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アルミニウムの精製法およびその用途 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミニウムの精製方法に関する。詳しくは、偏析原理を利用して、Si、Fe等の共晶不純物を含む溶融アルミニウムから、より高純度なアルミニウムを晶出させてアルミニウムを精製する方法およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
これ迄、偏析原理を利用したアルミニウムの精製方法としては、溶融アルミニウムを下方または周辺から冷却凝固させる際に,その凝固界面近傍の該溶融アルミニウムを攪拌する方法や、該溶融アルミニウム中に冷却体を浸漬し、その冷却体内に冷却媒体を供給しつつこの冷却体を回転し、その周面に高純度の精製アルミニウムを晶出させる方法等が知られている。
【0003】
偏析原理を利用した精製方法においては、凝固界面近傍の溶融アルミニウム中に排出された不純物の濃縮層をできる限り除去することにより薄くし、溶融アルミニウム全体に不純物を分散させることにより精製効率が向上するが,比較的速い生産速度でこれを達成するためには晶出したアルミニウムと溶融アルミニウムとの相対速度を増加させ、濃縮された不純物を不純物の少ない溶融アルミニウム中に洗い流し去る効果を高める手法が提案されている。例えば、特公昭61−3385号公報には、冷却体の外周部と溶融アルミニウムとの相対速度が1600mm/s〜8000mm/sとなるように冷却体を回転させることによって凝固界面近傍の不純物の濃縮層を薄くし、精製アルミニウムの純度を高くすることが提案されており、また、特公昭63−64504号公報には、溶融アルミニウムを下方より凝固させる際に、凝固界面近傍の溶融アルミニウム中に回転体の下部中央から気泡を放出させ、不純物の濃縮層中における不純物の拡散を促進させ、溶融アルミニウム全体に分散させることによって精製アルミニウムの純度を高くすることが提案されている。
【0004】
さらに、特公平5−852558号公報には、溶融アルミニウム中から水素を効率よく除去する方法として、溶融アルミニウムを撹拌するとともに、水素除去処理ガスを溶融アルミニウム中に吹き込みながら溶融アルミニウムを一方向凝固させる方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の技術においては得られる精製アルミニウム中の不純物を十分には除去できない。すなわち、回転する冷却体を用いる方法においては、精製アルミニウムの純度を上げるためには冷却体外周部と溶融アルミニウムとの相対速度をできるだけ大きくすることが望ましいが、冷却体の回転に伴って溶融アルミニウムも同方向に流れるため、実質的に不純物の濃縮層を薄くする効果には限界がある。また、溶融アルミニウムを下方より凝固させる際に、凝固界面近傍の液相中に回転体の下部中央から気泡を放出させたとしても、気泡は溶融アルミニウムよりも軽いために上昇し、凝固界面近傍の不純物の濃縮層への到達および撹拌作用は十分ではない。溶融アルミニウムを撹拌するとともに、水素除去処理ガスを溶融アルミニウム中に吹き込みながら溶融アルミニウムを一方向凝固させても溶融アルミニウム中から水素は効率よく除去されるがSi、Fe等の共晶不純物の除去効率は必ずしも十分ではない。
本発明の目的は、上記問題を解決したアルミニウムの精製方法をよびその用途を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、偏析原理を利用したアルミニウムの精製について鋭意検討した結果、冷却体を用いた極めて精製効率の高いアルミニウムの精製方法を見出し本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、溶融アルミニウム中に冷却体を浸漬し、その冷却体の表面の温度が該溶融アルミニウムの液相線温度未満になるように冷却してその冷却体の表面に精製されたアルミニウムを晶出成長させるアルミニウムの精製方法において、冷却体を中心に冷却体の周囲で該溶融アルミニウムに働く遠心加速度が0.01m/s2以上、1500m/s2以下の範囲になるように該溶融アルミニウムを旋回させ、かつガス気泡を形成するガスの導入量が精製して回収されるアルミニウム1kg当たりにつき0.01〜150リットル(25℃、1気圧)の範囲になるようにガス気泡を該溶融アルミニウム中に導入して冷却体の表面に精製アルミニウムを晶出させることを特徴とするアルミニウムの精製方法、および本発明方法により得られる精製アルミニウムを原料として用いた電解コンデンサー用アルミニウム箔を提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明方法において、冷却体の周囲で溶融アルミニウムを旋回させて、該溶融アルミニウムに働く遠心力の反作用の力によって、導入ガスの気泡が、冷却体の表面に晶出した精製アルミニウムと該溶融アルミニウムとの凝固界面へ移動、浮上しながら該凝固界面およびその近傍を擦過して、上記の凝固界面において導入ガスの気泡によって不純物の濃縮層が効率よく除去される結果、アルミニウムの精製効率を著しく向上させることができる。すなわち、本発明方法は、該溶融アルミニウムに働く遠心力の反作用の力を利用して、該溶融アルミニウム中に導入したガス気泡を効率的に上記の凝固界面に到達させ、ガス気泡を凝固界面に擦り付けながら上昇させて、上記の凝固界面に生じる不純物の濃縮層を効率よく除去できる。
【0009】
本発明において、溶融アルミニウムを旋回させる方法としては、該溶融アルミニウム保持容器の回転による伴流効果、インペラ−のような攪拌子、回転磁界などを利用することが可能である。また、補足的に冷却体を回転させてもよい。
【0010】
本発明方法においては、通常、該溶融アルミニウムに働く遠心加速度が、0.01m/s2以上、1500m/s2以下の範囲になるような旋回速度で該溶融アルミニウムを冷却体周囲で旋回させる。該溶融アルミニウムに働く遠心加速度が0.01m/s2未満の場合には導入したガスの気泡が、冷却体の表面に晶出した精製アルミニウムと該溶融アルミニウムとの凝固界面およびその近傍へ到達することが不十分であり、逆に1500m/s2を越える場合には遠心力が大き過ぎるためにガス気泡が浮上離脱し難いので、冷却体の表面に空洞ができて、アルミニウムが晶出、成長しにくくなるので好ましくない。
【0011】
本発明方法において、該溶融アルミニウム中へのガス気泡の導入は、冷却体とは別個のガス気泡導入管を用いる方法や、保持容器の底部に微細なガス気泡導入口を設置する方法、冷却体の底部の開孔から導入する方法等を用いることができ、該溶融アルミニウムに働く遠心加速度が0.01m/s2以上、1500m/s2以下の範囲になるように冷却体周囲で旋回している該溶融アルミニウム中にガス気泡が導入されるようにガス気泡導入口を設置することが好適である。
【0012】
本発明において、該溶融アルミニウムを冷却体を中心に冷却体の周囲で旋回させる好ましい距離範囲は、溶融アルミニウムを旋回させる方法によって異なるが、該溶融アルミニウム中に導入したガス気泡を効率的に上記の凝固界面に到達させ、ガス気泡を凝固界面に擦り付けながら上昇させて、該溶融アルミニウムに働く遠心力の反作用の力を利用して、上記の凝固界面に生じる不純物の濃縮層を効率よく除去できるようにガスを導入できればよい。冷却体の表面に晶出したアルミニウムと該溶融アルミニウムとの凝固界面から溶融アルミニウム方向への距離が冷却体の近傍、1mm〜10mmの範囲で該溶融アルミニウムが旋回していることが好ましい。
【0013】
より精製効率を向上させるためには、旋回させる該溶融アルミニウムは、できるだけ広い領域がより好ましく、上記の凝固界面と該溶融アルミニウム保持容器の内壁までの範囲が本発明の旋回速度で旋回していればより好適である。
【0014】
本発明において、溶融アルミニウム中に導入するガス気泡を形成するガスの種類としては、基本的にはその温度で溶融アルミニウム中で気体状態であるガスであれば何でも良いが、溶融アルミニウム中に多量に溶解しないガスが好ましく、ヘリウムガス、アルゴンガス等の溶融アルミニウムに対して不活性なガス、窒素ガス等の溶融アルミニウムに対して実質的に不活性なガス、空気、塩素ガス、塩化物ガス、またはこれらの混合ガスが利用可能である。
塩化物ガスとしては、溶融アルミニウム中で気体状態の塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタン、六塩化エタン、四塩化炭素、六塩化ベンゼン等の揮発性のフラックスを利用することができる。
【0015】
特に空気は、気泡の表面に硬い酸化皮膜を形成するので凝固界面およびその近傍を擦過する効果が高く、凝固界面における不純物の濃縮層がより効率よく除去される結果、アルミニウムの精製効率をより向上させることができる上、上記のその他のガスよりもに安価に手に入れることができるので好ましい。
また、上記ガスの露点は特に限定されないが、不活性ガスおよび実質的に不活性なガスの場合、水蒸気を含んでいることが好ましく、より好ましい露点の範囲は−8℃以上、30℃以下である。該露点が−8℃以上であると極めて精製効率が高くなるので好ましい。該露点が30℃を超えると、配管内や装置の周辺に結露しやすくなり、結露によって付着した水分が溶融アルミニウム中に滴下すると水蒸気爆発を起こしやすくなるので好ましくない。その他のガスも同様に水分含量が多くなると水蒸気爆発を起こしやすくなるので好ましくない。
【0016】
本発明において、溶融アルミニウム中に導入するガス気泡を形成するガスの量は、厳密にはガス種によって異なるが、一般には精製して回収されるアルミニウム1kg当たりにつき0.01〜150リットル(25℃、1気圧)の範囲であり、好ましくは0.1〜100リットルの範囲である。ガスの導入量が精製して回収されるアルミニウム1kg当たりにつき0.01リットル未満では精製効果が小さく、150リットル以上ではガス気泡の浮上速度より導入速度の方が大きくなり、溶湯表面での溶融アルミニウムの飛散が激しく、メタルロスも大きくなるので好ましくない。
【0017】
【作用】
冷却体の周囲を旋回する溶融アルミニウムには溶融アルミニウム自体の旋回運動によって遠心力が生ずる。この遠心力の大きさは、遠心加速度をaとすると次式で表される。
【0018】
【数1】
Figure 0003674322
【0019】
上式においてrは旋回運動の中心からの距離、ωは溶融アルミニウムの角速度、vは溶融アルミニウムの旋回速度である。旋回運動している溶融アルミニウム中に導入されたガス気泡は上式で表される遠心力の反作用の力によって旋回運動の中心、すなわち、冷却体の表面に晶出した精製アルミニウムと溶融アルミニウムとの凝固界面に向かって加速され、該凝固界面に到達し、押しつけられる。ガス気泡が該凝固界面に到達する際には、該凝固界面近傍に生じる不純物の濃縮層にも作用し、該不純物の濃縮層への激しい撹拌効果が生ずるとともに、遠心力の反作用の力によってガス気泡が該凝固界面を擦過しながら浮上することで該不純物の濃縮層を除去し、該不純物の濃縮層から不純部濃度の低い溶融アルミニウム中への不純物の拡散が促進される。
【0020】
たとえば、該溶融アルミニウム保持容器の回転による伴流で溶融アルミニウムを旋回させた場合、その流れが層流であれば、前記溶融アルミニウムの旋回速度uと前記遠心加速度aは次式で表される。
【0021】
【数2】
Figure 0003674322
【0022】
【数3】
Figure 0003674322
【0023】
rは冷却体の中心からの距離、r1は冷却体の半径、r2は保持容器の内半径、ωは保持容器の角速度である。
このように、前記遠心加速度は、旋回運動の中心からの距離と、該溶融アルミニウムの旋回速度を得れば導き出すことができるが、一般に、溶融アルミニウムの旋回速度を直接測定することは極めて困難である。そこで、レイノルズの相似法則を利用して溶融アルミニウムの旋回速度を推定した。お互いの系で、代表的な長さのスケールL、速さのスケールU、流体の密度ρ、粘性係数μは異なっていても、レイノルズ数Reが同じであれば、流れ場は力学的に相似であるというのがレイノルズの相似法則である。前記Reは次式で表される。
【0024】
【数4】
Figure 0003674322
【0025】
Uは代表速度、Lは代表長さ、νは動粘性係数(=μ/ρ)である。具体的には、精製装置とスケールおよび流体を旋回させる条件が同じで、溶融アルミニウムと同じ動粘性係数を持つ流体を用いて、Reが等しくなる旋回速度測定装置を用意する。室温付近の温度において溶融アルミニウムと同じ動粘性係数を持つ透明な流体を用いれば、溶融アルミニウムの流れ場を室温で再現し、観察が可能となる。この流体中に流体と密度がほぼ等しい樹脂粉末粒子を混合分散させて、その粒子の速度を測定することによって溶融アルミニウムの旋回速度を推定することができる。
【0026】
本発明の方法により得られる精製アルミニウムは、電解コンデンサー用アルミニウム箔の原料として使用することができる。電解コンデンサー用アルミニウム箔の原料として使用される、本発明の方法により得られる精製アルミニウムは、好ましくはSi含有量が35重量ppm以下、Fe含有量が30重量ppm以下である。
【0027】
本発明の方法においては、冷却体の周囲で旋回する溶解アルミニウムに働く遠心加速度に依存して、精製アルミニウム中のSiおよびFe含有量が変動するので、精製アルミニウムの必要な純度に応じて遠心加速度、旋回速度、旋回させる方法を選択することが可能である。
【0028】
本発明の方法により得られる精製アルミニウムは、例えば「アルミニウム材料の基礎と工業技術」(社団法人軽金属協会)の第347頁〜第350頁に記載されているように、スラブ鋳造、熱間圧延、冷間圧延、箔圧延などの工程を経て電解コンデンサー用アルミニウム箔に加工される。
【0029】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
実施例1
内径100mmの黒鉛製のるつぼに不純物としてSi50ppm、Fe69ppmを含む溶融アルミニウムを入れてヒーターによって665℃に加熱保持した。そして、アルゴンガスを0.5l/minの流量でるつぼ底部中央から導入し、外径30mmの黒鉛製の冷却体を溶融アルミニウム中に浸漬して内部に冷却用窒素ガスを供給しながら、るつぼを回転速度60rpmで回転させた。このときの冷却体の外周面と溶融アルミニウムとの相対速度は94mm/sであった。その結果、流れは層流であり、凝固界面から溶融アルミニウム方向への距離が1mmの位置にある溶融アルミニウムの旋回速度は0.013m/sであり、この位置での遠心加速度は0.011m/s2、凝固界面から溶融アルミニウム方向への距離が10mmの位置にある溶融アルミニウムの旋回速度は0.11m/sであり、この位置での遠心加速度は0.49m/s2であった。これらの値は、晶出終了時においてもほとんど変化がなかった。導入したアルゴンガスの量は、回収されたアルミニウム1kg当たりにつき89リットル、凝固速度は50mm/hであった。このようにして、45gのアルミニウムが晶出した後るつぼの回転を停止し、冷却体を引き上げて、晶出したアルミニウムを回収した。回収したアルミニウム中の不純物濃度を測定したところ、Si8ppm、Fe3ppmであった。精製係数(=精製されたアルミニウム中の濃度/原料中の濃度)はSi0.16、Fe0.043であった。
【0031】
実施例2
内径100mmの黒鉛製のるつぼに不純物としてSi200ppm、Fe370ppmを含む溶融アルミニウムを入れてヒーターによって665℃に加熱保持した。そして、アルゴンガスを0.5l/minの流量でるつぼ底部中央から導入し、外径30mmの黒鉛製の冷却体を溶融アルミニウム中に浸漬して内部に冷却用窒素ガスを供給しながら、るつぼを回転速度60rpmで回転させた。このときの冷却体の外周面と溶融アルミニウムとの相対速度は94mm/sであった。その結果、流れは層流であり、凝固界面から溶融アルミニウム方向への距離が1mmの位置にある溶融アルミニウムの旋回速度は0.013m/sであり、この位置での遠心加速度は0.011m/s2、凝固界面から溶融アルミニウム方向への距離が10mmの位置にある溶融アルミニウムの旋回速度は0.11m/sであり、この位置での遠心加速度は0.49m/s2であった。これらの値は、晶出終了時においてもほとんど変化がなかった。導入したアルゴンガスの量は、回収されたアルミニウム1kg当たりにつき50リットル、凝固速度は36mm/hであった。このようにして、100gのアルミニウムが晶出した後るつぼの回転を停止し、冷却体を引き上げて、晶出したアルミニウムを回収した。回収したアルミニウム中の不純物濃度を測定したところ、Si68ppm、Fe86ppmであった。精製係数はSi0.34、Fe0.23であった。
【0032】
比較例1
るつぼを回転しない(相対速度は0mm/s)ほかは上記実施例2と同じ条件で精製実験を行った。このときの溶融アルミニウムの旋回速度はいずれの位置においてもほぼ0m/sであり、この位置での遠心加速度は0m/s2であった。導入したアルゴンガスの量は、回収されたアルミニウム1kg当たりにつき36リットル、凝固速度は38mm/hであった。得られた220gのアルミニウム中の不純物濃度はSi85ppm、Fe145ppmであった。精製係数はSi0.43、Fe0.39であった。
【0033】
比較例2
溶融アルミニウム中にアルゴンガスを導入しないほかは上記実施例2と同じ条件で精製実験を行った。
このときの冷却体の外周面と溶融アルミニウムとの相対速度は94mm/sであった。その結果、流れは層流であり、凝固界面から溶融アルミニウム方向への距離が1mmの位置にある溶融アルミニウムの旋回速度は0.013m/sであり、この位置での遠心加速度は0.011m/s2、凝固界面から溶融アルミニウム方向への距離が10mmの位置にある溶融アルミニウムの旋回速度は0.11m/sであり、この位置での遠心加速度は0.49m/s2であった。これらの値は、晶出終了時においてもほとんど変化がなかった。凝固界面に接している溶融アルミニウムの旋回速度は0m/sであり、この位置での遠心加速度は0m/s2であった。凝固速度は30mm/hであった。得られた140gのアルミニウム中の不純物濃度はSi79ppm、Fe110ppmであった。精製係数はSi0.40、Fe0.30であった。
以上の結果を下表に纏める。
【0034】
【表1】
Figure 0003674322
【0035】
上記の表に示された結果から明らかなように、本発明によれば、導入したガス気泡を凝固界面へ作用させることによってアルミニウム中の共晶不純物を効率よく除去できる。これに対して、比較例のように溶融アルミニウム中にガス気泡を導入しても冷却体の周囲で溶融アルミニウムを旋回させないとアルミニウム中の共晶不純物は十分には除去できない。また、冷却体の周囲で溶融アルミニウムを旋回させても、ガス気泡を導入しないとアルミニウム中の共晶不純物は十分には除去できない。
【0036】
【発明の効果】
本発明は、Si,Fe等の共晶不純物を含む溶融アルミニウムから効率よく高純度のアルミニウムを晶出させてアルミニウムを精製することができる。
また、得られた高純度アルミニウムは、電解コンデンサー用箔、スパッタリングターゲット、ハードディスク用基板、超伝導安定化材、ボンディングワイヤー等に好適に使用される。

Claims (6)

  1. 溶融アルミニウム中に冷却体を浸漬し、その冷却体の表面の温度が該溶融アルミニウムの液相線温度未満になるように冷却してその冷却体の表面に精製されたアルミニウムを晶出成長させるアルミニウムの精製方法において、冷却体を中心に冷却体の周囲で該溶融アルミニウムに働く遠心加速度が0.01m/s2以上、1500m/s2以下の範囲になるように該溶融アルミニウムを旋回させ、かつガス気泡を形成するガスの導入量が精製して回収されるアルミニウム1kg当たりにつき0.01〜150リットル(25℃、1気圧)の範囲になるようにガス気泡を該溶融アルミニウム中に導入して冷却体の表面に精製アルミニウムを晶出させることを特徴とするアルミニウムの精製方法。
  2. 回転磁界、撹拌子、該溶融アルミニウム保持容器の回転およびこれらの組み合わせで該溶融アルミニウムを冷却体の周囲で旋回させる請求項1記載のアルミニウムの精製方法。
  3. ガス気泡を形成するガスの種類が不活性ガス、窒素、空気、塩素ガス、塩化物ガスまたはこれらの混合物である請求項1又は2記載のアルミニウムの精製方法。
  4. ガス気泡を形成するガスの種類が空気である請求項1又は2記載のアルミニウムの精製方法。
  5. 請求項1乃至4記載の方法により得られた精製アルミニウムを原料として用いた電解コンデンサー用アルミニウム箔。
  6. 精製アルミニウム中のSi含有量が35重量ppm以下、かつFe含有量が30重量ppm以下である請求項5記載の電解コンデンサー用アルミニウム箔。
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