JP3784587B2 - 低NOx及び燃焼促進器を設けた固体燃料燃焼バーナ - Google Patents

低NOx及び燃焼促進器を設けた固体燃料燃焼バーナ Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微粉炭燃焼装置に係わり、特に低NOx燃焼及び未燃焼分の低減が要求されるバーナにおいて超低NOxで高燃焼率かつ安定に燃焼するのに好適な低NOx及び燃焼促進器を設けた固体燃料燃焼バーナに関する。
【0002】
【従来の技術】
オイルショック以降、我が国の事業用火力発電ボイラにおいては微粉炭焚ボイラが急速に増加し、数多く建設されている。これら事業用火力発電ボイラに用いられる微粉炭燃焼システムの一例を図11に示す。図11に示すように分級機を内蔵した微粉炭機124(以下ミルと称す)で石炭を粉砕し、分級により所定の大きさ以下の微粉を搬送用空気でボイラ火炉121のバーナ部128へ直接供給する燃焼システムが実用化されている。そして、微粉炭燃焼用バーナとしては、NOx低減を目的としたもの、広域負荷(最低負荷の切り下げ)を目的としたものを中心に開発実用化が行われている。
【0003】
微粉炭バーナの低NOx化技術としては、例えば、図3(a)に示すように燃焼用空気を一次流、二次流及び三次流に分割し、火炎中心部にNOx還元領域13を形成しやすいように、二次流、三次流にそれぞれ旋回をかけて、一次流空気のみで着火燃焼している微粉炭流との混合を遅らせる燃焼用空気の3分割方式バーナがあり、微粉炭低NOxバーナ(特許第1750459号他)で実用化されている。
【0004】
また、広域負荷対応(バーナ最低負荷の切り下げ)技術としては、
a.サイクロン、ベント管など空気を抜くことで濃縮する固気分離器をバーナ外部に設置する方法(特許第1907296号、実用新案登録第1956727号他)、
b.微粉炭流の固体濃度を高めるために固体とガスの慣性力の差を利用した分離装置をバーナ内部に設置する方法(特開平1−210044号他)、
c.バーナ出口に保炎器と称する突起を設置すること(特許第1750459号)で、その後流に微粉炭流の渦流再循環領域を形成し、着火保炎を促進する方法などが考案され、実用化されている。
【0005】
図1(a)に一例として低NOxバーナの断面概略図を示す。火炉壁5に設けられるバーナ中心部にある一次流路をミル124(図11)からの微粉炭と搬送用空気の混相流が流れ、その外周に二次流路2と三次流路3が設けられ、それぞれ二次燃焼用空気と三次燃焼用空気が流れている。一次流路1内には、逆火防止のためのベンチュリ部7が設けられており、また、一次流路壁バーナ出口先端には、流れを遮る位置に置かれた外周保炎器8があり、その後流には再循環領域15が形成される。この再循環領域15内へは30μm以下の小さい粒子がガス流れに同伴されて巻き込まれ、燃焼して高温のガス体を形成しており、その温度が高ければ高いほど保炎器8近傍を通過する未着火の微粉炭への着火保炎を促進する。
【0006】
こうして現状のバーナ構造は、低NOxを目的とした燃焼用空気3分割方式を持ち、着火性の向上を図る目的で、前述のa.かb.のどちらかの方法、それらにc.の方法を組み合わせたa+c、またはb+c方法を採用して、バーナ単体での低NOx化及び広域負荷(最低負荷の切り下げ)運転を達成しようとしている。その結果、燃料比(固定炭素/揮発分)1〜2前後の微粉炭(200メッシュパス80%)に対して、ボイラ出口での排出NOx値は150〜200ppm(6%O換算)、未燃分5%以下を達成できる技術を確立している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述の低NOxバーナを設置した微粉炭焚きボイラにおいて、燃料である石炭の種類としては、比較的燃焼性のよい燃料比(固定炭素/揮発分)が1〜2前後の石炭が用いられ、その粒度は200メッシュ通過率(200メッシュパス)で80%前後である。
【0008】
そして、外部及び内部二段燃焼法の併用及び単段燃焼用バーナによる低NOx化の技術により、ボイラ出口でのNOx排出量が100〜150ppm前後(燃料比が2、石炭中の窒素分1.5%の基準炭で、灰中未燃分5%以下)まで下げられるようになった。しかしながら、環境対策としての燃焼排ガスに含まれるNOx排出量の規制は厳しくなる一方で、ボイラ出口NOx排出濃度も100ppm以下の低い値が要求される。これに加えて、石炭の輸入依存度が100%に近い我が国では炭種に依らず、安定した低NOx化ができる技術の確立は必要不可欠である。
【0009】
また、NOx排出量が100ppm以下にする燃焼排ガス中の低NOx化対策としては、バーナ部での内部二段燃焼法のさらなる強化をねらって、一次流路壁の外周保炎器8からの着火保炎だけでなく、微粉炭を搬送している一次空気の流れの中に低NOx及び燃焼促進器11(図1参照)を設置し、着火・保炎を強化する方法(特開平9−203505号、特開平10−38217号、特開平10−220707号)を提案している。
【0010】
しかし、この低NOx及び燃焼促進器11については、大きさ、形状、設置位置などの違いによって、その着火促進性及び保炎性に大きな差があり、最適な設計のものを用いないと目標としているNOx排出濃度が得られない。しかし前記最適値がどこにあるか、全く分かっていないのが現状である。
【0011】
本発明の課題は、炭種に依らず、NOx排出濃度が低く、安定した燃焼が得られる固体燃料燃焼バーナを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、固体燃料と輸送用気体からなる固気二相流が流れる一次流路と燃焼用空気がその周囲に流れる空気流路を有し、バーナ出口部分の一次流路壁先端部に保炎器を設け、かつ一次流路出口部の一次流路内に低NOx及び燃焼促進器を設けた固体燃料燃焼バーナであって、低NOx及び燃焼促進器は径方向に切れ込みがある円環リング形状であり、その寸法及び寸法比が
a.円環リングの幅(d)が30mm以上
b.径方向の切れ込みの凹部深さ(d’)が円環リング幅(d)に対する比(d’/d)が0.3≦d’/d≦0.4
c.径方向の切れ込みの周方向の長さ(rθ’)の最大値が5.5≦rθ’≦8.0
d.径方向の切れ込みが等間隔にあり、その間隔の比率(θ’/θ)が0.2≦θ’/θ≦0.45
であり、
e.低NOx及び燃焼促進器の設置位置が前記保炎器の位置から鉛直方向に下ろした垂線を基準にしてバーナ軸方向に対して、前後15度以内
である条件a.〜e.の少なくとも一つの条件を満足する低NOx及び燃焼促進器を設けた固体燃料燃焼バーナにより解決される。
【0013】
また、低NOx及び燃焼促進器のバーナの半径方向の取付位置を一次流路半径(r)に対し、中心軸から0.5r〜0.7rとすることが望ましい。
【0014】
また、低NOx及び燃焼促進器の一次流路内の固気二相流の流れ方向の投影面積が、前記条件a.〜d.の内、少なくとも一つの条件を満足する低NOx及び燃焼促進器を設けた固体燃料燃焼バーナでもよい。
【0015】
【作用】
図3に微粉炭バーナの低NOx化機構を示す。図3(a)は低NOx及び燃焼促進器11を設けない例、図3(b)は低NOx及び燃焼促進器11を設けた例を示す。図3の微粉炭バーナには微粉炭と搬送用空気の混相流が流れる一次流路1があり、その外周に二次流路2と三次流路3が設けられ、それぞれ二次燃焼用空気と三次燃焼用空気が流れ、火炉121内でこれらの旋回流が形成される。一次流路壁バーナ出口先端には外周保炎器8が設けられ、その後流には再循環領域15が形成される。一次流路1から火炉121内に噴出する混相流は未着火領域12を形成した後、酸素を消費して燃焼するが、酸素(O)消失点14を過ぎるとNOx還元領域13を形成する。
【0016】
前記燃焼ガスの低NOx化にはバーナ出口での微粉炭流への着火を促進し、NOx還元領域13の開始点である酸素消失点14をバーナ近傍へ近づけることによりNOx還元領域13を拡大することが必要である。そのため、本発明では、図3(b)に示すように最適形状等を有する低NOx及び燃焼促進器11を設ける。
【0017】
微粉炭粒子の着火促進には、バーナ出口で着火に必要なエネルギー(簡単には熱、更には温度)が十分供給されなければならないことから、微粉炭粒子が着火領域にかなりの時間の間、滞留することが必要となってくる。すなわち、微粉炭粒子速度を低減させることが有効である。
【0018】
図5に示すバーナ近傍の火炉121内での微粉炭を含む混相流を模擬した一次空気の流動の例で説明すると、低流速域(LVR、流速10m/s以下の領域とする)20が広いほど、より多くの粒子がバーナの近くで着火する。なお、図5(b)、図5(c)の断面は図5(a)のL/r=0.4の位置での流動解析結果である。
【0019】
更に図2の火炉側から見たバーナ正面の1/4部分図に示すように、低NOx及び燃焼促進器11を設置することにより、その外周長(濡れぶち長さ)が長くなり、火炉121(図11)からの輻射熱を受けやすくなる。
【0020】
また、バーナ出口での混相流の乱れも重要で、乱流熱伝達が促進され、粒子の昇温を早め、着火を加速する。微粉炭を含む混相流中に低NOx及び燃焼促進器11を設置することは、図9(b)に示すように,その後流に形成される混相流の逆流域(再循環領域)26がその周辺の微粉炭流をも巻き込んで低流速域20(図5(b)に対応)を広げるだけでなく、保炎器8の端からの乱流渦(再循環領域)15生成による乱流域形成21(図5(c)に対応)の役目をして着火・保炎促進を行っている。
【0021】
これらは低NOx及び燃焼促進器11の大きさ、形状に大きく依存し、コールドモデル流動実験で、いろいろな形状の低NOx及び燃焼促進器11を設置したときのバーナ出口の低流速域20と強乱流域(乱流エネルギ40m/s以上)21を測定し、最適な形状を見いだした。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明する。
図11に微粉炭焚きボイラの燃焼系統図を示す。石炭はバンカ133に貯蔵され、燃焼装置の付加に応じて石炭フィーダ134からミル124に送られる。微粉炭搬送用空気はPAF125で加圧され、熱交換器1210を通過後、一次熱空気ダクト130と一次熱空気ダンパ122を経由してミル124に送られる。ミル124で粉砕された微粉炭は送炭管132を通して微粉炭バーナ128に搬送される。一方、燃焼用空気は、FDF(Force Draft Fan)129から熱交換機1210を通過後、風箱127に入り、図1(a)に示すバーナ部のウインドボックス6を経て二次流路2と三次流路3へ搬送される。ボイラ火炉121での微粉炭の燃焼により生成した排ガスは脱硝装置135、熱交換機1210を通過後、集塵機136、脱硫装置137で順次浄化処理される。また、ボイラ火炉121出口の排ガスの一部はGRF1211を経由して火炉121の底部にあるGR投入ダクト1212から火炉121に再循環する。
【0023】
バーナ部の側断面図は図1(a)に示す通りである。微粉炭と一次空気の混合流体が供給される一次流路1の外側に二次空気供給用の二次流路2があり、更にその外側に三次空気供給用の三次流路3がある。二次流路2、三次流路3には燃焼用空気を旋回させるためのベーン9、スワーラ10がそれぞれ設けられている。一次流路1の中心部には微粉炭着火用のオイルガン4を設け、一次流路1出口部の前流側にはベンチュリ7が設置されている。また、一次流路1と二次流路2を仕切るノズル先端に外周保炎器8を設け、一次流路1出口には低NOx及び燃焼促進器11が設置されている。低NOx及び燃焼促進器11は図1(b)、図1(c)に示すように幅dのリング状平面を有し、その平面部には半径方向の外周と内周の円周方向に均等間隔の複数の切込み11a、11bを設けている。
【0024】
図11に示す微粉炭焚きボイラの燃焼系統図において、燃焼用空気は、FDF129から熱交換機1210内で約350℃に加熱後、風箱127に入り、図1(a)に示すバーナ部の二次流路2、三次流路3へ搬送される。ミル124で粉砕された微粉炭は微粉炭バーナ128に搬送され、図1(a)に示すバーナの一次流路1へ導かれる。
【0025】
一次流路1に供給される一次空気と混合後の微粉炭の濃度(C/A)は混合前に比べて低下するので、一次流路1の出口部の前流側には固体粒子と空気との慣性力の差を利用したベンチュリ7によって、微粉炭流(混相流)に濃縮をかけ、濃縮流を一次流路1の外周側、希薄流を一次流路1の中心側に分離して供給する。そして、濃縮流は二次流路2の出口近傍の外周保炎器8を囲むように通過する。外周保炎器8と低NOx及び燃焼促進器11近傍では、その後流に乱流渦による再循環領域15、26が形成され、この領域15、26内に20μm以下の比較的小さい微粉炭粒子が巻き込まれ、その巻き込まれた微粉炭が燃焼することで、微粉炭が着火し易くなっている。
【0026】
また、図2に示すように低NOx及び燃焼促進器11を設置したことにより、一次空気の受熱面積が拡大して火炉121内からの輻射熱を多く取り入れ、高温再循環領域26が高温ガスの火種となって、近傍を通過する微粉炭の着火促進に役立っている。
【0027】
例えば,燃料比2以下の比較的燃焼性のよい石炭の200メッシュパス60%の粒度の粗いものを用いた場合、20μm以下の微粒子の割合が小さく、再循環領域26へ巻き込まれる微粉炭量が減り、着火性を悪くする。そこで、バーナ内部で高温の二次空気とベンチュリ7の後流側の一次流路1の壁面近くで間接的に接触させることにより、微粉炭は昇温され、一部の揮発成分を放出させ、その揮発ガスが再循環領域26へ巻き込まれることで、低NOx及び燃焼促進器11後流の再循環領域26の着火性を維持できる。
【0028】
また、粒度は200メッシュパス80%以上あるが、揮発分の少ない高燃料比の微粉炭の場合、高温の二次空気との接触で微粉炭粒子自身の温度を高めることで着火性を維持する。
【0029】
これらの効果は低NOx及び燃焼促進器11の形状及び設置位置によって顕著に現れる。そこで適正な低NOx及び燃焼促進器11の形状を見いだすべく数値計算及びコールドモデルによる流れ解析結果より条件を決定した。
【0030】
まず、低NOx及び燃焼促進器11近傍の微粉炭粒子の着火機構の解析結果から決定する。実機における流速22m/s、200メッシュパス80%の燃料比1〜2の微粉炭を対象とし、低NOx及び燃焼促進器11の幅dを変化させて、再循環領域15、26内で着火に必要な最小の微粉炭濃度(C/A)を計算した。その結果を図9(b)に示す。
【0031】
図9(b)によると、微粉炭濃度(C/A)の値が小さいほど着火性が良好である、つまり、微粉炭の濃度が薄くても着火をすることを意味し、着火性の目安となる。結果は、低NOx及び燃焼促進器11の幅dを10mm、20mmと大きくすると着火性は向上する。そして、低NOx及び燃焼促進器11の幅dが30mmを過ぎると、着火性改善効果は小さくなり、50mm以上では変化しなくなる。すなわち、着火性を損なわない最小の低NOx及び燃焼促進器11の幅dは30mmであることが判明した。
【0032】
次に、低NOx及び燃焼促進器11の外周部に設けた切込み11aの形状(切込み込み幅(rθ’)(rはバーナ中心軸からの燃焼促進器11の幅dの中心部までの半径方向の距離とする)、深さ(d’)、隣接する切込み11a同士の間隔(θ’/θ))を決めるため、コールドモデルによる流動実験を行った。図4にコールドモデル流動実験装置の系統を示す。
【0033】
低NOx及び燃焼促進器11の内周部に設けた切込み11bの形状(切込み込み幅、深さ)は外周側のそれらと同じとする。
【0034】
図4に示すモデルバーナは一次流路1のみを備えたものであり、一次空気はPAF(Primary Air Fan)125から供給する。モデルバーナの一次流路1途中でトレーサ粒子17を一次空気に混入し、レーザ流速計(LDV:Laser Doppler Velosimeter(レーザドップラ流速計)、PDPA:Phase Doppler Particle Analyzer(位相ドップラ粒子解析装置))16と信号処理機18を用いてバーナ出口部分の流速分布を計測した。
【0035】
流速分布を計測した後のトレーサ粒子17はIDF19で吸引される空気流に同伴されてバグフィルタ136で回収される。
【0036】
また、二次空気流の乱れについては等方性乱流渦を仮定した乱流エネルギー3/2u'(u'は軸方向流速変動)分布を求めた。実験は、低NOx及び燃焼促進器11の切込み11a、11bの形状について、低NOx及び燃焼促進器11の断面積一定の条件で、切込み幅(rθ’)、凹凸比(d’/d)、切込み間隔(θ’/θ)を変えて実験をした。
【0037】
図5にバーナ近傍の空気流動を示すように、バーナ出口近傍の軸方向流速分布及び乱流エネルギー分布計測結果から、低流速域20(LVR:10m/s以下)と強乱流域21(STR:40m/s以上)の占める割合の大きい形状を選択し、解析をした。
【0038】
また、図6にはコールドモデル流動実験結果の一例として、従来の低NOx及び燃焼促進器11を設けてない低NOxバーナ(基準型バーナ:日立−NR2型を模擬)と低NOx及び燃焼促進器11(タイプ1とタイプ2)を設置したバーナの、各々の一次流路1出口の等速度分布及び等乱流エネルギ分布を示す。
【0039】
この図の流速分布については分かりやすいように、高流速域23(20m/s以上の領域)と流速変動幅3m/s以上の領域24にそれぞれ斜線を入れている。低NOx及び燃焼促進器11は、幅7mmで深さ10mmの切込み11a、11bを35度間隔で設けたとき(低NOx及び燃焼促進器11:タイプ2)が最も良く、基準型では、低流速域20は65%、強乱流域21は28%なのに対し、低NOx及び燃焼促進器11付きのバーナでは低流速域20は64%、強乱流域21は41%となった。低流速域20の変動は小さいものの強乱流域21の増大が顕著で、着火・保炎性能は向上すると期待される。
図6のハッチングのない部分は低流速域20を表し、ハッチングのある部分は強乱流域21を表す。
【0040】
図6に示す結果に基づき、低NOx及び燃焼促進器11として、切込み11a、11bのない円環状のものと、切込み11a、11bを入れたものを作製し、燃焼実験を行い、火炉121(図11)出口のNOx濃度を測定、確認した。結果を図8に示すように、低NOx及び燃焼促進器11としては切込み11a、11bを入れたものの方がNOx値は低く、切込み11a、11bがあることによる効果が示された。
【0041】
そこで、低NOx及び燃焼促進器11の適正形状であるが、更にコールドモデルによっていろいろな形状について流動実験を行い、バーナ近傍の低流速域(LVR)20と強乱流域(STR)21を測定し、その結果を図7に示し、図7により低NOx及び燃焼促進器11の適正形状を決めた。
【0042】
切込み11a、11bの凹凸比(d’/d)は、図7(b)に示すように切込み深さd’を変えて実験をすると、低流速域(LVR)20はほとんど変わらない。しかし、強乱流域(STR)21は切込み深さd’が大きくなる流れの剥離が大きくなるため、その領域は増加し、切込み深さd’が7mm以上になるとほとんど変わらなくなる。ただし、切込み深さd’を10mm以上にすると若干低流速域20が小さくなるので、これを上限とした。凹凸比(d’/d)で表せば0.3≦d’/d≦0.4となる。
【0043】
つぎに、低NOx及び燃焼促進器11の凹部切込み11a、11bの周方向長さ(rθ’)を決める。図7(a)に周方向長さ(rθ’)を変えてコールドモデル実験をしたときの結果を示す。低流速域(LVR)20及び強乱流域(STR)21が最大となる周方向長さ長さは7mmである。そこを境にそれぞれの領域が小さくなるが、それぞれの領域が最大値とほぼ変わらない周方向長さ(rθ’)は、下は5.5mm、上は8.0mmまである。従って、それら以下または以上にすると低流速域(LVR)20及び強乱流域(STR)21が小さくなり、着火の促進及びNOx還元領域13の拡大につながらなくなる。つまり切込み幅(rθ’)は5.5〜8.0mmで最大の効果を示すことになることが分かった。
【0044】
さらに、その切込み間隔(θ’/θ)の条件であるが、最適条件を見つけるべく、その間隔を変えて行ったコールドモデル実験結果を図7(c)に示す。この間隔(θ’/θ)は低流速域(LVR)20にはあまり影響はなく、強乱流域(STR)21への影響が大きい。つまり切込み11a、11bの数が多い程乱流を発生させる。従って切込み間隔(θ’/θ)が大きくなると強乱流域(STR)21は大きくなる。しかし、実験結果では0.2[−]以上になると,その影響は薄れほぼ一定になる。この乱れから乱流渦(再循環流)26を発生させ、乱流熱伝達を促進させるためには、切込み間隔(θ’/θ)の下限値は0.2[−]とする。最大値としては、切込み間隔(θ’/θ)を0.5[−]とすると、低流速域(LVR)20が大きく減少するため、0.45[−]とする。したがって、切れ込み間隔(θ’/θ)は0.2≦θ’/θ≦0.45[−]とすることが望ましい。
【0045】
この低NOx及び燃焼促進器11の軸(流れ)方向への設置位置であるが、この軸方向の位置により炭種、粒度に応じて二次空気との接触混合時間を調節し、着火性の劣るものは混合位置をより前流側に設置して着火性の確保を図る。図示はしないが、コールドモデルによる実験では外周保炎器8より前流側へ低NOx及び燃焼促進器11を移動させると、一次空気の外周空気が中心軸方向へ流れるパターンへ変わる。
【0046】
つまり、一次空気の外周の暖かい二次空気が一次空気へ流れ、一次空気の温度を上昇させ着火の促進、NOx還元領域13(図3)の拡大が図れる。特に外周保炎器8の位置から鉛直方向に下ろした垂線を基準にしてバーナ軸方向に対して、前流側へ15度の位置で中心軸方向への流れが強くなることが分かった。従って、使用する炭種による空気との混合条件をも加味すると、低NOx及び燃焼促進器11の軸方向の設置位置は外周保炎器8の位置を基準にして30度以内(図1(b)参照)にすることが望ましい。
【0047】
図9(a)に示すように、従来の日立−NR型、NR2型バーナは一次流路1出口に保炎器8があり、後流に再循環領域(逆流域)15を形成する。これが高温の火種となって、近傍を通過する微粉炭を着火する。このとき、火炎は一次流路1の外周側から中心部へ進行するが、バーナ近傍の中心部には未着火領域12が形成される。このバーナの一次流路1内に低NOx及び燃焼促進器11を設置すると、低NOx及び燃焼促進器11の後流側の再循環領域(逆流域)26からも火炎伝播が起こり、バーナ中心部の未着火域12の大きさを減少させる。この未着火域12の体積は低NOx及び燃焼促進器11の半径方向の位置によって変化し、無次元半径方向位置r/rが0.6[−]で最小となる。
【0048】
図9(a)の縦軸の無次元未着火領域は外周保炎器8のみの未着火領域12の体積で無次元化したものである。図9(a)から、低NOx及び燃焼促進器11をr/r=0.6[−]に設置すると、外周保炎器8のみを設置した場合(r/r=1.0[−])に対し、未着火領域12は約1/3に減る。したがって、低NOx及び燃焼促進器11を設置すると、これだけ着火が早まり、バーナ出口近傍のNOx還元領域13を拡大し、燃焼ガス中のNOx濃度の低減に役立つのである。バーナの半径方向の低NOx及び燃焼促進器11の取付位置としては、その前後で未着火領域12が変わらない範囲として0.5r〜0.7rとすることが望ましい。
【0049】
これまでの適正条件を基に低NOx及び燃焼促進器11を製作、従来の基準型バーナ(図6のNR2型)のNOx濃度と比較した結果を図10に示す。従来の基準型バーナより26%NOx濃度の低減効果を達成できることが分かり、最適形状の低NOx及び燃焼促進器11を設置することにより、要求されている環境基準値である低NOx濃度100ppm以下を達成することが可能となる。
【0050】
また、低NOx及び燃焼促進器11の後流側での流体の流れや渦の発生は流体の抵抗係数(例えば車の形状係数Cd値(Cd=D/(1/2ρuA)、 D:抵抗力 ρ:密度 u:主流速度 A:投影面積)など)に大きく影響する。
【0051】
従って、低NOx及び燃焼促進器11を正面から見た時の面積(投影面積)及びその形状を規定した条件(請求項3のa.〜d.)の1つ若しくは複数の条件を満足するときは同等な性能を発揮する。
【0052】
【発明の効果】
本発明になる微粉炭燃焼装置によれば、従来の微粉炭バーナではなし得なかった燃料比の比較的高い高燃料比炭に対しても、低NOxで且つ高効率燃焼(低未燃分)が可能である。また、通常の200メッシュパス80%の微粉炭を本発明の低NOx及び燃焼促進器を取り付けて燃焼させる場合には、バーナ近傍でのNOx低減効果が非常に大きくなるため、バーナ部後流の完全燃焼用アディショナル空気投入位置をよりバーナ部に近くにすることが可能となり、これはボイラ火炉のコンパクト化へ大きく貢献する。
【0053】
また燃焼用二次空気、三次空気の投入の無い単段燃焼用ボイラにおいてもバーナ近傍の受熱が多くなり,保炎器などの保炎部の着火促進及び燃焼性に優れ、低NOx燃焼及び高効率燃焼(低未燃分)が可能となる。更に広範囲の燃料種における石炭にも安定着火が得られ、広域負荷運転なども可能となり、バーナ操作の安定性に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の低NOx及び燃焼促進器を取り付けた微粉炭燃焼用バーナの側断面図(図1(a))、図1の低NOx及び燃焼促進器の設置部分のバーナの1/4側断面の拡大図(図1(b))と図1の低NOx及び燃焼促進器の1/4平面の拡大図(図1(c))である。
【図2】 図1の低NOx及び燃焼促進器設置によるバーナ近傍の着火促進効果を説明するバーナの火炉側から見た1/4部分平面図である。
【図3】 図1の低NOx及び燃焼促進器の設置による作用(図3(b))を従来例(図3(a))と比較して説明する図である。
【図4】 図1の低NOx及び燃焼促進器の設置による効果のコールドモデル流動実験装置の説明図である。
【図5】 図1の低NOx及び燃焼促進器の設置によるバーナ近傍の流動体の流動分布などの一例を示す図である。
【図6】 図1の低NOx及び燃焼促進器の設置による効果のコールドモデル実験結果を説明する図である。
【図7】 図1の低NOx及び燃焼促進器の形状による低流速及び強乱流域の影響をグラフ化した図である。
【図8】 図1の低NOx及び燃焼促進器の設置による燃焼実験結果(1)を従来技術と比較して示す図である。
【図9】 図1の低NOx及び燃焼促進器のの半径方向位置(図9(a))と幅(図9(b))を説明する図である。
【図10】 図1の低NOx及び燃焼促進器の設置による燃焼実験結果(2)を従来技術と比較して示す図である。
【図11】 微粉炭焚きボイラ系統図である。
【符号の説明】
1 一次空気流路 2 二次空気流路
3 三次空気流路 4 オイルガン
5 炉壁 6 ウインドボックス
7 ベンチュリ 8 外周保炎器
9 ベーン(旋回器) 10 スワーラ(旋回器)
11 低NOx及び燃焼促進器 12 未着火領域
13 NOx還元領域 14 NOx還元領域開始点
15 再循環領域 16 レーザ流速計
17 トレーサ粒子 18 信号処理機
19 誘引通風機(IDF)
20 低流速域(LVR:流速10m/s以下の領域)
21 強乱流域(STR:乱れ度40m/s
23 高流速域(20m/s以 上)
24 流速変動大の領域(変動幅3m/s以上)
26 逆流域(再循環領域) 125 PAF
136 バグフィルタ

Claims (3)

  1. 固体燃料と輸送用気体からなる固気二相流が流れる一次流路と燃焼用空気がその周囲に流れる空気流路を有し、バーナ出口部分の一次流路壁先端部に保炎器を設け、かつ一次流路出口部の一次流路内に低NOx及び燃焼促進器を設けた固体燃料燃焼バーナであって、
    低NOx及び燃焼促進器は径方向に切れ込みがある円環リング形状であり、その寸法及び寸法比が
    a.円環リングの幅(d)が30mm以上
    b.径方向の切れ込みの凹部深さ(d’)が円環リング幅(d)に対する比(d’/d)が0.3≦d’/d≦0.4
    c.径方向の切れ込みの周方向の長さ(rθ’)の最大値が5.5≦rθ’≦8.0
    d.径方向の切れ込みが等間隔にあり、その間隔の比率(θ’/θ)が0.2≦θ’/θ≦0.45
    であり、
    e.低NOx及び燃焼促進器の設置位置が前記保炎器の位置から鉛直方向に下ろした垂線を基準にしてバーナ軸方向に対して、前後15度以内
    である条件a.〜e.の少なくとも一つの条件を満足することを特徴とする低NOx及び燃焼促進器を設けた固体燃料燃焼バーナ。
  2. 低NOx及び燃焼促進器のバーナの半径方向の取付位置の中心を一次流路半径(r)に対し、中心軸から0.5r〜0.7rとすることを特徴とする請求項1記載の低NOx及び燃焼促進器を設けた固体燃料燃焼バーナ。
  3. 低NOx及び燃焼促進器の一次流路内の固気二相流の流れ方向の投影面積が、
    a.円環リングの幅(d)が30mm以上
    b.径方向の切れ込みの凹部深さ(d’)が円環リング幅(d)に対する比(d’/d)が0.3≦d’/d≦0.4
    c.径方向の切れ込みの周方向の長さ(rθ’)の最大値が5.5≦rθ’≦8.0
    d.径方向の切れ込みが等間隔にあり、その間隔の比率(θ’/θ)が0.2≦θ’/θ≦0.45
    である条件a.〜d.の内、少なくとも一つの条件を満足することを特徴とする請求項1記載の低NOx及び燃焼促進器を設けた固体燃料燃焼バーナ。
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