JP3672133B2 - 船外機の電子部品取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、船舶に搭載される船外機の電子部品取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
船舶に搭載される船外機の小型化は、釣り糸をたらす、水上スキーの際には水面からの船への乗り降りに邪魔にならないこと、また大きく重い船外機を小型かつ軽量にすることでよりプレーニングが早く、また船舶の重心位置の移動が少なく操縦安定性が損なわれないこと、さらに2機掛けのとき互いの船外機の設置間隔がとれるので舵を切ったときの角度が1機掛けと同じようにとれること等の利点があり、また扱い易い、運び易い等の一般的な利点があり、船外機の設計では重要な要素となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このため、船外機をコンパクトに設計することは構成部品の各々に要求され、近年、マイクロコンピユーター等からなる電子部品ユニットを用いた電子制御化が提案されており、特に電子制御燃料噴射装置を装備する場合は、点火、インジェクタ駆動電流がコントロールユニット、センサ、各配線の周囲を走り回る。
【0004】
ところで、船外機では、前記したような観点からすると、各配線等を例えば自動車のボンネット内のように各配線を離すスペースは取れず相対的に密集せざるを得ない。このため、その誘導ノイズ等を受けないようにすることが重要になる。
【0005】
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、電子制御燃料噴射、点火時期等をコントロールするユニットをコンパクトにして船外機の小型化を可能にし、同時に、誘導、電波ノイズ等に対し耐力が高い設計を可能にする船外機の電子部品取付構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、請求項1記載の発明は、電子部品の構成素子群を基板上に配置する状態下でケース内に収納してなる電子部品ユニットを船外機に取り付ける船外機の電子部品取付構造において、
前記点火トリガ、点火時期、燃料噴射用のインジェクタ駆動コントロール機能を持つ電子部品の構成素子群を1つのケースの中に収納し、
前記船外機に搭載された内燃機関のV字を形成するシリンダ部の間にはボス部を有する取付ベースが固定され、
前記ボス部の先端にはゴムダンパを介して取付ブラケットが固定され、
前記取付ブラケットに前記ケースを取り付けて前記内燃機関のV字を形成する前記シリンダ部の間に形成される空間に前記電子部品ユニットを配置し、
前記電子部品ユニットの基板を含む面を、前記船外機の推進方向に沿うエンジン中心軸方向に直交配置し、
前記ケースの中で、燃料ポンプ、インジェクタ駆動電流等の出力系と、クランク角度、エンジン温度センサ等をはじめとするセンサ類の入力系とを、前記ケースの上下の異なる辺に位置させたことを特徴としている。
点火トリガ、点火時期、燃料噴射用のインジェクタ駆動コントロール機能を持つ電子部品の構成素子群間の結線が不必要で、コンパクトになり、しかもコネクタ、リード線の接点増加に伴う誘導、電波ノイズ等に対し耐力が高い設計を可能にし、信頼性の低下を防止することができる。また、ケースが一つなので2つの場合よりも部品原価、組立生産コストが低い。さらに、電子部品の構成素子群間の結線、CPU等が1つに集約し易い点もコストが低い要因となる。
また、ケースの中で、燃料ポンプ、インジェクタ駆動電流等の出力系と、クランク角度、エンジン温度センサ等をはじめとするセンサ類の入力系とを、ケースの異なる辺に位置させたことで、電子部品ユニット内の回路を入力から出力に順に並べられ、しかも出力系と入力系とを離すことで誘導、電波ノイズ等に対し耐力が高い設計を可能にしている。
また、船外機に搭載された内燃機関のV字を形成するシリンダ部の間にはボス部を有する取付ベースが固定され、ボス部の先端にはゴムダンパを介して取付ブラケットが固定され、取付ブラケットにケースを取り付けて内燃機関のV字を形成するシリンダ部の間に形成される空間に電子部品ユニットを配置したことで、電子部品ユニットがシリンダ部に対して浮いた状態でゴムダンパで支持されている。したがって、内燃機関の振動がゴムダンパによって軽減されて電子部品ユニットの耐振性が向上する。特に、船外機の内燃機関の振動の方向は一般的に船外機の推進方向に沿うエンジン中心軸方向となり、また、電子部品を配置する基板の耐振性が最も高いのは基板の面に直交する方向であるため、基板を含む面を、船外機の推進方向に沿うエンジン中心軸方向に直交配置することで、電子部品が船外機の振動の影響を最も受けにくい構造とすることができる。
さらに、内燃機関のV字を形成するシリンダ部の間のスペースを利用して電子部品ユニットが配置され、船外機を小型にすることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記インジェクタ駆動電流、燃料ポンプ駆動アースとCPU等のアースを別々に前記ケースから取り出すことを特徴としている。例えば、ミリアンペア単位が多い入力信号と数アンペア以上になる出力信号回路の分離配置ができ回路間の相互誘導を少なくすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。この発明の実施の形態は、船舶に搭載される船外機に適用したものである。
【0012】
図1は船外機を搭載した船舶の斜視図である。船舶1の船体3の前側に操船部300が設けられ、操船部300には操船ハンドル301、表示部302、リモートコントロールボックス303及びスイッチパネル304が配置されている。表示部302には、タコメータ302a、オーバーヒートランプ302b、オイルレベルランプ赤302c、オイルレベルランプ青302d、ブザー302e等が配置されている。
【0013】
また、船体3の後側には船外機4が搭載され、この船外機4は配線1000を介してバッテリ401と接続され、また配管1001を介してオイルタンク75と接続されている。さらに、船外機4は、ワイヤーハーネス1002を介して操船部300のメータ部302、リモートコントロールボックス303及びスイッチパネル304と接続され、リモートコントロールボックス303により遠隔操作される。
【0014】
図2は操船部の操作部品を示す図である。操船部300には、図2に示すような操作部品が配置され、図2(a)に示すリモートコントロールボックス303には、切替レバー303aが設けられ、前進位置、後進位置及び中立位置に切り替える。また、図2(b)に示すスイッチパネル304には、電源スイッチ201、始動スイッチ202及びストップスイッチ203が設けられている。また、操船部300には、図2(c)に示すPT/Tスイッチ310、図2(d)に示すニュートラルスイッチ311、図2(e)に示すブザー312が配置されている。
【0015】
図3は船舶に搭載した船外機の側面図、図4は船外機の構成を示す図、図5は船外機の配線図である。
【0016】
船舶1は、図3に示すように水面2に浮かべられており、矢印Frは船舶1の前進方向を示し、以下の説明で左右とは前進方向に向かっていくものとする。船舶1の船体3の後部には、船外機4が着脱自在に装着されている。船外機4は、船体3の後部に着脱自在に取り付けられるクランプブラケット6と、クランプブラケット6に枢支軸7を介して上下回動自在に枢支されるスイべルブラケット8と、このスイベルブラケット8を上下方向に回動させる油圧シリンダ9と、スイベルブラケット8に支持される推進ユニット10とを備えている。
【0017】
推進ユニット10は、スイベルブラケット8に支持されるケース12を有し、このケース12の上部に内燃機関13が取り付けられ、内燃機関13をその上方から覆うカウリング14が設けられている。内燃機関13の下方でケースl2内には軸心がほぼ垂直の動力伝達軸15が設けられ、また、ケース12の下端部には軸心が前後方向に延び、動力伝達軸15に連結されたプロぺラ軸l6が回転自在に支持されており、プロペラ軸16にはプロペラ17が取り付けられている。
【0018】
船体3には燃料タンク41が配設されており、燃料タンク41は、手動の低圧燃料ポンプ48、チューブ50を介して燃料供給装置39に接続されている。内燃機関13は、水冷式2サイクルV型6気筒クランク軸縦置きエンジンで、ケース12に支持されるクランクケース20を有し、クランクケース20には軸心がほぼ垂直のクランク軸21が回転自在に支持されている。クランクケース20には、各気筒を構成するシリンダ本体22がV字型をなすように突設されている。シリンダ本体22には各気筒毎にシリンダ穴23が形成され、各シリンダ穴23にそれぞれピストン24が摺動自在に嵌合され、これら各ピストン24はコンロッド25によりクランク軸21に連結されている。
【0019】
また、クランクケース20にはその内外を連通させる吸気ポート27が各気筒毎に形成されている。吸気ポート27には、カウリング14内の大気に開口する吸気装置26が接続されている。この吸気装置26は、吸気ポート27に連通する吸気管28と、この吸気管28の上流側端部に取り付けられる吸気取入ハウジング32を備え、吸気取入ハウジング32には吸気口33が形成されている。吸気管28と吸気取入ハウジング32の内部は互いに連通して吸気通路30を形成しており、吸気取入ハウジング32の外部から外気が吸気口33、吸気通路30、吸気ポート27を経てクランクケース20の内部に流入可能とされている。各吸気ポート27にはそれぞれリード弁29が設けられ、また、各吸気管28には吸気通路30の断面積を手動操作により調節するスロットル弁31が設けられている。各シリンダ本体22内で、シリンダ本体22とピストン24とで囲まれた空間が燃焼室34であり、この燃焼室34に対向して点火プラグ35が配設されている。
【0020】
各吸気管28には、各気筒毎に燃料噴射弁37が取り付けられ、各燃料噴射弁37は磁力で開閉作動されるソレノイド開閉式であり、リード弁29よりも上流側の吸気通路30内に燃料を噴射可能にしている。各燃料噴射弁37には燃料を供給する燃料供給装置39が設けられている。燃料供給装置39は、各燃料噴射弁37の各上流端を互いに連通させる燃料レール38を有し、シリンダ本体22の側壁にはべーパセパレータタンク42が取り付けられ、ベーパセパレータタンク42に燃料を供給可能とする手動の低圧燃料ポンプ48、ダイヤフラム式の低圧燃料ポンプ49とが設けられ、これら低圧燃料ポンプ48、49の間にはチューブ50とフィルタ51とが介設されている。
【0021】
また、燃料供給装置39には、べーパセパレータタンク42内の燃料を加圧し高圧にして燃料レール38に供給する高圧燃料ポンプ52が設けられている。高圧燃料ポンプ52は、配管53により燃料レール38に連結され、高圧燃料ポンプ52の駆動により、べーパセパレータタンク42内の燃料が加圧されて配管53と燃料レール38を経て各燃料噴射弁37に供給される。また、燃料レール38は、配管54及びレギュレータ弁59を介してべーパセパレータタンク42内の上部に連結され、レギュレータ弁59により、各燃料噴射弁37に供給される燃料圧力が所定の高圧に調圧され、そして、燃料噴射弁37はこの圧力に基づいて燃料を噴射する。
【0022】
シリンダ本体22の近傍にオイルタンク75が配設されており、オイルタンク75内のオイルは、オイルポンプ76によりべーパセパレータタンク42内に供給されここで燃料と混合されて、燃料噴射弁37を通って燃焼室34に供給され、内燃機関13の潤滑を行うようにしている。また、シリンダ本体22の6つの気筒の内、1つの気筒▲1▼の近傍にO2センサ70が取り付けられている。
【0023】
次に、内燃機関13の点火制御及び燃料噴射制御について説明する。制御装置68は、図5に示すように、CPU680、入力回路681、波形整形回路682、点火回路684、入力回路685及びタコメータ出力回路686等から構成されている。制御装置68の左側に入力系INが接続され、右側に出力系OUTが接続されている。
【0024】
点火制御では、各気筒のパルサコイル500からのパルサ信号を波形整形回路682で波形整形し、CPU680により点火回路684を制御する。この点火回路684は、点火電源であるチャージコイル1000,1001から入力回路685を介して電源が入力され、CPU680からの点火信号により各気筒に応じて設けられた点火コイル501に高電圧を発生させ点火プラグ35をスパークさせる。CPU680は、点火トリガ、点火時期をコントロールする機能を持っている。また、入力回路685は、チャージコイル1000,1001から電源が与えられ、CPU680によりタコメータ出力回路686を制御してタコメータ302aにエンジン回転数を表示する。
【0025】
また、図3及び図5に示すように、制御装置68には、内燃機関13の運転状態、船外機4や船舶1の状態を示す各種センサからの検出信号が入力される。すなわち、センサとして、クランク軸21の回転角(回転数)を検出するクランク角センサ90、クランクケース20内の圧力を検出するクランク室内圧センサ91、各気筒▲1▼〜▲6▼内の圧力を検出する筒内圧センサ92、吸気通路30内の温度を検出する吸気温度センサ93、シリンダ本体22の温度を検出するエンジン温度センサ94、各気筒▲1▼〜▲6▼内の背圧を検出する背圧センサ95、スロットル弁31の開度を検出するスロットル開度センサ96、冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ97、内燃機関13の振動数を検出するエンジン振動センサ98、内燃機関13のマウント高さを検出するエンジンマウント高さ検出センサ99、船外機4の動力伝達装置80のニュートラル状態を検出するニュートラルセンサ100、船外機4の上下回動位置を検出するトリム角検出センサ101、船舶1の速度を検出する船速センサ102、船舶1の姿勢を検出する船舶姿勢センサ103、大気圧を検出する大気圧センサ104、オイルレベルセンサ105が設けられ、そして、気筒▲1▼の近傍にO2センサ70が設けられている。
【0026】
また、この制御装置68にはシフトカットスイッチ190及びサーモスイッチ191が接続され、さらに電源スイッチ201、ストップスイッチ202及び始動スイッチ203が接続されている。
【0027】
制御装置68は、これら各種センサの検出信号を演算処理し、制御信号を点火プラグ35、燃料噴射弁37、スロットル弁31及びISC89に伝送する。空燃比制御は、O2センサ70の検出信号(電圧値)に基づき、フィードバック制御による燃料噴射量の制御を行う。空燃比がリーン側からリッチ側になると燃料噴射量を減少させるように制御し、この制御により次第に空燃比がリーン側に変化してゆき、空燃比がリッチ側からリーン側になると燃料噴射量を増大させるように制御することにより、平均的に理論空燃比(空気過剰率λ=1)となるように燃料噴射量を制御する。この実施形態では、気筒▲1▼についてはフィードバック制御により理論空燃比となるように燃料噴射量を制御すると共に、残りの気筒▲2▼〜▲6▼については、気筒▲1▼の空燃比を用い、各気筒▲2▼〜▲6▼の状態に応じて燃料噴射量を補正するように制御する。
【0028】
次に、船外機の電子部品取付構造を、図6乃至図10に示す。図6は船外機に搭載した内燃機関の概略平面図、図7は電子部品ユニットの取付を示す一部断面図、図8は船外機の側面図、図9は電子部品ユニットの取付を示す図、図10は電子部品の取付を示す図である。
【0029】
制御装置68は、電子部品の構成素子群を基板上に配置する構成であり、この状態下で制御装置68をケース600内に収納してなる電子部品ユニット601を船外機4に取り付けている。
【0030】
すなわち、電子部品ユニット601は、図6及び図7に示すように、電子部品の多数の構成素子602を基板603上に配置する状態下でケース604内に収納すると共に、ケース604内に充填される樹脂が形成する樹脂充填部605によって被包する状態でケース604内に保持し、キャップ606で蓋がされている。
【0031】
船外機4においては、内燃機関13の振動の主方向を、図6にX−X線で示す船外機4の推進方向に沿うエンジン中心軸方向に設定している。そこで、この船外機4にあっては、電子部品ユニット601の耐振性の高い方向が船外機4に生ずる振動の主方向に一致するように、電子部品ユニット601の基板603を含む面を振動の主方向に直交配置している。
【0032】
すなわち、内燃機関13のシリンダ本体22のV字を形成するシリンダ部22a,22b間の中央部22cには、取付べース610が取付ねじ611によって固定され、取付ベース610のボス部610aにはゴムダンパ612を介して板部材からなる箱型の取付ブラケット613が取付ねじ614によって固定され、取付ブラケット613には電子部品ユニット601がその基板603を内燃機関13の中心軸に直交配置する状態で取付ねじ615によって固定されている。内燃機関13のV字を形成するシリンダ部22a,22bの間のスペースを利用して電子部品ユニット601が配置され、船外機4を小型にすることができる。
【0033】
電子部品ユニット601は、図3に示すようにカウリング14に設けた吸気口14aの下方部位、すなわち外気の進入経路にさらされる部位に位置することになり、内燃機関13の放熱から温度的にも保護可能になっている。電子部品ユニット601は、構成素子602及び基板603を樹脂充填部605によって被包されているほか、必要に応じてケース604とキャップ606との間にシール部材を介装され、吸気口14aから侵入する外気に含まれる水滴等からも十分に保護可能とされている。
【0034】
電子部品の構成素子602群を基板603上に配置する状態下でケース604内に収納してなる電子部品ユニット601を船外機4に取り付けている。このように、点火トリガ、点火時期、燃料噴射用のインジェクタ駆動コントロール機能を持つ電子部品ユニット601を1つのケース604の中に集中して収納することで、部品点数が削減でき安価である。また、ケース604が1つなのでボルト取付の作業が少ない。
【0035】
電子部品ユニット601には、図9に示すように下側に制御装置68の入力系INが配置され、上側に出力系OUTが配置されている。電子部品ユニット601の両側部には、3個ずつ点火コイル501がボルト520により取り付けられている。入力系INには、クランク角センサ90、パルサコイル500、O2センサ70等に接続するワイヤーハーネス540と、スタータリレー550、メインリレー551、電源スイッチ201、ストップスイッチ203等に接続するワイヤーハーネス541が接続されている。出力系OUTには、高圧燃料ポンプ52に接続するワイヤーハーネス542、インジェクタ37に接続するワイヤーハーネス543及びサーモスイッチ191等に接続するリード線544を取り出している。また、インジェクタ駆動電流、燃料ポンプ駆動アース545とCPU等のアース546を別々にケース604から取り出しており、例えば、ミリアンペア単位が多い入力信号と数アンペア以上になる出力信号回路の分離配置ができ回路間の相互誘導を少なくすることができる。
【0036】
出力系OUTのリード線801は、図8に示すように内燃機関13の上側から吸気側に配置された高圧燃料ポンプ52に接続され、またリード線802も同様に内燃機関13の上側から吸気側に配置されたインジェクタ37に接続されている。
【0037】
内燃機関13の上側に、フライホイールロータ900が配置され、クランク軸21の上端部に一体回転可能に設けられている。フライホイールロータ900の内側に永久磁石901が固定され、この永久磁石901に対向してステータ902が配置され、フライホイールロータ900の回転により発電する発電機903を構成している。また、フライホイールロータ900の内側に、フライホイールロータ900に対向してパルサコイル500及びクランク角センサ90が配置されている。
【0038】
内燃機関13の側部にセンサ類や電子部品ユニット601等が配置され、上部に配置された発電機903等から離れた位置にして誘導や電波ノイズの影響を軽減している。図8及び図10に示すようにセンサケース700がボルト701によりシリンダ本体22に取り付けられている。このセンサケース700にはO2センサ70が収納され、センサケース700にカバー702がボルト703により密閉されている。また、センサケース700の下方位置には、リレーケース710がボルト751によりシリンダ本体22に取り付けられている。このリレーケース710には、メインリレー711、PT/Tリレー712、始動リレー713、レクチファイアレギュレータ714及びヒューズ715等が収納され、カバー716で密閉されている。
【0039】
さらに、内燃機関13の側部には、シリンダ本体22に大気圧センサ104及び吸気温度センサ93が取り付けられ、これらはリード線を介して電子部品ユニット601に接続されている。
【0040】
このように、1つのケース604の中に制御装置68を収納することで、点火トリガ、点火時期、燃料噴射用のインジェクタ駆動コントロール機能を持つ電子部品ユニット間の結線が不必要で、コンパクトになり、しかもコネクタ、リード線の接点増加に伴う誘導、電波ノイズ等に対し耐力が高い設計を可能にし、信頼性の低下を防止することができる。また、ケース604が一つなので2つの場合よりも部品原価、組立生産コストが低い。さらに、電子部品ユニット間の結線、CPU等が1つに集約し易い点もコストが低い要因となる。
【0041】
ケース604の中で、燃料ポンプ、インジェクタ駆動電流等の出力系OUTと、クランク角度、エンジン温度センサ等をはじめとするセンサ類の入力系INとを、ケース604の異なる辺に位置させ、電子部品ユニット601内の回路を入力から出力に順に並べられ、しかも出力系OUTと入力系INとを離すことで誘導、電波ノイズ等に対し耐力が高い設計を可能にする。
【0042】
また、クランク角センサ90のクランク角度位置検出信号が流れるリード線800と、インジェクタ、燃料ポンプ駆動電流が流れるリード線801,802を直交配置としており、リード線間の相互誘導を少なくすることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の発明では、点火トリガ、点火時期、燃料噴射用のインジェクタ駆動コントロール機能を持つ電子部品の構成素子群間の結線が不必要で、コンパクトになり、しかもコネクタ、リード線の接点増加に伴う誘導、電波ノイズ等に対し耐力が高い設計を可能にし、信頼性の低下を防止することができる。また、ケースが一つなので2つの場合よりも部品原価、組立生産コストが低い。さらに、電子部品の構成素子群間の結線、CPU等が1つに集約し易い点もコストが低い要因となる。
また、ケースの中で、燃料ポンプ、インジェクタ駆動電流等の出力系と、クランク角度、エンジン温度センサ等をはじめとするセンサ類の入力系とを、ケースの異なる辺に位置させたことで、電子部品ユニット内の回路を入力から出力に順に並べられ、しかも出力系と入力系とを離すことで誘導、電波ノイズ等に対し耐力が高い設計を可能にしている。
また、船外機に搭載された内燃機関のV字を形成するシリンダ部の間にはボス部を有する取付ベースが固定され、ボス部の先端にはゴムダンパを介して取付ブラケットが固定され、取付ブラケットにケースを取り付けて内燃機関のV字を形成するシリンダ部の間に形成される空間に電子部品ユニットを配置したことで、電子部品ユニットがシリンダ部に対して浮いた状態でゴムダンパで支持されている。したがって、内燃機関の振動がゴムダンパによって軽減されて電子部品ユニットの耐振性が向上する。特に、船外機の内燃機関の振動の方向は一般的に船外機の推進方向に沿うエンジン中心軸方向となり、また、電子部品を配置する基板の耐振性が最も高いのは基板の面に直交する方向であるため、基板を含む面を、船外機の推進方向に沿うエンジン中心軸方向に直交配置することで、電子部品が船外機の振動の影響を最も受けにくい構造とすることができる。
さらに、内燃機関のV字を形成するシリンダ部の間のスペースを利用して電子部品ユニットが配置され、船外機を小型にすることができる。
【0045】
請求項2記載の発明では、インジェクタ駆動電流、燃料ポンプ駆動アースとCPU等のアースを別々に取り出すことで、例えば、ミリアンペア単位が多い入力信号と数アンペア以上になる出力信号回路の分離配置ができ回路間の相互誘導を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】船外機を搭載した船舶の斜視図である。
【図2】操船部の操作部品を示す図である。
【図3】船舶に搭載した船外機の側面図である。
【図4】船外機の構成を示す図である。
【図5】船外機の配線図である。
【図6】船外機に搭載した内燃機関の概略平面図である。
【図7】電子部品ユニットの取付を示す一部断面図である。
【図8】船外機の側面図である。
【図9】電子部品ユニットの取付を示す図である。
【図10】電子部品の取付を示す図である。
【符号の説明】
4 船外機
601 電子部品ユニット
602 電子部品の構成素子
603 基板
604 ケース
Claims (2)
- 電子部品の構成素子群を基板上に配置する状態下でケース内に収納してなる電子部品ユニットを船外機に取り付ける船外機の電子部品取付構造において、
前記点火トリガ、点火時期、燃料噴射用のインジェクタ駆動コントロール機能を持つ電子部品の構成素子群を1つのケースの中に収納し、
前記船外機に搭載された内燃機関のV字を形成するシリンダ部の間にはボス部を有する取付ベースが固定され、
前記ボス部の先端にはゴムダンパを介して取付ブラケットが固定され、
前記取付ブラケットに前記ケースを取り付けて前記内燃機関のV字を形成する前記シリンダ部の間に形成される空間に前記電子部品ユニットを配置し、
前記電子部品ユニットの基板を含む面を、前記船外機の推進方向に沿うエンジン中心軸方向に直交配置し、
前記ケースの中で、燃料ポンプ、インジェクタ駆動電流等の出力系と、クランク角度、エンジン温度センサ等をはじめとするセンサ類の入力系とを、前記ケースの上下の異なる辺に位置させたことを特徴とする船外機の電子部品取付構造。 - 前記インジェクタ駆動電流、燃料ポンプ駆動アースとCPU等のアースを別々に前記ケースから取り出すことを特徴とする請求項1記載の船外機の電子部品取付構造。
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