JP3671764B2 - 内視鏡着脱型電子走査式超音波検査装置 - Google Patents

内視鏡着脱型電子走査式超音波検査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡に着脱可能に装着されて、体腔内等で電子走査を行う内視鏡着脱型電子走査式超音波検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
体腔内の検査や診断を行うに当っては、内視鏡観察手段と超音波観察手段とを備えた超音波内視鏡が用いられるが、超音波内視鏡は体腔内等に挿入される挿入部の先端部分に内視鏡観察手段と超音波検査手段とを設ける構成としたものである。そして、内視鏡観察手段で体腔内を観察し、かつ体内における関心のある部位に対して、体内組織の状態に関する情報を取得するために、所望の位置で超音波検査手段を作動させることにより超音波走査が行われる。また、超音波検査の結果、病変部の可能性がある等の判断がなされた時には、その部分の体内組織をサンプリングしてこの細胞を精査したり、必要に応じて薬液の注入等といった処置を施すことができるようになっている。このために、内視鏡観察手段を構成する観察窓に近接する位置に処置具導出口を開口させて設け、この処置具導出口から穿刺処置具を導出させて、体内に刺入できるように構成されている。
【0003】
超音波検査手段は超音波トランスデューサを有するが、この超音波トランスデューサは、所定の範囲を走査するようになっている。超音波走査方式としては、超音波振動子を機械的に変位させる間に、所定距離移動する毎に超音波パルスを送信する、所謂メカニカル走査と、所定数の超音波振動子をアレイ状に配列して、これら各超音波振動子を順次作動させることにより走査する電子走査方式とがある。電子走査式の超音波トランスデューサを用いれば、各超音波振動子の送信タイミングを制御することにより様々な波面を作り出すことができることから、所望の検査態様なり範囲なりを設定できる等の点で、メカニカル走査方式より優れており、超音波内視鏡においても、超音波検査手段として電子走査を行う超音波トランスデューサを設ける構成としたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、超音波内視鏡にあっては、内視鏡観察手段の前方位置に超音波検査手段が装着されるようになっており、従って内視鏡観察手段による観察視野は超音波検査手段により著しく制約されることになる。このために、超音波内視鏡にあっては、内視鏡観察手段を備えているにも拘らず、通常の内視鏡としての用い方で使用されないのが一般的である。
【0005】
以上の点から、挿入部の最先端部である先端構成部の先端面に照明窓,観察窓及び処置具導出口を設けた内視鏡に対して、その先端構成部に超音波トランスデューサ、特に電子走査を行う超音波トランスデューサを備えた超音波検査装置を着脱可能に組み込むようにすることが考えられる。このように、内視鏡着脱型の超音波検査装置として構成すると、内視鏡単独検査時には、超音波検査装置を組み込まないようにして体腔内に挿入し、また超音波検査を併用する際には、超音波検査装置を組み込んだ状態として体腔内に挿入するというように、検査態様に応じて、内視鏡としても、また超音波内視鏡としても機能させることができるので、極めて好都合である。
【0006】
ここで、超音波内視鏡としての機能を発揮させるに当って、挿入部の先端構成部に超音波検査装置を装着した時に、その超音波トランスデューサの先端構成部に対する位置には様々な規制がある。
【0007】
まず、超音波トランスデューサにより走査すべき領域は、内視鏡観察手段を構成する観察窓から得られる体腔内の光学像に基づいて決定される。このために、超音波トランスデューサは少なくとも観察窓による内視鏡観察視野の範囲内に位置していなければならない。ここで、観察窓による体腔内の観察時において、その観察視野に上下方向があり、この上下方向は本体操作部の上下方向と概略一致する。従って、超音波トランスデューサは観察視野の下方位置であって、できるだけ上下方向における中心線に近い位置に配置するのが、この超音波トランスデューサを体腔内で正確に超音波走査を行う部位に配置するための操作時の操作性等の観点から有利である。
【0008】
また、超音波走査を行う際において、超音波トランスデューサが体腔内壁から離間し、その間に空気が介在していると、送受信される超音波が著しく減衰するから、超音波トランスデューサを体腔内壁に密着させなければならない。超音波検査装置を内視鏡に組み込んだ状態で、超音波トランスデューサを体腔内壁に密着させる操作は、挿入部において、先端構成部の基端側に連設したアングル部を湾曲させることにより行われる。つまり、超音波トランスデューサが超音波走査すべき位置の近傍に配置された時に、挿入部が連結されている本体操作部からの遠隔操作でアングル部をある方向、通常はアップ方向に湾曲させる。従って、アングル部の湾曲方向のうちの上下方向の湾曲中心線に対してほぼ直交する方向に超音波トランスデューサの送受信面が向くように配置する必要がある。
【0009】
さらに、超音波検査には穿刺処置具が併用されるが、穿刺処置具は体内に刺入される前の段階では、その位置が内視鏡観察手段による内視鏡観察視野に入るようにしなければならない。また、体内への刺入後には、少なくともこの穿刺処置具の先端部は超音波トランスデューサによる超音波観察視野で捉えられなければならない。このために、超音波トランスデューサの位置は、内視鏡観察手段における観察窓に近接した位置に配置した処置具導出口に対してもその相対位置が規制される。
【0010】
而して、超音波トランスデューサから送信される超音波には所定の厚み音場、つまり走査ラインと直交する幅方向の寸法であり、超音波断層像は平面的に表示されることから、この音場における厚み方向の寸法は超音波断層像の分解能に極めて大きな影響を与える。つまり、シャープな切り口となった正確な超音波断層像を取得するには、厚み音場をできるだけ絞らなければならない。ただし、超音波検査装置を内視鏡に組み込んだ状態では、その超音波トランスデューサの位置が前述した各要素により規制されるから、特に内視鏡の処置具導出口等との位置関係から、ある程度の厚み音場を持たせなければならず、このために精度の高い超音波検査を行うことができるように、分解能の高い超音波断層像が得られない可能性がある。
【0011】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、内視鏡に電子走査を行う超音波トランスデューサを有する超音波検査装置を組み込んで、超音波内視鏡として機能させるに当って、処置具導出口から導出される穿刺処置具が確実に超音波視野内に入り、しかもできるだけ分解能の高い超音波断層像が得られるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明は、照明窓,観察窓及び処置具導出口を挿入部の先端構成部に設けた内視鏡に着脱可能に装着される超音波検査装置であって、所定数の超音波振動子をアレイ状に配列した超音波トランスデューサを設けた超音波走査部と、この超音波走査部の超音波トランスデューサが、前記先端構成部より前方に配置されるように前記先端構成部に着脱可能に連結される内視鏡連結部と、前記超音波走査部に設けられ、前記穿刺処置具の導出方向をガイドするガイド部とを備え、この内視鏡連結部を前記先端構成部に連結した時に、前記処置具導出口から導出される穿刺処置具の導出経路に対して、この導出経路断面と、前記処置具導出口から導出される穿刺処置具の外径との径差分以上の範囲にわたって前記超音波トランスデューサの送信超音波の厚み音場がオーバーラップするようにしたことをその特徴とするものである。
【0013】
ここで、超音波トランスデューサの送信超音波の厚み音場が穿刺処置具の導出経路に対してオーバーラップする範囲としては、望ましくは、この穿刺処置具の導出経路断面と、当該の内視鏡の挿通可能な穿刺処置具のうち、最小径の穿刺処置具の外径との径差以上とする。また、内視鏡における挿入部としては、その先端構成部に少なくとも上下方向に湾曲操作可能なアングル部を連設したものから構成した場合には、超音波トランスデューサは、この湾曲方向の下方側になるように、かつこの超音波トランスデューサから送信される超音波の厚み音場の範囲内で、さらに観察窓に装着した対物レンズの光軸中心線を通る位置関係となるように配置する。そして、穿刺処置具の導出方向をガイドするガイド部の具体的な構成としては、例えば処置具導出口から導出する処置具をガイドするためのトンネル部を超音波走査部に設け、このトンネル部に記処置具導出口に挿入可能なガイドパイプを装着する構成とすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1において、1は内視鏡、20は超音波検査装置である。内視鏡1は単独で体腔内等に挿入することができ、また超音波検査装置20を着脱可能に組み込むことによって、分離可能型超音波内視鏡として構成され、体腔内において、内視鏡検査と超音波検査とを併用できることになる。
【0015】
内視鏡1は、挿入部2の基端部に本体操作部3を連設したものからなり、また本体操作部3にはユニバーサルコード4が引き出されており、このユニバーサルコード4の基端部には、光源コネクタ5と電気コネクタ6とに分岐している。そして、光源コネクタ5及び電気コネクタ6は、それぞれ光源装置及びプロセッサに着脱可能に接続されるが、これら光源装置及びプロセッサは、通常、一体的に組み込み、かつ内視鏡画像を表示するディスプレイを備えた光源ユニット7として構成される。
【0016】
挿入部2は、その先端側から先端構成部2a,アングル部2b及び軟性部1cとなっている。先端構成部2aの先端面には、図2からも明らかなように、照明窓10(図面上では2箇所設けられているが、必ずしも2箇所とする必要はない)と観察窓11とが設けられており、照明窓10にはライトガイドの出射端が臨み、また観察窓11に装着した対物レンズの結像位置には固体撮像素子を装着する。さらに、鉗子等の処置具を導出するための処置具導出口12が開口している。処置具導出口12から本体操作部3に設けた処置具導入部13までの間は処置具挿通チャンネル(図示せず)で接続されている。アングル部2bは本体操作部3に設けたアングルノブ14の操作により上下及び左右に湾曲させることができるようになっている。さらに、軟性部2cは挿入経路に沿って任意の方向に曲がる軟性構造となっている。
【0017】
ここで、アングル部2bを本体操作部3側から遠隔操作で湾曲させることができるようにしているのは、内視鏡観察機構を構成する観察窓11を所望の方向に向けるためのものである。このために、アングル部2bは、周知のように、節輪構造となし、かつ湾曲操作のために操作ワイヤが挿通されている。操作ワイヤは、上下一対または上下及び左右に各一対設けるようにしており、上下一対の操作ワイヤを設けた場合には、アングル部2bは上下方向に湾曲可能であり、また上下左右に各一対設ければ、上下及び左右に湾曲させることができ、さらにそれらを複合操作することにおって、アングル部2bを捩るようにして、先端構成部2aの方向をさらに微細に制御できるようになる。
【0018】
内視鏡1の挿入部2におけるアングル部2bには、通常、上下及び左右に湾曲可能な構成となっており、図2において、P1 ,P2 ,P3 ,P4 で示した位置に操作ワイヤが設けられ、P1 の位置の操作ワイヤを引っ張り、P2 の位置の操作ワイヤを押し出すように操作すると、アングル部2bは矢印U方向、つまり上方に向けて湾曲し、それとは逆の操作を行うと、アングル部2bは矢印D方向、つまり下方に向けて湾曲する。また、P3 ,P4 に位置する操作ワイヤの一方を引っ張り、他方を押し出すように操作すると、アングル部2bはそれぞれ矢印R方向(右方)、矢印L方向(左方)にそれぞれ湾曲する。従って、図2において、U−Dを結ぶ線はアングル部2bの上下方向の湾曲中心線であり、またR−Lを結ぶ線はアングル部2bにおける左右方向の湾曲中心線である。
【0019】
超音波検査装置20は、図1に示したように、本体部21と信号ケーブル22とから構成される。本体部21は、図3及び図4から明らかなように、その先端部分が超音波走査部23であり、この超音波走査部23には内視鏡連結部24が連設されている。さらに、信号ケーブル22は、本体部21における内視鏡連結部24から引き出されており、この信号ケーブル22の先端部は超音波観測装置26に着脱可能に接続されるコネクタ25となっている。
【0020】
内視鏡連結部24は挿入部2の先端構成部2aを囲繞するように装着されるリング形状となっており、この内視鏡連結部24の先端側には、前方に向けて下降する傾斜面となっており、この傾斜面の部分が超音波走査部23である。この超音波走査部23には超音波トランスデューサ27が装着されており、この超音波トランスデューサ27は、短冊状となった超音波振動子27aを多数列設したものであり、従ってこれら超音波振動子27aを順次作動させることによって、電子走査を行うものである。従って、図示した超音波トランスデューサ27は電子リニア走査(またはコンベックス走査)を行うのに適した構成となっている。そして、超音波トランスデューサ27が装着されている超音波走査部23は、その外形は全体が丸みを帯びて、エッジや尖った部分が生じない表面形状となっている。
【0021】
さらに、本体部21における超音波走査部23と内視鏡載置部24との間には、ガイド部28が設けられており、このガイド部28は内視鏡1の処置具導出口12から導出される穿刺処置具Tをガイドするためのものであり、このガイド部28は、超音波走査部23より上方に突出しており、この突出部には穿刺処置具Tを通過させるトンネル28aが形成されている。このトンネル部28aにはガイドパイプ29が連結して設けられている。トンネル部28aは超音波走査部23側に向けて上方に向くように所定角度傾斜しており、ガイドパイプ29は、所定の長さ部分を湾曲させることによって、真直ぐな方向になるように方向転換させている。
【0022】
以上のように構成することによって、超音波検査装置20を組み込まない状態では、内視鏡1を単独で使用するすることができる。この内視鏡1の挿入部2を体腔内に挿入することによって、照明窓10から照明を行い、観察窓11から得られる体腔内の観察を行うことができる。このようにして行われる内視鏡検査の結果、処置すべき箇所や体腔内壁の組織を採取する必要があれば、適宜の処置具を処置具導出口12から突出させて、所要の処置を行うことができる。而して、この内視鏡1は、一般的な内視鏡そのものであり、挿入部2には余分な機構は全く設けられていないので、その外径寸法が大きくなるようなことはなく、体腔内への挿入操作性が良好となり、被験者に対する苦痛軽減が図られる。また、観察窓11から得られる内視鏡観察視野を制限することもないので、十分広い内視鏡観察視野が得られる。従って、内視鏡検査を円滑に行える。
【0023】
一方、内視鏡検査と超音波検査とを併用する場合には、内視鏡1に超音波検査装置20を組み込む。この超音波検査装置20の内視鏡1への組み込みは、その本体部21を構成する内視鏡連結部24を挿入部2の先端構成部2aに内視鏡連結部24を嵌合させることによって、超音波検査装置20を本体部21は挿入部2に連結した状態に固定する。そして、この時にはガイドパイプ29を処置具導出口12内に挿入させる。これによって、超音波検査装置20の本体部21を内視鏡1の挿入部2における先端構成部2aに対して回転方向に位置決めされる。このようにして内視鏡1に対して所定の位置に位置決めされた状態で超音波検査装置20の本体部21が組み込まれると、その超音波走査部23に設けた超音波トランスデューサ27を構成する多数の超音波振動子27aにおける送受信面は、アングル部2bにおける図2の矢印U方向、つまり上下方向への湾曲中心線に対して直交する方向に向けられる。
【0024】
以上により超音波検査装置20は内視鏡1に組み込まれて、内視鏡1における観察窓11で体腔内の観察を行いながら、挿入部2及びこの挿入部2に装着した超音波検査装置20の本体部21を体腔内に挿入する。挿入部2の先端が超音波検査を行うべき臓器や体腔管の内部にまで導かれると、内視鏡1による観察下で超音波検査を行う位置を確認することができる。そこで、超音波走査部23が超音波検査を行うべき位置に配置されると、超音波トランスデューサ27を構成する超音波振動子27aを順次駆動することによって所定の範囲にわたる超音波走査を行う。この場合において、超音波トランスデューサ27は観察窓11のほぼ下部位置に配置されているので、この観察窓11を介して行われる超音波検査位置の確認は正確かつ容易になる。
【0025】
ここで、超音波トランスデューサ27から送信され、また体内組織の断層部からの反射エコーを受信する際において、超音波トランスデューサ27と体腔内壁との間に空気が介在していると、超音波信号が極端に減衰するために、図5に示したように、超音波トランスデューサ27を体腔内壁に密着させる。この超音波トランスデューサ27を体腔内壁に密着させる操作は、内視鏡1の挿入部2におけるアングル部2bを湾曲操作する。而して、内視鏡1に超音波検査装置20を組み込んだ時に、その超音波走査部23に設けた超音波トランスデューサ27は上方、つまり内視鏡の観察窓11の方向に向いている。この超音波トランスデューサ27を体腔内壁に密着させるには、観察窓11における視野の上方、つまりアングル部2bを図2の矢印U方向に湾曲操作するのが、観察視野と超音波走査を行われる箇所との関係から、最も合理的である。この操作によって、超音波トランスデューサ27は確実に体腔内壁に密着することになる。
【0026】
そして、超音波トランスデューサ27を作動させて超音波走査を行っている間に、関心のある箇所等が発見されると、内視鏡1の処置具導出口12から穿刺処置具Tを挿通させることによって、当該の部位の組織を採取したり、治療等の処置を施すことができる。ここで、処置具導出口12から導出された穿刺処置具Tはさらにガイドパイプ29にガイドされて、超音波走査部23の上部位置から斜め前方に向けて進行することになる。
【0027】
ガイドパイプ29から導出された穿刺処置具Tは、体腔内壁に至る前の段階では、観察窓11による内視鏡観察視野に捉えられるから、穿刺箇所を正確に確認できる。ただし、穿刺処置具Tが体内に刺入されると、もはやその先端を観察窓11によっては確認できない。穿刺処置具Tは体内組織とは音響インピーダンスが異なる媒質であるから、超音波を送信すると、その境界部で反射エコーが発生する。従って、穿刺処置具Tが超音波の送信領域内、つまり超音波観測視野内に位置させると、超音波の視野内に穿刺処置具Tが入ることになり、超音波による監視が可能となる。
【0028】
図6において、実線で囲った領域UAが超音波トランスデューサ27による超音波が送信される領域であるとし、また一点鎖線で囲った領域TAがガイドパイプ29の延長部分、つまり穿刺処置具Tの導出経路とする。穿刺処置具Tが超音波観察視野に入るためには、領域TAの全長にわたって領域UAと少なくとも一部がオーバーラップしていなければならない。また、超音波トランスデューサ27の位置は、穿刺処置具Tの導出経路に加えて、観察窓11との関係でも規制される。つまり、図6に点線で示したように、超音波トランスデューサ27の位置の概略上方の位置に観察窓11における対物レンズの光軸中心線OLを位置させなければならない。しかも、超音波断層像の分解能を向上させるためには、領域UAにおける厚みを薄くする必要がある。
【0029】
以上の点から、図7に示したように、穿刺処置具Tの導出経路の全長にわたって、その領域TAと超音波が送信される領域UAとがオーバーラップする範囲(同図に斜線で示した範囲)を、領域TAの断面における直径d1 と、穿刺処置具Tのうち、外径が最も小さいものの外径d2 との差分以上とする。これによって、どのような外径寸法の穿刺処置具Tがガイドパイプ29の内面において、どの部位にガイドされながら導出されたとしても、確実に超音波観察視野内に捉えられることになる。そして、前述したオーバーラップの範囲を大きくすればするほど、超音波断層像における穿刺処置具Tの像が鮮明になる。ただし、そうすると、超音波トランスデューサ27の厚み音場が広がってしまうので、超音波断層像の分解能が低下する。そこで、領域TAと領域UAとがオーバーラップする範囲は、d1 −d2 と、d1 −1/2d2 との間に設定するのがさらに望ましい。これによって、厚み音場を必要以上広げることなく、超音波断層像に穿刺処置具Tの像が鮮明に表れることになり、この穿刺処置具Tを確実に超音波による監視下に置くことができる。
【0030】
ここで、超音波トランスデューサ27による厚み音場は、図8に示したようにして調整することができる。同図には、超音波トランスデューサ27を構成する超音波振動子27aを幅方向、つまり超音波振動子27aの並び方向とは直交する方向から見たものが示されている。同図から明らかなように、超音波振動子27は、通常は、その表面側から音響レンズ層27L,音響整合層27M,圧電素子27P,バッキング材27Bからなる積層体で構成される。この場合において、厚み音場を決定する要素となるのは、圧電素子27Pの幅方向の寸法と音響レンズ27Lの曲率半径とである。従って、音響レンズ層27Lを除いた状態では、図8に二点鎖線で示したように、圧電素子27Pの幅寸法で厚み音場が決定され、しかも所定の曲率の音響レンズ層27Lを装着すると、同図に実線で示したように厚み音場を絞ることができる。そこで、これら要素を適宜設定することによって、送信超音波における厚み音場を任意に設定することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成したので、内視鏡に電子走査を行う超音波トランスデューサを有する超音波検査装置を組み込んで、超音波内視鏡として機能させるに当って、処置具導出口からガイド部によりガイドされて導出される穿刺処置具が確実に送信超音波の厚み音場で覆われるようになり、かつ分解能の高い超音波断層像が得られる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す分離可能型超音波内視鏡において、超音波検査装置と内視鏡とを分離した状態を示す全体構成図である。
【図2】内視鏡の挿入部の先端部を示す正面図である。
【図3】超音波検査装置の本体部を内視鏡の挿入部に連結した状態を示す要部外観図である。
【図4】図3の断面図である。
【図5】内視鏡に超音波検査装置を組み込んで超音波走査を行っている状態を示す作用説明図である。
【図6】超音波の送信領域と穿刺処置具の導出経路との位置関係を示す作用説明図である。
【図7】超音波の送信領域と穿刺処置具の導出経路とをどの程度オーバーラップするかについての作用説明図である。
【図8】送信超音波の厚み音場を調整可能とする機構についての説明図である。
【符号の説明】
1 内視鏡 2 挿入部
2a 先端構成部 2b アングル部
2c 軟性部 10 照明窓
11 観察窓 12 処置具導出口
20 超音波検査装置 21 本体部
23 超音波走査部 24 内視鏡連結部
27 超音波トランスデューサ 27a 超音波振動子
28 ガイド部 28a トンネル
29 ガイドパイプ

Claims (2)

  1. 照明窓,観察窓及び処置具導出口を挿入部の先端構成部に設けた内視鏡に着脱可能に装着される超音波検査装置であって、
    所定数の超音波振動子をアレイ状に配列した超音波トランスデューサを設けた超音波走査部と、
    この超音波走査部の超音波トランスデューサが、前記先端構成部より前方に配置されるように前記先端構成部に着脱可能に連結される内視鏡連結部と、
    前記超音波走査部に設けられ、前記穿刺処置具の導出方向をガイドするガイド部とを備え、
    前記内視鏡連結部を前記先端構成部に連結した時に、前記処置具導出口から導出される穿刺処置具の導出経路に対して、この導出経路断面と、前記処置具導出口から導出される穿刺処置具の外径との径差分以上の範囲にわたって前記超音波トランスデューサの送信超音波の厚み音場がオーバーラップするようにした
    ことを特徴とする内視鏡着脱型電子走査式超音波検査装置。
  2. 前記ガイド部は、前記超音波走査部に設けられ、前記処置具導出口から導出する処置具をガイドするためのトンネル部であり、このトンネル部には前記処置具導出口に挿入可能なガイドパイプが装着されていることを特徴とする請求項1記載の内視鏡着脱方電子走査式超音波検査装置
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