JP3674478B2 - 含水架橋重合体ゲルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は含水架橋重合体ゲルの製造方法に関し、更に詳述すれば可動ベルト上でアクリル酸単量体及び/又はアクリル酸塩単量体水溶液を高濃度で安定に重合して含水架橋重合体ゲルを連続生産する方法に関する。この含水架橋重合体ゲルは、生理用品、紙おむつ等の吸水性樹脂等の用途に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
含水架橋重合体ゲルは、従来アクリル酸及び/又はアクリル酸塩、多官能単量体等を水溶液重合する事により製造されている。この様にして製造された含水架橋重合体ゲルは、更に乾燥、粉砕等の工程を施こされて吸水性樹脂が製造される。
【0003】
吸水性樹脂は、近年生理用品、紙おむつ等の衛生材料、ドリップ吸収剤、土壌保水剤、建材の結露防止などの広い用途に利用されている。
【0004】
含水架橋重合体ゲルの製造方法としては、移動するエンドレスベルト上に上記単量体の高濃度水溶液を供給しながら、連続的に重合させる方法がある。この方法は生産性が良いため多用されており、従来この技術に関する報告も多数なされている(特開昭58−71507号、特開昭63−43912号、特開昭63−317519号、特開平1−156310号)。
【0005】
しかし、これら製造方法による場合は、得られる含水架橋重合体ゲル中に未反応単量体が残存し易いという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記問題を解決するために可動ベルトを用いる含水架橋重合体ゲルの紫外線(UV)連続重合方法について種々検討しているうちに、可動ベルト上で単量体が重合してゲル化する際に発生する重合熱によりゲルの膨張が起きること、このゲルの膨張は可動ベルトの横方向及び上方向に激しく起きること、このゲル膨張は特に単量体と共に発泡剤を併用している場合に激しく起きること等を見いだした。
【0007】
更に、このゲル膨張が反応初期段階で起きる場合、可動ベルト上に供給される単量体水溶液が膨張したゲルとベルトとの間に生じる隙間に回り込んで浸入すること、この場合膨張して捲れ上がったゲルで遮られてUVがゲルの下側に回り込んだ単量体に十分到達できず、その結果得られる含水架橋重合体ゲル中に単量体が残存する原因になること等を見いだした。
【0008】
また更に、上記ゲルの膨張に伴う単量体の回り込みは、可動ベルト上で単量体の重合の開始が観測される位置から可動ベルトの進行方向に向って所定の間隔内に存在する重合途中のゲルの膨張を抑止することにより防止できること、そしてゲルの膨張を抑止するには上記間隔内のゲルの温度を80℃以下に制御すればよいこと、これら制御をすることにより高品質の含水架橋重合体ゲルを安定して大量に連続製造できること等を見いだした。
【0009】
本発明は、上記知見に基づいて完成するに至ったもので、その目的とするところは未反応単量体の残存量を低減し、水可溶性低分子量重合体の副生を抑制しながら、含水架橋重合体ゲルを高濃度かつ安定に連続製造することのできる、含水架橋重合体ゲルの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
【0014】
〔1〕光重合開始剤の存在下に、多官能性単量体とアクリル酸単量体及び/又はアクリル酸塩単量体との水溶液であって、該アクリル酸単量体及び/又はアクリル酸塩単量体の濃度が30〜60質量%である水溶液を速度0.5〜10m/分で動く可動ベルト上で紫外線の照射によりラジカル重合させることにより含水架橋重合体ゲルを連続的に製造する含水架橋重合体ゲルの製造方法において、光重合開始剤の添加量及び/又は紫外線照射量を制御することにより、該可動ベルト上における前記単量体の重合の開始が観測された位置からベルトの進行方向に10cm以上の幅のゲル領域を温度80℃以下に維持することを特徴とする含水架橋重合体ゲルの製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1(a)は本発明含水架橋重合体ゲルの製造方法に用いる製造装置の一例の概略を示す側面図である。
【0017】
図1(a)中、2は2個のローラー4、6間に張設された可動ベルトで、図中矢印P方向に駆動されている。前記ローラー4側の可動ベルト2の上方には、単量体水溶液槽8、及び重合開始剤水溶液槽10が設けられ、これら両槽中の単量体水溶液及び重合開始剤水溶液はミキサー12により混合された後、可動ベルト2上の矢印Aで示される位置(単量体水溶液の供給位置)に連続的に供給される。
【0018】
なお、前記単量体水溶液槽8及び重合開始剤水溶液槽10には、不図示の不活性ガス供給管が設けられており、必要により窒素ガス等の不活性ガスが両槽内に供給される。
【0019】
14は、可動ベルト2上に供給された単量体水溶液層で、単量体、重合開始剤等を含有している。この単量体水溶液層14は、可動ベルト2により搬送されてローラー4側(矢印P方向)に搬送されながら不図示の加熱装置により加熱され、若しくはUVチャンバー15により紫外線を照射されることにより、重合を開始する。重合の開始点では単量体水溶液層14は透明から白濁に変化するが、その後直ちに白色のゲル(寒天状)になる。
【0020】
重合を完結した含水架橋重合体ゲル層16は、次いでローラー6の近傍に配設された不図示の剥離手段により可動ベルト2から剥離され、次いで不図示のミートチョパー等の破砕手段で粉砕された後、乾燥され、必要により後架橋等の後工程を経て吸水性樹脂とされる。なお、上記製造装置自体は公知のものである。
【0021】
本発明の含水架橋重合体ゲルの製造方法においては、上記公知の製造装置等を用いて含水架橋重合体ゲルを製造するに際し、可動ベルト2上における前記単量体の重合の開始が観測された位置からベルトの進行方向に向って10cm以上、好ましくは15cm以上の幅の重合途中のゲル領域を温度80℃以下に維持するように制御することにより、この幅内においてゲルの膨張、即ち捲れを制限するものである。
【0022】
即ち、図1(a)において、可動ベルト2上に供給された単量体水溶液で形成される単量体水溶液層14は、矢印P方向に搬送されながら熱、又はUVを照射されることにより重合を開始し、徐々にゲル化するものであるが、初期のうちは外観上明確に重合の開始が観測されず、ある程度の時間経過後、上述のように外観上明確に重合の開始が観測されゲル化を開始するものである。この外観上明確に重合の開始が観測される位置を図1(a)中の矢印Bで示す。
【0023】
図1(a)において、矢印Cは前記矢印Bで示される位置から可動ベルト2の進行方向(矢印P方向)に向って10cm、好ましくは15cm以上離れた位置を示す。本発明においては、前述のように矢印B、Cの間で示されるゲル領域の重合途中のゲルの温度を80℃以下に制御するものである。
【0024】
B、C間のゲル温度を80℃以下に制御することにより、このB、C間におけるゲルの急激な膨張を避け、これにより前記単量体の回り込みを確実に避けるものである。18は、矢印Cで示される位置を通過した後、急激に膨張したゲルを示している。
【0025】
なお、図1(b)は前記製造装置の可動ベルト2上に形成された単量体水溶液層14及び含水架橋重合体ゲル層16を示す平面図である。図1(b)において、矢印Aは単量体水溶液供給位置、B、Cは上述した位置を示す。
【0026】
本発明においては、単量体の重合の開始が観測された位置(矢印Bで示される位置)は、具体的には、外観上急激に粘度上昇を伴うゲル化が認められ始め、ゲル内に発生し始めた気泡によりゲルが白濁し始める位置と定義できる。
【0027】
本発明においては、前述のように矢印B、C間のゲルの温度を80℃以下に制御し、これによりこの区間におけるゲルの膨張を防止することにより前記単量体の回り込みを防止し、その結果得られる含水架橋重合体ゲル中の残存単量体量を減少させるものであるが、矢印B、C間のゲルの温度を80℃以下になるように制御する手段として以下のものが例示できる。
(1)単量体水溶液濃度を低くする。
(2)重合開始剤濃度を低くする。
(3)可動ベルトに供給する単量体水溶液の温度を低くする。
(4)可動ベルトに供給する単量体水溶液の脱酸素量を低減させる。
(5)光重合開始剤を使用する場合は、照射積算光量(単位面積あたりの照射強度×照射時間)を減少する。
(6)可動ベルトの搬送速度を高める。即ち、同一反応条件の場合、可動ベルトの搬送速度を大きくすることにより、矢印B、C間の通過所要時間を短くし、ゲルが膨張する前にCの位置を通過させる様にする。また、重合開始剤として光重合開始剤を使用する場合は、搬送速度を高めることによりUV照射積算光量を減少できる。
【0028】
上記例示した制御手段は、単独で採用しても、複数の組合わせで採用しても良い。
【0029】
以下、図1を参照しながら、含水架橋重合体ゲルの製造方法につき更に詳しく説明する。
【0030】
含水架橋重合体ゲルは、アクリル酸またはアクリル酸のナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など(以下アクリル酸系単量体ともいう)の水溶性重合性単量体を主構成単量体とし、これと多官能性単量体を共重合するか、またはそれらの単量体に加えてその他の水溶性又は水混和性のエチレン性不飽和単量体を共重合することにより得られる。
【0031】
多官能性単量体としては、N,N'- メチレンビス( メタ) アクリルアミド、( ポリ) エチレングリコールジ( メタ) アクリレート、( ポリ) プロピレングリコールジ( メタ) アクリレート、トリメチロールプロパントリ( メタ) アクリレート、トリメチロールプロパンジ( メタ) アクリレート、グリセリントリ( メタ) アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ( メタ) アクリレート、ペンタエリストールテトラ( メタ) アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ( メタ) アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ( メタ) アリロキシアルカン、( ポリ) エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテルおよびグリシジル( メタ) アクリレート等が挙げられる。
【0032】
その他の水溶性又は水混和性のエチレン性不飽和単量体としては、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-( メタ) アクリルアミド-2- メチルプロパンスルホン酸、2-( メタ) アクリロイルエタンスルホン酸、2-( メタ) アクリロイルプロパンスルホン酸などのアニオン性不飽和単量体およびその塩;( メタ) アクリルアミド、N-エチル( メタ) アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル( メタ) アクリルアミド、N,N-ジメチル( メタ) アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル( メタ) アクリレート、2-ヒドロキシプロピル( メタ) アクリレート、メトキシポリエチレングリコール( メタ) アクリレート、ポリエチレングリコール( メタ) アクリレート、ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、N-アクリロイルピペリジン、N-アクロイルピロリジン、N-ビニルアセトアミドなどのノニオン性の親水基含有単量体;N,N-ジメチルアミノエチル( メタ) アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル( メタ) アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル( メタ) アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル( メタ) アクリルアミドおよびそれらの四級塩などのカチオン性不飽和単量体等が挙げられる。
【0033】
アクリル酸系単量体の配合量は、他の単量体との合計量を基準として50〜100質量%が好ましい。多官能性単量体の配合量は、一般的には前記単量体合計量に対して1〜2000質量ppmである。
【0034】
また、アクリル酸系単量体における酸と塩の割合は、得られた重合体中の酸基のモル数を基準として、酸基の0. 01〜100%が中和されているものが好ましく、より好ましくは1〜99%が中和されているものであり、さらに好ましくは40〜95%が中和されているものである。中和は単量体の段階または重合後のいずれで行ってもよい。
【0035】
上記単量体は、水溶液とされ、必要により窒素ガス等の不活性ガスを吹込むことにより単量体水溶液中の溶存酸素量が調節され、図1(a)に示す単量体水溶液槽8に仕込まれる。水溶液重合における単量体水溶液の濃度としては、30〜60質量%が必要である。
【0036】
単量体水溶液における単量体の濃度が30質量%未満であるとベルト上での膨張自体が起り難く、一方60質量%を超えると重合速度が速く、重合の制御が難しい。
【0037】
上記単量体水溶液には、必要に応じて、デンプン、デンプンの誘導体、セルロース、セルロースの誘導体、ポリビニルアルコールの誘導体、ポリアクリル酸( 塩) 、ポリアクリル酸塩架橋体などの親水性高分子、次亜リン酸( 塩) 等の連鎖移動剤、不活性気体や炭酸塩などの発泡剤などを添加することもできる。
【0038】
重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤や、光重合開始剤を用いることができる。
【0039】
熱ラジカル重合開始剤としては、熱によりラジカル種を発生する、過酸化物、過硫酸塩化合物、アゾ化合物およびレドックス開始剤などが挙げられる。過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシドおよびジクミルペルオキシドなどが挙げられる。過硫酸塩化合物の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸ナトリウムなどが挙げられる。アゾ化合物の例としては、アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビス-2,4- ジメチルバレロニトリルなどが挙げられる。レドックス開始剤の例としては、過酸化水素−鉄(II)塩、ペルオキソ二硫酸塩−亜硫酸水素ナトリウムおよびクメンヒドロペルオキシド−鉄(II)塩などが挙げられる。
【0040】
これらの使用量としては、単量体に対して通常0. 0005〜1質量%であり、0. 001〜0. 5質量%が好ましい。
【0041】
光重合開始剤としては、ベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、ベンゾフェノン類及びキサントン類などが挙げられる。光重合開始剤には光増感剤を併用することもできる。光増感剤としては、安息香酸系およびアミン系光増感剤などが挙げられる。これらは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0042】
光重合開始剤の使用量は、単量体に対して通常0. 0005〜1質量%であり、0. 001〜0. 5質量%が好ましい。光増感剤の使用量は公知例に従う。
【0043】
上記重合開始剤は水溶液とされ、図1(a)中の、重合開始剤水溶液槽10に仕込まれる。
【0044】
光重合開始剤を用いる場合においても単量体水溶液には、過酸化物触媒を配合することが好ましい。過酸化物触媒を配合することにより、得られる含水架橋重合体ゲル中の未反応単量体残存量を減少できる。
【0045】
しかし、過酸化物の添加量を増加すると、反応速度が速くなるため、重合開始後短時間内にゲル温度が上昇しやすい。従って、その添加量は少な目が好ましく、具体的には単量体に対して0.0005〜1質量%であり、更に好ましくは0.001〜0.3質量%である。
【0046】
前記単量体水溶液と重合開始剤水溶液とはミキサー12により所定の割合で均一混合され、可動ベルト2上の一端側の矢印Aの位置に供給される。
【0047】
ベルト上の単量体水溶液層の厚さとしては、5〜20mmが好ましく、更に好ましくは5〜15mmである。
【0048】
重合開始剤として熱ラジカル重合開始剤を用いる場合、可動ベルト2上に供給された単量体水溶液は、次いでベルト2により矢印P方向に搬送されながら、必要により不図示のヒ−ター等の加熱手段により加熱され、単量体水溶液の供給位置(矢印Aで示される位置)から遠くない位置で重合の開始が観測される程度に熱ラジカル重合が開始され、更に10cm、好ましくは15cm以上搬送されて矢印Cの位置を通過する迄のBC間において80℃以下になるように制御され、これによりCの位置を通過するまではゲルの膨張が起きず、Cの位置を通過して初めてゲルの急激な体積膨張が起きる様に制御される。
【0049】
更に、体積膨張したゲルは可動ベルトにより他端側に搬送されるが、この間に過酸化物触媒の作用により単量体が低減され、その後含水架橋重合体ゲルとして、ローラー6近傍で可動ベルトから剥離される。
【0050】
可動ベルト2の搬送速度は、0.5〜10m/分であり、好ましくは1〜6m/分である。ベルトの搬送速度が速すぎると、ベルト上の単量体水溶液層の厚みが小さくなり、全体としての生産効率が劣る。
【0051】
ベルトの搬送速度を上げる場合は、UV光源の光強度を上げて、単量体水溶液層に照射されるUV光量を低下させないようにすることが好ましい。
【0052】
その後の工程は既述の通りである。
【0053】
重合開始剤として光重合開始剤を用いる場合、可動ベルトに供給された単量体水溶液は、次いでベルト2により矢印P方向に搬送されながら、矢印Aの直後のベルト上方に配設されたUVランプから照射されるUVにより重合が開始される。それ以降は同様にして含水架橋重合体ゲルが得られる。
【0054】
特に、重合開始剤として光重合開始剤を用いて含水架橋重合体ゲルを製造する場合であって、製造する含水架橋重合体ゲルの用途がおむつ等の衛生用品用吸水性材料の場合は、以下の注意が必要である。
【0055】
即ち、人体との適合性の観点から、そのpHをできるだけ中性付近にするため、通常アクリル酸ナトリウム(ANa)/アクリル酸(AA)のモル比は60〜80/40〜20にすることが好ましい。生産性の観点から、これら単量体水溶液濃度は高い方が好ましく、その場合は重合途中のゲル温度を80℃以下に制御するには、出発原料の単量体水溶液温度を低くしておく方が制御しやすい。
【0056】
工業的規模で含水架橋重合体ゲルを生産する場合、単量体水溶液温度としてはは15〜40℃が好ましい。
【0057】
光重合開始剤の添加量は20〜150ppmが好ましく、光重合開始剤としてはアロニックスC−101(商品名)等を例示できる。
【0058】
UV照射量としては、積算光量が300〜1500mJ/cm2が好ましい。光量の調整はUVランプの数と電圧を調節することにより制御できる。
【0059】
重合系には前述のように光重合開始剤と過酸化物触媒とを併用することが好ましい。過酸化物触媒は含水架橋重合体ゲル中の残留単量体量を低減させるために有効である。過酸化物触媒の併用量を減少すると、ゲル化速度は低下し、残留単量体量が増加する。従って、過酸化物触媒は1500〜2000ppm併用することが好ましい。過酸化物触媒としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等が好ましい。
【0060】
重合系には、更に発泡剤を添加することができる。発泡剤は得られる吸水材をポーラスにし、吸水速度を高める機能を付与する。発泡剤の添加量としては、0.15〜5質量%(単量体質量基準)が好ましい。好ましい発泡剤としては炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が例示できる。
【0061】
また、重合時の重合温度や重合時間等の反応条件は、位置B、Cの間でゲル温度が80℃以下になるように制御できる範囲で適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、通常、0℃〜50℃、好ましくは5℃〜30℃の温度範囲で重合が行われる。
【0062】
上記のように水溶液重合を行って得た架橋ポリアクリル酸塩系重合体は、水を吸収したゲル状体(水吸収膨潤体)すなわち含水重合体ゲルである。ゲル状体から重合体粒子を得るためには、それらゲル状体を細断する必要がある。
【0063】
含水重合体ゲルの切断機としては、公知のものが使用でき、例えばミートチョッパー等が好ましく使用できる。ミートチョッパーの目皿における小孔の径を変更することにより、細断物の大きさを選択することができる。吸水剤用含水架橋重合体ゲル粒子としては、平均粒径が0.5〜5mm程度のものが好ましい。平均粒径が5mmを越えると、次の乾燥工程で乾燥させるのに長時間を要し生産性が低下する。
【0064】
【実施例】
実施例1〜3および比較例1
図1に示す製造装置を用いて含水架橋重合体ゲルを製造した。重合に使用できる可動ベルト有効長さは約2mであった。ベルトの走行速度は1.5m/分、UV照射量は600mJ/cm2、UV照射ゾーンは57cmであった。
【0065】
アクリル酸25mol %、アクリル酸ソーダ75mol %からなる濃度47質量%水溶液に架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMP)を100ppm (対単量体純分)添加した。この単量体水溶液に、光開始剤として2, 2- ジメトキシ-2- フェニルアセトフェノン(アロニックスC−101 商品名以下C−101)と過硫酸ナトリウム(以下NPS)とを所定量加え、所定速度で走行するベルト上に1cmの厚さで連続供給し、紫外線を照射した。単量体水溶液は徐々にゲル化を始め重合の開始が観測され、その後しばらくすると上方に膨張した。
【0066】
重合の開始が観測された位置からベルトの進行方向に10cmの区間(以下、管理区間という)におけるゲルの最高到達温度を測定した。併せて、各例において重合開始位置からゲルがベルト上で捲れる位置までの区間(以下、特性区間という)の長さを測定した。
【0067】
その後、含水架橋重合体ゲルを可動ベルト末端で容器に受け、これにポリエチレングリコール(平均分子量20000)水溶液を加えながらミートチョッパー(目皿径4.5mm)を用いて細断した。細断したゲルをバンド乾燥機を用いて150℃の熱風で乾燥させた後、ロール粉砕機で粉砕し、吸水性樹脂を得た。
【0068】
結果を表1に示した。
【0069】
【表1】
【0070】
表1から、膨張開始距離が10cm以上の実施例1〜3においては、残存単量体濃度は最大532ppmに過ぎなかった。これに対し、膨張開始距離が3cmの比較例1においては、残存単量体量は3225ppmで、高濃度であった。
【0071】
【発明の効果】
本発明においては、可動ベルト上における単量体の重合の開始が観測された位置からベルト進行方向に10cm以上の幅で存在する重合途中のゲル温度を80℃以下に制御するようにしたので、可動ベルト上のゲルの膨張に伴う単量体水溶液の回り込みを確実に防止でき、その結果得られる含水架橋重合体ゲル中の残存単量体濃度を大幅に低減でき、高品質の含水架橋重合体ゲルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施に使用する含水架橋重合体ゲル製造装置の一例を示す概略側面図、(b)は同装置の可動ベルト上に形成された含水架橋重合体ゲルの概略平面図である。
【符号の説明】
2 可動ベルト
4、6 ローラー
8 単量体水溶液槽
10 重合開始剤水溶液槽
12 ミキサー
14 単量体水溶液層
15 UVチャンバー
16 含水架橋重合体ゲル層
18 ゲル
Claims (1)
- 光重合開始剤の存在下に、多官能性単量体とアクリル酸単量体及び/又はアクリル酸塩単量体との水溶液であって、該アクリル酸単量体及び/又はアクリル酸塩単量体の濃度が30〜60質量%である水溶液を速度0.5〜10m/分で動く可動ベルト上で紫外線の照射によりラジカル重合させることにより含水架橋重合体ゲルを連続的に製造する含水架橋重合体ゲルの製造方法において、光重合開始剤の添加量及び/又は紫外線照射量を制御することにより、該可動ベルト上における前記単量体の重合の開始が観測された位置からベルトの進行方向に10cm以上の幅のゲル領域を温度80℃以下に維持することを特徴とする含水架橋重合体ゲルの製造方法。
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