JP3671313B2 - 変位検出器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直線移動可能な可動体例えば電磁弁の弁体の直線方向位置を検出する変位検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、流体の圧力又は流量を高精度に調整するための電磁弁は、流路の開口面積を調整する弁体をリニアアクチュエータによって直線移動させると共に、弁体の直線方向位置を変位検出器により検出し、この検出値の目標値からの偏差に応じてリニアアクチュエータをフィードバック制御することにより、流体の圧力又は流量を高精度に調整するよう構成されている。
【0003】
この種の電磁弁のみに限られるものではないが、従来から、弁体のような直線移動可能な可動体の直線方向位置を検出する変位検出器として種々のタイプのものが考案されている。それらのうちの一つのタイプとして、周知の磁気センサを用いた変位検出器が知られており、その一例が特開平4−323501号公報に開示されている。
【0004】
上記公報に開示されている変位検出器は、直線移動可能な可動体側に円筒状のケースを設けると共に、このケースの内周面に少なくとも2個の永久磁石を軸方向即ち直線方向に並んで配し、さらに、固定側に、可飽和コイルなどの磁気センサをケースの中心位置に配し、可飽和コイルを横切る磁束の軸方向磁束密度、即ち、可動体の直線移動による永久磁石の直線移動に伴い変化する可飽和コイルを横切る磁束の軸方向磁束密度、を可飽和コイルで検出することにより可動体の直線方向位置を検出するよう構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の変位検出器によると、少なくとも2個の永久磁石をケースの軸方向(直線方向)に並べているため、ケースとして軸方向長さ(直線方向長さ)が比較的大きなものが必要とされる。このため、ケースの重量が比較的大きくなることからケースの慣性が大きくなり、変位検出器として要請される高速応答性、小型化の点で問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決し、磁気発生体(上記永久磁石に限定されるものではない。)の直線方向長さを減少させることができ、高速応答性に優れ、小型化可能な変位検出器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の変位検出器は、直線移動可能な可動体の直線方向位置を検出するための変位検出器であって、該変位検出器は、前記可動体側に配される磁気発生体と固定側に配される磁気センサとを備え、前記磁気発生体は、前記直線方向に対し直交して配されると共に、前記直線方向の両端部で一対の磁極を形成する円環状に形成され、前記磁気センサは、前記環状の磁気発生体の内側であって前記磁気発生体の中心線からずれた位置に配されると共に、前記磁気発生体が発生する磁束の半径方向磁束密度に応じた電気信号を発生することを特徴とする。
【0008】
請求項2の変位検出器は、請求項1の変位検出器において、前記磁気発生体は円環状の1個の永久磁石からなることを特徴とする。
【0009】
請求項3の変位検出器は、請求項1の変位検出器において、前記磁気発生体は、円環状の1個の永久磁石と、該永久磁石の両端面にそれぞれ接触して配される一対の円環状の磁性部材とからなることを特徴とする。
【0010】
請求項4の変位検出器は、請求項3の変位検出器において、前記各々の磁性部材は、前記直線方向に対し直交する断面が前記永久磁石の同断面と略同一に形成されているものであることを特徴とする。
【0011】
請求項5の変位検出器は、請求項3の変位検出器において、前記各々の磁性部材は、内径が前記永久磁石の内径と略等しく形成されていると共に、永久磁石側部位の外径が前記永久磁石の外径と略等しく形成され、かつ、非永久磁石側部位の外径が永久磁石側部位の外径よりも小さく形成されているものであることを特徴とする。
【0012】
請求項6の変位検出器は、請求項3の変位検出器において、前記各々の磁性部材は、内径が前記永久磁石の内径よりも小さく形成されていると共に、外径が前記永久磁石の外径と略等しく形成されているものであることを特徴とする。
【0013】
請求項7の変位検出器は、請求項3の変位検出器において、前記各々の磁性部材は、内径が前記永久磁石の内径よりも小さく形成されていると共に、永久磁石側部位の外径が前記永久磁石の外径と略等しく形成され、かつ、非永久磁石側部位の外径が永久磁石側部位の外径よりも小さく形成されているものであることを特徴とする。
【0014】
請求項8の変位検出器は、請求項5又は7の変位検出器において、前記各々の磁性部材の外径は、永久磁石側から非永久磁石側に向かって徐々に減少していることを特徴とする。
【0015】
【発明の作用効果】
請求項1の変位検出器によると、可動体側に配される磁気発生体を、直線方向の両端部で一対の磁極を形成する円環状に形成したため、磁気発生体の直線方向長さを小さくすることができる。このため、磁気発生体を保持する保持部材(従来のケースに相当する。)の直線方向長さを小さく設定することでき、保持部材の軽量化により保持部材の慣性が小さくなり、従って、高速応答性が向上する。また、磁気発生体の直線方向長さの短縮により変位検出器の小型化が可能になる。なお、磁気発生体を直線方向の両端部で一対の磁極を形成する円環状に形成したことに伴い、磁気センサを磁気発生体の中心線からずれた位置に配すると共に磁気センサにより半径方向磁束密度に応じた電気信号を発生させるようにしており、これにより可動体の直線方向位置を検出することが可能になる。
【0016】
請求項2の変位検出器によると、磁気発生体を円環状の1個の永久磁石から構成したため、従来の変位検出器と比べ永久磁石の使用個数が減少し、コスト低減を期待できる。
【0017】
請求項3の変位検出器によると、円環状の1個の永久磁石の両端面にそれぞれ円環状の磁性部材を接触して配したため、磁気発生体を円環状の1個の永久磁石のみで構成した場合と比べ、一方の磁性部材の内周面から出て他方の磁性部材の内周面に入る磁束の発生によって、磁気センサを横切る磁束の半径方向磁束密度を増大させることができる。この半径方向磁束密度の増大により、磁気センサによる直線方向の検出範囲が拡大し、しかも、変位に対する半径方向磁束密度の変化割合が増大し、変位検出器の特性としての直線性が向上する。
【0018】
請求項5の変位検出器によると、各々の磁性部材の内径を永久磁石の内径と略等しく形成すると共に、永久磁石側部位の外径を永久磁石の外径と略等しく形成し、かつ、非永久磁石側部位の外径を永久磁石側部位の外径よりも小さく形成したため、このような磁性部材の外周面形状により、永久磁石から出る磁束のうち磁気センサが存在している内側に向かって出る成分を増大させることができる。このため、請求項4の変位検出器のように磁性部材の断面を永久磁石の断面と略同一に形成した場合と比べ、磁気センサによる直線方向の検出範囲が拡大し、しかも、変位に対する半径方向磁束密度の変化割合が増大し直線性が向上する。
【0019】
請求項6の変位検出器によると、磁性部材の内径を永久磁石の内径よりも小さく形成したため、永久磁石から出る磁束のうち磁気センサが存在している内側に向かって出る成分を増大させることができる。このため、請求項4の変位検出器のように磁性部材の断面を永久磁石の断面と略同一に形成した場合と比べ、磁気センサによる直線方向の検出範囲が拡大し、しかも、変位に対する半径方向磁束密度の変化割合が増大し直線性が向上する。
【0020】
請求項7の変位検出器によると、磁性部材の内径を永久磁石の内径よりも小さく形成すると共に、非永久磁石側部位の外径を永久磁石側部位の外径よりも小さく形成したため、請求項5の変位検出器および請求項6の変位検出器と比べ、永久磁石から出る磁束のうち磁気センサが存在している内側に向かって出る成分をより一層増大させることができる。このため、磁気センサによる直線方向の検出範囲がより一層拡大し、しかも、変位に対する半径方向磁束密度の変化割合がより一層増大し直線性がより一層向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、一実施例による変位検出器を用いた電磁弁の概略断面図、図2は、図1に示す電磁弁の具体的要部拡大断面図、図3は、磁気発生体の断面図、図4は図2図示IV-IV 断面図をそれぞれ示している。
【0023】
電磁弁1は、流体の圧力又は流量を高精度に調整可能なものであり、図1に示すように、バルブハウジング2と、バルブハウジング2に形成された流路(図示せず)の開口面積を調整する弁体3と、弁体3を図示矢印aのように直線的に移動させるプランジャ4を有するリニアアクチュエータ5と、弁体3の直線方向位置を検出する変位検出器6とを備える。電磁弁1には制御駆動回路7が電気的に接続され、制御駆動回路7は、変位検出器6による検出値の目標値からの偏差に応じてリニアアクチュエータ5をフィードバック制御する。
【0024】
変位検出器6は、図2に示すように、バルブハウジング2の端面に第1のOリング61によりシール性を確保しながら配設された中空円筒状の第1ハウジングケース62と、プランジャ4に連結固定され第1ハウジングケース62内に空隙をもって配された非磁性材料からなる有底円筒状の保持部材63と、保持部材63の内周面に保持された円環状の磁気発生体64Aとを備える。
【0025】
磁気発生体64Aは、図2に示すように、円環状の永久磁石41Aと、永久磁石41Aの両端面に配される一対の円環状の磁性部材42Aと43Aとから構成されている。磁気発生体64Aは、一方の端面が保持部材63の内部底面と接触状態にある円環状の非磁性材料からなるスぺーサ部材65の他方の端面側に配され、保持部材63の開口端面部に固定された円環状の非磁性材料からなる押え部材66によって保持部材63の内周面に固定して配設されている。各々の磁性部材42A、43Aは、図3に示すように、内径が永久磁石41Aの内径よりも小さく形成されていると共に、永久磁石側部位の外径が永久磁石41Aの外径と略等しく形成され、かつ、非永久磁石側部位の外径が永久磁石側部位の外径よりも小さく形成されている。そして、磁性部材42A、43Aの外径は、永久磁石41A側から非永久磁石側に向かって徐々に減少している。換言すると、磁性部材42A、43Aの外周面42Aa、43Aaは非永久磁石側に向かって縮径した傾斜面で構成されている。
【0026】
さらに、変位検出器6は、図2に示すように、非磁性材料からなる有底円筒状の第2ハウジングケース67を備える。第2ハウジングケース67は、第1ハウジングケース62の先端部に第2のOリング68によりシール性を確保しながら配設され、先端部が保持部材63の中空部に非接触状態で侵入している。第2ハウジングケース67の内部には、磁気センサとしてのホール素子69がプリント基板70に実装されて配されている。プリント基板70は、第2ハウジングケース67の端部に収容されたアンプ回路71に接続されている。なお、アンプ回路71は図1図示制御駆動回路7の一部を構成し、後述するように、ホール素子69に対し直流電流Iを流すと共に、ホール素子69が発生するホール電圧VH を増幅するためのものである。
【0027】
ホール素子69は、周知のように、磁界の強度を直接電気信号に変換できる固体素子であり、図5に示すように、対向する入力電極p1,p2間に電流Iが流れているとき、ホール素子69の表面69aに垂直に磁束Bが印加されると、ローレンツ力によって電子は出力端子t1の方向に曲げられ、この結果、出力端子t1はt2に比べて負に帯電し、出力端子t1,t2間にホール電圧VH が誘起されるものである。
【0028】
本実施例のホール素子69は、磁気発生体64Aが発生する磁束のうち半径方向磁束密度Br に応じた電気信号を発生するよう、図1、図2および図4に示すように、ホール素子69の表面69aを磁気発生体64Aの中心線CLに対し平行に配置すると共に、弁体3の直線移動に従い直線移動する磁気発生体64Aの直線方向位置を検出できるよう、磁気発生体64Aの中心線CLからずれた位置に配置させてある。また、ホール素子69は、弁体3が中性点Oに位置しているとき、磁気発生体64Aの直線方向における中心O’に位置するよう配置させてある。
【0029】
次に、上記のように構成された変位検出器6の動作を説明する。
【0030】
磁気発生体64Aは、上述したように、円環状の永久磁石41Aと、永久磁石41Aの両端面に配される一対の円環状の磁性部材42Aと43Aとから構成され、各々の磁性部材42A、43Aは、内径が永久磁石41Aの内径よりも小さく形成されていると共に、永久磁石側部位の外径が永久磁石41Aの外径と略等しく形成され、かつ、非永久磁石側部位の外径が永久磁石側部位の外径よりも小さく形成されている。そして、磁性部材42A、43Aの外径は、永久磁石41A側から非永久磁石41A側に向かって徐々に減少している。このように磁気発生体64Aが構成されていることから、磁気発生体64Aが発生する磁束のうちホール素子69が位置している内側に向かう成分を図6に示す実線矢印で概略的に表すことができる。
【0031】
電磁弁1の作動時、変位検出器6は弁体3の直線方向位置を検出し、制御駆動回路7は変位検出器6による検出値の目標値からの偏差に応じてリニアアクチュエータ5を駆動し、弁体3の直線方向位置を目標値に一致させる。
【0032】
ここで、変位検出器6においては、弁体3が中性点Oに位置するときには、ホール素子69は、図6に符号69Aで示すように、磁気発生体64Aの直線方向における中心O’に位置する。そして、この位置にあるホール素子69を横切る磁束の半径方向磁束密度Br は、図7の(A)に示すように、ホール素子69に入る磁束密度Briとホール素子69から出る磁束密度Broとが等しくなることから、零(T)となり、ホール電圧VH は零(V)となる。
【0033】
また、弁体3が中性点Oより図2の図面左側に位置するときには、ホール素子69は、図6に符号69Bで示すように、磁気発生体64Aに対し相対的に右側に位置する。そして、この位置にあるホール素子69を横切る磁束の半径方向磁束密度Br は、図7の(B)に示すように、ホール素子69に入る磁束密度Briのみとなり、ホール電圧VH は例えば正の値となる。この磁束密度Briはホール素子69の中性点O’からの変位量Lに比例して増大し、ホール電圧VH は弁体3の変位量Lに比例して正方向に増大する。
【0034】
また、弁体3が中性点Oより図2の図面右側に位置するときには、ホール素子69は、図6に符号69Cで示すように、磁気発生体64Aに対し相対的に左側に位置する。そして、この位置にあるホール素子69を横切る磁束の半径方向磁束密度Br は、図7の(B)に示すように、ホール素子69から出る磁束密度Broのみとなり、ホール電圧VH は例えば負の値となる。この磁束密度Broはホール素子69の中性点O’からの変位量Lに比例して増大し、ホール電圧VH は弁体3の変位量Lに比例して負方向に増大する。
【0035】
従って、弁体3の中性点Oからの変位量Lに対し、ホール素子69を横切る磁束の半径方向磁束密度Br は、図8に実線で示すように直線的に変化し、ホール電圧VH も変位量Lに対し直線的に変化するため、ホール電圧VH によって弁体3の直線方向位置を検出することができる。なお、半径方向磁束密度Br は変位量Lが大きくなるに従って飽和する傾向を示すため、図8に示す半径方向磁束密度Br のグラフにおいて直線部分のみが弁体3の位置検出のために有効なものとなる。
【0036】
以上説明したように、本実施例の変位検出器6は、直線移動可能な可動体としての弁体3の直線方向位置を検出するための変位検出器6であり、本実施例の変位検出器6は、可動体としての弁体3側に配される磁気発生体64Aと固定側に配される磁気センサとしてのホール素子69とを備え、磁気発生体64Aは、直線方向に対し直交して配されると共に、直線方向の両端部で一対の磁極を形成する円環状に形成され、磁気センサとしてのホール素子69は、環状の磁気発生体64Aの内側であって磁気発生体64Aの中心線CLからずれた位置に配されると共に、磁気発生体64Aが発生する磁束の半径方向磁束密度Br に応じた電気信号を発生することを特徴とする。
【0037】
従って、本実施例の変位検出器6によると、可動体としての弁体3側に配される磁気発生体64Aを、直線方向の両端部で一対の磁極を形成する円環状に形成したため、磁気発生体64Aの直線方向長さを小さくすることができる。このため、磁気発生体64Aを保持する保持部材63の直線方向長さを小さく設定することでき、保持部材63の軽量化により保持部材63の慣性が小さくなり、従って、高速応答性が向上する。また、磁気発生体64Aの直線方向長さの短縮により変位検出器6の小型化が可能になる。なお、磁気発生体64Aを直線方向の両端部で一対の磁極を形成する円環状に形成したことに伴い、磁気センサとしてのホール素子69を磁気発生体64Aの中心線CLからずれた位置に配すると共に磁気センサとしてのホール素子69により半径方向磁束密度Br に応じた電気信号を発生させるようにしており、これにより可動体としての弁体3の直線方向位置を検出することが可能になる。
【0038】
図9、図10、図11、図12は、それぞれ磁気発生体の他の実施例を示している。
【0039】
図9に示す磁気発生体64Bは、上述した実施例の磁気発生体64Aが円環状の永久磁石41Aと一対の円環状の磁性部材42A、43Aとから構成されているのに対し、円環状の永久磁石41Bのみから構成されている。
【0040】
図10に示す磁気発生体64Cは、上述した磁気発生体64Aと同様、円環状の永久磁石41Cと、永久磁石41Cの両端面に配される一対の円環状の磁性部材42Cと43Cとから構成される。ただし、各々の磁性材料42C、43Cは、直線方向に対し直交する断面が永久磁石41Cの同断面と略同一に形成されている。
【0041】
図11に示す磁気発生体64Dは、上述した磁気発生体64Aと同様、円環状の永久磁石41Dと、永久磁石41Dの両端面に配される一対の円環状の磁性部材42Dと43Dとから構成され、各々の磁性部材42D、43Dの永久磁石側部位の外径は永久磁石41Dの外径と略等しく形成され、かつ、非永久磁石側部位の外径は永久磁石側部位の外径よりも小さく形成され、磁性部材42D、43Dの外径は、永久磁石41D側から非永久磁石側に向かって徐々に減少している。ただし、磁気発生体64Aの磁性材料42A、43Aと異なり、各々の磁性部材42D、43Dの内径は、永久磁石41Dの内径と略等しく形成されている。
【0042】
図12に示す磁気発生体64Eは、上述した磁気発生体64Aと同様、円環状の永久磁石41Eと、永久磁石41Eの両端面に配される一対の円環状の磁性部材42Eと43Eとから構成され、各々の磁性部材42E、43Eの外径は永久磁石41Eの外径と略等しく形成されている。ただし、磁性部材42E、43Eの内径は、永久磁石41Eの内径よりも小さく形成されている。
【0043】
次に、上記各実施例の磁気発生体64A、64B、64C、64D、64Eが発生する磁束の相違について、図13、図14、図15、図16および図17に基づいて説明する。ここで、図13は、図9図示の磁気発生体64Bによる磁束、図14は、図10図示の磁気発生体64Cによる磁束、図15は、図11図示の磁気発生体64Dによる磁束、図16は、図12図示の磁気発生体64Eによる磁束、図17は、図3図示の磁気発生体64Aによる磁束をそれぞれ表している。
【0044】
図9図示の磁気発生体64Bの場合、図13に示すように、内側に向かう磁束は、永久磁石41BのN極端面から垂直方向に出てから内側に向かって鋭く湾曲するような曲線を描く。この磁気発生体64Bによると、磁気発生体を円環状の1個の永久磁石41Bから構成したため、従来の磁気発生体と比べ永久磁石の使用個数が減少し、コスト低減を期待できる。なお、図6に破線で示した磁束は、当該磁気発生体64Bを用いた場合に発生する磁束を表しており、また、図8に破線で示したグラフは、当該磁気発生体64Bを用いた場合における、変位量Lに対する半径方向磁束密度Br の変化を表している。図8から明らかなように、上記実施例の磁気発生体64Aの方が変位量Lに対する磁束密度Br の勾配が大きく、従って、変位検出器としての直線性に優れていることが分かる。
【0045】
図10図示の磁気発生体64Cの場合、図14に示すように、内側に向かう磁束は、磁性材料43Cを設けたことにより、磁性材料43Cの内周面から垂直方向に出て湾曲するような曲線を描く。この磁気発生体64Cによると、図9図示の磁気発生体64Bと比べ、一方の磁性部材43Cの内周面から出て他方の磁性部材42Cの内周面に入る磁束の発生によって、磁気センサとしてのホール素子69を横切る磁束の半径方向磁束密度Br を増大させることができる。この半径方向磁束密度Br の増大により、磁気センサとしてのホール素子69による直線方向の検出範囲が拡大し、しかも、変位量Lに対する半径方向磁束密度Br の変化割合が増大し、変位検出器の特性としての直線性が向上する。
【0046】
図11図示の磁気発生体64Dの場合、各々の磁性部材42D、43Dの非永久磁石側部位の外径を永久磁石側部位の外径よりも小さく形成したため、このような磁性部材42D、43Dの外周面形状により、図15に示すように、永久磁石41Dから出る磁束のうち磁気センサとしてのホール素子69が存在している内側に向かって出る成分が増大する。このため、図10図示の磁気発生体64Cと比べ、磁気センサとしてのホール素子69による直線方向の検出範囲が拡大し、しかも、変位量Lに対する半径方向磁束密度Br の変化割合が増大し直線性が向上する。
【0047】
図12図示の磁気発生体64Eの場合、各々の磁性部材42E、43Eの内径を永久磁石41Eの内径よりも小さく形成したため、図16に示すように、永久磁石41Eから出る磁束のうち磁気センサとしてのホール素子69が存在している内側に向かって出る成分が増大する。このため、図10図示の磁気発生体64Cと比べ、磁気センサとしてのホール素子69による直線方向の検出範囲が拡大し、しかも、変位量Lに対する半径方向磁束密度Br の変化割合が増大し直線性が向上する。
【0048】
図3図示の磁気発生体64Aの場合、磁性部材の内径を永久磁石の内径よりも小さく形成すると共に、非永久磁石側部位の外径を永久磁石側部位の外径よりも小さく形成したため、図17に示すように、図11図示の磁気発生体64D、図12図示の磁気発生体64Eと比べ、永久磁石64Aから出る磁束のうち磁気センサとしてのホール素子69が存在している内側に向かって出る成分がより一層増大する。このため、磁気センサとしてのホール素子69による直線方向の検出範囲がより一層拡大し、しかも、変位量Lに対する半径方向磁束密度Br の変化割合がより一層増大し直線性がより一層向上する。
【0049】
なお、上記各実施例では磁気センサとしてホール素子69を用いたが、本発明の磁気センサはホール素子に限定されるものではなく、他に、磁気抵抗素子、可飽和コイルなどであってもよい。また、磁気センサとしてのホール素子69の設置箇所としては、磁気発生体64Aの中心線に近い位置(図4図示二点鎖線で示すホール素子69Dの位置)を設定した場合には、図18図示破線で示すグラフが得られ、磁気発生体64Aの中心線から遠方位置(図4図示実線で示すホール素子69の位置)を設定した場合には、図18図示実線で示すグラフが得られたことから、ホール素子69の設置箇所は、磁気発生体64Aの中心線からなるべく遠く離れていることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例による変位検出器を用いた電磁弁の概略断面図
【図2】図1に示す電磁弁の具体的要部拡大断面図
【図3】磁気発生体の断面図
【図4】図2図示IV-IV 断面図
【図5】ホール素子の原理説明図
【図6】磁気発生体が発生する磁束とホール素子の相対的位置との関係を示す説明図
【図7】ホール素子を横切る磁束の説明図
【図8】変位量に対する半径方向磁束密度の変化を示すグラフ
【図9】他の実施例による磁気発生体の断面図
【図10】さらに他の実施例による磁気発生体の断面図
【図11】さらに他の実施例による磁気発生体の断面図
【図12】さらに他の実施例による磁気発生体の断面図
【図13】図9図示の磁気発生体が発生する磁束の説明図
【図14】図10図示の磁気発生体が発生する磁束の説明図
【図15】図11図示の磁気発生体が発生する磁束の説明図
【図16】図12図示の磁気発生体が発生する磁束の説明図
【図17】図3図示の磁気発生体が発生する磁束の説明図
【図18】ホール素子の設置箇所を説明するための半径方向磁束密度の特性図
【符号の説明】
3 弁体(可動体)
6 変位検出器
41A、41B、41C、41D、41E 永久磁石
42A、42C、42D、42E、43A、43C、43D、43E 磁性部材
64A、64B、64C、64D、64E 磁気発生体
69 ホール素子(磁気センサ)
Claims (8)
- 直線移動可能な可動体の直線方向位置を検出するための変位検出器であって、
該変位検出器は、前記可動体側に配される磁気発生体と固定側に配される磁気センサとを備え、
前記磁気発生体は、前記直線方向に対し直交して配されると共に、前記直線方向の両端部で一対の磁極を形成する円環状に形成され、
前記磁気センサは、前記環状の磁気発生体の内側であって前記磁気発生体の中心線からずれた位置に配されると共に、前記磁気発生体が発生する磁束の半径方向磁束密度に応じた電気信号を発生する
ことを特徴とする変位検出器。 - 前記磁気発生体は円環状の1個の永久磁石からなることを特徴とする請求項1に記載の変位検出器。
- 前記磁気発生体は、円環状の1個の永久磁石と、該永久磁石の両端面にそれぞれ接触して配される一対の円環状の磁性部材とからなることを特徴とする請求項1に記載の変位検出器。
- 前記各々の磁性部材は、前記直線方向に対し直交する断面が前記永久磁石の同断面と略同一に形成されているものであることを特徴とする請求項3に記載の変位検出器。
- 前記各々の磁性部材は、内径が前記永久磁石の内径と略等しく形成されていると共に、永久磁石側部位の外径が前記永久磁石の外径と略等しく形成され、かつ、非永久磁石側部位の外径が永久磁石側部位の外径よりも小さく形成されているものであることを特徴とする請求項3に記載の変位検出器。
- 前記各々の磁性部材は、内径が前記永久磁石の内径よりも小さく形成されていると共に、外径が前記永久磁石の外径と略等しく形成されているものであることを特徴とする請求項3に記載の変位検出器。
- 前記各々の磁性部材は、内径が前記永久磁石の内径よりも小さく形成されていると共に、永久磁石側部位の外径が前記永久磁石の外径と略等しく形成され、かつ、非永久磁石側部位の外径が永久磁石側部位の外径よりも小さく形成されているものであることを特徴とする請求項3に記載の変位検出器。
- 前記各々の磁性部材の外径は、永久磁石側から非永久磁石側に向かって徐々に減少していることを特徴とする請求項5又は7に記載の変位検出器。
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- 1996-09-17 JP JP24525596A patent/JP3671313B2/ja not_active Expired - Fee Related
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