JP3673320B2 - パターン形成用ペースト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はパターン形成用ペーストに係り、特に画像表示装置、サーマルヘッド、集積回路等における電極、抵抗体、誘電体あるいは障壁等の高精度なパターンをスクリーン印刷法により形成することを可能とするパターン形成用ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、集積回路や画像表示装置等の電子装置における電極、抵抗体、誘電体のパターン形成、あるいは、プラズマディスプレイパネルにおける障壁パターンの形成等は、より高い精度で、かつ、低い製造コストで実施可能なことが要求されている。
【0003】
従来、上記のような電極等のパターン形成方法として、蒸着、スパッタリング、メッキ、あるいは印刷法等により形成した導電性薄膜等をフォトリソグラフィー法によりエッチングする方法、所望の特性を有するパターン形成用ペーストを用いてスクリーン印刷により所定のパターンを形成し、乾燥後に焼成することによりパターン形成するスクリーン印刷法等が挙げられる。
【0004】
しかし、上記のエッチング法では、高精度のパターン形成が可能であるが、エッチング工程を有するために製造コストが高くなってしまうという問題があった。また、大型画像表示装置のように大面積基板に電極等を形成する場合には、大型の薄膜形成装置、露光装置、エッチング装置が多数必要となり、この点でも製造コストの増大を来すという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これに対して、スクリーン印刷法はエッチング工程がなく、上記のエッチング法に比べて工程が簡略であり、製造コストの低減が期待される。しかしながら、スクリーン印刷法に使用されていた従来のパターン形成用ペーストは、スクリーン印刷によるパターン形成時に、スクリーン版のメッシュ目が生じたり、あるいは、にじみや裏回りが発生し、高精細なパターンを高い精度で形成することが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、スクリーン印刷法により電極、抵抗体、誘電体あるいは障壁等のパターンを優れた精度で形成することを可能とするパターン形成用ペーストを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明のパターン形成用ペーストは、焼成後の厚みが10μm以下のパターン形成に使用するパターン形成用ペーストであって、少なくとも樹脂成分と無機粉体を含み、剪断速度0.36/秒における粘度が8000poise以下であり、かつ、剪断速度36/秒における粘度が300poise以上であり、前記無機粉体の含有量が30〜75重量%の範囲であるような構成とした。
【0009】
このような本発明では、パターン形成用ペーストの剪断速度0.36/秒における粘度が8000poise 以下であるため、スクリーン印刷によるパターン形成時に、スクリーン版のメッシュ目が生じることがなく、かつ、剪断速度36/秒における粘度が300poise 以上であるため、スクリーン印刷によるパターン形成時に、にじみや裏回りが生じることがない。また、30〜75重量%の範囲で無機粉体を含有することにより、微細パターンや積層パターンの形成が容易となり、一方、60〜90重量%の範囲で無機粉体を含有することにより、比較的厚いパターンの形成が容易となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の最良の実施形態について説明する。
【0011】
本発明のパターン形成用ペーストは、少なくとも樹脂成分と無機粉体を含むものである。そして、その剪断速度0.36/秒における粘度が8000poise 以下であり、かつ、剪断速度36/秒における粘度が300poise 以上である。剪断速度0.36/秒における粘度が8000poise を超えると、スクリーン印刷によるパターン形成時にスクリーン版のメッシュ目が生じ好ましくない。また、剪断速度36/秒における粘度が300poise 未満であると、スクリーン印刷によるパターン形成時に、スクリーン版を通過したペーストがスクリーン版の裏側に回り込んだり、画線部におけるにじみが生じ、高精細なパターン形成が困難となる。
【0012】
本発明のパターン形成用ペーストを構成する樹脂成分は、形成対象であるパターンの使用目的、パターン焼成条件、含有する無機粉体の含有量等を考慮し、スクリーン印刷法により形成したパターンを乾燥した後、焼成する段階で揮発あるいは分解してパターン中に炭化物を残存させないような樹脂成分を使用することができる。このような樹脂成分としては、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等のセルロース系樹脂、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の重合体またはこれらの共重合体からなるポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ−α−メチルスチレン、ポリビニルアルコール、ポリブテン等を挙げることができる。
【0013】
上記の樹脂成分のパターン形成用ペースト中の含有量は、上記の粘度範囲となるように適宜設定することができ、例えば、10〜70重量%程度の範囲で設定することができる。
【0014】
本発明のパターン形成用ペーストを構成する無機粉体は、パターンの使用目的等により適宜選択することができる。使用可能な無機粉体の具体例としては、Ag粉体、Au粉体、Cu粉体、Ag−Pd粉体等の導電性粉体、ガラス粉体、SiO2 −B2 O3 −PbO粉体、SiO2 −Al2 O3 −PbO粉体、SiO2 −Al2 O3 −RO(Rはアルカリ土類金属)粉体等の誘電性粉体、ガラス粉体、アルミナ粉体、金属酸化物粉体等を混合した障壁形成用粉体等を挙げることができる。また、焼成時のガラスの分相を防止する効果をもたせたり、軟化温度を調整したり、熱膨張係数をガラス基板に合わせたりするために、Al2 O3 、B2 O3 、SiO2 、MgO、CaO、SrO、BaO等の無機粉体を使用することもできる。さらに、耐火物フィラーとして、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、カルシア、コージュライト、シリカ、ムライト等のセラミックス粉体を使用することができる。
【0015】
上記の無機粉体の平均粒径は、使用する無機粉体の特性等を考慮して0.5〜10μmの範囲から設定することが好ましい。そして、パターン形成用ペースト中の無機粉体の含有率は30〜90重量%が好ましい。無機粉体の含有率が90重量%を超えると、ペースト化の際に分散が難しくなり好ましくない。無機粉体の含有率が30重量%未満であると、パターンの緻密性が悪化するとともに焼成後の機械的強度が低下する。
【0016】
本発明では、上記の無機粉体の含有量を調整することによって、微細パターンあるいは積層パターンを形成するためのパターン形成用ペーストと、比較的厚いパターンを形成するためのパターン形成用ペーストとに分けることができる。すなわち、30〜75重量%の範囲で無機粉体を含有することにより、微細パターン(焼成後の厚みが10μm以下のパターン)や積層パターン(1層の焼成後の厚みが10μm以下のパターン)の形成が容易となり、一方、60〜90重量%の範囲で無機粉体を含有することにより、比較的厚いパターン(焼成後の厚みが10〜50μm程度のパターン)の形成が容易となる。
【0017】
尚、本発明のパターン形成用ペーストをプラズマディスプレイパネル(PDP)の障壁形成用として使用する場合、PDPの外光反射を低減して実用上のコントラストを上げるために、無機粉体として黒色顔料を含有させ、形成する障壁を黒色とすることができる。この場合、使用する黒色顔料は、Co−Cr−Fe、Co−Mn−Fe、Co−Fe−Mn−Al、Co−Ni−Cr−Fe、Co−Ni−Mn−Cr−Fe、Co−Ni−Al−Cr−Fe、Co−Mn−Al−Cr−Fe−Si等の耐火性の黒色顔料が好ましい。一方、蛍光体の発光を有効にパネル前面に導く目的で、逆に無機粉体として白色顔料を含有させ、形成する障壁を白色とすることができる。この場合、使用する白色顔料は、チタニア等の耐火性の白色顔料が好ましい。
【0018】
さらに、本発明のパターン形成用ペーストには、添加剤として、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤等が必要に応じて用いられる。このうち可塑剤としては、フタル酸エステル類、セバチン酸エステル類、リン酸エステル類、アジピン酸エステル類、グリコール酸エステル類、クエン酸エステル類等が一般的に用いられる。
【0019】
また、本発明のパターン形成用ペーストには、用いる樹脂成分に対して良溶媒である溶剤、例えば、テルピオネート、ブチルカルビトールアセテート等を含有させることができる。溶剤の選定は、溶剤の揮発性と使用する樹脂成分の溶解性を主に考慮して行われる。樹脂成分に対する溶剤の溶解性が低いと、固形分比が同一でもパターン形成用ペーストの粘度が高くなり上記粘度範囲からはずれてスクリーン印刷適性が悪化するので好ましくない。また、溶剤の含有率は、パターン形成用ペースト内の気泡を抜くことでき、レベリングが良好で塗布膜の平滑性が良好な範囲であり、かつ、パターン形成用ペースト内の分散粒子の沈降が遅く組成が安定し、乾燥に要するエネルギーと時間が少なくてすむように設定することができ、例えば、25〜50重量%程度が好ましい。
【0020】
このような本発明のパターン形成用ペーストは、上述の樹脂成分と無機粉体に必要な溶剤や添加物を加えた混合物を三本ロールミルまたはボールミルにより分散調合することで得られる。この場合、樹脂成分を溶剤で溶解し必要に応じて添加剤を加えた溶液中に無機粉体を混合してなる混合物を作成した後、この混合物をボールミルにかけて分散調合するが、不純物の混入を避けるためにセラミックスボールを用い、さらに、好ましくは内壁がセラミックスやプラスチックで被覆されたボールミルを使用する。そして、分散調合した後、真空攪拌機を用いて減圧脱泡する。
【0021】
本発明のパターン形成用ペーストを用いてスクリーン印刷法によりパターンを形成する場合に使用するスクリーン版は、パターン形成用ペーストの粘度、形成するパターンの厚み等を考慮して、100〜500メッシュ、好ましくは200〜300メッシュ程度の版を使用することができる。
【0022】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
(1)電極パターン形成用のパターン形成用ペーストの実施例
電極パターン形成用のペーストとして、下記の組成の5種のパターン形成用ペースト(試料1〜3、比較試料1,2)を三本ロールミルを用いて調製した。尚、各パターン形成用ペーストの剪断速度0.36/秒における粘度および剪断速度36/秒における粘度をキャリメッド社製CSレオメータを用いて測定して下記の表1に示した。
【0023】
パターン形成用ペースト(試料1)の組成
・Ag粉体(昭栄化学工業(株)製Ag−128) … 65重量部
・エチルセルロース(ハーキュレス製N−100) … 5重量部
・ブチルカルビトールアセテート … 30重量部
パターン形成用ペースト(試料2)の組成
・Ag粉体(昭栄化学工業(株)製Ag−128) … 65重量部
・アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製BR105) … 10重量部
・ブチルカルビトールアセテート … 20重量部
パターン形成用ペースト(試料3)の組成
・Ag粉体(昭栄化学工業(株)製Ag−128) … 65重量部
・エチルセルロース
(ダウ・ケミカル社製エトセル10) … 12重量部
・ブチルカルビトールアセテート … 18重量部
パターン形成用ペースト(比較試料1)の組成
・Ag粉体(昭栄化学工業(株)製Ag−128) … 75重量部
・エチルセルロース(ハーキュレス製N−100) … 4重量部
・ブチルカルビトールアセテート … 21重量部
パターン形成用ペースト(比較試料2)の組成
・Ag粉体(昭栄化学工業(株)製Ag−128) … 65重量部
・アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製BR105) … 7重量部
・ブチルカルビトールアセテート … 23重量部
次いで、厚み2.2mmのガラス基板上に下記組成の下地層用塗料を塗布して下地層を形成し、次いで、下記の条件でスクリーン印刷法によりパターン(線幅50〜80μm、ピッチ100〜150μm)を形成した。
【0024】
下地層用塗料の組成
・ガラスフリット
(松浪硝子(株)製MB−12B) … 70重量部
・アルミナ粉体(不二見研磨材(株)製WA#8000)… 10重量部
・エチルセルロース
(ダウ・ケミカル社製エトセルSCD100) … 5重量部
・ブチルカルビトールアセテート … 7重量部
・α−テルピネオール … 8重量部
スクリーン印刷条件
・250メッシュ
・スキージ硬度80°、角度60°、速度10mm/秒、印圧500μm
・版ギャップ2.5mm
次に、上記のパターンを170℃で10分間乾燥した後、ピーク温度600℃にて焼成(ピーク温度保持時間10分)して電極パターンとした。この電極パターンの厚みを測定し、また、外観を評価して、それぞれ下記の表1に示した。
【0025】
【表1】
表1に示されるように、剪断速度0.36/秒における粘度が8000poise 以下であり、かつ、剪断速度36/秒における粘度が300poise 以上であるパターン形成用ペースト(試料1〜3)を用いて形成した電極パターンは、膜厚が約6μm(焼成後)の薄膜パターンであり、表面も平滑でパターン再現性が高く外観が良好なものであった。
【0026】
これに対して、剪断速度0.36/秒における粘度が8000poise を超えるパターン形成用ペースト(比較試料1)を用いて形成した電極パターンは、スクリーン版のメッシュ目が生じており、電極パターンとしての使用に供し得ないものであった。また、剪断速度36/秒における粘度が300poise 未満であるパターン形成用ペースト(比較試料2)を用いて形成した電極パターンは、スクリーン版の裏回りが発生しパターンのにじみが生じ、パターン精度の低いものであり、電極パターンとしての使用に供し得ないものであった。
(2)誘電体パターン形成用のパターン形成用ペーストの実施例
誘電体パターン形成用のペーストとして、下記の組成の5種のパターン形成用ペースト(試料4〜6、比較試料3,4)をボールミルを用いて調製した。尚、各パターン形成用ペーストの剪断速度0.36/秒における粘度および剪断速度36/秒における粘度をキャリメッド社製CSレオメータを用いて測定して下記の表2に示した。
【0027】
パターン形成用ペースト(試料4)の組成
・ガラスフリット
(イワキガラス(株)製7570) … 70重量部
・アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製BR105) … 10重量部
・ブチルカルビトールアセテート … 13重量部
・α−テルピネオール … 7重量部
パターン形成用ペースト(試料5)の組成
・ガラスフリット
(イワキガラス(株)製7570) … 72重量部
・エチルセルロース
(ダウ・ケミカル社製エトセル100) …3.4重量部
・ブチルカルビトールアセテート …24.6重量部
パターン形成用ペースト(試料6)の組成
・ガラスフリット
(イワキガラス(株)製7570) … 70重量部
・アルミナ粉体(昭和電工(株)製CB−05) … 5重量部
・エチルセルロース
(ダウ・ケミカル社製エトセル100) … 3重量部
・ブチルカルビトールアセテート … 22重量部
パターン形成用ペースト(比較試料3)の組成
・ガラスフリット
(イワキガラス(株)製7570) … 60重量部
・アルミナ粉体(不二見研磨材(株)製WA#8000)… 10重量部
・エチルセルロース(ハーキュレス製N−200) … 4重量部
・ブチルカルビトールアセテート … 26重量部
パターン形成用ペースト(比較試料4)の組成
・ガラスフリット
(イワキガラス(株)製7570) … 65重量部
・エチルセルロース(ハーキュレス製N−100) … 3重量部
・ブチルカルビトールアセテート … 32重量部
次いで、厚み2.2mmのガラス基板上に(1)の実施例と同条件のスクリーン印刷法によりパターン(線幅80μm、ピッチ200μm)を形成した。
【0028】
次に、上記のパターンを170℃で10分間乾燥した後、ピーク温度440℃にて焼成(ピーク温度保持時間10分)して誘電体パターンとした。この誘電体パターンの厚みを測定し、また、外観を評価して、それぞれ下記の表2に示した。
【0029】
【表2】
表2に示されるように、剪断速度0.36/秒における粘度が8000poise 以下であり、かつ、剪断速度36/秒における粘度が300poise 以上であるパターン形成用ペースト(試料4〜6)を用いて形成した誘電体パターンは、膜厚が約6μm(焼成後)の薄膜パターンであり、表面も平滑でパターン再現性が高く外観が良好なものであった。
【0030】
これに対して、剪断速度0.36/秒における粘度が8000poise を超えるパターン形成用ペースト(比較試料3)を用いて形成した誘電体パターンは、スクリーン版のメッシュ目が生じており、また、剪断速度36/秒における粘度が300poise 未満であるパターン形成用ペースト(比較試料4)を用いて形成した誘電体パターンは、スクリーン版の裏回りが発生しパターンのにじみが生じ、パターン精度の低いものであり、共に誘電体パターンとしての使用に供し得ないものであった。
(3)障壁パターン形成用のパターン形成用ペーストの実施例
障壁パターン形成用のペーストとして、下記の組成の5種のパターン形成用ペースト(試料7〜9、比較試料5,6)を三本ロールミルを用いて調製した。尚、各パターン形成用ペーストの剪断速度0.36/秒における粘度および剪断速度36/秒における粘度をキャリメッド社製CSレオメータを用いて測定して下記の表3に示した。
【0031】
パターン形成用ペースト(試料7)の組成
・ガラスフリット
(イワキガラス(株)製7570) … 65重量部
・アルミナ(不二ロール(株)製#8000) … 15重量部
・エチルセルロース
(ダウ・コーニング社製エトセル100) … 3重量部
・ブチルカルビトールアセテート … 17重量部
パターン形成用ペースト(試料8)の組成
・ガラスフリット
(イワキガラス(株)製KF6274) … 60重量部
・アルミナ粉体(不二見研磨材(株)製WA#8000)… 10重量部
・エチルセルロース
(ダウ・コーニング社製エトセル100) … 4重量部
・ブチルカルビトールアセテート … 16重量部
パターン形成用ペースト(試料9)の組成
・ガラスフリット
(イワキガラス(株)製KF6274) … 70重量部
・アルミナ粉体(不二見研磨材(株)製WA#8000)… 10重量部
・エチルセルロース
(ダウ・コーニング社製エトセル100) … 3重量部
・ブチルカルビトールアセテート … 17重量部
パターン形成用ペースト(比較試料5)の組成
・ガラスフリット
(イワキガラス(株)製KF6274) … 55重量部
・アルミナ粉体(不二見研磨材(株)製WA#8000)… 25重量部
・エチルセルロース
(ダウ・コーニング社製エトセル100) …2.5重量部
・ブチルカルビトールアセテート …17.5重量部
パターン形成用ペースト(比較試料6)の組成
・ガラスフリット
(イワキガラス(株)製KF6274) … 70重量部
・アルミナ粉体(昭和電工(株)製CB−05) … 10重量部
・エチルセルロース
(ダウ・コーニング社製エトセル100) …2.5重量部
・ブチルカルビトールアセテート …17.5重量部
次いで、厚み2.2mmのガラス基板上に(1)の実施例と同様に下地層を形成し、この下地層上に(1)の実施例のパターン形成用ペースト(試料1)を用いて同条件でスクリーン印刷法により電極パターンを形成パターンした。次いで、(1)の実施例と同じ条件でスクリーン印刷法によりパターン(線幅70μm、ピッチ150μm)を形成した。
【0032】
次に、上記のパターンを170℃で20分間乾燥した後、ピーク温度530℃にて焼成(ピーク温度保持時間20分)して障壁パターンとした。この障壁パターンの厚みを測定し、また、外観を評価して、それぞれ下記の表3に示した。
【0033】
【表3】
表3に示されるように、剪断速度0.36/秒における粘度が8000poise 以下であり、かつ、剪断速度36/秒における粘度が300poise 以上であるパターン形成用ペースト(試料7〜9)を用いて形成した障壁パターンは、膜厚が約13μm(焼成後)の厚みの大きなパターンであり、表面が平滑でパターン再現性が高く外観が良好なものであった。尚、この障壁パターン上にさらに障壁パターンを積層することにより、厚み100〜150μm程度の障壁パターンの形成が可能であった。
【0034】
これに対して、剪断速度0.36/秒における粘度が8000poise を超えるパターン形成用ペースト(比較試料5)を用いて形成した障壁パターンは、スクリーン版のメッシュ目が生じており、また、剪断速度36/秒における粘度が300poise 未満であるパターン形成用ペースト(比較試料6)を用いて形成した障壁パターンは、スクリーン版の裏回りが発生しパターンのにじみが生じ、パターン精度の低いものであり、共に障壁パターンとしてPDPへの使用に供し得ないものであった。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば少なくとも樹脂成分と無機粉体を含み、剪断速度0.36/秒における粘度が8000poise 以下、剪断速度36/秒における粘度が300poise 以上であるパターン形成用ペーストであり、スクリーン印刷によるパターン形成時に、スクリーン版のメッシュ目が生じたり、にじみや裏回りを生じることなく、無機粉体として所望の特性を有する粉体を使用することによって、電極、抵抗体、誘電体あるいは障壁等の高精細なパターンを高精度で形成することができ、また、無機粉体の含有量を30〜75重量%の範囲とすることにより微細パターンや積層パターンをより高い精度で形成することができ、一方、無機粉体の含有量を60〜90重量%の範囲とすることにより、比較的厚いパターンをより高い精度で形成することができる。
Claims (1)
- 焼成後の厚みが10μm以下のパターン形成に使用するパターン形成用ペーストにおいて、
少なくとも樹脂成分と無機粉体を含み、剪断速度0.36/秒における粘度が8000poise以下であり、かつ、剪断速度36/秒における粘度が300poise以上であり、前記無機粉体の含有量が30〜75重量%の範囲であることを特徴とするパターン形成用ペースト。
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