JP3669829B2 - 磁気テープカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープカートリッジに関し、詳細には単一のリールに巻装された磁気テープの自由端部に固着されるリーダーピンの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンピュータ等の外部記憶装置に用いられる記録媒体として使用されている磁気テープカートリッジには、単一のリールに磁気テープを巻装したものをカートリッジケース内に回転自在に収容したタイプのものが知られている。
【0003】
このような単一のリールのタイプは、外部記憶装置にセットされると、リールに巻装された磁気テープが、外部記憶装置側のドライブ機構によってケースから引き出されて、当該外部記憶装置の磁気記録部で情報の記録が行われ、または既に記録された情報が再生部で読み出され、これらの目的を終了した後はテープはリールに巻き戻されてケース内に再び収容されるように構成されている。そして、磁気テープの引出し側の先端部である自由端部には、記憶装置のドライブ機構がテープをカートリッジケースからスムーズに引き出し、記録部や再生部等を含むテープ走行経路にテープを導入するすためにリーダー片が固着されている。記憶装置のドライブ機構はこのリーダー片を把持してテープを記憶装置内に引き回して所定のテープ走行路にセットする。
【0004】
またこのリーダー片はドライブ機構が把持しやすいように、また不用意に磁気テープがケースから引き出されないように、ケース内の一定の位置に係止される必要があり、リーダー片の一部には、ケース側に形成された係止部に係止される被係止部が形成されている。
【0005】
このようなリーダー片は従来はブロック形状のものが知られており、カートリッジケースの、テープが引き出される開口を塞ぐ蓋としての機能を兼ねるものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、新しいタイプの磁気テープカートリッジが提案されている。この新しいタイプのものは、基本的な構成は従来のものと同様であるが、細部において種々の工夫がなされ、例えば従来のリーダー片に相当するリーダーピンは外部記憶装置側における占有スペースを低減するようにも構成されている。
【0007】
またこのリーダーピンの円柱状の一部は、ケースの係止部に係止される被係止部として機能し、また製造工程等において治工具等により把持される被把持部として機能する。
【0008】
一方、リーダーピンをこのように円柱形状にすると、治工具等がこのリーダーピンを把持しても、リーダーピンは軸回りに自由に回転してしまい、把持されたリーダーピンの軸回り(周方向)における、固着されたテープの位置に対するリーダーピン自体の向きが不明確になるという問題がある。
【0009】
例えば磁気テープカートリッジの製造工程においては、リーダーピンの周方向の特定の位置に磁気テープを固着する際、上述したピンの一部を治工具で把持した状態でテープをピンに固着させるが、この固着のためにピンに荷重が掛かったときにピンが治工具に対して滑って軸回りに回転し、テープを固着すべき位置と固着されるテープの位置とが位置ずれしてテープの組付作業の障害となる。
【0010】
また、テープが固着されたリーダーピンをカートリッジケースに組み付ける際も、ピンの一部を治工具等で把持して組み付けるが、この場合もピンが回転し、固着されたテープがピンに巻き付き、この状態でピンがケースに係止されることも考えられる。
【0011】
このようにテープがピンに巻き付いた状態でケースに係止された磁気テープカートリッジは、記憶装置にセットされてドライブ機構によりピンが把持されて所定の位置にセットされた際に、ピンに巻き付いたテープが解けてピンが自転し、その動きによりピンが所定の位置から外れる虞もある。
【0012】
さらに、記録再生装置のドライブ機構がこのピンの被把持部を把持するものである場合は、テープを記録再生装置内に引き回す操作の際にドライブ機構がこのピンを把持する操作において、ピンがドライブ機構に対して回転し、テープのセッティング操作の障害となることも考えられる。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、磁気テープの固着作業などの製造工程をはじめとして、リーダーピンを把持する操作におけるピンの軸回りの被把持性能を向上させた磁気テープカートリッジを提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気テープカートリッジは、リーダーピンの被把持部に、ピンの軸回りの滑りを防止する滑止め加工を施したものである。
【0015】
すなわち、本発明の磁気テープカートリッジは、磁気テープを巻装してなる単一のリールを、カートリッジケース内に回転可能に収容した磁気テープカートリッジにおいて、前記磁気テープの自由端部にケースからの引出し用リーダーピンが固着され、少なくとも、前記リーダーピンの一部に形成された、把持具によって把持される被把持部に、滑止め加工が施されたことを特徴とするものである。
【0016】
滑止め加工とは、例えば被把持部の、治工具等との接触面の表面粗さを粗くする加工等であって、具体的にはローレット切り等である。ローレット切りによるローレット目は、平目であってもあや目であってもよい。
【0017】
またこのリーダーピンは磁気テープの幅よりも長く、かつ、固着されたテープの両側端縁からその両端部がそれぞれ突出するように形成されるのが好ましく、この場合、突出した両端部分が被把持部として構成される。なお、この被把持部がケースに係止される被係止部として機能するものであってもよい。
【0018】
また上記滑止め加工は、少なくとも上記被把持部に施したものであれば、例えば図3に示す、記録再生装置のドライブ機構の構成要素であるフックが係合されるフック係合溝21Cにも併せて施してもよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明の磁気テープカートリッジは、リーダーピンの被把持部に、ピンの軸回りの滑りを防止する滑止め加工が施されたことにより、カートリッジの製造工程等においてリーダーピンの被把持部を把持する治工具や、カートリッジ完成品におけるリーダーピンの被把持部を把持する記録再生装置のドライブ機構が、当該リーダーピンの被把持部を把持した場合にも、リーダーピンがこれら治工具やドライブ機構に対して滑って回転するのが抑制され、ピンの被把持性能が向上される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気テープカートリッジの具体的な実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
図2は本発明の磁気テープカートリッジの一実施形態の構成を示す分解斜視図、図3は図1に示したカートリッジのリーダーピンの詳細を示す図、図4はカートリッジケースの係止部にリーダーピンが係止されている様子を示す、図1のI−I線による断面を示す要部断面図、図1は図3に示したリーダーピンが治工具にチャッキングされている様子を含む図である。
【0022】
図2に示すように、本実施形態の磁気テープカートリッジ1は、下リール5と上リール6とを超音波溶着により結合した単一のリール4に、磁気テープ20を巻装し、上ケース2と下ケース3とがビス等により締結されるカートリッジケース7内に、リール4を回動自在に収容して構成される。
【0023】
下リール5は外周に磁気テープ20が巻回される円筒状のリールハブ23と、リールハブ23の下端外周から径方向に張り出したフランジ部24とを合成樹脂により一体成型したもので、リールハブ23の底部外面に、リール4を回転駆動するマグネット式の回転駆動手段(図示せず)を接合させるためのリールプレート8が取付けられる。またリールハブ23の底部内面には、ブレーキボタン9に形成された制止用ギア9Aと係合して不使用時の回転を拘束する制止用ギア23Aが刻設されている。さらに、リールハブ23には、磁気テープカートリッジ1を使用する外部記憶装置等の記録再生装置に設けられたドライブ解除スピンドルが挿通されて、ブレーキボタン9を上方へ移動させるための開口23Bが形成されている。
【0024】
ブレーキボタン9は、リールハブ23と対向する側に上述した制止用ギア9Aが形成されており、それとは反対側の面に、上ケース2に形成されたブレーキガイド突起(図示せず)が嵌合される嵌合溝9Bが形成されている。
【0025】
そして、ブレーキボタン9はコイルバネ10により、図中下方に付勢された状態でリールハブ23内部に装着されており、ブレーキボタン9の制止用ギア9Aとリールハブ23の制止用ギア23Aとが咬み合ってリール4の不使用時における回転が防止されている。
【0026】
一方、カートリッジ使用時は、記録再生装置のドライブ解除スピンドルがブレーキボタン9を押圧すると、ブレーキボタン9がコイルバネ10の付勢力に抗して図中上方へ移動し、これにより制止用ギア9A,23Aの係合が解除され、リール4が回転自在とされる。
【0027】
カートリッジケース7の一側壁には、磁気テープ20を引き出すための開口部26が形成されている。開口部26にはカートリッジケース7の側壁に平行な矢印A方向に移動可能なスライドドア27が取付けられている。スライドドア27は不図示のバネにより、開口部26を閉じる方向に付勢されている。
【0028】
また、長尺の磁気テープ20の一方の端部はリールハブ23に固着され、このリールハブ23に巻回された外周側の端部である自由端部には、記録再生装置のドライブ機構がテープ20をカートリッジケース7からスムーズに引き出し、記録再生装置の記録部や再生部等を含むテープ走行経路にテープ20を導入するためのリーダーピン21が固着されている。
【0029】
このリーダーピン21は詳細には図3に示すように、略円柱状に形成され、テープ20の自由端部(始端部)が固着される胴部21Aと、テープ20の両側端縁からそれぞれ突出した部分とからなり、この突出部分には記録再生装置のドライブ機構の構成要素であるフックが係合されるフック係合溝21Cと、カートリッジ1の不使用時にテープ20がリール4に巻き込まれた状態で、ケース7の開口部26の近傍に形成された係止部P(図4参照)に係止される被係止部21Dとを備えている。
【0030】
さらに図3(2)に示すように、このピン21の胴部21Aには断面半円状で軸方向に延びる溝が形成されており、この溝の壁面に沿ってテープ20の自由端部が配置され、溝よりも僅かに小さく形成されたクランプ21Bがテープ20を溝の壁面との間に挟むように溝に嵌入されて、テープ20の自由端をリーダーピン21の胴部21Aに固着している。
【0031】
また被係止部21Dは、リーダーピン21にテープ20を固着する組立作業において図1(1)に示すように、治工具 100A, 100Bによりチャッキングされる被把持部としても機能し、治工具 101A, 101Bのチャッキング面 101がこの被把持部である被係止部21Dをチャッキングする。そしてこの被把持部21Dの、治工具 101A, 101Bによりチャッキングされる周面には、ローレット切り加工によるローレット目Kが施されている。
【0032】
なお、ケース7の係止部Pにピン21を係止される組立作業においても、治工具のチャッキング面がこの被係止部(被把持部)21Dをチャッキングする。
【0033】
このように構成された磁気テープカートリッジ1が記録再生装置にセットされると、上述したようにブレーキボタン9とリールハブ23との制止用ギア9A,23Aの係止が解除されてリール4が回転自在とされるとともに、マグネット式の回転駆動手段がリールプレート8と接合してリール4を回転する。これとともに、スライドドア27が開かれて、図示しないドライブ機構のフックが、ケース7内の係止部Pに係止されたリーダーピン21のフック係合溝21Cに掛けられ、弾性部材50による矢印Y方向への付勢力に抗してリーダーピン21およびリーダーピン21に固着されたテープ20を、スライドドア27が開放された開口26からケース7の外側に矢印X方向に引き出し、そのまま記録再生装置のテープ走行路に引き回し、所定位置にピン21をセットし、磁気テープ20へのデータの記録および磁気テープ20からのデータの再生が可能となる。
【0034】
またこの磁気テープカートリッジの製造工程において、リーダーピン21の被把持部21Dに、滑止めであるローレット目Kを形成したことにより、リーダーピン21にテープ20を固着する組立作業においては、リーダーピン21の被把持部21Dを把持する治工具 101A, 101Bのチャッキング面 101と被把持部21Dのローレット目Kとの間の摩擦係数が増大して、ピン21が軸回りに滑って回転するのを防止することができ、リーダーピン21の位置決めを確実に行うことができる。
【0035】
すなわちリーダーピン21が回転するのを防止することにより、ピン21の向きに対して特定の位置関係にある磁気テープを固着すべき位置(すなわち胴部21Aに形成された溝)の向きを一定方向に強固に保持することができるため、リーダーピン21にテープ20を固着する組立作業を容易にし、作業の自動化等を図ることも可能になる。
【0036】
さらに、ケース7の係止部Pにピン21を係止される組立作業においても、治工具 101A, 101Bのチャッキング面 101と被把持部21Dのローレット目Kとの間の摩擦係数が増大して、ピン21が軸回りに滑って回転するのを防止することができ、ピン21の向きに対して特定の位置関係にある磁気テープ20の固着位置の向きを一定方向に強固に保持することができるため、この固着位置が、リール4に巻き取られるテープ20の巻取方向からずれるのを防止することができる。この結果、固着位置がテープ20の巻取方向に向かない場合にテープ20の自由端部の一部がピン21の周面に巻き付いたままで、ピン21がケース7に係止される、という事態を防止することができる。
【0037】
なお、記録再生装置のドライブ機構のフックは、必ずしもピン21のフック係合部21Cに係合するものである必要はなく、被把持部21Dを把持するものであってもよい。この場合フックを上記治工具と同様に、被把持部21Dのローレット目Kをチャッキングする形態とすれば、ドライブ機構がピン21を記録再生装置内に引き回す操作においても、ピン21の向きに対して特定の位置関係にある磁気テープの固着位置が一定方向からずれるのを防止することができるため、引き回しの際にピン21の向きを変化させることにより固着位置の向きをコントロールして、固着位置にテープ20のテンションが不適当に集中するのを防止することもできる。
【0038】
また、本発明の磁気テープカートリッジは上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、リーダーピンの被把持部に形成される滑止め加工としては、図1(1)に示したローレット切りの他、同図(2)に示すように、治工具等のチャッキング面と接触する面の表面粗さを粗くして、両者間の軸回りの摩擦係数が増大する加工Sなどを適用することができるものである。
【0039】
なお、上記ローレット目Kや摩擦係数を増大させる加工S等の滑止め加工は、被把持部21Dだけでなく、記録再生装置のドライブ機構の構成要素であるフックが係合されるフック係合溝21Cにも併せて施してもよい。このように構成すれば、記録再生装置のドライブ機構のフックとフック係合溝21Cとの間で、ピン21の軸回りの滑りを低減することができ、ピン21の向きに対して特定の位置関係にある磁気テープの固着位置が一定方向からずれるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)は第1の実施形態によるリーダーピンが治工具にチャッキングされている様子を示す要部斜視図、(2)は第2の実施形態によるリーダーピンを示す要部斜視図
【図2】本発明の磁気テープカートリッジの一実施形態を示す分解斜視図
【図3】(1)は図1に示したカートリッジのリーダーピンの詳細を示す斜視図、(2)は(1)のII−II線断面を示す断面図
【図4】カートリッジケースの係止部にリーダーピンが係止されている様子を示す、図1のI−I線による断面を示す要部断面図
【符号の説明】
20 磁気テープ
21A 胴部
21C フック係合部
21D 被把持部
101A,101B 治工具
K ローレット目
S 表面粗さを粗くする加工により処理された面
X テープの引出し方向
Claims (1)
- 磁気テープを巻装してなる単一のリールを、カートリッジケース内に回転可能に収容した磁気テープカートリッジにおいて、
前記磁気テープの自由端部にケースからの引出し用リーダーピンが固着され、
少なくとも、前記リーダーピンの一部に形成された、把持具によって把持される被把持部に、滑止め加工が施されたことを特徴とする磁気テープカートリッジ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP35672497A JP3669829B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 磁気テープカートリッジ |
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JPH11185439A JPH11185439A (ja) | 1999-07-09 |
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ID=18450465
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP35672497A Expired - Fee Related JP3669829B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 磁気テープカートリッジ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3669829B2 (ja) |
-
1997
- 1997-12-25 JP JP35672497A patent/JP3669829B2/ja not_active Expired - Fee Related
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