JP3672948B2 - Fmステレオ信号処理装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はFMステレオ信号処理装置に関し、特にFMステレオ受信時におけるSN比を改善するための改良に係る。
【0002】
【従来の技術】
図3に従来のFMステレオ復調回路の一例を示す。同図において、1はメイン信号(L+R)抽出用ローパスフィルタ(LPF)、2はバンドパスフィルタ(BPF)、3はパイロット信号抽出用バンドパスフィルタ(BPF)、4は乗算器(MIX)、5は副搬送波発生器、6はローパスフィルタ、7はマトリクス回路、8はIFレベル検出器である。
【0003】
FM検波信号がLPF1、BPF2,3に印加されると、LPF1からはメイン信号L+Rがマトリクス回路7の一方の入力に出力される。一方、BPF3からはパイロット信号が抽出され、これに応答して副搬送波発生器5がサブキャリアをMIX4に出力し、BPF2からの出力信号と乗算され、その出力をLPF6を介して取り出すことによりサブ信号L−Rを得て、マトリクス回路7の他方の入力に加えて、左右側信号L,Rを得る。
【0004】
而して、副搬送波発生器5はIFレベル検出器8の出力により制御される。即ち、IFレベル検出器8によりIF信号のレベルが検出され、その検出されたIFレベルが中強電界に対応した値である時あるいはマルチパス非発生時には通常のステレオ受信を行うが、弱電界時又はマルチパス発生時には副搬送波発生器5をオフにして比較的マルチパスノイズ等の影響を受けないモノラル受信に切換えていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上述した従来の信号処理方式によると、弱電界時又はマルチパス発生時にはセパレーションが0dBとなってしまうという問題が生じる。
【0006】
本発明の目的はFMステレオ受信時におけるSN比を改善し、弱電界時又はマルチパス発生時でのステレオ受信を可能とすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のFMステレオ信号処理装置は、FM受信信号を検波してメイン信号とサブ信号を出力する検波手段と、前記メイン信号を2倍のレベルに増幅して出力する増幅手段と、前記増幅手段からの出力信号と前記サブ信号を加算して加算信号を出力する加算手段と、前記加算信号とメイン信号とを適応処理して、両信号に相関のないノイズを取り出す信号処理手段と、前記サブ信号より前記ノイズを減算する減算手段と、前記減算手段の出力とメイン信号とが入力されるマトリクス回路と、を含むことを特徴とする。
【0008】
上述した本発明の装置において、前記信号処理手段は、前記メイン信号が入力される第1の適応フィルタと、前記加算信号から適応フィルタの出力を減算する減算器と、を含み、該減算器の減算出力に応じて上記適応フィルタは該減算出力の2乗平均誤差が最小となるように動作するように構成してもよい。
【0009】
また前記本発明の装置において、前記減算器と減算手段との間に、第2の適応フィルタを設け、該第2の適応フィルタにより上記減算器の出力の振幅と位相の同期をとるように構成してもよい。
この場合、前記減算手段の入力側に遅延器を挿入してもよい。
【0010】
【作用】
本発明の装置において、FM検波後のメイン信号(L+R)とサブ信号(L−R)が加算され、その加算信号とメイン信号とが適応処理されることにより、両信号に相関のないノイズ又はマルチパスノイズが取り出される。このノイズ又はマルチパスノイズがサブ信号より減算され、ステレオ受信時のSN比が改善され、またマルチパスノイズが軽減される。
【0011】
【実施例】
以下図面に示す本発明の実施例を説明する。
図1は本発明によるFMステレオ信号処理装置の一実施例を示す。同図において、9は増幅器、10は加算器で、これらにより前記加算手段が構成される。11は減算器、12は適応フィルタで、これらにより前記信号処理手段を構成する。13は減算器で、前記減算手段に相当し、14はマトリクス回路である。適応フィルタ12は減算器11の出力で制御されている。
【0012】
次に上述した構成の実施例の一動作例としてFM検波後、メイン信号(L+R)及びサブ信号(L−R)を得てサブ信号に雑音が含まれている場合について説明する。ここで、L+R、L−R信号は次のように書き換えることができる。
【数1】
L+R=L’+R’+C (1)
L−R=L’−R’+N (2)
(L’:L信号より、中央定位信号を取り除いた信号、R’:R信号より、中央定位信号を取り除いた信号、C:中央定位信号、N:雑音)
【0013】
まず、メイン信号を増幅器9に入力してその振幅を2倍し、増幅器9の出力2(L+R)とサブ信号(L−R)を加算器10により加算する。
【数2】
2(L+R)+(L−R)=3L’+R’+2C+N (3)
加算器10の出力とメイン信号とは適応フィルタ12及び減算器11で適応処理することにより、両信号に相関のない信号、即ち雑音Nを取り出す。その過程について以下説明を行う。減算器11の出力をSoutとすると、
【数3】
Sout=(3L’+R’+2C+N)−(L”+R”+C’) (4)
そして、(4)式の自乗平均誤差E[Sout2]は次式となる。L”+R”+C’は適応フィルタ12の出力である。
【0014】
【数4】
ここで、L’,R’,C,Nに相関がないものとすると、(5)式の右辺第2項は0になり、(6)式が求められる。
【数5】
【0015】
ここで、E[N2]は適応フィルタ12のフィルタ係数には依存しないため、適応フィルタ12がE[Sout2]を最小にすることは、(6)式の右辺第2項を最小にすることになる。したがって、(6)式は(7)式で表わされる。
【数6】
E[Sout2]≒E[N2] (7)
【0016】
(7)式から、この適応処理により、減算器11の出力として(3L’+R’+2C+N)から(3L’+R’+2C)を削除した雑音Nが得られることがわかる。
減算器13によりサブ信号L−RからNを減算し、雑音の除去されたサブ信号L’−R’を得る。
【数7】
(L−R)−N=L’−R’ (8)
減算器13の出力L’−R’をマトリクス回路14へ入力し、メイン信号L+R=L’+R’+Cと共に処理される。以上の過程によりS/Nを改善したL,R信号(L=L’+C/2,R=R’+C/2)を得ることができる。
【0017】
また、他の実施例を図2に示す。この実施例では、減算器11の出力Nを、更に適応フィルタ15を用いて振幅と位相の同期をとり、減算器17によりサブ信号L−Rから雑音Nを減算する。この処理の際、遅延器16を減算器17の入力側に挿入し、同期動作を安定させる。
なお、適応フィルタとしては、LMS法以外にも学習同定法、RLS法など他のアルゴリズムによりなるものを用いても本方式を実現することも可能である。
【0018】
次にFM検波後のメイン信号(L+R)及びサブ信号(L−R)に夫々マルチパスノイズが含まれている場合の信号処理動作について説明する。
マルチパス妨害下でのL+R,L−R信号は次のように書き換えることができる。
【数8】
L+R=L’+R’+NM+C (9)
L−R=L’−R’+NS (10)
(L’:L信号より、中央定位信号を取り除いた信号、R’:R信号より、中央定位信号を取り除いた信号、C:中央定位信号、NM:メイン信号に付加されたマルチパスノイズ,NS:サブ信号に付加されたマルチパスノイズ)
【0019】
まず、メイン信号を増幅器9に入力してその振幅を2倍し、増幅器9の出力とサブ信号を加算器10により加算する。
【数9】
2(L+R)+(L−R)=3L’+R’+2C+2NM+NS (11)
加算器10の出力とメイン信号とを適応処理することにより、サブ信号上に付加されたマルチパスノイズNSを取り出す。その過程について以下説明を行う。
減算器11の出力をSoutとすると、
【数10】
そして、(12)式の自乗平均誤差E[Sout2]は次式となる。
【0020】
【数11】
ここで、L’,R’,C,NM,NSに相関がないものとすると、(13)式の右辺第2項は0になり、(14)式が求められる。
【数12】
【0021】
ここで、E[NS 2]は適応フィルタ12のフィルタ係数には依存しないため、適応フィルタ12がE[Sout2]を最小にすることは、(14)式の右辺第2項を最小にすることになる。したがって、(14)式は(15)式で表わされる。
【数13】
E[Sout2]≒E[NS 2] (15)
【0022】
(15)式から、この適応処理により、加算器10の出力(3L’+R’+2C+2NM+NS)から(3L’+R’+2C+2NM)を削除した雑音NSが得られることがわかる。
減算器13によりL−R信号からNSを減算する。
【数14】
(L−R)−NS=L’−R’ (16)
減算器13の出力をマトリクス回路14へ入力する。以上の過程によりサブ信号上のマルチパスノイズを削減したL,R信号を得ることができる。
【0023】
適応フィルタ12は、例えば、図4に示すようにFIRフィルタ12a及びCPU12bから成る。FIRフィルタ12aとしては、例えば、図5に示すように所定段数のシフトレジスタSR、係数乗算器ML、加算器ADから成る。
適応フィルタ12としてのFIRフィルタ12a、CPU12bには参照信号(L”+R”+C’)が入力され、そのフィルタ出力が減算器11に送られて希望信号(3L’+3R’+2C+N)から減算されエラー信号を得る。適応フィルタ12は所定のアルゴリズムに従ってフィルタ出力が希望信号に近づくように、即ち、エラー信号(Sout)の2乗平均誤差が最小となるようにフィルタ係数を更新するもので、上記アルゴリズムとしてはLMS法、学習同定法、PLS法など多数の方法がある。具体的には、例えば、CPU12bが参照信号とエラー信号とに基づいて前記アルゴリズムに従い前記エラー係数の2乗平均誤差を最小とするようにFIRフィルタ12aの係数乗算器MLの各係数a-5〜a6を定める。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、FMステレオ信号の処理に際し、サブ信号L−Rに付加されているノイズ、マルチパスノイズを除去することにより、弱電界でのステレオ受信が可能になり、またステレオ受信でのマルチパスノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の他の実施例を示すブロック図である。
【図3】従来のFMステレオ復調回路の一例を示すブロック図である。
【図4】適応フィルタの一構成例を示すブロック図である。
【図5】FIRフィルタの一構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 LPF(15kHz)
2 BPF(38±15kHz)
3 BPF(19kHz)
4 MIX
5 副搬送波発生器
6 LPF(15kHz)
7 マトリクス回路
8 IFレベル検出器
9 増幅器
10 加算器
11 減算器
12 適応フィルタ
13 減算器
14 マトリクス回路
15 適応フィルタ
16 減算器
17 遅延器
Claims (4)
- FM受信信号を検波してメイン信号とサブ信号を出力する検波手段と、
前記メイン信号を2倍のレベルに増幅して出力する増幅手段と、
前記増幅手段からの出力信号と前記サブ信号を加算して加算信号を出力する加算手段と、
前記加算信号とメイン信号とを適応処理して、両信号に相関のないノイズを取り出す信号処理手段と、
前記サブ信号より前記ノイズを減算する減算手段と、
前記減算手段の出力とメイン信号とが入力されるマトリクス回路と、を含むことを特徴とするFMステレオ信号処理装置。 - 前記信号処理手段は、前記メイン信号が入力される第1の適応フィルタと、前記加算信号から適応フィルタの出力を減算する減算器と、を含み、該減算器の減算出力に応じて上記適応フィルタは該減算出力の2乗平均誤差が最小となるように動作することを特徴とする請求項1に記載のFMステレオ信号処理装置。
- 前記減算器と減算手段との間に、第2の適応フィルタを設け、該第2の適応フィルタにより上記減算器の出力の振幅と位相の同期をとることを特徴とする請求項2に記載のFMステレオ信号処理装置。
- 前記減算手段の入力側に遅延器を挿入したことを特徴とする請求項3に記載のFMステレオ信号処理装置。
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JP17609494A JP3672948B2 (ja) | 1994-07-05 | 1994-07-05 | Fmステレオ信号処理装置 |
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JP17609494A JP3672948B2 (ja) | 1994-07-05 | 1994-07-05 | Fmステレオ信号処理装置 |
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JPH0823317A JPH0823317A (ja) | 1996-01-23 |
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- 1994-07-05 JP JP17609494A patent/JP3672948B2/ja not_active Expired - Fee Related
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