JP3668737B2 - Rnaポリメラーゼ転写促進剤及び塩基配列決定法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、RNAポリメラーゼ(以下、RNAP)の転写促進作用のあるポリアミノ系化合物に関する。更に、本発明は、前記ポリアミノ系化合物を用いたRNAPを用い、かつRNAPによる核酸転写反応の開始剤を用いるDNAの塩基配列決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子生物学の分野においてDNAの塩基配列決定法は、最も重要な手段の1つである。現在最も有用な塩基配列決定法の1つに、T7 RNAP等のRNAPとRNA転写反応のターミネーター(例えば、3’デオキシリボヌクレオチド5’トリフォスフェート、3’dNTPs)を用いるダイレクト転写シークエンス法(WO96/14434)がある。この方法は、RNAPの転写反応を用いる方法であり、プライマー及び2’デオキシリボヌクレオシド5トリファスフェート(2’dNTP)を除去することなく、ポリメラーゼ連鎖反応により増幅したDNA生成物の塩基配列をシークエンスする優れた方法である。最近この方法を用いてより長いDNA配列のシークエンスを行うためには、使用するRNAPの転写を促進する化合物を添加することが必要であることが分かってきた。
【0003】
そこで、RNAPの転写を促進する作用がある化合物の開発が期待されている。既に、in vivoの系で、DNAからmRNAへの転写が進むに連れて、天然ポリアミン濃度が高まるという現象が報告されている(C. W. Tabor H. Tabor、Ann. Rev. Biochem.53、749-790(1984)及びL. J. Marton及びD. R. Morris、“Inhibition of Polyamine Metabolism”、(P. P. McCann、A. E. Pegg、及びA. Sjoerdsma、eds))。この報告から、天然ポリアミンのRNAP転写過程への関与が示唆されていた。
【0004】
また、M. Flugier、C. Florentz、M. W. Hosseini、J. M. Lehn、及びR. Giege、Nucleic Acids Research、22(14)、2784-2790(1994)では、T7 RNAPの転写活性を鎖状及び環状の合成ポリアミン類が促進することを初めて明らかにされた。
【0005】
しかし、M.Flugierらの論文における転写促進性能の検定方法には問題があるのではないかとの指摘もある。本発明者らの検定方法による同じ化合物の性能評価では、上記論文に挙げられているポリアミン類は、極めて低い促進作用しか持たないことが明らかになっている。従って、RNAP転写活性に対してより高い促進能力を有する合成ポリアミンの開発及びその合成ポリアミンの塩基配列決定法における使用によるシークエンス法の更なる改善が期待されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、既に開発されているRNAPの転写活性を促進する新規合成ポリアミン系化合物よりも更に優れたRNAPの転写活性促進活性を有するポアミン系化合物の提供、並びにそれらのRNAP転写活性を促進する新規ポリアミン系化合物を用いることにより、一度のシークエンスで読み取れるDNA配列の長さを長くできるDNA塩基配列決定法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
RNA ポリメラーゼ転写促進剤
本発明は、下記一般式(I)で表される化合物又はその塩を含むRNAポリメラーゼ転写促進剤に関する。
【0008】
【化3】
式(I)中、nは1から8の整数であり、
R1は、水素原子又はp-トルエンスルホニル基であり、
R2は、エチル基又は一般式(II)で示される基であり、
R3は、水素原子又はp-トルエンスルホニル基であり、
R4は、エチル基又は一般式(II)で示される基である。
【0009】
【化4】
式(II)中、mは、1又は2であり、
R5は、水素原子であり、
R6は、水素原子又はエチル基である。
【0010】
後述の実施例で説明する化合物5、10、15a〜g、及び18〜23は、上記一般式(I)で表される。下記の表1において化合物5、10、15a〜g、及び18〜23と一般式(I)との関係を示す。表中、Noa)は後述のスキームにおける化合物の番号を表す。
【0011】
【表1】
【0012】
塩とは、無機酸塩又は有機酸塩のいずれでもよい。無機酸塩としては、塩酸塩、臭素酸塩等を挙げることができる。有機酸塩としては、酢酸塩、クエン酸塩等を挙げることができる。好ましくは、臭素酸塩を用いることができる。但し、これらに限定されるものではない。
【0013】
RNA ポリメラーゼ転写促進剤を用いた DNA 配列決定法
本発明は、DNA断片を鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて核酸転写物を得、得られる核酸転写物を分離し、得られる分離分画から核酸の配列を読み取るDNAの塩基配列決定方法であって、
前記核酸転写反応を上記一般式(I)で表わされる化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の存在下で行うことを特徴とする方法に関する。
【0014】
本発明のDNAの塩基配列決定方法は、核酸転写反応を上記本発明のRNAポリメラーゼ転写促進剤の少なくとも1種の存在下で行うことを特徴とする。
これら化合物の少なくとも1種を、RNAポリメラーゼを用いる核酸転写反応に、RNAポリメラーゼ1単位当たり0.5〜5mmol程度共存させることにより、同量のRNAポリメラーゼを用いる場合、より長鎖のシークエンスが可能である。さらに、同程度の長さのシークエンスを行う場合、より少ない量のRNAポリメラーゼまたはより少ない量のテンプレートを用いての核酸転写反応が可能になる。
【0015】
DNA配列決定法の具体的な方法を以下に記す。DNA断片を鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて核酸転写物を得、得られる核酸転写物を分離し、得られる分離分画から核酸の配列を読み取るDNAの塩基配列決定方法は公知である。さらに、RNAポリメラーゼのためのプロモーター配列を含むDNA断片を鋳型として、RNAポリメラーゼを用いて核酸転写生成物を酵素的に合成する方法、核酸転写生成物の分離方法、さらには分離された分画から核酸の配列を読み取る方法は、原理的には何れも公知の方法である。従って、これらの点に関して、いずれの公知の方法及び条件、装置等を適宜利用することができる。
【0016】
また鋳型となるDNA断片にも、RNAポリメラーゼのためのプロモーター配列を含むこと以外、制限はない。例えば、プロモーター配列を含むDNA断片がポリメラーゼ連鎖反応により増幅したDNA生成物であることができる。さらに、増幅したDNA生成物から、ポリメラーゼ連鎖反応に用いたプライマー及び/又は2’デオキシリボヌクレオシド5’トリフォスフェート及び/又はその誘導体を除去することなしに、本発明の方法における核酸転写生成反応を行うことができる。上記DNA増幅のためのポリメラーゼ連鎖反応は、PCR法として広く用いられている方法をそのまま用いることができる。また、プロモーター配列を含むDNA断片は、プロモーター配列と増幅対象のDNA断片とをライゲーションした後、適当な宿主を用いてクローニングされたDNA断片であることもできる。即ち、本発明において、増幅の対象であるDNA配列、プライマー、増幅のための条件等には特に制限はない。
【0017】
例えば、プロモーター配列を含むDNA断片の増幅のためのポリメラーゼ連鎖反応の反応系として、10〜50 ngのゲノミックDNA又は1 pgのクローンされたDNA、10μMの各プライマー、200μMの各2’デオキシリボヌクレオシド5’トリフォスフェート(dATP、dGTP、dCTP、dTTP)を含む20μl容量中でDNAポリメラーゼとして、例えばTagポリメラーゼ等を用いて行うことができる。
【0018】
但し、ポリメラーゼ連鎖反応のためのプライマーのいずれか一方又は増幅された挿入(insert)DNAが、後述するRNAポリメラーゼのためのプロモーター配列を含む必要がある。ダイレクト転写シーケンス法では、PCR法において、2種類のプライマーのいずれか一方にファージプロモーター配列を持っているプライマーを用いるか、又は増幅された挿入DNA内にファージプロモーター配列を持たせることで、得られるPCR生成物はそのプロモーターにより働くRNAポリメラーゼを用いるin vitro転写に付すことができる。
RNAポリメラーゼのためのプロモーター配列は、用いるRNAポリメラーゼの種類に応じて適宜選択することができる。
【0019】
本発明の方法ではプロモーター配列を含むDNA断片からRNA転写物等の核酸転写物を合成する。DNA断片は、RNAポリメラーゼのためのプロモーター配列を含むので、このプロモーター配列が前述のRNAポリメラーゼに認識されてRNA転写物等の核酸転写物を合成する。
【0020】
RNA転写物等の核酸転写物の合成は、例えば、前記核酸転写開始剤及びRNAポリメラーゼの存在下、ATP、GTP、CTP及びUTP又はこれらの誘導体からなるリボヌクレオシド5’トリフォスフェート(NTP)類(但し、その内の1種は、コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体である)並びに1種又は2種以上の3’dNTP誘導体を反応させることで行うことができる。尚、3’dNTP誘導体は、本明細書においては、3’dATP、3’dGTP、3’dCTP、3’dUTP及びこれらの誘導体の総称として用いる。リボヌクレオシド5’トリフォスフェート(NTP)類としては、その一部がATP等の誘導体である場合も含めて、塩基が異なる少なくとも4種類の化合物が転写物の合成に必要である。
【0021】
転写生成物であるRNA又は核酸の3’末端には、3’dNTP誘導体が取り込まれることにより、3’ヒドロキシ基が欠落し、RNA又は核酸の合成が阻害される。その結果、3’末端が3’dNTP誘導体である種々の長さのRNA又は核酸断片が得られる。塩基の異なる4種類の3’dNTP誘導体について、それぞれ、このようなリボヌクレオシド・アナログ体を得る。このリボヌクレオシド・アナログ体を4通り用意することで、RNA又は核酸配列の決定に用いることができる〔Vladimir D. Axelred er al. (1985) Biochemistry Vol. 24, 5716-5723 〕。
【0022】
尚、3’dNTP誘導体は、1つの核酸転写反応に1種類又は2種以上を用いることができる。1種のみの3’dNTP誘導体を用いて1つの核酸転写反応を行う場合、核酸転写反応を4回行うことで、3’末端の3’dNTP誘導体の塩基の異なる4通りの転写生成物を得る。1回の核酸転写反応で、3’末端の3’dNTP誘導体は同一で、分子量の異なる種々のRNA又は核酸断片の混合物である転写生成物が得られる。得られた4通りの転写生成物について、独立に、後述する分離及び配列の読み取りに供することができる。また、4通りの転写生成物の2種以上を混合し、この混合物を分離及び配列の読み取りに供することもできる。
【0023】
1回の核酸転写反応に2種以上の3’dNTP誘導体を同時に用いると、1つの反応生成物中に、3’末端の3’dNTP誘導体の塩基の異なる2通り以上の転写生成物が含まれることになる。これを後述する分離及び配列の読み取りに供することができる。核酸転写反応に2種以上の3’dNTP誘導体を同時に用いると、核酸転写反応操作の回数を減らすことができるので好ましい。
【0024】
さらに、RNA等の核酸転写が、塩基の異なる4種類のリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類の存在下で、RNAポリメラーゼにより行われ、かつ3’dNTP誘導体によりターミネートされる。その結果、各塩基について、RNA又は核酸ラダー(ladder)がシーケンスのために生成される。本発明では、特に、核酸転写を塩基の異なる4種類のリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類の存在下で行い、これを分離して、4種類の塩基の配列を一度に(同時に)読み取りることが好ましい。
【0025】
RNA ポリメラーゼ
本発明の方法で用いるRNAポリメラーゼは、野性型RNAポリメラーゼ及び変異型RNAポリメラーゼのいずれでも良い。但し、対応する野性型RNAポリメラーゼの能力と比較して、3’dNTP誘導体を取り込む能力を増加させるように、野性型RNAポリメラーゼの少なくとも1つのアミノ酸が修飾されたものである変異型のRNAポリメラーゼであることが好ましい。ここで、「野性型RNAポリメラーゼ」は、天然に存在する全てのRNAポリメラーゼを含み、さらに、及び野性型RNAポリメラーゼであって、対応する野性型RNAポリメラーゼの能力と比較して、3’デオキシリボヌクレオチドまたはそれらの誘導体を取り込む能力を増加させることを目的とする修飾以外のアミノ酸の変異、挿入または欠落を、さらに有するものであることもできる。即ち、野性型RNAポリメラーゼを人為的に上記以外の目的で修飾したRNAポリメラーゼも、上記「野性型RNAポリメラーゼ」に含まれる。但し、そのようなアミノ酸の変異、挿入または欠落は、RNAポリメラーゼとしての活性を維持する範囲で、行われたものであることが適当である。
【0026】
「野性型RNAポリメラーゼ」としては、例えば、T7ファージ、T3ファージ、SP6ファージ、K11ファージに由来するRNAポリメラーゼを挙げることができる。但し、これらのRNAポリメラーゼに限定されるものではない。
また、本発明において「野性型RNAポリメラーゼ」は、天然に存在する耐熱性のRNAポリメラーゼ、及び天然に存在するRNAポリメラーゼを耐熱性を有するように人為的に修飾した(即ち、アミノ酸の変異、挿入または欠落を行った)ものも包含する。但し、耐熱性を付与するための修飾は、RNAポリメラーゼとしての活性を維持する範囲で、行われたものであることが適当である。「野性型RNAポリメラーゼ」として耐熱性のRNAポリメラーゼを用いた本発明の変異型RNAポリメラーゼも耐熱性となる。その結果、例えば、PCR法に併用して、PCR産物を鋳型としてその場で、即ち、PCRと並行して、シークエンス用のRNAフラグメントを合成することも可能である。
【0027】
T7 RNAポリメラーゼは、極めて特異性の高いプロモーター特異的RNAポリメラーゼとして知られている。T7 RNAポリメラーゼの塩基配列と生産法に関してはDavanloo et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA., 81:2035-2039 (1984)に記載されている。さらに大量生産に関しては、Zawadzki et al., Nucl. Acids Res., 19:1948(1991)に既に記載されている。このファージ由来の RNA ポリメラーゼは、大腸菌や高等な生物のRNAポリメラーゼと異なり、単一のポリペプチドのみで転写反応を行うことが出来る(Chamberlin et al., Nature, 228:227-231,1970)。そのため、転写メカニズムを解析する格好の材料となり、沢山の突然変異体が分離され、報告されている。さらにSousa et al., Nature, 364:593-599,1993に結晶解析結果が記載されている。
【0028】
さらに、その他極めて特異性の高いプロモーター特異的RNAポリメラーゼとして大腸菌に感染するT3 ファージ、サルモネラ菌に感染するSP6ファージ及びKlebsiella pneumoniae に感染するK11ファージ由来のRNAポリメラーゼの3つがよく知られている。
尚、上記4種のRNAポリメラーゼは、アミノ酸の一次構造、プロモーターの配列等、極めて類似している。
【0029】
上記変異型RNAポリメラーゼは、対応する野性型RNAポリメラーゼの能力と比較して、3’デオキシリボヌクレオチドまたはそれらの誘導体を取り込む能力を増加させたものであることができる。前述のように、野性型RNAポリメラーゼでは、リボヌクレオチドに比べて3’デオキシリボヌクレオチドの取り込みが悪く、塩基配列決定法に用いる妨げとなっていた。それに対して、変異型RNAポリメラーゼは、3’デオキシリボヌクレオチドまたはそれらの誘導体に対する取り込み能力を、好ましくは野性型の少なくとも2倍増加させるように修飾されている。3’デオキシリボヌクレオチドの取り込みは、3’デオキシリボヌクレオチドに蛍光標識を付した3’デオキシリボヌクレオチド誘導体を用いた場合に特に低下する傾向があるが、本発明で使用する変異型RNAポリメラーゼは、このような3’デオキシリボヌクレオチド誘導体の取り込みも改善できる。
【0030】
変異型RNAポリメラーゼは、対応する野性型RNAポリメラーゼの少なくとも1つのアミノ酸が修飾されたものである。このようなアミノ酸の修飾は、アミノ酸の変異のみならず、挿入または欠落であることができる。また、アミノ酸の変異は、例えば、天然に存在するアミノ酸の少なくとも1つをチロシンに置換することである。さらに、置換されるべき天然に存在するアミノ酸は、例えば、フェニルアラニンであることができる。但し、フェニルアラニンに限定されることはなく、対応するリボヌクレオチドに対して3’デオキシリボヌクレオチドまたは他のリボヌクレオチド類似体を取り込む能力を増加させることができるアミノ酸の置換であればよい。
【0031】
変異型RNAポリメラーゼとしては、例えば、変異型T7 RNAポリメラーゼF644Y及びL665P/F667Yを挙げることができる。ここで番号は、ポリメラーゼ蛋白質のN末端からの番号であり、例えばF667は、このポリメラーゼの667番目のアミノ酸残基がFであることを示し、F667Yの記述は、667番目のアミノ酸残基FをYに置換させたことを意味する。
【0032】
これらは、RNA合成活性を充分保持し、さらに3’dNTPsの取り込み能力が大幅に改善し、野生型で観察された強いバイアスが著しく低下している。このような優れた特性を有する、変異型T7 RNAポリメラーゼF644Y、L665P/F667Yを用いることにより、DNAポリメラーゼを用いる塩基配列決定法を超える実用レベルで、転写生成物による塩基配列決定法が可能になる。
【0033】
変異型T7 RNAポリメラーゼF644Y、L665P/F667Yを生産する大腸菌pT7RF644Y(DH5α)及びpT7RL665P/F667Y(DH5α)は、生命研国際寄託番号がそれぞれ5998号(FERM-BP-5998)及び5999号(FERM-BP-5999)として1997年7月2日に寄託されている。
【0034】
上記変異型のRNAポリメラーゼは、RNAポリメラーゼをコードする核酸分子を用意し、ヌクレオチド塩基配列内の1つまたはそれ以上の部位における1つまたはそれ以上の塩基を変異させるように該核酸分子に突然変異を起こさせ、次いで変異させた核酸分子により発現される修飾されたRNAポリメラーゼを回収することで調製することができる。RNAポリメラーゼをコードする核酸分子の用意、核酸分子への突然変異の導入、修飾されたRNAポリメラーゼの回収はいずれも、公知の手法を用いて行うことが出来る。
【0035】
変異型T7 RNA ポリメラーゼは、例えば、以下の方法により構築することができる。T7 RNA ポリメラーゼ遺伝子を挿入してある発現ベクターを鋳型にして T7 RNA ポリメラーゼ遺伝子のC末端側に相当する制限酵素Hpa I, Nco I部位にはさまれる領域をPCR法を利用して変異を導入した発現プラスミドを構築する。次いで、この発現プラスミドを用い、大腸菌DH5αに形質転換し、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加すると、変異型T7 RNA ポリメラーゼ蛋白質を大量に発現させることができる。
【0036】
無機ピロフォスファターゼ
本発明の方法において、核酸転写生成反応は、無機ピロフォスファターゼ存在下で行うことが好ましい。無機ピロフォスファターゼを用いる場合、リボヌクレオチドに比べて、対応する3’-デオキシリボヌクレオチドやその誘導体がポリリボヌクレオチド配列に取り込まれにくかったり、リボヌクレオチドの中及び3’-デオキシリボヌクレオチドの中でもそれぞれ塩基の種類により、配列への取り込まれ方に差があるといった、リボヌクレオチド等の取り込み能力に対するバイアスを解消して、より安定したシークエンスデータを得ることができる。即ち、各標識されたリボヌクレオチドに対応して得られるピークの高さ(シグナルの強弱)の差を小さくしてシークエンスの読み取りの精度を向上させて、より正確なシークエンスデータを得ることを可能にする。
【0037】
ピロホスホロリシスは、DNA合成によって生じるピロリン酸塩が増加することによって起こり、結果として合成されたDNA生成物が分解する方向に反応を促進する働きをする。その結果、ピロホスホロリシスは、DNAポリメラーゼを用いたジデオキシシーケンス法においてシーケンスを阻害することになる。それに対して、無機ピロフォスファターゼをDNAポリメラーゼを用いたジデオキシシーケンス法において使用すると、ピロホスホロリシスを阻害して、安定したシークエンスデータが得られることが知られている[特開平4−506002号]。
ピロホスホロリシスは、RNAポリメラーゼを用いたシーケンス法においても有効である。即ち、核酸転写生成反応を無機ピロフォスファターゼ存在下で行うことで、各標識されたリボヌクレオチドに対応して得られるピークの高さ(シグナルの強弱)の差を小さくでき、より安定したシークエンスデータが得られる。
【0038】
無機ピロフォスファターゼ(EC.3.6.1.1)は、市販品として入手可能であり、例えば、シクマ社からINORGANIC PYROPHOSPHATASEとして、またベーリンガー社からピロフォスファターゼとして市販されている。また、無機ピロフォスファターゼの使用量は、無機ピロフォスファターゼ及びRNAポリメラーゼの活性の程度にもよるが、例えば、RNAポリメラーゼ1単位に対して10-6〜10-2単位の範囲とすることが適当である。
【0039】
コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体
本発明の方法は、核酸転写反応において、コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体を用いることが、コンプレッションを抑制して、より正確な配列の読取が可能になるという観点から好ましい。コンプレッションの発生を抑制することで、シークエンスの読み取りの精度を向上させることができる。
コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体は、リボヌクレオチド誘導体であってシークエンスの際にコンプレッションを抑制し得る化合物である。コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体は、例えば、塩基の代わりに塩基類似体(塩基アナローグ)を有するリボヌクレオチドから選ぶことが出来る。塩基類似体は、天然物であっても合成物であってもよい。合成物は、例えば、プリン環やピリミジン環を構成する炭素の一部が窒素に置換されたものや、プリン環やピリミジン環を構成する窒素の一部が炭素に置換されたものであることができる。あるいは、プリン環やピリミジン環に種々の置換基を導入したものであることもできる。
【0040】
塩基類似体を有するリボヌクレオチドであるコンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体として、例えば、デアザリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類を挙げることができる。さらに、デアザリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類として、7−デアザリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類及び3−デアザリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類を挙げることができる。7−デアザリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類には、7−デアザATP、7−デアザGTP及びそれらの誘導体があり、3−デアザリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類には、3−デアザCTP、3−デアザUTP及びそれらの誘導体がある。
【0041】
コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体のその他の例として、デアミノリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類を挙げることができる。リボヌクレオチドが有する塩基には、ウラシルを除き、アミノ基が存在する。GTPはプリン環の2位に、ATPプリン環の6位に、及びCTPはピリミジン環の4位にそれぞれアミノ基を有する。上記デアミノリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類とは、これらのアミノ基を脱離したリボヌクレオチド類であり、N2-デアミノGTP、N6-デアミノATP及びN4-デアミノCTP並びにそれらの誘導体を挙げることができる。尚、N2-デアミノグアニンは、イノシンと同一物質であり、N2-デアミノGTPはITPと略記することもできる。
【0042】
コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体のその他の例として、リボヌクレオチドの塩基に存在するアミノ基の水素の1つまたは2つが水素以外の有機基で置換された誘導体を挙げることができ、そのような誘導体の例として、Nアルキル置換リボヌクレオシド5’トリフォスフェート類(但し、アルキルは炭素数1〜6の低級アルキルであり、かつ置換はモノまたはジ置換である)を挙げることができる。但し、置換基は、アルキル基以外の有機基から選択することもできる。Nアルキル置換リボヌクレオシド5’トリフォスフェート類としては、例えば、N2-モノメチル置換GTP、N4-モノメチル置換CTP、N6-モノメチル置換ATP及びそれらの誘導階体を挙げることができる。
【0043】
核酸転写反応において、ATP、GTP、CTP及びUTP又はそれらの誘導体からなる4種類のリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類の内、コンプレッションを生じやすい塩基について、リボヌクレオシド5’トリフォスフェート類の代わりにコンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体を用いることができる。必要により、2種以上のリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類について、コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体を用いることもできる。
【0044】
4種類のリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類のうち、1種類の塩基についてコンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体としてデアザリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類を用いる場合の組合せは、[7−デアザATP、GTP、CTP、UTP]、[ATP、7−デアザGTP、CTP、UTP]、[ATP、GTP、3−デアザCTP、UTP]、[ATP、GTP、CTP、3−デアザUTP]である。デアザNTPを別のコンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体に置き換えることもできる。尚、7−デアザNTP等のコンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体は市販され、市販品を入手可能である。また、2種以上のコンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体を併用することも、同一の塩基について、コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体と通常のリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類を併用することもできる。
【0045】
GTPまたはその誘導体であるリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類の一部または全部としてコンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体を用いる場合、核酸転写開始剤として、グアノシン、グアノシン5’モノフォスフェート(GMP)、グアノシン5’ジフォスフェート(GDP)、一般式N1(N)n−1Gで示されるオリゴリボヌクレオチド類、又は一般式N2(N)n−1Gで示されるオリゴリボヌクレオチド類を併用することが適当である。この場合、上記コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体は、例えば、7−デアザGTP、N2-デアミノGTP、またはN2-モノメチル置換GTPであることができる。
【0046】
ATPまたはその誘導体であるリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類の一部または全部として、コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体を用いる場合、核酸転写開始剤として、アデノシン、アデノシン5’モノフォスフェート(AMP)、アデノシン5’ジフォスフェート(ADP)、一般式N1(N)n−1Aで示されるオリゴリボヌクレオチド類、又は一般式N2(N)n−1Aで示されるオリゴリボヌクレオチド類を併用することが適当である。この場合、コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体は、例えば、7−デアザATP、N6-デアミノATP、又はN6-モノメチル置換ATPであることができる。
【0047】
CTPまたはその誘導体であるリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類の一部または全部として、コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体を用いる場合、核酸転写開始剤として、シチジン、シチジン5’モノフォスフェート(CMP)、シチジン5’ジフォスフェート(CDP)、一般式N1(N)n−1Cで示されるオリゴリボヌクレオチド類、又は一般式N2(N)n−1Cで示されるオリゴリボヌクレオチド類を併用することが適当である。この場合、コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体は、例えば、3−デアザCTP、N4-デアミノCTP、又はN4-モノメチル置換CTPであることができる。
【0048】
UTPまたはその誘導体であるリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類の一部または全部として、コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体を用いル場合、核酸転写開始剤として、ウリジン、ウリジン5’モノフォスフェート(UMP)、ウリジン5’ジフォスフェート(UDP)、一般式N1(N)n−1Uで示されるオリゴリボヌクレオチド類、または一般式N2(N)n−1Uで示されるオリゴリボヌクレオチド類を併用することが適当てある。この場合、コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体は、例えば、3−デアザUTPであることができる。
【0049】
核酸転写開始剤
本発明の方法の核酸転写反応において、上記コンプレッション抑制リボヌクレオチド誘導体と核酸転写開始剤とを併用することで、核酸転写反応の怪死をより容易にすることができるという観点から好ましい。核酸転写開始剤としては、例えば、リボヌクレオシド、リボヌクレオシド5’モノフォスフェート、リボヌクレオシド5’ジフォスフェート、一般式N1(N)n(式中、N1はリボヌクレオシド、リボヌクレオシド5’モノフォスフェート、またはリボヌクレオシド5’ジフォスフェートであり、Nはリボヌクレオシド5’モノフォスフェートであり、nは1以上の整数である)で示されるオリゴリボヌクレオチド類、及び一般式N2(N)n(式中、N2は下記式(1)で示される基であり、Nはリボヌクレオシド5’モノフォスフェートであり、nは1以上の整数である)で示されるオリゴリボヌクレオチド類からなる群から選ばれることができる。
【0050】
【化5】
【0051】
核酸転写開始剤としては、より具体的には、例えば、グアノシン、グアノシン5’モノフォスフェート(GMP)、グアノシン5’ジフォスフェート(GDP)、一般式N1(N)n−1G(但し、N1はリボヌクレオシド、リボヌクレオシド5’モノフォスフェート、またはリボヌクレオシド5’ジフォスフェートであり、Nはリボヌクレオシド5’モノフォスフェートであり、nは1以上の整数であり、Gはグアノシン5’モノフォスフェートである)で示されるオリゴリボヌクレオチド類及び一般式N2(N)n−1G(式中、N2は前記式(1)で示される基であり、Nはリボヌクレオシド5’モノフォスフェートであり、nは1以上の整数であり、Gはグアノシン5’モノフォスフェートである)で示されるオリゴリボヌクレオチド類を挙げることができる。
【0052】
さらに核酸転写開始剤としては、より具体的には、アデノシン、アデノシン5’モノフォスフェート(AMP)、アデノシン5’ジフォスフェート(ADP)、一般式N1(N)n−1A(但し、N1はリボヌクレオシド、リボヌクレオシド5’モノフォスフェート、またはリボヌクレオシド5’ジフォスフェートであり、Nはリボヌクレオシド5’モノフォスフェートであり、nは1以上の整数であり、Aはアデノシン5’モノフォスフェートである)で示されるオリゴリボヌクレオチド類及び一般式N2(N)n−1A(式中、N2は下記式(1)で示される基であり、Nはリボヌクレオシド5’モノフォスフェートであり、nは1以上の整数であり、Aはアデノシン5’モノフォスフェートである)で示されるオリゴリボヌクレオチド類を挙げることができる。
【0053】
また、核酸転写開始剤としては、具体的には、シチジン、シチジン5’モノフォスフェート(CMP)、シチジン5’ジフォスフェート(CDP)、一般式N1(N)n−1C(但し、N1はリボヌクレオシド、リボヌクレオシド5’モノフォスフェート、またはリボヌクレオシド5’ジフォスフェートであり、Nはリボヌクレオシド5’モノフォスフェートであり、nは1以上の整数であり、Cはシチジン5’モノフォスフェートである)で示されるオリゴリボヌクレオチド類及び一般式N2(N)n−1C(式中、N2は下記式(1)で示される基であり、Nはリボヌクレオシド5’モノフォスフェートであり、nは1以上の整数であり、Cはシチジン5’モノフォスフェートである)で示されるオリゴリボヌクレオチド類を挙げることができる。
【0054】
さらに核酸転写開始剤としては、具体的には、ウリジン、ウリジン5’モノフォスフェート(UMP)、ウリジン5’ジフォスフェート(UDP)、一般式N1(N)n−1U(但し、N1はリボヌクレオシド、リボヌクレオシド5’モノフォスフェート、またはリボヌクレオシド5’ジフォスフェートであり、Nはリボヌクレオシド5’モノフォスフェートであり、nは1以上の整数であり、Uはウリジン5’モノフォスフェートである)で示されるオリゴリボヌクレオチド類及び一般式N2(N)n−1U(式中、N2は下記式(1)で示される基であり、Nはリボヌクレオシド5’モノフォスフェートであり、nは1以上の整数であり、Uはウリジン5’モノフォスフェートである)で示されるオリゴリボヌクレオチド類を挙げることができる。
【0055】
上記一般式N1(N)n、N1(N)n−1G、N1(N)n−1A、N1(N)n−1C、N1(N)n−1U、N2(N)n、N2(N)n−1G、N2(N)n−1A、N2(N)n−1C、N2(N)n−1Uにおいて、N1で示されるリボヌクレオシド、リボヌクレオシド5’モノフォスフェート、及びリボヌクレオシド5’ジフォスフェートの塩基に特に制限はなく、グアニン、アデニン、シトシン、ウリジンから適宜選択できる。また、Nで示されるリボヌクレオシド5’モノフォスフェートの塩基の種類及びnが2以上の場合の塩基の配列にも特に制限はない。さらに、イニシエーターの機能の面でnには上限はないが、入手の容易さ等を考慮すると、実用上は、nはせいぜい10以下程度であり、好ましくは5以下である。
【0056】
核酸転写生成物の分離及び読み取り
本発明の方法では、RNA又は核酸転写生成物を分離する。この分離は、転写生成物に含まれる分子量の異なる複数の生成物分子を、分子量に応じて分離することができる方法で適宜行うことができる。このような分離方法としては、例えば電気泳動法を挙げることができる。その他にHPLC等も用いることができる。
電気泳動法の条件等には特に制限はなく、常法により行うことができる。転写生成物を電気泳動法に付することにより得られるバンド(RNA又は核酸ラダー)からRNA又は核酸の配列を読み取ることができる。
【0057】
RNA又は核酸ラダーの読み取りは、例えば、転写物反応に用いるターミネーターであるリボヌクレオシド5’トリフォスフェート(NTP)類を標識することにより行うことができる。また、核酸転写開始剤を用いる場合、核酸転写開始剤を標識することにより行うこともできる。RNA又は核酸ラダーの読み取りは、転写物反応に用いる3’dNTP誘導体を標識することにより行うこともできる。標識としては、例えば、蛍光標識又は放射性若しくは安定同位元素等を挙げることができるが、蛍光標識であることが、安全性及び操作性の点で好ましい。また、上記のよう標識用いることなく、電気泳動法等により分離した各転写反応生成物の質量を質量分析計で測定することにより、転写生成物の配列を読み取ることもできる。
【0058】
具体的には、例えば、標識された3’dNTP誘導体、より具体的には、標識された3’dATP、3’dGTP、3’dCTP及び3’dUTPを用い、転写生成物を電気泳動に付して得られるバンドの放射性若しくは安定同位元素又は蛍光を検出することで、転写生成物の配列を読み取ることができる。このように3’dNTP誘導体を標識することで、いずれのバンド間の放射性強度又は蛍光強度にばらつきがなく、測定が容易になる。さらに放射性若しくは安定同位元素又は蛍光を発生するラダーの検出は、例えば、DNAシーケンシンクに用いている装置を適宜用いて行うことができる。
また、放射性若しくは安定同位元素又は蛍光標識されたATP、GTP、CTP及びUTPを用い、電気泳動に付して得られるバンドの放射性若しくは安定同位元素又は蛍光を検出することでも転写生成物の配列を読み取ることができる。
【0059】
さらに、異なる蛍光で標識されてた3’dATP、3’dGTP、3’dCTP及び3’dUTPを用い、末端が3’dATP、3’dGTP、3’dCTP又は3’dUTPであり、異なる標識がなされた種々の転写生成物断片の混合物を電気泳動に付して得られるバンドの4種類の蛍光を検出することでRNA又は核酸の配列を読み取ることもできる。この方法では、4種類の3’dNTPをそれぞれ異なる蛍光で標識する。このようにすることで、3’末端の異なる4種類の転写生成物の混合物を電気泳動に付することで、4種類の異なる(3’末端の3’dNTP)応じた蛍光を発するバンドが得られ、この蛍光の違いを識別しながら、1度に4種類のRNA又は核酸の配列を読み取ることができる。
蛍光標識した3’dNTPとしては、WO96/14434や特開昭63−152364号等に記載された3’デオキシリボヌクレオチド誘導体を用いることができる。また、蛍光標識としては、アルゴンレーザーのような適切な供給源からのエネルギー吸収による刺激に引き続いて、検知可能な発光放射を生じる蛍光色素等であることが好ましい。
【0060】
上記のように読み取られたRNA又は核酸配列から、転写の鋳型として用いられたDNA配列を決定することができる。各塩基について、それぞれラダーを形成した場合には、4種類のラダーから得られたRNA又は核酸配列情報を総合して、転写の鋳型として用いられたDNA配列を決定することができる。また、2種以上の塩基について同時にラダーを形成した場合(同一のラダー内に2種以上の塩基のバンドが共存する場合)には、各ラダーから得られたRNA又は核酸配列情報を総合して、転写の鋳型として用いられたDNA配列を決定することができる。特に、4種の塩基について同時にラダーを形成した場合(同一のラダー内に4種の塩基のバンドが共存する場合)には、1つのラダーから得られたRNA又は核酸配列情報から、転写の鋳型として用いられたDNA配列を決定することができる。
【0061】
【実施例】
ポリアミン系化合物の合成
ポリアミン系化合物の合成方法として、参照した文献を以下に示す。
1) 岩田、山本、中島:特開平08-027129(公開日H8.01.30)「環状ポリアミン及びそれを有効成分とする抗ウィルス剤」
2) 岩田、葛原:特許1857707「N-アルキルホルムアミドの製造方法」
3) 岩田、葛原:特許1857749「ポリアミン誘導体」
4) 岩田、葛原:特許1998558「ポリアミン誘導体の製造法」
5) 岩田、葛原:特許2123326「N-フタルイミド誘導体及びその製造法」
6)M.Flugier、C.Florentz、M.W.Hosseini、J.M.Lehn、及びR.Giege、Nucleic Acids Reseach、22(14)、2784 − 2790(1994)
【0062】
実施例1
1,12-ジ(エチルアミノ)-4,9-ジアザドデカン(1,12-di(ethylamino)-4,9-diazadodecane) HBr 塩 (5)の合成
【0063】
【化6】
スキーム1
【0064】
ジアミノブタンを原料として、これをトシルクロリドと室温で3時間反応させて、N1,N4-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,4-ジアミノブタンを得た。得られたN1,N4-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,4-ジアミノブタンをA鎖として、B鎖にはN-(3-ブロモプロピル)フタルイミドを用い、公知の方法(特許1〜5及び文献6)に基づき上記A鎖とB鎖からN1,N4,N9,N12-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,12-ジアミノ-4,9-ジアザドデカン(3)を誘導した。具体的には、化合物1を合成し、この化合物1をDMF中、70℃で1日N2H4と反応させて化合物2とし、得られた化合物2を初めに2N-HClで、70℃で1時間処理し、更にピリジン中、NEt3の存在下で室温で4時間 TsClと反応させて化合物3を得た。
【0065】
次いで、DMF(40 ml)中、上記化合物3 (0.17 g)、無水炭酸カリウム(0.143 g)、ブロモエタン(57 mg)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、濃縮し、クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734、 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)上Rf=0.4 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))成分を集めると、N1,N4,N9,N12-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,12-ジ(エチルアミノ)-4,9-ジアザドデカン(化合物4、 0.106g、 収率 58%)が得られた。化合物4の元素分析の結果は表2に、1H-NMRと13C-NMRの結果は表4にそれぞれ示す。化合物4の元素分析結果は、後述の表1に、1H-NMRと13C-NMRの結果は、後述の表5にそれぞれ示す。得られた化合物4 (96 mg) を33%-HBr-酢酸(10 ml)中、フェノール(0.206 g)とともに75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し上澄みを捨て、ついでメタノールとジエチルエーテル混合溶液により上澄み液が無色になるまで同様の洗浄を繰り返す。減圧下、溶媒を除去すると化合物5(スキーム1参照)が無色粉末として得られた。
【0066】
実施例2
1,8-ジ(エチルアミノ)-4-アザオクタン(1,8-di(ethylamino)-4-azaoctane) HBr 塩 (10)の合成
【0067】
【化7】
スキーム2
【0068】
3‐ブロモプロピルアミンを原料として、これをトシルクロリドと0℃で、2時間反応させて、N-(p-トルエンスルホニル)-3-ブロモプロピルアミンを合成する。更に、これをフタルイミドと、室温で3日間反応させてN-(N3-p-トルエンスルホニル-3-アミノプロピル)フタルイミドを得た。得られたN-(N3-p-トルエンスルホニル-3-アミノプロピル)フタルイミドをA鎖として、B鎖にはN-(4-ブロモブチル)フタルイミドを用い、公知の方法(特許1〜5及び文献6)に基づき上記A鎖とB鎖からN1,N4,N8 -トリ(p-トルエンスルホニル)-1,8-ジアミノ-4-アザオクタン(8)を誘導した。具体的には、化合物6を合成し、この化合物6をDMF中、70℃で1日、N2H4と反応させて化合物7とし、得られた化合物7を初めに2N-HClで、70℃で1時間処理し、更にピリジン中、NEt3の存在下で室温で4時間 TsClと反応させて化合物8を得た。
【0069】
次いで、DMF(40 ml)中、上記化合物8 (0.157 g)、無水炭酸カリウム(0.178 g)、ブロモエタン(48 ml)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、濃縮し、クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734、 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)上Rf=0.4 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))成分を集めると、N1,N4,N8 -トリ(p-トルエンスルホニル)-1,8-ジ(エチルアミノ)-4-アザオクタン(化合物9、 0.111g、収率 65%)が得られた。化合物9の元素分析結果は後述の表2に、1H-NMRと13C-NMRの結果は表4にそれぞれ示す。得られた化合物9 (100 mg) を33%-HBr-酢酸(10 ml)中、フェノール(0.283 g)とともに75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し上澄みを捨て、ついでメタノールとジエチルエーテル混合溶液により上澄み液が無色になるまで同様の洗浄を繰り返す。減圧下、溶媒を除去すると化合物10(スキーム2参照)が無色粉末として得られた。
【0070】
実施例3.1
1,14-ジ(エチルアミノ)-5,10-ジアザテトラデカン(1,14-di(ethylamino)-5,10-diazatetradecane) HBr 塩 (15a)の合成
【0071】
【化8】
スキーム3
【0072】
ジアミノブタンを原料として、これをトシルクロリドと室温で3時間反応させて、N1,N4-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,4-ジアミノブタンを得た。得られたN1,N4-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,4-ジアミノブタン をA鎖として、B鎖にはN-(4-ブロモブチル)フタルイミドを用い、公知の方法(特許1〜5及び文献6)に基づき上記A鎖とB鎖からN1,N5,N10,N14-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,14-ジアミノ-5,10-ジアザテトラデカン(化合物13a)を誘導した。具体的には、化合11aを合成し、この化合物11aをDMF中、70℃で1日N2H4と反応させて化合物12aとし、得られた化合物12aを初めに2N-HClで、70℃で1時間処理し、更にピリジン中、NEt3の存在下で室温で4時間 TsClと反応させて化合物13aを得た。
【0073】
次いで、DMF(40 ml)中、上記化合物13a (0.179 g)、無水炭酸カリウム(0.146 g)、ブロモエタン(40 ml)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、濃縮し、クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734、 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)上Rf=0.4 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))成分を集めると、N1,N5,N10,N14-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,14-ジ(エチルアミノ)-5,10-ジアザテトラデカン(化合物14a、 0.215 g、収率 88%)が得られた。化合物14aの元素分析の結果は表2に、1H-NMRと13C-NMRの結果は表4にそれぞれ示す。得られた化合物14a(114 mg) を33%-HBr-酢酸(10 ml)中、フェノール(0.238 g)とともに75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し上澄みを捨て、ついでメタノールとジエチルエーテル混合溶液により上澄み液が無色になるまで同様の洗浄を繰り返す。減圧下、溶媒を除去すると化合物15a(スキーム3参照)が無色粉末として得られた。
【0074】
実施例3.2
1,15-ジ(エチルアミノ)-5,11-ジアザペンタデカン(1,15-di(ethylamino)-5,11-diazapentadecane) HBr 塩 (化合物15b)の合成 (スキーム3)
【0075】
ジアミノペンタンを原料として、これをトシルクロリドと反応させて、N1,N5-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,5-ジアミノペンタンを得た。得られたN1,N5-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,5-ジアミノペンタン をA鎖として、B鎖にはN-(4-ブロモブチル)フタルイミドを用い、公知の方法(特許1〜5及び文献6)に基づき上記A鎖とB鎖からN1,N5,N11,N15-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,15-ジアミノ-5,11-ジアザペンタデカン(化合物13b)を誘導した。具体的には、化合物11bを合成し、この化合物11bをDMF中、70℃で1日N2H4と反応させて化合物12bとし、得られた化合物12b を初めに2N-HClで、70℃で1時間処理し、更にピリジン中、NEt3の存在下で室温で4時間 TsClと反応させて化合物13bを得た。
【0076】
次いで、DMF(40 ml)中、上記化合物13b (0.186 g)、無水炭酸カリウム(0.149 g)、ブロモエタン(40 ml)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、濃縮し、クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734、 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)上Rf=0.4 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))成分を集めると、N1,N5,N11,N15-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,15-ジ(エチルアミノ)-5,11-ジアザペンタデカン(化合物14b、 0.173 g、収率 87%)が得られた。化合物14bの元素分析の結果は表2に、1H-NMRと13C-NMRの結果は表4にそれぞれ示す。得られた化合物14b (163 mg) を33%-HBr-酢酸(13 ml)中、フェノール(0.334 g)とともに75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し上澄みを捨て、ついでメタノールとジエチルエーテル混合溶液により上澄み液が無色になるまで同様の洗浄を繰り返す。減圧下、溶媒を除去すると化合物15b(スキーム3参照)が無色粉末として得られた。
【0077】
実施例3.3
1,16-ジ(エチルアミノ)-5,12-ジアザヘキサデカン(1,16-di(ethylamino)-5,12-diazahexadecane) HBr 塩 (化合物15c)の合成
【0078】
ジアミノへキサンを原料として、これをトシルクロリドと反応させてN1,N6-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,6-ジアミノヘキサンを得た。得られたN1,N6-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,6-ジアミノヘキサン をA鎖として、B鎖にはN-(4-ブロモブチル)フタルイミドを用い、公知の方法(特許1〜5及び文献6)に基づき上記A鎖とB鎖からN1,N5,N12,N16-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,16-ジアミノ-5,12-ジアザヘキサデカン(化合物13c)を誘導した。具体的には、化合物11cを合成し、この化合物11cをDMF中、70℃で1日N2H4と反応させて化合物12cとし、得られた化合物12cを初めに2N-HClで、70℃で1時間処理し、更にピリジン中、NEt3の存在下で室温で4時間 TsClと反応させて化合物13cを得た。
【0079】
次いで、DMF(40 ml)中、上記化合物13c(0.208 g)、無水炭酸カリウム(0.164 g)、ブロモエタン(44 ml)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、濃縮し、クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734、 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)上Rf=0.4 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))成分を集めると、N1,N5,N12,N16-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,16-ジ(エチルアミノ)-5,12-ジアザヘキサデカン(化合物14c、 0.243 g、収率 99%)が得られた。化合物14cの元素分析結果は表2に、1H-NMRと13C-NMRの結果は表4にそれぞれ示す。得られた化合物14c (233 mg) を33%-HBr-酢酸(13 ml)中、フェノール(0.471 g)とともに75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し上澄みを捨て、ついでメタノールとジエチルエーテル混合溶液により上澄み液が無色になるまで同様の洗浄を繰り返す。減圧下、溶媒を除去すると化合物15c(スキーム3参照)が無色粉末として得られた。
【0080】
実施例3.4
1,17-ジ(エチルアミノ)-5,13-ジアザヘプタデカン(1,17-di(ethylamino)-5,13-diazaheptadecane) HBr 塩 (化合物15d)の合成 (スキーム3)
【0081】
ジアミノへプタンを原料として、これをトシルクロリドと、室温で3時間反応させてN1,N7-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,7-ジアミノヘプタンを得た。得られたN1,N7-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,7-ジアミノヘプタン をA鎖として、B鎖にはN-(4-ブロモブチル)フタルイミドを用い、公知の方法(特許1〜5及び文献6)に基づき上記A鎖とB鎖からN1,N5,N13,N17-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,17-ジアミノ-5,13-ジアザヘプタデカン(化合物13d)を誘導した。具体的には、化合物11dを合成し、この化合物11dをDMF中、70℃で1日N2H4と反応させて化合物12dとし、得られた化合物12dを初めに2N-HClで、70℃で1時間処理し、更にピリジン中、NEt3の存在下で室温で4時間 TsClと反応させて化合物13dを得た。
【0082】
次いで、DMF(40 ml)中、上記化合物13d (0.160 g)、無水炭酸カリウム(0.180 g)、ブロモエタン(38 ml)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、濃縮し、クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734、 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)上Rf=0.4 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))成分を集めると、N1,N5,N13,N17-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,17-ジ(エチルアミノ)-5,13-ジアザヘプタデカン(化合物14d、 0.152 g、収率 89%)が得られた。化合物14dの元素分析結果は表2に、1H-NMRと13C-NMRの結果は表4にそれぞれ示す。得られた化合物14d (142 mg) を33%-HBr-酢酸(13 ml)中、フェノール(0.283 g)とともに75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し上澄みを捨て、ついでメタノールとジエチルエーテル混合溶液により上澄み液が無色になるまで同様の洗浄を繰り返す。減圧下、溶媒を除去すると化合物15d(スキーム3参照)が無色粉末として得られた。
【0083】
実施例3.5
1,18-ジ(エチルアミノ)-5,14-ジアザオクタデカン(1,18-di(ethylamino)-5,14-diazaoctadecane) HBr 塩 (化合物15e)の合成 (スキーム3)
【0084】
ジアミノオクタンを原料として、これをトシルクロリドと、室温で3時間反応させてN1,N8-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,8-ジアミノオクタンを得た。得られたN1,N8-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,8-ジアミノオクタンを A鎖として、B鎖にはN-(4-ブロモブチル)フタルイミドを用い、公知の方法(特許1〜5及び文献6)に基づき上記A鎖とB鎖からN1,N5,N14,N18-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,18-ジアミノ-5,14-ジアザオクタデカン(化合物13e)を誘導した。具体的には、化合物11eを合成し、この化合物11eをDMF中、70℃で1日N2H4と反応させて化合物12eとし、得られた化合物12eを初めに2N-HClで、70℃で1時間処理し、更にピリジン中、NEt3の存在下で室温で4時間 TsClと反応させて化合物13eを得た。
【0085】
次いで、DMF(40 ml)中、上記化合物13e (0.177 g)、無水炭酸カリウム(0.135 g)、ブロモエタン(37 ml)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、濃縮し、クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734、 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)上Rf=0.4 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))成分を集めると、N1,N5,N14,N18-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,18-ジ(エチルアミノ)-5,14-ジアザオクタデカン(化合物14e、 0.173 g、収率 92%)が得られた。化合物14eの元素分析結果は表2に、1H-NMRと13C-NMRの結果は表5に示す。得られた化合物14e (163 mg) を33%-HBr-酢酸(10 ml)中、フェノール(0.320 g)とともに75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し上澄みを捨て、ついでメタノールとジエチルエーテル混合溶液により上澄み液が無色になるまで同様の洗浄を繰り返す。減圧下、溶媒を除去すると化合物15e(スキーム3参照)が無色粉末として得られた。
【0086】
実施例3.6
1,19-ジ(エチルアミノ)-5,15-ジアザノナデカン(1,19-di(ethylamino)-5,15-diazanonadecane) HBr 塩 (化合物15f)の合成 (スキーム3)
【0087】
ジアミノノナンを原料として、これをトシルクロリドと室温で3時間反応させてN1,N9-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,9-ジアミノノナンを得た。得られたN1,N9-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,9-ジアミノノナンを A鎖として、B鎖にはN-(4-ブロモブチル)フタルイミドを用い、公知の方法(特許1〜5及び文献6)に基づき上記A鎖とB鎖からN1,N5,N15,N19-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,19-ジアミノ-5,15-ジアザノナデカン(化合物13f)を誘導した。具体的には、化合物11fを合成し、この化合物11fをDMF中、70℃で1日N2H4と反応させて化合物12fとし、得られた化合物12fを初めに2N-HClで、70℃で1時間処理し、更にピリジン中、NEt3の存在下で室温で4時間 TsClと反応させて化合物13fを得た。
【0088】
次いで、DMF(40 ml)中、上記化合物13f (0.168 g)、無水炭酸カリウム(0.126 g)、ブロモエタン(34 ml)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、濃縮し、クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734、 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)上Rf=0.4 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))成分を集めると、N1,N5,N15,N19-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,19-ジ(エチルアミノ)-5,15-ジアザノナデカン(化合物14f、 0.174 g、収率 98%)が得られた。化合物14fの元素分析結果は表2に、1H-NMRと13C-NMRの結果は表5に示す。得られた化合物14f (164 mg) を33%-HBr-酢酸(10 ml)中、フェノール(0.320 g)とともに75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し上澄みを捨て、ついでメタノールとジエチルエーテル混合溶液により上澄み液が無色になるまで同様の洗浄を繰り返す。減圧下、溶媒を除去すると化合物15f(スキーム3参照)が無色粉末として得られた。
【0089】
実施例3.7
1,20-ジ(エチルアミノ)-5,16-ジアザイコサン(1,20-di(ethylamino)-5,16-diazaeicosane) HBr 塩 (化合物15g)の合成 (スキーム3)
【0090】
ジアミノデカンを原料として、これをトシルクロリドと室温で3時間反応させてN1,N10-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,10-ジアミノデカンを得た。得られたN1,N10-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,10-ジアミノデカンをA鎖として、B鎖にはN-(4-ブロモブチル)フタルイミドを用い、公知の方法(特許1〜5及び文献6)に基づき上記A鎖とB鎖からN1,N5,N16,N20-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,20-ジアミノ-5,16-ジアザイコサン (化合物13g)を誘導した。具体的には、化合物11gを合成し、この化合物11gをDMF中、70℃で1日N2H4と反応させて化合物12gとし、得られた化合物12gを初めに2N-HClで、70℃で1時間処理し、更にピリジン中、NEt3の存在下で室温で4時間 TsClと反応させて化合物13gを得た。
【0091】
次いで、DMF(40 ml)中、上記化合物13h (0.170 g)、無水炭酸カリウム(0.126 g)、ブロモエタン(34 ml)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、濃縮し、クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734、 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)上Rf=0.4 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))成分を集めると、N1,N5,N16,N20-テトラ(p-トルエンスルホニル)-1,20-ジ(エチルアミノ)-5,16-ジアザイコサン(化合物14g、 0.177 g、収率 98%)が得られた。化合物14gの元素分析結果は表2に、1H-NMRと13C-NMRの結果は表5にそれぞれ示す。得られた化合物14g (167 mg) を33%-HBr-酢酸(10 ml)中、フェノール(0.318 g)とともに75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し上澄みを捨て、ついでメタノールとジエチルエーテル混合溶液により上澄み液が無色になるまで同様の洗浄を繰り返す。減圧下、溶媒を除去すると化合物15g(スキーム3参照)が無色粉末として得られた。
【0092】
実施例4
1-エチルアミノ-8-アミノ-4-アザオクタン(1-ethylamino-8-amino-4-azaoctane) HBr 塩 (化合物18)の合成
【0093】
【化9】
スキーム4
【0094】
4-ブロモブチルアミンを原料として、これをトシルクロリドと0℃で、1時間反応させてN-(p-トルエンスルホニル)-4-ブロモブチルアミンを得た。更に、N-(p-トルエンスルホニル)-4-ブロモブチルアミンをフタルイミドと室温で24時間反応させて、N-(N4-p-トルエンスルホニル-4-アミノブチル)フタルイミドを得た。得られたN-(N4-p-トルエンスルホニル-4-アミノブチル)フタルイミドをA鎖として、B鎖にはN-(p-トルエンスルホニル-3-ブロモプロピルアミンを用い、公知の方法(特許1〜5及び文献6)に基づき、上記A鎖とB鎖からN1,N4 -ジ(p-トルエンスルホニル)-N8-ホルミル-1,8-ジアミノ-4-アザオクタン(化合物18)を誘導した。具体的には、化合物11fを合成し、この化合物11fをDMF中、70℃で1日N2H4と反応させて化合物12fとし、得られた化合物12fを初めに2N-HClで、70℃で1時間処理し、更にピリジン中、NEt3の存在下で室温で4時間 TsClと反応させて化合物13fを得た。
【0095】
次いで、DMF(50 ml)中、上記化合物13f (0.236 g)、無水炭酸カリウム(0.339 g)、ブロモエタン(91 ml)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、濃縮し、クロロホルムーアセトン(7 : 3 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734、 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)上Rf=0.3 (クロロホルムーアセトン(9 : 1 v/v))成分を集めると、N1-エチル-N1,N4 -ジ(p-トルエンスルホニル)-N8-ホルミル-1,8-ジアミノ-4-アザオクタン(化合物17、 0.221g、収率 88%)が得られる。化合物17の元素分析結果は表2に、1H-NMRと13C-NMRの結果は表6にそれぞれ示す。得られた化合物17 (210 mg) を33%-HBr-酢酸(10 ml)中、フェノール(0.929 g)とともに75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し上澄みを捨て、ついでメタノールとジエチルエーテル混合溶液により上澄み液が無色になるまで同様の洗浄を繰り返す。減圧下、溶媒を除去すると化合物18(スキーム4参照)が無色粉末として得られる。
【0096】
実施例5
1,18-ジアミノ-5,14-ジアザオクタデカン(1,18-diamino-5,14-diazaoctadecane) HBr 塩 (化合物19)の合成
【0097】
【化10】
スキーム5
【0098】
実施例3.6で合成された化合物13e (152 mg) を33%-HBr-酢酸(10 ml)中、フェノール(0.317 g)とともに75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し上澄みを捨て、ついでメタノールとジエチルエーテル混合溶液により上澄み液が無色になるまで同様の洗浄を繰り返す。減圧下、溶媒を除去すると化合物19(スキーム5参照)が無色粉末として得られた。
【0099】
実施例6.1
N1,N8-ジ(p-トルエンスルホニル)-ジ(エチルアミノ)-オクタン(N1,N8-di(p-toluenesulfonyl)-di(ethylamino)-octane) (化合物20)及びN1,N8-ジ(エチルアミノ)-オクタン(N1,N8-di(ethylamino)-octane) HBr 塩 (化合物21)の合成
【0100】
【化11】
スキーム6
【0101】
先ず、文献(M. Iwata and H. Kuzuhara、 Bull. Chem. Soc. Jpn.、 55、 2153-2157 (1982))記載の方法で、1,8-ジアミノオクタンを原料として、N1,N8-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,8-ジアミノオクタンを調製する。
次いで、DMF(60 ml)中、 上記N1,N8-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,8-ジアミノオクタン (1.0 g)、無水炭酸カリウム(1.54 g)、ブロモエタン(2.5モル当量)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、濃縮し、クロロホルムーアセトン(98 : 2 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734、 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)上Rf=0.7 (クロロホルムーアセトン(98 : 2 v/v))成分を集めると、 N1,N8-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,8-ジ(エチルアミノ)オクタン(化合物20、 0.901g、 mp 112-3 ℃(アセトンーメタノールから再結晶))が得られた。化合物20の元素分析結果は表2に、1H-NMRと13C-NMRの結果は表5にそれぞれ示す。得られた化合物20 (876 mg) を33%-HBr-酢酸(10 ml)中、フェノール(20 モル当量)とともに75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し上澄みを捨て、ついでメタノールとジエチルエーテル混合溶液により上澄み液が無色になるまで同様の洗浄を繰り返す。減圧下、溶媒を除去すると化合物21(スキーム6参照)が無色粉末として得られた。
【0102】
実施例6.2
N1,N5-ジ(p-トルエンスルホニル)ジ(エチルアミノ)ペンタン(N1,N5-di(p-toluenesulfonyl)di(ethylamino)pentane) (化合物22)及びN1,N5-ジ(エチルアミノ)ペンタン(N1,N5-di(ethylamino)pentane) HBr 塩 (化合物23)の合成
【0103】
先ず、文献(M. Iwata and H. Kuzuhara、 Bull. Chem. Soc. Jpn.、 55、 2153-2157 (1982))記載の方法を用いて、1,5-ジアミノペンタンを原料として、N1,N5-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,5-ジアミノペンタンを調製する。
次いで、DMF(40 ml)中、 上記N1,N5-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,5-ジアミノペンタン (1.0 g)、無水炭酸カリウム(1.683 g)、ブロモエタン(0.454 ml)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、濃縮し、クロロホルムーアセトン(98 : 2 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734、 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)上Rf=0.7 (クロロホルムーアセトン(98 : 2 v/v))成分を集めると、 N1,N5-ジ(p-トルエンスルホニル)-1,5-ジ(エチルアミノ)ペンタン(化合物22、 0.901g、 mp 112-3 ℃(アセトンーメタノールから再結晶))が得られた。化合物22の元素分析結果は表2に、1H-NMRと13C-NMRの結果は表5にそれぞれ示す。得られた化合物22 (744 mg)を33%-HBr-酢酸(10 ml)中、フェノール(20 モル当量)とともに75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し上澄みを捨て、ついでメタノールとジエチルエーテル混合溶液により上澄み液が無色になるまで同様の洗浄を繰り返す。減圧下、溶媒を除去すると化合物23(スキーム6参照)が無色粉末として得られた。
【0104】
化合物の構造決定
化合物を特定するため、脱トシル化反応を適用した前駆体の元素分析及び1H-、 13C-核磁気共鳴スペクトル測定を用いて理化学的分析を行った。結果を表2〜6に示す。
表2には、脱トシル化反応を適用した前駆体の収率と元素分析結果をまとめた。
表3は、前駆体から検定試料を導く脱トシル化反応の収率をまとめた。
表4〜6は、脱トシル化反応を適用した前駆体1H-、13C-核磁気共鳴スペクトル測定結果をまとめた。
【0105】
【表2】
【0106】
【表3】
【0107】
【表4】
【0108】
【表5】
【0109】
【表6】
【0110】
実施例7
RNA ポリメラーゼ転写活性の促進検定法
下記の反応系を用いて、ポリアミンのバクテリアファージT7 RNAポリメラーゼを用いたin vitroトランスクリプションに対する活性化の効果を調べ、活性度を検定した。
それぞれのポリアミンを最終濃度が2mMになるように反応液10μl(40mM Tris-Cl、pH 8.0、8mM MgCl2、5mM DTT、200M GMP、野生型 T7 RNAポリメラーゼ5U、0.2uCi〔α-32P〕UTP、500uM rNTP鋳型DNAとしてpBluescript〔Stratagene〕を制限酵素Pvullで切断したdsDNA)に添加し、37℃で1時間反応した。反応の後、生成物にホルムアミド ローディング色素(98%ホルムアミド、10mM EDTA)を10μl添加し、90℃で熱変性した後に、6M Urea を含む4%アクリルアミドゲルにて電気泳動した。次に、泳動後のゲルを乾燥し、BAS2000イメージ分析システム(フジフォトフィルム〔株〕)で目的の転写物に含まれる放射活性を測定し、それぞれのポリアミンの活性化の度合いを検定した。
【0111】
結果は、表7に示されている。データは、同一条件で並行して反応させたポリアミンを全く加えないブランクに対する放射活性量の倍率で表現されている。
【0112】
【表7】
検定した合成ポリアミンのT7 RNAPの転写活性に及ぼす影響
【0113】
化合物10と化合物18、及び15eと19の比較から、アミン化合物をエチル化すると元のアミン化合物よりも、一層強い促進効果を示す化合物に誘導できることが明らかとなった。
化合物20と21、及び化合物22と23の比較から、置換基の1つであるトシル基は、RNAPの転写活性に抑制的に作用することが明らかになった。
テトラミン体である5と化合物15aの活性度の違いは、両末端部のメチレン鎖の長さの違いを反映していると考えられる。両末端部のメチレン鎖の長さは、テトラメチレンであるほうがトリメチレンであるより強い転写活性促進効果を示すように作用することが示された。
テトラミン体における中心部分のメチレン鎖の長さの違いによる転写活性促進効果への影響には、著しい鎖長特異性が見られる。オクタンメチレン又はデカメチレンであるものは、その他の場合の、約2倍の転写活性促進効果をもたらすことが示された。
【0114】
【発明の効果】
DNA配列決定法において同量のRNAポリメラーゼを用いる場合、本発明の転写促進剤を添加することにより、より長いDNA鎖のシークエンスが可能になる。更に、同程度の長さのシークエンスを行う場合、より少ない量のRNAポリメラーゼ又はより少ない量のテンプレートを用いて拡散転写反応が可能となる。
Claims (5)
- DNA断片を鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて核酸転写物を得、得られる核酸転写物を分離し、得られる分離分画から核酸の配列を読み取るDNAの塩基配列決定方法であって、
前記核酸転写反応を請求項1または2に記載の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の存在下で行うことを特徴とする方法。 - DNA断片がRNAポリメラーゼのためのプロモーター配列を含み、核酸転写反応をATP、GTP、CTP及びUTPからなるリボヌクレオシド5’トリフォスフェート類並びに3’dATP、3’dGTP、3’dCTP、及び3’dUTPからなる1種又は2種以上の3’デオキシリボヌクレオシド5’トリフォスフェート(以下3’dNTPという)を用いて行う請求項3に記載の方法。
- 3’dNTPが標識されており、この標識により核酸の配列を読み取る請求項3または4に記載方法。
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