JP3673705B2 - 電流電圧変換器及びそれを用いたプリンター - Google Patents

電流電圧変換器及びそれを用いたプリンター Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電流信号を電圧パルスに変換する電流電圧変換器及びプリンターに関し、特に、電圧パルスを生成する際のしきい値が入力電流のピーク値に応じて一定の比率となるように変化することが可能な電流電圧変換器及びそれを用いたプリンターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電流信号を電圧パルスに変換する場合、電流信号を一旦、電圧信号に変換した後で、所望のしきい値電圧を用いて電圧パルスに変換する方法が主であった。
【0003】
例えば、電圧パルスを生成する際のしきい値を入力電流のピーク値に応じて一定の比率となるように変化させようとする場合、図24に示す回路が用いられる。本図において、R1は入力信号電流iinを電圧変換するための抵抗、41,42は演算増幅器で、この演算増幅器41,42と両者間のダイオードD1および容量C1と共に電圧モードのピーク・ホールド回路を構成しており、この電圧モードのピーク・ホールド回路は、電圧変換された入力信号Vs のピーク値Vs(peak) を保持する。R2,R3は抵抗であり、Vs(peak) をR3/(R2+R3)に分圧した電圧Vref を作る。43はVs を一方の入力とし、参照電圧としてのVref を他の一方の入力とする電圧比較器である。本図によれば電圧比較器の参照電圧Vref は、入力信号のピーク値に、R3/(R2+R3)を乗じた値となるため、電圧パルスを生成する際のしきい値が入力電流のピーク値に応じて、一定の比率となるように変化する電流電圧変換器を構成することができる。
【0004】
しかしながら、図示された回路に示される変換器は、複数の演算増幅器、電圧比較器、抵抗、ダイオードおよびコンデンサ等によって構成されているため、回路規模が大きくなりがちであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、図示したような技術では電圧パルスを生成する際のしきい値が入力電流のピーク値に応じて、一定の比率となるように変化する電流電圧変換器を構成する場合、回路規模が大きくなってしまうという問題点があった。これは、占有面積の増大、および消費電力の増加といった問題を招くため、改善の余地を有していた。
【0006】
本発明は、より少ない回路規模で、電圧パルスを生成する際のしきい値が入力電流のピーク値に応じて、一定の比率となるように変化させることが可能な電流電圧変換器及びそれを用いたプリンターを提供することを目的とする。
更に、本発明は、さらにその比率を選択することができる電流電圧変換器及びそれを用いたプリンターを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、電流信号を電圧パルスに変換する電流電圧変換器において、入力された電流に比例した複数の電流を出力する電流伝達手段と、前記電流伝達手段から出力される電流を入力とし、入力された電流のピーク値に比例した電流を出力する電流モードのピーク・ホールド手段と、前記電流伝達手段から出力される電流と前記電流モードのピーク・ホールド手段から出力される電流とを比較し、電圧パルスに変換するための電流入力と電圧出力を有する電流比較手段とを具備し、前記電流伝達手段は第1乃至第3のNMOSトランジスタのゲートを共通に接続して前記第1のNMOSトランジスタのゲートとドレインを直結して入力電流を入力し、前記第2のNMOSトランジスタのドレインを前記ピーク・ホールド手段に接続し、前記第3のNMOSトランジスタのドレインを前記電流比較手段に接続したカレントミラー回路からなり、前記ピーク・ホールド手段は第1、第2のPMOSトランジスタのゲートを共通接続し該ゲートに一方の端子を電源に接続した容量を接続し、前記第1、第2のPMOSトランジスタのソースに電源を供給し、前記第1のPMOSトランジスタのドレインに接続したエミッタと一定電位を供給するベースと前記第1のPMOSトランジスタのゲートに接続したコレクタとを有するNPNトランジスタを備え、前記第2のPMOSトランジスタのドレインを前記電流比較手段に接続しており、前記電流比較手段は、第3、第4のPMOSトランジスタと第4、第5のNMOSトランジスタとからなり、前記第3、第4のPMOSトランジスタのゲートを共通接続し、前記第3のPMOSトランジスタの前記ゲートとドレインと前記第3のNMOSトランジスタのドレインとを接続し、前記第4、第5のNMOSトランジスタのゲートを共通接続し、前記第4のNMOSトランジスタの前記ゲートとドレインと前記第2のPMOSトランジスタのドレインとを接続し、前記第4のPMOSトランジスタのドレインと前記第5のNMOSトランジスタのドレインを接続して当該ドレインから前記電圧出力とした電流電圧変換器を提供することである。
【0009】
更に、本発明の別の目的は、上記電流電圧変換器を有するプリンターを提供することである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明による実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は本発明の電流電圧変換器の好適な一つの例を示す概略的ブロック図である。同図において、1は電流伝達手段で、入力された電流信号iinに比例した複数の電流信号を出力する機能を有する。2は電流モードのピーク・ホールド手段で、電流伝達手段1より出力される入力電流iinに比例した電流a・iinを入力とし、a・iinのピーク値に比例した電流c・iin(peak)を出力する。
【0012】
また、3は入力を電流信号とし、出力を電圧パルスとする電流入力で、電圧出力の電流比較手段で、電流伝達手段1より出力される入力電流iinに比例した電流b・iinを一方の入力とし、電流モードのピーク・ホールド手段2より出力される電流c・iin(peak)をもう一方の入力とする。電流比較手段3はこれら2つの入力の大小関係に応じてハイレベル、ローレベルの電圧Vout を出力する。
【0013】
図2はこの実施形態の動作を説明するための入力電流iin、電流伝達手段1より出力される電流a・iinおよびb・iin、電流モードのピーク・ホールド手段2より出力される電流c・iin(peak)、電流比較手段3の出力電圧Vout の波形図である。ここでは簡単のため、a=c=1,b=2とし、入力電流iinは一定振幅のパルス列としている。本実施形態では電流モードのピーク・ホールド手段2の出力電流はiin(peak)、電流伝達手段1の出力電流は2iinとなるので、電流比較手段3のしきい値は入力電流iinのピーク値の1/2となり、出力電圧Vout は、図2に示すように変化する。
【0014】
なお、本実施形態から分かるように、電流比較手段3のしきい値は入力電流iinのピーク値のc/bで規定され、これらの値を所望の値に設定しておけば、しきい値が入力電流のピーク値に応じて、一定の比率となるように変化する電流電圧変換器を提供することができる。
【0015】
また、図3は上述したブロック図に説明される本発明の実施形態をより具体化して記述した回路例を示す概略的回路図であるが、本図中の電流iin、a・iin、b・iin、c・iin(peak)において、それぞれ電流を示す矢印の向きを正と定義することによって、図1に示されるブロック図との整合性が図られる。図3において、1は電流伝達手段であるところのカレントミラー回路でNMOSトランジスタ11,12,13により構成されている。図示されるように、 入力部のNMOSトランジスタ11の入力側電極とゲート電極をそれぞれのNMOSトランジスタ12、13のゲート電極と電気的に接続している。また、各NMOSトランジスタ11、12及び13の一方の主電極は所定電位(アースなど)に接続されている。NMOSトランジスタ11に入力された入力電流iinに比例して、NMOSトランジスタ12、13に対応してそれぞれ電流a・iin、b・iinを出力することができる。
【0016】
ここで、a,bはカレントミラー回路を構成するNMOSトランジスタ11、12、13のゲート幅Wとゲート長Lの比、W/Lを変えることによって、所望の値に設定することができる。即ち、NMOSトランジスタ11のゲート幅、ゲート長をそれぞれW11、L11、NMOSトランジスタ12のゲート幅、ゲート長をそれぞれW12、L12、NMOSトランジスタ13のゲート幅、ゲート長をそれぞれW13、L13とすると、(W11/L11):(W12/L12):(W13/L13)=1:a:bの関係である。
【0017】
また、2は電流モードのピーク・ホールド手段で、NPNトランジスタ14,PMOSトランジスタ15,16、容量17により構成されている。二つのPMOSトランジスタ15及び16はそのゲート電極同士が電気的に接続され、主電極の一方は電源VDDに接続されている。また、これらゲート電極は容量17の一方の電極及びNPNトランジスタ14の主電極の一方が電気的に接続されている。容量の他方の電極は電源VDDに接続される。PMOSトランジスタ15の他方の主電極とNPNトランジスタ14の主電極の一方がNMOSトランジスタ12の主電極に接続されている。
【0018】
カレントミラー回路に引き込む入力電流a・iinのピーク値に応じて、ソースに電源VDDを供給したPMOSトランジスタ15,16の共通ゲート端子の電位が下がり、一方を電源VDDに接続した容量17にピークホールドされることによって、入力された電流値a・iinのピーク値に比例した電流c・iin(peak)をPMOSトランジスタ16から出力することが分かる。
【0019】
ここで、cはPMOSトランジスタ15、16のゲート幅Wとゲート長Lの比、W/Lを変えることによって、所望の値に設定することができる。すなわち、PMOSトランジスタ15のゲート幅、ゲート長をそれぞれW15、L15、PMOSトランジスタ16のゲート幅、ゲート長をそれぞれW16、L16、とすると、(W15/L15):(W16/L16)=a:cの関係にある。
【0020】
3は電流入力、電圧出力の電流比較手段で、一対のカレントミラー回路を成し、各ソースを基準電位点の接地電位に接続したNMOSトランジスタ18,19および同じく一対のカレントミラー回路を成し各ソースを電源VDDに接続したPMOSトランジスタ20,21により構成されており、NMOSトランジスタ19とPMOSトランジスタ21のドレイン電流は一致することから、2つの入力電流の関係が電流c・iin(peak)>b・iinであるとすると、NMOSトランジスタ19を三極管領域で動作せしめるべく出力電圧Vout は接地電位に向かって下降し、逆に2つの入力電流の関係がc・iin(peak)<b・iinであるとすると、PMOSトランジスタ21を三極管領域で動作せしめるべく出力電圧Vout は電源電位(VDD)に向かって上昇することが分かる。
【0021】
以上の説明から、図3の回路は図1に示されるブロック図をより具体化して記述した回路例を示すことが分かる。この図3に示す各部の電流波形或いは電圧波形は、図2に示す入力電流と、出力電圧との関係と同様である。
【0022】
また、本実施形態において、図1の場合と同様に、図3においても、電流比較手段3のしきい値は入力電流iinのピーク値の(c/b)=(1/2)の例を示し、これらの値を所望の値の別の値に設定しておけば、しきい値が入力電流のピーク値に応じて、一定の比率となるように変化するので、より少ない回路規模で達成できるようになった。
【0023】
図4はしきい値を決める際の比例定数であるc/bの値を選択することを可能とするための回路の一例であり、図3の回路に、PMOSトランジスタ16と同一サイズのPMOSトランジスタ16A と、スイッチング素子16B を追加した回路である。スイッチング素子16B によりPMOSトランジスタ16A のゲートが電源電位(VDD)となっているときには、PMOSトランジスタ16A は電流を流さないため図3の回路と同一の効果を示す。
【0024】
一方、スイッチング素子16B によりPMOSトランジスタ16のゲートとPMOSトランジスタ16A のゲートが共通接続された時には、電流モードのピーク・ホールド手段2より2c・iin(peak)の電流が出力されることになり電流比較手段3のしきい値は入力電流iinのピーク値の(2c/b)となり、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。なお、本実施例ではPMOSトランジスタ16A のサイズをPMOSトランジスタ16と同一サイズとしたが、もちろん異なるサイズであってもかまわない。
【0025】
さらに本実施例では図3に対してPMOSトランジスタ16A とスイッチング素子16B の追加にとどまっているが、さらに複数の素子を並列に追加することも可能である。図5にPMOSトランジスタ16C 、とスイッチング素子16D を追加した回路を示す。この場合には、さらに多段階に、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。また、本実施例ではPMOSトランジスタ16に対して並列に素子を追加しているが、PMOSトランジスタ15に並列に素子を追加しても同一の効果が得られる。
【0026】
図6にPMOSトランジスタ15A とスイッチング素子15B を追加した回路を示す。PMOSトランジスタ15A のサイズがPMOSトランジスタ15と同一である場合には、スイッチング素子15B によりPMOSトランジスタ15A のゲートが電源電位(VDD)となっているときには、PMOSトランジスタ15A は電流を流さないため図3の回路と同一の効果を示す。
【0027】
一方、スイッチング素子15B によりPMOSトランジスタ15のゲートとPMOSトランジスタ15A のゲートが共通接続された時には、電流モードのピーク・ホールド手段2よりc・iin(peak)/2の電流が出力されることになり電流比較手段3のしきい値は入力電流iinのピーク値の(c/2b)となり、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。
【0028】
また、NMOSトランジスタ12に並列に素子を追加しても同一の効果が得られる。図7にNMOSトランジスタ12A とスイッチング素子12B を追加した回路を示す。NMOSトランジスタ12A のサイズがNMOSトランジスタ12と同一である場合には、スイッチング素子12B によりNMOSトランジスタ12A のゲートが接地電位となっているときには、NMOSトランジスタ12A は電流を流さないため図3の回路と同一の効果を示す。
【0029】
一方、スイッチング素子12B によりNMOSトランジスタ12のゲートとNMOSトランジスタ12A のゲートが共通接続された時には、電流モードのピーク・ホールド手段2より2c・iin(peak)の電流が出力されることになり電流比較手段3のしきい値は入力電流iinのピーク値の(2c/b)となり、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。
【0030】
NMOSトランジスタ18に並列に素子を追加しても同一の効果が得られる。図8に、NMOSトランジスタ18A とスイッチング素子18B を追加した回路を示す。NMOSトランジスタ18A のサイズがNMOSトランジスタ18と同一である場合には、スイッチング素子18B によりNMOSトランジスタ18A のゲートが接地電位となっているときには、NMOSトランジスタ18A は電流を流さないため図3の回路と同一の効果を示す。
【0031】
一方、スイッチング素子18B によりNMOSトランジスタ18のゲートとNMOSトランジスタ18A のゲートが共通接続された時には、電流比較手段3のしきい値は入力電流iinのピーク値の(c/2b)となり、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。
【0032】
NMOSトランジスタ19に並列に素子を追加しても同一の効果が得られる。図9にNMOSトランジスタ19A とスイッチング素子19B を追加した回路を示す。NMOSトランジスタ19A のサイズがNMOSトランジスタ19と同一である場合には、スイッチング素子19B によりNMOSトランジスタ19A のゲートが接地電位となっているときには、NMOSトランジスタ19A は電流を流さないため図3の回路と同一の効果を示す。
【0033】
一方、スイッチング素子19B によりNMOSトランジスタ19のゲートとNMOSトランジスタ19A のゲートが共通接続された時には、電流比較手段3のしきい値は入力電流iinのピーク値の(2c/b)となり、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。
【0034】
図10はしきい値を決める際の比例定数であるc/bの値を選択することを可能とするための回路の一例であり、図3の回路に、NMOSトランジスタ13と同一サイズのNMOSトランジスタ13A と、スイッチング素子13B を追加した回路である。スイッチング素子13B によりNMOSトランジスタ13A のゲートが接地電位となっているときには、NMOSトランジスタ13A は電流を流さないため図3の回路と同一の効果を示す。
【0035】
一方、スイッチング素子13B によりNMOSトランジスタ13のゲートとNMOSトランジスタ13A のゲートが共通接続された時には、電流伝達手段1より2b・iinの電流が出力されることになり電流比較手段3のしきい値は入力電流iinのピーク値の(c/2b)となり、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。なお、本実施例ではNMOSトランジスタ13A のサイズをNMOSトランジスタ13と同一サイズとしたが、もちろん異なるサイズであってもかまわない。
【0036】
さらに本実施例では図3に対してNMOSトランジスタ13A とスイッチング素子13B の追加にとどまっているが、さらに複数の素子を並列に追加することも可能である。図11にNMOSトランジスタ13C とスイッチング素子13D を追加した回路を示す。この場合には、さらに多段階に、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。
【0037】
また、本実施例ではNMOSトランジスタ13に対して並列に素子を追加しているが、PMOSトランジスタ20に並列に素子を追加しても同一の効果が得られる。図12にPMOSトランジスタ20A とスイッチング素子20B を追加した回路を示す。PMOSトランジスタ20A のサイズがPMOSトランジスタ20と同一である場合には、スイッチング素子20B によりPMOSトランジスタ20A のゲートが電源電位(VDD)となっているときには、PMOSトランジスタ20A は電流を流さないため図3の回路と同一の効果を示す。
【0038】
一方、スイッチング素子20B によりPMOSトランジスタ20のゲートとPMOSトランジスタ20A のゲートが共通接続された時には、電流比較手段3のしきい値は入力電流iinのピーク値の(2c/b)となり、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。
【0039】
PMOSトランジスタ21に並列に素子を追加しても同一の効果が得られる。図13にPMOSトランジスタ21A とスイッチング素子21B を追加した回路を示す。PMOSトランジスタ21A のサイズがPMOSトランジスタ21と同一である場合には、スイッチング素子21B によりPMOSトランジスタ21A のゲートが電源電位(VDD)となっているときには、PMOSトランジスタ21A は電流を流さないため図3の回路と同一の効果を示す。
【0040】
一方、スイッチング素子21B によりPMOSトランジスタ21のゲートとPMOSトランジスタ21A のゲートが共通接続された時には、電流比較手段3のしきい値は入力電流iinのピーク値の(c/2b)となり、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
図14は本発明の電流電圧変換器の別の好適な一例を説明するための概略的ブロック図である。同図において、1は電流伝達手段で、入力された電流信号iinに比例した複数の電流信号を出力する機能を有する。2は電流モードのピーク・ホールド手段で、電流伝達手段1より出力される入力電流iinに比例した電流a・iinを入力とし、a・iinのピーク値に比例した電流c・iin(peak)を出力する。4は電流の減算手段で電流伝達手段1より出力される入力電流iinに比例した電流b・iinを一方の入力とし、電流モードのピーク・ホールド手段2より出力される電流c・iin(peak)をもう一方の入力とする。ここで、電流の減算手段4より出力される電流は2つの入力電流b・iinと、c・iin(peak)の大小関係に応じて正負反転することになる。なお、ここでは便宜上c・iin(peak)−b・iinを電流の減算手段4からの出力電流と定義する。5は入力を電流信号とし、出力を電圧パルスとする電流電圧変換手段で、入力電流の正負に応じてハイレベル、ローレベルの電圧を出力する機能を有する。
【0042】
図14に示されるブロック図での動作を説明するための入力電流iin、電流伝達手段1より出力される電流a・iinおよびb・iin、電流モードのピーク・ホールド手段2より出力される電流c・iin(peak)、電流電圧変換手段5の出力電圧Vout の波形図は図2に示すとおりである。
【0043】
ここでは簡単のため、a=c=1,b=2とし、入力電流iinは一定振幅のパルス列としている。本実施形態では電流モードのピーク・ホールド手段2の出力電流はiin(peak)、電流伝達手段1の出力電流は2iinとなるので、電流の減算手段4からの出力電流は入力電流iinのピーク値の1/2を境に正負反転し、この値をしきい値として電流電圧変換手段5の出力電圧Vout は、図2に示すように変化する。なお、本実施形態から分かるように、電流の減算手段4から出力される電流(c・iin(peak)−b・iin)は入力電流iinのピーク値のc/bを境に正負反転し、これらの値を所望の値に設定しておけば、しきい値が入力電流のピーク値に応じて一定の比率となるように変化する電流電圧変換器を提供することができる。
【0044】
図15は、本実施形態をより具体化して記述した回路例である。本図中の電流iin、a・iin、b・iin、c・iin(peak)において、それぞれ電流を示す矢印の向きを正と定義することによって、図14に示されるブロック図との整合性が図られる。
【0045】
図15において、1は電流伝達手段であるところのカレントミラー回路で、NPNトランジスタ31,32,33により構成されており、入力電流iinに比例した複数の電流a・iin、b・iinを出力することが分かる。
【0046】
ここで、a,bはカレントミラー回路を構成するNPNトランジスタ31、32、33のエミッタ領域面積を変えることによって、所望の値に設定することができる。すなわち、NPNトランジスタ31のエミッタ領域面積をS31、NPNトランジスタ32のエミッタ領域面積をS32、NPNトランジスタ33のエミッタ領域面積をS33とすると、S31:S32:S33=1:a:bの関係にある。
【0047】
また、2は電流モードのピーク・ホールド手段で、NPNトランジスタ14,PMOSトランジスタ15,16、容量17により構成されており、入力電流a・iinのピーク値に応じて、PMOSトランジスタ15,16の共通ゲート端子の電位が下がり、一方を定電源VDDに接続した容量17にピーク・ホールドされることによって、入力された電流値a・iinのピーク値に比例した電流c・iin(peak)をPMOSトランジスタ16から出力することが分かる。
【0048】
ここで、cはPMOSトランジスタ15、16のゲート幅Wとゲート長Lの比、W/Lを変えることによって、所望の値に設定することができる。すなわち、PMOSトランジスタ15のゲート幅、ゲート長をそれぞれW15、L15、PMOSトランジスタ16のゲート幅、ゲート長をそれぞれW16、L16、とすると、(W15/L15):(W16/L16)=a:cの関係にある。
【0049】
また、5は入力電流の正負に応じてハイレベル、ローレベルの電圧を出力する電流電圧変換手段で、一対のカレントミラー回路を成すNPNトランジスタ34,35、定電流源36,37により構成されており、定電流源37を流れる電流とNPNトランジスタ35のコレクタ電流は一致することから、本図の矢印の向きに示される正方向の電流が入力されると、NPNトランジスタ35を飽和領域で動作せしめるべく出力電圧Vout は接地電位に向かって下降し、逆に負方向の電流が入力されると、定電流源37をカットオフさせる方向に出力電圧Vout は電源電位(VDD)に向かって上昇することが分かる。
【0050】
また、4は電流の減算手段であるところの結線部であって、電流モードのピーク・ホールド手段2の出力端子と電流伝達手段1の出力端子を接続し、さらに低入力インピーダンスであるところの電流電圧変換手段5の入力端子に接続することによって、電流モードのピーク・ホールド手段2の出力電流c・iin(peak)と電流伝達手段1の出力電流b・iinとの差電流c・iin(peak)−b・iinを、電流電圧変換手段5の入力端子に供給することができる。
【0051】
ここで、電流モードのピーク・ホールド手段2の出力電流c・iin(peak)と電流伝達手段1の出力電流b・iinの関係が、c・iin(peak)>b・iinであるとすると、電流電圧変換手段5には正方向の電流が供給され、Vout はローレベルの電圧を出力し、c・iin(peak)<b・iinであるとすると、電流電圧変換手段5には負方向の電流が供給され、Vout はハイレベルの電圧を出力することが分かる。
【0052】
以上の説明から、本図の回路は図14に示されるブロック図をより具体化して記述した回路例を示すことが分かる。
【0053】
本実施形態による電流電圧変換回路では、電流電圧変換手段5に定電流源36,37をそれぞれ別個の定電流源として説明したが、定電流源として一定のバイアス電圧をゲートに供給しソースに電源VDDを供給したMOSトランジスタを用いることで簡単な構成とすることができ、結果として簡易な構成で電流電圧変換器を提供することができる。
【0054】
図16はしきい値を決める際の比例定数であるc/bの値を選択することを可能とするための回路の一例であり、図15の回路に、PMOSトランジスタ16と同一サイズのPMOSトランジスタ16A と、スイッチング素子16B を追加した回路である。スイッチング素子16B によりPMOSトランジスタ16A のゲートが電源電位(VDD)となっているときには、PMOSトランジスタ16A は電流を流さないため図15の回路と同一の効果を示す。
【0055】
一方、スイッチング素子16B によりPMOSトランジスタ16のゲートとPMOSトランジスタ16A のゲートが共通接続された時には、電流モードのピーク・ホールド手段2より2c・iin(peak)の電流が出力されることになり電流電圧変換手段5のしきい値は入力電流iinのピーク値の(2c/b)となり、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。
【0056】
なお、本例ではPMOSトランジスタ16A のサイズをPMOSトランジスタ16と同一サイズとしたが、もちろん異なるサイズであってもかまわない。さらに本例では図15に対してPMOSトランジスタ16A とスイッチング素子16B の追加にとどまっているが、さらに複数の素子を並列に追加することも可能である。図17にPMOSトランジスタ16C 、とスイッチング素子16D を追加した回路を示す。この場合には、さらに多段階に、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。
【0057】
また、本例では、PMOSトランジスタ16に対して並列に素子を追加しているが、PMOSトランジスタ15に並列に素子を追加しても同一の効果が得られる。図18にPMOSトランジスタ15A とスイッチング素子15B を追加した回路を示す。PMOSトランジスタ15A のサイズがPMOSトランジスタ15と同一である場合には、スイッチング素子15B によりPMOSトランジスタ15A のゲートが電源電位(VDD)となっているときには、PMOSトランジスタ15A は電流を流さないため図15の回路と同一の効果を示す。
【0058】
一方、スイッチング素子15B によりPMOSトランジスタ15のゲートとPMOSトランジスタ15A のゲートが共通接続された時には、電流モードのピーク・ホールド手段2よりc・iin(peak)/2の電流が出力されることになり電流電圧変換手段5のしきい値は入力電流iinのピーク値の(c/2b)となり、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。
【0059】
また、NPNトランジスタ32に並列に素子を追加しても同一の効果が得られる。図19にNPNトランジスタ32A とスイッチング素子32B を追加した回路を示す。NPNトランジスタ32A のサイズがNPNトランジスタ32と同一である場合には、スイッチング素子32B によりNPNトランジスタ32A のベースが接地電位となっているときには、NPNトランジスタ32A は電流を流さないため図15の回路と同一の効果を示す。
【0060】
一方、スイッチング素子32B によりNPNトランジスタ32のベースとNPNトランジスタ32A のベースが共通接続された時には、電流モードのピーク・ホールド手段2より2c・iin(peak)の電流が出力されることになり電流電圧変換手段5のしきい値は入力電流iinのピーク値の(2c/b)となり、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。
【0061】
図20はしきい値を決める際の比例定数であるc/bの値を選択することを可能とするための回路の一例であり、図15の回路に、NPNトランジスタ33と同一サイズのNPNトランジスタ33A と、スイッチング素子33B を追加した回路である。スイッチング素子33B によりNPNトランジスタ33A のベースが接地電位となっているときには、NPNトランジスタ33A は電流を流さないため図15の回路と同一の効果を示す。
【0062】
一方、スイッチング素子33B によりNPNトランジスタ33のベースとNPNトランジスタ33A のベースが共通接続された時には、電流伝達手段1より2b・iinの電流が出力されることになり電流電圧変換手段5のしきい値は入力電流iinのピーク値の(c/2b)となり、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。
【0063】
なお、本例ではNPNトランジスタ33A のサイズをNPNトランジスタ33と同一サイズとしたが、もちろん異なるサイズであってもかまわない。さらに本例では図15に対してNPNトランジスタ33A とスイッチング素子33B の追加にとどまっているが、さらに複数の素子を並列に追加することも可能である。図21にNPNトランジスタ33C とスイッチング素子33D を追加した回路を示す。この場合には、さらに多段階に、しきい値を決める際の比例定数を選択することができる。
【0064】
上述した電流電圧変換器は、光検出器に適用することができる。以下、レーザービームプリンターに適用した例を概略図を用いて説明する。
【0065】
一般にレーザービームプリンターのようなレーザー光を用いて感光ドラム面に画像を形成する装置は図22に示すように、レーザーダイオード1906、このレーザーをスキャンせしめるポリゴンミラー1907、レンズ系1908、反射ミラー1909、および感光ドラム1909等により構成され、光検出装置1911は前記レーザー光がある所定の位置を通過したことを検出し、2値の電気信号として水平同期信号を発生する。
【0066】
図23は本発明の一実施例である電流電圧変換器を用いた光検出装置を示す図であり、図22に示される画像形成装置の光検出装置1911として好適に用いることができる。同図において50は光電変換手段であるところのフォトダイオードであり、光電流Ip は、図6において動作を説明した電流電圧変換器100に入力される。本実施例によれば、入力光のピーク値に応じて自動的に一定比率のスレッショルドレベルを決定し、入射光量の変動に関わらず常に安定して高精度の水平同期信号を得ることができるとともに、入力光のピーク値とスレッショルドレベルの比率を変えることも可能となる。このため、レーザー光を用いて感光ドラム面上に画像を形成する画像形成装置用の光検出装置において、異なる機種間で、レーザー光の波形が異なったときでも最適なスレッショルドレベルを設定することが可能となり、きわめて汎用性の高い光検出装置および画像形成装置を提供することが可能となる。
【0067】
なお、本実施例で用いた電流電圧変換器の回路形式を、他の回路形式に置き換えることはもちろん可能である。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による電流電圧変換器によれば、少ない回路規模で電圧パルスを生成する際のしきい値が入力電流のピーク値に応じて一定の比率となるように変化することができる。さらにその比率を選択することにより、より一層使いやすい電流電圧変換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電流電圧変換器の第1の実施形態を説明するための概略的ブロック図である。
【図2】本発明の動作を説明するための電流波形図および電圧波形図である。
【図3】図1に示すブロック図をより具体化して記述した回路例を示す図である。
【図4】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図5】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図6】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図7】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図8】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図9】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図10】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図11】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図12】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図13】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図14】本発明の電流電圧変換器の第2の実施形態を説明するための概略的ブロック図である。
【図15】図14に示すブロック図をより具体化して記述した回路例を示す図である。
【図16】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図17】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図18】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図19】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図20】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図21】しきい値を決める際の比例定数を選択可能な回路例を示す図である。
【図22】本発明のプリンターの一実施形態を示す斜視図である。
【図23】本発明の電流電圧変換器を用いた光検出装置の例を示す回路図である。
【図24】従来例の電流電圧変換器を示す回路図である。
【符号の説明】
1 電流伝達手段
2 ピーク・ホールド手段
3 電流比較手段
4 減算手段
5 電流電圧変換手段
11、12、12A、13、13A、13C NMOSトランジスタ
18、18A、19、19A NMOSトランジスタ
14、31、32、32A NPNトランジスタ
33、33A、33C、34、35 NPNトランジスタ
15、15A、16、16A、16C PMOSトランジスタ
20、20A、21、21A PMOSトランジスタ
12B、13B、13D、15B スイッチング素子
16B、16D、18B、19B スイッチング素子
20B、21B、32B、33B、33D スイッチング素子
36、37 定電流源
41、42 演算増幅器
43 電圧比較器
17、C1 容量
R1、R2、R3 抵抗
D1 ダイオード

Claims (5)

  1. 電流信号を電圧パルスに変換する電流電圧変換器において、
    入力された電流に比例した複数の電流を出力する電流伝達手段と、前記電流伝達手段から出力される電流を入力とし、入力された電流のピーク値に比例した電流を出力する電流モードのピーク・ホールド手段と、前記電流伝達手段から出力される電流と前記電流モードのピーク・ホールド手段から出力される電流とを比較し、電圧パルスに変換するための電流入力と電圧出力を有する電流比較手段とを具備し、
    前記電流伝達手段は第1乃至第3のNMOSトランジスタのゲートを共通に接続して前記第1のNMOSトランジスタのゲートとドレインを直結して入力電流を入力し、前記第2のNMOSトランジスタのドレインを前記ピーク・ホールド手段に接続し、前記第3のNMOSトランジスタのドレインを前記電流比較手段に接続したカレントミラー回路からなり、
    前記ピーク・ホールド手段は第1、第2のPMOSトランジスタのゲートを共通接続し該ゲートに一方の端子を電源に接続した容量を接続し、前記第1、第2のPMOSトランジスタのソースに電源を供給し、前記第1のPMOSトランジスタのドレインに接続したエミッタと一定電位を供給するベースと前記第1のPMOSトランジスタのゲートに接続したコレクタとを有するNPNトランジスタを備え、前記第2のPMOSトランジスタのドレインを前記電流比較手段に接続しており、
    前記電流比較手段は、第3、第4のPMOSトランジスタと第4、第5のNMOSトランジスタとからなり、前記第3、第4のPMOSトランジスタのゲートを共通接続し、前記第3のPMOSトランジスタの前記ゲートとドレインと前記第3のNMOSトランジスタのドレインとを接続し、前記第4、第5のNMOSトランジスタのゲートを共通接続し、前記第4のNMOSトランジスタの前記ゲートとドレインと前記第2のPMOSトランジスタのドレインとを接続し、前記第4のPMOSトランジスタのドレインと前記第5のNMOSトランジスタのドレインを接続して当該ドレインから前記電圧出力としたことを特徴とする電流電圧変換器。
  2. 前記電流モードのピーク・ホールド手段が出力する、入力された電流のピーク値に比例した電流における比例定数を選択する手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の電流電圧変換器。
  3. 前記電流伝達手段が出力する、入力された電流に比例した電流における比例定数を選択する手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の電流電圧変換器。
  4. 前記電流モードのピーク・ホールド手段が出力する、入力された電流のピーク値に比例した電流における比例定数を選択する手段と、前記電流伝達手段が出力する、入力された電流に比例した電流における比例定数を選択する手段とを具備することを特徴とする請求項1に記載の電流電圧変換器。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載される電流電圧変換器を有するプリンター。
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