JP3675094B2 - ステンレス溶鋼の取鍋精錬方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、安価なMgO−Cレンガの使用を可能ならしめたステンレス溶鋼の取鍋精錬方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、含Cr溶鋼の取鍋精錬においては、Cr濃度が高いほど、また目標とするC濃度が低いほど、高温で処理する必要がある。
このため、かような処理を行うための取鍋のレンガとしては、通常、MgO質をベースとしたレンガが用いられる。例えば、MgOスピネルレンガは、1700℃以上の高温においてもレンガの溶損をある程度抑えた取鍋精錬が可能である。
しかしながら、このレンガは高価であるため、経済性を考慮にいれた場合には、転炉等の精錬炉の内張耐火物として使用されているMgO−Cレンガの使用が望まれる。
【0003】
そこで、発明者らは、MgO−Cレンガを、ステンレス鋼の脱炭精錬に使用するVOD法用の取鍋に適用することを試みた。
その結果、このMgO−Cレンガは、高温になると
MgO+C→Mg+CO↑
のような反応を生じて昇華してしまうこと、またスラグの塩基度が低い場合には、MgO−C中のMgOがスラグ中に溶出してレンガが溶損するだけでなく、溶鋼中に炭素が供給され、脱炭不良が生じることが判明した。
【0004】
取鍋精錬時にMgO−Cレンガからスラグ中へのMgOの溶出を抑制するという観点からは、取鍋中のスラグに酸化マグネシウムを、該スラグ組成における酸化マグネシウムの飽和量以上添加する方法が知られている(例えば特開昭64-28316号公報)。
【0005】
しかしながら、特開昭64-28316号公報のように、スラグ組成の飽和量以上の酸化マグネシウムを加える技術をステンレス鋼の取鍋精錬に適用した場合、確かにレンガの溶損抑止には有効であったが、意外にも脱炭不良を来したり、得られたステンレス溶鋼を鋳造・圧延して得た製品板にヘゲ等の欠陥が多発するという、予期せぬ新たな問題が生じた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記の問題を有利に解決するもので、安価なMgO−Cレンガを用いた場合であっても、レンガの溶損は勿論のこと、脱炭不良や製品の品質不良が生じるおそれのない、ステンレス溶鋼の取鍋精錬方法を提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、この発明は、上吹酸素ガスによる脱炭精錬過程を含む取鍋精錬により〔C〕≦0.3 wt%を目標とするステンレス溶鋼の精錬を行うに際し、取鍋のスラグと接する領域にMgO−Cレンガを用いると共に、該スラグ中に酸化マグネシウムを、該スラグ組成における飽和酸化マグネシウムの量よりも4〜8 wt %少ない範囲で含有させることを特徴とするステンレス溶鋼の取鍋精錬方法である。
【0009】
上述したとおり、この発明は、取鍋精錬法が脱炭精錬過程を含む場合に、より好適にその効果が発揮されるものであり、とりわけVOD法において、顕著な効果が得られるものである。
【0010】
なお、この発明において、ステンレス溶鋼の取鍋精錬におけるC目標値を 0.3wt%以下に限定したのは、〔C〕>0.3 wt%では〔C〕≦0.3 wt%の場合と比べると、処理温度をさほど高くする必要がないので、前述したようなMgOの溶出に起因した弊害がさほど問題にはならないことによる。
【0011】
【発明の実施の形態】
さて、発明者らは、前述した取鍋精錬時のスラグ中に酸化マグネシウムを飽和溶解度以上に含有させる従来技術を、ステンレス鋼の取鍋精錬とりわけVOD法のような脱炭精錬過程を含む取鍋精錬にそのまま適用した場合に、何故、前述したような問題が生じたかを詳細に調査した結果、以下の知見を得るに至った。
【0012】
前述した特開昭64-28316号公報に記載の方法は、スラグを電熱により加熱溶解状態に保持し、スラグ−メタルをガス吹込み等により攪拌するいわゆるLF法を対象とした技術であって、VOD法のような上吹酸素ガスによるガス−メタル間の精錬反応についてははじめから考慮されていない。
【0013】
VOD法では、上吹酸素と溶鋼のガス−メタル間反応は、溶鋼表面上のスラグ性状に大きく左右され、スラグ中に飽和溶解度以上の酸化マグネシウムを添加すると、スラグは融点の高い固相を多量に含有することになり、ガス−メタル間反応が阻害される。
【0014】
従って、スラグ中への酸化マグネシウムの添加は、MgO−Cレンガの溶出に起因する溶鋼中へのCピックアップの面からは有効であるものの、過度の添加はガス−メタル間反応の妨げとなって脱炭反応が阻害されるので、脱炭不良が引き起こされたものと考えられる。
【0015】
また、ステンレス溶鋼の取鍋精錬の場合、添加MgO量を取鍋スラグ組成の過飽和量まで加えた場合には、図1に示すように、製品においてMgO系介在物が検出され、欠陥の原因となった。
【0016】
この点、前掲特開昭64-28316号公報に記載されたLF法は、普通鋼の極低燐、極低硫化に使用されているが、そのような普通鋼では、MgO系介在物が生成し、連続鋳造時に鋳片の表皮下にそのような介在物がトラップされたとしても、鋳片を圧延前に加熱した際にスケールオフするので、圧延後の製品では大きな欠陥には到らない。
【0017】
これに対し、ステンレス鋼では、上記したようなスケールオフで除去する表層部が極めて薄いことから、介在物が鋳片に残存し、そのため圧延後の製品でヘゲ等の欠陥の原因となるものと考えられる。
【0018】
そこで、MgO無添加で、しかもMgO−Cレンガで施工した取鍋を使用して、ステンレス溶鋼を取鍋精錬を終了した時の取鍋スラグを採取して分析した結果、表1に示すように、スラグ中のMgO濃度は理論上の平衡飽和濃度に達せず、飽和MgO量よりも平均で4wt%以上下回るものであった。
よって取鍋精錬中にレンガから溶出するMgO量は、飽和量の4wt%以下であることが判明した。
【0019】
【表1】
【0020】
この結果を基にして、取鍋スラグ組成の飽和MgO量より4wt%少ない量のMgOを取鍋スラグに添加して、取鍋精錬を実施したところ、MgOの溶出を抑制でき、しかも脱炭不良を引き起こすことなしに処理を終了することができた。
【0021】
しかしながら、添加MgO量が取鍋スラグ組成の飽和MgO量よりも8wt%を超えて少なくなると、やはりMgO−CからのMgOの溶出が問題となるので、添加MgO量は少なくとも飽和MgO量よりも8wt%を超えては下回らない量とする必要がある。
【0022】
【実施例】
通常組成の SUS 430鋼を、種々の条件でVODによって取鍋精錬を行い、鍋からのMgO溶出量(ΔMgO)について調べた結果を、飽和MgO濃度に対する過飽和MgO濃度(%)の関係で、図2に示す。
同図から明らかなように、MgO添加量がスラグ組成の飽和MgO量より4〜8wt%少ない条件で精錬を行った場合には、ΔMgOを極めて低い値に抑制することができた。
また、この溶鋼から得た製品の品質についても調査した結果、図1に示したような良好な結果を得ることができた。
【0023】
【発明の効果】
かくして、この発明によれば、ステンレス溶鋼の取鍋精錬において、スラグと接する部分に安価なMgO−Cレンガレンガを用いた場合であっても、レンガからのMgO成分の溶出を効果的に抑制することができ、ひいては製品においてヘゲきずの原因となるMgO系介在物の生成を防止することができる。
また、MgO−Cレンガの溶出が抑制できることから、脱炭不良を起こすことなく、極低炭ステンレス鋼を溶製できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘゲ発生指数と飽和MgO濃度に対する過飽和MgO濃度との関係を示したグラフである。
【図2】ΔMgO指数と飽和MgO濃度に対する過飽和MgO濃度との関係を示したグラフである。
Claims (2)
- 上吹酸素ガスによる脱炭精錬過程を含む取鍋精錬により〔C〕≦0.3 wt%を目標とするステンレス溶鋼の精錬を行うに際し、取鍋のスラグと接する領域にMgO−Cレンガを用いると共に、該スラグ中に酸化マグネシウムを、該スラグ組成における飽和酸化マグネシウムの量よりも4〜8 wt %少ない範囲で含有させることを特徴とするステンレス溶鋼の取鍋精錬方法。
- 請求項1において、取鍋精錬がVOD法であるステンレス溶鋼の取鍋精錬方法。
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JP06057197A JP3675094B2 (ja) | 1997-03-14 | 1997-03-14 | ステンレス溶鋼の取鍋精錬方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP06057197A JP3675094B2 (ja) | 1997-03-14 | 1997-03-14 | ステンレス溶鋼の取鍋精錬方法 |
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JPH10251737A JPH10251737A (ja) | 1998-09-22 |
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WO2022219793A1 (ja) * | 2021-04-15 | 2022-10-20 | 日鉄ステンレス株式会社 | 含クロム溶鋼の精錬方法 |
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1997
- 1997-03-14 JP JP06057197A patent/JP3675094B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10251737A (ja) | 1998-09-22 |
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