JP3670752B2 - 微粉炭セパレータ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は産業用及び事業用ボイラの微粉炭焚きバーナに適用される微粉炭セパレータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の微粉炭バーナの微粉炭セパレータ装置を図7、図8により説明する。図7は従来の装置の断面図、図8はその正面図で、そのD−D矢視図である。両図において、01は微粉炭搬送配管、02は微粉炭混合気、03は分配器、04はバーナ、05は微粉炭管、06はコンクバーナ、07はウイークバーナ、08は二次空気、09は空気風箱、10は微粉炭ノズル、11は二次空気ノズルを示す。
【0003】
前述の装置において、バーナ04はNOxを低下するために微粉炭濃度の高いコンクバーナ06と微粉炭濃度の低いウイークバーナ07を一組として構成している。又、コンクバーナ06及びウイークバーナ07はともに、中央に配置した微粉炭管05とその周囲を角形で囲んだ空気風箱09及び出口部に連結した角形の微粉炭ノズル10、二次空気ノズル11で構成される。
【0004】
このような構成の装置において、一次空気とともに微粉炭搬送配管01を介して搬送された微粉炭混合気02は分配器03の作用で、コンクバーナ06とウイークバーナ07へそれぞれ分配供給され、微粉炭管05及び微粉炭ノズル10を介して炉内へ噴射後、同じく二次空気ノズル11を介して噴射された二次空気08と混合拡散し、燃焼する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来の微粉炭焚きバーナにおいては次のような課題がある。
【0006】
(1)低NOx化及び着火安定を計るには、前述のように燃料に濃淡をつけるコンクバーナ06とウイークバーナ07の組合せが最適であるが、このためにバーナパネル高さが大きくなり、耐用年数が低下し、かつダンパ数の増加によりバーナ04全体の構造が複雑になる。
【0007】
(2)微粉炭混合気02の濃淡を調整する分配器03構造が複雑である。
【0008】
(3)上記(1)、(2)項により製作、制御、メンテナンス等において極めて煩雑となり、又コストアップの一要因となる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するために、次の手段を提供する。
【0010】
(1)微粉炭バーナ内部の微粉炭管軸心部に設けられ、その外径は流入側が流出側外径(d3)より小さく、同流入側は尖端角がほぼ90°の裁頭円錐形で流れに沿って断面形状が徐々に拡大し、その後流れ方向に平行となった後、軸線に垂直な平面で終り、前記流出側外径(d3)となるとともに、その軸線を中心に前後に貫通する切欠きスリットを有し、その切欠きスリットの寸法は流入側の直径を(d1)、流出側の直径を(d2)とし、前記微粉炭管の内径を(D)として、d1 =(1/√20)D、d2 =(1/√5)D、d3 =(1/√2)D〜(1/√3)Dの範囲にある濃淡分離器を具備してなることを特徴とする微粉炭セパレータ装置。
【0011】
(2)上記の(1)において、前記濃淡分離器は、微粉炭管内部の軸心方向に設けたレールに沿って移動可能であることを特徴とする微粉炭セパレータ装置。
【0012】
本発明はこのような手段により、その(1)の手段において、微粉炭管を流れる微粉炭混合気のうち主に着火に寄与する領域は、微粉炭ノズル内面の循環にとり込まれる微粉炭流である。中央部を吹き抜ける微粉炭混合気はこれより遅れて火炎伝幡する。微粉炭管先端部に濃淡分離器を内蔵する事により、微粉炭管を通過中の微粉炭混合気中の微粉炭は中央に設置した濃淡分離器に衝突し、慣性力を付与され、微粉炭管内周面に集まり、微粉炭管内の外側は微粉炭濃度が高く、中央側は微粉炭濃度が低くなる。即ち、従来のコンクバーナ及びウイークバーナと同様の作用を行う。
【0013】
又、濃淡分離器の軸心に対し中空切欠きスリットを設け、このスリットの寸法d1 ,d2 ,d3 を微粉炭内径Dに対し、濃淡の分離効果が高まるような範囲の寸法としたので、一部の微粉炭流を導き、中央部で淡く、周辺部で濃度大となり、濃淡分離器後流側壁面に発生し易い、渦流によるよどみを解消し、均一な流速分布を形成し、濃淡分離効果を促進する。
【0014】
又、微粉炭管、濃度分離器を丸型構造にすることにより、微粉炭混合気の濃淡分離が均等に行え、微粉炭ノズルからボイラ内への吹出しは円周方向に万遍なく、安定に供給できる。更に、微粉炭管ベンド出口後の微粉炭混合気は強い旋回流となっているが、ベンド出口にキッカブロック等を設置すれば、旋回力は緩和され、更に均一な微粉炭流を濃淡分離器に導くことができる。
【0015】
(2)の手段においては、濃淡分離器をレールに沿って微粉炭管軸心の前後に移動できる構成としたので、炉の負荷に応じて位置を調整し、最適の位置で微粉炭流をバーナに導くことができ、上記(1)での効果をより一層高めるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実施の一形態に係る微粉炭セパレータ装置の中心部の断面図、図2は図1におけるA−A断面図、図3は図2におけるB−B断面図である。これら図において、従来の微粉炭セパレータ装置の構造と同一の部材については同符号を用いており、その詳しい説明は省略し、そのまま引用して説明するが、本発明の特徴となる部分は符号12乃至15に示す部分であり、以下、これらの部分について詳しく説明する。
【0017】
これら図において、12は微粉炭管05に設けられたキッカブロック、13は濃淡分離器、14は移動用レール、15は位置調整器であり、濃淡分離器13は移動用レール14に沿って前後に移動可能であり、位置調整器15により操作される。
【0018】
上記の特徴を備えた微粉炭セパレータ装置において、一次空気により、搬送された微粉炭混合気02は、微粉炭管05のベンド部で強い旋回流となり、遠心力によって、微粉炭流は横部(鉛直上向きで導入する場合は上部)に密集するが、ベンド出口横部(遠心力を受ける方向)に配置されたキッカブロック12により旋回力は緩和され、再度分散されて、微粉炭濃度がほぼ均一な状態となって、濃淡分離器13に導かれる。
【0019】
その微粉炭混合気02は濃淡分離器13の作用(微粉炭は慣性力により、微粉炭管05の内周面に密集する。)により、微粉炭管05内で外側に微粉炭濃度の高い混合気、中央側に微粉炭濃度の低い混合気をそれぞれ形成し、微粉炭ノズル10を経由して図示していないボイラ内に噴出し、安定した着火、保炎と低NOx燃焼を行う。
【0020】
又炭種変化、負荷変化等により生じる微粉炭ノズル10近傍の微粉炭濃度アンバランス調整は位置調整器15を操作して移動用レール14上でこのレールに沿って濃淡分離器13を前後に移動し最適な位置に導き行う。
【0021】
更に、微粉炭セパレータ装置の最適な濃淡分離、及圧損を見出すため、キッカブロック12の高さ(h)と、微粉炭管径(D)との比又は濃淡分離器13の中空径(d1 )、(d2 )と傾斜角(θ)の組合せ等を調整し行う。
【0022】
図4,図5は本発明の実施の一形態の微粉炭セパレータ装置の作用、効果を説明するための図であり、図4は丸型微粉炭セパレータ装置の断面図、図5はそのC−C断面図である。両図において、Dは微粉炭管05の直径、hはキッカブロック12の高さ、θは濃淡分離器13の傾斜角、d1 ,d2 は中空切欠きスリットの前流側の直径、後流側の直径をそれぞれ示し、又、d3 は濃淡分離器13の外径を示す。
【0023】
上記のような微粉炭セパレータ装置において、微粉炭混合気02の濃淡分離及び圧損に良好な値となる関係を示すと次のようになる。
【0024】
(1)キッカブロックの高さhは;h=0.2D〜0.3Dで、h=0.24Dが好ましい。
【0025】
(2)濃淡分離器の傾斜角θは;θ=60°〜90°で、θ=90°が好ましい。
【0026】
(3)中空切欠きスリットの前流側の直径d1 は;d1 =(1/√(10))D〜(1/√(20))Dで、d1 =(1/√(20))Dが好ましい。
【0027】
(4)中空切欠きスリットの後流側の直径d2 は;d2 =(1/√(5))D〜(1/√(10))Dで、d2 =(1/√(5))Dが好ましい。
【0028】
(5)濃淡分離器の外径d3 は;d3 =(1/√(1.5))D〜(1/√(3))Dで、d3 =(1/√(2))Dが好ましい。
【0029】
次に、濃淡分離器13の寸法を種々変えて実験し、計測した微粉炭の濃度分布状況を図6によって説明する。図6の(a)はセパレータ装置の寸法関係を示す図、(b)は(a)の装置において実験し、ノズル中心から端部までの微粉炭濃度分布を計測し、それらデータをプロットした図、(c)は(b)における記号の説明図で、それぞれケース▲1▼、▲2▼、▲3▼の3通りで、d1 ,d2 ,d3 の寸法を変化させたものである。なお、上記の実験においては、θ=90°、微粉炭の粒径=200メッシュ(75ミクロン)の通過率85%、微粉炭の流速=20〜26m/sとして実施した試験結果である。
【0030】
(ア)ケース▲1▼において、d1 =(1/√(15))D、d2 =(1/√(3))D、d3 =(1/√(1.5))Dのとき、四角の記号で示すように、中心と周辺で濃淡の差は幾分見られるものの濃度1.15/1.4内にあり、濃淡分離効果は、あまり期待できない。なお、濃度は1.0が基準で、右方向が濃度大、左方向が淡いを表わす。
【0031】
(イ)ケース▲2▼において、d1 =(1/√(25))D、d2 =(1/√(7))D、d3 =(1/√(3))Dのとき、黒丸の記号で示すように、周辺部の濃度は高い傾向にあるが、中心部では、略基準の1.0であり、分離度はやや不足気味である。
【0032】
(ウ)ケース▲3▼において、d1 =(1/√(20))D、d2 =(1/√(5))D、d3 =(1/√(2))Dのとき、白丸の記号で示すように、中心部で極端に淡く、周辺部に近づくに従って、濃度大となり、理想的な分離効果が得られた。
【0033】
上記のケース▲3▼の結果が最も良好であり、この実験結果に基づいて、前述の(1)〜(5)項に述べたような好ましい値が得られたものである。
【0034】
濃淡分離器13のバーナ方向への移動については、バーナ側に近づけると、一般的に濃淡分離は、よくなるが、火炎による焼損の心配がある。逆に遠ざけると、濃淡分離効果が低下する傾向にある。従って、炉の負荷に応じて出し入れの量を調整することが好ましい。
【0035】
以上説明の実施の形態においては、従来の分配器03に該当する濃淡分離器13を、微粉炭管05内に内蔵し、従来のコンクバーナ06とウイークバーナ07を一体化した構造とし、微粉炭管05のベンド部で水平に向きを変えて、流れ方向に対して傾斜した面を有するキッカブロック12を備え、さらに下流側には流れ方向に断面形状が広がり、その後水平をなし、軸心に対して直角な低面と、軸心中央部に中空切欠きスリットを設けた丸型濃淡分離器13を具備、又下流先端には円形微粉炭ノズル10を配置した丸型、微粉炭セパレータ装置を特徴としている。
【0036】
このような実施の形態により、次のような作用、効果を有するものである。
【0037】
(1)微粉炭管05を流れる微粉炭混合気02のうち主に着火に寄与する領域は、微粉炭ノズル10内面の循環にとり込まれる微粉炭流である。中央部を吹き抜ける微粉炭混合気02はこれより遅れて火炎伝幡する。微粉炭管05先端部に濃淡分離器13を内蔵する事により、微粉炭管05を通過中の微粉炭混合気02中の微粉炭は中央に設置した濃淡分離器13に衝突し、慣性力を付与され、微粉炭管05内周面に集まり、微粉炭管05内の外側は微粉炭濃度が高く、中央側は微粉炭濃度が低くなる。
【0038】
即ち、従来のコンクバーナ06及びウイークバーナ07と同様の作用を行う。又濃淡分離器13の軸心に対し中空切欠きスリットを設け、一部の微粉炭流を導き、濃淡分離器13の後流側壁面に発生し易い渦流によるよどみを解消し、均一な流速分布を形成し、濃淡分離効果を促進する。
【0039】
(2)丸型構造であるため、微粉炭混合気02の濃淡分離が均等に行え、微粉炭ノズル10からボイラ内への吹出しは円周方向に万遍なく、安定に供給できる。
【0040】
(3)微粉炭管05ベンド出口後の微粉炭混合気02は強い旋回流となっているがキッカブロック12の設置により、旋回力は緩和され、均一な微粉炭流を濃淡分離器13に導く。
【0041】
(4)微粉炭管05に対する濃淡分離器13の寸法を特定することにより、理想的な濃度分布が得られる。
【0042】
【発明の効果】
以上、具体的に説明したように、本発明は微粉炭管軸心部に濃淡分離器を設け、この濃淡分離器の軸線中心に切欠きスリットを設けると共に、この濃淡分離器の外形、切欠きスリットの寸法を所定の範囲に特定し、更に、この濃淡分離器は微粉炭管の軸心方向に移動可能な構成としたので、次のような効果を有する。
【0043】
(1)コンクバーナとウイークバーナが一体化となり、バーナ数は減少し、又セパレータがコンパクトかつバーナ全体が簡略化されコスト低減となった。
【0044】
(2)分離器の代りに濃淡分離装置が設けられたので、分離器が簡素化され、圧力損失が減少した。
【0045】
(3)丸型構造の微粉炭セパレータ装置とすることにより微粉炭混合気のボイラ内への吹出しが円周方向に均等に万遍なく行えるため、局部的な熱負荷上昇が解消できる。
【0046】
(4)濃淡分離器を所定の寸法とし、中空切欠きスリットを設けることにより、微粉炭の濃淡分離が理想的な分布で行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る微粉炭セパレータ装置の断面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】図2におけるB−B断面図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る微粉炭セパレータ装置の形状説明図で、濃淡分離器の形状を示す断面図である。
【図5】図4におけるC−C断面図である。
【図6】本発明の実施の一形態に係る微粉炭セパレータ装置の実験結果を示し、(a)はセパレータ装置の形状を示す図、(b)は(a)の装置での実験結果で、濃淡分布状況を示す図、(c)は記号の説明図をそれぞれ示す。
【図7】従来の微粉炭セパレータ装置の断面図を示す。
【図8】図7におけるD−D矢視図を示す。
【符号の説明】
02 微粉炭混合気
05 微粉炭管
10 微粉炭ノズル
12 キッカブロック
13 濃淡分離器
14 移動用レール
15 位置調整器
Claims (2)
- 微粉炭バーナ内部の微粉炭管軸心部に設けられ、その外径は流入側が流出側外径(d3)より小さく、同流入側は尖端角がほぼ90°の裁頭円錐形で流れに沿って断面形状が徐々に拡大し、その後流れ方向に平行となった後、軸線に垂直な平面で終り、前記流出側外径(d3)となるとともに、その軸線を中心に前後に貫通する切欠きスリットを有し、その切欠きスリットの寸法は流入側の直径を(d1)、流出側の直径を(d2)とし、前記微粉炭管の内径を(D)として、d1 =(1/√20)D、d2 =(1/√5)D、d3 =(1/√2)D〜(1/√3)Dの範囲にある濃淡分離器を具備してなることを特徴とする微粉炭セパレータ装置。
- 前記濃淡分離器は、微粉炭管内部の軸心方向に設けたレールに沿って移動可能であることを特徴とする請求項1記載の微粉炭セパレータ装置。
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