JP3671443B2 - 触媒コンバータ - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、内燃機関から排出される排気ガス中の有害物質を無害化する触媒コンバータに関し、例えば自動車用の触媒コンバータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用エンジンから排出されるHC、CO、NOx等の有害物質を無害な気体または水に変換するため、メタル担体に触媒を担持した触媒コンバータが知られている。ところが、この種の触媒コンバータによると、エンジン始動開始後から一定期間、触媒物質の活性化温度にメタル担体が十分に昇温しないことから、この一定期間、排ガスの有害物質が浄化されないまま排出されるおそれがある。
【0003】
そこで、実開平5−69316号公報に開示されている電熱触媒担体は、金属製ハニカム担体に電流を流すことにより金属製ハニカム担体自体が発熱する現象を利用し、触媒物質を短時間に昇温させ触媒反応を促進させている。
また、特開平2−99144号公報に開示されている板状触媒およびその製造方法は、菱形状のスリットを有するエキスパンドメタル板を触媒物質を塗布する基板に使用し熱容量を小さくするとともに、波型および凹凸部を有する成形ロールによりエキスパンドメタル板を成形し、触媒物質の表面積を増大させることによって触媒物質の反応率を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実開平5−69316号公報に開示されている電熱触媒担体によると、通電により強制的に金属製ハニカム担体を発熱させることから、電力供給手段等が必要となり、システム構成が複雑になるという問題がある。
また、特開平2−99144号公報に開示されている板状触媒およびその製造方法によると、スリットの開口部を埋めるようにエキスパンドメタル板全面に触媒物質が塗布されることから、必要な触媒物質量が増加しコストの増大を招くという問題がある。
【0005】
さらに、メタル担体は、板厚が数10ミクロンの平板および波板より構成されるため比較的小さな外力によって損傷する場合があり、運搬時、排気管への取付時等、メタル担体に損傷を与えることなく取扱うことが困難であるという問題がある。
さらにまた、メタル担体は、高温の排ガスの熱により触媒物質を活性化温度に昇温させるため、排ガス温度の高いエンジンの近傍に取付られる。このため、自動車の走行時、振動および高温の排ガス熱により波板と平板との接合部が損傷する(以下「スコーピング」という)おそれがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、耐久性を向上するとともに、触媒物質の活性化温度まで短時間に電力を用いることなく昇温し、排ガスの浄化能力を十分に発揮させる取付方法により取付けられる触媒コンバータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するための本発明による請求項1記載の触媒コンバータは、内燃機関の排気経路中に配設され、金属製の平板と波板とが交互に重ね合わせられるとともに径方向に隣接する前記平板と前記波板とが接合され、巻回または積層して構成されるハニカム体を有する触媒コンバータであって、
排ガス流れ方向に直交する方向へ延びる複数個のスリットが前記平板または前記波板の少なくとも一方の排気経路上流側に形成されるハニカム体と、
前記ハニカム体の周囲を覆いかつ前記ハニカム体の下流側外壁に接合される内壁を有する筒形状の保護筒とを備え、
前記排気経路の上流側経路または下流側経路の少なくとも一方に前記保護筒の上流側が固定されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明による請求項2記載の触媒コンバータは、請求項1記載の触媒コンバータにおいて、前記ハニカム体は、耐熱ステンレスからなることを特徴とする。
また、本発明による請求項3記載の触媒コンバータは、請求項1または2記載の触媒コンバータにおいて、前記保護筒の上流側に形成されるフランジは、前記上流側経路に形成される上流側フランジと前記下流側経路に形成される下流側フランジとの間に挟み込まれ固定されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明による請求項4記載の触媒コンバータは、請求項3記載の触媒コンバータにおいて、前記フランジは、シール部材を介して前記上流側フランジと下流側フランジとの間に挟み込まれ接続部材により固定されることを特徴とする。
また、本発明による請求項5記載の触媒コンバータは、請求項4記載の触媒コンバータにおいて、前記シール部材は、ガスケットであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明による請求項6記載の触媒コンバータは、請求項4記載の触媒コンバータにおいて、前記シール部材は、耐熱Oリングであることを特徴とする。また、本発明による請求項7記載の触媒コンバータは、請求項4、5または6記載の触媒コンバータにおいて、前記フランジには、複数個の貫通孔が形成され、この複数個の貫通孔に前記接続部材を挿入することにより前記排気経路中に位置決めされることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による請求項8記載の触媒コンバータは、請求項4、5または6記載の触媒コンバータにおいて、前記フランジには、複数個の切欠部が形成され、この複数個の切欠部に前記接続部材を挿入することにより前記排気経路中に位置決めされることを特徴とする。
また、本発明による請求項9記載の触媒コンバータは、請求項4〜8のいずれか一項記載の触媒コンバータにおいて、前記接続部材は、ボルトまたはピンであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明による請求項10記載の触媒コンバータは、請求項1〜9のいずれか一項記載の触媒コンバータにおいて、前記排気経路は、排気マニホールド、下流側触媒コンバータ、排気管および消音器で構成され、前記触媒コンバータが前記排気マニホールドの下流側かつ前記下流側触媒コンバータの上流側に位置することを特徴とする。
【0013】
また、本発明による請求項11記載の触媒コンバータは、請求項10記載の触媒コンバータにおいて、前記触媒コンバータは、前記下流側触媒コンバータを構成する下流側ハニカム体に近接して位置することを特徴とする。
また、本発明による請求項12記載の触媒コンバータは、請求項11記載の触媒コンバータにおいて、前記触媒コンバータの下流側外周縁と前記下流側触媒コンバータ上流側外周縁とは、前記触媒コンバータから前記下流側触媒コンバータに向って内径が拡大するコーン部により接続され、前記触媒コンバータの下流端部が前記コーン部内に突出することなく取付けられたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による請求項13記載の触媒コンバータは、請求項12記載の触媒コンバータにおいて、前記コーン部の広がり角度は90°以下、または前記下流側触媒コンバータと前記触媒コンバータとの軸方向間隔が40mm以上であることを特徴とする。
また、本発明による請求項14記載の触媒コンバータは、請求項1〜13のいずれか一項記載の触媒コンバータにおいて、前記ハニカム体の上流側に空隙部が形成され、前記ハニカム体の下流側と前記保護筒の下流側内壁とが接合されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による請求項15記載の触媒コンバータは、請求項14記載の触媒コンバータにおいて、前記空隙部は、前記保護筒の上流側内径を前記保護筒の下流側内径より大きくすることにより形成されることを特徴とする。
また、本発明による請求項16記載の触媒コンバータは、請求項14記載の触媒コンバータにおいて、前記空隙部は、前記平板と前記波板との巻回数または積層数が前記ハニカム体下流側より前記ハニカム体上流側の方が少ないことにより形成されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による請求項17記載の触媒コンバータは、請求項1〜16のいずれか一項記載の触媒コンバータにおいて、前記保護筒は、排ガス上流側において前記ハニカム体の上流側端部より軸方向に突出することを特徴とする。
また、本発明による請求項18記載の触媒コンバータは、請求項1〜17のいずれか一項記載の触媒コンバータにおいて、前記ハニカム体の外径は、前記上流側経路の内径より大きな径であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明による請求項19記載の触媒コンバータは、請求項18記載の触媒コンバータにおいて、前記上流側経路に形成される前記上流側フランジと前記上流側経路との間には、排気管要素が介在することを特徴とする。
また、本発明による請求項20記載の触媒コンバータは、請求項19記載の触媒コンバータにおいて、前記ハニカム体の外周部の軸方向輪郭線を前記上流側経路方向に延長する延長線上には、前記上流側フランジまたは前記排気管要素が位置することを特徴とする。
【0018】
また、本発明による請求項21記載の触媒コンバータは、請求項20記載の触媒コンバータにおいて、前記排気管要素は、1つ以上の平面または内径の少なくとも一方が徐々に広がるコーン部により形成されることを特徴とする。
また、本発明による請求項22記載の触媒コンバータは、請求項21記載の触媒コンバータにおいて、前記ハニカム体は、前記上流側フランジの端面または前記排気管要素と前記ハニカム体との離隔距離が1mm以上であって、かつ前記上流側フランジの肉厚以下になるように排ガス流れ方向に取付けられることを特徴とする。
【0019】
【作用および発明の効果】
本発明の触媒コンバータによると、排気経路の上流側経路または下流側経路の少なくとも一方に前記保護筒の上流側が固定され、ハニカム体の下流側と保護筒の下流側内壁とが接合されるため、ハニカム体の熱が保護筒を経由して排気経路に達する伝熱経路が長く確保できる。これにより、ハニカム体の放熱を抑制し放熱量を少なくする効果がある。
【0020】
また、本発明の触媒コンバータによると、金属製の平板または波板の少なくとも一方の排気経路上流側に排ガス流れ方向に直交する方向に延びる複数個のスリットが形成されることから、平板または波板の排気経路上流側の熱容量が小さくなる。また複数個のスリットにより排ガスの流れが攪乱されることから、スリットが形成されたハニカム体の上流側では熱伝達効率が高まる。これにより、短時間に触媒物質の活性化温度まで昇温させる効果がある。
【0021】
さらに、本発明の触媒コンバータによると、触媒コンバータを構成するハニカム体の外径が上流側経路の内径より大きな径に設定されることから、ハニカム体の外周部より軸中心方向に排ガスが効率良く流入する。これにより、上流側経路からハニカム体に流入する排ガスが比較的温度上昇速度の速いハニカム体の軸中心方向に集まる。したがって、排ガスの浄化が促進できるとともに温度上昇速度の遅いハニカム体の外周部に流入する排ガスを少なくでき、ハニカム体の排ガス浄化能力を発揮させる効果がある。またハニカム体の外周部分の温度勾配を緩やかにするとともに、ハニカム体と保護筒との間に生ずる熱応力を減少させることから、ハニカム体と保護筒との熱容量の違いから生ずるスコーピングを防止し、耐久性を向上する効果がある。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例による触媒コンバータを図1〜図9に基づいて説明する。
図2に示すように、触媒コンバータ10は、平板113と波板112とからなるハニカム担体11と、このハニカム担体11の外周を覆う保護筒12と、保護筒12の外周壁に取付けられたフランジ17とから構成されている。
【0023】
ハニカム担体11は、平板113と波板112とを交互に重ね合わせ渦巻状に巻回した形状に構成されている。ハニカム担体11を構成する平板113と波板112とは、双方とも例えばCrが18〜24wt%、Alが4.5〜5.5wt%、希土類元素(REM)が0.1〜0.2wt%、残部FeであるFe−Cr−Al組成よりなる耐熱ステンレス箔である。
【0024】
図4に示すように、巻回前の平板113および波板112は、例えば板幅cが60mm、板厚が0.03〜0.20mmの帯状に形成されている。
図3および図4に示すように、平板113および波板112には、スリット部111が軸方向の略中央部から排ガス上流側端部方向に向って形成されている。ここで、展開した波板112と平板113とは、同一形状からなるため、図4には平板113の展開形状を代表して記載する。平板113の一端部には、平板113と波板112とを接合するための溶接部になる幅aに非スリット部が設けられている。この幅aは、例えば3mmである。非スリット部に隣接する位置に幅bのスリット部111が形成されている。幅bは例えば31.2mmである。
【0025】
図5に示すように、スリット部111に形成される矩形状のスリットは、例えば次に示す各寸法により形成されている。
スリット幅w = 3mm
スリット高さh = 1.2mm
直交方向スリット間隔D = 1mm
軸方向スリット間隔H = 0.8mm
この矩形状のスリットは、ハニカム担体11の軸方向に対して直交方向に間隔Dで連続して形成され、また軸方向に間隔Hで連続して形成されている。また軸方向に隣接するスリット同士は、互いに(w+D)/2だけずれるように位置している。
【0026】
波板112は、例えば繰返しピッチ4.9mm、波の振幅に相当する高さ1.7mmの波状に形成されている。
平板113と波板112とは、巻回後、排ガス上流側に互いのスリット部111が位置するように巻回される。平板113および波板112のスリット部111の排ガス上流側および下流側に位置するそれぞれの非スリット部がこの巻回と同時にレーザビーム溶接、抵抗溶接、ろう付等により接合される。これにより、平板113と波板112とが互いに接合される。
【0027】
図1〜図3に示すように、巻回された平板113と波板112とからなるハニカム担体11は、例えば耐熱性ステンレスSUS430からなるハニカム担体11より軸方向に長い筒状の保護筒12により周囲を覆われている。保護筒12は、保護筒12の排ガス上流側の内径が保護筒12の排ガス下流側の内径より大きくなるように形成されていることから、スリット部111が形成されるハニカム担体11の周囲に空隙部100を確保できる。この空隙部100の空隙は例えば1.5mmであり、波板112の高さと同程度の空隙を保持しており、空隙部100によって空気断熱部が形成されている。また、保護筒12とハニカム担体11とは、排ガス下流側で互いに接続され、排ガス上流側では保護筒12とハニカム担体11とが接触することがないため、ハニカム担体11と保護筒12との迂回伝熱経路が構成されている。したがって、この空隙部100と迂回伝熱経路とにより、ハニカム担体11の熱が保護筒12を伝わり外部に放熱する経路を長くすることができ、昇温したハニカム担体11の熱が保護筒12に逃げるのを抑制する効果がある。
【0028】
さらに、排ガス上流側において、ハニカム担体11の排ガス上流側に位置する上流側端部11aより保護筒12の端部が軸方向に突出するようにハニカム担体11と保護筒12との位置関係が決められている。これにより、ハニカム担体11の保管、運搬、排気管への取付等の場合、上流側端部11aが保護筒12より外側に突出することがないため、ハニカム担体11が傷付き難くなる効果がある。
【0029】
ハニカム担体11の排ガス下流側を覆う保護筒12の一部には、ハニカム担体11の軸方向に沿って延びる切欠部121が8箇所に形成されている。この8箇所の切欠部121は、保護筒12の円周方向に45°間隔に形成されている。
ハニカム担体11と保護筒12とは、8箇所の切欠部121を除く保護筒12の周方向部分に保護筒12の外部からレーザビームを照射することにより、ハニカム担体11の波板112と保護筒12の内周壁とが溶接固定されている。このハニカム担体11と保護筒12との接合は、レーザビーム溶接に限らず、ろう付により施されても良い。図2および図3には、レーザビーム溶接による溶接痕32が示されている。このハニカム担体11と保護筒12との接合に際し、ハニカム担体11の最外周に位置する波板112と保護筒12との熱容量差によって波板112側に溶接割れが生ずるおそれがある。そのため、レーザビーム溶接により溶接する場合、ハニカム担体11の最外周には波板112を2枚重ねて位置させることにより、波板112側の溶接割れを防止することができる。また、ろう付する場合、ろう付面積を十分確保するためハニカム担体11の最外周には平板113を位置させるのが好ましい。
【0030】
ハニカム担体11の排ガス上流側を覆う保護筒12の外周壁には、例えば耐熱性ステンレスSUS430からなる鍔状のフランジ17が溶接固定され、溶接痕31が形成されている。フランジ17は、溶接性を考慮し保護筒12と同質の材料が選択されている。さらに高い溶接性を確保するため、保護筒12とフランジ17との溶接面に後述するγ−Al2 O3 コートおよび触媒担持が施される前にフランジ17が保護筒12に溶接される。
【0031】
次に、触媒物質の担持方法について説明する。
800〜1200℃で1〜10時間、ハニカム担体11を加熱することにより、ハニカム担体11を構成する平板113、波板112の表面にアルミニウムの酸化物が析出する。この加熱処理は、γ−Al2 O3 コートの剥離抑制を目的として行うものであり、平板113、波板112の表面にアルミナウィスカを生成させ表面積を増加させるものである。これにより高い信頼性を得ることができるため、この加熱処理を施した方が好ましい。この加熱処理後、Al2 O3 を含有するスラリー中にこのハニカム担体11を含浸させ焼成させる。これにより、平板113、波板112の表面がγ−Al2 O3 コートされる。γ−Al2 O3 層を形成後、触媒担持工程により例えば白金、ロジウム、パラジウム等を溶解した水溶液中にハニカム担体11を含浸させ再度焼成させる。
【0032】
以上の工程により組付られたハニカム担体11は、自動車の排気経路に取付可能な触媒コンバータ10として機能する。
次に、触媒コンバータ10を自動車の排気経路に取付けた状態を図6に基づいて説明する。
図6および図7に示すように、V8、4000ccのエンジン40より導出される8本のエキゾーストマニホールドは4本ずつ集合されており、この集合された2本のエキゾーストマニホールド41、42がエンジンの排気経路として構成されている。エキゾーストマニホールド41、42の途中には、触媒コンバータ10およびこの触媒コンバータ10の下流に位置するスタートキャタリスト13が配置されている。スタートキャタリスト13は、1300ccの容量を有するセラミックからなるモノリス触媒であり、スタートキャタリスト用外筒21内にワイヤネットまたはセラミック繊維マット14を介して保持されている。
【0033】
スタートキャタリスト用外筒21の下流側フランジ21bと排気管22のフランジ22aとは、互いにボルトによって連結されており、さらに排気管22の排ガス下流側では、排気管22が1本に集合されたあと図示しない1000ccのメインキャタリストに接続されている。このように、エキゾーストマニホールド41、42とスタートキャタリスト13との間にスタートキャタリスト13より低熱容量の触媒コンバータ10を位置させることによって、短時間に昇温する触媒コンバータ10によってエンジン始動直後のアイドリング時の排ガスを浄化する効果がある。さらに触媒コンバータ10とスタートキャタリスト13とを接近させることにより、排ガス上流側の触媒コンバータ10の触媒物質の反応熱により排ガス下流側のスタートキャタリスト13の触媒物質の活性化を促進させる効果がある。
【0034】
図1および図3に示すように、触媒コンバータ10のフランジ17は、シール部材であるガスケット18を介してエキゾーストマニホールド取付フランジ20aとスタートキャタリスト取付フランジ21aとの間に挟込まれ、ボルト19によって排気管経路に固定されている。ここで、シール部材は、ガスケットに限られることはなく、例えば耐熱Oリング等でも良い。このシール部材により、排ガスが触媒コンバータ10を通過することなく、上流側から下流側に流入することを防止している。
【0035】
また、ハニカム担体11の外径dはエキゾーストマニホールド41、42の内径より大きく設定されている。例えばエキゾーストマニホールド41、42の内径がハニカム担体11の外径dより大きい場合、エキゾーストマニホールド41、42とエキゾーストマニホールド取付フランジ20aとの間に排ガス流れ方向に向って径が縮小するコーン形状等からなる排気管要素を設ける。一方、エキゾーストマニホールド41、42の内径がハニカム担体11の外径dより小さい場合には、エキゾーストマニホールド41、42とエキゾーストマニホールド取付フランジ20aとの間に排ガス流れ方向に向って径が拡大するコーン形状等からなる排気管要素を設けても良い。この排気管要素により、エキゾーストマニホールド41、42とハニカム担体11とが最適な接続状態になるように調整する。
【0036】
さらに、エキゾーストマニホールド用取付フランジ20aが有する平面部20bとハニカム担体11の上流側端部11aとの間には後述する1〜10mmの間隔eを確保し触媒コンバータ10が排気経路に取付けられている。この間隔eにより、エキゾーストマニホールド41、42からの排気ガスが空隙部100に直接流入することがない。またハニカム担体11の外径dがエキゾーストマニホールド41、42の内径より大きいことから、エキゾーストマニホールド41、42からハニカム担体11に流入する排ガスが比較的温度上昇速度の速いハニカム担体11の軸中心方向に集まる。したがって、排ガスの浄化が促進できるとともに温度上昇速度の遅いハニカム担体11の最外周部に流入する排ガスを少なくでき、ハニカム担体11の排ガス浄化効率を向上させる効果がある。
【0037】
また、スタートキャタリスト13の排ガス上流側に位置する導入管21cの内径は、触媒コンバータ10の保護筒12の外径より大きく設定されている。導入管21cと導入管21cより内径の大きいスタートキャスタリスト用外筒21との間には、導入管21c側からスタートキャスタリスト用外筒21側方向に向って内径が拡大するテーパ形状のコーン部21eが位置し、導入管21cとスタートキャスタリスト用外筒21とを接続している。このコーン部21eの広がり角θは、90°以下であることが望ましく、触媒コンバータ10とスタートキャスタリスト13との間隔fと、ハニカム担体11の外径とスタートキャスタリスト13の外径との比率と、この広がり角θとには相関関係がある。この比率と広がり角θとから間隔fが決定されるが、いずれの場合も間隔fは40mm以上が望ましい。またハニカム担体11の外径とスタートキャスタリスト13の外径とが略同径である場合、コーン部21eの広がり角θが0°になる。この場合は、ハニカム担体11とスタートキャスタリスト13とが接触していても良い。
【0038】
さらに、触媒コンバータ10は、このコーン部21eが形成する空間部101に触媒コンバータ10の下流側端部が飛出ないように導入管21c内に収容されている。これにより、空間部101内で排気ガスが渦流になるのを防止している。この触媒コンバータ10の収容位置と前述の間隔fの設定とにより、ハニカム担体11によって加熱された高温の排ガスをほぼ均一にスタートキャスタリスト13のモノリス触媒に流入させることが可能になるとともに、スタートキャタリスト13の外周部に排ガスを流入し易くする効果がある。
【0039】
さらにまた、ハニカム担体11の上流側端部11aとエキゾーストマニホールド用取付フランジ20aの平面部20bとの間には、1mm以上の間隔eが設けられている。この間隔eにより、ハニカム担体11の軸方向の熱膨張量を吸収しているため、熱膨張時に上流側端部11aが平面部20bに当接することがなく、上流側端部11aの破損を防止している。またハニカム担体11を昇温させるためには、高温の排ガスを利用することが有効であり、エキゾーストマニホールド41の排ガス上流側に触媒コンバータ10を位置させることが望ましい。ところが、触媒コンバータ10を配設する排ガス上流側には、熱容量の大きなエキゾーストマニホールド用取付フランジ20aが位置するため、エンジン40から排出された排ガスの温度がこのエキゾーストマニホールド用取付フランジ20aの下流側で急激に低下する。そのため、前記間隔eとフランジ20aの厚さ例えば10mmとの兼合いから、ハニカム担体11の上流側端部11aとエキゾーストマニホールド用取付フランジ20aの平面部20bとの間隔eが1〜10mmになるように触媒コンバータ10を位置させることが望ましい。
【0040】
次に、触媒コンバータ10の作動を図1および図6に基づいて説明する。
エンジン40の始動後、各気筒の排気行程で各気筒から排気された排ガスは、エキゾーストマニホールド41、42を経由して触媒コンバータ10に達する。触媒コンバータ10に達した排ガスがハニカム担体11の上流側に位置するスリット部111に衝突し、次に列挙するスリット部111の効果▲1▼▲2▼▲3▼▲4▼▲5▼に加え、空隙部100の空気断熱部によりスリット部111と保護筒12とが断熱されていることからスリット部111の温度は最も速く上昇する。
【0041】
▲1▼スリットの形成によりスリット部111の熱容量が小さくなる。
▲2▼スリットの形成によりハニカム担体11の軸方向に対するハニカム担体11の断面積が小さくなるため、ハニカム担体11の下流側への熱伝導を抑制する。
▲3▼スリットの形成位置を互い違いにしたことにより伝熱経路が長くなるため、ハニカム担体11の下流側への熱伝導を抑制する。
【0042】
▲4▼スリットの形成により平板2と波板3との接触面積が減少するため、ハニカム担体11の径方向外側への熱伝導を抑制する。
▲5▼スリットには排ガスの流れを攪乱する働きがあるため、熱伝達効率を高める。
また、ハニカム担体11と保護筒12とはハニカム担体11の下流側の溶接痕32で接合され、保護筒12とエキゾーストマニホールド41、42とはハニカム担体11の上流側のフランジ17により固定されているため、ハニカム担体11の熱が保護筒12を経由してエキゾーストマニホールド41、42に達する伝熱経路が長く確保できる。これにより、ハニカム担体11の放熱を抑制し放熱量を極めて少なくしている。
【0043】
さらに、スリット部111が形成されていないハニカム担体11の排ガス下流側は、スリット部111が形成されている排ガス上流側と比較して、径方向および軸方向に熱伝導度が大きいため熱伝導速度が極めて速く、ハニカム担体11の排ガス下流側全域が短時間で触媒の活性化温度まで昇温する。
次に、第1実施例の触媒コンバータ10と比較例1の触媒コンバータとの排ガスによる温度上昇特性について調べた実験結果を図8に基づいて説明する。
【0044】
図7に示すように、エキゾーストマニホールド41の途中に触媒コンバータ10または比較例1の触媒コンバータを配設し、この排ガス下流側にスタートキャタリスト13配設する構成により実験を行った。また比較例1の触媒コンバータには、ハニカム担体11の平板113、波板112の双方にスリット部が形成されていない以外は触媒コンバータ10と同様の構成からなるものを使用した。また、各触媒コンバータ、スタートキャタリスト13の温度上昇を調べるにあたっては、各触媒コンバータまたはスタートキャタリスト13の排ガス上流側から軸方向に19mm排ガス下流側の位置に対応する触媒コンバータまたはスタートキャタリスト13の中心部の温度状態を測定した。
【0045】
図8に示すように、触媒コンバータ10においては、エンジン始動後、約10秒間で300℃の温度に達している。これに対し比較例1の触媒コンバータにおいては、触媒コンバータ10の場合より約5秒遅く約15秒間で300℃の温度に達している。さらに、各触媒コンバータの排ガス下流側にあるスタートキャタリスト13においてもスタートキャタリスト13の排ガス上流側に触媒コンバータ10が配設されている構成の方が温度上昇が速い。このように、ハニカム担体の排ガス上流側にスリット部を形成することにより、触媒コンバータの急速な温度上昇を得ることができ、またこれに加え触媒コンバータとスタートキャタリストとをコーン部により接続することにより、スタートキャタリストの急速な温度上昇を得ることができることを本実験により確認した。
【0046】
次に、第1実施例の触媒コンバータ10、比較例2の触媒コンバータそれぞれのハニカム担体の径方向の温度分布について調べた実験結果を図9に基づいて説明する。
図7に示すように、エキゾーストマニホールド41の途中に触媒コンバータ10または比較例2の触媒コンバータを配設し、この排ガス下流側にスタートキャタリスト13配設する構成により実験を行った。また比較例2の触媒コンバータには、エキゾーストマニホールドのフランジ内径が、ハニカム担体11の外径よりも大きくエキゾーストマニホールドから流入する排気ガスがハニカム担体11と保護筒12との間に形成される空隙部100に流入するものを使用した。エンジン始動後17秒間経過後における触媒コンバータの軸方向に排ガス上流側端部から45mm排ガス下流側の位置に対応する径方向の温度分布を測定した。
【0047】
図9に示すように、触媒コンバータ10においては、エキゾーストマニホールド41の内径より外側に位置するハニカム担体11の外周部分で緩やかな温度勾配αになっている。これはハニカム担体11の内径よりエキゾーストマニホールド41の内径を小さく設定したことによりハニカム担体11の外周部に流入する排気ガスを抑制し、ハニカム担体11の外周部の触媒反応を抑制したことによる。これに対し比較例2の触媒コンバータにおいては、ハニカム担体11の外周部分の温度勾配βが前記温度勾配αより大きくなっている。これはハニカム担体11の内径よりエキゾーストマニホールド41の内径を大きく設定したことによりハニカム担体11の空隙部100および外周部に排ガスが多量に流入したためである。このように、ハニカム担体の排ガス上流側にスリット部を形成することにより、ハニカム担体11の内径をエキゾーストマニホールド41の内径より大きく設定することにより、ハニカム担体11の外周部分の温度勾配を緩やかにするとともに、ハニカム担体11と保護筒12との間に生ずる熱応力を減少させることができる。これにより、ハニカム担体11と保護筒12との熱容量の違いから生ずるスコーピングを防止する効果がある。さらにハニカム担体11と保護筒12との熱容量の違いから、自動車走行時のエンジン回転数の増減に伴いハニカム担体11内部に生ずる繰返し熱応力を減少させ触媒コンバータ10の耐久性を向上させる効果がある。
【0048】
また、ハニカム担体11の内径をエキゾーストマニホールド41の内径より大きく設定することにより、ハニカム担体11の軸中心方向に高温の排ガスが効率良く流入することから、比較例2の触媒コンバータより触媒コンバータ10の方がハニカム担体中心から約20mmの範囲において高温なっている。これにより、ハニカム担体11の昇温性能をさらに向上させる効果がある。
【0049】
(第2実施例)
本発明の第2実施例による触媒コンバータを図10および図11に基づいて説明する。第1実施例と実質的に同一の構成部分については、同一符号を付す。
図10に示すように、第2実施例による触媒コンバータ50は、フランジ51にボルト、ピン等の連結要素を差込可能な孔51aを設けた点が第1実施例と異なる。
【0050】
前述の第1実施例に示した触媒コンバータ10によると、保護筒12と導入管21cとが位置決めをされることなく固定されるため、導入管21cと保護筒12とを同軸上に位置させるのが困難であり、保護筒12の外周壁が導入管21cの内壁と局所的に接触する可能性がある。その結果、この保護筒12の外周壁と導入管21cとの接触点によりハニカム担体11から外部への放熱経路が短縮され昇温性能の低下を助長するおそれが生ずることになる。
【0051】
そこで、第2実施例による触媒コンバータ50では、第1実施例の触媒コンバータ10のフランジ17に代えて、位置決め可能な孔51aを有するフランジ51を保護筒13の外周壁に設けている。
図11に示すように、保護筒13の外周壁には、例えば耐熱性ステンレスSUS430からなる鍔状のフランジ51が溶接固定されている。このフランジ51には、ボルト19が貫通可能な孔51aが周方向に例えば6箇所60°間隔に形成されている。触媒コンバータ50を導入管21cに取付ける時、この孔51aにボルト19が挿入されエキゾーストマニホールド用取付フランジ20aとスタートキャスタリスト用取付フランジ21aとともにフランジ51が共締めされる。このように、フランジ51に形成された孔51aにボルト、ピン等の連結要素を挿入することにより、触媒コンバータ50の排気管経路への容易な位置決めを可能にしている。ここで、ボルト19と孔51aとのクリアランスは0.5mm程度が望ましい。
【0052】
第2実施例の触媒コンバータ50によると、導入管21cに固定される触媒コンバータ50のフランジ51には、周方向に等間隔な孔51aが形成されていることから、触媒コンバータ50を導入管21cに取付ける時、導入管21cと保護筒12とを同軸上に容易に位置させることができ、触媒コンバータ50の取付精度を向上することができる。これにより、保護筒12の外周壁が導入管21cの内壁と局所的に接触することを防止する効果がある。その結果、保護筒12の外周壁と導入管21cの内壁との接触を防止するため、保護筒12の外周壁と導入管21cとの接触点からの放熱を防止する効果がある。
【0053】
なお、第2実施例では、触媒コンバータ50の位置決めにボルト19を用いたが、本発明ではこれに限られることはなく、ピン、その他軸状部材を用いて位置決めしても良い。
また、第2実施例では、触媒コンバータ50のフランジ51には、6箇所60°間隔に孔51aが形成されたが、本発明ではこれに限られることはなく、4箇所90°間隔、8箇所45°間隔等でも良い。
【0054】
さらに、第2実施例では、触媒コンバータ50の位置決めに孔51aを用いたが、本発明ではこれに限られることはなく、ボルト、ピン、その他軸状部材が係止可能な1箇所以上の切欠部をフランジに形成しても良い。
(第3実施例)
本発明の第3実施例による触媒コンバータを図12に基づいて説明する。第1実施例と実質的に同一の構成部分については、同一符号を付す。
【0055】
図12に示すように、第3実施例による触媒コンバータ60は、フランジを除去したことから、導入管61と保護筒121の固定を溶接により行う点が第1実施例と異なる。
保護筒12の外周壁の排ガス上流側には、溶接固定用部材63が形成されている。この溶接固定用部材63とスタートキャスタリスト用取付フランジ61aとが溶接されることにより、触媒コンバータ60が導入管61に固定される。溶接時、保護筒12とハニカム担体11との間に形成されている空隙部100の空気断熱層により断熱されるため、ハニカム担体11に担持されている触媒が溶接により生じた熱により損傷されることなく接合できる。
【0056】
また、ハニカム担体11の上流側端部11aとエキゾーストマニホールド用取付フランジ62aの平面部62bとの間には、1mm以上の間隔gが設けられている。
第3実施例の触媒コンバータ60によると、触媒コンバータ60と導入管61との固定にはフランジを用いることなく、保護筒12と導入管61と溶接することから、部品点数を削減することができる。これにより、触媒コンバータ60のコストを低減する効果がある。
【0057】
また、第3実施例の触媒コンバータ60によると、ハニカム担体11の上流側端部11aとエキゾーストマニホールド用取付フランジ62aの平面部62bとの間には、1mm以上の間隔gが設けられていることから、ハニカム担体11の軸方向の熱膨張量を吸収できる。これにより、ハニカム担体11が熱膨張時に上流側端部11aが平面部62bに当接することがなく、上流側端部11aの破損を防止する効果がある。
【0058】
(第4実施例)
本発明の第4実施例による触媒コンバータを図13に基づいて説明する。第1実施例と実質的に同一の構成部分については、同一符号を付す。
図13に示すように、第4実施例による触媒コンバータ70は、ハニカム担体71を構成する平板113と波板112との巻数または積層数を変更した点が第1実施例と異なる。
【0059】
触媒コンバータ70は、平板113と波板112とからなるハニカム担体71と、このハニカム担体71の外周を覆う保護筒72から構成されている。
ハニカム担体71は、平板113と波板112とを交互に重ね合わせ渦巻状に巻回した形状に構成されており、排ガス上流側が下流側より巻回数が少なくなるように巻回されている。
【0060】
ハニカム担体71の排ガス上流側において巻回数を少なくすることでハニカム担体71の上流側最外周に空隙部73を形成することにより、空気断熱層を設けることができる。これにより、第1実施例の触媒コンバータ10の保護筒12のように、排ガス上流側の内径を下流側の内径より大きくする必要がなくなり、排ガス上流側から下流側まで同一径の単純な円筒形状からなる保護筒72を使用することができる。
【0061】
第4実施例の触媒コンバータ70によると、ハニカム担体71を構成する平板113と波板112との巻回数を排ガス下流側より上流側の方が少なくなるように設定することによって、ハニカム担体71の排ガス上流側外径を小さくすることができる。したがって、単純な円筒形状からなる保護筒72を使用してもハニカム担体71の上流側最外周に空隙部73を形成することができる。これにより、ハニカム担体71に保護筒72を組付ける時、保護筒72の方向性を考慮する必要がなくなるため、組付時間が減少できコストを低減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例による触媒コンバータを排気経路に取付けた状態を示す模式的断面図である。
【図2】図3のII方向矢視図である。
【図3】第1実施例による触媒コンバータの半断面図である。
【図4】第1実施例による触媒コンバータのハニカム担体に使用される平板の展開図である。
【図5】第1実施例による触媒コンバータのスリット部の模式的説明図である。
【図6】第1実施例による触媒コンバータをエンジンの排気経路中に搭載した状態を示す全体構成図である。
【図7】図6のVII 方向矢視図である。
【図8】第1実施例による触媒コンバータの実験結果を示す昇温性能特性図である。
【図9】第1実施例による触媒コンバータの実験結果を示すハニカム担体の径方向温度分布特性図である。
【図10】本発明の第2実施例による触媒コンバータを排気経路に取付けた状態を示す模式的断面図である。
【図11】第2実施例による触媒コンバータのフランジの平面図である。
【図12】本発明の第3実施例による触媒コンバータを排気経路に取付けた状態を示す模式的断面図である。
【図13】本発明の第4実施例による触媒コンバータの模式的断面図である。
【符号の説明】
10、50、60、70 触媒コンバータ
11、71 ハニカム担体 (ハニカム体)
11a 上流側端部 (ハニカム体の上流側端部)
12 保護筒
13 スタートキャスタリスト(下流側触媒コンバータ)
17、51 フランジ
51a 孔 (貫通孔)
18 ガスケット (シール部材)
19 ボルト (接続部材)
20a、62a エキゾーストマニホールド用取付フランジ(上流側フランジ)
20b、62b 平面部 (上流側フランジの端面)
21 スタートキャスタリスト用外筒
21a、61a スタートキャスタリスト用取付フランジ(下流側フランジ)
21c、61 導入管 (下流側経路)
21e コーン部
22 排気管
40 エンジン (内燃機関)
41、42、62 エキゾーストマニホールド(上流側経路、排気マニホールド)
73、100 空隙部
111 スリット部
112 波板
113 平板
【産業上の利用分野】
本発明は、内燃機関から排出される排気ガス中の有害物質を無害化する触媒コンバータに関し、例えば自動車用の触媒コンバータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用エンジンから排出されるHC、CO、NOx等の有害物質を無害な気体または水に変換するため、メタル担体に触媒を担持した触媒コンバータが知られている。ところが、この種の触媒コンバータによると、エンジン始動開始後から一定期間、触媒物質の活性化温度にメタル担体が十分に昇温しないことから、この一定期間、排ガスの有害物質が浄化されないまま排出されるおそれがある。
【0003】
そこで、実開平5−69316号公報に開示されている電熱触媒担体は、金属製ハニカム担体に電流を流すことにより金属製ハニカム担体自体が発熱する現象を利用し、触媒物質を短時間に昇温させ触媒反応を促進させている。
また、特開平2−99144号公報に開示されている板状触媒およびその製造方法は、菱形状のスリットを有するエキスパンドメタル板を触媒物質を塗布する基板に使用し熱容量を小さくするとともに、波型および凹凸部を有する成形ロールによりエキスパンドメタル板を成形し、触媒物質の表面積を増大させることによって触媒物質の反応率を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実開平5−69316号公報に開示されている電熱触媒担体によると、通電により強制的に金属製ハニカム担体を発熱させることから、電力供給手段等が必要となり、システム構成が複雑になるという問題がある。
また、特開平2−99144号公報に開示されている板状触媒およびその製造方法によると、スリットの開口部を埋めるようにエキスパンドメタル板全面に触媒物質が塗布されることから、必要な触媒物質量が増加しコストの増大を招くという問題がある。
【0005】
さらに、メタル担体は、板厚が数10ミクロンの平板および波板より構成されるため比較的小さな外力によって損傷する場合があり、運搬時、排気管への取付時等、メタル担体に損傷を与えることなく取扱うことが困難であるという問題がある。
さらにまた、メタル担体は、高温の排ガスの熱により触媒物質を活性化温度に昇温させるため、排ガス温度の高いエンジンの近傍に取付られる。このため、自動車の走行時、振動および高温の排ガス熱により波板と平板との接合部が損傷する(以下「スコーピング」という)おそれがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、耐久性を向上するとともに、触媒物質の活性化温度まで短時間に電力を用いることなく昇温し、排ガスの浄化能力を十分に発揮させる取付方法により取付けられる触媒コンバータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するための本発明による請求項1記載の触媒コンバータは、内燃機関の排気経路中に配設され、金属製の平板と波板とが交互に重ね合わせられるとともに径方向に隣接する前記平板と前記波板とが接合され、巻回または積層して構成されるハニカム体を有する触媒コンバータであって、
排ガス流れ方向に直交する方向へ延びる複数個のスリットが前記平板または前記波板の少なくとも一方の排気経路上流側に形成されるハニカム体と、
前記ハニカム体の周囲を覆いかつ前記ハニカム体の下流側外壁に接合される内壁を有する筒形状の保護筒とを備え、
前記排気経路の上流側経路または下流側経路の少なくとも一方に前記保護筒の上流側が固定されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明による請求項2記載の触媒コンバータは、請求項1記載の触媒コンバータにおいて、前記ハニカム体は、耐熱ステンレスからなることを特徴とする。
また、本発明による請求項3記載の触媒コンバータは、請求項1または2記載の触媒コンバータにおいて、前記保護筒の上流側に形成されるフランジは、前記上流側経路に形成される上流側フランジと前記下流側経路に形成される下流側フランジとの間に挟み込まれ固定されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明による請求項4記載の触媒コンバータは、請求項3記載の触媒コンバータにおいて、前記フランジは、シール部材を介して前記上流側フランジと下流側フランジとの間に挟み込まれ接続部材により固定されることを特徴とする。
また、本発明による請求項5記載の触媒コンバータは、請求項4記載の触媒コンバータにおいて、前記シール部材は、ガスケットであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明による請求項6記載の触媒コンバータは、請求項4記載の触媒コンバータにおいて、前記シール部材は、耐熱Oリングであることを特徴とする。また、本発明による請求項7記載の触媒コンバータは、請求項4、5または6記載の触媒コンバータにおいて、前記フランジには、複数個の貫通孔が形成され、この複数個の貫通孔に前記接続部材を挿入することにより前記排気経路中に位置決めされることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による請求項8記載の触媒コンバータは、請求項4、5または6記載の触媒コンバータにおいて、前記フランジには、複数個の切欠部が形成され、この複数個の切欠部に前記接続部材を挿入することにより前記排気経路中に位置決めされることを特徴とする。
また、本発明による請求項9記載の触媒コンバータは、請求項4〜8のいずれか一項記載の触媒コンバータにおいて、前記接続部材は、ボルトまたはピンであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明による請求項10記載の触媒コンバータは、請求項1〜9のいずれか一項記載の触媒コンバータにおいて、前記排気経路は、排気マニホールド、下流側触媒コンバータ、排気管および消音器で構成され、前記触媒コンバータが前記排気マニホールドの下流側かつ前記下流側触媒コンバータの上流側に位置することを特徴とする。
【0013】
また、本発明による請求項11記載の触媒コンバータは、請求項10記載の触媒コンバータにおいて、前記触媒コンバータは、前記下流側触媒コンバータを構成する下流側ハニカム体に近接して位置することを特徴とする。
また、本発明による請求項12記載の触媒コンバータは、請求項11記載の触媒コンバータにおいて、前記触媒コンバータの下流側外周縁と前記下流側触媒コンバータ上流側外周縁とは、前記触媒コンバータから前記下流側触媒コンバータに向って内径が拡大するコーン部により接続され、前記触媒コンバータの下流端部が前記コーン部内に突出することなく取付けられたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による請求項13記載の触媒コンバータは、請求項12記載の触媒コンバータにおいて、前記コーン部の広がり角度は90°以下、または前記下流側触媒コンバータと前記触媒コンバータとの軸方向間隔が40mm以上であることを特徴とする。
また、本発明による請求項14記載の触媒コンバータは、請求項1〜13のいずれか一項記載の触媒コンバータにおいて、前記ハニカム体の上流側に空隙部が形成され、前記ハニカム体の下流側と前記保護筒の下流側内壁とが接合されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による請求項15記載の触媒コンバータは、請求項14記載の触媒コンバータにおいて、前記空隙部は、前記保護筒の上流側内径を前記保護筒の下流側内径より大きくすることにより形成されることを特徴とする。
また、本発明による請求項16記載の触媒コンバータは、請求項14記載の触媒コンバータにおいて、前記空隙部は、前記平板と前記波板との巻回数または積層数が前記ハニカム体下流側より前記ハニカム体上流側の方が少ないことにより形成されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による請求項17記載の触媒コンバータは、請求項1〜16のいずれか一項記載の触媒コンバータにおいて、前記保護筒は、排ガス上流側において前記ハニカム体の上流側端部より軸方向に突出することを特徴とする。
また、本発明による請求項18記載の触媒コンバータは、請求項1〜17のいずれか一項記載の触媒コンバータにおいて、前記ハニカム体の外径は、前記上流側経路の内径より大きな径であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明による請求項19記載の触媒コンバータは、請求項18記載の触媒コンバータにおいて、前記上流側経路に形成される前記上流側フランジと前記上流側経路との間には、排気管要素が介在することを特徴とする。
また、本発明による請求項20記載の触媒コンバータは、請求項19記載の触媒コンバータにおいて、前記ハニカム体の外周部の軸方向輪郭線を前記上流側経路方向に延長する延長線上には、前記上流側フランジまたは前記排気管要素が位置することを特徴とする。
【0018】
また、本発明による請求項21記載の触媒コンバータは、請求項20記載の触媒コンバータにおいて、前記排気管要素は、1つ以上の平面または内径の少なくとも一方が徐々に広がるコーン部により形成されることを特徴とする。
また、本発明による請求項22記載の触媒コンバータは、請求項21記載の触媒コンバータにおいて、前記ハニカム体は、前記上流側フランジの端面または前記排気管要素と前記ハニカム体との離隔距離が1mm以上であって、かつ前記上流側フランジの肉厚以下になるように排ガス流れ方向に取付けられることを特徴とする。
【0019】
【作用および発明の効果】
本発明の触媒コンバータによると、排気経路の上流側経路または下流側経路の少なくとも一方に前記保護筒の上流側が固定され、ハニカム体の下流側と保護筒の下流側内壁とが接合されるため、ハニカム体の熱が保護筒を経由して排気経路に達する伝熱経路が長く確保できる。これにより、ハニカム体の放熱を抑制し放熱量を少なくする効果がある。
【0020】
また、本発明の触媒コンバータによると、金属製の平板または波板の少なくとも一方の排気経路上流側に排ガス流れ方向に直交する方向に延びる複数個のスリットが形成されることから、平板または波板の排気経路上流側の熱容量が小さくなる。また複数個のスリットにより排ガスの流れが攪乱されることから、スリットが形成されたハニカム体の上流側では熱伝達効率が高まる。これにより、短時間に触媒物質の活性化温度まで昇温させる効果がある。
【0021】
さらに、本発明の触媒コンバータによると、触媒コンバータを構成するハニカム体の外径が上流側経路の内径より大きな径に設定されることから、ハニカム体の外周部より軸中心方向に排ガスが効率良く流入する。これにより、上流側経路からハニカム体に流入する排ガスが比較的温度上昇速度の速いハニカム体の軸中心方向に集まる。したがって、排ガスの浄化が促進できるとともに温度上昇速度の遅いハニカム体の外周部に流入する排ガスを少なくでき、ハニカム体の排ガス浄化能力を発揮させる効果がある。またハニカム体の外周部分の温度勾配を緩やかにするとともに、ハニカム体と保護筒との間に生ずる熱応力を減少させることから、ハニカム体と保護筒との熱容量の違いから生ずるスコーピングを防止し、耐久性を向上する効果がある。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例による触媒コンバータを図1〜図9に基づいて説明する。
図2に示すように、触媒コンバータ10は、平板113と波板112とからなるハニカム担体11と、このハニカム担体11の外周を覆う保護筒12と、保護筒12の外周壁に取付けられたフランジ17とから構成されている。
【0023】
ハニカム担体11は、平板113と波板112とを交互に重ね合わせ渦巻状に巻回した形状に構成されている。ハニカム担体11を構成する平板113と波板112とは、双方とも例えばCrが18〜24wt%、Alが4.5〜5.5wt%、希土類元素(REM)が0.1〜0.2wt%、残部FeであるFe−Cr−Al組成よりなる耐熱ステンレス箔である。
【0024】
図4に示すように、巻回前の平板113および波板112は、例えば板幅cが60mm、板厚が0.03〜0.20mmの帯状に形成されている。
図3および図4に示すように、平板113および波板112には、スリット部111が軸方向の略中央部から排ガス上流側端部方向に向って形成されている。ここで、展開した波板112と平板113とは、同一形状からなるため、図4には平板113の展開形状を代表して記載する。平板113の一端部には、平板113と波板112とを接合するための溶接部になる幅aに非スリット部が設けられている。この幅aは、例えば3mmである。非スリット部に隣接する位置に幅bのスリット部111が形成されている。幅bは例えば31.2mmである。
【0025】
図5に示すように、スリット部111に形成される矩形状のスリットは、例えば次に示す各寸法により形成されている。
スリット幅w = 3mm
スリット高さh = 1.2mm
直交方向スリット間隔D = 1mm
軸方向スリット間隔H = 0.8mm
この矩形状のスリットは、ハニカム担体11の軸方向に対して直交方向に間隔Dで連続して形成され、また軸方向に間隔Hで連続して形成されている。また軸方向に隣接するスリット同士は、互いに(w+D)/2だけずれるように位置している。
【0026】
波板112は、例えば繰返しピッチ4.9mm、波の振幅に相当する高さ1.7mmの波状に形成されている。
平板113と波板112とは、巻回後、排ガス上流側に互いのスリット部111が位置するように巻回される。平板113および波板112のスリット部111の排ガス上流側および下流側に位置するそれぞれの非スリット部がこの巻回と同時にレーザビーム溶接、抵抗溶接、ろう付等により接合される。これにより、平板113と波板112とが互いに接合される。
【0027】
図1〜図3に示すように、巻回された平板113と波板112とからなるハニカム担体11は、例えば耐熱性ステンレスSUS430からなるハニカム担体11より軸方向に長い筒状の保護筒12により周囲を覆われている。保護筒12は、保護筒12の排ガス上流側の内径が保護筒12の排ガス下流側の内径より大きくなるように形成されていることから、スリット部111が形成されるハニカム担体11の周囲に空隙部100を確保できる。この空隙部100の空隙は例えば1.5mmであり、波板112の高さと同程度の空隙を保持しており、空隙部100によって空気断熱部が形成されている。また、保護筒12とハニカム担体11とは、排ガス下流側で互いに接続され、排ガス上流側では保護筒12とハニカム担体11とが接触することがないため、ハニカム担体11と保護筒12との迂回伝熱経路が構成されている。したがって、この空隙部100と迂回伝熱経路とにより、ハニカム担体11の熱が保護筒12を伝わり外部に放熱する経路を長くすることができ、昇温したハニカム担体11の熱が保護筒12に逃げるのを抑制する効果がある。
【0028】
さらに、排ガス上流側において、ハニカム担体11の排ガス上流側に位置する上流側端部11aより保護筒12の端部が軸方向に突出するようにハニカム担体11と保護筒12との位置関係が決められている。これにより、ハニカム担体11の保管、運搬、排気管への取付等の場合、上流側端部11aが保護筒12より外側に突出することがないため、ハニカム担体11が傷付き難くなる効果がある。
【0029】
ハニカム担体11の排ガス下流側を覆う保護筒12の一部には、ハニカム担体11の軸方向に沿って延びる切欠部121が8箇所に形成されている。この8箇所の切欠部121は、保護筒12の円周方向に45°間隔に形成されている。
ハニカム担体11と保護筒12とは、8箇所の切欠部121を除く保護筒12の周方向部分に保護筒12の外部からレーザビームを照射することにより、ハニカム担体11の波板112と保護筒12の内周壁とが溶接固定されている。このハニカム担体11と保護筒12との接合は、レーザビーム溶接に限らず、ろう付により施されても良い。図2および図3には、レーザビーム溶接による溶接痕32が示されている。このハニカム担体11と保護筒12との接合に際し、ハニカム担体11の最外周に位置する波板112と保護筒12との熱容量差によって波板112側に溶接割れが生ずるおそれがある。そのため、レーザビーム溶接により溶接する場合、ハニカム担体11の最外周には波板112を2枚重ねて位置させることにより、波板112側の溶接割れを防止することができる。また、ろう付する場合、ろう付面積を十分確保するためハニカム担体11の最外周には平板113を位置させるのが好ましい。
【0030】
ハニカム担体11の排ガス上流側を覆う保護筒12の外周壁には、例えば耐熱性ステンレスSUS430からなる鍔状のフランジ17が溶接固定され、溶接痕31が形成されている。フランジ17は、溶接性を考慮し保護筒12と同質の材料が選択されている。さらに高い溶接性を確保するため、保護筒12とフランジ17との溶接面に後述するγ−Al2 O3 コートおよび触媒担持が施される前にフランジ17が保護筒12に溶接される。
【0031】
次に、触媒物質の担持方法について説明する。
800〜1200℃で1〜10時間、ハニカム担体11を加熱することにより、ハニカム担体11を構成する平板113、波板112の表面にアルミニウムの酸化物が析出する。この加熱処理は、γ−Al2 O3 コートの剥離抑制を目的として行うものであり、平板113、波板112の表面にアルミナウィスカを生成させ表面積を増加させるものである。これにより高い信頼性を得ることができるため、この加熱処理を施した方が好ましい。この加熱処理後、Al2 O3 を含有するスラリー中にこのハニカム担体11を含浸させ焼成させる。これにより、平板113、波板112の表面がγ−Al2 O3 コートされる。γ−Al2 O3 層を形成後、触媒担持工程により例えば白金、ロジウム、パラジウム等を溶解した水溶液中にハニカム担体11を含浸させ再度焼成させる。
【0032】
以上の工程により組付られたハニカム担体11は、自動車の排気経路に取付可能な触媒コンバータ10として機能する。
次に、触媒コンバータ10を自動車の排気経路に取付けた状態を図6に基づいて説明する。
図6および図7に示すように、V8、4000ccのエンジン40より導出される8本のエキゾーストマニホールドは4本ずつ集合されており、この集合された2本のエキゾーストマニホールド41、42がエンジンの排気経路として構成されている。エキゾーストマニホールド41、42の途中には、触媒コンバータ10およびこの触媒コンバータ10の下流に位置するスタートキャタリスト13が配置されている。スタートキャタリスト13は、1300ccの容量を有するセラミックからなるモノリス触媒であり、スタートキャタリスト用外筒21内にワイヤネットまたはセラミック繊維マット14を介して保持されている。
【0033】
スタートキャタリスト用外筒21の下流側フランジ21bと排気管22のフランジ22aとは、互いにボルトによって連結されており、さらに排気管22の排ガス下流側では、排気管22が1本に集合されたあと図示しない1000ccのメインキャタリストに接続されている。このように、エキゾーストマニホールド41、42とスタートキャタリスト13との間にスタートキャタリスト13より低熱容量の触媒コンバータ10を位置させることによって、短時間に昇温する触媒コンバータ10によってエンジン始動直後のアイドリング時の排ガスを浄化する効果がある。さらに触媒コンバータ10とスタートキャタリスト13とを接近させることにより、排ガス上流側の触媒コンバータ10の触媒物質の反応熱により排ガス下流側のスタートキャタリスト13の触媒物質の活性化を促進させる効果がある。
【0034】
図1および図3に示すように、触媒コンバータ10のフランジ17は、シール部材であるガスケット18を介してエキゾーストマニホールド取付フランジ20aとスタートキャタリスト取付フランジ21aとの間に挟込まれ、ボルト19によって排気管経路に固定されている。ここで、シール部材は、ガスケットに限られることはなく、例えば耐熱Oリング等でも良い。このシール部材により、排ガスが触媒コンバータ10を通過することなく、上流側から下流側に流入することを防止している。
【0035】
また、ハニカム担体11の外径dはエキゾーストマニホールド41、42の内径より大きく設定されている。例えばエキゾーストマニホールド41、42の内径がハニカム担体11の外径dより大きい場合、エキゾーストマニホールド41、42とエキゾーストマニホールド取付フランジ20aとの間に排ガス流れ方向に向って径が縮小するコーン形状等からなる排気管要素を設ける。一方、エキゾーストマニホールド41、42の内径がハニカム担体11の外径dより小さい場合には、エキゾーストマニホールド41、42とエキゾーストマニホールド取付フランジ20aとの間に排ガス流れ方向に向って径が拡大するコーン形状等からなる排気管要素を設けても良い。この排気管要素により、エキゾーストマニホールド41、42とハニカム担体11とが最適な接続状態になるように調整する。
【0036】
さらに、エキゾーストマニホールド用取付フランジ20aが有する平面部20bとハニカム担体11の上流側端部11aとの間には後述する1〜10mmの間隔eを確保し触媒コンバータ10が排気経路に取付けられている。この間隔eにより、エキゾーストマニホールド41、42からの排気ガスが空隙部100に直接流入することがない。またハニカム担体11の外径dがエキゾーストマニホールド41、42の内径より大きいことから、エキゾーストマニホールド41、42からハニカム担体11に流入する排ガスが比較的温度上昇速度の速いハニカム担体11の軸中心方向に集まる。したがって、排ガスの浄化が促進できるとともに温度上昇速度の遅いハニカム担体11の最外周部に流入する排ガスを少なくでき、ハニカム担体11の排ガス浄化効率を向上させる効果がある。
【0037】
また、スタートキャタリスト13の排ガス上流側に位置する導入管21cの内径は、触媒コンバータ10の保護筒12の外径より大きく設定されている。導入管21cと導入管21cより内径の大きいスタートキャスタリスト用外筒21との間には、導入管21c側からスタートキャスタリスト用外筒21側方向に向って内径が拡大するテーパ形状のコーン部21eが位置し、導入管21cとスタートキャスタリスト用外筒21とを接続している。このコーン部21eの広がり角θは、90°以下であることが望ましく、触媒コンバータ10とスタートキャスタリスト13との間隔fと、ハニカム担体11の外径とスタートキャスタリスト13の外径との比率と、この広がり角θとには相関関係がある。この比率と広がり角θとから間隔fが決定されるが、いずれの場合も間隔fは40mm以上が望ましい。またハニカム担体11の外径とスタートキャスタリスト13の外径とが略同径である場合、コーン部21eの広がり角θが0°になる。この場合は、ハニカム担体11とスタートキャスタリスト13とが接触していても良い。
【0038】
さらに、触媒コンバータ10は、このコーン部21eが形成する空間部101に触媒コンバータ10の下流側端部が飛出ないように導入管21c内に収容されている。これにより、空間部101内で排気ガスが渦流になるのを防止している。この触媒コンバータ10の収容位置と前述の間隔fの設定とにより、ハニカム担体11によって加熱された高温の排ガスをほぼ均一にスタートキャスタリスト13のモノリス触媒に流入させることが可能になるとともに、スタートキャタリスト13の外周部に排ガスを流入し易くする効果がある。
【0039】
さらにまた、ハニカム担体11の上流側端部11aとエキゾーストマニホールド用取付フランジ20aの平面部20bとの間には、1mm以上の間隔eが設けられている。この間隔eにより、ハニカム担体11の軸方向の熱膨張量を吸収しているため、熱膨張時に上流側端部11aが平面部20bに当接することがなく、上流側端部11aの破損を防止している。またハニカム担体11を昇温させるためには、高温の排ガスを利用することが有効であり、エキゾーストマニホールド41の排ガス上流側に触媒コンバータ10を位置させることが望ましい。ところが、触媒コンバータ10を配設する排ガス上流側には、熱容量の大きなエキゾーストマニホールド用取付フランジ20aが位置するため、エンジン40から排出された排ガスの温度がこのエキゾーストマニホールド用取付フランジ20aの下流側で急激に低下する。そのため、前記間隔eとフランジ20aの厚さ例えば10mmとの兼合いから、ハニカム担体11の上流側端部11aとエキゾーストマニホールド用取付フランジ20aの平面部20bとの間隔eが1〜10mmになるように触媒コンバータ10を位置させることが望ましい。
【0040】
次に、触媒コンバータ10の作動を図1および図6に基づいて説明する。
エンジン40の始動後、各気筒の排気行程で各気筒から排気された排ガスは、エキゾーストマニホールド41、42を経由して触媒コンバータ10に達する。触媒コンバータ10に達した排ガスがハニカム担体11の上流側に位置するスリット部111に衝突し、次に列挙するスリット部111の効果▲1▼▲2▼▲3▼▲4▼▲5▼に加え、空隙部100の空気断熱部によりスリット部111と保護筒12とが断熱されていることからスリット部111の温度は最も速く上昇する。
【0041】
▲1▼スリットの形成によりスリット部111の熱容量が小さくなる。
▲2▼スリットの形成によりハニカム担体11の軸方向に対するハニカム担体11の断面積が小さくなるため、ハニカム担体11の下流側への熱伝導を抑制する。
▲3▼スリットの形成位置を互い違いにしたことにより伝熱経路が長くなるため、ハニカム担体11の下流側への熱伝導を抑制する。
【0042】
▲4▼スリットの形成により平板2と波板3との接触面積が減少するため、ハニカム担体11の径方向外側への熱伝導を抑制する。
▲5▼スリットには排ガスの流れを攪乱する働きがあるため、熱伝達効率を高める。
また、ハニカム担体11と保護筒12とはハニカム担体11の下流側の溶接痕32で接合され、保護筒12とエキゾーストマニホールド41、42とはハニカム担体11の上流側のフランジ17により固定されているため、ハニカム担体11の熱が保護筒12を経由してエキゾーストマニホールド41、42に達する伝熱経路が長く確保できる。これにより、ハニカム担体11の放熱を抑制し放熱量を極めて少なくしている。
【0043】
さらに、スリット部111が形成されていないハニカム担体11の排ガス下流側は、スリット部111が形成されている排ガス上流側と比較して、径方向および軸方向に熱伝導度が大きいため熱伝導速度が極めて速く、ハニカム担体11の排ガス下流側全域が短時間で触媒の活性化温度まで昇温する。
次に、第1実施例の触媒コンバータ10と比較例1の触媒コンバータとの排ガスによる温度上昇特性について調べた実験結果を図8に基づいて説明する。
【0044】
図7に示すように、エキゾーストマニホールド41の途中に触媒コンバータ10または比較例1の触媒コンバータを配設し、この排ガス下流側にスタートキャタリスト13配設する構成により実験を行った。また比較例1の触媒コンバータには、ハニカム担体11の平板113、波板112の双方にスリット部が形成されていない以外は触媒コンバータ10と同様の構成からなるものを使用した。また、各触媒コンバータ、スタートキャタリスト13の温度上昇を調べるにあたっては、各触媒コンバータまたはスタートキャタリスト13の排ガス上流側から軸方向に19mm排ガス下流側の位置に対応する触媒コンバータまたはスタートキャタリスト13の中心部の温度状態を測定した。
【0045】
図8に示すように、触媒コンバータ10においては、エンジン始動後、約10秒間で300℃の温度に達している。これに対し比較例1の触媒コンバータにおいては、触媒コンバータ10の場合より約5秒遅く約15秒間で300℃の温度に達している。さらに、各触媒コンバータの排ガス下流側にあるスタートキャタリスト13においてもスタートキャタリスト13の排ガス上流側に触媒コンバータ10が配設されている構成の方が温度上昇が速い。このように、ハニカム担体の排ガス上流側にスリット部を形成することにより、触媒コンバータの急速な温度上昇を得ることができ、またこれに加え触媒コンバータとスタートキャタリストとをコーン部により接続することにより、スタートキャタリストの急速な温度上昇を得ることができることを本実験により確認した。
【0046】
次に、第1実施例の触媒コンバータ10、比較例2の触媒コンバータそれぞれのハニカム担体の径方向の温度分布について調べた実験結果を図9に基づいて説明する。
図7に示すように、エキゾーストマニホールド41の途中に触媒コンバータ10または比較例2の触媒コンバータを配設し、この排ガス下流側にスタートキャタリスト13配設する構成により実験を行った。また比較例2の触媒コンバータには、エキゾーストマニホールドのフランジ内径が、ハニカム担体11の外径よりも大きくエキゾーストマニホールドから流入する排気ガスがハニカム担体11と保護筒12との間に形成される空隙部100に流入するものを使用した。エンジン始動後17秒間経過後における触媒コンバータの軸方向に排ガス上流側端部から45mm排ガス下流側の位置に対応する径方向の温度分布を測定した。
【0047】
図9に示すように、触媒コンバータ10においては、エキゾーストマニホールド41の内径より外側に位置するハニカム担体11の外周部分で緩やかな温度勾配αになっている。これはハニカム担体11の内径よりエキゾーストマニホールド41の内径を小さく設定したことによりハニカム担体11の外周部に流入する排気ガスを抑制し、ハニカム担体11の外周部の触媒反応を抑制したことによる。これに対し比較例2の触媒コンバータにおいては、ハニカム担体11の外周部分の温度勾配βが前記温度勾配αより大きくなっている。これはハニカム担体11の内径よりエキゾーストマニホールド41の内径を大きく設定したことによりハニカム担体11の空隙部100および外周部に排ガスが多量に流入したためである。このように、ハニカム担体の排ガス上流側にスリット部を形成することにより、ハニカム担体11の内径をエキゾーストマニホールド41の内径より大きく設定することにより、ハニカム担体11の外周部分の温度勾配を緩やかにするとともに、ハニカム担体11と保護筒12との間に生ずる熱応力を減少させることができる。これにより、ハニカム担体11と保護筒12との熱容量の違いから生ずるスコーピングを防止する効果がある。さらにハニカム担体11と保護筒12との熱容量の違いから、自動車走行時のエンジン回転数の増減に伴いハニカム担体11内部に生ずる繰返し熱応力を減少させ触媒コンバータ10の耐久性を向上させる効果がある。
【0048】
また、ハニカム担体11の内径をエキゾーストマニホールド41の内径より大きく設定することにより、ハニカム担体11の軸中心方向に高温の排ガスが効率良く流入することから、比較例2の触媒コンバータより触媒コンバータ10の方がハニカム担体中心から約20mmの範囲において高温なっている。これにより、ハニカム担体11の昇温性能をさらに向上させる効果がある。
【0049】
(第2実施例)
本発明の第2実施例による触媒コンバータを図10および図11に基づいて説明する。第1実施例と実質的に同一の構成部分については、同一符号を付す。
図10に示すように、第2実施例による触媒コンバータ50は、フランジ51にボルト、ピン等の連結要素を差込可能な孔51aを設けた点が第1実施例と異なる。
【0050】
前述の第1実施例に示した触媒コンバータ10によると、保護筒12と導入管21cとが位置決めをされることなく固定されるため、導入管21cと保護筒12とを同軸上に位置させるのが困難であり、保護筒12の外周壁が導入管21cの内壁と局所的に接触する可能性がある。その結果、この保護筒12の外周壁と導入管21cとの接触点によりハニカム担体11から外部への放熱経路が短縮され昇温性能の低下を助長するおそれが生ずることになる。
【0051】
そこで、第2実施例による触媒コンバータ50では、第1実施例の触媒コンバータ10のフランジ17に代えて、位置決め可能な孔51aを有するフランジ51を保護筒13の外周壁に設けている。
図11に示すように、保護筒13の外周壁には、例えば耐熱性ステンレスSUS430からなる鍔状のフランジ51が溶接固定されている。このフランジ51には、ボルト19が貫通可能な孔51aが周方向に例えば6箇所60°間隔に形成されている。触媒コンバータ50を導入管21cに取付ける時、この孔51aにボルト19が挿入されエキゾーストマニホールド用取付フランジ20aとスタートキャスタリスト用取付フランジ21aとともにフランジ51が共締めされる。このように、フランジ51に形成された孔51aにボルト、ピン等の連結要素を挿入することにより、触媒コンバータ50の排気管経路への容易な位置決めを可能にしている。ここで、ボルト19と孔51aとのクリアランスは0.5mm程度が望ましい。
【0052】
第2実施例の触媒コンバータ50によると、導入管21cに固定される触媒コンバータ50のフランジ51には、周方向に等間隔な孔51aが形成されていることから、触媒コンバータ50を導入管21cに取付ける時、導入管21cと保護筒12とを同軸上に容易に位置させることができ、触媒コンバータ50の取付精度を向上することができる。これにより、保護筒12の外周壁が導入管21cの内壁と局所的に接触することを防止する効果がある。その結果、保護筒12の外周壁と導入管21cの内壁との接触を防止するため、保護筒12の外周壁と導入管21cとの接触点からの放熱を防止する効果がある。
【0053】
なお、第2実施例では、触媒コンバータ50の位置決めにボルト19を用いたが、本発明ではこれに限られることはなく、ピン、その他軸状部材を用いて位置決めしても良い。
また、第2実施例では、触媒コンバータ50のフランジ51には、6箇所60°間隔に孔51aが形成されたが、本発明ではこれに限られることはなく、4箇所90°間隔、8箇所45°間隔等でも良い。
【0054】
さらに、第2実施例では、触媒コンバータ50の位置決めに孔51aを用いたが、本発明ではこれに限られることはなく、ボルト、ピン、その他軸状部材が係止可能な1箇所以上の切欠部をフランジに形成しても良い。
(第3実施例)
本発明の第3実施例による触媒コンバータを図12に基づいて説明する。第1実施例と実質的に同一の構成部分については、同一符号を付す。
【0055】
図12に示すように、第3実施例による触媒コンバータ60は、フランジを除去したことから、導入管61と保護筒121の固定を溶接により行う点が第1実施例と異なる。
保護筒12の外周壁の排ガス上流側には、溶接固定用部材63が形成されている。この溶接固定用部材63とスタートキャスタリスト用取付フランジ61aとが溶接されることにより、触媒コンバータ60が導入管61に固定される。溶接時、保護筒12とハニカム担体11との間に形成されている空隙部100の空気断熱層により断熱されるため、ハニカム担体11に担持されている触媒が溶接により生じた熱により損傷されることなく接合できる。
【0056】
また、ハニカム担体11の上流側端部11aとエキゾーストマニホールド用取付フランジ62aの平面部62bとの間には、1mm以上の間隔gが設けられている。
第3実施例の触媒コンバータ60によると、触媒コンバータ60と導入管61との固定にはフランジを用いることなく、保護筒12と導入管61と溶接することから、部品点数を削減することができる。これにより、触媒コンバータ60のコストを低減する効果がある。
【0057】
また、第3実施例の触媒コンバータ60によると、ハニカム担体11の上流側端部11aとエキゾーストマニホールド用取付フランジ62aの平面部62bとの間には、1mm以上の間隔gが設けられていることから、ハニカム担体11の軸方向の熱膨張量を吸収できる。これにより、ハニカム担体11が熱膨張時に上流側端部11aが平面部62bに当接することがなく、上流側端部11aの破損を防止する効果がある。
【0058】
(第4実施例)
本発明の第4実施例による触媒コンバータを図13に基づいて説明する。第1実施例と実質的に同一の構成部分については、同一符号を付す。
図13に示すように、第4実施例による触媒コンバータ70は、ハニカム担体71を構成する平板113と波板112との巻数または積層数を変更した点が第1実施例と異なる。
【0059】
触媒コンバータ70は、平板113と波板112とからなるハニカム担体71と、このハニカム担体71の外周を覆う保護筒72から構成されている。
ハニカム担体71は、平板113と波板112とを交互に重ね合わせ渦巻状に巻回した形状に構成されており、排ガス上流側が下流側より巻回数が少なくなるように巻回されている。
【0060】
ハニカム担体71の排ガス上流側において巻回数を少なくすることでハニカム担体71の上流側最外周に空隙部73を形成することにより、空気断熱層を設けることができる。これにより、第1実施例の触媒コンバータ10の保護筒12のように、排ガス上流側の内径を下流側の内径より大きくする必要がなくなり、排ガス上流側から下流側まで同一径の単純な円筒形状からなる保護筒72を使用することができる。
【0061】
第4実施例の触媒コンバータ70によると、ハニカム担体71を構成する平板113と波板112との巻回数を排ガス下流側より上流側の方が少なくなるように設定することによって、ハニカム担体71の排ガス上流側外径を小さくすることができる。したがって、単純な円筒形状からなる保護筒72を使用してもハニカム担体71の上流側最外周に空隙部73を形成することができる。これにより、ハニカム担体71に保護筒72を組付ける時、保護筒72の方向性を考慮する必要がなくなるため、組付時間が減少できコストを低減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例による触媒コンバータを排気経路に取付けた状態を示す模式的断面図である。
【図2】図3のII方向矢視図である。
【図3】第1実施例による触媒コンバータの半断面図である。
【図4】第1実施例による触媒コンバータのハニカム担体に使用される平板の展開図である。
【図5】第1実施例による触媒コンバータのスリット部の模式的説明図である。
【図6】第1実施例による触媒コンバータをエンジンの排気経路中に搭載した状態を示す全体構成図である。
【図7】図6のVII 方向矢視図である。
【図8】第1実施例による触媒コンバータの実験結果を示す昇温性能特性図である。
【図9】第1実施例による触媒コンバータの実験結果を示すハニカム担体の径方向温度分布特性図である。
【図10】本発明の第2実施例による触媒コンバータを排気経路に取付けた状態を示す模式的断面図である。
【図11】第2実施例による触媒コンバータのフランジの平面図である。
【図12】本発明の第3実施例による触媒コンバータを排気経路に取付けた状態を示す模式的断面図である。
【図13】本発明の第4実施例による触媒コンバータの模式的断面図である。
【符号の説明】
10、50、60、70 触媒コンバータ
11、71 ハニカム担体 (ハニカム体)
11a 上流側端部 (ハニカム体の上流側端部)
12 保護筒
13 スタートキャスタリスト(下流側触媒コンバータ)
17、51 フランジ
51a 孔 (貫通孔)
18 ガスケット (シール部材)
19 ボルト (接続部材)
20a、62a エキゾーストマニホールド用取付フランジ(上流側フランジ)
20b、62b 平面部 (上流側フランジの端面)
21 スタートキャスタリスト用外筒
21a、61a スタートキャスタリスト用取付フランジ(下流側フランジ)
21c、61 導入管 (下流側経路)
21e コーン部
22 排気管
40 エンジン (内燃機関)
41、42、62 エキゾーストマニホールド(上流側経路、排気マニホールド)
73、100 空隙部
111 スリット部
112 波板
113 平板
Claims (22)
- 内燃機関の排気経路中に配設され、金属製の平板と波板とが交互に重ね合わせられるとともに径方向に隣接する前記平板と前記波板とが接合され、巻回または積層して構成されるハニカム体を有する触媒コンバータであって、
排ガス流れ方向に直交する方向へ延びる複数個のスリットが前記平板または前記波板の少なくとも一方の排気経路上流側に形成されるハニカム体と、
前記ハニカム体の周囲を覆いかつ前記ハニカム体の下流側外壁に接合される内壁を有する筒形状の保護筒とを備え、
前記排気経路の上流側経路または下流側経路の少なくとも一方に前記保護筒の上流側が固定されることを特徴とする触媒コンバータ。 - 前記ハニカム体は、耐熱ステンレスからなることを特徴とする請求項1記載の触媒コンバータ。
- 前記保護筒の上流側に形成されるフランジは、前記上流側経路に形成される上流側フランジと前記下流側経路に形成される下流側フランジとの間に挟み込まれ固定されることを特徴とする請求項1または2記載の触媒コンバータ。
- 前記フランジは、シール部材を介して前記上流側フランジと下流側フランジとの間に挟み込まれ接続部材により固定されることを特徴とする請求項3記載の触媒コンバータ。
- 前記シール部材は、ガスケットであることを特徴とする請求項4記載の触媒コンバータ。
- 前記シール部材は、耐熱Oリングであることを特徴とする請求項4記載の触媒コンバータ。
- 前記フランジには、複数個の貫通孔が形成され、この複数個の貫通孔に前記接続部材を挿入することにより前記排気経路中に位置決めされることを特徴とする請求項4、5または6記載の触媒コンバータ。
- 前記フランジには、複数個の切欠部が形成され、この複数個の切欠部に前記接続部材を挿入することにより前記排気経路中に位置決めされることを特徴とする請求項4、5または6記載の触媒コンバータ。
- 前記接続部材は、ボルトまたはピンであることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項記載の触媒コンバータ。
- 前記排気経路は、排気マニホールド、下流側触媒コンバータ、排気管および消音器で構成され、前記触媒コンバータが前記排気マニホールドの下流側かつ前記下流側触媒コンバータの上流側に位置することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載の触媒コンバータ。
- 前記触媒コンバータは、前記下流側触媒コンバータを構成する下流側ハニカム体に近接して位置することを特徴とする請求項10記載の触媒コンバータ。
- 前記触媒コンバータの下流側外周縁と前記下流側触媒コンバータ上流側外周縁とは、前記触媒コンバータから前記下流側触媒コンバータに向って内径が拡大するコーン部により接続され、前記触媒コンバータの下流端部が前記コーン部内に突出することなく取付けられたことを特徴とする請求項11記載の触媒コンバータ。
- 前記コーン部の広がり角度は90°以下、または前記下流側触媒コンバータと前記触媒コンバータとの軸方向間隔が40mm以上であることを特徴とする請求項12記載の触媒コンバータ。
- 前記ハニカム体の上流側に空隙部が形成され、前記ハニカム体の下流側と前記保護筒の下流側内壁とが接合されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項記載の触媒コンバータ。
- 前記空隙部は、前記保護筒の上流側内径を前記保護筒の下流側内径より大きくすることにより形成されることを特徴とする請求項14記載の触媒コンバータ。
- 前記空隙部は、前記平板と前記波板との巻回数または積層数が前記ハニカム体下流側より前記ハニカム体上流側の方が少ないことにより形成されることを特徴とする請求項14記載の触媒コンバータ。
- 前記保護筒は、排ガス上流側において前記ハニカム体の上流側端部より軸方向に突出することを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項記載の触媒コンバータ。
- 前記ハニカム体の外径は、前記上流側経路の内径より大きな径であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項記載の触媒コンバータ。
- 前記上流側経路に形成される前記上流側フランジと前記上流側経路との間には、排気管要素が介在することを特徴とする請求項18記載の触媒コンバータ。
- 前記ハニカム体の外周部の軸方向輪郭線を前記上流側経路方向に延長する延長線上には、前記上流側フランジまたは前記排気管要素が位置することを特徴とする請求項19記載の触媒コンバータ。
- 前記排気管要素は、1つ以上の平面または内径の少なくとも一方が徐々に広がるコーン部により形成されることを特徴とする請求項20記載の触媒コンバータ。
- 前記ハニカム体は、前記上流側フランジの端面または前記排気管要素と前記ハニカム体との離隔距離が1mm以上であって、かつ前記上流側フランジの肉厚以下になるように排ガス流れ方向に取付けられることを特徴とする請求項21記載の触媒コンバータ。
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