JP3670642B2 - 昇圧回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不揮発性半導体メモリや半導体集積回路に使用される昇圧回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、不揮発性半導体記憶装置、例えばフラッシュEEPROMでは、書き込み、消去及び読出し時において種々の高電圧を供給する昇圧回路が広く利用されている。この昇圧回路では、特に、低電圧動作及び昇圧効率の点で優れる4相のクロック信号で駆動されるしきい値相殺型の昇圧回路が広く用いられている。
【0003】
以下、従来の4相クロック駆動のしきい値相殺型昇圧回路を図21に基づいて説明する。同図は、4基の昇圧セル1a〜1dが直列に接続された4段の昇圧回路であって、最終段(4段目)の昇圧セル1dの出力側には整流用トランジスタMdが接続され、この整流用トランジスタMdから出力電圧VPPが出力される。前記整流用トランジスタMdの出力側には、リミッタ回路2及び平滑容量Coが接続される。前記リミッタ回路2は、読み出し時に使用するブレークダウン電圧が5Vの読出し用ツェナーダイオードdZ1と、ブレークダウン電圧が10Vの書き込み/消去時に使用する書換え用ツェナーダイオードdZ2と、切換スイッチ3とにより構成されており、切換制御信号ACTHに基づいて切換スイッチ3を制御して、出力電圧VPPを10V又は5Vに切り換える構成である。
【0004】
前記各昇圧セル1a〜1dは、図22に示すように、各々、位相の異なる2つの昇圧クロック信号(CLK1とCLK3、又はCLK2とCLK4)により駆動される構成となっている。これらのクロック信号CLK1〜CLK4は所定の“H”及び“L”の期間と周期を持つ方形波である。前記各昇圧セル1a〜1dは互いに同一構成であり、その構成は特許文献1に開示される。最終段の昇圧セル1dの内部構成を図23に例示する。同図において、昇圧セル1dは、Nチャネル型の電荷転送トランジスタM1と、Nチャネル型のスイッチングトランジスタM2と、2つの昇圧容量C1、C2から構成されており、クロック端子CLKSにクロック信号CLK4を受け、他のクロック端子CLKMにクロック信号CLK2の反転信号NCLK2を受け、入力端子VINに前段の昇圧回路1cからの昇圧電圧を受け、出力端子VOから昇圧電圧を整流用トランジスタMdに出力する。
【0005】
以上のように構成された従来の昇圧回路について、以下、その動作を説明する。図21に示した昇圧回路は、1段目の昇圧セル1aの昇圧容量C1から、2段目、3段目、4段目と順に昇圧容量C1に電荷を蓄積して、任意の高電圧を得るものである。例えば3段目の昇圧セル1cの昇圧容量C1からその昇圧動作後の電圧を4段目の昇圧セル1dの昇圧容量C1に転送する際に、4段目の昇圧セル1dでは、図22のタイミングT6において、昇圧容量C2に入力される昇圧クロック信号CLK4を接地電位から電源電位に変化させることにより、電荷転送トランジスタM1のゲート電圧を十分に高くして、3段目から転送された昇圧電圧が電荷転送トランジスタM1を経て昇圧容量C1に転送される際の電圧降下を抑制する構成である。その後、昇圧容量C1に転送された昇圧電圧は、クロック端子CLKMに入力される反転クロック信号NCLK2をタイミングT8において接地電位から電源電位に(クロック信号CLK2を電源電位から接地電位に)変化させることにより、更に昇圧される。この昇圧動作を1段目〜4段目まで順次繰り返すことにより、電源電圧VCCよりも高い昇圧電圧を発生させることができる。4段目の昇圧セル1dでは、次周期のタイミングT8において、4段目の昇圧セル1dのクロック端子CLKMに入力される反転クロック信号NCLK2が接地電位から電源電位に(クロック信号CLK2が電源電位から接地電位に)変化することにより、スイッチングトランジスタM2はそのゲート- ソース間電圧Vgsがしきい値電圧Vthを越えて導通状態となるので、電荷転送トランジスタM1のゲートの電荷が入力端子VINに引き抜かれ、そのゲート電圧を下げる。
【0006】
リミッタ回路2は、切換制御信号ACTHに応じて、出力電圧VPPを所定の電圧に切換えて使用することができる。具体的には、高電圧を必要とする書換え時には、切換制御信号ACTHを活性化することにより、昇圧回路の出力端子に書換え用ツェナーダイオードdZ2を接続して、出力電圧VPPを10Vにクランプし、一方、低い昇圧電圧が必要な読出し時には、切換制御信号ACTHを非活性化することにより、昇圧回路の出力端子に読出し用ツェナーダイオードdZ1を接続して、出力電圧VPPを5Vにクランプする。このように、動作モードに応じて、昇圧回路の出力電圧VPPは切換えて使用される。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−268893号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、今後、電源の低電圧化が進行すると、出力される昇圧電圧が高電圧から低電圧に急激に切換わる場合、例えばデータの書換えモードから読出しモードへの遷移時や、書換えモードからプログラムベリファイモードへの遷移時のような特定のモード遷移時の場合、更には電源の瞬間停止時の場合には、前記従来の昇圧回路では、次の欠点があることが判った。
【0009】
すなわち、前記のような特定のモード遷移時や電源の瞬間停止時には、図24に示すように、4段目の昇圧セル1d内のON状態の電荷転送トランジスタM1では、昇圧電圧が低電圧に切換わるために、ソース電圧Vsが急激に低下し、これに伴いそのドレイン電圧Vdも急激に低下して、そのソース電圧Vsとドレイン電圧Vdとがほぼ同電位になり、スイッチングトランジスタM2のゲート電圧Vgとそのソース電圧Vs(即ち、電荷転送トランジスタM1のドレイン電圧Vd)とが同電位になる。その結果、スイッチングトランジスタM2はカットオフし、電荷転送トランジスタM1のゲートには高電圧が残存することになる。
【0010】
ここで、電源が高電圧である場合、つまり、昇圧クロックCLK1〜CLK4の振幅が大きい場合には、4段目の昇圧セル1dの端子CLKMに昇圧クロックCLK2の反転クロックNCLK2が入力されると、この反転クロックNCLK2のHレベルによりスイッチングトランジスタM2のゲート電圧Vgが十分に高くなり、そのゲート- ソース間電圧Vgsがしきい値電圧を越えて、スイッチングトランジスタM2がONする。その結果、電荷転送トランジスタM1のゲートの電荷は放出されて、高電圧が残存したままになることはない。
【0011】
これに対し、電源が低電圧である場合には、昇圧クロックCLK1〜CLK4の振幅が小さく、このため、昇圧クロックCLK2の反転クロックNCLK2が入力されても、その反転クロックNCLK2のHレベルによってはスイッチングトランジスタM2のゲート電圧Vgは十分に高められず、そのゲート- ソース間電圧Vgsはしきい値電圧Vtを越えない場合がある。この場合には、スイッチングトランジスタM2は、昇圧クロック信号CLK2、CLK4の変化に拘わらず、常にカットオフ状態になって、電荷転送トランジスタM1は、そのゲートに高電圧が残存したままとなる。その結果、電荷転送トランジスタM1のゲート- ソース間電圧Vgsは常にしきい値電圧Vt(=0.51V)よりも大きくなって、常に導通状態になるため、所望の昇圧動作が行われなくなって、昇圧回路の電流供給能力が低下し、昇圧電圧VPPが低下して、この昇圧電圧の供給先の回路の正常動作を良好に確保することができない場合が生じる。
【0012】
このように、前記従来の構成では、電源の低電圧化により昇圧クロック信号CLK1〜CLK4の振幅が小さくなると、前記のような特定モードの遷移後や、電源の瞬間停止後の再起動時には、正常な昇圧動作が行われず、昇圧回路の電流供給能力が低下する場合があるという問題がある。
【0013】
本発明は前記従来の問題点を解決するものであり、その目的は、低電圧の電源を使用した場合に、高い昇圧電圧を出力するモードから低い昇圧電圧を出力するモードに遷移した際や、電源の瞬間停止後の再起動時等であっても、電荷転送トランジスタのON、OFFを所期通りに確保して、安定した昇圧動作を行うことができる高い信頼性の昇圧回路を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明では、電荷転送トランジスタのゲート電圧を強制的に電源電圧よりも絶対値の高い所定リセット電位にリセットすることとする。
【0015】
すなわち、請求項1記載の発明の昇圧回路は、昇圧セルがn段(nは2以上の整数)直列に接続され、前記n段の昇圧セルのうち少なくとも最終段の昇圧セルは、前段からの出力電圧を入力して後段に転送するための電荷転送トランジスタと、前記電荷転送トランジスタの出力側に一方の電極が接続され、他方の電極に所定の位相を有する第1クロック信号が入力される出力電圧昇圧用容量と、前記電荷転送トランジスタのゲートに一方の電極が接続され、他方の電極に所定の位相を有する第2クロック信号が入力されるゲート電圧昇圧用容量と、前記電荷転送トランジスタのゲートをその入力端子に接続するためのスイッチングトランジスタとを有する昇圧回路において、制御信号を受け、この制御信号に基づいて、少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧を電源電圧よりも絶対値の高い所定リセット電位にリセットするリセット手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の昇圧回路において、前記制御信号は、少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧が前記電荷転送トランジスタの入力電圧よりも常に所定電圧以上高くなる時に出力され、この時に前記リセット手段により少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧を所定リセット電位にリセットすることを特徴とする。
【0017】
請求項3記載の発明は、前記請求項2記載の昇圧回路において、前記制御信号は、少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧が前記電荷転送トランジスタの入力電圧及び出力電圧よりも常に所定電圧以上高くなる時に出力されることを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明は、前記請求項2又は3記載の昇圧回路において、前記所定電圧は、前記電荷転送トランジスタのしきい値電圧に等しい電圧であることを特徴とする。
【0019】
請求項5記載の発明は、前記請求項2、3又は4記載の昇圧回路において、前記制御信号は、特定のモード遷移時に前記リセット手段に出力され、この特定のモード遷移時に前記リセット手段により少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧を所定リセット電位にリセットすることを特徴とする。
【0020】
請求項6記載の発明は、前記請求項2、3又は4記載の昇圧回路において、前記制御信号は、昇圧回路の起動時に前記リセット手段に出力され、この起動時に前記リセット手段により少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧を所定リセット電位にリセットすることを特徴とする。
【0021】
請求項7記載の発明は、前記請求項1記載の昇圧回路において、前記電荷転送トランジスタのゲート電圧の所定リセット電位は、昇圧動作が正電圧方向に行われる場合には、電源電圧よりも高い電圧値に設定されることを特徴とする。
【0022】
請求項8記載の発明は、前記請求項1又は7記載の昇圧回路において、前記リセット手段による電荷転送トランジスタのゲート電圧の所定リセット電位へのリセットは、複数段の昇圧セルにおいて行われ、前記複数段の昇圧セルでの電荷転送トランジスタのゲート電圧の所定リセット電位は、昇圧動作が正電圧方向に行われる場合には、前段の昇圧セルでの所定リセット電位以上の電位に設定されていることを特徴としている。
【0023】
請求項9記載の発明は、前記請求項7記載の昇圧回路において、前記リセット手段は、前記制御信号を入力し、この制御信号の振幅を増幅して出力するブースト手段と、前記ブースト手段の出力を入力して、少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧を、電源電圧を越える所定リセット電位にリセットするリセット回路とを備えることを特徴とする。
【0024】
請求項10記載の発明は、前記請求項1記載の昇圧回路において、前記リセット手段は、前記制御信号に基づいて、少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧を、前記電荷転送トランジスタに入力される電圧と同電位の所定リセット電位にリセットすることを特徴とする。
【0025】
請求項11記載の発明は、前記請求項1、7、8、9又は10記載の昇圧回路において、昇圧回路の制御用として元々生成される所定制御信号を入力し、この所定制御信号の遷移を検知して、前記制御信号を設定時間だけ活性化し、この制御信号を前記リセット手段に出力する制御信号生成手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
また、請求項12記載の発明の昇圧回路は、昇圧セルがn段(nは2以上の整数)直列に接続され、前記n段の昇圧セルのうち少なくとも最終段の昇圧セルは、前段からの出力電圧を入力して後段に転送するための電荷転送トランジスタと、前記電荷転送トランジスタの出力側に一方の電極が接続され、他方の電極に所定の位相を有する第1クロック信号が入力される出力電圧昇圧用容量と、前記電荷転送トランジスタのゲートに一方の電極が接続され、他方の電極に所定の位相を有する第2クロック信号が入力されるゲート電圧昇圧用容量と、前記電荷転送トランジスタのゲートをその入力端子に接続するためのスイッチングトランジスタとを有する昇圧回路において、前記電荷転送トランジスタのゲート電圧と入力電圧との電圧差が所定電位差よりも大きいとき、前記電荷転送トランジスタのゲート電圧を所定リセット電位にリセットする自動リセット手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
請求項13記載の発明は、前記請求項12記載の昇圧回路において、前記自動リセット手段は、電荷転送トランジスタのゲートをその入力端子に接続するスイッチ手段と、前記電荷転送トランジスタのゲート電圧と入力電圧とを比較し、その電圧差が所定電位差よりも大きいとき、前記スイッチ手段を動作させて、前記電荷転送トランジスタのゲートをその入力端子に接続する制御回路とを備えることを特徴とする。
【0028】
請求項14記載の発明は、前記請求項1、2、3、4、5、6、9、10、11、12又は13記載の昇圧回路において、昇圧回路は、昇圧動作を負電圧の方向に行うことを特徴とする。
【0029】
以上により、請求項1〜請求項6記載の発明では、低電圧の電源を使用した場合において、例えばモード遷移時や電源の瞬間停止時等のように、昇圧回路の出力電圧が高い昇圧電圧から低い昇圧電圧に急に変化した時には、スイッチングトランジスタが常にカットオフ状態となって、電荷転送トランジスタはそのゲート電圧に高電圧が残存し、その電荷転送トランジスタのゲート電圧と入力電圧との電位差が電荷転送トランジスタのしきい値電圧以上高くなり、電荷転送トランジスタは常に導通状態になる懸念があるが、そのモード遷移後や再起動時には、制御信号がリセット手段に出力されて、このリセット手段が前記電荷転送トランジスタのゲート電圧を強制的に電源電圧よりも絶対値の高い所定リセット電位にリセットする。従って、電荷転送トランジスタが常に導通状態になる不具合が防止されて、モードの遷移後や再起動時にも正常な昇圧動作が確保されるので、安定した電流供給能力が発揮されて、高い信頼性の昇圧回路が実現されることになる。
【0030】
また、請求項7記載の発明では、特に、正電圧を昇圧する正昇圧回路において、電荷転送トランジスタのゲート電圧のリセット電位が正電源電圧よりも高い正電圧に設定されるので、リセット動作による正昇圧電荷の浪費を抑えることができて、昇圧動作の定常状態に至るまでの時間を短縮できるので、低消費電力化及び電圧安定までの待ち時間の短縮が図られる。
【0031】
更に、請求項8記載の発明では、特に、電荷転送トランジスタのゲート電圧のリセット電位が、後段の昇圧セルほど、前段の昇圧セルのリセット電位以上の電位に設定されているので、リセット動作による昇圧電荷の浪費を更に抑制できると共に、昇圧動作の定常状態に至るまでの時間を更に短縮でき、更なる低消費電力化及び電圧安定までの待ち時間の短縮が可能である。
【0032】
加えて、請求項9記載の発明では、特に、電荷転送トランジスタのゲート電圧のリセット電位が電源電位以上の電圧であるので、リセット動作時に電荷転送トランジスタのゲートに残存する電荷が電源端子に戻されて、消費電流が更に低減される。
【0033】
更に加えて、請求項10記載の発明では、特に、電荷転送トランジスタのゲート電圧のリセット電位がその電荷転送トランジスタの入力電圧と同電位であるので、リセット動作による昇圧電荷の浪費が最小限に抑えられると共に、昇圧動作の定常状態に至るまでの時間を最も短縮でき、効果的に低消費電力化及び電圧安定までの待ち時間の短縮化が可能である。
【0034】
また、請求項11記載の発明では、特に、既存の制御信号を利用して電荷転送トランジスタのゲート電圧のリセット動作が行われるので、そのリセット動作を簡易な回路構成で行うことができる。
【0035】
更に、請求項12及び13記載の発明では、特に、電荷転送トランジスタのゲート電圧と入力電圧との差電圧が所定電位よりも大きくなれば、この時点で自動リセット手段が自動的に動作して、その電荷転送トランジスタのゲート電圧をその入力電圧に自動的にリセットする。従って、昇圧回路のモード遷移時や電源の瞬間停止時などのように出力電圧が高い昇圧電圧から低い昇圧電圧に急激に変化した際であっても、その際に生じ易い電荷転送トランジスタの常時導通状態を確実に防止できると共にリセット動作による昇圧電荷の浪費が抑えられるので、モード遷移後や再起動時にも低消費電力でもって正常な昇圧動作が確保されて、安定した電流供給能力が発揮され、高い信頼性の昇圧回路が実現される。
【0036】
加えて、請求項14記載の発明では、特に、昇圧動作が負電圧の方向に行われる場合に、モードの遷移時や電源の瞬間停止時のように出力電圧が深い負昇圧電圧から浅い負昇圧電圧に急激に変化する際であっても、請求項1と同様に、電荷転送トランジスタが常に導通状態になる不具合が防止されて、モードの遷移後や再起動時にも正常な昇圧動作が確保される。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0038】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態のしきい値相殺型昇圧回路の構成を示す図である。同図の昇圧回路は、直列に接続された4段の昇圧セル11〜14と、最終段(4段目)の昇圧セル14の出力側に接続された整流用トランジスタMdと、この整流用トランジスタMdの出力側に接続されたリミッタ回路2及び平滑容量Coとを備える。前記リミッタ回路2は、読み出し時に使用するブレークダウン電圧が5Vの読出し用ツェナーダイオードdZ1と、ブレークダウン電圧が10Vの書き込み/消去時に使用する書換え用ツェナーダイオードdZ2と、切換スイッチ3とにより構成される。切換スイッチ3は、切換制御信号ACTHに基づいて読出し用ツェナーダイオードdZ1側と書換え用ツェナーダイオードdZ2側とに切り換わる。前記各昇圧セル11〜14は、図22に示すように、各々、位相の異なる2つの昇圧クロック信号(CLK1とCLK3又はCLK2とCLK4)により駆動される。これらのクロック信号CLK1〜CLK4は所定の“H”及び“L”の期間と周期を持つ方形波である。
【0039】
本実施の形態の特徴の1つは、前記各昇圧セル11〜14に設けたリセット端子Rにゲート電圧リセット信号ACTRが入力される点である。前記各昇圧セル11〜14は互いに同一構成である。最終段の昇圧セル14を図2に例示してその内部構成を説明する。
【0040】
同図の昇圧セル14は、Nチャネル型の電荷転送トランジスタM1と、Nチャネル型のスイッチングトランジスタM2と、出力電圧昇圧用容量C1と、ゲート電圧昇圧用容量C2とを有する。前記電荷転送トランジスタM1は、前段の昇圧セル13の出力電圧を入力して後段(即ち、整流用トランジスタMd)に転送するものである。また、出力電圧昇圧用容量C1は、その一方の電極が前記電荷転送トランジスタM1の出力側(ソース電極)に接続され、他方の電極がクロック端子CLKMに接続されて、クロック信号CLK2の反転信号(第1クロック信号)NCLK2が入力される。前記ゲート電圧昇圧用容量C2は、その一方の電極が前記電荷転送トランジスタM1のゲート電極に接続され、他方の電極がクロック端子CLKSに接続されて、クロック信号(第2クロック信号)CLK4が入力される。更に、スイッチングトランジスタM2は、前記電荷転送トランジスタM1のゲート端子と入力端子(昇圧回路14の入力端子VINに接続されたドレイン端子)とに接続されて、そのON時に電荷転送トランジスタM1のゲート電圧と入力端子の電圧とを同電位にする役目を果たす。最終段の昇圧セル14は、既述の通り、クロック端子CLKSにクロック信号CLK4を受け、他のクロック端子CLKMにクロック信号CLK2の反転信号NCLK2を受けると共に、入力端子VINに前段の昇圧回路13からの昇圧電圧を受け、出力端子VOから昇圧電圧を整流用トランジスタMdに出力する。以上の構成は図23に示した従来の昇圧セルの構成と同様である。
【0041】
本実施の形態の昇圧セル11〜14の特徴点は、図2に示した最終段の昇圧セル14の内部構成に例示するように、電圧リセット回路(リセット手段)4を有する点である。この電圧リセット回路4は、その入力端子VINRに昇圧セル14のリセット端子Rが接続され、出力端子VORは前記電荷転送トランジスタM1とゲート電圧昇圧用容量C2との間に接続される。
【0042】
前記電圧リセット回路4の内部構成の一例を図3に示す。同図の電圧リセット回路4は、1つのNチャネル型MOSトランジスタM3により構成され、このトランジスタM3のソース端子は接地(電位Vss)され、ドレイン端子は出力端子VORに接続され、ゲート端子には入力端子VINRを介してゲート電圧リセット信号ACTRが入力される。このゲート電圧リセット信号(制御信号)ACTRは、電荷転送トランジスタM1のゲート電圧、入力電圧及び出力電圧の相互関係において、ゲート電圧が入力電圧よりも常に所定電圧(例えば、電荷転送トランジスタM1のしきい値電圧)以上高くなって導通する時、又はゲート電圧が入力電圧及び出力電圧よりも常に前記所定電圧以上高くなって導通する時、例えば、データの書換えモードから読出しモードへの遷移時や、書換えモードからプログラムベリファイモードへの遷移時のようなモード遷移時(以下、特定モード遷移時という)や、電源の瞬間停止後の再起動時に、活性化され、出力される。従って、電圧リセット回路4では、前記特定のモード遷移時や再起動時にゲート電圧リセット信号ACTRが出力されると、トランジスタM3が導通状態となって、電荷転送トランジスタM1のゲート電極に存在する電荷を強制的に接地に引き抜いて、電荷転送トランジスタM1のゲート電位Vgを接地電位Vssに等しい所定リセット電位にリセットする。
【0043】
尚、本実施の形態では、各昇圧セル11〜14の電荷転送トランジスタM1及びスイッチングトランジスタM2は、その各基板をドレインに接続しているが、各基板を接地端子と接続してもよい。また、昇圧セル11〜14を構成する電荷転送トランジスタM1、スイッチングトランジスタM2及び昇圧容量C1、C2のサイズは、各昇圧セル11〜14間で一致している必要はない。
【0044】
以上のように構成された本実施の形態の昇圧回路について、以下、その動作を図4に基づいて説明する。
【0045】
図4において、切換制御信号ACTHが“H”から“L”に変化して、例えば高電圧を出力する書換え動作モードから低い昇圧電圧を出力する読み出し動作モードに急激に遷移した場合には、4段目の昇圧セル14を構成する電荷転送トランジスタM1のソース電圧Vs及びドレイン電圧Vdが急激に低下して、ほぼ同電位になる。このため、スイッチングトランジスタM2が昇圧クロック信号CLK2、CLK4の変化に拘わらず常にカットオフ状態になって、電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgには高電圧が残存したままとなる場合がある。
【0046】
しかし、この時、ゲート電圧リセット信号ACTRが、非活性状態(“L”)から、設定時間(例えば10ns)のみ、活性状態(“H”)にされる。これにより、その設定時間(10ns)の間では、電圧リセット回路4を構成するNMOSトランジスタM3のゲート- ソース間電圧(=電源電圧Vcc(例えばVcc=2.5V))がNMOSトランジスタのしきい値電圧Vt(例えば0.51V)を超えて、NMOSトランジスタM3が導通し、各昇圧セル11〜14の電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgが強制的に接地電位Vssにリセットされて、電荷転送トランジスタM1が常時導通状態となることが防止される。
【0047】
リセット動作の終了後、ゲート電圧リセット信号ACTRが活性状態(“H”)から非活性状態(“L”)にされる。これにより、NMOSトランジスタM3が非導通状態となり、以後、モード遷移後の読み出しモード時において、電荷転送トランジスタM1のゲート電圧が徐々に昇圧されても、昇圧電荷を損失することなく、正常な昇圧動作が行なわれる。
【0048】
以上のように、本実施の形態では、特定のモード遷移時や電源の瞬間停止後の再起動時などのように、昇圧電圧が高電圧から低電圧に急激に変化した場合には、電荷転送トランジスタM1のゲート電位を電圧リセット回路4により強制的に接地電位Vssにリセットしたので、電荷転送トランジスタM1が常に導通状態になる昇圧動作不具合を防止でき、特定のモード遷移後や起動後も安定した電流供給能力を発揮でき、信頼性の高い昇圧回路を実現できる。
【0049】
尚、本実施の形態では、全ての昇圧セル11〜14に対して電圧リセット回路4を設けて、各段の電荷転送トランジスタM1のゲート電位Vgを接地電位Vssにリセットしたが、必要に応じて、最終段を含む一部の昇圧セルに対してのみ電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgをリセットする構成を採用しても良い。この場合には、同時に引き抜く昇圧電荷量が低減されて、昇圧電荷の浪費を低減できるので、低消費電力化が可能となる。更に、電圧リセット回路4が少なくなるので、小面積化が可能となる。
【0050】
尚、本実施の形態では、電圧リセット回路4を各昇圧セル11〜14内に配置したが、昇圧セル外に配置しても良いのは勿論である。
【0051】
(第2の実施の形態)
図5は本発明の第2の実施の形態の昇圧回路の各昇圧セルに備える電圧リセット回路の構成を示す図である。本実施の形態の昇圧回路の全体構成は図1と、昇圧回路に備える各段の昇圧セルの内部構成は図2と各々同一であるので、その図示及び説明は省略する。
【0052】
本実施の形態の特徴は、各昇圧セル11〜14の電荷転送トランジスタM1のゲート電圧のリセット電位を電源電圧よりも高い電圧値に設定した点にある。電圧リセット回路4’は、図5に示すように、入力端子VINRにゲート端子が接続されてゲート電圧リセット信号ACTRを受けるNMOSトランジスタM3と、5つのダイオード接続されたNMOSトランジスタM4〜M8とを直列に接続し、ダイオード接続されたNMOSトランジスタM8のドレイン端子を出力端子VORを介して電荷転送トランジスタM1のゲート端子に接続する構成である。
【0053】
従って、本実施の形態では、特定モード遷移時や電源の瞬間停止後の再起動時にゲート電圧リセット信号ACTRを非活性状態(“L”)から設定時間(10ns)のみ活性状態(“H”)にすると、その設定時間のみ、電圧リセット回路4’のNMOSトランジスタM3のゲート- ソース間電圧(=電源電圧Vcc)がNMOSトランジスタのしきい値電圧(=0.51V)を超えて、NMOSトランジスタM3が導通する。
【0054】
ここで、各昇圧セル11〜14の電荷転送トランジスタM1のゲート端子は、電圧リセット回路4’内のダイオード接続された5つのNMOSトランジスタM4〜M8を介して接地と接続されるので、これらの5つのNMOSトランジスタM4〜M8のしきい値電圧VtdをVtd=0.51Vとし、電源電圧VccをVcc=2.5Vとすると、各電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgは電源電圧Vcc(=2.5V)よりも高い電圧値(=5×Vtd=5×0.51V=2.55V)に等しい所定リセット電位にリセットされることになる。
【0055】
従って、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様に各昇圧回路11〜14の電荷転送トランジスタM1が常に導通状態になることに起因する昇圧動作不具合を防止して、特定モード遷移後や再起動後も安定した電流供給能力を発揮でき、高信頼性の昇圧回路を実現できるのに加えて、各電荷転送トランジスタM1のゲート電圧のリセット電位を電源電圧よりも高い電圧値に設定したので、このゲート電圧のリセット動作による昇圧電荷の浪費を小さく抑えることができると共に、昇圧動作の定常状態に至るまでの時間を短縮でき、低消費電力化及び電圧安定までの待ち時間の短縮化が可能である。
【0056】
尚、本実施の形態では、全段の昇圧セル11〜14の電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgを電源電圧Vccよりも高い電圧値にリセットしたが、必要に応じて、最終段を含む一部の昇圧セルに対してのみ電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgをリセットする構成を採用しても良いのは前記第1の実施の形態と同様である。
【0057】
更に、電荷転送トランジスタM1のゲート電圧の所定リセット電位は、リセット動作が有効な範囲内で、電源電圧Vccよりもかなり高い電圧値であっても良いのは勿論である。この場合には、ゲート電圧のリセット動作による昇圧電荷の浪費の低減効果、及び昇圧動作の定常状態に至るまでの時間の短縮効果が顕著になる。
【0058】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。本実施の形態では、各段の昇圧セルに対応して電圧リセット回路を設ける点は前記第1及び第2の実施の形態と同様であるが、各段の昇圧セルの電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgのリセット電位を各段で個別に設定したものである。本実施の形態の全体構成及び各昇圧セルの内部構成は図1及び図2と同様である。図6及び図7は本実施の形態の電圧リセット回路4’、4’’の内部構成を示す。
【0059】
図6に示した電圧リセット回路4’は、1段目及び2段目の昇圧セル11、12に含まれる電圧リセット回路の内部構成を示す。この電圧リセット回路4’は、既述した図5の電圧リセット回路4’と同一の回路構成である。
【0060】
一方、図7に示した電圧リセット回路4’’は、3段目及び4段目の昇圧セル13、14に含まれる電圧リセット回路の内部構成を示す。この電圧リセット回路4’’は、ダイオード接続されたNMOSトランジスタの個数が多く、図6に示したNMOSトランジスタM4〜M8よりも1つ多い6つのダイオード接続されたNMOSトランジスタM4〜M9を有している。追加された1個のNMOSトランジスタM9は、他の5つのNMOSトランジスタM4〜M8と同一のしきい値電圧Vth(=0.51V)を持つ。
【0061】
従って、本実施の形態では、特定モード遷移時や電源の瞬間停止後の再起動時において、ゲート電圧リセット信号ACTRが活性状態(”H”状態)にされて、1段目及び2段目の昇圧セル11、12内の電圧リセット回路4’のNMOSトランジスタM3がONすると、既述の通り、1段目及び2段目の昇圧セル11、12内の電荷転送トランジスタM1のゲート電圧は電源電圧Vccよりも高い電圧値(=5×Vtd=5×0.51V=2.55V)に等しい所定リセット電位にリセットされる。一方、3段目及び4段目の昇圧セル13、14内の電圧リセット回路4’’のNMOSトランジスタM3がONすると、3段目及び4段目の昇圧セル13、14内の電荷転送トランジスタM1のゲート電圧は、前記電源電圧Vccよりも高い電圧値(=2.55V)よりも更に高い電圧値(6×Vtd=6×0.51V=3.06V)である所定リセット電位にリセットされる。
【0062】
このように、本実施の形態では、電荷転送トランジスタM1のゲート電圧のリセット電位は、1段目及び2段目の昇圧セル11、12では電源電圧(2.5V)よりも高い電圧値(=2.55V)にリセットし、3段目及び4段目の昇圧セル13、14では更に高い電圧値(3.06V)に設定される。従って、本実施の形態では、前記第1及び第2の実施の形態の作用効果に加えて、特に、各昇圧セル11〜14での昇圧電圧が後段ほど高くなるのに合わせて、電荷転送トランジスタM1のゲート電圧のリセット電位が後段になるほど同一又は高い電圧値になるので、前記第1及び第2の実施の形態よりも更に、リセット動作による昇圧電荷の浪費を抑制できると共に、昇圧動作の定常状態に至るまでの時間を短縮できる。
【0063】
尚、本実施の形態では、全ての昇圧セル11〜14の電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgを所定リセット電位にリセットしたが、必要に応じて、最終段を含む一部の複数の昇圧セルに対してのみリセットする構成を採用しても良いのは既述の実施の形態と同様である。
【0064】
(第4の実施の形態)
続いて、本発明の第4の実施の形態を図8〜図10に基づいて説明する。本実施の形態では、電荷転送トランジスタM1のゲートの電荷をそのゲート電位のリセット時に電源に戻すようにしたものである。本実施の形態の全体構成及び各昇圧セルの内部構成は図1及び図2と同様である。図8は本実施の形態の電圧リセット回路の内部構成を示す。
【0065】
図8の電圧リセット回路5は、電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgを、電源電圧Vccよりも高い所定リセット電位にリセットするものであって、ブースト回路7と、電圧リセット回路(リセット回路)6とを備える。前記ブースト回路7は、入力端子VINBに入力されるゲート電圧リセット信号ACTRの振幅を、図10に示すように2倍に増幅して出力端子VBOから出力する。また、電圧リセット回路6は、前記ブースト回路7により増幅された振幅を持つゲート電圧リセット信号が入力される。この電圧リセット回路6は、図9に示すように、入力端子VINRに前記ブースト回路7からの出力された増幅されたゲート電圧リセット信号をゲート端子に受けるNMOSトランジスタM3と、1つのダイオード接続されたNMOSトランジスタM4とが直列に接続されて成る。このダイオード接続されたNMOSトランジスタM4のしきい値電圧Vtdは例えばVtd=0.51Vである。このダイオード接続されたNMOSトランジスタM4のドレイン端子は電荷転送トランジスタM1のゲート端子に接続され、前記NMOSトランジスタM3のソース端子は電源端子(Vcc)に接続される。この電圧リセット回路5は、各段の昇圧セル11〜14毎に備えられる。
【0066】
従って、本実施の形態では、ゲート電圧リセット信号ACTRが非活性状態(“L”)から設定時間(10ns)のみ活性状態(“H”)になると、この設定時間の間で、このゲート電圧リセット信号ACTRの振幅がブースト回路7により2倍に増幅され、この増幅後のリセット信号が電圧リセット回路6のNMOSトランジスタM3のゲートに入力される。その結果、そのゲート- ソース間電圧が電源電圧Vcc(=2×Vcc−Vcc=Vcc=2.5V)になって、そのしきい値電圧(=0.51V)を超えるので、NMOSトランジスタM3が導通し、各昇圧セル11〜14の電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgが電源電圧Vccよりもやや高い電圧値(=Vcc+Vtd=2.5V+0.51V=3.01V)のリセット電位にリセットされる。
【0067】
従って、電荷転送トランジスタM1が常時導通状態となる昇圧動作不具合は発生しない。しかも、各昇圧セル11〜14の電荷転送トランジスタM1のゲートに存在する昇圧電荷は、そのゲート電位のリセット時に電源電圧端子Vccに戻されるので、消費電流を低減することができる。
【0068】
尚、本実施の形態では、全ての昇圧セル11〜14の電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgを電源電圧よりもやや高い電圧(=Vcc+Vtd=2.5V+0.51V=3.01V)にリセットしているが、必要に応じて、一部の昇圧セルに対してのみ電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgをリセットする構成を採用しても良い。このように、同時に引き抜く昇圧電荷量を低減することにより、昇圧電荷の浪費を低減できるので、低消費電力化が可能となる。更に、電圧リセット回路6を構成するNMOSトランジスタM3、M4の素子数及びブースト回路7を削減することができるので、小面積化が可能である。
【0069】
尚、本実施の形態では、各昇圧セル11〜14毎の電圧リセット回路5にブースト回路7を設けたが、このブースト回路7は各電圧リセット回路5で共有化しても良い。この場合には、更に小面積化が可能である。
【0070】
(第5の実施の形態)
図11及び図12は本発明の第5の実施の形態の昇圧回路の構成を示す図である。本実施の形態では、電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgの所定リセット電位を、その電荷転送トランジスタM1に入力される昇圧電圧に設定したものである。
【0071】
すなわち、図11に示した昇圧回路を構成する各昇圧セル81〜84は、同一内部構成であって、図12に昇圧セル84の内部構成を例示するように、電圧リセットスイッチ9を有する。この電圧リセットスイッチ9は、電荷転送トランジスタM1のゲート端子と入力端子(ドレイン端子)とに接続されると共に、リセット端子Rを介してゲート電圧リセット信号ACTRを受け、このゲート電圧リセット信号ACTRの活性時には、対応する昇圧セル81〜84の電荷転送トランジスタM1のゲート端子と入力端子(ドレイン端子)とを導通状態にすることにより、電荷転送トランジスタM1のゲート電位Vgをドレイン電位Vdと同電位のリセット電位にリセットする。
【0072】
従って、本実施の形態では、特定モード遷移時や電源の瞬間停止後の再起動時には、ゲート電圧リセット信号ACTRが設定時間のみ活性状態(“H”)にされて、各昇圧セル81〜84の電圧リセットスイッチ9が導通状態となって、各昇圧セル81〜84の電荷転送トランジスタM1のゲート電位Vgがそのドレイン電位(前段の昇圧セルから次段の電荷転送トランジスタM1に入力される昇圧電圧)Vdと同電位の所定リセット電位にリセットされる。
【0073】
よって、本実施の形態では、特定モード遷移時や電源の瞬間停止後の再起動時には、電圧リセットスイッチ9により、電荷転送トランジスタM1のゲート電位Vgをそのドレイン電位Vdに強制的にリセットしたので、電荷転送トランジスタM1が常時導通状態となる昇圧動作不具合を防止して、正常な昇圧動作を確保できると共に、リセット動作による昇圧電荷の浪費を最小限に抑えることができ、更には昇圧動作の定常状態に至るまでの時間を最も短縮でき、非常に効果的に低消費電力化及び電圧安定待ち時間の短縮化を図ることができる。
【0074】
尚、本実施の形態では、全ての昇圧セル81〜84の電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgをそのドレイン電圧Vdと同電位にリセットしたが、必要に応じて、最終段を含む一部の昇圧セルに対してのみ電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgをリセットする構成を採用しても良い。
【0075】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態の昇圧回路を説明する。
【0076】
図13〜図15は本実施の形態の昇圧回路の構成を示す。本実施の形態の特徴は、切換制御信号ACTHの活性状態から非活性状態への遷移時、つまり出力電圧VPPの急激な低下時には、その切換制御信号ACTHを検知して、その検知後の設定時間だけ自動的にゲート電圧リセット信号ACTRを活性状態にするモード検知回路10を備えたことである。本実施の形態では、図13に示した昇圧回路に備える各昇圧セル81〜84には、図12に示した電圧リセット回路9が備えられる。
【0077】
図14は、前記モード検知回路10の内部構成を示す。同図のモード検知回路(制御信号生成手段)10は、遅延素子DLY1〜DLY3と、排他的論理和素子EO1と、AND素子AD1とを備え、その内部の各ノードN1〜N5の電位変化を示した図15のタイミングチャートから判るように、入力された切換制御信号(所定制御信号)ACTHの立下りのみを検知し、その検知後の設定時間(例えば10ns)の間だけ、ノードN5においてゲート電圧リセット信号(制御信号)ACTRを活性状態にして出力端子OUTから出力するように構成されている。
【0078】
従って、本実施の形態では、特定モード遷移時には、切換制御信号ACTHが活性状態から非活性状態へ遷移するが、この時、モード検知回路10は、前記切換制御信号ACTHの活性状態から非活性状態への遷移を検知して、ゲート電圧リセット信号ACTRを非活性状態から設定時間(約10ns)のみ活性状態にする。従って、その設定時間の間は、このゲート電圧リセット信号ACTRを受けた電圧リセットスイッチ9が導通状態となって、各昇圧セル81〜84の電荷転送トランジスタM1のゲート電位Vgがそのドレイン電位Vdと同電位の所定リセット電位にリセットされる。
【0079】
本実施の形態では、特に、図14に示したモード検知回路10の簡易な回路構成でもって、既存のモード信号(切換制御信号ACTH)に基づいてゲート電位リセット信号ACTRを発生させることができるので、各昇圧セル81〜84の電荷転送トランジスタM1のゲート電位Vgのリセット動作を簡易な回路構成で行うことができる。
【0080】
尚、本実施の形態では、全ての昇圧セル81〜84の電荷転送トランジスタM1のゲート電位Vgをドレイン電位Vdと同電位にリセットしたが、必要に応じて、最終段を含む一部の昇圧セルに対してのみ電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgをリセットする構成を採用しても良い。
【0081】
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施の形態を図16〜図18に基づいて説明する。本実施の形態では、電荷転送トランジスタM1のゲート電圧とドレイン電圧との電位差が所定の電位差よりも大きくなると、自動的に電荷転送トランジスタM1のゲート端子をドレイン端子に接続してゲート電位をリセットするようにしたものである。
【0082】
図16において、1段目、2段目及び3段目の昇圧セル1a〜1cは、図23に示した従来の昇圧セル1dと同一構成である。本実施の形態では、4段目の昇圧セル114において、図17に示すように、電圧検知回路124と、電圧リセットスイッチ94とが備えられる。電圧リセットスイッチ(スイッチ手段)94は、昇圧セル114の電荷転送トランジスタM1のゲート端子をドレイン端子に接続する。また、前記電圧検知回路(制御回路)124は、図18に内部構成を示すように、端子VHを介した昇圧セル114の電荷転送トランジスタM1のゲート端子と接地端子間に直列に接続された2個の抵抗R1、R2と、差動増幅器を用いた電圧比較回路125とを備えている。
【0083】
前記電圧比較回路125は、前記両抵抗R1、R2間のノードN6の電位VN6が非反転入力端子に入力され、電荷転送トランジスタM1のドレイン電位Vdが端子VLを介して反転入力端子に入力されており、ノードN6の電位と電荷転送トランジスタM1のドレイン電位Vdとの比較演算を行って、ゲート電圧リセット信号ACTRを出力端子VODから電圧リセット回路94に出力するものである。この電位の比較演算を説明すると、例えば、抵抗R1と抵抗R2との抵抗値が等しいとする。このとき、ノードN6の電位VN6は、電荷転送トランジスタM1のゲート電位をVgとすると、(1/2)×Vgとなるので、例えば電位VN6が、VN6>Vdの時には、電圧比較回路125はゲート電圧リセット信号ACTRとして“H”レベルを出力する。電圧リセットスイッチ94はこの“H”レベルの信号を受けて導通状態となり、電荷転送トランジスタM1のゲート端子をドレイン端子に接続して、そのゲート電位Vgをドレイン電位Vdと等しい所定リセット電位にリセットする。その結果、VN6=(1/2)×Vd<Vdとなるので、電圧比較回路125はゲート電圧リセット信号ACTRとして“L”レベルを出力し、電圧リセットスイッチ94は非導通状態となる。
【0084】
前記電圧リセットスイッチ94及び電圧検知回路124により、電荷転送トランジスタM1のゲート電位Vgとドレイン電位Vdとの電圧差が所定電位差よりも大きくなる((1/2)×Vg−Vd>0)と、電荷転送トランジスタM1のゲート電位Vgをドレイン電位Vdと同電位の所定リセット電位にリセットするようにした自動リセット手段100を構成している。
【0085】
従って、本実施の形態では、例えば電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgが11.4V、ドレイン電圧Vdが5.5Vとした場合には、電位VN6が、VN6=5.7V>5.5V=Vdとなるので、電圧比較回路125はゲート電圧リセット信号ACTRとして“H”レベルを出力し、電圧リセットスイッチ94が導通状態となって、電荷転送トランジスタM1のゲート電位Vgがドレイン電位Vdにリセットされる。その結果、VN6=(1/2)×Vd<Vdとなるので、電圧比較回路125はゲート電圧リセット信号ACTRとして“L”レベルを出力し、電圧リセットスイッチ94が非導通状態となる。よって、電荷転送トランジスタM1が常時導通状態となるような昇圧動作不具合を防止できる。
【0086】
以上のように、本実施の形態では、特定モード遷移時や電源の瞬間停止後の再起動時のように、電荷転送トランジスタM1のゲート電圧がその入力電圧よりも常に前記電荷転送トランジスタM1のしきい値電圧以上高くなって導通する時には、電圧検知回路124により電圧リセットスイッチ94が導通状態に制御されて、電荷転送トランジスタのゲート電位Vgが入力電位(ドレイン電位Vd)と同電位に自動的にリセットされるので、この電荷転送トランジスタが常に導通状態になる昇圧動作不具合を抑えることができて、モード遷移後や再起動後においても安定した電流供給能力を発揮でき、高い信頼性の昇圧回路を実現できる。
【0087】
尚、本実施の形態では、最終段(4段目)の昇圧セル114の電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgをドレイン電圧Vdと同電位に自動リセットしたが、必要に応じて、電圧リセットスイッチ94及び電圧検知回路125を設ける昇圧セルの数を増やしても良いのは勿論である。
【0088】
更に、本実施の形態では、昇圧セル114の電荷転送トランジスタM1のゲート電圧Vgをドレイン電圧Vdと同電位に自動リセットしたが、接地電位VSSや電源電位VCC、又はそれ以外の所定電位にリセットしても良いのは言うまでもない。
【0089】
(第8の実施の形態)
図19及び図20は本発明の第8の実施の形態の昇圧回路の構成を示す図である。本実施の形態の特徴は、昇圧動作を負方向に行って負方向に高電圧を発生させる負昇圧回路を提供するものである。
【0090】
図19に示す昇圧回路の構成は、基本的には図13と同様であるが、負電圧を出力するために、各昇圧セル141〜144の内部では、最終段の昇圧セル144を図20に例示するように、電荷転送トランジスタがPチャネルトランジスタMp1で構成され、スイッチングトランジスタもPチャネルトランジスタMp2で構成されている。また、図19に示した整流トランジスタもPチャネルトランジスタMpdで構成されている。更に、リミッタ回路15に備える2つのツェナーダイオードDZ3、DZ4の極性も逆転されている点が大きく相違する。
【0091】
図19は、4段の昇圧セル141〜144が互いに直列に接続された4段の負昇圧回路であって、最終段(4段目)の昇圧セル144の出力には、整流用トランジスタMpdが接続され、その出力側には、切換制御信号ACTHに応じて出力電圧VBBを切換えるリミッタ回路15及び平滑容量Coが備えられる。各昇圧セル141〜144は、図22に示すように、各々、位相の異なる2つの昇圧クロック信号(CLK1及びCLK3、又はCLK2及びCLK4)により駆動される構成である。
【0092】
各昇圧セル141〜144は互いに同一構成であり、具体的には、最終段の昇圧セル144について図20に例示するような内部回路を持つが、各昇圧セル141〜144は、各々、既述の通りPチャネルの電荷転送トランジスタMp1、PチャネルのスイッチングトランジスタMp2、出力電圧昇圧用容量C3、ゲート電圧昇圧用容量C4、及び電圧リセットスイッチ17を備える。前記電圧リセットスイッチ17は、リセット端子Rを経てゲート電圧リセット信号ACTRを入力し、このゲート電圧リセット信号ACTRの活性時には、各昇圧セル141〜144の電荷転送トランジスタM1のゲート端子とドレイン端子を導通状態にすることにより、電荷転送トランジスタM1のゲート電位Vgをドレイン電位Vdと同電位にリセットし、一方、ゲート電圧リセット信号ACTRの非活性時には、各昇圧セル141〜144の電荷転送トランジスタM1のゲート端子とドレイン端子とを非導通状態にする。
【0093】
また、図19に示したリミッタ回路15は、書込み時に使用する書込み用ツェナーダイオードdZ3と、消去時に使用する消去用ツェナーダイオードdZ4と、切換スイッチ16とにより構成されている。前記書込み用ツェナーダイオードdZ3のブレークダウン電圧は−5Vであり、前記消去用ツェナーダイオードdZ4のブレークダウン電圧は−10Vである。またモード検知回路10は、既述した図14の内部構成を有し、その各ノードN1〜N5の電位変化は既述した図15のタイミングチャートで示される。本実施の形態では、昇圧セル141〜144を構成する電荷転送トランジスタMp1、スイッチングトランジスタMp2、出力電圧昇圧用容量C3、及びゲート電圧昇圧用容量C4の各サイズは、各昇圧セル141〜144で一致している必要はない。
【0094】
以上のように構成された本実施の形態の負昇圧回路について、以下、その動作を説明する。
【0095】
図19に示した昇圧クロック信号CLK1及びCLK2は、各々、各昇圧セル141〜144の入力信号であり、また、昇圧クロック信号CLK3及びCLK4は、論理が反転された後に、反転昇圧クロック信号NCLK3及びNCLK4として、各々、各昇圧セル141〜144の入力信号となる。これらの昇圧クロック信号CLK1〜CLK4は、図22に示したように、所定の“H”、“L”の期間と周期を持つ方形波である。
【0096】
図19に示した負昇圧回路は、1段目の昇圧セル141の出力電圧昇圧用容量C3から、2段目、3段目、4段目と、順に、出力電圧昇圧用容量C3に負電荷を蓄積して、任意の負の高電圧を得るものである。既述した正昇圧回路と同様に、前段の昇圧セルの出力電圧昇圧用容量C3から負昇圧動作後の電圧を次段の昇圧セルの出力電圧昇圧用容量C3に転送する際に、所定のタイミングで、次段の昇圧セルのゲート電圧昇圧用容量C4に入力される反転昇圧クロック信号NCLK3又はNCLK4を電源電位から接地電位に変化させることにより、前段の昇圧セルから転送される負昇圧電圧の電位上昇を抑制する構成である。
【0097】
その後、前段の昇圧セルから次段の昇圧セルに転送された昇圧電圧は、入力される昇圧クロック信号CLK1又はCLK2を電源電位から接地電位に変化させることにより、更に負昇圧される。この動作により、前段の昇圧セルで負昇圧された電位よりも更に所定電位だけ負昇圧させることができる。この一連の動作の繰返しにより、接地電位Vssよりも低い負昇圧電圧を発生させることができる。
【0098】
この時、リミッタ回路15は、受けた切換制御信号ACTHに応じて、出力電圧VBBを所定の電圧に切換える。例えば、深い負電圧を必要とする消去時には、切換制御信号ACTHを活性化することにより、負昇圧回路の出力端子に消去用ツェナーダイオードdZ4を接続して、出力電圧VBBを−10Vにクランプし、一方、浅い負電圧が必要な書込み時には、切換制御信号ACTHを非活性化することにより、負昇圧回路の出力端子に書込み用ツェナーダイオードdZ3を接続して、出力電圧VBBを−5Vにクランプする。このように、動作モードに応じて負昇圧回路の出力電圧VBBを切換えて使用することができる。
【0099】
今、切換制御信号ACTHが“H”から“L”に変化して、例えば深い負昇圧電圧を出力する消去動作モードから浅い負昇圧電圧を出力する書込み動作モードに急激に遷移した場合には、正昇圧回路と同様の原理で、4段目の昇圧セル144を構成する電荷転送トランジスタMp1のソース電圧Vs及びドレイン電圧Vdが急激に上昇し、ほぼ同電位になるため、スイッチングトランジスタMp2が昇圧クロック信号CLK2及びCLK4に拘わらず、常にカットオフ状態になり、電荷転送トランジスタMp1のゲート電圧Vgには深い負電圧が残存したままとなる。
【0100】
この時、モード検知回路10は、切換制御信号ACTHの活性状態から非活性状態への遷移を検知して、ゲート電圧リセット信号ACTRを非活性状態から設定時間(=約10ns)の間だけ活性状態にするので、その設定時間のみ電圧リセットスイッチ17が導通状態となって、各昇圧セル141〜144の電荷転送トランジスタMp1のゲート電位Vgはドレイン電位Vdと同電位にリセットされる。
【0101】
このリセット動作終了後、ゲート電圧リセット信号ACTRが活性状態から非活性状態になると、電圧リセットスイッチ17が非導通状態となって、以後は、電荷転送トランジスタMp1のゲート電圧が徐々に負昇圧されても、負昇圧電荷を損失することなく、正常な負昇圧動作を行うことが可能である。従って、電荷転送トランジスタMp1が常時導通状態となる昇圧動作不具合は発生しない。
【0102】
以上のように、本実施の形態では、負方向の高電圧を発生させる負昇圧回路においても、モード遷移時に出力電圧が深い負昇圧電圧から浅い負昇圧電圧に急激に変化した場合には、強制的に電荷転送トランジスタMp1のゲート電位Vgをドレイン電位Vdと同電位にリセットして、電荷転送トランジスタMp1が常に導通状態になる昇圧動作不具合を防止できるので、このモード遷移後においても安定した電流供給能力を発揮でき、高い信頼性の昇圧回路を実現できる。
【0103】
更に、リセット後の電荷転送トランジスタMp1のゲート電圧がドレイン電圧と同電位にリセットされるので、このリセット動作による負昇圧電荷の浪費を最小限に抑えることができると共に、負昇圧動作の定常状態に至るまでの時間を最も短縮でき、非常に効果的に低消費電力化及び電圧安定の待ち時間の短縮化を図ることができる。
【0104】
加えて、モード検知回路10でもって、既存のモード信号(切換制御信号)ACTHを利用しつつ、容易に所定のモード遷移時にリセット動作を行うことができるので、そのリセット動作を簡易な回路構成で行うことができる。
【0105】
尚、本実施の形態では、全ての昇圧セル141〜144の電荷転送トランジスタMp1のゲート電位をドレイン電位と同電位にリセットしたが、必要に応じて、最終段を含む一部の昇圧セルに対してのみ電荷転送トランジスタMp1のゲート電圧Vgをリセットする構成を採用しても良い。この場合には、電圧リセットスイッチ17の個数を減らすことができ、面積の削減と低コスト化が可能である。
【0106】
また、以上説明した第1〜第8の全ての実施の形態では、昇圧セルの段数を4段として説明したが、昇圧セルの段数は4段に限定するものではない。その他、本発明は種々の変形例を含む。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜6及び12〜14記載の発明の昇圧回路によれば、モード遷移や電源の瞬間停止によって電荷転送トランジスタが常に導通状態になる懸念が生じても、そのモード遷移後や再起動時には、その電荷転送トランジスタのゲート電圧を強制的に電源電圧よりも絶対値の高い所定リセット電位にリセットしたので、モード遷移後や再起動時にも正常な昇圧動作を確保できて、高い信頼性の昇圧回路が得られる。
【0108】
特に、請求項7〜10記載の発明によれば、リセット動作による昇圧電荷の浪費を抑えることができると共に、昇圧動作の定常状態に至るまでの時間を短縮できて、低消費電力化及び電圧安定までの待ち時間の短縮化が可能である。
【0109】
更に、請求項11記載の発明によれば、既存の制御信号を利用して電荷転送トランジスタのゲート電圧のリセット動作を行ったので、そのリセット動作を簡易な回路構成で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の昇圧回路の構成を示すブロック図である。
【図2】同昇圧回路に備える昇圧セルの内部構成を示す回路図である。
【図3】同昇圧セルに備える電圧リセット回路の構成の一例を示す回路図である。
【図4】同実施の形態の昇圧回路の動作を説明するタイミングチャート図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の昇圧回路に備える電圧リセット回路の構成の一例を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の昇圧回路に備える1段目及び2段目の電圧リセット回路の構成の一例を示す図である。
【図7】同昇圧回路に備える3段目及び4段目の電圧リセット回路の構成の一例を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態の昇圧回路に備える電圧リセット回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図9】同電圧リセット回路に備えるリセット回路の構成の一例を示す回路図である。
【図10】同電圧リセット回路に備えるブースト回路の入出力信号のタイミングチャートを示す図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態の昇圧回路の構成を示すブロック図である。
【図12】同昇圧回路に備える昇圧セルの内部構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第6の実施の形態の昇圧回路の構成を示すブロック図である。
【図14】同昇圧回路に備えるモード検知回路の構成の一例を示す回路図である。
【図15】同モード検知回路の各ノードの電位変化のタイミングチャートを示す図である。
【図16】本発明の第7の実施の形態の昇圧回路の構成を示すブロック図である。
【図17】同昇圧回路に備える昇圧セルの内部構成を示すブロック図である。
【図18】同昇圧セルに備える電圧検知回路の構成の一例を示す回路図である。
【図19】本発明の第8の実施の形態の負昇圧回路の構成を示すブロック図である。
【図20】同昇圧回路に備える昇圧セルの構成を示すブロック図である。
【図21】従来の昇圧回路の構成を示すブロック図である。
【図22】昇圧回路を駆動する昇圧クロック信号のタイミングチャートを示す図である。
【図23】従来の昇圧回路に備える昇圧セルの内部構成を示す回路図である。
【図24】従来の昇圧回路の動作を説明するタイミングチャート図である。
【符号の説明】
11〜14、81〜84
141〜144 昇圧セル
2、15 リミッタ回路
3、16 切換スイッチ
4、4’、4’’、5 電圧リセット手段(リセット手段)
6 リセット回路
7 ブースト回路(ブースト手段)
9 電圧リセットスイッチ
10 モード検知回路(制御信号生成手段)
94 電圧リセットスイッチ(スイッチ手段)
100 自動リセット手段
124 電圧検知回路(制御回路)
125 電圧比較回路
CLK1〜CLK4 昇圧クロック信号
Md、Mpd 整流用のトランジスタ
Co 平滑容量
ACTH 切換制御信号(所定制御信号)
VPP、VBB 出力電圧
M1 電荷転送トランジスタ
M2 スイッチングトランジスタ
C1 出力電圧昇圧用容量
C2 ゲート電圧昇圧用容量
dZ1 読出し用ツェナーダイオード
dZ2 書換え用ツェナーダイオード
dZ3 書込み用ツェナーダイオード
dZ4 消去用ツェナーダイオード
ACTR ゲート電圧リセット信号
M3~M9 NMOSトランジスタ
DLY1〜3 遅延素子
EO1 排他的論理和素子
Ad1 AND素子
ACTR ゲート電圧リセット信号(制御信号)
NCLK1、NCLK2 第1クロック信号
CLK3、CLK4 第2クロック信号

Claims (14)

  1. 昇圧セルがn段(nは2以上の整数)直列に接続され、
    前記n段の昇圧セルのうち少なくとも最終段の昇圧セルは、
    前段からの出力電圧を入力して後段に転送するための電荷転送トランジスタと、
    前記電荷転送トランジスタの出力側に一方の電極が接続され、他方の電極に所定の位相を有する第1クロック信号が入力される出力電圧昇圧用容量と、
    前記電荷転送トランジスタのゲートに一方の電極が接続され、他方の電極に所定の位相を有する第2クロック信号が入力されるゲート電圧昇圧用容量と、
    前記電荷転送トランジスタのゲートをその入力端子に接続するためのスイッチングトランジスタとを有する昇圧回路において、
    制御信号を受け、この制御信号に基づいて、少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧を電源電圧よりも絶対値の高い所定リセット電位にリセットするリセット手段を備えた
    ことを特徴とする昇圧回路。
  2. 前記制御信号は、少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧が前記電荷転送トランジスタの入力電圧よりも常に所定電圧以上高くなる時に出力され、
    この時に前記リセット手段により少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧を所定リセット電位にリセットする
    ことを特徴とする請求項1記載の昇圧回路。
  3. 前記制御信号は、少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧が前記電荷転送トランジスタの入力電圧及び出力電圧よりも常に所定電圧以上高くなる時に出力される
    ことを特徴とする請求項2記載の昇圧回路。
  4. 前記所定電圧は、前記電荷転送トランジスタのしきい値電圧に等しい電圧である
    ことを特徴とする請求項2又は3記載の昇圧回路。
  5. 前記制御信号は、特定のモード遷移時に前記リセット手段に出力され、
    この特定のモード遷移時に前記リセット手段により少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧を所定リセット電位にリセットする
    ことを特徴とする請求項2、3又は4記載の昇圧回路。
  6. 前記制御信号は、昇圧回路の起動時に前記リセット手段に出力され、
    この起動時に前記リセット手段により少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧を所定リセット電位にリセットする
    ことを特徴とする請求項2、3又は4記載の昇圧回路。
  7. 前記電荷転送トランジスタのゲート電圧の所定リセット電位は、昇圧動作が正電圧方向に行われる場合には、電源電圧よりも高い電圧値に設定される
    ことを特徴とする請求項1記載の昇圧回路。
  8. 前記リセット手段による電荷転送トランジスタのゲート電圧の所定リセット電位へのリセットは、複数段の昇圧セルにおいて行われ、
    前記複数段の昇圧セルでの電荷転送トランジスタのゲート電圧の所定リセット電位は、昇圧動作が正電圧方向に行われる場合には、前段の昇圧セルでの所定リセット電位以上の電位に設定されている
    ことを特徴とする請求項1又は7記載の昇圧回路。
  9. 前記リセット手段は、
    前記制御信号を入力し、この制御信号の振幅を増幅して出力するブースト手段と、
    前記ブースト手段の出力を入力して、少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧を、電源電圧を越える所定リセット電位にリセットするリセット回路とを備える
    ことを特徴とする請求項7記載の昇圧回路。
  10. 前記リセット手段は、
    前記制御信号に基づいて、少なくとも最終段の昇圧セルの電荷転送トランジスタのゲート電圧を、前記電荷転送トランジスタに入力される電圧と同電位の所定リセット電位にリセットする
    ことを特徴とする請求項1記載の昇圧回路。
  11. 昇圧回路の制御用として元々生成される所定制御信号を入力し、この所定制御信号の遷移を検知して、前記制御信号を設定時間だけ活性化し、この制御信号を前記リセット手段に出力する制御信号生成手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1、7、8、9又は10記載の昇圧回路。
  12. 昇圧セルがn段(nは2以上の整数)直列に接続され、
    前記n段の昇圧セルのうち少なくとも最終段の昇圧セルは、
    前段からの出力電圧を入力して後段に転送するための電荷転送トランジスタと、
    前記電荷転送トランジスタの出力側に一方の電極が接続され、他方の電極に所定の位相を有する第1クロック信号が入力される出力電圧昇圧用容量と、
    前記電荷転送トランジスタのゲートに一方の電極が接続され、他方の電極に所定の位相を有する第2クロック信号が入力されるゲート電圧昇圧用容量と、
    前記電荷転送トランジスタのゲートをその入力端子に接続するためのスイッチングトランジスタとを有する昇圧回路において、
    前記電荷転送トランジスタのゲート電圧と入力電圧との電圧差が所定電位差よりも大きいとき、前記電荷転送トランジスタのゲート電圧を所定リセット電位にリセットする自動リセット手段を備えた
    ことを特徴とする昇圧回路。
  13. 前記自動リセット手段は、
    電荷転送トランジスタのゲートをその入力端子に接続するスイッチ手段と、
    前記電荷転送トランジスタのゲート電圧と入力電圧とを比較し、その電圧差が所定電位差よりも大きいとき、前記スイッチ手段を動作させて、前記電荷転送トランジスタのゲートをその入力端子に接続する制御回路とを備える
    ことを特徴とする請求項12記載の昇圧回路。
  14. 昇圧回路は、昇圧動作を負電圧の方向に行う
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、9、10、11、12又は13記載の昇圧回路。
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