れ量検出部51からの振れ量の大きさに応じて、振れの状態を表示するものである。これにより、現在のカメラ振れ量が認識可能になる。なお、振れ量そのものを表示するようにしてもよい。
【0099】
なお、本実施形態では、露出決定部82、レリーズ監視部9及びフォーカス部11(フォーカス制御部分)は、振れ補正以外のカメラ1全般の処理が記述されたプログラムを実行するマイクロプロセッサユニット(μC1)によりソフト的に構成される。これに対して、振れセンサ制御部43、信号処理部44、振れ量検出部51、係数変換部52、目標位置設定部53、補正ゲイン設定部54及び位置データ入力部57は、振れ補正の処理が記述されたプログラムを実行する別のマイクロプロセッサユニット(μC2)によりソフト的に構成される。
【0100】
次に、カメラ1の動作について説明する。
図15は、μC1,μC2が実行する制御フローチャートである。図略のメインスイッチがオンされると、μC1は、μC2を起動させ、スイッチS1がオンされたか否かの判定を行う(S5)。この判定は、スイッチS1がオンされるまで繰り返される(S5でNO)。
【0101】
スイッチS1がオンされると(S5でYES)、「S1オン」を示すS1コマンドがμC2に送信される(S10)。
【0102】
この後、被写体輝度が検出(測光)されるとともに、被写体までの距離が測定(測距)される(S15)。この後、焦点距離データが求められる。これらの測光データ、測距データ及び焦点距離データは、μC2に送信される(S20)。
【0103】
一方、μC2では、S1コマンドの受信の有無に応じて、スイッチS1がオンされたか否かの判定が行われる(#5)。この判定は、スイッチS1がオンされるまで、即ちS1コマンドを受信するまで繰り返される(#5でNO)。
【0104】
スイッチS1がオンされたと判定されると(#5でYES)、測光データ、測距データ及び焦点距離データが受信される(#10)。次いで、振れ検出として被写体像が撮像され(#15)、撮像された画像を用いた振れ量演算によって振れ量が求められる(#20)。この振れ量に応じて、振れの状態を示す振れ表示が振れ表示部12で行われる(#25)。
【0105】
μC1では、ステップS20の送信後、スイッチS2がオンされたか否かの判定が行われる(S25)。この判定は、スイッチS2がオンされるまで繰り返される(S25でNO)。スイッチS2がオンされると(S25でYES)、「S2オン」を示すS2コマンドがμC2に送信される(S30)。次いで、ステップS15の測距で得られた測距データに応じて、撮影レンズ21が合焦位置に向けて駆動される(S35)。
【0106】
一方、μC2では、ステップ#25の表示の後、S2コマンドの受信の有無に応じて、スイッチS2がオンされたか否かの判定が行われる(#30)。スイッチS2がオンされなかったと判定されると(#30でNO)、ステップ#15に戻る。これにより、振れ検出、振れ量演算及び振れ表示が繰り返し実行される。
【0107】
スイッチS2がオンされたと判定されると(#30でYES)、初期設定が行われる(#35)。例えば、ローコンフラグFL 、カウント“i”は“0”に、評価フラグFB 、許可フラグFP は“1”に初期設定される。次いで、補正レンズ部3の各レンズが中央位置に駆動され(#40)、シャッタ開信号が、μC1に認識されるように、ステップS35のフォーカス駆動終了後に送信される(#45)。
【0108】
なお、シャッタ開信号がフォーカス駆動終了後に送信されるようにするため、例えば初期設定の最初に所定の待ち時間を設けるようにしてもよい。この場合、フォーカス駆動に要する最長時間を予め求めておき、この最長時間よりもステップ#35,40の処理時間の方が長くなるように、上記所定の待ち時間を設定するようにすればよい。このようにすることで、補正レンズ部3の中央位置への駆動とフォーカス駆動の各起動時点をずらすことができ、起動時の過渡電流の発生時点を分散させることが可能になる。この結果、重畳した過渡電流によるマイコンの誤動作を防止する効果が得られる。
【0109】
μC1では、ステップS35のフォーカス駆動終了後、シャッタ開信号の受信の有無に応じて、シャッタ23を開くか否かの判定が行われる(S40)。この判定は、シャッタ開信号が受信されるまで繰り返される(S40でNO)。
【0110】
シャッタ開信号が受信されると、即ちシャッタ23を開く場合(S40でYES)には、シャッタ23が開いて露光が開始され(S45)、この開始時点からの経過時間がタイマ58によって計測される。この経過時間が適正露出時間tss以上に達すると、シャッタ閉信号がμC2に送信される(S50)。この後、ステップS5に戻る。
【0111】
一方、μC2では、ステップ#45の後、後述の「振れ補正シーケンス」のサブルーチンが実行され(#50)、シャッタ閉信号の受信の有無に応じて、シャッタ23を閉じるか否かの判定が行われる(#55)。シャッタ閉信号が受信されなければ、シャッタ23を閉じることなく(#55でNO)。ステップ#50に戻る。これにより、経過時間が適正露出時間以上になるまで、「振れ補正シーケンス」の処理が繰り返し実行されるようになる。シャッタ閉信号が受信されると(#55でYES)、シャッタ23が閉じられる(#60)。この後、ステップ#5に戻る。
【0112】
図16は、「振れ補正シーケンス」のサブルーチンのフローチャートである。このサブルーチンがコールされると、振れ検出として被写体像が撮像され(#150)、撮像された画像から横及び縦方向の振れ量を求める演算処理が実行される(#155)。このとき、撮像画像のコントラスト値が所定値よりも低いときは、ローコンフラグFL が“1”にセットされる。
【0113】
次いで、ローコンフラグFL が“1”であるか否かの判定が行われる(#160)。ローコンフラグFL が“1”でないときは(#160でNO)、カウンタ“i”が“1”だけインクリメントされ(#165)、後述の「検出精度演算処理」のサブルーチンが実行される(#170)。
【0114】
この後、振れ検出部4の振れ検出精度が高いか否かの評価(判定)が行われる(#175)。振れ検出精度が高いとき(#175でYES)、評価フラグFB が“0”に設定され(#180)、そうでなければ(#175でNO)、ステップ#180はスキップされる。
【0115】
次いで、カウンタ“i”が予測開始回数Np以上であるか否かの判定が行われる(#185)。カウンタ“i”が予測開始回数Np以上であるときは(#185でYES)、後述の「パラメータセット」のサブルーチンが実行され(#190)、後述の「予測演算」のサブルーチンが実行される(#195)。
【0116】
この後、設定データSDPH,SDPVが駆動制御回路61にセットされる(#200)。この後、リターンする。これにより、横及び縦方向の駆動信号が生成され、補正レンズ部3の各レンズは、対応する駆動信号に応じて駆動する。なお、補正ゲイン設定部54による設定データSDGH,SDGVは、目標位置設定部53による設定データSDPH,SDPVが最初にセットされる際にセットされるようになっている。
【0117】
ステップ#185で、カウンタ“i”が予測開始回数Np以上でなければ(NO)、メモリ56に記憶された最新の横及び縦方向の振れ量が、それぞれ、横及び縦方向の予測振れ量として用いられる(#205)。これら予測振れ量の各々が目標角度位置に変換されて温度補正が施された後、ステップ#200に進む。これにより、温度補正が施された横及び縦方向の目標角度位置は、それぞれ設定データSDPH,SDPVとして駆動制御回路61にセットされ、補正レンズ部3の各レンズは、メモリ56に記憶された最新の横及び縦方向の振れ量に応じて、手振れによる被写体像振れを補正するように駆動する。
【0118】
一方、ステップ#160で、ローコンフラグFL が“1”であるときは(YES)、許可フラグFP は“0”にセットされる(#210)。次いで、カウンタ“i”が予測開始回数Np以上であるか否かの判定が行われる(#215)。カウンタ“i”が予測開始回数Np以上であれば(#215でYES)、メモリ56に記憶された最新の横及び縦方向の予測振れ量が、それぞれ、横及び縦方向の振れ量として用いられる(#220)。この後、ステップ#190に進む。これにより、補正レンズ部3の各レンズは、メモリ56に記憶された最新の横及び縦方向の予測振れ量に応じて、手振れによる被写体像振れを補正するように駆動する。
【0119】
カウンタ“i”が予測開始回数Np以上でなければ(#215でNO)、前回の設定データSDPH,SDPVが再度利用される(#225)。この後、ステップ#200に進む。これにより、前回の設定データSDPH,SDPVが駆動制御回路61に再度セットされ、補正レンズ部3の各レンズは、現在位置で停止する。
【0120】
図17は、「検出精度演算処理」のサブルーチンのフローチャートである。このサブルーチンがコールされると、カウンタ“i”が“4”未満であるか否かの判定が行われる(#250)。カウンタ“i”が“4”未満であれば(#250でYES)、図16におけるステップ#185に進み、そうでなければ(#250でNO)、カウンタ“i”が“20”より大きいか否かの判定が行われる(#255)。
【0121】
カウンタ“i”が“20”より大きければ(#255でYES)、ステップ#185に進み、そうでなければ(#255でNO)、許可フラグFP が“1”であるか否かの判定が行われる(#260)。許可フラグFP が“1”でなければ(#260でNO)、ステップ#185に進む。
【0122】
許可フラグFP が“1”であれば(#260でYES)、(数5)の演算により横方向の振れ加速度変化Cが求められ、この振れ加速度変化Cの自乗値が算出される(#270)。次いで、この横方向の自乗値C2 が前回求められた横方向の総和に積算されることで、今回の横方向の総和が求められる(#275)。
【0123】
同様に、(数5)の演算により縦方向の振れ加速度変化Cが求められ、この振れ加速度変化Cの自乗値が算出される(#280)。次いで、この縦方向の自乗値C2 が前回求められた縦方向の総和に積算されることで、今回の縦方向の総和が求められる(#285)。
【0124】
次いで、カウンタ“i”が20であるか否かの判定が行われる(#290)。カウンタ“i”が20であれば(#290でYES)、(横方向の総和+縦方向の総和)/2から振れ検出部4の振れ検出精度が算出される(#295)。この後、リターンする。カウンタ“i”が20でなければ(#290でNO)、ステップ#185に進む。
【0125】
図18は、「パラメータセット」のサブルーチンのフローチャートである。このサブルーチンがコールされると、評価フラグFB が“1”であるか否かの判定が行われる(#300)。評価フラグFB が“1”であるときは(#300でYES)、第2パラメータのTv,Tαがデータ選択部512にセットされ、且つ第2パラメータのkが予測振れ量算出部513にセットされる(#305)。この後、リターンする。
【0126】
評価フラグFB が“1”でないときは(#300でNO)、許可フラグFP が“1”であるか否かの判定が行われる(#310)。許可フラグFP が“1”であるときは(#310でYES)、第1パラメータのTv,Tαがデータ選択部512にセットされ、第1パラメータのkが予測振れ量算出部513にセットされる(#315)。この後、リターンする。許可フラグFP が“1”でないときは(#310でNO)、ステップ#305に進む。
【0127】
図19は、「予測演算」のサブルーチンのフローチャートである。このサブルーチンがコールされると、後述の「振れ量の選択抽出」のサブルーチンが実行され(#350)、メモリ56から予測振れ量を算出するために必要な複数の振れ量が選択抽出される。
【0128】
図20は、「振れ量の選択抽出」のサブルーチンのフローチャートである。なお、各時点は、図5の振れ検出時点に対応しており、時点t1が最新の検出時点に対応する。
【0129】
このサブルーチンがコールされると、カウンタ“n”が“1”に設定され(#400)、“1”だけインクリメントされて(#405)、時間間隔T1n(=t1−tn)が算出される(#410)。次いで、時間間隔T1nがTαより短いか否かの判定が行われる(#415)。時間間隔T1nがTαより短いときは(#415でYES)、ステップ#405に戻る。
【0130】
一方、時間間隔T1nがTαより短くないときは(#415でNO)、カウンタ“m”はカウンタ“n”の値が設定される(#420)。これにより、カウンタ“n”の値が保存され、図5に示される振れ量Ecを特定するための時間tcの検索が完了する。
【0131】
この後、カウンタ“m”が“1”だけインクリメントされて(#425)、時間間隔Tnm(=tn−tm)が算出される(#430)。次いで、時間間隔TnmがTvより短いか否かの判定が行われる(#435)。時間間隔TnmがTvより短いときは(#435でYES)、ステップ#425に戻る。
【0132】
一方、時間間隔TnmがTvより短くないときは(#435でNO)、カウンタ“h”は“1”が設定される(#440)。これにより、カウンタ“m”の値が保存され、図5に示される振れ量Edを特定するための時間tdの検索が完了する。
【0133】
この後、カウンタ“h”が“1”だけインクリメントされて(#445)、時間間隔T1h(=t1−th)が算出される(#450)。次いで、時間間隔T1hがTvより短いか否かの判定が行われる(#455)。時間間隔T1hがTvより短いときは(#455でYES)、ステップ#445に戻る。
【0134】
一方、時間間隔T1hがTvより短くないときは(#455でNO)、次のデータの抽出に移行する(#460)。
【0135】
ステップ#460では、ステップ#415の判定がNOとなったときのカウンタ“n”の値で特定される時点tnにおける振れ量が、図5に示される時点tcにおける振れ量Ecとして抽出される。また、ステップ#435の判定がNOとなったときのカウンタ“m”の値で特定される時点tmにおける振れ量が、図5に示される時点tdにおける振れ量Edとして抽出される。また、ステップ#455の判定がNOとなったときのカウンタ“h”の値で特定される時点thにおける振れ量が、図5に示される時点tbにおける振れ量Ebとして抽出される。なお、最新時点t1(=ta)における振れ量Eaは常に抽出される。この後、リターンする。
【0136】
図19におけるステップ#350の後、横及び縦方向の各々について、振れ速度V1及び振れ加速度αが算出される(#355)。次いで、タイマ58の計測により現時点trが取り込まれ(#360)、(tr−ta+td)の演算で時間TP が算出された後、横及び縦方向の各々について、(数4)の演算で予測振れ量EP が算出される(#365)。次いで、横及び縦方向の予測振れ量は、横及び縦方向の目標角度位置に変換され、温度補正が施される。この後、リターンする。これにより、温度補正が施された横及び縦方向の目標角度位置は、設定データSDPH,SDPVとして駆動制御回路61にセットされ、補正レンズ部3の各レンズは、手振れによる被写体像振れを補正するように駆動する。
【0137】
なお、本実施形態では、振れ検出精度は、パラメータの切り換えに使用されるようになっているが、これに限らず、振れ検出結果使用の可否判定に使用されるようにしてもよい。即ち、振れ検出精度が高ければ振れ検出結果が使用されるようにし、そうでなければ振れ検出結果の使用が禁止されるようにしてもよい。或いは、振れ検出結果が高ければ予測振れ量で振れ補正を行うようにし、そうでなければ振れ量で振れ補正を行うようにしてもよい。
【0138】
また、本実施形態では、振れ検出精度は、振れ加速度変化から求められるようにしているが、これに限らず、振れ速度変化(=振れ加速度)から求められるようにしてもよい。この場合、振れ速度の算出には少なくとも2つの振れ量が必要になるので、振れ速度変化を求めるには少なくとも3つの振れ量が必要になる。また、積分周期を一定とみなせば、振れ加速度変化と同様に、振れ速度変化を求める演算式の簡単化が可能になる。
【0139】
また、本実施形態では、第1及び第2パラメータが使用されるようにしているが、このような2種類のパラメータに限らず、3種又はそれ以上のパラメータが使用されるようにしてもよい。このようにすれば、精度に則した予測振れ量を得ることが可能となる。
【0140】
更に、本実施形態では、振れ加速度変化から振れ検出精度を求め、この振れ検出精度を所定の評価基準値と比較することで、振れ検出精度の評価を得るようにしているが、これに限らず、振れセンサ42で取り込まれた被写体画像のコントラストに応じて振れ検出の精度を判定するようにしてもよい。
【0141】
振れセンサ42のようにCCDを用いた振れ検出システムでは、振れ検出精度は、CCDで取り込まれた被写体画像のコントラストに依存する。即ち、被写体のコントラストが高いと振れ検出精度が高くなり、被写体のコントラストが低いと振れ検出精度が低くなる。このため、振れ量を使用しなくても、被写体のコントラストを使用すれば、振れ検出精度の評価が可能になる。
【0142】
そこで、例えば、振れ検出部4の検出結果からコントラスト値を算出し、算出された複数のコントラスト値を平均化して、この平均化されたコントラスト値を所定値と比較すれば、振れ検出精度の判定が可能になる。このとき、平均化されたコントラスト値が所定値よりも大きければ、振れ検出精度は高いと評価され、所定値よりも小さければ振れ検出精度は低いと評価される。
【0143】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、請求項1記載の発明によれば、振れ検出精度に応じた適切な振れ補正の実行やその精度が悪いときの振れ検出結果の使用禁止等が可能になる。さらに、振れ検出精度に適した予測振れ量を算出するための複数の振れ量の選択が可能になる。これにより、振れ検出精度にマッチした振れ補正の実行が可能となる。
【0145】
請求項記載の発明によれば、振れ検出精度に応じた適切な振れ補正の実行やその精度が悪いときの振れ検出結果の使用禁止等が可能になる。さらに、振れ検出精度に応じて振れ加速度の項の値(予測振れ量の利用度)を増減させることが可能になる。これにより、振れ検出精度にマッチした振れ補正の実行が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のブロック図である。
【図2】鏡胴内に収納された縦振れ補正レンズ等の斜視図である。
【図3】振れ検出部がカバーする振れ検出エリアの一例を示す図である。
【図4】振れ量検出部の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】データ選択部による振れ量データ選択抽出の説明図である。
【図6】(a)は振れセンサ取付不具合等によるズレを含んだ状態のバラツキの様子を示す図、(b)はそのズレ要因を含まないバラツキの様子を示す図である。
【図7】(a)はバラツキが大きい場合の振れ検出結果を示す図、(b)はバラツキが小さい場合の振れ検出結果を示す図である。
【図8】(a)は第1パラメータのTvを用いて選択抽出された振れ量の誤差の影響を示す図、(b)は第2パラメータのTvを用いて選択抽出された振れ量の誤差の影響を示す図である。
【図9】G,第2パラメータによる振れ補正精度のシミュレーションのグラフである。
【図10】(a)は図9の評価基準値を具体的数値で示した図、(b)は振れ速度変化から得られる振れ補正精度のシミュレーションのグラフである。
【図11】サーボ回路の一部を構成する駆動制御回路の一例を示すブロック図である。
【図12】駆動特性の変化の一要因となるモータトルクの温度特性図である。
【図13】横位置検出部の構成図である。
【図14】横位置検出部のブロック図である。
【図15】マイクロコンピュータが実行する制御フローチャートである。
【図16】「振れ補正シーケンス」のサブルーチンのフローチャートである。
【図17】「検出精度演算処理」のサブルーチンのフローチャートである。
【図18】「パラメータセット」のサブルーチンのフローチャートである。
【図19】「予測演算」のサブルーチンのフローチャートである。
【図20】「振れ量の選択抽出」のサブルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
1 カメラ
2 撮影部
3 補正レンズ部
4 振れ検出部(振れ検出手段)
5 振れ補正量設定部
6 駆動部
7 位置検出部
8 露出制御部
9 レリーズ監視部
10 測距モジュール
11 フォーカス部
12 振れ表示部
21 撮影レンズ
22 フィルム
23 シャッタ
31 横振れ補正レンズ
32 縦振れ補正レンズ
41 検出用レンズ
42 振れセンサ
43 振れセンサ制御部
44 信号処理部
51 振れ量検出部(振れ量検出手段)
52 係数変換部
53 目標位置設定部
54 補正ゲイン設定部
55 温度センサ
56 メモリ
57 位置データ入力部
58 タイマ
61 駆動制御回路
62 横アクチュエータ
63 縦アクチュエータ
71 横位置検出部
72 縦位置検出部
511 振れ量算出部(振れ量検出手段)
512 データ選択部
513 予測振れ量算出部(予測振れ量演算手段)
514 評価設定部
514a 検出精度演算部
514b 検出精度評価部(評価手段)
514c パラメータ設定部(パラメータ設定手段)

Claims (2)

  1. 被写体に対するカメラ本体の手振れを周期的に検出する振れ検出手段と、前記振れ検出手段の検出結果から振れ量を検出する振れ量検出手段と、前記振れ量検出手段から得られる複数の振れ量を用いて前記振れ検出手段の振れ検出精度を評価する評価手段と、前記評価結果に応じてパラメータを設定するパラメータ設定手段と、設定されたパラメータを用いて予測振れ量を算出する予測振れ量演算手段とを備えてなり、
    前記パラメータは、予測演算に用いられる複数の振れ量の選択条件を決定する振れ検出時間間隔であって、該振れ検出時間間隔は、第1の時間間隔と該第1の時間間隔より長い第2の時間間隔とを有し、
    前記パラメータ設定手段は、前記振れ検出精度の評価が高いとき、前記第1の時間間隔を前記パラメータとして設定し、前記振れ検出精度の評価が低いとき、前記第2の時間間隔を前記パラメータとして設定することを特徴とする振れ補正機能付きカメラ。
  2. 被写体に対するカメラ本体の手振れを周期的に検出する振れ検出手段と、前記振れ検出手段の検出結果から振れ量を検出する振れ量検出手段と、前記振れ量検出手段から得られる複数の振れ量を用いて前記振れ検出手段の振れ検出精度を評価する評価手段と、前記評価結果に応じてパラメータを設定するパラメータ設定手段と、設定されたパラメータを用いて予測振れ量を算出する予測振れ量演算手段とを備えてなり、
    前記予測振れ量演算手段は、複数の振れ量を用いて振れ速度と振れ加速度を算出し、これら振れ速度及び振れ加速度を有する演算式を用いて振れ予測を行うもので、前記パラメータは、上記振れ加速度の項に掛かる係数であって、該係数は、第1の係数と該第1の係数より小さい第2の係数とを有し、
    前記パラメータ設定手段は、前記振れ検出精度の評価が高いとき、前記第1の係数を前記パラメータとして設定し、前記振れ検出精度の評価が低いとき、前記第2の係数を前記パラメータとして設定することを特徴とする振れ補正機能付きカメラ。
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