JP3674182B2 - ハードディスク装置の軸受ユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスク装置の軸受ユニットに関する。更に詳しくは、ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等の各種コンピュータに内蔵された記憶装置であるハードディスク装置の軸受ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、この種のハードディスク装置の軸受ユニットの一例を示している。ハードディスク装置では、カバーケース1の内部で回転する複数枚からなるディスク2では、半導体メモリ(RAM)によって情報の書込みと読出しとが可能となっている。そこには、入力信号による情報データを書込みおよび読出すマルチアーム3等からなる磁気ヘッドが構成されており、マルチアーム3をスイング(揺動)可能に支持するピボットといわれる軸受ユニット4が設けられている。
従来例にあっては、軸受ユニット4は、前記マルチアーム3の支軸であるシャフト5を有し、このシャフト5をベアリングを内輪スリーブと外輪スリーブで受けてマルチアーム3を回動可能に支持している。更に、そうした各部材間の防塵用シール性および外部振動を吸収する防振性の両機能を持たせる2個のニトリルゴム製Oリング(JIS A硬度70)を含めて少なくとも6点以上の部品点数によって軸受ユニットを構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかるハードディスク装置において、使用される軸受ユニット4は部品点数も多く、各部材に対して厳しい加工精度が要求されるために、製造コストおよび組立コストが高騰するといった問題がある。その要因の1つに、シール用および防振用を兼ねるOリングの脱落を防止するために、必然的に部品点数が多くなり、高加工精度の要求と相まって製造コストや組立コストを高騰させている点が挙げられる。
【0004】
本発明の目的は、部品点数の削減により、コスト低減が可能なハードディスク装置の軸受ユニットを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る揺動式磁気ヘッドを回動可能に支持するハードディスク装置の軸受ユニットは、軸長手方向の一端部が装置本体側に固定された支軸シャフトを有し、この支軸シャフトの外周に軸方向上下二段の軸受を介して内側スリーブが回転可能に嵌合され、この内側スリーブの外周に軸受配置に対応して軸方向上下二段に凹部が設けられ、これら凹部に上下二段に防振リングが嵌合されるとともに、更にそれら防振リングに筒状の外側スリーブが回転可能に一体として嵌合されており、外側スリーブとの嵌合面である防振リングの外周側の周方向複数箇所に等間隔に凸部を設け、この凸部を外側スリーブに接触させて嵌合させることで防振リングにダンパー機能と防塵用シール機能とを持たせ、更に防振リングを、JIS A硬度70〜99のポリウレタンエラストマー製としている。また、上記目的を達成するため、本発明に係る揺動式磁気ヘッドを回動可能に支持するハードディスク装置の軸受ユニットは、軸長手方向の一端部が装置本体側に固定された支軸シャフトを有し、この支軸シャフトの外周に軸方向上下二段の軸受を介して軸方向上下二段の防振リングのフランジがそれぞれ回転可能に嵌合され、更にそれら防振リングに筒状のスリーブが回転可能に一体として嵌合されており、スリーブとの嵌合面である各防振リングの外周側の周方向複数箇所に等間隔に凸部を設け、この凸部をスリーブに接触させて嵌合させることで防振リングにダンパー機能と防塵用シール機能とを持たせ、更に防振リングをJIS A硬度70〜99のポリウレタンエラストマー製としている。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明によるハードディスク装置の軸受ユニットの実施態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0007】
図1は、第1の実施態様の軸受ユニットを示している。支軸シャフト10を有し、図でいう下方端の一端部11には鍔状のフランジ12が設けられ、このフランジ12で上下方向の重量を受けて装置本体側に垂直に立てた形で固定されている(図7参照)。また、支軸シャフト10の外周面には、長手方向、即ち上下方向の上部と下部の2個所にスラスト軸受等によるベアリング13、14が嵌合され、接着剤等で固定されている。下部側のベアリング13は、下方からフランジ12で受止められて支軸シャフト10上の定位置からの移動ずれを防止している。上下2つのベアリング13、14の外周側には、円筒状のステンレス鋼製等の金属製の内側スリーブ15が嵌合され、支軸シャフト10に対して回転自在となっている。支軸シャフト10と内側スリーブ15の内外周間は空隙16となっている。
【0008】
また、内側スリーブ15の外周では、この筒長手方向の上下2個所に、図2および図3に示す本発明の特徴部材である筒状で同一形状の2つの防振リング20、20が嵌合により装着されている。両防振リング20の材質は、共にJIS A硬度が70〜99のポリウレタンエラストマーが用いられている。この防振リング20の筒本体21の外周面には、図2に示すように、例えば5個所に凸部22が膨出した形で等間隔に設けられている。このように成形された防振リング20が、前述の内側スリーブ15の外周に設けた位置決め凹部15a(図3参照)に嵌め込まれ、内側スリーブ15に対して定位置に位置決めされている。位置決め凹部15aへの嵌合は、防振リング20自身のブレ防止による振動発生を抑えるのに有効である。
【0009】
防振リング20に凸部22を設けることによって、次に説明する外側スリーブ17の内周面との接触面積を最小限とし、振動の伝播を最小限に抑え、なおかつ従来例のOリングによるシール性機能を兼備することが可能となる。この意味でいえば、凸部22の設置個所は防振リング20の外周側に限定されず、内側スリーブ15に対応すべく内周側に設置してあってもよい。また、防振リング20を外側スリーブ17の筒長さと同等とはせず、スリーブ長手方向の両端部でそれぞれ嵌合する2つのものに短形化することもできる。このことも、外側スリーブ17との嵌合面積を最小限に抑えるために有効である。
【0010】
上下2つの防振リング20、20の外周には、円筒状のステンレス鋼製等の金属製による外側スリーブ17が嵌合され、防振リング20を介して内側スリーブ15と一体に支軸シャフト10に対し回転自在となっている。従って、内側スリーブ15と防振リング20と外側スリーブ17の3つの部材は、互いに位置ずれを防ぎ得る締め代でもって加工されている。
【0011】
防振リング20の変位特性は、内側および外側の両スリーブ15、17との嵌合代寸法、材質上の硬度、凸部22の設置数や大きさなどの要因によって様々に異なり、使用条件に対応して特性の調整が可能である。JIS A硬度92のポリウレタンエラストマー製のものを用いた本実施態様では、防振リング20の変位特性が、支軸シャフト10および外側スリーブ17間のスラスト方向では、8μm/450g(従来の同種品は10μm/450g)であり、またラジアル方向では25μm/1kg(従来の同種品は30μm/1kg)である。即ち、少なくともスラスト方向での変位特性は従来品よりも少ないことが理解される。
【0012】
図4〜図6は、本発明による第2の実施態様の軸受ユニットを示している。この第2の実施態様では、第1の実施態様で用いられた内側スリーブ15を削減し、外側スリーブ17と一体化したスリーブ18が設けられている。従って、この第2の実施態様の軸受ユニットにおいては、第1の実施態様の軸受ユニットよりも更に部品点数が1つ削減される。そこで、単一化されたスリーブ18に対応する形状でもって、JIS A硬度70〜99のポリウレタンエラストマー製による防振リング30が設けられている。図5および図6に示すように、防振リング30の本体31の内周側には、前記ベアリング13、14の外周に嵌合させるためのフランジ32が設けられている。また、防振リング30の外周側には、例えば5個所に凸部33が膨出した形で等間隔に設けられている。このような形状の防振リング30がスリーブ18の内周側に設けた位置決め凹部18aに嵌め込まれて位置決めされている。
【0013】
防振リング30の変位特性は、スリーブ18との嵌合代寸法、材質上の硬度、凸部33の設置数や大きさなどの要因によって様々に異なり、使用条件に対応して特性の調整が可能である。JIS A硬度92のポリウレタンエラストマー製のものを用いた本実施態様では、防振リング20の変位特性が、支軸シャフト10および外側スリーブ17間のスラスト方向では12μm/450gであり、またラジアル方向では30μm/1kgである。
【0014】
【発明の効果】
本発明に係るハードディスク装置の軸受ユニットは、防振リングは振動を吸収するダンパー機能を有すると共に、凸部によってスリーブと嵌合させているので、スリーブとの接触面積を最小限にして振動の伝播を最小限に抑えることができる。また、防振リングは、スリーブとの嵌合面に凸部を設けたことで防塵用シール機能をも兼備することで、部品点数を従来の同種軸受ユニットと比べて半減に削減できる。即ち、防振リングがダンパー機能と防塵用シール機能を兼備することで、部品点数を従来の同種軸受ユニットと比べて半減でき、加工および組立が容易となるので、それらの加工および組立コスト等からなる製造コストを低減できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施態様のハードディスク装置の軸受ユニットを示す組立断面図である。
【図2】第1の実施態様による防振リングの平面図である。
【図3】第1の実施態様による防振リングと内側スリーブとの取り合いを示す断面図である。
【図4】本発明による第2の実施態様のハードディスク装置の軸受ユニットを示す組立断面図である。
【図5】第2の実施態様による防振リングの平面図である。
【図6】第2の実施態様による防振リングの図5のA−A線からの側面断面図である。
【図7】従来例として示された軸受ユニットのハードディスク装置に装着された状態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
10 支軸シャフト
13、14 スラスト軸受
15 内側スリーブ
17 外側スリーブ
20(30) 防振リング
21(31) リング本体
22(33) 凸部
32 フランジ

Claims (2)

  1. 揺動式磁気ヘッドを回動可能に支持するハードディスク装置の軸受ユニットにおいて、軸長手方向の一端部が装置本体側に固定された支軸シャフトを有し、この支軸シャフトの外周に軸方向上下二段の軸受を介して内側スリーブが回転可能に嵌合され、この内側スリーブの外周に軸受配置に対応して軸方向上下二段に凹部が設けられ、これら凹部に上下二段に防振リングが嵌合されるとともに、更にそれら防振リングに筒状の外側スリーブが回転可能に一体として嵌合されており、外側スリーブとの嵌合面である防振リングの外周側の周方向複数箇所に等間隔に凸部を設け、この凸部を外側スリーブに接触させて嵌合させることで防振リングにダンパー機能と防塵用シール機能とを持たせ、更に防振リングをJIS A硬度70〜99のポリウレタンエラストマー製としたことを特徴とするハードディスク装置の軸受ユニット。
  2. 揺動式磁気ヘッドを回動可能に支持するハードディスク装置の軸受ユニットにおいて、軸長手方向の一端部が装置本体側に固定された支軸シャフトを有し、この支軸シャフトの外周に軸方向上下二段の軸受を介して軸方向上下二段の防振リングのフランジそれぞれ回転可能に嵌合され、更にそれら防振リングに筒状のスリーブが回転可能に一体として嵌合されており、スリーブとの嵌合面である防振リングの外周側の周方向複数箇所に等間隔に凸部を設け、この凸部をスリーブに接触させて嵌合させることで防振リングにダンパー機能と防塵用シール機能とを持たせ、更に防振リングをJIS A硬度70〜99のポリウレタンエラストマー製としたことを特徴とするハードディスク装置の軸受ユニット。
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