JP2004508023A - 核酸合成の感度および特異性を増強するための化合物および方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、カチオン性およびポリカチオン性組成物ならびに核酸分子の合成を増強する方法に関する。好ましい局面では、本発明は、核酸合成、配列決定、または増幅の阻害または調節に関する。特に、本発明は、このような合成の増強用の二本鎖および/または一本鎖核酸分子および/または一本鎖/二本鎖核酸複合体(例えば、プライマー/鋳型複合体、二本鎖鋳型、一本鎖鋳型、または一本鎖プライマー)に親和性を有するカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびに組成物を開示する。本発明のカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびに組成物は、周囲温度で非特異的核酸合成を阻害することができる。したがって、好ましい局面では、本発明は、核酸分子の「ホットスタート」合成に関する。したがって、本発明は、低温(例えば、反応の設定時)での非特異的核酸合成を防止する。本発明はまた、1つまたはそれ以上の本発明のカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびに組成物を含む核酸分子の合成、増幅、逆転写、または配列決定用のキットに関する。本発明はまた、本発明の方法を行うために調製した組成物およびこのような方法の後または間に作製された組成物に関する。本発明はまた、一般に、種々の核酸分子の分解の阻害または防止に有用な組成物に関する。
Description
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、例えば周囲温度で起こり得る非特異的核酸合成の減少による核酸合成の選択性および特異性を増大させる方法に関する。本発明はまた、本発明の方法を行うための組成物に関する。本発明の方法および組成物を、核酸配列決定、増幅反応、核酸合成、およびcDNA合成に使用することができる。
【0002】
本発明はまた、例えば、1つまたはそれ以上の二本鎖核酸分子および/または一本鎖核酸分子および/または二本鎖/一本鎖複合体との結合または複合体形成によって核酸合成、配列決定、増幅、およびcDNA合成を阻害または防止することができるリガンド(特にカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびに組成物)に関する。したがって、本発明は、このような反応で使用される核酸基質(例えば、プライマー、鋳型およびプライマー/鋳型複合体)との結合または相互作用によって核酸合成、配列決定、増幅、およびcDNA合成反応を阻害または防止することができる。
【0003】
本発明はまた、核酸合成中の核酸分子または核酸合成のための調製物の分解を阻害または防止することができるリガンド(特にカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびに組成物)に関する。リガンドは、核酸、好ましくは一本鎖分子または一本鎖含有分子と結合または相互作用することができる。このような相互作用は、好ましくは、ヌクレアーゼ、特にエキソヌクレアーゼ、具体的には一本鎖特異的エキソヌクレアーゼによる核酸分子の分解を防止または阻害する。本発明はまた、本発明のカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびにカチオン性組成物を含むキットに関する。
【0004】
関連技術
DNAポリメラーゼは、DNA鋳型の全部または一部に相補的なDNA分子の形成を触媒する。プライマーの一本鎖DNA鋳型とのハイブリッド形成の際、ポリメラーゼは5’から3’方向でのDNA合成を触媒し、続いてヌクレオチドを成長鎖の3’−水酸基に付加する。したがって、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)またはヌクレオチドおよびプライマーの存在下では、一本鎖DNA鋳型の全部または一部に相補的な新規のDNA分子を合成することができる。
【0005】
中温性および好熱性DNAポリメラーゼの両方を使用して、核酸形成を触媒する。PCRまたはサイクル配列決定では、あまりストリンジェントではない温度(例えば、周囲温度)での間違ってアニーリングされたプライマーの伸長に起因する非特異的DNA増幅レベルが減少するために中温性よりもむしろ熱安定性ポリメラーゼが好ましい。しかし、いくつかのプライマー配列および一定の実験条件下で、有意な非特異的核酸産物合成量により、熱安定性ポリメラーゼの感度が低下し、各プライマーセットの伸長至適化が必要となる。さらに、周囲温度で高レベルの活性を有するポリメラーゼ(例えば、サーマトガ・ニアポリタナ(Thermatoga neapolitana)由来のDNAポリメラーゼ)を使用する場合、これはさらに問題となる。
【0006】
生物、組織、または細胞の構造および生理学の実験では、しばしばその遺伝子含量を決定することが望ましい。生物の遺伝子フレームワークは、生物の体細胞および生殖細胞中に含まれるデオキシリボ核酸(DNA)中のヌクレオチド塩基の二本鎖配列にコードされる。特定のDNAまたは遺伝子セグメントの遺伝子含有量は、遺伝子にコードされるタンパク質の産生時のみに発現する。タンパク質産生のために、DNA二重らせんの1つの鎖(「コード」鎖)の相補コピーがポリメラーゼ酵素によって産生され、リボ核酸(RNA)の特異的配列が得られる。この特定のRNA型は、タンパク質産生についてのDNAからの遺伝子メッセージを含むので、伝令RNA(mRNA)と呼ばれている。
【0007】
所与の細胞、組織、または生物内で、それぞれ個別かつ特異的なタンパク質をコードする多数のmRNA種が存在する。この事実は、組織または細胞中の遺伝子発現研究に興味を持つ研究者に強力なツールを提供する。mRNA分子を単離でき、種々の分子生物学的技術によってさらに操作し、それにより細胞、組織、または生物の完全な機能的遺伝子含量を解明可能である。
【0008】
一般的な遺伝子発現研究アプローチは、相補DNA(cDNA)クローンの産生である。この技術では、生物由来のmRNA分子を生物の細胞または組織の抽出物から単離する。この単離は、しばしばチミジン(T)のオリゴマーが複合体形成したセルロースまたはアガロースなどのクロマトグラフィーマトリックスを使用する。ほとんどの真核生物mRNA分子上の3’末端は連続したアデノシン(A)塩基を含み、AはTに結合するので、mRNA分子を組織または細胞抽出物中の他の分子および基質から容易に精製することができる。これらの精製mRNA分子から、逆転写酵素(RT)またはRT活性を有するDNAポリメラーゼを使用してcDNAコピーを作製することができ、一本鎖cDNA分子を生成させる。次いで、一本鎖cDNAを、DNAポリメラーゼの作用によってもとのmRNA(および生物のゲノムに含まれるこのmRNAをコードするもとの二本鎖DNA配列)の完全な二本鎖DNAコピー(すなわち、二本鎖cDNA)に変換することができる。次いで、タンパク質特異的二本鎖cDNAをベクターに挿入することができ、その後、宿主細菌、酵母、動物、または植物細胞に導入される(形質転換またはトランスフェクションと呼ばれるプロセス)。次いで、宿主細胞を培地中で増殖させ、目的の遺伝子または目的の遺伝子の一部を含む(多くの場合、発現する)宿主細胞集団が得られる。
【0009】
mRNAの単離からベクター(例えば、プラスミド、ウイルスベクター、コスミドなど)へのcDNAの挿入、単離遺伝子または遺伝子部分を含む宿主細胞集団の成長までのこの完全なプロセスを、「cDNAクローニング」という。cDNAセットが供給源となる細胞、組織、または生物中に存在する機能的遺伝情報を含む遺伝子または遺伝子の一部の「集団」を示すので、多数の異なるmRNAからcDNAを調製する場合、得られたcDNAセットを「cDNAライブラリー」と呼ぶ。
【0010】
cDNA分子の合成は、mRNA分子の3’末端または3’末端付近から開始され、5’から3’方向に進行し、成長鎖にヌクレオチドが連続的に付加される。オリゴ(dT)プライマーを使用したポリAテールの3’末端でのcDNA合成のプライミングは、mRNAの3’メッセージを産生されたcDNA分子中に示すことを確実にする。cDNA合成中に選択性および特異性を増大させる能力により、より代表的なcDNAライブラリーが得られ、これは、全長cDNA分子(例えば、全長遺伝子)を有するcDNAライブラリーの可能性を増大させることができる。このような進歩が、目的の全長遺伝子発見の可能性を非常に高めると思われる。
【0011】
したがって、ポリメラーゼおよび逆転写酵素の核酸分子を合成する能力を改良する方法が必要である。このような進歩が、核酸合成、配列決定、増幅、およびcDNA合成の改良すると思われる。
【0012】
発明の概要
本発明は、上記の要求を満たす。本発明は、所定の条件下(好ましくは周囲温度)での核酸合成および/または分解の阻害、減少、実質的減少、または消失のための方法を提供する。好ましい局面では、本発明は、反応設定中、好ましくは核酸合成の至適反応条件が達成される前の核酸合成および分解(特に、鋳型およびプライマー分解)を防止または阻害する。したがって、本発明により、核酸合成中に使用されるかその間に存在するポリメラーゼおよび/またはヌクレアーゼを阻害可能である。最適下限条件または反応設定中のDNAポリメラーゼ活性のこのような阻害により、非特異的核酸合成が防止または減少する。一旦反応設定が完了して、至適条件に達すると、核酸合成を開始することができる。さらに、本発明は、核酸合成基質および産物の分解を防止するので、合成開始後に、より有効に核酸合成を行うことができる。
【0013】
より詳細には、本発明は、任意の核酸分子(一本鎖または二本鎖核酸または二本鎖/一本鎖複合体を含む核酸分子を含む二本鎖など)に結合するか相互作用する任意の1つまたはそれ以上のリガンド(特にカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物)の導入による核酸合成の調節に関する。このような二本鎖核酸分子は一本鎖領域(好ましくは一方または両方の末端)を含むか、相補核酸鎖と対合した塩基ではない配列またはヌクレオチドを含むか、完全に二本鎖であり得る。したがって、このようなカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物は、このような二本鎖核酸分子(例えば、プライマー/鋳型複合体または二本鎖鋳型などの二本鎖基質)と結合するか相互作用することができ、活性ポリメラーゼまたは逆転写酵素の核酸合成基質(プライマー/鋳型複合体など)との結合または相互作用の防止により核酸合成を妨害する。
【0014】
別の局面では、本発明は、核酸、特に二本鎖、一本鎖、または一本鎖含有核酸に結合する任意の1つまたはそれ以上のリガンド(特にカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびに組成物)の導入による核酸合成の調節に関する。したがって、このようなカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物は、核酸分子(例えば、一本鎖プライマーまたは一本鎖鋳型または二本鎖分子などの核酸合成基質)に結合するか相互作用し、例えば、核酸合成基質(合成反応でポリメラーゼまたは逆転写酵素によって使用されるプライマー/鋳型複合体を形成するための鋳型とプライマーなど)の結合、相互作用、またはハイブリッド形成の防止によって核酸合成を妨害する。
【0015】
さらに、本発明のリガンド(特にカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびに組成物)の核酸分子(特に、一本鎖核酸(例えば、プライマーおよび鋳型などの一本鎖基質))との相互作用により、存在し得るヌクレアーゼ(エキソヌクレアーゼなど)によるこのような分子の分解を防止する。したがって、本発明のカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびに組成物は、核酸合成、増幅、および配列決定反応において使用される基質の分解を防止するが、このような反応によって産生された産物の分解も防止する。例えば、核酸合成、増幅、および配列決定反応において使用される多数のポリメラーゼは、一本鎖核酸基質または産物を分解することができるエキソヌクレアーゼ活性(例えば、DNAポリメラーゼの3’から5’、および5’→3’エキソヌクレアーゼ活性)を有し、核酸合成反応効率に悪影響を及ぼす。さらに、合成、増幅、および配列決定で使用される反応混合物は、反応混合物中の核酸基質または産物を分解し得る添加したヌクレアーゼ(特定の目的または機能のために反応混合物に添加することができる)または夾雑ヌクレアーゼ(例えば、RNアーゼ、DNアーゼ、およびエキソヌクレアーゼ、特に、一本鎖エキソヌクレアーゼ)を含み得る。本発明のカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、または組成物を含めることにより、核酸合成、増幅、または配列決定の前、間、または後の核酸分子または基質の分解を防止または阻害可能である。
【0016】
したがって、本発明は核酸分子と結合(好ましくは非カチオン性結合による)または相互作用し、好ましくはリガンド/核酸複合体を形成するリガンドに関する。本発明の核酸リガンド(「阻害リガンド」または「核酸リガンド」と呼ぶことができる)は、任意の核酸分子(二本鎖核酸分子および/または一本鎖核酸分子および/または一本鎖/二本鎖核酸複合体(好ましくは、核酸構造が凝縮されている)など)と結合または相互作用するように電荷プロフィールを有する任意の分子または化合物(化学的化合物またはポリマーを含む)であり得る。好ましいリガンドには、天然および合成の化合物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、脂質、リポタンパク質などが含まれる。一般に、本発明のリガンドには、任意のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物が含まれる。天然のカチオン性分子には、ヒストン、プロタミン、スペルミン、スペルミジン、および可動性の高い基を有するタンパク質が含まれる(Biochim. Biophys. Acta、1988、950、221〜228;Science、1989、243、375〜378;Proc. Natl Acad Sci USA、1991、88、4255〜4259)。合成カチオン性分子には、有機分子またはポリマー(DEAE−デキストラン、ポリブレン、ポリリジン、ポリヒスチジン、カチオン性ポリペプチド、カチオン性コアを有する高分子など)(概要については、Cotten,MおよびWagner,E、1993、Curr. Opin. Biotechnol.、4、705〜710;Bioconjugate Chem.、4、372〜379を参照のこと)、両親媒性凝集物(Behr,J.P.、1994、Bioconjugate Chem.、5、382〜389)、ポリアミドアミンカスケードポリマーまたはデンドリマー、リポポリアミン、およびポリエチレンイミン(Boussifら、1995、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、92、7297〜7301)が含まれる。ゴールドマン(Goldman,C.K.)ら、1997(Nature Biotech.、15、462〜466)に記載のグルコース骨格を有する非脂質、非ペプチドポリカチオン性ポリマー、合成ポリアミノポリマーもまた含まれる。他の組成物には、カチオン性脂質またはカチオン性リポソーム製剤(「トランスフェクタム(Transfectam)(商標)」(Promega)、「ドータップ(DOTAP)(商標)」(Roche)、「ヒュージーン(FUGENE6)(商標)」(Roche)、「エックストリームジーン(X−treme GENE)Q2(商標)」(Roche)、「ジーンジェイマー(GeneJammer)(商標)」(Stratagene)、「ジーンポーター(GenePorter)(商標)」(Gene Therapy Systems)、「イフェクテン(Effectene)(商標)」(Quiagen)、「スーパーフェクト(Superfect)(商標)」(Quiagen)、「リポフェクチン(登録商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「リポフェクトエース(LIPOFECTACE)(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「リポフェクタミン(LIPOFECTAMINE)(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「リポフェクタミン 2000(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「セルフェクチン(CELLFECTIN)(登録商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、および「ディーエムリー(DMRIE)−C(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division))、米国特許第4,812,449号、同第4,891,355号、同第5,171,678号、同第5,186,923号、同第5,208,036号、同第5,264,618号、同第5,277,897号、同第5,279,833号、同第5,283,185号、同第5,334,761号、同第4,897,355号、同第5,459,127号、同第5,545,412号、同第5,650,096号、同第5,667,774号、同第5,674,908号、同第5,705,385号、同第5,719,131号、同第5,736,392号、同第5,744,335号、同第5,783,565号、同第5,830,430号、同第5,840,710号、同第5,854,224号、同第5,869,606号、同第5,906,922号、同第5,935,936号、同第5,948,925号、同第5,948,767号、国際公開公報第97/42819号、国際公開公報第98/02190号、国際公開公報第98/17373号、国際公開公報第98/19709号、国際公開公報第99/29712号、国際公開公報第98/40499号、国際公開公報第98/40502号、国際公開公報第98/42819号、欧州特許第0394111号、同第0846680号、および仏国特許第1,567,214号に記載のその他の物質が含まれる。米国特許第5,861,397号は、両親媒性カチオン性脂質を記載しており、米国特許第5,670,347号は核酸と相互作用する合成ポリペプチドを記載している。一般に、DNA凝縮剤およびトランスフェクション剤もまた、本発明により使用される。1つの局面では、本発明のリガンドは核酸分子ではなく、および/または核酸分子と結合することができる酵素ではない。
【0017】
別の好ましい局面では、本発明のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性分子、化合物)および組成物は、一定の条件下で1つまたはそれ以上の核酸分子(特に、1つまたはそれ以上の核酸合成基質)と結合(好ましくは、非共有結合による)または複合体を形成することができ、条件が変わると核酸から解離する。条件には、混合物の種々の温度、イオン強度、およびpHが含まれる。したがって、カチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物を、好ましくは、基質(例えば、プライマー/鋳型複合体、二本鎖分子および/またはプライマーおよび一本鎖鋳型などの一本鎖分子)と結合または相互作用する反応混合物に導入し、それにより特定の反応条件下でポリメラーゼまたは逆転写酵素活性を有する1つまたはそれ以上の酵素の存在下で核酸合成を阻害する。本発明のカチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物はまた、反応混合物の合成産物および/または基質と相互作用または結合する能力を有し、それにより反応混合物中に存在し得るヌクレアーゼで産物または基質の分解が防止されて、核酸合成産物が増加する。
【0018】
したがって、好ましい局面では、本発明の1つまたはそれ以上のカチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物は、1つまたはそれ以上の核酸基質と結合することができ、一定条件下でこのような基質(例えば、一本鎖鋳型および一本鎖プライマー)で合成を防止することができる。このような合成は、例えば、核酸の活性ポリメラーゼ/逆転写酵素との相互作用の防止および/または核酸分子の相互作用(プライマー/鋳型複合体を形成するためのハイブリッド形成など)の防止によって防止される。このようなカチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物はまた、このような分子と結合して好ましくはヌクレアーゼ作用に接近不可能であるため反応における核酸分子の分解を防止する。したがって、このようなカチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物を、好ましくは、このような核酸分子と競合的に結合または相互作用する反応混合物に導入して、それによりポリメラーゼおよび/またはヌクレアーゼ活性を有する1つまたはそれ以上の酵素の存在下で核酸合成および/または核酸分解を阻害する。
【0019】
本発明のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物)による核酸合成または相互作用/結合の阻害を、好ましくは、消失または減少させて、反応条件が変化した場合(例えば、温度が上昇した場合)に核酸合成を進行させることができる。好ましい局面では、条件変化によりカチオン性またはポリカチオン性分子の二本鎖核酸基質および/または一本鎖核酸基質および/または一本鎖/二本鎖複合体と相互作用する能力に影響を与え、基質の放出し(例えば、基質からのカチオン性/ポリカチオン性分子の解離)および/またはポリメラーゼ/逆転写酵素活性を有する酵素の基質として利用可能な核酸分子を作製し、それにより核酸合成を進行可能なカチオン性またはポリカチオン性分子を変性または不活化させる。
【0020】
従って、本発明は、(a)1つまたはそれ以上の核酸鋳型(cDNA分子などのDNA分子またはmRNA分子などのRNA分子でもよい)と1つまたはそれ以上の二本鎖および/または一本鎖核酸基質および/または一本鎖/二本鎖/二本鎖複合体(例えば、鋳型、鋳型/プライマー複合体および/またはプライマーなどの核酸合成基質)と結合または相互作用することができる本発明の1つまたはそれ以上のプライマーおよび1つまたはそれ以上のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物)とを混合する工程と、(b)この混合物を前記鋳型の全部または一部に相補的な1つまたはそれ以上の第1の核酸分子の合成に十分な条件下で核酸ポリメラーゼ活性および/またはヌクレアーゼ活性(例えば、DNAポリメラーゼおよび/または逆転写酵素および/またはエンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼなどのヌクレアーゼ)を有する1つまたはそれ以上の酵素の存在下でインキュベートする工程とを含む、1つまたはそれ以上の核酸の合成法に関する。このような混合を、好ましくは、核酸合成を防止し、および/または本発明のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物)の1つまたはそれ以上の核酸合成基質への結合を可能にする条件下で行う。好ましい局面では、合成条件は、核酸からリガンドを解離するか本発明のリガンドを変性させて前記リガンドの核酸合成基質への結合を阻害、減少、実質的に減少、または消失するのに十分である。本発明の1つの態様では、一旦このような会合のためのインキュベーション条件が再確立されると、カチオン性/ポリカチオン性の分子または化合物(すなわち、脂質またはリポソーム製剤)は、核酸結合能力を復元または回復することができる。このようなインキュベーション条件は、1つまたはそれ以上のヌクレオチドおよび1つまたはそれ以上の核酸合成緩衝液の使用を含み得る。したがって、本発明の好ましいリガンド(例えば、カチオン性/ポリカチオン性の分子または化合物)は、使用条件に依存して核酸分子に可逆的に会合/解離する。したがって、反応中にさらなるカチオン性/ポリカチオン性化合物を添加することなくインキュベーション条件の変化によっていくつかの合成サイクルが起こり得る。例えば、増幅中(例えば、PCR)での異なる条件での反応サイクルにより、カチオン性/ポリカチオン性分子が不活化されないので、一旦このような相互作用が可能な条件に達すると、このような分子は核酸合成基質および合成産物と結合または会合することができる。好ましくは、本発明のカチオン性/ポリカチオン性分子の解離および/またはカチオン性/ポリカチオン性分子の核酸合成基質への結合の阻害に十分な温度であるが、ポリメラーゼおよび/または逆転写酵素または核酸合成反応で存在し且つ必要な他の酵素の不活化に不十分な温度でインキュベーション条件が達成される。本発明のこのような方法は、選択的に1つまたはそれ以上のさらなる工程(第1の核酸分子の全部または一部に相補的な1つまたはそれ以上の第2の核酸分子の作製に十分な条件下で合成された第1の核酸分子をインキュベートするなどの工程)を含み得る。このようなさらなる工程を、上記の本発明のリガンド(例えば、カチオン性/ポリカチオン性分子)の存在下で行うこともできる。本発明はまた、この方法で合成された核酸分子に関する。
【0021】
本発明の方法を使用して、合成核酸分子を、リガンド/核酸混合物または複合体(例えば、核酸/カチオン性またはポリカチオン性複合体)が有利な他のアッセイ法または手順(宿主または宿主細胞への核酸の導入など)または核酸/カチオン性またはポリカチオン性化合物がアッセイ法の最終目的に劇的に影響を与えないアッセイ法または手順で直接使用することができる。したがって、より詳細には、本発明は、(a)本発明のリガンド(特に、カチオン性またはポリカチオン性分子またはトランスフェクション剤)の存在下で1つまたはそれ以上の核酸分子を合成する工程と、(b)本発明の該リガンドの存在下で1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞に合成した核酸分子を導入する工程とを含む、1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞への核酸分子の導入に関する。
【0022】
より具体的には、本発明は、(a)該第1のプライマーが該DNA分子の第1の鎖の3’末端または3’末端付近の配列に相補的であり、前記第2のプライマーが前記DNA分子の第2の鎖の3’末端または3’末端付近の配列に相補的である、第1および第2のプライマーおよび1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物)(例えば、二本鎖核酸および/または一本鎖核酸および/または一本鎖/二本鎖複合体に親和性を有する分子)を混合する工程と、(b)該第1のプライマーを該第1の鎖に、該第2のプライマーを該第2の鎖にハイブリッド形成させる工程と、(c)該第1の鎖の全部または一部に相補的な第3のDNA分子および前記第2の鎖の全部または一部に相補的な第4のDNA分子が合成されるような条件下で混合物をインキュベートする工程と、(d)前記第1および第3の鎖および該第2および第4の鎖を変性する工程と、(e)工程(a)から(c)または(d)を1回以上繰り返す工程とを含む、DNA分子の増幅法に関する。このような混合を、好ましくは、核酸合成を妨げ、および/または本発明のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物を1つまたはそれ以上の核酸合成基質に結合させる条件下で行う。好ましい局面では、合成条件は、本発明のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物を解離もしくは変性、または減少させて、カチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物の核酸合成基質への結合を阻害、減少、実質的に減少、または消失するのに十分である。好ましくは、インキュベーション条件は本発明のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物の解離および/または核酸合成基質に対するカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物の核酸合成基質への結合の防止に十分な温度であるが、ポリメラーゼおよび/または逆転写酵素もしくは核酸合成反応で存在し且つ必要な酵素の変性または不活化に不十分な温度でインキュベーション条件が達成される。このようなインキュベーション条件には、1つまたはそれ以上のポリメラーゼ、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、および/または1つまたはそれ以上の緩衝塩の存在下でのインキュベーションを含み得る。本発明はまた、これらの方法によって増幅された核酸分子に関する。本発明の方法によって作製されたこのような増幅核酸分子を、さらに操作または処理することもできる(1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞への増幅核酸分子の導入を含む)。したがって、本発明は、特に、(a)1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物)の存在下で1つまたはそれ以上の核酸分子を増幅させる工程と、(b)前記増幅核酸分子を少なくとも1つの前記リガンドの存在下で1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞に導入する工程とを含む、1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞への核酸分子の導入に関する。
【0023】
本発明はまた、(a)配列決定すべき核酸分子を1つまたはそれ以上のプライマー、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(カチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物)、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、および1つまたはそれ以上の終止剤と混合して混合物を形成する工程と、(b)混合物を配列決定すべき分子の全部または一部に相補的な分子集団の合成に十分な条件下でインキュベートする工程と、(c)集団を分離して配列決定すべき分子の全部または一部のヌクレオチド配列を決定する工程を含む、核酸分子の配列決定法に関する。さらに詳細には、本発明は、(a)本発明のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物(二本鎖核酸および/または一本鎖核酸および/または一本鎖/二本鎖複合体に親和性を有する)、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、および1つまたはそれ以上の終止剤を混合する工程と、(b)第1の核酸分子にプライマーをハイブリッド形成する工程と、(c)該合成分子の長さが前記第1の分子よりも短く、該合成分析が3’末端にターミネーターヌクレオチドを含む、該第1の核酸分子に相補的な核酸分子の無作為な集団の合成に十分な条件下で工程(b)の混合物をインキュベートする工程と、(d)該第1の核酸分子のヌクレオチド配列の少なくとも一部を配列決定することができるように該合成分子をサイズで分離する工程とを含む、核酸分子の配列決定法に関する。このような混合を、好ましくは、核酸合成を阻害し、および/または本発明のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物を1つまたはそれ以上の核酸合成基質に結合する条件下で行う。好ましい局面では、合成条件および/またはハイブリッド形成条件は、本発明のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物を解離または変性させて、カチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物の核酸合成基質への結合を阻害、減少、実質的に減少、または消失するのに十分である。好ましくはインキュベーション条件は、本発明のカチオン性/ポリカチオン性分子の解離または減少および/またはカチオン性/ポリカチオン性分子の核酸合成基質への結合の防止に十分な温度であるが、ポリメラーゼおよび/または逆転写酵素または核酸合成反応で存在し且つ必要な他の酵素の不活化に不十分な温度でインキュベーション条件が達成される。このようなターミネーターヌクレオチドには、ddNTP、ddATP、ddGTP、ddITP、もしくはddCTP、またはその修飾誘導体が含まれる。このようなインキュベーション条件には、1つまたはそれ以上のポリメラーゼおよび/または緩衝塩の存在下でのインキュベーションを含み得る。
【0024】
本発明はまた、一般に、核酸合成反応における核酸分子分解の防止または阻害法に関する。好ましくは、このような方法を、核酸合成、cDNA合成、増幅、または配列決定中に行う。特に、本方法は、(a)1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性/ポリカチオン性分子)を得る工程と、(b)1つまたはそれ以上のヌクレアーゼ活性を有するヌクレアーゼによる前記核酸分子の分解の防止または阻害に十分な条件下で該本発明のリガンドを1つまたはそれ以上の核酸分子に接触させる工程とを含み得る。本発明のカチオン性/ポリカチオン性分子は核酸分子に親和性を有するので、核酸分子と結合または相互作用することができる。したがって、本発明のカチオン性/ポリカチオン性分子は、核酸分子と結合することができ、したがって、ヌクレアーゼとこのような核酸分子との相互作用または結合を防止することができる。好ましい局面では、本発明の核酸分子保護法を、インビトロ反応、特に標準的な分子生物学的技術(核酸合成、増幅、配列決定、およびcDNA合成など)で使用する反応中に行う。本発明の分解保護法は、本発明のカチオン性/ポリカチオン性分子を解離する工程、および/または特定の条件下(例えば、温度上昇、pHの変化、または反応混合物のイオン強度の変化)で本発明のカチオン性/ポリカチオン性分子の核酸分子への結合を妨げる工程とをさらに含み得る。
【0025】
本発明はまた、本発明のリガンド(例えば、カチオン性/ポリカチオン性分子)および本発明のリガンドを含む組成物ならびに本発明の方法によって産生された核酸分子、核酸分子を含むベクター(発現ベクターであり得る)、ならびにこれらの核酸分子またはベクターを含む宿主細胞に関する。本発明で使用されるリガンド(例えば、カチオン性/ポリカチオン性の分子、化合物、または組成物)を、既知の技術(例えば、米国特許第4,812,449号、同第5,171,678号、同第5,186,923号、同第5,277,897号、同第5,208,036号、同第5,208,036号、同第5,264,618号、同第5,279,833号、同第5,334,761号、同第4,897,355号、同第5,459,127号、同第5,650,096号、同第5,744,335号、同第5,854,224号、同第5,869,606号、同第5,906,922号、同第5,674,908号、および国際公開公報第98/19709号に記載の方法)によって産生することができる。米国特許第5,861,397号は、両親媒性カチオン性脂質の産生を記載しており、米国特許第5,670,347号は核酸と相互作用する合成ポリペプチドを記載している。
【0026】
本発明はまた、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、または組成物)を含む1つまたはそれ以上の容器を含む、核酸分子の合成、配列決定、および増幅用のキットに関する。本発明のこれらのキットは、選択的に、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上の鋳型、1つまたはそれ以上のポリメラーゼ(例えば、好熱性または中温性DNAポリメラーゼ)、および/または逆転写酵素、1つまたはそれ以上の適切な緩衝液、1つまたはそれ以上のプライマー、1つまたはそれ以上の終止剤(1つまたはそれ以上のジデオキシヌクレオチドなど)、および本発明の方法を実施するための説明書からなる群より選択される1つまたはそれ以上のさらなる成分を含み得る。本発明はまた、本発明に係る核酸分子の変性の一般的な防止または阻害法で使用するキットに関する。このようなキットは、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物)を含む1つまたはそれ以上の容器を含み得る。これらのキットは、選択的に、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上の鋳型、1つまたはそれ以上のポリメラーゼ(例えば、好熱性または中温性DNAポリメラーゼ)、および/または逆転写酵素、1つまたはそれ以上のヌクレアーゼ、1つまたはそれ以上の適切な緩衝液、1つまたはそれ以上のプライマー、1つまたはそれ以上の終止剤、および本発明の方法の実行のための装置からなる群より選択される1つまたはそれ以上のさらなる成分を含み得る。
【0027】
本発明はまた、核酸分子の合成、配列決定、および増幅用の組成物およびこのような合成、配列決定、および増幅反応の実施用に作製された組成物に関する。本発明はまた、本発明の合成、配列決定、および増幅反応の実施中または実施後に作製される組成物に関する。本発明のこのような組成物は、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、阻害カチオン性/ポリカチオン性分子)を含むことができ、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上のプライマー、1つまたはそれ以上の鋳型、1つまたはそれ以上の逆転写酵素、1つまたはそれ以上のDNAポリメラーゼ、1つまたはそれ以上の緩衝液、1つまたはそれ以上の緩衝液の塩、1つまたはそれ以上の本発明の方法によって作製された合成核酸分子からなる群より選択される1つまたはそれ以上の成分をさらに含むことができる。本発明はまた、核酸分子分解の阻害または防止の方法で使用するための組成物およびこのような方法の実施のために作製された組成物に関する。本発明はまた、核酸分子の分解に対するこのような保護法の実施中または実施後に作製される組成物に関する。本発明のこのような組成物は、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、阻害カチオン性/ポリカチオン性分子)を含むことができ、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上のプライマー、1つまたはそれ以上の鋳型、1つまたはそれ以上の逆転写酵素、1つまたはそれ以上のポリメラーゼ(DNAポリメラーゼおよび逆転写酵素)、1つまたはそれ以上の緩衝液、1つまたはそれ以上の緩衝液の塩、および1つまたはそれ以上の核酸分子からなる群より選択される1つまたはそれ以上の成分をさらに含むことができる。
【0028】
本発明の他の好ましい態様は、以下の図面および本発明の説明および特許請求の範囲に照らして、当業者に明白であると思われる。
【0029】
発明の詳細な説明
定義
以下の説明では、組換えDNA技術で使用されている多数の用語を広く使用する。このような用語が与えられる範囲を含む明細書および特許請求の範囲についての明白で一貫した理解のために、以下の定義を提供する。
【0030】
プライマー
本明細書中で使用される「プライマー」は、核酸分子の増幅または重合中にヌクレオチド単量体の共有結合によって伸長される一本鎖オリゴヌクレオチドまたはDNAをいう。
【0031】
鋳型
本明細書中で使用される、「鋳型」という用語は、増幅、合成、または配列決定すべき二本鎖または一本鎖核酸分子(RNAおよび/またはDNA)をいう。二本鎖分子の場合、第1および第2の鎖の形成のためのその鎖の変性を、好ましくは、これらの分子を増幅、合成、または配列決定するか、二本鎖分子を鋳型として直接使用する前に行う。一本鎖鋳型については、鋳型の一部に相補的なプライマーを適切な条件下でハイブリッド形成し、その後1つまたはそれ以上のポリメラーゼは前記鋳型の全部または一部に相補的な核酸分子を合成することができる。または、二本鎖鋳型については、1つまたはそれ以上のプロモーター(例えば、SP6、T7、またはT3プロモーター)を、1つまたはそれ以上のポリメラーゼと組み合わせて使用して、鋳型の全部または一部に相補的な核酸分子を作製することができる。本発明によって新規に合成した分子の長さは元の鋳型と同じでも短くてもよい。
【0032】
組み込み
本明細書中で使用される、「組み込み」という用語は、DNAおよび/またはRNA分子またはプライマーの一部となることを意味する。
【0033】
増幅
本明細書中で使用される、「増幅」とは、ポリメラーゼを使用したヌクレオチド配列のコピー数の任意のインビトロでの増加法をいう。核酸増幅により、ヌクレオチドがDNAおよび/またはRNA分子またはプライマーに組み込まれ、それにより鋳型の全部または一部に相補的な新規の分子が形成される。形成された核酸分子およびその鋳型を鋳型として使用して、さらなる核酸分子を合成することができる。本明細書中で使用される、1つの増幅反応は、多数の複製ラウンドからなり得る。DNA増幅反応には、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が含まれる。1つのPCR反応は、5から100「サイクル」のDNA分子の変性および合成からなり得る。
【0034】
ヌクレオチド
本明細書中で使用される、「ヌクレオチド」とは、塩基−糖−リン酸の組み合わせをいう。ヌクレオチドは、核酸配列(DNAおよびRNA)の単量体単位である。「ヌクレオチド」という用語には、リボヌクレオシド三リン酸(ATP、UTP、CTG、GTP)およびデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP、dCTP、dITP、dUTP、dGTP、dTTP)、またはその誘導体が含まれる。このような誘導体には、例えば、[αS]dATP、7−デアザ−dGTPおよび7−デアザ−dATP、2’−O−メチル修飾誘導体、ビオチン化ヌクレオチド、およびこれらを含む核酸分子にヌクレアーゼ耐性を付与するヌクレオチド誘導体が含まれる。本明細書中で使用される、「ヌクレオチド」という用語はまた、ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTP)およびその誘導体をいう。ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸の例には、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddITP、およびddTTPが含まれるが、これらに限定されない。本発明によれば、「ヌクレオチド」を、非標識であっても既知の技術によって検出可能なように標識してもよい。検出可能な標識には、例えば、放射性同位体、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識、および酵素標識が含まれる。
【0035】
オリゴヌクレオチド
「オリゴヌクレオチド」とは、ホスホジエステルもしくはホスホチオエートまたは1つのヌクレオチドのデオキシリボースもしくはリボースの3’と、隣接するヌクレオチドのデオキシリボースもしくはリボースの5’との間のアミド結合によって連結されたヌクレオチドの共有結合配列を含む合成または天然分子をいう。
【0036】
ハイブリッド形成
「ハイブリッド形成」および「ハイブリッド形成する」という用語は、二本鎖分子を得るための2つの相補的一本鎖核酸分子(RNAおよび/またはDNA)の塩基対合をいう。本明細書中で使用される、2つの核酸分子をハイブリッド形成させることができるが、塩基対合は完全に相補的ではない。したがって、当技術分野で既知の適切な条件を使用した場合、ミスマッチ塩基は2つの核酸分子のハイブリッド形成を防止しない。
【0037】
単位
本明細書中で使用される、「単位」という用語は、酵素活性をいう。例えば、DNAポリメラーゼをいう場合、1単位の活性は、標準的なDNA合成開始条件下で30分間に10nmolのdNTPを酸不溶性物質(すなわち、DNAまたはRNA)を取り込む酵素の量である。
【0038】
ベクター
宿主細胞中で自己複製することができ、ベクターの不可欠な生物学的機能を喪失することなく決定可能な様式でDNA配列を切断することができる1つまたは少数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位によって特徴付けられ、DNAをスプライシングして複製およびクローニングを行うことができる、プラスミド、ファージミド、コスミド、またはファージDNAまたは他のDNA分子。クローニングベクターは、クローニングベクターで形質転換された細胞の同定に使用する適切なマーカーをさらに含み得る。例えば、マーカーは、テトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性を示す。
【0039】
発現ベクター
クローニングベクターに類似しているが宿主への形質転換後にクローニングした遺伝子の発現を増強することができるベクター。クローンニングされた遺伝子は、通常、プロモーター配列などの一定の調節配列の調節下(すなわち、作動可能に連結されている)に置かれる。
【0040】
組換え宿主
発現ベクター、クローニングベクター、または任意のDNA分子中に所望のクローンニングされた遺伝子を含む任意の原核もしくは真核の生物または細胞。「組換え宿主」という用語はまた、宿主染色体またはゲノム上に所望の遺伝子を含むように遺伝子操作されている宿主細胞を含むことを意味する。
【0041】
宿主
複製可能な発現ベクター、クローニングベクター、または任意のDNA分子のレシピエントである任意の原核もしくは真核の生物または細胞。DNA分子は、構造遺伝子、プロモーターおよび/または複製起点を含み得るが、これらに限定されない。
【0042】
プロモーター
一般に、開始コドンに隣接して存在する遺伝子の5’領域として記載されるDNA配列。プロモーター領域では、隣接遺伝子の転写が開始される。
【0043】
遺伝子
ポリペプチドまたはタンパク質の発現に必要な情報を含むDNA配列。これには、プロモーターおよび構造遺伝子ならびにタンパク質発現に関連する他の配列が含まれる。
【0044】
構造遺伝子
伝令RNAに転写され、その後特定のポリペプチドに特徴的なアミノ酸配列に翻訳されるDNA配列。
【0045】
作動可能に連結された
本明細書中で使用されるように、構造遺伝子によってコードされるポリペプチド発現の開始を調節するようにプロモーターが配置されることを意味する。
【0046】
発現
発現は、遺伝子がポリペプチドを産生する過程である。これには、遺伝子の伝令RNA(mRNA)への転写およびこのようなmRNAのポリペプチドへの翻訳が含まれる。
【0047】
実質的に純粋な
本明細書中で使用される、「実質的に純粋な」とは、所望の精製タンパク質またはポリペプチドが、天然には所望のタンパク質またはポリペプチドに会合している細胞夾雑物を本質的に含まないことを意味する。夾雑細胞化合物には、ホスファターゼ、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、望ましくないDNAポリメラーゼ酵素を含み得るが、これらに限定されない。
【0048】
熱安定性
本明細書中で使用される、「熱安定性」とは、熱による不活化に耐性を示すポリペプチドまたは酵素(例えば、DNAポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、および逆転写酵素)をいう。例として、DNAポリメラーゼは、5’から3’方向でのプライマーの伸長によって一本鎖DNA鋳型に相補的なDNA分子の形成を合成する。中温性DNAポリメラーゼのこの活性を、熱処理で不活化することができる。例えば、T5 DNAポリメラーゼ活性は、90℃で30分間の酵素の曝露によって完全に不活化される。本明細書中で使用される、「熱安定性ポリメラーゼ活性」とは、中温性ポリメラーゼよりも高い熱不活化耐性を示す。しかし、熱安定性ポリメラーゼは、熱不活化に完全に耐性を示す酵素をいうことを意味しないので、熱処理によりいくらかのポリメラーゼ活性は減少し得る。熱安定性ポリメラーゼはまた、中温性ポリメラーゼよりも至適温度が高い。
【0049】
3’→5’エキソヌクレアーゼ活性
「3’→5’エキソヌクレアーゼ活性」とは、当技術分野で既知の酵素活性である。この活性は、しばしばDNAポリメラーゼに関連し、DNA複製「校正」または修正機構に関連すると考えられている。
【0050】
「3’→5’エキソヌクレアーゼ活性が実質的に減少したポリメラーゼ」は、本明細書中では(1)対応する非変異野生型酵素の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性の約10%またはそれ以下、好ましくは約1%またはそれ以下の変異または改変ポリメラーゼまたは(2)約1単位/mgタンパク質未満、または好ましくは約0.1単位/mgタンパク質またはそれ以下の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼのいずれかと定義する。3’→5’エキソヌクレアーゼ活性の活性単位を、「BRL 1989カタログおよび参照ガイド」のp5に記載のように末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)によって[3H]dTTPで標識したλDNAの3’末端のHhaI断片を用いてアッセイしたところ、37℃で60分間に10nmolの基質を溶解する活性の量と定義する。タンパク質を、ブラッドフォード(Bradford)、Anal. Biochem.、72:248、1976の方法によって測定する。比較手段として、pTTQ19−T5−2によってコードされる天然の野生型T5−DNAポリメラーゼ(DNAP)またはT5−DNAPの比活性は約10単位/mgタンパク質である一方で、pTTQ19−T5−2(エキソ)(米国特許第5,270,179号)によってコードされるDNAポリメラーゼの比活性は約0.0001単位/mgタンパク質(すなわち、非改変酵素の比活性の約0.001%(105倍の減少))である。
【0051】
5’→3’エキソヌクレアーゼ活性
「5’→3’エキソヌクレアーゼ活性」もまた、当技術分野で既知の酵素活性である。この活性は、しばしば大腸菌(E.coli)PolIおよびTaq DNAポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼに関連する。
【0052】
「5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に減少したポリメラーゼ」とは、本明細書中では(1)対応する非変異野生型酵素の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性の約10%またはそれ以下、好ましくは約1%またはそれ以下の変異または改変ポリメラーゼまたは(2)約1単位/mgタンパク質、または好ましくは約0.1単位/mgタンパク質またはそれ以下の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼのいずれかと定義する。
【0053】
3’→5’および5’→3’エキソヌクレアーゼ活性のどちらも、配列決定ゲルで観察することができる。活性な5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は、成長プライマーの5’末端からのヌクレオチドの除去による配列決定ゲルに非特異的ラダーが得られる。3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を、配列決定ゲル中の放射性標識プライマーの分解後に測定することができる。したがって、例えば、野生型と変異または改変ポリメラーゼとの比較によるこれらの活性の相対量を、日常的な実験だけで同定することができる。
【0054】
本明細書中で使用される組換えDNA技術および分子生物学および細胞生物学分野で使用される他の用語は、一般に当技術分野における業者に理解されている。
【0055】
リガンド
本発明のリガンドには、二本鎖核酸(すなわち、DNA/DNA、DNA/RNA、RNA/RNA、PNA/DNA、PNA/RNA、LNA/DNA、またはLNA/RNA)および/または一本鎖核酸(例えば、RNA、DNA、PNA、またはLNAまたはその組み合わせ)および/または一本鎖/二本鎖核酸複合体または他のオリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート結合、3’−O−メチルリボース塩基などを有する)に親和性を有する種々の化合物/分子(天然および合成を含む)が含まれる。したがって、本発明のリガンドを、本発明によって任意の天然または誘導体または合成核酸分子と共に使用することができる。多数の合成、天然、誘導体核酸分子が当技術分野で既知であり、日常的に合成、増幅、および配列決定反応における基質として使用されている。このような核酸分子は、修飾基、検出可能な標識、誘導体化ヌクレオチド、結合の改変、塩基修飾、糖の修飾などを含み得る。本発明によれば、このような天然、合成、および誘導合成、増幅、および配列決定用基質を、本発明のリガンド(カチオン性/ポリカチオン性化合物)と組み合わせて使用することができる。このようなリガンドには、このような核酸分子と結合するか親和性を有する任意のタンパク質、糖、ステロイド、または脂質を含み得るかこれらに由来し得る。このようなリガンドの例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:天然化合物(ヒストン、プロタミン、スペルミン、スペルミジン、および可動性の高い基を有するタンパク質など)、合成カチオン性化合物(DEAE−デキストラン、ポリブレン、ポリリジン、ポリヒスチジン、ポリペプチド、ポリアミドアミンカスケードポリマーもしくはデンドリマー、リポポリアミン、およびポリエチレンイミンなど)、およびカチオン性脂質またはカチオン性リポソーム製剤(「トランスフェクタム(商標)」(Promega)、「ドータップ(商標)」(Roche)、「ヒュージーン6(商標)」(Roche)、「エックストリームジーン Q2(商標)」(Roche)、「ジーンジェイマー(商標)」(Stratagene)、「ジーンポーター(商標)」(Gene Therapy Systems)、「イフェクテン(商標)」(Quiagen)、「スーパーフェクト(商標)」(Quiagen)、「リポフェクチン(LIPOFECTIN)(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「リポフェクトエース(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「リポフェクタミン(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「リポフェクタミン 2000(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「セルフェクチン(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「ディーエムリー−C(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)など)、核酸がペプチドの結合によりスプライシングされないように核酸と相互作用する正電荷を持つ天然および合成ペプチド、カチオン性界面活性剤、および以下の特許に記載の他のカチオン性化合物:米国特許第4,812,449号、同第5,171,678号、同第5,186,923号、同第5,277,897号、同第5,208,036号、同第5,208,036号、同第5,264,618号、同第5,279,833号、同第5,334,761号、同第4,897,355号、同第5,459,127号、同第5,650,096号、同第5,744,335号、同第5,854,224号、同第5,670,347号、同第5,869,606号、同第5,906,922号、同第5,674,908号、国際公開公報第98/19709号、同第5,861,397号、米国特許第5,670,347号、国際公開公報第93/19768号、国際公開公報第00/27795号、国際公開公報第97/42819号、欧州特許第0846680号、米国特許第5,830,430号、国際公開公報第98/40502号、国際公開公報第98/40499号、国際公開公報第98/02190号、および国際公開公報第99/29712号。
【0056】
本発明により使用することができるカチオン性化合物は、式I:
【化1】
(式中、R1およびR2は独立して、H、C1−10アルキル、好ましくはC1−6アルキル、より好ましくはC1−3アルキルであり、YおよびZは独立して、−CH2CH2CH2CH2CH2−、CH=CHCH2CH2CH2−、−CH2CH=CHCH2CH2−、−CH2CH2CH=CHCH2−、−CH2CH2CH2CH=CH−、−CH=CHCH=CHCH2−、−CH=CH2CH2CH=CH−、および−CH2CH=CHCH=CH−からなる群より選択されるメンバーであり、nおよびqは独立して、3〜10、好ましくは3〜7の整数であり、mおよびpは独立して、2〜12、好ましくは4〜9の整数であり、但し、n+mとq+pとの合計が10〜17の整数であり、Xは陰イオンである)の化合物である。Xは、1価または2価の陰イオンであり得る。式Iの好ましい化合物には、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリドおよびN−ステアリル−N−オレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリドが含まれる。米国特許第5,753,613号を参照のこと。
【0057】
本発明により使用することができる別のカチオン性化合物群には、式II:
【化2】
(式中、R1は飽和または不飽和のC10−100の直鎖または分岐炭化水素鎖であり、
R2は、電子対、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、R5−NHC(O)−R6、R5−C(O)−O−R6、R5−NH−C(O)−NH−R6、R5−NH−C(S)−NH−R6、R5−NH−C(NH)−NH−R6、アルキルアミノアルキル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、およびアリール(全てを選択的に置換することができる)からなる群より選択され、
R3およびR4は独立して、互いに水素、C1−100アルキル、好ましくはC6−22アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、R5−NHC(O)−R6、R5−C(O)−O−R6、R5−NH−C(O)−NH−R6、R5−NH−C(S)−NH−R6、R5−NH−C(NH)−NH−R6、アルキルアミノアルキル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、およびアリール(全てを選択的に置換することができる)からなる群より選択され、R5およびR6は独立して、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレンである)のカチオン性脂質が含まれる。R2が電気対ではなく、選択的に1つまたはそれ以上の脂質凝集複合体を形成するための少なくとも1つの中性脂質である場合、Aは薬学的に許容可能な陰イオンである。米国特許第5,279,833号を参照のこと。
【0058】
好ましい局面では、R1は飽和または不飽和のC10−30の直鎖または分岐炭化水素鎖である。別の好ましい局面では、式II中のR3およびR4は、C1−3アルキルであり、R1およびR2の一方は不飽和C16−20アルキルであり、R1およびR2の他方は不飽和または飽和C16−20アルキルのどちらでもない。好ましくは、R1は飽和または不飽和のC10−30の直鎖または分岐炭化水素鎖である。好ましくは、R1は飽和または不飽和のC12−24の直鎖炭化水素鎖である。R2、R3、およびR4は独立して、水素、C1−20アルキル、C2−20アルキル、C4−20ヘテロアルキル、C4−20ヘテロアルケニル、C4−20ヘテロアルキニル、C6−12アリール(C1−20)アルキル、およびC6−12アリール(その全てを選択的に置換することができる)からなる群より選択される。より好ましくは、R1は飽和または不飽和のC14−20の直鎖または分岐炭化水素鎖であり、R2は、水素、C6−18アルキル、C6−18アルケニル、C6−18アルキニル、C6−18ヘテロアルキル、C6−18へテロアルケニル、C6−18へテロアルキニル、フェニル(C6−18)アルキル、およびフェニルからなる群より選択され、R3およびR4は独立して、水素、C1−5アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C2−5ヘテロアルキル、C2−5へテロアルケニル、C2−5へテロアルキニル、フェニル(C1−5)アルキル、特にベンジルおよびフェニル(その全てを選択的に置換することができる)からなる群より選択される。式IIのカチオン性脂質の別の有用な群は、R1およびR2が共にC10−20飽和アルキル基であるものである。
【0059】
別の好ましい局面では、カチオン性脂質は、式III:
【化3】
を有する。
【0060】
Aは任意の融和性陰イオンである。R1およびR2は、上記の式IIで定義されている。これらの陰イオンは有機であるか無機である得る。Aは好ましくは、Br−、Cl−、F−、I−であるハロゲンであり、またはAは、硫酸塩、亜硝酸塩、もしくは硝酸塩である。好ましい化合物には、臭化セチルジメチルエチルアンモニウムおよび臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB)が含まれる。
【0061】
別の好ましい局面では、カチオン性化合物は、式IV:
【化4】
(式中、R1およびR2は独立して、6〜24個の炭素原子のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R3、R4、およびR5は、独立して、水素、1〜8個の炭素原子のアルキル、6〜11個の炭素原子のアリルまたはアラルキルであり、または、R3、R4、およびR5のうち2つまたは3つは、正電荷の窒素原子と組み合わせて、5〜8原子の環状構造を形成し、正電荷の窒素原子に加えて、構造中の原子は炭素原子であり、1つの酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を含むことができ、nは1〜8であり、Xは陰イオンである)またはその鏡像異性体を有する。式IVの好ましい化合物は、N−(2,3−ジ(9−(Z)−オクタデセニルオキシ))−プロプ−1−イル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)である。米国特許第5,550,289号を参照のこと。
【0062】
式V:
【化5】
(式中、Ra基、Rb基、Rc基、およびRd基は独立して、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、またはC22の直鎖アルキルまたはアルケニル基である)を有する脂質もまた本発明の実施に有用である。好ましい態様では、より長い脂質(C18−C22)を使用する。好ましい式Vの化合物には、テトラメチルテトラパルミチルスペルミン(TMTPS)、テトラメチルテトララウリルスペルミン(TMTLS)、テトラメチルテトラミリスチルスペルミン(TMTMS)、テトラメチルテトラステリルスペルミン(TMTSS)およびテトラメチルテトラオレオイルスペルミン(TMTOS)が含まれる。国際公開公報第98/40499号を参照のこと。
【0063】
別の態様では、カチオン性脂質は、式VI:
【化6】
(式中、RおよびR1はそれぞれ独立して11個から29個の炭素原子を含む直鎖、脂肪族炭化水素基であり、Xは、1価または多価の陰イオンである)を有する窒素含有イミダゾリニウム由来のカチオン性脂質である。選択的に、RおよびR1をカルボキシル基に置換して、双極性化合物を得ることができる。式VIの好ましい化合物は、1−(2−(オレオイルオキシ)エチル)−2−オレイル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムである。米国特許第5,830,878号を参照のこと。
【0064】
別の好ましい態様では、カチオン性化合物には、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)およびジパルミトイルホスファチジルエタノールアミドスペルミン(DPPES)が含まれる。両方の化合物では、陰イオンは、ベア(J.Behr)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、86、6982〜6986、1989に記載のトリフルオロ酢酸または他の陰イオンであり得る。
【0065】
別の好ましい態様では、本発明により使用することができるカチオン性化合物には、(1−{(3−アミノプロピル)−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチル]−カルバモイル}−2−フェニルエチル)カルバミン酸17−(1,5−ジメチルヘキシ)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ{a}フェナントレン−3−イルエステル;[1−{(3−アミノ−プロピル)−[4−(3−アミノ−プロピルアミノ)ブチル]カルバモイル}−2−(4−ヒドロキシフェニル)−エチル]カルバミン酸17−(1,5−ジメチルヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ{a}フェナントレン−3−イルエステル;{5−アミノ−5−[(4−アミノブチル)−(3−アミノ−プロピル)カルバモイル]ペンチル}カルバミン酸17−(1,5−ジメチルヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[α]フェナントレン−3−イルエステル;(5−アミノ−5{(3−アミノ−プロピル)−[4−(3−アミノプロピル−アミノブチル]カルバモイル}−ペンチル)カルバミン酸17−(1,5−ジメチルヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[α]フェナントレン−3−イルエステル;および(5−アミノ−1−{3−アミノプロピル)−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチル]カルバモイル}ペンチル)− カルバミン酸17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[α]フェナントレン−3−イルエステルが含まれる。米国特許第5,948,925号を参照のこと。
【0066】
別の好ましい態様では、本発明により使用することができるカチオン性化合物には、以下が含まれる:コレステリル−3β−カルボキシル−アミドエチレントリメチルアンモニウムヨージド、1−ジメチルアミノ−3−トリメチル−アンモニオ−DL−2−プロピル−コレステリルカルボン酸ヨージド、コレステリル−3β−カルボキシアミドエチレンアミン、コレステリル−3β−オキシスクシンアミドエチレントリメチルアンモニウムヨージド、1−ジメチルアミノ−3−トリメチルアンモニオ−DL−2−プロピル−コレステリル−3β−オキシコハク酸ヨージド、2−[(2−トリメチルアンモニオ)−エチルメチルアミノ]エチル−コレステリル−3β−オキシコハク酸ヨージド、3β[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール、および3β−[N−(ポリエチレンイミン)−カルバモイル]コレステロール。米国特許第5,283,185号を参照のこと。
【0067】
別の好ましい態様では、本発明により使用することができるカチオン性化合物には、以下が含まれる:スペルミンコレステロールカルバメート、N4−スペルミンコレステロールカルバメート、N,N−ジオクタデシルリジンアミド、リジン3−N−ジヒドロコレステリルカルバメート、およびN1N1−ジオクタデシル−1,2,6−トリアミノヘキサン。米国特許第5,650,096号を参照のこと。
【0068】
別の好ましい態様では、カチオン性化合物は、式VII:
【化7】
(式中、R1およびR4は同一であっても異なっていてもよく、選択的に少なくとも1つのエーテルの酸素原子が割り込まれたアルキル鎖を有するアルキル、アリール、アリールアルキル、またはシクロアルキルであり、
R2およびR3は同一であっても異なっていてもよく、R1、R4、またはHであり、
N1、N2、N3、およびN4は生理学的pHでプロトン化することができる窒素原子であり、
A、B、およびCは同一であっても異なっていてもよく、ポリアミンが、
(i)ヒトまたは非ヒト動物へのポリアミンの投与の際に標的細胞によって取り込むことができ、ポリアミンのヒトまたは非ヒト動物への投与の際に細胞内または細胞表面上に存在する受容体の少なくとも1つのポリアミン部位に結合することができ、
(ii)標的細胞による取り込みの際、正電荷窒素原子と生物学的対陰イオンとの間の静電的相互作用を介して競合的に結合するように窒素原子の間の距離が有効に維持される架橋基であり、
細胞中の生物学的対陰イオンへの結合の際、ポリアミンは細胞内ポリアミンと生物学的に異なる様式で機能し、さらに、少なくとも1つの前記架橋基A、B、およびCは窒素原子のいずれかに対してαではない少なくとも1つの−CH(OH)−基を含む)を有するポリアミンまたはその可能な立体異性体またはその薬学的に許容可能な酸との塩である。好ましい式VIIの化合物には、ジエチルノルスペルミン(DENSPM)、MENSPM、DENSPM、DIPNSPM、DMSPM、MESPM、DESPM、DPSPM、FDESPM、DMHSPM、MEHSPM、DEHSPM、DIPHSPM、ETBHSPM、DTBHSPM、DE(3,4,4)、DE(4,5,4)、PIP(3,4,3)、PYR(3,3,3)、PIP(4,4,4)、PYR(4,4,4)、PIP(5,4,5)、BAHSPM、CHX(4,4,4)−トランス、およびCHX(3,4,3)−トランスが含まれる。米国特許第5,962,533号を参照のこと。
【0069】
本発明は、さらに、式VIII:
【化8】
(式中、x、y、およびzは独立して、0〜100までの整数であり、
各X1は独立して、−O−、−S−、−NR5−、−C(=X2)−、−C(=X2)−N(R5)−、−N(R5)−C(=X2)−、−C(=X2)−O−、−O−C(=X2)−または−X2−(R5X2)P(=X2)−X2−であり、
各X2は独立して、OまたはSであり、
各Y1は独立して、リン酸残基、N(R6)a−、S(R6)a−、P(R6)a−、または−CO2R6(式中、aは1〜3の整数である)であり、
各Y2は独立して、−N(R6)b−、S(R6)b−、またはP(R6)b−(式中、bは0〜2の整数である)であり、
各Y3は独立して、リン酸残基、N(R6)a−、S(R6)a−、P(R6)a−、または−CO2R6(式中、aは1〜3の整数である)であり、
各R1、R2、R3、およびR4は独立して、2個から約20個の炭素のアルキレンであり、
各R5は独立して、水素または1個から約10個の炭素のアルキルであり、
各R6は独立して、−[R7−X3]c−R8または−R9−[X4−R10]d−Qであり、
各cおよびdは独立して、0〜約100の整数であり、
Qは独立して、リン酸残基、−N(R11)q−、S(R11)q−、P(R11)q−、または−CO2R11(式中、aは1〜3の整数である)であり、
各X3およびX4は独立して、−O−、−S−、−NR5−、−C(=X2)−、−C(=X2)−N(R5)−、−N(R5)−C(=X2)−、−C(=X2)−O−、−O−C(=X2)−または−X2−(R5X2)P(=X2)−X2−であり、
各R7は独立して、2個から約20個の炭素のアルキレンであり、
各R8は独立して、水素または1個から約60個の炭素のアルキルであり、
各R9およびR10は独立して、2個から約20個の炭素のアルキレンであり、
各R11は独立して、−[R7−X3]c−R8または−R9−[X4−R10]d−Wであり、
各Wは独立して、リン酸残基、−N(R12)w−、S(R12)w−、P(R12)w−、または−CO2R12(式中、wは1〜3の整数である)であり、
R12は−[R7−X3]c−R8であり、但し、式(I)の化合物は、少なくとも2つの第四級の塩を含む)のカチオン性脂質化合物の使用を意図する。好ましい式VIIIの化合物には、N,N’−ビス(ドデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N’−ビス−(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N,N’−ジメチル−エチレンジアミンテトラヨージド(EDTA−LA−TMAテトラヨージド);N,N’−ビス(ドデシルアミノカルボニルメチレン)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸(EDTA−LA);N,N’’−ビス(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N’,N’’−トリス(β−N,N,N−トリエチルアンモニウムエチルアミノカルボキシメチレン)−N,N’,N’’−トリ−メチルジエチレントリアミンヘキサヨージド(DTPA−HA−TMEヘキサヨージド);N,N’−ビス(ドデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N’−ビス(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N,N’−ジメチルシクロヘキシレン−1,4−ジアミンテトラヨージド(CDTA−LA−TMAテトラヨージド);1,1,7,7,−テトラ(β−N,N,N,N−テトラ−メチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−4−ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン−N,N’,N’’−トリメチル−1,4,7−トリアザヘプタンヘプタヨージド(DTPA−MHA−TTMAヘプタヨージド);N,N’−ビス(ドデシルオキシカルボニルメチレン)−N,N’−ビス(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)エチレンジアミンジヨージド;N,N,N’’,N’’−テトラ(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N’−(1,2−ジオレオイルグリセロ−3−ホスホエタノールアミノカルボニルメチレン)ジエチレントリアミンテトラヨージド;N,N’−ビス(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン−N,N’−ビス(トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−エチレンジアミンジヨージド;N,N’−ビス(ヘキサデシルオキシカルボニルメチレン)−N−(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N−メチル−N’−(カルボキシメチレン)エチレンジアミンジヨージド;およびN,N’−ビス(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N’−ビス(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N,N−ジメチルエチレンジアミンテトラヨージドが含まれる。米国特許第5,830,430号を参照のこと。
【0070】
本発明はまた、式IX:
【化9】
(式中、R1およびR2は、個別または共にC1−23アルキルまたは
アルキルまたはアルケニルであり、qは1〜6であり、
【化10】
Z1およびZ2は、個別または共にHまたは非分岐アルキルC1−6であり、
X1は−(CH2)nBr、Cl、F、またはI(n=0−6)であるか、
X2は−(CH2)nNH2(n=0−6)であるか、
X3は−NH−(CH2)mNH2(m=2−6)であるか、
X4は−NH−(CH2)3NH−(CH2)4−NH2であるか、
X5は−NH−(CH2)3−NH(CH2)4−NH(CH2)3−NH2であり、
X6は、
【化11】
であり、
X7は、
【化12】
であり、
X8は、
【化13】
であり、
pは2〜5であり、YはHまたはアミド基またはアルキルアミノ基に結合した他の基であり、
X9は、ポリアミン(例えば、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリブレン、ヒストン、またはプロタミンであるか、
X10は、レポーター分子(例えば、
【化14】
ビオチン、葉酸、またはPPD)であるか、
X11は、多糖類または置換多糖類であるか、
X12はタンパク質であるか、
X13は抗体であるか、
X14は、アミンまたはハロゲン化反応基であるか、
X15は、−(CH2)r−SH(式中、rは0〜6である)であるか、
X16は、−(CH2)s−S−S−(CH2)t−NH2(sは0〜6であり、tは2〜6である)である)のカチオン性化合物の使用を意図する。国際公開公報第94/27435号を参照のこと。
【0071】
複合体は、少なくとも1つの中性脂質をさらに含み得る。使用することができる中性脂質の例には、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、およびコレステロールが含まれる。好ましくは、中性脂質は、ジアシルホスファチジルコリン(ジオレイホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、パルミトイルオレイルホスファチジルコリンなど)、レシチンおよびリゾレシチン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、およびコレステロールからなる群より選択される。より好ましくは、中性脂質は、アシル基中に10個から24個の炭素原子を有するジアシルホスファチジルエタノールアミンである。より好ましくは、アシル基は、ラウロイル、ミリストイル、ヘプタデカノイル、パルミトイル、ステアロイル、またはオレイルである。特に、中性脂質は、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレイルホスファチジルエタノールアミン、ジヘプタデカノイルホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、β−リノレイル−γ−パルミトイルホスファチジルエタノールアミン、およびβ−オレイル−γ−パルミトイルホスファチジルエタノールアミン、特に、ジオレイルホスファチジル−エタノールアミン(DOPE)である。
【0072】
カチオン性脂質と中性脂質との比は、使用した特定のカチオン性脂質に依存して広範に変化し得る。例えば、比は、約1:10から約10:1、好ましくは約1:7から約7:1、より好ましくは約1:5から約5:1、より好ましくは約2.5:1から約1:2.5であり得る。
【0073】
有用なアルキル基には、直鎖および分岐C1−18アルキル基、好ましくは、C1−10アルキル基、より好ましくはC1−5アルキル基が含まれる。典型的なC1−18アルキル基には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、およびオクタデシル基が含まれる。
【0074】
有用なアルケニル基は、C2〜18アルケニル基、好ましくはC2〜10アルケニル基、より好ましくはC2〜6アルケニル基である。典型的なC2〜18アルケニル基には、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、sec−ブテニル、ヘキセニル、オクテニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル(特に、9−テトラデセニル)、ヘキサデセニル(特に9−ヘキサデセニル)、およびオクタデセニル(特に、9−オクタデセニル基)が含まれる。
【0075】
有用なアルキル基は、C2〜18アルキニル基、好ましくはC2〜10アルキニル基、より好ましくはC2〜6アルキニル基である。典型的なC2〜18アルキニル基には、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、2−ブチニル基、ヘキシニル基、オクチニル基、デシニル基、ドデシニル基、テトラデシニル基、ヘキサデシニル基、およびオクタデシニル基が含まれる。
【0076】
典型的なヘテロアルキル基には、OまたはSで置換された1つまたはそれ以上のCH2基を有する上記のC1〜18アルキル基のいずれかが含まれる。
【0077】
典型的なヘテロアルケニル基には、OまたはSで置換された1つまたはそれ以上のCH2基を有する上記のC2〜18アルケニル基のいずれかが含まれる。
【0078】
典型的にヘテロアルキニル基には、OまたはSで置換された1つまたはそれ以上のCH2基を有する上記のC2〜18アルキニル基のいずれかが含まれる。
【0079】
典型的に、アルキルアミノアルキル基は、R7−NH−R8(R7およびR8は上記定義のアルキレン基である)である。
【0080】
有用なアリール基は、C6〜14アリール、特にC6〜10アリールである。典型的なC6〜14アリール基には、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラシル、インデニル、アズレニル、ビフェニル、ビフェニルエニル、およびフルオレニル基が含まれる。
【0081】
有用なアリールアルキル基には、上記C6〜14アリール基のいずれかで置換されたC1〜18アルキル基のいずれかが含まれる。有用な価には、ベンジル、フェネチル、およびナフチルメチルが含まれる。
【0082】
有用なアリールアルケニル基には、上記C6〜14アリール基のいずれかで置換されたC2〜18アルケニル基のいずれかが含まれる。
【0083】
有用なアリールアルキニル基には、上記C6〜14アリール基のいずれかで置換されたC2〜18アルキニル基のいずれかが含まれる。有用な基には、フェニルエチニルおよびフェニルプロピニルが含まれる。
【0084】
有用なハロ基またはハロゲン基には、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が含まれる。
【0085】
有用なハロアルキル基には、1つまたはそれ以上のフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素で置換されたC1〜10アルキル基(例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、およびトリクロロメチル基)が含まれる。
【0086】
有用なヒドロキシアルキル基には、水酸基で置換されたC1〜10アルキル基(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、およびヒドロキシブチル基)が含まれる。
【0087】
有用なアルコキシ基には、上記C1〜10アルキル基の1つを置換する酸素が含まれる。
【0088】
有用なアルキルチオ基には、上記C1〜10アルキル基の1つで置換する硫黄が含まれる。
【0089】
有用なアシルアミノ基は、任意のアシル基、特に、アミノ窒素に結合したC2 〜6アルカノイルまたはC6〜10アリール(C2〜6)アルカノイル(例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、ブタノイルアミド、ヘンタノイルアミド、ヘキサノイルアミド、およびベンゾイル)である。
【0090】
有用なアシルオキシ基は、オキシ(−O−)基に結合した任意のC1〜6アシル(アルカノイル)(例えば、アセトキシ、プロピオノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシなど)である。
【0091】
有用なアルキルアミノおよびジアルキルアミノ基は、−NHR9およびNR9R10(式中、R9およびR10はC1〜10アルキル基である)である。
【0092】
アミノカルボニル基は、−(CO)NH2である。
【0093】
有用なアルキルチオール基には、−SH基で置換された上記のC1〜10アルキル基のいずれかが含まれる。
【0094】
カルボキシ基は、−COOHである。
【0095】
ウレイド基は、−NH−C(O)−NH2である。
【0096】
アミノ基は、−NH2である。
【0097】
R基に対する選択的な置換基には、上記のハロゲン、ハロ(C1〜6)アルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヒドロキシ(C1〜6)アルキル、アミノ(C1〜6)アルキル、カルボキシ(C1〜6)アルキル、アルコキシ(C1〜6)アルキル、ニトロ、アミノ、ウレイド、アシルアミノ、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、およびC1〜6アルキルチオール基が含まれる。好ましい選択的置換基には、ヒドロキシ(C1〜6)アルキル、アミノ(C1〜6)アルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、ニトロ、C1〜6アルキル、アルコキシ、チオール、およびアミノが含まれる。
【0098】
認識されるように、他のリガンド(天然、非天然、修飾など)を選択して本発明で使用することができる。このような選択を、二本鎖および/または一本鎖および/または一本鎖/二本鎖核酸複合体核酸結合研究および/または核酸合成阻害アッセイ法によって行うことができる。好ましいリガンドは、ポリカチオン性であり、好ましくは、一定条件下で望ましくない酵素活性の阻害に十分に安定な核酸と複合体を形成する。好ましくは、複合体は、ポリメラーゼおよび/またはヌクレアーゼ活性を阻害する。1つの局面では、核酸と複合体を形成し、且つトランスフェクションが可能なトランスフェクション剤を、本発明に従って使用することができる。本発明で使用されるカチオン性またはポリカチオン性化合物/分子/組成物を、既知の技術で合成するか、購入することができる。
【0099】
本発明のリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を、好ましくは、合成、配列決定、または増幅反応において、ポリメラーゼまたは逆転写酵素の存在下でこのような合成、配列決定、または増幅の防止または阻害に十分な最終濃度で使用する。本発明のリガンドとポリメラーゼまたは逆転写酵素との比は、使用するポリメラーゼまたは逆転写酵素およびリガンドによって変化し得る。合成、配列決定、または増幅反応についてのリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物):ポリメラーゼ/逆転写酵素比は、約0.001から1,000,000:1;約0.01から100,000:1;約0.1から10,000:1;約1から1,000:1;約1から50:1;約1から10:1;約1から5:1;または約1から2:1の範囲であり得る。勿論、本発明での使用に適切なこのような適切なリガンド:ポリメラーゼ/逆転写酵素比は、当技術分野の業者に明らかであるか、日常的実験のみで同定される。
【0100】
核酸合成法
本発明のリガンド(特に、カチオン性化合物/分子/組成物)を、核酸合成法で使用することができる。特に、本発明のリガンドは、特にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの増幅反応において非特異的核酸合成を減少させることが発見された。したがって、本発明のカチオン性化合物/分子/組成物を、DNA(cDNAを含む)およびRNAなどの核酸分子の合成を必要とする任意の方法で使用することができる。本発明のリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を有利に使用し得る方法には、リガンドが解離するか変性または不活化する温度より低い温度で反応を設定し、その後核酸からリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を解離するかリガンドを変性または不活化して核酸合成または増幅が起こる温度に上昇する(または他の反応条件を変化させる)ことによって反応を開始する核酸合成法、核酸増幅法(「ホットスタート」合成または増幅を含む)が含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
本発明の局面による核酸合成法は、1つまたはそれ以上の工程を含み得る。例えば、本発明は、(a)1つまたはそれ以上の核酸鋳型を1つまたはそれ以上のプライマーおよび上記の本発明のリガンド(例えば、ポリカチオン性またはカチオン性の化合物/分子/組成物)およびポリメラーゼ活性または逆転写酵素活性を有する1つまたはそれ以上の酵素と混合して混合物を形成する工程と、(b)混合物を核酸合成の阻害に十分な条件下でインキュベートする工程と、(c)混合物を鋳型の全部または一部に相補的な1つまたはそれ以上の第1の核酸分子の作製に十分な条件下でインキュベートする工程とを含む、1つまたはそれ以上の核酸分子の合成法を提供する。本発明の局面によれば、核酸鋳型は、1つのcDNA分子もしくはライブラリーなどのDNA分子、1つのmRNA分子(もしくはmRNA分子集団)などのRNA分子、またはその任意の他の誘導体であり得る。pH、温度、イオン強度、およびインキュベーション時間などの合成に十分な条件を、当業者によって至適化され得る。
【0102】
さらに、本発明で使用されるポリメラーゼ活性を有する酵素(例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、および逆転写酵素)を、例えば、インビトロゲンコーポレーション、ライフテクノロジーディビジョン(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)(Rockville、Maryland)、パーキンエルマー(Perkin−Elmer)(Branchburg、New Jersey)、ニューイングランドバイオラボズ(New England BioLabs)(Beverly、Massachusetts)、またはベーリンガーマンハイムバイオケミカルズ(Boehringer Mannheim Biochemicals)(Indianapolis、Indiana)から購入することができる。本発明で使用される逆転写酵素活性を有する酵素を、例えば、インビトロゲンコーポレーション、ライフテクノロジーディビジョン(Rockville、Maryland)、ファルマシア(Pharmacia)(Piscataway、NewJersey)、シグマ(Sigma)(Saint Louis、Missouri)またはベーリンガーマンハイムバイオケミカルズ(Indianapolis、Indiana)から購入することができる。または、ポリメラーゼまたは逆転写酵素を、当業者に既知の天然タンパク質の標準的単離および精製法に従って、天然のウイルスまたは細菌供給源から単離することができる(例えば、Houts,G.E.ら、J.Virol.、29:517、1979を参照のこと)。さらに、このようなポリメラーゼ/逆転写酵素を、当業者に既知の組換えDNA技術によって調製することができる(例えば、Kotewicz,M.L.ら、Nucl.Acids Res.、16:265、1988;Soltis,D.A.およびSkalka,A.M.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:3372から3376、1988を参照のこと)。ポリメラーゼ活性および逆転写酵素活性を有する酵素の例には、以下を含むDNAポリメラーゼを含み得るが、これらに限定されない:サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)(Tth)DNAポリメラーゼ、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)(Taq)DNAポリメラーゼ、サーモトガ・ネオポリタナ(Thermotoga neopolitana)(Tne)DNAポリメラーゼ、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)(Tma)DNAポリメラーゼ、サーモトガ・リトラリス(Thermococcus litoralis)(TliまたはVENT(商標))DNAポリメラーゼ、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(Pfu)DNAポリメラーゼ、ディープベント(DEEPVENT)(商標)DNAポリメラーゼ、、ピロコッカス・ウーシィ(Pyrococcus woosii)(Pwo)DNAポリメラーゼ、ピロコッカス属KOD2(KOD)DNAポリメラーゼ、バチルス・ステロサーモフィラス(Bacillus sterothermophilus)(Bst)DNAポリメラーゼ、バチルス・カルドフィラス(Bacillus caldophilus)(Bca)DNAポリメラーゼ、サルフォロバス・アシッドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)(Sac)DNAポリメラーゼ、サーモプラズマ・アシッドフィラム(Thermoplasma acidophilum)(Tac)DNAポリメラーゼ、サーマス・フラバス(Thermus flavus)(Tfl/Tub)DNAポリメラーゼ、サーマス・ラバー(Thermus ruber)(Tru)DNAポリメラーゼ、サーマス・ブロキアナス(Thermus brockianus)(DYNAZYME(商標))DNAポリメラーゼ、メタノバクテリウム・サーモオートフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)(Mth)DNAポリメラーゼ、マイコバクテリアDNAポリメラーゼ(Mtb、Mlep)、大腸菌polIDNAポリメラーゼ、T5 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、および一般にpolI、polIII、ファミリーA、ファミリーB、およびファミリーC型DNAポリメラーゼ、ならびにその変異体、変異型、および誘導体。RNAポリメラーゼ(T3、T5、およびSP6ならびにその変異体、変異型、および誘導体)もまた、本発明に従って使用することができる。DNA親和性が増大する変異は、ポーレスキー(Polesky)ら、1990、J.Biol.Chem.、265、14579〜14591に記載されている。上記のポリペプチドを所望の目的のために変更することは当業者の範囲内である。
【0103】
本発明で使用した核酸ポリメラーゼは、中温性または好熱性であってよく、好ましくは好熱性である。好ましい中温性DNAポリメラーゼには、大腸菌、インフルエンザ菌(H.influenzae)、D.ラディドオランス(D.radiodurans)、ピロリ菌(H.pylori)、C.アウランティカス(C.aurantiacus)、発疹チフスリケッチア(R.prowazekii)、梅毒トレポネーマシスティス(T.pallidum)、シネコシスティス(Synechocystis)属、枯草菌(B.subtilis)、乳酸菌(L.lactis)、肺炎球菌(S.pneumoniae)、結核菌(M.tuberculosis)、ライ菌(M.lerae)、M.スメグマティス(M.smegmatis)、バクテリオファージL5、phi−C31、T7、T3、T5、SP01、SP02、出芽酵母(S.cerevisiae)MIP−1由来のミトコンドリア、および真核生物線虫(C.elegans)およびキロショウジョウバエ(D.melanogaster)などの生物から単離することができるDNAポリメラーゼ(およびその各クレノウ断片)のPolIファミリー(Astatke,M.ら、1998、J.Mol.Biol.、278、147〜165)、ならびに任意の供給源、およびその変異体、誘導体、または変異型について単離されたファミリーA、ファミリーB、ファミリーC、およびpolIII型DNAポリメラーゼが含まれる。本発明および本発明の組成物で使用することができる好ましい熱安定性DNAポリメラーゼには、Taq、Tne、Tma、Pfu、Tfl、Tth、ストッフェル(Stoffel)断片、ベント(VENT)(商標)およびディープベント(商標)DNAポリメラーゼ、エキソヌクレオチド活性の減少、実質的に減少、または活性を示さないように好ましく改変された変異体、変異型、および誘導体が含まれる(米国特許第5,436,149号、同第4,889,818号、同第4,965,188号、同第5,079,352号、同第5,614,365号、同第5,374,553号、同第5,270,179号、同第5,047,342号、同第5,512,462号、国際公開公報第92/06188号、国際公開公報第92/06200号、国際公開公報第96/10640号、バーンズ(Barnes,W.M.)、Gene、112:29〜35、1992、ローヤー(Lawyer,F.C.)ら、PCR Meth.Appl.、2:275〜287、1993、フレイマン(Flaman,J.−M.)ら、Nucl.Acids Res.、22(15):3259〜3260、1994)。
【0104】
本発明で使用される逆転写酵素には、逆転写活性を有する任意の酵素が含まれる。このような酵素には、以下が含まれるが、これらに限定されない:レトロウイルス逆転写酵素、レトロトランスポゾン逆転写酵素、B型肝炎逆転写酵素、カリフラワーモザイクウイルス逆転写酵素、細菌逆転写酵素、TtDNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ(Saiki,R.K.ら、Science、239:487〜491、1988、米国特許第4,889,818号、および同第4,965,188号)、Tne DNAポリメラーゼ(国際公開公報第96/10640号および国際公開公報第97/09451号)、Tma DNAポリメラーゼ(米国特許第5,374,553号)、およびその変異体、変異型、または誘導体(例えば、国際公開公報第97/09451号および国際公開公報第98/47912号を参照のこと)。本発明で使用される好ましい酵素には、RNアーゼH活性が減少、実質的に減少、または消失したものが含まれる。「RNアーゼH活性が実質的に減少する」とは、酵素活性が対応する野生型またはRNアーゼH+酵素(野生型モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)、トリ骨髄芽細胞症ウイルス(AMV)、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)逆転写酵素など)のRNアーゼ活性の約20%未満、より好ましくは約15%、10%、または5%未満、最も好ましくは約2%未満であることを意味する。任意の酵素のRNアーゼH活性を、例えば、米国特許第5,244,797号、コートウィックズ(Kotewicz,M.L.)ら、Nucl.Acids Res.、16:265、1988、およびゲラード(Gerard,G.F.)ら、FOCUS、14(5):91、1992(その開示の全てが本明細書中で参照として組み入れられる)に記載の種々のアッセイ法によって決定することができる。本発明での使用に特に好ましいポリペプチドには、以下が含まれるが、これらに限定されない:M−MLV H−逆転写酵素、RSV H−逆転写酵素、AMV H−逆転写酵素、RAV(ラウス関連ウイルス)H−逆転写酵素、MAV(骨髄芽細胞症関連ウイルス)H−逆転写酵素、およびHIV H−逆転写酵素(米国特許第5,244,797号および国際公開公報第98/47912号を参照のこと)。しかし、リボ核酸分子からDNA分子を産生することができる(すなわち、逆転写酵素活性を有する)任意の酵素を、本発明の組成物、方法、およびキットで同様に使用することができると当業者に理解される。
【0105】
本発明によれば、インプットもしくは鋳型核酸分子またはライブラリーを、種々の細胞、組織、器官、または生物などの天然供給源から得た核酸分子集団から調製することができる。核酸分子供給源として使用することができる細胞は、原核生物(エッシェリキア(Escherichia)属、バチルス属、セラチア(Serratia)属、サルモネラ(Salmonella)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、クロストリジウム(Clostridium)属、クラミジア(Chlamydia)属、ナイセリア(Neisseria)属、トレポネーマ(Treponema)属、マイコプラズマ(Mycoplasma)属、ボレリア(Borrelia)属、レジオネラ(Legionella)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、マイコバクテリア(Mycobacterium)属、ヘリコバクター(Helicobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、リゾビウム(Rhizobium)属、およびストレプトミセス(Streptomyces)属を含む細菌細胞)または真核生物(真菌(特に、酵母)、植物、原生動物、および他の寄生虫、および動物(昆虫(特に、ショウジョウバエ(Drosophila)属細胞)線虫(特に、線虫(Caenorhabditis elegans)細胞)、および哺乳動物(特に、ヒト細胞)を含む)であり得る。
【0106】
一旦出発細胞、組織、器官、または他の試料が得られると、核酸分子(DNA、RNA(例えば、mRNAまたはポリA+RNA)分子など)を、当技術分野で既知の方法によってこれらから単離するか、cDNA分子またはライブラリーを調製することができる(例えば、Maniatis,T.ら、Cell、15:687〜701、1978、Okayama,H.およびBerg,P.、Mol.Cell Biol.、2:161〜170、1982、Gubler,U.およびHoffman,B.J.、Gene、25:263〜269、1983を参照のこと)。
【0107】
本発明の好ましい局面の実施では、第1の核酸分子を、上記のようにして得た核酸鋳型(好ましくは、mRNA分子またはポリA+RNA分子などのDNA分子またはRNA分子である)を1つまたはそれ以上の本発明の上記リガンド(または種々のその組み合わせ)と混合して混合物を形成させることによって合成することができる。核酸鋳型の全部または一部に相補的な第1の核酸分子の合成を、好ましくは、反応温度の上昇および本発明のリガンド(例えば、カチオン性の化合物/分子/組成物)変性または不活化の後に行い、それにより核酸合成基質(例えば、二本鎖プライマー/鋳型ハイブリッドおよび一本鎖プライマー、および鋳型)が遊離し、逆転写が優先され(RNA鋳型の場合)、および/またはインプットまたは鋳型核酸分子が重合される。このような合成を、好ましくは、ヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)、ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTP)またはその誘導体)の存在下で行う。
【0108】
勿論、このリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を有利に使用し得る核酸合成の他の技術は、当業者に容易に明らかであると思われる。
【0109】
増幅および配列決定法
本発明の他の局面では、リガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を、核酸分子の増幅法または配列決定法で使用することができる。本発明の局面に係る核酸増幅法は、一工程(例えば、一工程RT−PCR)または二工程(例えば、二工程RT−PCR)逆転写酵素増幅反応として当技術分野で一般的に既知の方法における逆転写活性を有する1つまたはそれ以上のポリペプチドの使用をさらに含み得る。長い核酸分子(すなわち、約3Kbから5Kb長を超える)の増幅のために、国際公開公報第98/06736号および国際公開公報第95/16028号に記載のようにDNAポリメラーゼを組み合わせて使用することができる。
【0110】
本発明のこの局面に係る増幅法は、1つまたはそれ以上の工程を含み得る。例えば、本発明は、(a)核酸鋳型を1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)(または本明細書中に記載の種々のリガンドの組み合わせ)と混合して、混合物を形成する工程と、(b)ポリメラーゼ活性を有する酵素による鋳型の全部または一部に相補的な核酸分子の増幅可能な十分な条件下で前記混合物をインキュベートする工程を含む、核酸分子の増幅法を提供する。好ましい局面では、合成を優先させる条件により、核酸からリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)が解離されるか、本発明のリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を変性または不活化させる。本発明はまた、このような方法によって増幅した核酸分子を提供する。
【0111】
核酸分子または断片の一般的な増幅法および分析法は、当業者に既知である(例えば、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、イニス(Innis,M.A.)ら編、「PCRプロトコール:方法および適用ガイド(PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications)」、San Diego、California、Academic Press,Inc.、1990、グリフィン(Griffin,H.G.)およびグリフィン(Griffin,A.M.)編、「PCR法:技術革新(PCR Technology:Current Innovations)」、Boca Raton、Florida、CRC Press、1994を参照のこと)。例えば、本発明に従って使用することができる増幅法には、PCR(米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号)、鎖置換増幅(SDA:米国特許第5,455,166号、欧州特許第0 684 315号)、および核酸配列を用いた増幅(NASBA:米国特許第5,409,818号、欧州特許第0 329 822号)が含まれる。
【0112】
典型的には、これらの増幅法は、(a)核酸試料を1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)、1つまたはそれ以上のプライマー配列の存在下で核酸ポリメラーゼ活性を有する1つまたは複数ポリペプチドと接触させる工程と、(b)好ましくはPCRまたは等価の自動化増幅技術によって前記核酸試料を増幅して増幅核酸断片を回収する工程と、(c)選択的に、サイズ、好ましくはゲル電気泳動によって増幅した核酸断片を分離し、例えば、臭化エチジウムなどの核酸結合色素でのゲル染色によって核酸断片を存在を分析する工程とを含む。
【0113】
本発明の方法による増幅および合成後、増幅または合成した核酸断片を、さらなる用途または特徴付けのために単離することができる。この工程を、通常、サイズおよび/または任意の物理的または生化学的手段(ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、クロマトグラフィー(サイズ、親和性、および免疫クロマトグラフィーを含む)、密度勾配遠心分離法、および免疫吸着法を含む)に係る増幅または合成核酸断片の分離によって行う。多数の核酸断片の感度の高い分離のための迅速且つ再現性の高い手段であり、いくつかの核酸試料の断片を直接同時に比較可能であるため、ゲル電気泳動による核酸断片の分離が特に好ましい。別の好ましい態様では、本発明の方法によって増幅または合成されたこれらの断片または任意の核酸断片単離および特徴付のためにこのアプローチを拡大することができる。したがって、本発明はまた、本発明の増幅または合成法によって産生された単離核酸分子に関する。
【0114】
本態様では、電気的溶出または物理的切り出しなどの標準的技術によって同定のために使用したゲル(上記を参照のこと)から1つまたはそれ以上の増幅または合成核酸断片を取り出す。次いで、単離した固有の核酸断片を、種々の原核生物(細菌)または真核生物(酵母、植物、またはヒトおよび他の哺乳動物を含む動物細胞)のトランスフェクションまたは形質転換に適切な標準的ベクター(発現ベクターを含む)に挿入することができる。または、本発明の方法によって産生された核酸分子を、例えば、下記の方法および当技術分野で標準的な他の方法(例えば、DNA配列決定法に関する米国特許第4,962,022号および同第5,498,523号を参照のこと)による配列決定(すなわち、核酸断片のヌクレオチド配列の決定)によってさらに特徴付けることができる。
【0115】
本発明に係る核酸配列決定法は、1つまたはそれ以上の工程を含み得る。例えば、本発明は、(a)配列決定すべき核酸分子を、1つまたはそれ以上のプライマー、1つまたはそれ以上の本発明の上記リガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)(またはその種々の組み合わせ)、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上の終止剤(ジデオキシヌクレオチドなど)、および1つまたはそれ以上のポリメラーゼ活性および/またはエキソヌクレアーゼ活性を有する酵素と混合して混合物を形成する工程と、(b)前記混合物を配列決定すべき分子の全部または一部に相補的な分子集団の合成に十分な条件下でインキュベートする工程と、(c)前記集団を分離して配列決定すべき分子の全部または一部のヌクレオチド配列を決定する工程とを含む、核酸分子の配列決定法を提供する。
【0116】
本発明で使用することができる核酸配列決定技術には、ジデオキシ配列決定法(米国特許第4,962,022号および同第5,498,523号など)が含まれる。
【0117】
宿主または宿主細胞の形質転換/トランスフェクション
本発明はまた、1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞への核酸分子の導入法を提供する。本発明のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性化合物/分子/組成物)を、トランスフェクション/形質転換剤またはDNA凝縮剤として使用することができ、本発明はまた、1つまたはそれ以上の宿主細胞への核酸分子の導入を容易にする。したがって、リガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)の存在下で本発明にしたがって合成または増幅させた核酸分子を、トランスフェクション/トランスフェクション剤を個別に添加することなく宿主細胞への直接導入に使用することができるが、核酸分子の導入を容易にするために本発明にしたがって他の薬剤を添加することができる。したがって、本発明は、(a)1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性化合物/分子/組成物)(または本明細書中に記載の種々のリガンドの組み合わせ)の存在下で1つまたはそれ以上の核酸分子を合成または増幅する工程と、(b)該合成または増幅核酸分子を少なくとも1つの該リガンドの存在下で1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞中でインキュベートする工程とを含む、宿主または宿主細胞中に1つまたはそれ以上の核酸分子を導入する方法に関する。
【0118】
宿主または宿主細胞への核酸分子の導入を、当技術分野で既知の標準的手順および技術によって行うことができる。使用した宿主または細胞の型およびリガンドの型(例えば、カチオン性またはポリカチオン性化合物/分子/組成物)に依存して、当業者に認識されている異なる手順を使用することができる。本発明によれば、原核生物(大腸菌、枯草菌、肺炎球菌などを含むグラム陰性菌およびグラム陽性菌など)または真核生物(酵母、植物、またはヒトまたは他の哺乳動物を含む動物)宿主または宿主細胞を、本発明に従って核酸分子でトランスフェクトまたは形質転換することができる。エレクトロポレーション、化学的コンピテント細胞の形質転換、トランスフェクションなどを含む種々の技術を、本発明に従って使用することができる。
【0119】
キット
本発明はまた、核酸分子の合成、増幅、または配列決定用のキットを提供する。本発明の局面に係るキットは、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(特に、カチオン性化合物/分子/組成物)を含み得る1つまたはそれ以上の容器(バイアル、チューブ、アンプル、ボトルなど)を含み得る。
【0120】
本発明のキットは、1つまたはそれ以上の以下の構成要素を含み得る:(i)1つまたはそれ以上のリガンド(特に、本発明のカチオン性組成物)、(ii)1つまたはそれ以上のポリメラーゼおよび/または逆転写酵素、(iii)1つまたはそれ以上の適切な緩衝液、(iv)1つまたはそれ以上のヌクレオチド、(v)1つまたはそれ以上のプライマー、(vi)1つまたはそれ以上の鋳型、(vii)1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞(核酸分子導入能力のある細胞であり得る)、および(viii)本発明の方法を実施するための説明書。
【0121】
組成物
本発明はまた、本発明の合成、増幅、または配列決定の実施、本発明のヌクレアーゼ保護法の実施、および本発明に係る宿主または宿主細胞への核酸分子の導入のために調製した組成物に関する。さらに、本発明は、本発明のこのような方法をの実施中または実施後に作製された組成物に関する。好ましい局面では、本発明の組成物は、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(特に、カチオン性化合物/分子/組成物)を含む。このような組成物は、さらに、(i)1つまたはそれ以上のポリメラーゼおよび/または逆転写酵素、(ii)1つまたはそれ以上の適切な緩衝液、(iii)1つまたはそれ以上のヌクレオチド、(iv)1つまたはそれ以上の鋳型、(v)1つまたはそれ以上のプライマー、(vi)1つまたはそれ以上の鋳型/プライマー複合体、(vii)本発明の合成法、増幅法、または配列決定法によって作製された1つまたはそれ以上の核酸分子、および(viii)1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞からなる群より選択される1つまたはそれ以上の成分を含むことができる。
【0122】
本発明はまた、1つまたはそれ以上の核酸分子と結合または複合体形成している本発明のリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を含む組成物ならびにこのような組成物中で見出されたかまたは本発明の方法の間に作製されたリガンド/核酸分子複合体に関する。
【0123】
本明細書中に記載の方法および適用に対する他の適切な修正形態および適応形態が自明であり、本発明の範囲またはその任意の態様から逸脱することなくこれらを得ることができることが当業者に明白であると思われる。本発明の詳細に説明してきたが、本発明は以下の実施例を参照してより明白に理解されるが、この実施例は、例示のみを目的とし、本発明の制限を意図しない。
【0124】
実施例1
Tne DNAポリメラーゼ(D737A;5’→3’エンドヌクレアーゼ欠損)のポリメラーゼ活性を、カチオン性組成物リポフェクタミン(商標)(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division、Rockville、Marylandより入手)の存在下または非存在下で、周囲温度、37℃、および72℃にて測定した。ポリメラーゼアッセイ法で使用したDNA基質は、34/60merのプライマー/鋳型であった。プライマー鎖の5’末端を、T4ポリヌクレオチドキナーゼを使用して32Pで標識した。dNTPおよびMgCl2の存在下でのDNA基質へTne DNAポリメラーゼの添加によって重合反応を開始した。DNAの反応濃度は約10nMであり、4つのdNTPはそれぞれ200μMであり、MgCl2は1.5mMであった。リポフェクタミン(商標)を、DNA−dNTP−Mg2+溶液に添加し、混合物を周囲温度で約5分間インキュベートし、DNA−カチオン性組成物複合体を形成させ、その後Tneポリメラーゼでの反応を開始した。対照反応には(図1、パネル1を参照のこと)、リポフェクタミン(商標)を添加しなかった。Tne DNAポリメラーゼ濃度は、約70nMであり、リポフェクタミン(商標)濃度を、0mMから40mMに変化させた。Tneの添加から4分後に反応を停止させた。
【0125】
Tne DNAポリメラーゼのポリメラーゼ活性は、周囲温度の10mMリポフェクタミン(商標)の存在下で有意に阻害されたが、37℃および72℃では反応は影響を受けなかった。酵素活性の阻害は、本発明者らの実験条件下ではリポフェクタミン(商標)の濃度に依存する。しかし、リポフェクタミン(商標)濃度は増加するので、重合反応は37℃および72℃でされも有意に阻害される(図1、パネルIIIおよびIVを参照のこと)。
【0126】
実施例2
Tne DNAポリメラーゼ(5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損)の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を、一本鎖34merDNA基質を使用して測定した。エキソヌクレアーゼ指示DNA消化を、リポフェクタミン(商標)の存在下および非存在下で、周囲温度、37℃、および72℃にて測定した。オリゴヌクレオチド基質の5’末端を、T4ポリヌクレオチドキナーゼを使用して32Pで標識した。リポフェクタミン(商標)およびMgCl2の存在下での34merオリゴヌクレオチド基質溶液へのTne DNAポリメラーゼの添加によって、エキソヌクレアーゼ反応を開始した。DNA溶液にリポフェクタミン(商標)を添加し、混合物を周囲温度で約5分間インキュベートして、DNA−カチオン性組成物複合体を形成し、その後Tneポリメラーゼでのエキソヌクレアーゼ指示ssDNA消化を開始した。対照反応では、リポフェクタミン(商標)は存在しなかった(図2、パネルI参照)。各反応では、DNA基質の反応濃度は約10nMであり、MgCl2は約3mMであった。Tne DNAポリメラーゼ濃度は約70nMであり、リポフェクタミン(商標)濃度は、0mMから60mMであった。
【0127】
Tne DNAポリメラーゼの3’→5’エキソヌクレアーゼ活性は、周囲温度での本発明者らの実験条件下でのリポフェクタミン(商標)の存在下で有意に阻害された。37℃および72℃では、リポフェクタミン(商標)は、60mMのリポフェクタミン(商標)濃度でさえもTneのエキソヌクレアーゼ活性のあまり有効な阻害剤ではなかった(図2、パネルVを参照のこと)。上記の結果により、リポフェクタミン(商標)は、有意に異なる親和性でssDNAおよびdsDNA基質に結合/保護することが示唆される。
【0128】
本明細書中に列挙した全ての刊行物、特許、および特許出願は、本発明が属する技術分野の当業者のレベルを示し、各個別の刊行物、特許、または特許出願は詳細に且つ個別に参照として組み入れられると意味されるような程度で本明細書中で参照として組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】DNAポリメラーゼによって触媒されたDNA重合反応のリポフェクタミン(商標)による阻害を示す。本明細書中に報告した全測定で使用したDNAポリメラーゼは、Asp137Ala置換の挿入により5’−3’エキソ活性が欠損している(米国特許第5,948,614号を参照のこと)。PはDNAプライマー(34mer)の位置を示し、F.L.は完全に伸長した産物である(60mer)。レーンQは、オリゴヌクレオチド基質の対照レーンである。パネルI、II、III、IVは、種々の濃度のリポフェクタミン(商標)でのTneによって触媒されたポリメラーゼ反応を示す。パネルIは、リポフェクタミン(商標)の非存在下での反応を示す。パネルII、III、IVは、10mM、20mM、および40mMのリポフェクタミン(商標)の存在下での反応を示す。各反応条件について、DNA基質およびTne DNAポリメラーゼ濃度を、それぞれ約10mMおよび70nMに保持した。ポリメラーゼ反応を、a、b、およびcのサブパネルに示すように、各々、周囲温度、37℃、および72℃で測定した。各条件では、Tne添加による重合の開始から4分後に反応を停止させた。
【図2】周囲温度でのリポフェクタミン(商標)を使用したTne DNAポリメラーゼによって触媒された5’−3’エキソヌクレアーゼ反応の阻害を示す。Pは34merのDNA基質の位置を示す。レーンQは、オリゴヌクレオチド基質の対照レーンである。パネルI、II、III、IV、およびVは、種々の濃度のリポフェクタミン(商標)でのTne DNAポリメラーゼによって触媒された3’−5’エキソヌクレアーゼ反応を示す。パネルIは、リポフェクタミン(商標)の非存在下での反応を示す。パネルII、III、IV、およびVは、10mM、20mM、40mM、および60mMのリポフェクタミン(商標)の存在下での反応を示す。各反応条件について、DNA基質およびTne DNAポリメラーゼ濃度を、それぞれ約10nMおよび70nMに保持した。34mer基質のエキソヌクレアーゼ消化を、a、b、およびcのサブパネルに示すように、各々、周囲温度、37℃、および72℃で測定した。各条件では、Tne添加による反応の開始から20分後に消化を停止させた。
発明の背景
発明の分野
本発明は、例えば周囲温度で起こり得る非特異的核酸合成の減少による核酸合成の選択性および特異性を増大させる方法に関する。本発明はまた、本発明の方法を行うための組成物に関する。本発明の方法および組成物を、核酸配列決定、増幅反応、核酸合成、およびcDNA合成に使用することができる。
【0002】
本発明はまた、例えば、1つまたはそれ以上の二本鎖核酸分子および/または一本鎖核酸分子および/または二本鎖/一本鎖複合体との結合または複合体形成によって核酸合成、配列決定、増幅、およびcDNA合成を阻害または防止することができるリガンド(特にカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびに組成物)に関する。したがって、本発明は、このような反応で使用される核酸基質(例えば、プライマー、鋳型およびプライマー/鋳型複合体)との結合または相互作用によって核酸合成、配列決定、増幅、およびcDNA合成反応を阻害または防止することができる。
【0003】
本発明はまた、核酸合成中の核酸分子または核酸合成のための調製物の分解を阻害または防止することができるリガンド(特にカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびに組成物)に関する。リガンドは、核酸、好ましくは一本鎖分子または一本鎖含有分子と結合または相互作用することができる。このような相互作用は、好ましくは、ヌクレアーゼ、特にエキソヌクレアーゼ、具体的には一本鎖特異的エキソヌクレアーゼによる核酸分子の分解を防止または阻害する。本発明はまた、本発明のカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびにカチオン性組成物を含むキットに関する。
【0004】
関連技術
DNAポリメラーゼは、DNA鋳型の全部または一部に相補的なDNA分子の形成を触媒する。プライマーの一本鎖DNA鋳型とのハイブリッド形成の際、ポリメラーゼは5’から3’方向でのDNA合成を触媒し、続いてヌクレオチドを成長鎖の3’−水酸基に付加する。したがって、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)またはヌクレオチドおよびプライマーの存在下では、一本鎖DNA鋳型の全部または一部に相補的な新規のDNA分子を合成することができる。
【0005】
中温性および好熱性DNAポリメラーゼの両方を使用して、核酸形成を触媒する。PCRまたはサイクル配列決定では、あまりストリンジェントではない温度(例えば、周囲温度)での間違ってアニーリングされたプライマーの伸長に起因する非特異的DNA増幅レベルが減少するために中温性よりもむしろ熱安定性ポリメラーゼが好ましい。しかし、いくつかのプライマー配列および一定の実験条件下で、有意な非特異的核酸産物合成量により、熱安定性ポリメラーゼの感度が低下し、各プライマーセットの伸長至適化が必要となる。さらに、周囲温度で高レベルの活性を有するポリメラーゼ(例えば、サーマトガ・ニアポリタナ(Thermatoga neapolitana)由来のDNAポリメラーゼ)を使用する場合、これはさらに問題となる。
【0006】
生物、組織、または細胞の構造および生理学の実験では、しばしばその遺伝子含量を決定することが望ましい。生物の遺伝子フレームワークは、生物の体細胞および生殖細胞中に含まれるデオキシリボ核酸(DNA)中のヌクレオチド塩基の二本鎖配列にコードされる。特定のDNAまたは遺伝子セグメントの遺伝子含有量は、遺伝子にコードされるタンパク質の産生時のみに発現する。タンパク質産生のために、DNA二重らせんの1つの鎖(「コード」鎖)の相補コピーがポリメラーゼ酵素によって産生され、リボ核酸(RNA)の特異的配列が得られる。この特定のRNA型は、タンパク質産生についてのDNAからの遺伝子メッセージを含むので、伝令RNA(mRNA)と呼ばれている。
【0007】
所与の細胞、組織、または生物内で、それぞれ個別かつ特異的なタンパク質をコードする多数のmRNA種が存在する。この事実は、組織または細胞中の遺伝子発現研究に興味を持つ研究者に強力なツールを提供する。mRNA分子を単離でき、種々の分子生物学的技術によってさらに操作し、それにより細胞、組織、または生物の完全な機能的遺伝子含量を解明可能である。
【0008】
一般的な遺伝子発現研究アプローチは、相補DNA(cDNA)クローンの産生である。この技術では、生物由来のmRNA分子を生物の細胞または組織の抽出物から単離する。この単離は、しばしばチミジン(T)のオリゴマーが複合体形成したセルロースまたはアガロースなどのクロマトグラフィーマトリックスを使用する。ほとんどの真核生物mRNA分子上の3’末端は連続したアデノシン(A)塩基を含み、AはTに結合するので、mRNA分子を組織または細胞抽出物中の他の分子および基質から容易に精製することができる。これらの精製mRNA分子から、逆転写酵素(RT)またはRT活性を有するDNAポリメラーゼを使用してcDNAコピーを作製することができ、一本鎖cDNA分子を生成させる。次いで、一本鎖cDNAを、DNAポリメラーゼの作用によってもとのmRNA(および生物のゲノムに含まれるこのmRNAをコードするもとの二本鎖DNA配列)の完全な二本鎖DNAコピー(すなわち、二本鎖cDNA)に変換することができる。次いで、タンパク質特異的二本鎖cDNAをベクターに挿入することができ、その後、宿主細菌、酵母、動物、または植物細胞に導入される(形質転換またはトランスフェクションと呼ばれるプロセス)。次いで、宿主細胞を培地中で増殖させ、目的の遺伝子または目的の遺伝子の一部を含む(多くの場合、発現する)宿主細胞集団が得られる。
【0009】
mRNAの単離からベクター(例えば、プラスミド、ウイルスベクター、コスミドなど)へのcDNAの挿入、単離遺伝子または遺伝子部分を含む宿主細胞集団の成長までのこの完全なプロセスを、「cDNAクローニング」という。cDNAセットが供給源となる細胞、組織、または生物中に存在する機能的遺伝情報を含む遺伝子または遺伝子の一部の「集団」を示すので、多数の異なるmRNAからcDNAを調製する場合、得られたcDNAセットを「cDNAライブラリー」と呼ぶ。
【0010】
cDNA分子の合成は、mRNA分子の3’末端または3’末端付近から開始され、5’から3’方向に進行し、成長鎖にヌクレオチドが連続的に付加される。オリゴ(dT)プライマーを使用したポリAテールの3’末端でのcDNA合成のプライミングは、mRNAの3’メッセージを産生されたcDNA分子中に示すことを確実にする。cDNA合成中に選択性および特異性を増大させる能力により、より代表的なcDNAライブラリーが得られ、これは、全長cDNA分子(例えば、全長遺伝子)を有するcDNAライブラリーの可能性を増大させることができる。このような進歩が、目的の全長遺伝子発見の可能性を非常に高めると思われる。
【0011】
したがって、ポリメラーゼおよび逆転写酵素の核酸分子を合成する能力を改良する方法が必要である。このような進歩が、核酸合成、配列決定、増幅、およびcDNA合成の改良すると思われる。
【0012】
発明の概要
本発明は、上記の要求を満たす。本発明は、所定の条件下(好ましくは周囲温度)での核酸合成および/または分解の阻害、減少、実質的減少、または消失のための方法を提供する。好ましい局面では、本発明は、反応設定中、好ましくは核酸合成の至適反応条件が達成される前の核酸合成および分解(特に、鋳型およびプライマー分解)を防止または阻害する。したがって、本発明により、核酸合成中に使用されるかその間に存在するポリメラーゼおよび/またはヌクレアーゼを阻害可能である。最適下限条件または反応設定中のDNAポリメラーゼ活性のこのような阻害により、非特異的核酸合成が防止または減少する。一旦反応設定が完了して、至適条件に達すると、核酸合成を開始することができる。さらに、本発明は、核酸合成基質および産物の分解を防止するので、合成開始後に、より有効に核酸合成を行うことができる。
【0013】
より詳細には、本発明は、任意の核酸分子(一本鎖または二本鎖核酸または二本鎖/一本鎖複合体を含む核酸分子を含む二本鎖など)に結合するか相互作用する任意の1つまたはそれ以上のリガンド(特にカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物)の導入による核酸合成の調節に関する。このような二本鎖核酸分子は一本鎖領域(好ましくは一方または両方の末端)を含むか、相補核酸鎖と対合した塩基ではない配列またはヌクレオチドを含むか、完全に二本鎖であり得る。したがって、このようなカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物は、このような二本鎖核酸分子(例えば、プライマー/鋳型複合体または二本鎖鋳型などの二本鎖基質)と結合するか相互作用することができ、活性ポリメラーゼまたは逆転写酵素の核酸合成基質(プライマー/鋳型複合体など)との結合または相互作用の防止により核酸合成を妨害する。
【0014】
別の局面では、本発明は、核酸、特に二本鎖、一本鎖、または一本鎖含有核酸に結合する任意の1つまたはそれ以上のリガンド(特にカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびに組成物)の導入による核酸合成の調節に関する。したがって、このようなカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物は、核酸分子(例えば、一本鎖プライマーまたは一本鎖鋳型または二本鎖分子などの核酸合成基質)に結合するか相互作用し、例えば、核酸合成基質(合成反応でポリメラーゼまたは逆転写酵素によって使用されるプライマー/鋳型複合体を形成するための鋳型とプライマーなど)の結合、相互作用、またはハイブリッド形成の防止によって核酸合成を妨害する。
【0015】
さらに、本発明のリガンド(特にカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびに組成物)の核酸分子(特に、一本鎖核酸(例えば、プライマーおよび鋳型などの一本鎖基質))との相互作用により、存在し得るヌクレアーゼ(エキソヌクレアーゼなど)によるこのような分子の分解を防止する。したがって、本発明のカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、ならびに組成物は、核酸合成、増幅、および配列決定反応において使用される基質の分解を防止するが、このような反応によって産生された産物の分解も防止する。例えば、核酸合成、増幅、および配列決定反応において使用される多数のポリメラーゼは、一本鎖核酸基質または産物を分解することができるエキソヌクレアーゼ活性(例えば、DNAポリメラーゼの3’から5’、および5’→3’エキソヌクレアーゼ活性)を有し、核酸合成反応効率に悪影響を及ぼす。さらに、合成、増幅、および配列決定で使用される反応混合物は、反応混合物中の核酸基質または産物を分解し得る添加したヌクレアーゼ(特定の目的または機能のために反応混合物に添加することができる)または夾雑ヌクレアーゼ(例えば、RNアーゼ、DNアーゼ、およびエキソヌクレアーゼ、特に、一本鎖エキソヌクレアーゼ)を含み得る。本発明のカチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、または組成物を含めることにより、核酸合成、増幅、または配列決定の前、間、または後の核酸分子または基質の分解を防止または阻害可能である。
【0016】
したがって、本発明は核酸分子と結合(好ましくは非カチオン性結合による)または相互作用し、好ましくはリガンド/核酸複合体を形成するリガンドに関する。本発明の核酸リガンド(「阻害リガンド」または「核酸リガンド」と呼ぶことができる)は、任意の核酸分子(二本鎖核酸分子および/または一本鎖核酸分子および/または一本鎖/二本鎖核酸複合体(好ましくは、核酸構造が凝縮されている)など)と結合または相互作用するように電荷プロフィールを有する任意の分子または化合物(化学的化合物またはポリマーを含む)であり得る。好ましいリガンドには、天然および合成の化合物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、脂質、リポタンパク質などが含まれる。一般に、本発明のリガンドには、任意のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物が含まれる。天然のカチオン性分子には、ヒストン、プロタミン、スペルミン、スペルミジン、および可動性の高い基を有するタンパク質が含まれる(Biochim. Biophys. Acta、1988、950、221〜228;Science、1989、243、375〜378;Proc. Natl Acad Sci USA、1991、88、4255〜4259)。合成カチオン性分子には、有機分子またはポリマー(DEAE−デキストラン、ポリブレン、ポリリジン、ポリヒスチジン、カチオン性ポリペプチド、カチオン性コアを有する高分子など)(概要については、Cotten,MおよびWagner,E、1993、Curr. Opin. Biotechnol.、4、705〜710;Bioconjugate Chem.、4、372〜379を参照のこと)、両親媒性凝集物(Behr,J.P.、1994、Bioconjugate Chem.、5、382〜389)、ポリアミドアミンカスケードポリマーまたはデンドリマー、リポポリアミン、およびポリエチレンイミン(Boussifら、1995、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、92、7297〜7301)が含まれる。ゴールドマン(Goldman,C.K.)ら、1997(Nature Biotech.、15、462〜466)に記載のグルコース骨格を有する非脂質、非ペプチドポリカチオン性ポリマー、合成ポリアミノポリマーもまた含まれる。他の組成物には、カチオン性脂質またはカチオン性リポソーム製剤(「トランスフェクタム(Transfectam)(商標)」(Promega)、「ドータップ(DOTAP)(商標)」(Roche)、「ヒュージーン(FUGENE6)(商標)」(Roche)、「エックストリームジーン(X−treme GENE)Q2(商標)」(Roche)、「ジーンジェイマー(GeneJammer)(商標)」(Stratagene)、「ジーンポーター(GenePorter)(商標)」(Gene Therapy Systems)、「イフェクテン(Effectene)(商標)」(Quiagen)、「スーパーフェクト(Superfect)(商標)」(Quiagen)、「リポフェクチン(登録商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「リポフェクトエース(LIPOFECTACE)(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「リポフェクタミン(LIPOFECTAMINE)(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「リポフェクタミン 2000(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「セルフェクチン(CELLFECTIN)(登録商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、および「ディーエムリー(DMRIE)−C(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division))、米国特許第4,812,449号、同第4,891,355号、同第5,171,678号、同第5,186,923号、同第5,208,036号、同第5,264,618号、同第5,277,897号、同第5,279,833号、同第5,283,185号、同第5,334,761号、同第4,897,355号、同第5,459,127号、同第5,545,412号、同第5,650,096号、同第5,667,774号、同第5,674,908号、同第5,705,385号、同第5,719,131号、同第5,736,392号、同第5,744,335号、同第5,783,565号、同第5,830,430号、同第5,840,710号、同第5,854,224号、同第5,869,606号、同第5,906,922号、同第5,935,936号、同第5,948,925号、同第5,948,767号、国際公開公報第97/42819号、国際公開公報第98/02190号、国際公開公報第98/17373号、国際公開公報第98/19709号、国際公開公報第99/29712号、国際公開公報第98/40499号、国際公開公報第98/40502号、国際公開公報第98/42819号、欧州特許第0394111号、同第0846680号、および仏国特許第1,567,214号に記載のその他の物質が含まれる。米国特許第5,861,397号は、両親媒性カチオン性脂質を記載しており、米国特許第5,670,347号は核酸と相互作用する合成ポリペプチドを記載している。一般に、DNA凝縮剤およびトランスフェクション剤もまた、本発明により使用される。1つの局面では、本発明のリガンドは核酸分子ではなく、および/または核酸分子と結合することができる酵素ではない。
【0017】
別の好ましい局面では、本発明のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性分子、化合物)および組成物は、一定の条件下で1つまたはそれ以上の核酸分子(特に、1つまたはそれ以上の核酸合成基質)と結合(好ましくは、非共有結合による)または複合体を形成することができ、条件が変わると核酸から解離する。条件には、混合物の種々の温度、イオン強度、およびpHが含まれる。したがって、カチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物を、好ましくは、基質(例えば、プライマー/鋳型複合体、二本鎖分子および/またはプライマーおよび一本鎖鋳型などの一本鎖分子)と結合または相互作用する反応混合物に導入し、それにより特定の反応条件下でポリメラーゼまたは逆転写酵素活性を有する1つまたはそれ以上の酵素の存在下で核酸合成を阻害する。本発明のカチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物はまた、反応混合物の合成産物および/または基質と相互作用または結合する能力を有し、それにより反応混合物中に存在し得るヌクレアーゼで産物または基質の分解が防止されて、核酸合成産物が増加する。
【0018】
したがって、好ましい局面では、本発明の1つまたはそれ以上のカチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物は、1つまたはそれ以上の核酸基質と結合することができ、一定条件下でこのような基質(例えば、一本鎖鋳型および一本鎖プライマー)で合成を防止することができる。このような合成は、例えば、核酸の活性ポリメラーゼ/逆転写酵素との相互作用の防止および/または核酸分子の相互作用(プライマー/鋳型複合体を形成するためのハイブリッド形成など)の防止によって防止される。このようなカチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物はまた、このような分子と結合して好ましくはヌクレアーゼ作用に接近不可能であるため反応における核酸分子の分解を防止する。したがって、このようなカチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物を、好ましくは、このような核酸分子と競合的に結合または相互作用する反応混合物に導入して、それによりポリメラーゼおよび/またはヌクレアーゼ活性を有する1つまたはそれ以上の酵素の存在下で核酸合成および/または核酸分解を阻害する。
【0019】
本発明のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物)による核酸合成または相互作用/結合の阻害を、好ましくは、消失または減少させて、反応条件が変化した場合(例えば、温度が上昇した場合)に核酸合成を進行させることができる。好ましい局面では、条件変化によりカチオン性またはポリカチオン性分子の二本鎖核酸基質および/または一本鎖核酸基質および/または一本鎖/二本鎖複合体と相互作用する能力に影響を与え、基質の放出し(例えば、基質からのカチオン性/ポリカチオン性分子の解離)および/またはポリメラーゼ/逆転写酵素活性を有する酵素の基質として利用可能な核酸分子を作製し、それにより核酸合成を進行可能なカチオン性またはポリカチオン性分子を変性または不活化させる。
【0020】
従って、本発明は、(a)1つまたはそれ以上の核酸鋳型(cDNA分子などのDNA分子またはmRNA分子などのRNA分子でもよい)と1つまたはそれ以上の二本鎖および/または一本鎖核酸基質および/または一本鎖/二本鎖/二本鎖複合体(例えば、鋳型、鋳型/プライマー複合体および/またはプライマーなどの核酸合成基質)と結合または相互作用することができる本発明の1つまたはそれ以上のプライマーおよび1つまたはそれ以上のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物)とを混合する工程と、(b)この混合物を前記鋳型の全部または一部に相補的な1つまたはそれ以上の第1の核酸分子の合成に十分な条件下で核酸ポリメラーゼ活性および/またはヌクレアーゼ活性(例えば、DNAポリメラーゼおよび/または逆転写酵素および/またはエンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼなどのヌクレアーゼ)を有する1つまたはそれ以上の酵素の存在下でインキュベートする工程とを含む、1つまたはそれ以上の核酸の合成法に関する。このような混合を、好ましくは、核酸合成を防止し、および/または本発明のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物)の1つまたはそれ以上の核酸合成基質への結合を可能にする条件下で行う。好ましい局面では、合成条件は、核酸からリガンドを解離するか本発明のリガンドを変性させて前記リガンドの核酸合成基質への結合を阻害、減少、実質的に減少、または消失するのに十分である。本発明の1つの態様では、一旦このような会合のためのインキュベーション条件が再確立されると、カチオン性/ポリカチオン性の分子または化合物(すなわち、脂質またはリポソーム製剤)は、核酸結合能力を復元または回復することができる。このようなインキュベーション条件は、1つまたはそれ以上のヌクレオチドおよび1つまたはそれ以上の核酸合成緩衝液の使用を含み得る。したがって、本発明の好ましいリガンド(例えば、カチオン性/ポリカチオン性の分子または化合物)は、使用条件に依存して核酸分子に可逆的に会合/解離する。したがって、反応中にさらなるカチオン性/ポリカチオン性化合物を添加することなくインキュベーション条件の変化によっていくつかの合成サイクルが起こり得る。例えば、増幅中(例えば、PCR)での異なる条件での反応サイクルにより、カチオン性/ポリカチオン性分子が不活化されないので、一旦このような相互作用が可能な条件に達すると、このような分子は核酸合成基質および合成産物と結合または会合することができる。好ましくは、本発明のカチオン性/ポリカチオン性分子の解離および/またはカチオン性/ポリカチオン性分子の核酸合成基質への結合の阻害に十分な温度であるが、ポリメラーゼおよび/または逆転写酵素または核酸合成反応で存在し且つ必要な他の酵素の不活化に不十分な温度でインキュベーション条件が達成される。本発明のこのような方法は、選択的に1つまたはそれ以上のさらなる工程(第1の核酸分子の全部または一部に相補的な1つまたはそれ以上の第2の核酸分子の作製に十分な条件下で合成された第1の核酸分子をインキュベートするなどの工程)を含み得る。このようなさらなる工程を、上記の本発明のリガンド(例えば、カチオン性/ポリカチオン性分子)の存在下で行うこともできる。本発明はまた、この方法で合成された核酸分子に関する。
【0021】
本発明の方法を使用して、合成核酸分子を、リガンド/核酸混合物または複合体(例えば、核酸/カチオン性またはポリカチオン性複合体)が有利な他のアッセイ法または手順(宿主または宿主細胞への核酸の導入など)または核酸/カチオン性またはポリカチオン性化合物がアッセイ法の最終目的に劇的に影響を与えないアッセイ法または手順で直接使用することができる。したがって、より詳細には、本発明は、(a)本発明のリガンド(特に、カチオン性またはポリカチオン性分子またはトランスフェクション剤)の存在下で1つまたはそれ以上の核酸分子を合成する工程と、(b)本発明の該リガンドの存在下で1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞に合成した核酸分子を導入する工程とを含む、1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞への核酸分子の導入に関する。
【0022】
より具体的には、本発明は、(a)該第1のプライマーが該DNA分子の第1の鎖の3’末端または3’末端付近の配列に相補的であり、前記第2のプライマーが前記DNA分子の第2の鎖の3’末端または3’末端付近の配列に相補的である、第1および第2のプライマーおよび1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性の分子、化合物、および組成物)(例えば、二本鎖核酸および/または一本鎖核酸および/または一本鎖/二本鎖複合体に親和性を有する分子)を混合する工程と、(b)該第1のプライマーを該第1の鎖に、該第2のプライマーを該第2の鎖にハイブリッド形成させる工程と、(c)該第1の鎖の全部または一部に相補的な第3のDNA分子および前記第2の鎖の全部または一部に相補的な第4のDNA分子が合成されるような条件下で混合物をインキュベートする工程と、(d)前記第1および第3の鎖および該第2および第4の鎖を変性する工程と、(e)工程(a)から(c)または(d)を1回以上繰り返す工程とを含む、DNA分子の増幅法に関する。このような混合を、好ましくは、核酸合成を妨げ、および/または本発明のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物を1つまたはそれ以上の核酸合成基質に結合させる条件下で行う。好ましい局面では、合成条件は、本発明のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物を解離もしくは変性、または減少させて、カチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物の核酸合成基質への結合を阻害、減少、実質的に減少、または消失するのに十分である。好ましくは、インキュベーション条件は本発明のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物の解離および/または核酸合成基質に対するカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物の核酸合成基質への結合の防止に十分な温度であるが、ポリメラーゼおよび/または逆転写酵素もしくは核酸合成反応で存在し且つ必要な酵素の変性または不活化に不十分な温度でインキュベーション条件が達成される。このようなインキュベーション条件には、1つまたはそれ以上のポリメラーゼ、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、および/または1つまたはそれ以上の緩衝塩の存在下でのインキュベーションを含み得る。本発明はまた、これらの方法によって増幅された核酸分子に関する。本発明の方法によって作製されたこのような増幅核酸分子を、さらに操作または処理することもできる(1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞への増幅核酸分子の導入を含む)。したがって、本発明は、特に、(a)1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物)の存在下で1つまたはそれ以上の核酸分子を増幅させる工程と、(b)前記増幅核酸分子を少なくとも1つの前記リガンドの存在下で1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞に導入する工程とを含む、1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞への核酸分子の導入に関する。
【0023】
本発明はまた、(a)配列決定すべき核酸分子を1つまたはそれ以上のプライマー、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(カチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物)、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、および1つまたはそれ以上の終止剤と混合して混合物を形成する工程と、(b)混合物を配列決定すべき分子の全部または一部に相補的な分子集団の合成に十分な条件下でインキュベートする工程と、(c)集団を分離して配列決定すべき分子の全部または一部のヌクレオチド配列を決定する工程を含む、核酸分子の配列決定法に関する。さらに詳細には、本発明は、(a)本発明のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物(二本鎖核酸および/または一本鎖核酸および/または一本鎖/二本鎖複合体に親和性を有する)、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、および1つまたはそれ以上の終止剤を混合する工程と、(b)第1の核酸分子にプライマーをハイブリッド形成する工程と、(c)該合成分子の長さが前記第1の分子よりも短く、該合成分析が3’末端にターミネーターヌクレオチドを含む、該第1の核酸分子に相補的な核酸分子の無作為な集団の合成に十分な条件下で工程(b)の混合物をインキュベートする工程と、(d)該第1の核酸分子のヌクレオチド配列の少なくとも一部を配列決定することができるように該合成分子をサイズで分離する工程とを含む、核酸分子の配列決定法に関する。このような混合を、好ましくは、核酸合成を阻害し、および/または本発明のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物を1つまたはそれ以上の核酸合成基質に結合する条件下で行う。好ましい局面では、合成条件および/またはハイブリッド形成条件は、本発明のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物を解離または変性させて、カチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物の核酸合成基質への結合を阻害、減少、実質的に減少、または消失するのに十分である。好ましくはインキュベーション条件は、本発明のカチオン性/ポリカチオン性分子の解離または減少および/またはカチオン性/ポリカチオン性分子の核酸合成基質への結合の防止に十分な温度であるが、ポリメラーゼおよび/または逆転写酵素または核酸合成反応で存在し且つ必要な他の酵素の不活化に不十分な温度でインキュベーション条件が達成される。このようなターミネーターヌクレオチドには、ddNTP、ddATP、ddGTP、ddITP、もしくはddCTP、またはその修飾誘導体が含まれる。このようなインキュベーション条件には、1つまたはそれ以上のポリメラーゼおよび/または緩衝塩の存在下でのインキュベーションを含み得る。
【0024】
本発明はまた、一般に、核酸合成反応における核酸分子分解の防止または阻害法に関する。好ましくは、このような方法を、核酸合成、cDNA合成、増幅、または配列決定中に行う。特に、本方法は、(a)1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性/ポリカチオン性分子)を得る工程と、(b)1つまたはそれ以上のヌクレアーゼ活性を有するヌクレアーゼによる前記核酸分子の分解の防止または阻害に十分な条件下で該本発明のリガンドを1つまたはそれ以上の核酸分子に接触させる工程とを含み得る。本発明のカチオン性/ポリカチオン性分子は核酸分子に親和性を有するので、核酸分子と結合または相互作用することができる。したがって、本発明のカチオン性/ポリカチオン性分子は、核酸分子と結合することができ、したがって、ヌクレアーゼとこのような核酸分子との相互作用または結合を防止することができる。好ましい局面では、本発明の核酸分子保護法を、インビトロ反応、特に標準的な分子生物学的技術(核酸合成、増幅、配列決定、およびcDNA合成など)で使用する反応中に行う。本発明の分解保護法は、本発明のカチオン性/ポリカチオン性分子を解離する工程、および/または特定の条件下(例えば、温度上昇、pHの変化、または反応混合物のイオン強度の変化)で本発明のカチオン性/ポリカチオン性分子の核酸分子への結合を妨げる工程とをさらに含み得る。
【0025】
本発明はまた、本発明のリガンド(例えば、カチオン性/ポリカチオン性分子)および本発明のリガンドを含む組成物ならびに本発明の方法によって産生された核酸分子、核酸分子を含むベクター(発現ベクターであり得る)、ならびにこれらの核酸分子またはベクターを含む宿主細胞に関する。本発明で使用されるリガンド(例えば、カチオン性/ポリカチオン性の分子、化合物、または組成物)を、既知の技術(例えば、米国特許第4,812,449号、同第5,171,678号、同第5,186,923号、同第5,277,897号、同第5,208,036号、同第5,208,036号、同第5,264,618号、同第5,279,833号、同第5,334,761号、同第4,897,355号、同第5,459,127号、同第5,650,096号、同第5,744,335号、同第5,854,224号、同第5,869,606号、同第5,906,922号、同第5,674,908号、および国際公開公報第98/19709号に記載の方法)によって産生することができる。米国特許第5,861,397号は、両親媒性カチオン性脂質の産生を記載しており、米国特許第5,670,347号は核酸と相互作用する合成ポリペプチドを記載している。
【0026】
本発明はまた、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性およびポリカチオン性の分子、化合物、または組成物)を含む1つまたはそれ以上の容器を含む、核酸分子の合成、配列決定、および増幅用のキットに関する。本発明のこれらのキットは、選択的に、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上の鋳型、1つまたはそれ以上のポリメラーゼ(例えば、好熱性または中温性DNAポリメラーゼ)、および/または逆転写酵素、1つまたはそれ以上の適切な緩衝液、1つまたはそれ以上のプライマー、1つまたはそれ以上の終止剤(1つまたはそれ以上のジデオキシヌクレオチドなど)、および本発明の方法を実施するための説明書からなる群より選択される1つまたはそれ以上のさらなる成分を含み得る。本発明はまた、本発明に係る核酸分子の変性の一般的な防止または阻害法で使用するキットに関する。このようなキットは、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性もしくはポリカチオン性の分子、化合物、または組成物)を含む1つまたはそれ以上の容器を含み得る。これらのキットは、選択的に、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上の鋳型、1つまたはそれ以上のポリメラーゼ(例えば、好熱性または中温性DNAポリメラーゼ)、および/または逆転写酵素、1つまたはそれ以上のヌクレアーゼ、1つまたはそれ以上の適切な緩衝液、1つまたはそれ以上のプライマー、1つまたはそれ以上の終止剤、および本発明の方法の実行のための装置からなる群より選択される1つまたはそれ以上のさらなる成分を含み得る。
【0027】
本発明はまた、核酸分子の合成、配列決定、および増幅用の組成物およびこのような合成、配列決定、および増幅反応の実施用に作製された組成物に関する。本発明はまた、本発明の合成、配列決定、および増幅反応の実施中または実施後に作製される組成物に関する。本発明のこのような組成物は、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、阻害カチオン性/ポリカチオン性分子)を含むことができ、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上のプライマー、1つまたはそれ以上の鋳型、1つまたはそれ以上の逆転写酵素、1つまたはそれ以上のDNAポリメラーゼ、1つまたはそれ以上の緩衝液、1つまたはそれ以上の緩衝液の塩、1つまたはそれ以上の本発明の方法によって作製された合成核酸分子からなる群より選択される1つまたはそれ以上の成分をさらに含むことができる。本発明はまた、核酸分子分解の阻害または防止の方法で使用するための組成物およびこのような方法の実施のために作製された組成物に関する。本発明はまた、核酸分子の分解に対するこのような保護法の実施中または実施後に作製される組成物に関する。本発明のこのような組成物は、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、阻害カチオン性/ポリカチオン性分子)を含むことができ、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上のプライマー、1つまたはそれ以上の鋳型、1つまたはそれ以上の逆転写酵素、1つまたはそれ以上のポリメラーゼ(DNAポリメラーゼおよび逆転写酵素)、1つまたはそれ以上の緩衝液、1つまたはそれ以上の緩衝液の塩、および1つまたはそれ以上の核酸分子からなる群より選択される1つまたはそれ以上の成分をさらに含むことができる。
【0028】
本発明の他の好ましい態様は、以下の図面および本発明の説明および特許請求の範囲に照らして、当業者に明白であると思われる。
【0029】
発明の詳細な説明
定義
以下の説明では、組換えDNA技術で使用されている多数の用語を広く使用する。このような用語が与えられる範囲を含む明細書および特許請求の範囲についての明白で一貫した理解のために、以下の定義を提供する。
【0030】
プライマー
本明細書中で使用される「プライマー」は、核酸分子の増幅または重合中にヌクレオチド単量体の共有結合によって伸長される一本鎖オリゴヌクレオチドまたはDNAをいう。
【0031】
鋳型
本明細書中で使用される、「鋳型」という用語は、増幅、合成、または配列決定すべき二本鎖または一本鎖核酸分子(RNAおよび/またはDNA)をいう。二本鎖分子の場合、第1および第2の鎖の形成のためのその鎖の変性を、好ましくは、これらの分子を増幅、合成、または配列決定するか、二本鎖分子を鋳型として直接使用する前に行う。一本鎖鋳型については、鋳型の一部に相補的なプライマーを適切な条件下でハイブリッド形成し、その後1つまたはそれ以上のポリメラーゼは前記鋳型の全部または一部に相補的な核酸分子を合成することができる。または、二本鎖鋳型については、1つまたはそれ以上のプロモーター(例えば、SP6、T7、またはT3プロモーター)を、1つまたはそれ以上のポリメラーゼと組み合わせて使用して、鋳型の全部または一部に相補的な核酸分子を作製することができる。本発明によって新規に合成した分子の長さは元の鋳型と同じでも短くてもよい。
【0032】
組み込み
本明細書中で使用される、「組み込み」という用語は、DNAおよび/またはRNA分子またはプライマーの一部となることを意味する。
【0033】
増幅
本明細書中で使用される、「増幅」とは、ポリメラーゼを使用したヌクレオチド配列のコピー数の任意のインビトロでの増加法をいう。核酸増幅により、ヌクレオチドがDNAおよび/またはRNA分子またはプライマーに組み込まれ、それにより鋳型の全部または一部に相補的な新規の分子が形成される。形成された核酸分子およびその鋳型を鋳型として使用して、さらなる核酸分子を合成することができる。本明細書中で使用される、1つの増幅反応は、多数の複製ラウンドからなり得る。DNA増幅反応には、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が含まれる。1つのPCR反応は、5から100「サイクル」のDNA分子の変性および合成からなり得る。
【0034】
ヌクレオチド
本明細書中で使用される、「ヌクレオチド」とは、塩基−糖−リン酸の組み合わせをいう。ヌクレオチドは、核酸配列(DNAおよびRNA)の単量体単位である。「ヌクレオチド」という用語には、リボヌクレオシド三リン酸(ATP、UTP、CTG、GTP)およびデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP、dCTP、dITP、dUTP、dGTP、dTTP)、またはその誘導体が含まれる。このような誘導体には、例えば、[αS]dATP、7−デアザ−dGTPおよび7−デアザ−dATP、2’−O−メチル修飾誘導体、ビオチン化ヌクレオチド、およびこれらを含む核酸分子にヌクレアーゼ耐性を付与するヌクレオチド誘導体が含まれる。本明細書中で使用される、「ヌクレオチド」という用語はまた、ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTP)およびその誘導体をいう。ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸の例には、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddITP、およびddTTPが含まれるが、これらに限定されない。本発明によれば、「ヌクレオチド」を、非標識であっても既知の技術によって検出可能なように標識してもよい。検出可能な標識には、例えば、放射性同位体、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識、および酵素標識が含まれる。
【0035】
オリゴヌクレオチド
「オリゴヌクレオチド」とは、ホスホジエステルもしくはホスホチオエートまたは1つのヌクレオチドのデオキシリボースもしくはリボースの3’と、隣接するヌクレオチドのデオキシリボースもしくはリボースの5’との間のアミド結合によって連結されたヌクレオチドの共有結合配列を含む合成または天然分子をいう。
【0036】
ハイブリッド形成
「ハイブリッド形成」および「ハイブリッド形成する」という用語は、二本鎖分子を得るための2つの相補的一本鎖核酸分子(RNAおよび/またはDNA)の塩基対合をいう。本明細書中で使用される、2つの核酸分子をハイブリッド形成させることができるが、塩基対合は完全に相補的ではない。したがって、当技術分野で既知の適切な条件を使用した場合、ミスマッチ塩基は2つの核酸分子のハイブリッド形成を防止しない。
【0037】
単位
本明細書中で使用される、「単位」という用語は、酵素活性をいう。例えば、DNAポリメラーゼをいう場合、1単位の活性は、標準的なDNA合成開始条件下で30分間に10nmolのdNTPを酸不溶性物質(すなわち、DNAまたはRNA)を取り込む酵素の量である。
【0038】
ベクター
宿主細胞中で自己複製することができ、ベクターの不可欠な生物学的機能を喪失することなく決定可能な様式でDNA配列を切断することができる1つまたは少数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位によって特徴付けられ、DNAをスプライシングして複製およびクローニングを行うことができる、プラスミド、ファージミド、コスミド、またはファージDNAまたは他のDNA分子。クローニングベクターは、クローニングベクターで形質転換された細胞の同定に使用する適切なマーカーをさらに含み得る。例えば、マーカーは、テトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性を示す。
【0039】
発現ベクター
クローニングベクターに類似しているが宿主への形質転換後にクローニングした遺伝子の発現を増強することができるベクター。クローンニングされた遺伝子は、通常、プロモーター配列などの一定の調節配列の調節下(すなわち、作動可能に連結されている)に置かれる。
【0040】
組換え宿主
発現ベクター、クローニングベクター、または任意のDNA分子中に所望のクローンニングされた遺伝子を含む任意の原核もしくは真核の生物または細胞。「組換え宿主」という用語はまた、宿主染色体またはゲノム上に所望の遺伝子を含むように遺伝子操作されている宿主細胞を含むことを意味する。
【0041】
宿主
複製可能な発現ベクター、クローニングベクター、または任意のDNA分子のレシピエントである任意の原核もしくは真核の生物または細胞。DNA分子は、構造遺伝子、プロモーターおよび/または複製起点を含み得るが、これらに限定されない。
【0042】
プロモーター
一般に、開始コドンに隣接して存在する遺伝子の5’領域として記載されるDNA配列。プロモーター領域では、隣接遺伝子の転写が開始される。
【0043】
遺伝子
ポリペプチドまたはタンパク質の発現に必要な情報を含むDNA配列。これには、プロモーターおよび構造遺伝子ならびにタンパク質発現に関連する他の配列が含まれる。
【0044】
構造遺伝子
伝令RNAに転写され、その後特定のポリペプチドに特徴的なアミノ酸配列に翻訳されるDNA配列。
【0045】
作動可能に連結された
本明細書中で使用されるように、構造遺伝子によってコードされるポリペプチド発現の開始を調節するようにプロモーターが配置されることを意味する。
【0046】
発現
発現は、遺伝子がポリペプチドを産生する過程である。これには、遺伝子の伝令RNA(mRNA)への転写およびこのようなmRNAのポリペプチドへの翻訳が含まれる。
【0047】
実質的に純粋な
本明細書中で使用される、「実質的に純粋な」とは、所望の精製タンパク質またはポリペプチドが、天然には所望のタンパク質またはポリペプチドに会合している細胞夾雑物を本質的に含まないことを意味する。夾雑細胞化合物には、ホスファターゼ、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、望ましくないDNAポリメラーゼ酵素を含み得るが、これらに限定されない。
【0048】
熱安定性
本明細書中で使用される、「熱安定性」とは、熱による不活化に耐性を示すポリペプチドまたは酵素(例えば、DNAポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、および逆転写酵素)をいう。例として、DNAポリメラーゼは、5’から3’方向でのプライマーの伸長によって一本鎖DNA鋳型に相補的なDNA分子の形成を合成する。中温性DNAポリメラーゼのこの活性を、熱処理で不活化することができる。例えば、T5 DNAポリメラーゼ活性は、90℃で30分間の酵素の曝露によって完全に不活化される。本明細書中で使用される、「熱安定性ポリメラーゼ活性」とは、中温性ポリメラーゼよりも高い熱不活化耐性を示す。しかし、熱安定性ポリメラーゼは、熱不活化に完全に耐性を示す酵素をいうことを意味しないので、熱処理によりいくらかのポリメラーゼ活性は減少し得る。熱安定性ポリメラーゼはまた、中温性ポリメラーゼよりも至適温度が高い。
【0049】
3’→5’エキソヌクレアーゼ活性
「3’→5’エキソヌクレアーゼ活性」とは、当技術分野で既知の酵素活性である。この活性は、しばしばDNAポリメラーゼに関連し、DNA複製「校正」または修正機構に関連すると考えられている。
【0050】
「3’→5’エキソヌクレアーゼ活性が実質的に減少したポリメラーゼ」は、本明細書中では(1)対応する非変異野生型酵素の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性の約10%またはそれ以下、好ましくは約1%またはそれ以下の変異または改変ポリメラーゼまたは(2)約1単位/mgタンパク質未満、または好ましくは約0.1単位/mgタンパク質またはそれ以下の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼのいずれかと定義する。3’→5’エキソヌクレアーゼ活性の活性単位を、「BRL 1989カタログおよび参照ガイド」のp5に記載のように末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)によって[3H]dTTPで標識したλDNAの3’末端のHhaI断片を用いてアッセイしたところ、37℃で60分間に10nmolの基質を溶解する活性の量と定義する。タンパク質を、ブラッドフォード(Bradford)、Anal. Biochem.、72:248、1976の方法によって測定する。比較手段として、pTTQ19−T5−2によってコードされる天然の野生型T5−DNAポリメラーゼ(DNAP)またはT5−DNAPの比活性は約10単位/mgタンパク質である一方で、pTTQ19−T5−2(エキソ)(米国特許第5,270,179号)によってコードされるDNAポリメラーゼの比活性は約0.0001単位/mgタンパク質(すなわち、非改変酵素の比活性の約0.001%(105倍の減少))である。
【0051】
5’→3’エキソヌクレアーゼ活性
「5’→3’エキソヌクレアーゼ活性」もまた、当技術分野で既知の酵素活性である。この活性は、しばしば大腸菌(E.coli)PolIおよびTaq DNAポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼに関連する。
【0052】
「5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に減少したポリメラーゼ」とは、本明細書中では(1)対応する非変異野生型酵素の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性の約10%またはそれ以下、好ましくは約1%またはそれ以下の変異または改変ポリメラーゼまたは(2)約1単位/mgタンパク質、または好ましくは約0.1単位/mgタンパク質またはそれ以下の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼのいずれかと定義する。
【0053】
3’→5’および5’→3’エキソヌクレアーゼ活性のどちらも、配列決定ゲルで観察することができる。活性な5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は、成長プライマーの5’末端からのヌクレオチドの除去による配列決定ゲルに非特異的ラダーが得られる。3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を、配列決定ゲル中の放射性標識プライマーの分解後に測定することができる。したがって、例えば、野生型と変異または改変ポリメラーゼとの比較によるこれらの活性の相対量を、日常的な実験だけで同定することができる。
【0054】
本明細書中で使用される組換えDNA技術および分子生物学および細胞生物学分野で使用される他の用語は、一般に当技術分野における業者に理解されている。
【0055】
リガンド
本発明のリガンドには、二本鎖核酸(すなわち、DNA/DNA、DNA/RNA、RNA/RNA、PNA/DNA、PNA/RNA、LNA/DNA、またはLNA/RNA)および/または一本鎖核酸(例えば、RNA、DNA、PNA、またはLNAまたはその組み合わせ)および/または一本鎖/二本鎖核酸複合体または他のオリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート結合、3’−O−メチルリボース塩基などを有する)に親和性を有する種々の化合物/分子(天然および合成を含む)が含まれる。したがって、本発明のリガンドを、本発明によって任意の天然または誘導体または合成核酸分子と共に使用することができる。多数の合成、天然、誘導体核酸分子が当技術分野で既知であり、日常的に合成、増幅、および配列決定反応における基質として使用されている。このような核酸分子は、修飾基、検出可能な標識、誘導体化ヌクレオチド、結合の改変、塩基修飾、糖の修飾などを含み得る。本発明によれば、このような天然、合成、および誘導合成、増幅、および配列決定用基質を、本発明のリガンド(カチオン性/ポリカチオン性化合物)と組み合わせて使用することができる。このようなリガンドには、このような核酸分子と結合するか親和性を有する任意のタンパク質、糖、ステロイド、または脂質を含み得るかこれらに由来し得る。このようなリガンドの例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:天然化合物(ヒストン、プロタミン、スペルミン、スペルミジン、および可動性の高い基を有するタンパク質など)、合成カチオン性化合物(DEAE−デキストラン、ポリブレン、ポリリジン、ポリヒスチジン、ポリペプチド、ポリアミドアミンカスケードポリマーもしくはデンドリマー、リポポリアミン、およびポリエチレンイミンなど)、およびカチオン性脂質またはカチオン性リポソーム製剤(「トランスフェクタム(商標)」(Promega)、「ドータップ(商標)」(Roche)、「ヒュージーン6(商標)」(Roche)、「エックストリームジーン Q2(商標)」(Roche)、「ジーンジェイマー(商標)」(Stratagene)、「ジーンポーター(商標)」(Gene Therapy Systems)、「イフェクテン(商標)」(Quiagen)、「スーパーフェクト(商標)」(Quiagen)、「リポフェクチン(LIPOFECTIN)(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「リポフェクトエース(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「リポフェクタミン(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「リポフェクタミン 2000(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「セルフェクチン(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)、「ディーエムリー−C(商標)」(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)など)、核酸がペプチドの結合によりスプライシングされないように核酸と相互作用する正電荷を持つ天然および合成ペプチド、カチオン性界面活性剤、および以下の特許に記載の他のカチオン性化合物:米国特許第4,812,449号、同第5,171,678号、同第5,186,923号、同第5,277,897号、同第5,208,036号、同第5,208,036号、同第5,264,618号、同第5,279,833号、同第5,334,761号、同第4,897,355号、同第5,459,127号、同第5,650,096号、同第5,744,335号、同第5,854,224号、同第5,670,347号、同第5,869,606号、同第5,906,922号、同第5,674,908号、国際公開公報第98/19709号、同第5,861,397号、米国特許第5,670,347号、国際公開公報第93/19768号、国際公開公報第00/27795号、国際公開公報第97/42819号、欧州特許第0846680号、米国特許第5,830,430号、国際公開公報第98/40502号、国際公開公報第98/40499号、国際公開公報第98/02190号、および国際公開公報第99/29712号。
【0056】
本発明により使用することができるカチオン性化合物は、式I:
【化1】
(式中、R1およびR2は独立して、H、C1−10アルキル、好ましくはC1−6アルキル、より好ましくはC1−3アルキルであり、YおよびZは独立して、−CH2CH2CH2CH2CH2−、CH=CHCH2CH2CH2−、−CH2CH=CHCH2CH2−、−CH2CH2CH=CHCH2−、−CH2CH2CH2CH=CH−、−CH=CHCH=CHCH2−、−CH=CH2CH2CH=CH−、および−CH2CH=CHCH=CH−からなる群より選択されるメンバーであり、nおよびqは独立して、3〜10、好ましくは3〜7の整数であり、mおよびpは独立して、2〜12、好ましくは4〜9の整数であり、但し、n+mとq+pとの合計が10〜17の整数であり、Xは陰イオンである)の化合物である。Xは、1価または2価の陰イオンであり得る。式Iの好ましい化合物には、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリドおよびN−ステアリル−N−オレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリドが含まれる。米国特許第5,753,613号を参照のこと。
【0057】
本発明により使用することができる別のカチオン性化合物群には、式II:
【化2】
(式中、R1は飽和または不飽和のC10−100の直鎖または分岐炭化水素鎖であり、
R2は、電子対、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、R5−NHC(O)−R6、R5−C(O)−O−R6、R5−NH−C(O)−NH−R6、R5−NH−C(S)−NH−R6、R5−NH−C(NH)−NH−R6、アルキルアミノアルキル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、およびアリール(全てを選択的に置換することができる)からなる群より選択され、
R3およびR4は独立して、互いに水素、C1−100アルキル、好ましくはC6−22アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、R5−NHC(O)−R6、R5−C(O)−O−R6、R5−NH−C(O)−NH−R6、R5−NH−C(S)−NH−R6、R5−NH−C(NH)−NH−R6、アルキルアミノアルキル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、およびアリール(全てを選択的に置換することができる)からなる群より選択され、R5およびR6は独立して、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレンである)のカチオン性脂質が含まれる。R2が電気対ではなく、選択的に1つまたはそれ以上の脂質凝集複合体を形成するための少なくとも1つの中性脂質である場合、Aは薬学的に許容可能な陰イオンである。米国特許第5,279,833号を参照のこと。
【0058】
好ましい局面では、R1は飽和または不飽和のC10−30の直鎖または分岐炭化水素鎖である。別の好ましい局面では、式II中のR3およびR4は、C1−3アルキルであり、R1およびR2の一方は不飽和C16−20アルキルであり、R1およびR2の他方は不飽和または飽和C16−20アルキルのどちらでもない。好ましくは、R1は飽和または不飽和のC10−30の直鎖または分岐炭化水素鎖である。好ましくは、R1は飽和または不飽和のC12−24の直鎖炭化水素鎖である。R2、R3、およびR4は独立して、水素、C1−20アルキル、C2−20アルキル、C4−20ヘテロアルキル、C4−20ヘテロアルケニル、C4−20ヘテロアルキニル、C6−12アリール(C1−20)アルキル、およびC6−12アリール(その全てを選択的に置換することができる)からなる群より選択される。より好ましくは、R1は飽和または不飽和のC14−20の直鎖または分岐炭化水素鎖であり、R2は、水素、C6−18アルキル、C6−18アルケニル、C6−18アルキニル、C6−18ヘテロアルキル、C6−18へテロアルケニル、C6−18へテロアルキニル、フェニル(C6−18)アルキル、およびフェニルからなる群より選択され、R3およびR4は独立して、水素、C1−5アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C2−5ヘテロアルキル、C2−5へテロアルケニル、C2−5へテロアルキニル、フェニル(C1−5)アルキル、特にベンジルおよびフェニル(その全てを選択的に置換することができる)からなる群より選択される。式IIのカチオン性脂質の別の有用な群は、R1およびR2が共にC10−20飽和アルキル基であるものである。
【0059】
別の好ましい局面では、カチオン性脂質は、式III:
【化3】
を有する。
【0060】
Aは任意の融和性陰イオンである。R1およびR2は、上記の式IIで定義されている。これらの陰イオンは有機であるか無機である得る。Aは好ましくは、Br−、Cl−、F−、I−であるハロゲンであり、またはAは、硫酸塩、亜硝酸塩、もしくは硝酸塩である。好ましい化合物には、臭化セチルジメチルエチルアンモニウムおよび臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB)が含まれる。
【0061】
別の好ましい局面では、カチオン性化合物は、式IV:
【化4】
(式中、R1およびR2は独立して、6〜24個の炭素原子のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R3、R4、およびR5は、独立して、水素、1〜8個の炭素原子のアルキル、6〜11個の炭素原子のアリルまたはアラルキルであり、または、R3、R4、およびR5のうち2つまたは3つは、正電荷の窒素原子と組み合わせて、5〜8原子の環状構造を形成し、正電荷の窒素原子に加えて、構造中の原子は炭素原子であり、1つの酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を含むことができ、nは1〜8であり、Xは陰イオンである)またはその鏡像異性体を有する。式IVの好ましい化合物は、N−(2,3−ジ(9−(Z)−オクタデセニルオキシ))−プロプ−1−イル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)である。米国特許第5,550,289号を参照のこと。
【0062】
式V:
【化5】
(式中、Ra基、Rb基、Rc基、およびRd基は独立して、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、またはC22の直鎖アルキルまたはアルケニル基である)を有する脂質もまた本発明の実施に有用である。好ましい態様では、より長い脂質(C18−C22)を使用する。好ましい式Vの化合物には、テトラメチルテトラパルミチルスペルミン(TMTPS)、テトラメチルテトララウリルスペルミン(TMTLS)、テトラメチルテトラミリスチルスペルミン(TMTMS)、テトラメチルテトラステリルスペルミン(TMTSS)およびテトラメチルテトラオレオイルスペルミン(TMTOS)が含まれる。国際公開公報第98/40499号を参照のこと。
【0063】
別の態様では、カチオン性脂質は、式VI:
【化6】
(式中、RおよびR1はそれぞれ独立して11個から29個の炭素原子を含む直鎖、脂肪族炭化水素基であり、Xは、1価または多価の陰イオンである)を有する窒素含有イミダゾリニウム由来のカチオン性脂質である。選択的に、RおよびR1をカルボキシル基に置換して、双極性化合物を得ることができる。式VIの好ましい化合物は、1−(2−(オレオイルオキシ)エチル)−2−オレイル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムである。米国特許第5,830,878号を参照のこと。
【0064】
別の好ましい態様では、カチオン性化合物には、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)およびジパルミトイルホスファチジルエタノールアミドスペルミン(DPPES)が含まれる。両方の化合物では、陰イオンは、ベア(J.Behr)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、86、6982〜6986、1989に記載のトリフルオロ酢酸または他の陰イオンであり得る。
【0065】
別の好ましい態様では、本発明により使用することができるカチオン性化合物には、(1−{(3−アミノプロピル)−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチル]−カルバモイル}−2−フェニルエチル)カルバミン酸17−(1,5−ジメチルヘキシ)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ{a}フェナントレン−3−イルエステル;[1−{(3−アミノ−プロピル)−[4−(3−アミノ−プロピルアミノ)ブチル]カルバモイル}−2−(4−ヒドロキシフェニル)−エチル]カルバミン酸17−(1,5−ジメチルヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ{a}フェナントレン−3−イルエステル;{5−アミノ−5−[(4−アミノブチル)−(3−アミノ−プロピル)カルバモイル]ペンチル}カルバミン酸17−(1,5−ジメチルヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[α]フェナントレン−3−イルエステル;(5−アミノ−5{(3−アミノ−プロピル)−[4−(3−アミノプロピル−アミノブチル]カルバモイル}−ペンチル)カルバミン酸17−(1,5−ジメチルヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[α]フェナントレン−3−イルエステル;および(5−アミノ−1−{3−アミノプロピル)−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチル]カルバモイル}ペンチル)− カルバミン酸17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[α]フェナントレン−3−イルエステルが含まれる。米国特許第5,948,925号を参照のこと。
【0066】
別の好ましい態様では、本発明により使用することができるカチオン性化合物には、以下が含まれる:コレステリル−3β−カルボキシル−アミドエチレントリメチルアンモニウムヨージド、1−ジメチルアミノ−3−トリメチル−アンモニオ−DL−2−プロピル−コレステリルカルボン酸ヨージド、コレステリル−3β−カルボキシアミドエチレンアミン、コレステリル−3β−オキシスクシンアミドエチレントリメチルアンモニウムヨージド、1−ジメチルアミノ−3−トリメチルアンモニオ−DL−2−プロピル−コレステリル−3β−オキシコハク酸ヨージド、2−[(2−トリメチルアンモニオ)−エチルメチルアミノ]エチル−コレステリル−3β−オキシコハク酸ヨージド、3β[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール、および3β−[N−(ポリエチレンイミン)−カルバモイル]コレステロール。米国特許第5,283,185号を参照のこと。
【0067】
別の好ましい態様では、本発明により使用することができるカチオン性化合物には、以下が含まれる:スペルミンコレステロールカルバメート、N4−スペルミンコレステロールカルバメート、N,N−ジオクタデシルリジンアミド、リジン3−N−ジヒドロコレステリルカルバメート、およびN1N1−ジオクタデシル−1,2,6−トリアミノヘキサン。米国特許第5,650,096号を参照のこと。
【0068】
別の好ましい態様では、カチオン性化合物は、式VII:
【化7】
(式中、R1およびR4は同一であっても異なっていてもよく、選択的に少なくとも1つのエーテルの酸素原子が割り込まれたアルキル鎖を有するアルキル、アリール、アリールアルキル、またはシクロアルキルであり、
R2およびR3は同一であっても異なっていてもよく、R1、R4、またはHであり、
N1、N2、N3、およびN4は生理学的pHでプロトン化することができる窒素原子であり、
A、B、およびCは同一であっても異なっていてもよく、ポリアミンが、
(i)ヒトまたは非ヒト動物へのポリアミンの投与の際に標的細胞によって取り込むことができ、ポリアミンのヒトまたは非ヒト動物への投与の際に細胞内または細胞表面上に存在する受容体の少なくとも1つのポリアミン部位に結合することができ、
(ii)標的細胞による取り込みの際、正電荷窒素原子と生物学的対陰イオンとの間の静電的相互作用を介して競合的に結合するように窒素原子の間の距離が有効に維持される架橋基であり、
細胞中の生物学的対陰イオンへの結合の際、ポリアミンは細胞内ポリアミンと生物学的に異なる様式で機能し、さらに、少なくとも1つの前記架橋基A、B、およびCは窒素原子のいずれかに対してαではない少なくとも1つの−CH(OH)−基を含む)を有するポリアミンまたはその可能な立体異性体またはその薬学的に許容可能な酸との塩である。好ましい式VIIの化合物には、ジエチルノルスペルミン(DENSPM)、MENSPM、DENSPM、DIPNSPM、DMSPM、MESPM、DESPM、DPSPM、FDESPM、DMHSPM、MEHSPM、DEHSPM、DIPHSPM、ETBHSPM、DTBHSPM、DE(3,4,4)、DE(4,5,4)、PIP(3,4,3)、PYR(3,3,3)、PIP(4,4,4)、PYR(4,4,4)、PIP(5,4,5)、BAHSPM、CHX(4,4,4)−トランス、およびCHX(3,4,3)−トランスが含まれる。米国特許第5,962,533号を参照のこと。
【0069】
本発明は、さらに、式VIII:
【化8】
(式中、x、y、およびzは独立して、0〜100までの整数であり、
各X1は独立して、−O−、−S−、−NR5−、−C(=X2)−、−C(=X2)−N(R5)−、−N(R5)−C(=X2)−、−C(=X2)−O−、−O−C(=X2)−または−X2−(R5X2)P(=X2)−X2−であり、
各X2は独立して、OまたはSであり、
各Y1は独立して、リン酸残基、N(R6)a−、S(R6)a−、P(R6)a−、または−CO2R6(式中、aは1〜3の整数である)であり、
各Y2は独立して、−N(R6)b−、S(R6)b−、またはP(R6)b−(式中、bは0〜2の整数である)であり、
各Y3は独立して、リン酸残基、N(R6)a−、S(R6)a−、P(R6)a−、または−CO2R6(式中、aは1〜3の整数である)であり、
各R1、R2、R3、およびR4は独立して、2個から約20個の炭素のアルキレンであり、
各R5は独立して、水素または1個から約10個の炭素のアルキルであり、
各R6は独立して、−[R7−X3]c−R8または−R9−[X4−R10]d−Qであり、
各cおよびdは独立して、0〜約100の整数であり、
Qは独立して、リン酸残基、−N(R11)q−、S(R11)q−、P(R11)q−、または−CO2R11(式中、aは1〜3の整数である)であり、
各X3およびX4は独立して、−O−、−S−、−NR5−、−C(=X2)−、−C(=X2)−N(R5)−、−N(R5)−C(=X2)−、−C(=X2)−O−、−O−C(=X2)−または−X2−(R5X2)P(=X2)−X2−であり、
各R7は独立して、2個から約20個の炭素のアルキレンであり、
各R8は独立して、水素または1個から約60個の炭素のアルキルであり、
各R9およびR10は独立して、2個から約20個の炭素のアルキレンであり、
各R11は独立して、−[R7−X3]c−R8または−R9−[X4−R10]d−Wであり、
各Wは独立して、リン酸残基、−N(R12)w−、S(R12)w−、P(R12)w−、または−CO2R12(式中、wは1〜3の整数である)であり、
R12は−[R7−X3]c−R8であり、但し、式(I)の化合物は、少なくとも2つの第四級の塩を含む)のカチオン性脂質化合物の使用を意図する。好ましい式VIIIの化合物には、N,N’−ビス(ドデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N’−ビス−(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N,N’−ジメチル−エチレンジアミンテトラヨージド(EDTA−LA−TMAテトラヨージド);N,N’−ビス(ドデシルアミノカルボニルメチレン)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸(EDTA−LA);N,N’’−ビス(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N’,N’’−トリス(β−N,N,N−トリエチルアンモニウムエチルアミノカルボキシメチレン)−N,N’,N’’−トリ−メチルジエチレントリアミンヘキサヨージド(DTPA−HA−TMEヘキサヨージド);N,N’−ビス(ドデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N’−ビス(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N,N’−ジメチルシクロヘキシレン−1,4−ジアミンテトラヨージド(CDTA−LA−TMAテトラヨージド);1,1,7,7,−テトラ(β−N,N,N,N−テトラ−メチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−4−ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン−N,N’,N’’−トリメチル−1,4,7−トリアザヘプタンヘプタヨージド(DTPA−MHA−TTMAヘプタヨージド);N,N’−ビス(ドデシルオキシカルボニルメチレン)−N,N’−ビス(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)エチレンジアミンジヨージド;N,N,N’’,N’’−テトラ(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N’−(1,2−ジオレオイルグリセロ−3−ホスホエタノールアミノカルボニルメチレン)ジエチレントリアミンテトラヨージド;N,N’−ビス(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン−N,N’−ビス(トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−エチレンジアミンジヨージド;N,N’−ビス(ヘキサデシルオキシカルボニルメチレン)−N−(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N−メチル−N’−(カルボキシメチレン)エチレンジアミンジヨージド;およびN,N’−ビス(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N’−ビス(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N,N−ジメチルエチレンジアミンテトラヨージドが含まれる。米国特許第5,830,430号を参照のこと。
【0070】
本発明はまた、式IX:
【化9】
(式中、R1およびR2は、個別または共にC1−23アルキルまたは
アルキルまたはアルケニルであり、qは1〜6であり、
【化10】
Z1およびZ2は、個別または共にHまたは非分岐アルキルC1−6であり、
X1は−(CH2)nBr、Cl、F、またはI(n=0−6)であるか、
X2は−(CH2)nNH2(n=0−6)であるか、
X3は−NH−(CH2)mNH2(m=2−6)であるか、
X4は−NH−(CH2)3NH−(CH2)4−NH2であるか、
X5は−NH−(CH2)3−NH(CH2)4−NH(CH2)3−NH2であり、
X6は、
【化11】
であり、
X7は、
【化12】
であり、
X8は、
【化13】
であり、
pは2〜5であり、YはHまたはアミド基またはアルキルアミノ基に結合した他の基であり、
X9は、ポリアミン(例えば、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリブレン、ヒストン、またはプロタミンであるか、
X10は、レポーター分子(例えば、
【化14】
ビオチン、葉酸、またはPPD)であるか、
X11は、多糖類または置換多糖類であるか、
X12はタンパク質であるか、
X13は抗体であるか、
X14は、アミンまたはハロゲン化反応基であるか、
X15は、−(CH2)r−SH(式中、rは0〜6である)であるか、
X16は、−(CH2)s−S−S−(CH2)t−NH2(sは0〜6であり、tは2〜6である)である)のカチオン性化合物の使用を意図する。国際公開公報第94/27435号を参照のこと。
【0071】
複合体は、少なくとも1つの中性脂質をさらに含み得る。使用することができる中性脂質の例には、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、およびコレステロールが含まれる。好ましくは、中性脂質は、ジアシルホスファチジルコリン(ジオレイホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、パルミトイルオレイルホスファチジルコリンなど)、レシチンおよびリゾレシチン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、およびコレステロールからなる群より選択される。より好ましくは、中性脂質は、アシル基中に10個から24個の炭素原子を有するジアシルホスファチジルエタノールアミンである。より好ましくは、アシル基は、ラウロイル、ミリストイル、ヘプタデカノイル、パルミトイル、ステアロイル、またはオレイルである。特に、中性脂質は、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレイルホスファチジルエタノールアミン、ジヘプタデカノイルホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、β−リノレイル−γ−パルミトイルホスファチジルエタノールアミン、およびβ−オレイル−γ−パルミトイルホスファチジルエタノールアミン、特に、ジオレイルホスファチジル−エタノールアミン(DOPE)である。
【0072】
カチオン性脂質と中性脂質との比は、使用した特定のカチオン性脂質に依存して広範に変化し得る。例えば、比は、約1:10から約10:1、好ましくは約1:7から約7:1、より好ましくは約1:5から約5:1、より好ましくは約2.5:1から約1:2.5であり得る。
【0073】
有用なアルキル基には、直鎖および分岐C1−18アルキル基、好ましくは、C1−10アルキル基、より好ましくはC1−5アルキル基が含まれる。典型的なC1−18アルキル基には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、およびオクタデシル基が含まれる。
【0074】
有用なアルケニル基は、C2〜18アルケニル基、好ましくはC2〜10アルケニル基、より好ましくはC2〜6アルケニル基である。典型的なC2〜18アルケニル基には、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、sec−ブテニル、ヘキセニル、オクテニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル(特に、9−テトラデセニル)、ヘキサデセニル(特に9−ヘキサデセニル)、およびオクタデセニル(特に、9−オクタデセニル基)が含まれる。
【0075】
有用なアルキル基は、C2〜18アルキニル基、好ましくはC2〜10アルキニル基、より好ましくはC2〜6アルキニル基である。典型的なC2〜18アルキニル基には、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、2−ブチニル基、ヘキシニル基、オクチニル基、デシニル基、ドデシニル基、テトラデシニル基、ヘキサデシニル基、およびオクタデシニル基が含まれる。
【0076】
典型的なヘテロアルキル基には、OまたはSで置換された1つまたはそれ以上のCH2基を有する上記のC1〜18アルキル基のいずれかが含まれる。
【0077】
典型的なヘテロアルケニル基には、OまたはSで置換された1つまたはそれ以上のCH2基を有する上記のC2〜18アルケニル基のいずれかが含まれる。
【0078】
典型的にヘテロアルキニル基には、OまたはSで置換された1つまたはそれ以上のCH2基を有する上記のC2〜18アルキニル基のいずれかが含まれる。
【0079】
典型的に、アルキルアミノアルキル基は、R7−NH−R8(R7およびR8は上記定義のアルキレン基である)である。
【0080】
有用なアリール基は、C6〜14アリール、特にC6〜10アリールである。典型的なC6〜14アリール基には、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラシル、インデニル、アズレニル、ビフェニル、ビフェニルエニル、およびフルオレニル基が含まれる。
【0081】
有用なアリールアルキル基には、上記C6〜14アリール基のいずれかで置換されたC1〜18アルキル基のいずれかが含まれる。有用な価には、ベンジル、フェネチル、およびナフチルメチルが含まれる。
【0082】
有用なアリールアルケニル基には、上記C6〜14アリール基のいずれかで置換されたC2〜18アルケニル基のいずれかが含まれる。
【0083】
有用なアリールアルキニル基には、上記C6〜14アリール基のいずれかで置換されたC2〜18アルキニル基のいずれかが含まれる。有用な基には、フェニルエチニルおよびフェニルプロピニルが含まれる。
【0084】
有用なハロ基またはハロゲン基には、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が含まれる。
【0085】
有用なハロアルキル基には、1つまたはそれ以上のフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素で置換されたC1〜10アルキル基(例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、およびトリクロロメチル基)が含まれる。
【0086】
有用なヒドロキシアルキル基には、水酸基で置換されたC1〜10アルキル基(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、およびヒドロキシブチル基)が含まれる。
【0087】
有用なアルコキシ基には、上記C1〜10アルキル基の1つを置換する酸素が含まれる。
【0088】
有用なアルキルチオ基には、上記C1〜10アルキル基の1つで置換する硫黄が含まれる。
【0089】
有用なアシルアミノ基は、任意のアシル基、特に、アミノ窒素に結合したC2 〜6アルカノイルまたはC6〜10アリール(C2〜6)アルカノイル(例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、ブタノイルアミド、ヘンタノイルアミド、ヘキサノイルアミド、およびベンゾイル)である。
【0090】
有用なアシルオキシ基は、オキシ(−O−)基に結合した任意のC1〜6アシル(アルカノイル)(例えば、アセトキシ、プロピオノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシなど)である。
【0091】
有用なアルキルアミノおよびジアルキルアミノ基は、−NHR9およびNR9R10(式中、R9およびR10はC1〜10アルキル基である)である。
【0092】
アミノカルボニル基は、−(CO)NH2である。
【0093】
有用なアルキルチオール基には、−SH基で置換された上記のC1〜10アルキル基のいずれかが含まれる。
【0094】
カルボキシ基は、−COOHである。
【0095】
ウレイド基は、−NH−C(O)−NH2である。
【0096】
アミノ基は、−NH2である。
【0097】
R基に対する選択的な置換基には、上記のハロゲン、ハロ(C1〜6)アルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヒドロキシ(C1〜6)アルキル、アミノ(C1〜6)アルキル、カルボキシ(C1〜6)アルキル、アルコキシ(C1〜6)アルキル、ニトロ、アミノ、ウレイド、アシルアミノ、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、およびC1〜6アルキルチオール基が含まれる。好ましい選択的置換基には、ヒドロキシ(C1〜6)アルキル、アミノ(C1〜6)アルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、ニトロ、C1〜6アルキル、アルコキシ、チオール、およびアミノが含まれる。
【0098】
認識されるように、他のリガンド(天然、非天然、修飾など)を選択して本発明で使用することができる。このような選択を、二本鎖および/または一本鎖および/または一本鎖/二本鎖核酸複合体核酸結合研究および/または核酸合成阻害アッセイ法によって行うことができる。好ましいリガンドは、ポリカチオン性であり、好ましくは、一定条件下で望ましくない酵素活性の阻害に十分に安定な核酸と複合体を形成する。好ましくは、複合体は、ポリメラーゼおよび/またはヌクレアーゼ活性を阻害する。1つの局面では、核酸と複合体を形成し、且つトランスフェクションが可能なトランスフェクション剤を、本発明に従って使用することができる。本発明で使用されるカチオン性またはポリカチオン性化合物/分子/組成物を、既知の技術で合成するか、購入することができる。
【0099】
本発明のリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を、好ましくは、合成、配列決定、または増幅反応において、ポリメラーゼまたは逆転写酵素の存在下でこのような合成、配列決定、または増幅の防止または阻害に十分な最終濃度で使用する。本発明のリガンドとポリメラーゼまたは逆転写酵素との比は、使用するポリメラーゼまたは逆転写酵素およびリガンドによって変化し得る。合成、配列決定、または増幅反応についてのリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物):ポリメラーゼ/逆転写酵素比は、約0.001から1,000,000:1;約0.01から100,000:1;約0.1から10,000:1;約1から1,000:1;約1から50:1;約1から10:1;約1から5:1;または約1から2:1の範囲であり得る。勿論、本発明での使用に適切なこのような適切なリガンド:ポリメラーゼ/逆転写酵素比は、当技術分野の業者に明らかであるか、日常的実験のみで同定される。
【0100】
核酸合成法
本発明のリガンド(特に、カチオン性化合物/分子/組成物)を、核酸合成法で使用することができる。特に、本発明のリガンドは、特にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの増幅反応において非特異的核酸合成を減少させることが発見された。したがって、本発明のカチオン性化合物/分子/組成物を、DNA(cDNAを含む)およびRNAなどの核酸分子の合成を必要とする任意の方法で使用することができる。本発明のリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を有利に使用し得る方法には、リガンドが解離するか変性または不活化する温度より低い温度で反応を設定し、その後核酸からリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を解離するかリガンドを変性または不活化して核酸合成または増幅が起こる温度に上昇する(または他の反応条件を変化させる)ことによって反応を開始する核酸合成法、核酸増幅法(「ホットスタート」合成または増幅を含む)が含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
本発明の局面による核酸合成法は、1つまたはそれ以上の工程を含み得る。例えば、本発明は、(a)1つまたはそれ以上の核酸鋳型を1つまたはそれ以上のプライマーおよび上記の本発明のリガンド(例えば、ポリカチオン性またはカチオン性の化合物/分子/組成物)およびポリメラーゼ活性または逆転写酵素活性を有する1つまたはそれ以上の酵素と混合して混合物を形成する工程と、(b)混合物を核酸合成の阻害に十分な条件下でインキュベートする工程と、(c)混合物を鋳型の全部または一部に相補的な1つまたはそれ以上の第1の核酸分子の作製に十分な条件下でインキュベートする工程とを含む、1つまたはそれ以上の核酸分子の合成法を提供する。本発明の局面によれば、核酸鋳型は、1つのcDNA分子もしくはライブラリーなどのDNA分子、1つのmRNA分子(もしくはmRNA分子集団)などのRNA分子、またはその任意の他の誘導体であり得る。pH、温度、イオン強度、およびインキュベーション時間などの合成に十分な条件を、当業者によって至適化され得る。
【0102】
さらに、本発明で使用されるポリメラーゼ活性を有する酵素(例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、および逆転写酵素)を、例えば、インビトロゲンコーポレーション、ライフテクノロジーディビジョン(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division)(Rockville、Maryland)、パーキンエルマー(Perkin−Elmer)(Branchburg、New Jersey)、ニューイングランドバイオラボズ(New England BioLabs)(Beverly、Massachusetts)、またはベーリンガーマンハイムバイオケミカルズ(Boehringer Mannheim Biochemicals)(Indianapolis、Indiana)から購入することができる。本発明で使用される逆転写酵素活性を有する酵素を、例えば、インビトロゲンコーポレーション、ライフテクノロジーディビジョン(Rockville、Maryland)、ファルマシア(Pharmacia)(Piscataway、NewJersey)、シグマ(Sigma)(Saint Louis、Missouri)またはベーリンガーマンハイムバイオケミカルズ(Indianapolis、Indiana)から購入することができる。または、ポリメラーゼまたは逆転写酵素を、当業者に既知の天然タンパク質の標準的単離および精製法に従って、天然のウイルスまたは細菌供給源から単離することができる(例えば、Houts,G.E.ら、J.Virol.、29:517、1979を参照のこと)。さらに、このようなポリメラーゼ/逆転写酵素を、当業者に既知の組換えDNA技術によって調製することができる(例えば、Kotewicz,M.L.ら、Nucl.Acids Res.、16:265、1988;Soltis,D.A.およびSkalka,A.M.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:3372から3376、1988を参照のこと)。ポリメラーゼ活性および逆転写酵素活性を有する酵素の例には、以下を含むDNAポリメラーゼを含み得るが、これらに限定されない:サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)(Tth)DNAポリメラーゼ、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)(Taq)DNAポリメラーゼ、サーモトガ・ネオポリタナ(Thermotoga neopolitana)(Tne)DNAポリメラーゼ、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)(Tma)DNAポリメラーゼ、サーモトガ・リトラリス(Thermococcus litoralis)(TliまたはVENT(商標))DNAポリメラーゼ、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(Pfu)DNAポリメラーゼ、ディープベント(DEEPVENT)(商標)DNAポリメラーゼ、、ピロコッカス・ウーシィ(Pyrococcus woosii)(Pwo)DNAポリメラーゼ、ピロコッカス属KOD2(KOD)DNAポリメラーゼ、バチルス・ステロサーモフィラス(Bacillus sterothermophilus)(Bst)DNAポリメラーゼ、バチルス・カルドフィラス(Bacillus caldophilus)(Bca)DNAポリメラーゼ、サルフォロバス・アシッドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)(Sac)DNAポリメラーゼ、サーモプラズマ・アシッドフィラム(Thermoplasma acidophilum)(Tac)DNAポリメラーゼ、サーマス・フラバス(Thermus flavus)(Tfl/Tub)DNAポリメラーゼ、サーマス・ラバー(Thermus ruber)(Tru)DNAポリメラーゼ、サーマス・ブロキアナス(Thermus brockianus)(DYNAZYME(商標))DNAポリメラーゼ、メタノバクテリウム・サーモオートフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)(Mth)DNAポリメラーゼ、マイコバクテリアDNAポリメラーゼ(Mtb、Mlep)、大腸菌polIDNAポリメラーゼ、T5 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、および一般にpolI、polIII、ファミリーA、ファミリーB、およびファミリーC型DNAポリメラーゼ、ならびにその変異体、変異型、および誘導体。RNAポリメラーゼ(T3、T5、およびSP6ならびにその変異体、変異型、および誘導体)もまた、本発明に従って使用することができる。DNA親和性が増大する変異は、ポーレスキー(Polesky)ら、1990、J.Biol.Chem.、265、14579〜14591に記載されている。上記のポリペプチドを所望の目的のために変更することは当業者の範囲内である。
【0103】
本発明で使用した核酸ポリメラーゼは、中温性または好熱性であってよく、好ましくは好熱性である。好ましい中温性DNAポリメラーゼには、大腸菌、インフルエンザ菌(H.influenzae)、D.ラディドオランス(D.radiodurans)、ピロリ菌(H.pylori)、C.アウランティカス(C.aurantiacus)、発疹チフスリケッチア(R.prowazekii)、梅毒トレポネーマシスティス(T.pallidum)、シネコシスティス(Synechocystis)属、枯草菌(B.subtilis)、乳酸菌(L.lactis)、肺炎球菌(S.pneumoniae)、結核菌(M.tuberculosis)、ライ菌(M.lerae)、M.スメグマティス(M.smegmatis)、バクテリオファージL5、phi−C31、T7、T3、T5、SP01、SP02、出芽酵母(S.cerevisiae)MIP−1由来のミトコンドリア、および真核生物線虫(C.elegans)およびキロショウジョウバエ(D.melanogaster)などの生物から単離することができるDNAポリメラーゼ(およびその各クレノウ断片)のPolIファミリー(Astatke,M.ら、1998、J.Mol.Biol.、278、147〜165)、ならびに任意の供給源、およびその変異体、誘導体、または変異型について単離されたファミリーA、ファミリーB、ファミリーC、およびpolIII型DNAポリメラーゼが含まれる。本発明および本発明の組成物で使用することができる好ましい熱安定性DNAポリメラーゼには、Taq、Tne、Tma、Pfu、Tfl、Tth、ストッフェル(Stoffel)断片、ベント(VENT)(商標)およびディープベント(商標)DNAポリメラーゼ、エキソヌクレオチド活性の減少、実質的に減少、または活性を示さないように好ましく改変された変異体、変異型、および誘導体が含まれる(米国特許第5,436,149号、同第4,889,818号、同第4,965,188号、同第5,079,352号、同第5,614,365号、同第5,374,553号、同第5,270,179号、同第5,047,342号、同第5,512,462号、国際公開公報第92/06188号、国際公開公報第92/06200号、国際公開公報第96/10640号、バーンズ(Barnes,W.M.)、Gene、112:29〜35、1992、ローヤー(Lawyer,F.C.)ら、PCR Meth.Appl.、2:275〜287、1993、フレイマン(Flaman,J.−M.)ら、Nucl.Acids Res.、22(15):3259〜3260、1994)。
【0104】
本発明で使用される逆転写酵素には、逆転写活性を有する任意の酵素が含まれる。このような酵素には、以下が含まれるが、これらに限定されない:レトロウイルス逆転写酵素、レトロトランスポゾン逆転写酵素、B型肝炎逆転写酵素、カリフラワーモザイクウイルス逆転写酵素、細菌逆転写酵素、TtDNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ(Saiki,R.K.ら、Science、239:487〜491、1988、米国特許第4,889,818号、および同第4,965,188号)、Tne DNAポリメラーゼ(国際公開公報第96/10640号および国際公開公報第97/09451号)、Tma DNAポリメラーゼ(米国特許第5,374,553号)、およびその変異体、変異型、または誘導体(例えば、国際公開公報第97/09451号および国際公開公報第98/47912号を参照のこと)。本発明で使用される好ましい酵素には、RNアーゼH活性が減少、実質的に減少、または消失したものが含まれる。「RNアーゼH活性が実質的に減少する」とは、酵素活性が対応する野生型またはRNアーゼH+酵素(野生型モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)、トリ骨髄芽細胞症ウイルス(AMV)、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)逆転写酵素など)のRNアーゼ活性の約20%未満、より好ましくは約15%、10%、または5%未満、最も好ましくは約2%未満であることを意味する。任意の酵素のRNアーゼH活性を、例えば、米国特許第5,244,797号、コートウィックズ(Kotewicz,M.L.)ら、Nucl.Acids Res.、16:265、1988、およびゲラード(Gerard,G.F.)ら、FOCUS、14(5):91、1992(その開示の全てが本明細書中で参照として組み入れられる)に記載の種々のアッセイ法によって決定することができる。本発明での使用に特に好ましいポリペプチドには、以下が含まれるが、これらに限定されない:M−MLV H−逆転写酵素、RSV H−逆転写酵素、AMV H−逆転写酵素、RAV(ラウス関連ウイルス)H−逆転写酵素、MAV(骨髄芽細胞症関連ウイルス)H−逆転写酵素、およびHIV H−逆転写酵素(米国特許第5,244,797号および国際公開公報第98/47912号を参照のこと)。しかし、リボ核酸分子からDNA分子を産生することができる(すなわち、逆転写酵素活性を有する)任意の酵素を、本発明の組成物、方法、およびキットで同様に使用することができると当業者に理解される。
【0105】
本発明によれば、インプットもしくは鋳型核酸分子またはライブラリーを、種々の細胞、組織、器官、または生物などの天然供給源から得た核酸分子集団から調製することができる。核酸分子供給源として使用することができる細胞は、原核生物(エッシェリキア(Escherichia)属、バチルス属、セラチア(Serratia)属、サルモネラ(Salmonella)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、クロストリジウム(Clostridium)属、クラミジア(Chlamydia)属、ナイセリア(Neisseria)属、トレポネーマ(Treponema)属、マイコプラズマ(Mycoplasma)属、ボレリア(Borrelia)属、レジオネラ(Legionella)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、マイコバクテリア(Mycobacterium)属、ヘリコバクター(Helicobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、リゾビウム(Rhizobium)属、およびストレプトミセス(Streptomyces)属を含む細菌細胞)または真核生物(真菌(特に、酵母)、植物、原生動物、および他の寄生虫、および動物(昆虫(特に、ショウジョウバエ(Drosophila)属細胞)線虫(特に、線虫(Caenorhabditis elegans)細胞)、および哺乳動物(特に、ヒト細胞)を含む)であり得る。
【0106】
一旦出発細胞、組織、器官、または他の試料が得られると、核酸分子(DNA、RNA(例えば、mRNAまたはポリA+RNA)分子など)を、当技術分野で既知の方法によってこれらから単離するか、cDNA分子またはライブラリーを調製することができる(例えば、Maniatis,T.ら、Cell、15:687〜701、1978、Okayama,H.およびBerg,P.、Mol.Cell Biol.、2:161〜170、1982、Gubler,U.およびHoffman,B.J.、Gene、25:263〜269、1983を参照のこと)。
【0107】
本発明の好ましい局面の実施では、第1の核酸分子を、上記のようにして得た核酸鋳型(好ましくは、mRNA分子またはポリA+RNA分子などのDNA分子またはRNA分子である)を1つまたはそれ以上の本発明の上記リガンド(または種々のその組み合わせ)と混合して混合物を形成させることによって合成することができる。核酸鋳型の全部または一部に相補的な第1の核酸分子の合成を、好ましくは、反応温度の上昇および本発明のリガンド(例えば、カチオン性の化合物/分子/組成物)変性または不活化の後に行い、それにより核酸合成基質(例えば、二本鎖プライマー/鋳型ハイブリッドおよび一本鎖プライマー、および鋳型)が遊離し、逆転写が優先され(RNA鋳型の場合)、および/またはインプットまたは鋳型核酸分子が重合される。このような合成を、好ましくは、ヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)、ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTP)またはその誘導体)の存在下で行う。
【0108】
勿論、このリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を有利に使用し得る核酸合成の他の技術は、当業者に容易に明らかであると思われる。
【0109】
増幅および配列決定法
本発明の他の局面では、リガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を、核酸分子の増幅法または配列決定法で使用することができる。本発明の局面に係る核酸増幅法は、一工程(例えば、一工程RT−PCR)または二工程(例えば、二工程RT−PCR)逆転写酵素増幅反応として当技術分野で一般的に既知の方法における逆転写活性を有する1つまたはそれ以上のポリペプチドの使用をさらに含み得る。長い核酸分子(すなわち、約3Kbから5Kb長を超える)の増幅のために、国際公開公報第98/06736号および国際公開公報第95/16028号に記載のようにDNAポリメラーゼを組み合わせて使用することができる。
【0110】
本発明のこの局面に係る増幅法は、1つまたはそれ以上の工程を含み得る。例えば、本発明は、(a)核酸鋳型を1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)(または本明細書中に記載の種々のリガンドの組み合わせ)と混合して、混合物を形成する工程と、(b)ポリメラーゼ活性を有する酵素による鋳型の全部または一部に相補的な核酸分子の増幅可能な十分な条件下で前記混合物をインキュベートする工程を含む、核酸分子の増幅法を提供する。好ましい局面では、合成を優先させる条件により、核酸からリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)が解離されるか、本発明のリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を変性または不活化させる。本発明はまた、このような方法によって増幅した核酸分子を提供する。
【0111】
核酸分子または断片の一般的な増幅法および分析法は、当業者に既知である(例えば、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、イニス(Innis,M.A.)ら編、「PCRプロトコール:方法および適用ガイド(PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications)」、San Diego、California、Academic Press,Inc.、1990、グリフィン(Griffin,H.G.)およびグリフィン(Griffin,A.M.)編、「PCR法:技術革新(PCR Technology:Current Innovations)」、Boca Raton、Florida、CRC Press、1994を参照のこと)。例えば、本発明に従って使用することができる増幅法には、PCR(米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号)、鎖置換増幅(SDA:米国特許第5,455,166号、欧州特許第0 684 315号)、および核酸配列を用いた増幅(NASBA:米国特許第5,409,818号、欧州特許第0 329 822号)が含まれる。
【0112】
典型的には、これらの増幅法は、(a)核酸試料を1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)、1つまたはそれ以上のプライマー配列の存在下で核酸ポリメラーゼ活性を有する1つまたは複数ポリペプチドと接触させる工程と、(b)好ましくはPCRまたは等価の自動化増幅技術によって前記核酸試料を増幅して増幅核酸断片を回収する工程と、(c)選択的に、サイズ、好ましくはゲル電気泳動によって増幅した核酸断片を分離し、例えば、臭化エチジウムなどの核酸結合色素でのゲル染色によって核酸断片を存在を分析する工程とを含む。
【0113】
本発明の方法による増幅および合成後、増幅または合成した核酸断片を、さらなる用途または特徴付けのために単離することができる。この工程を、通常、サイズおよび/または任意の物理的または生化学的手段(ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、クロマトグラフィー(サイズ、親和性、および免疫クロマトグラフィーを含む)、密度勾配遠心分離法、および免疫吸着法を含む)に係る増幅または合成核酸断片の分離によって行う。多数の核酸断片の感度の高い分離のための迅速且つ再現性の高い手段であり、いくつかの核酸試料の断片を直接同時に比較可能であるため、ゲル電気泳動による核酸断片の分離が特に好ましい。別の好ましい態様では、本発明の方法によって増幅または合成されたこれらの断片または任意の核酸断片単離および特徴付のためにこのアプローチを拡大することができる。したがって、本発明はまた、本発明の増幅または合成法によって産生された単離核酸分子に関する。
【0114】
本態様では、電気的溶出または物理的切り出しなどの標準的技術によって同定のために使用したゲル(上記を参照のこと)から1つまたはそれ以上の増幅または合成核酸断片を取り出す。次いで、単離した固有の核酸断片を、種々の原核生物(細菌)または真核生物(酵母、植物、またはヒトおよび他の哺乳動物を含む動物細胞)のトランスフェクションまたは形質転換に適切な標準的ベクター(発現ベクターを含む)に挿入することができる。または、本発明の方法によって産生された核酸分子を、例えば、下記の方法および当技術分野で標準的な他の方法(例えば、DNA配列決定法に関する米国特許第4,962,022号および同第5,498,523号を参照のこと)による配列決定(すなわち、核酸断片のヌクレオチド配列の決定)によってさらに特徴付けることができる。
【0115】
本発明に係る核酸配列決定法は、1つまたはそれ以上の工程を含み得る。例えば、本発明は、(a)配列決定すべき核酸分子を、1つまたはそれ以上のプライマー、1つまたはそれ以上の本発明の上記リガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)(またはその種々の組み合わせ)、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上の終止剤(ジデオキシヌクレオチドなど)、および1つまたはそれ以上のポリメラーゼ活性および/またはエキソヌクレアーゼ活性を有する酵素と混合して混合物を形成する工程と、(b)前記混合物を配列決定すべき分子の全部または一部に相補的な分子集団の合成に十分な条件下でインキュベートする工程と、(c)前記集団を分離して配列決定すべき分子の全部または一部のヌクレオチド配列を決定する工程とを含む、核酸分子の配列決定法を提供する。
【0116】
本発明で使用することができる核酸配列決定技術には、ジデオキシ配列決定法(米国特許第4,962,022号および同第5,498,523号など)が含まれる。
【0117】
宿主または宿主細胞の形質転換/トランスフェクション
本発明はまた、1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞への核酸分子の導入法を提供する。本発明のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性化合物/分子/組成物)を、トランスフェクション/形質転換剤またはDNA凝縮剤として使用することができ、本発明はまた、1つまたはそれ以上の宿主細胞への核酸分子の導入を容易にする。したがって、リガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)の存在下で本発明にしたがって合成または増幅させた核酸分子を、トランスフェクション/トランスフェクション剤を個別に添加することなく宿主細胞への直接導入に使用することができるが、核酸分子の導入を容易にするために本発明にしたがって他の薬剤を添加することができる。したがって、本発明は、(a)1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(例えば、カチオン性またはポリカチオン性化合物/分子/組成物)(または本明細書中に記載の種々のリガンドの組み合わせ)の存在下で1つまたはそれ以上の核酸分子を合成または増幅する工程と、(b)該合成または増幅核酸分子を少なくとも1つの該リガンドの存在下で1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞中でインキュベートする工程とを含む、宿主または宿主細胞中に1つまたはそれ以上の核酸分子を導入する方法に関する。
【0118】
宿主または宿主細胞への核酸分子の導入を、当技術分野で既知の標準的手順および技術によって行うことができる。使用した宿主または細胞の型およびリガンドの型(例えば、カチオン性またはポリカチオン性化合物/分子/組成物)に依存して、当業者に認識されている異なる手順を使用することができる。本発明によれば、原核生物(大腸菌、枯草菌、肺炎球菌などを含むグラム陰性菌およびグラム陽性菌など)または真核生物(酵母、植物、またはヒトまたは他の哺乳動物を含む動物)宿主または宿主細胞を、本発明に従って核酸分子でトランスフェクトまたは形質転換することができる。エレクトロポレーション、化学的コンピテント細胞の形質転換、トランスフェクションなどを含む種々の技術を、本発明に従って使用することができる。
【0119】
キット
本発明はまた、核酸分子の合成、増幅、または配列決定用のキットを提供する。本発明の局面に係るキットは、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(特に、カチオン性化合物/分子/組成物)を含み得る1つまたはそれ以上の容器(バイアル、チューブ、アンプル、ボトルなど)を含み得る。
【0120】
本発明のキットは、1つまたはそれ以上の以下の構成要素を含み得る:(i)1つまたはそれ以上のリガンド(特に、本発明のカチオン性組成物)、(ii)1つまたはそれ以上のポリメラーゼおよび/または逆転写酵素、(iii)1つまたはそれ以上の適切な緩衝液、(iv)1つまたはそれ以上のヌクレオチド、(v)1つまたはそれ以上のプライマー、(vi)1つまたはそれ以上の鋳型、(vii)1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞(核酸分子導入能力のある細胞であり得る)、および(viii)本発明の方法を実施するための説明書。
【0121】
組成物
本発明はまた、本発明の合成、増幅、または配列決定の実施、本発明のヌクレアーゼ保護法の実施、および本発明に係る宿主または宿主細胞への核酸分子の導入のために調製した組成物に関する。さらに、本発明は、本発明のこのような方法をの実施中または実施後に作製された組成物に関する。好ましい局面では、本発明の組成物は、1つまたはそれ以上の本発明のリガンド(特に、カチオン性化合物/分子/組成物)を含む。このような組成物は、さらに、(i)1つまたはそれ以上のポリメラーゼおよび/または逆転写酵素、(ii)1つまたはそれ以上の適切な緩衝液、(iii)1つまたはそれ以上のヌクレオチド、(iv)1つまたはそれ以上の鋳型、(v)1つまたはそれ以上のプライマー、(vi)1つまたはそれ以上の鋳型/プライマー複合体、(vii)本発明の合成法、増幅法、または配列決定法によって作製された1つまたはそれ以上の核酸分子、および(viii)1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞からなる群より選択される1つまたはそれ以上の成分を含むことができる。
【0122】
本発明はまた、1つまたはそれ以上の核酸分子と結合または複合体形成している本発明のリガンド(例えば、カチオン性化合物/分子/組成物)を含む組成物ならびにこのような組成物中で見出されたかまたは本発明の方法の間に作製されたリガンド/核酸分子複合体に関する。
【0123】
本明細書中に記載の方法および適用に対する他の適切な修正形態および適応形態が自明であり、本発明の範囲またはその任意の態様から逸脱することなくこれらを得ることができることが当業者に明白であると思われる。本発明の詳細に説明してきたが、本発明は以下の実施例を参照してより明白に理解されるが、この実施例は、例示のみを目的とし、本発明の制限を意図しない。
【0124】
実施例1
Tne DNAポリメラーゼ(D737A;5’→3’エンドヌクレアーゼ欠損)のポリメラーゼ活性を、カチオン性組成物リポフェクタミン(商標)(Invitrogen Corporation, Life Technologies Division、Rockville、Marylandより入手)の存在下または非存在下で、周囲温度、37℃、および72℃にて測定した。ポリメラーゼアッセイ法で使用したDNA基質は、34/60merのプライマー/鋳型であった。プライマー鎖の5’末端を、T4ポリヌクレオチドキナーゼを使用して32Pで標識した。dNTPおよびMgCl2の存在下でのDNA基質へTne DNAポリメラーゼの添加によって重合反応を開始した。DNAの反応濃度は約10nMであり、4つのdNTPはそれぞれ200μMであり、MgCl2は1.5mMであった。リポフェクタミン(商標)を、DNA−dNTP−Mg2+溶液に添加し、混合物を周囲温度で約5分間インキュベートし、DNA−カチオン性組成物複合体を形成させ、その後Tneポリメラーゼでの反応を開始した。対照反応には(図1、パネル1を参照のこと)、リポフェクタミン(商標)を添加しなかった。Tne DNAポリメラーゼ濃度は、約70nMであり、リポフェクタミン(商標)濃度を、0mMから40mMに変化させた。Tneの添加から4分後に反応を停止させた。
【0125】
Tne DNAポリメラーゼのポリメラーゼ活性は、周囲温度の10mMリポフェクタミン(商標)の存在下で有意に阻害されたが、37℃および72℃では反応は影響を受けなかった。酵素活性の阻害は、本発明者らの実験条件下ではリポフェクタミン(商標)の濃度に依存する。しかし、リポフェクタミン(商標)濃度は増加するので、重合反応は37℃および72℃でされも有意に阻害される(図1、パネルIIIおよびIVを参照のこと)。
【0126】
実施例2
Tne DNAポリメラーゼ(5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損)の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を、一本鎖34merDNA基質を使用して測定した。エキソヌクレアーゼ指示DNA消化を、リポフェクタミン(商標)の存在下および非存在下で、周囲温度、37℃、および72℃にて測定した。オリゴヌクレオチド基質の5’末端を、T4ポリヌクレオチドキナーゼを使用して32Pで標識した。リポフェクタミン(商標)およびMgCl2の存在下での34merオリゴヌクレオチド基質溶液へのTne DNAポリメラーゼの添加によって、エキソヌクレアーゼ反応を開始した。DNA溶液にリポフェクタミン(商標)を添加し、混合物を周囲温度で約5分間インキュベートして、DNA−カチオン性組成物複合体を形成し、その後Tneポリメラーゼでのエキソヌクレアーゼ指示ssDNA消化を開始した。対照反応では、リポフェクタミン(商標)は存在しなかった(図2、パネルI参照)。各反応では、DNA基質の反応濃度は約10nMであり、MgCl2は約3mMであった。Tne DNAポリメラーゼ濃度は約70nMであり、リポフェクタミン(商標)濃度は、0mMから60mMであった。
【0127】
Tne DNAポリメラーゼの3’→5’エキソヌクレアーゼ活性は、周囲温度での本発明者らの実験条件下でのリポフェクタミン(商標)の存在下で有意に阻害された。37℃および72℃では、リポフェクタミン(商標)は、60mMのリポフェクタミン(商標)濃度でさえもTneのエキソヌクレアーゼ活性のあまり有効な阻害剤ではなかった(図2、パネルVを参照のこと)。上記の結果により、リポフェクタミン(商標)は、有意に異なる親和性でssDNAおよびdsDNA基質に結合/保護することが示唆される。
【0128】
本明細書中に列挙した全ての刊行物、特許、および特許出願は、本発明が属する技術分野の当業者のレベルを示し、各個別の刊行物、特許、または特許出願は詳細に且つ個別に参照として組み入れられると意味されるような程度で本明細書中で参照として組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】DNAポリメラーゼによって触媒されたDNA重合反応のリポフェクタミン(商標)による阻害を示す。本明細書中に報告した全測定で使用したDNAポリメラーゼは、Asp137Ala置換の挿入により5’−3’エキソ活性が欠損している(米国特許第5,948,614号を参照のこと)。PはDNAプライマー(34mer)の位置を示し、F.L.は完全に伸長した産物である(60mer)。レーンQは、オリゴヌクレオチド基質の対照レーンである。パネルI、II、III、IVは、種々の濃度のリポフェクタミン(商標)でのTneによって触媒されたポリメラーゼ反応を示す。パネルIは、リポフェクタミン(商標)の非存在下での反応を示す。パネルII、III、IVは、10mM、20mM、および40mMのリポフェクタミン(商標)の存在下での反応を示す。各反応条件について、DNA基質およびTne DNAポリメラーゼ濃度を、それぞれ約10mMおよび70nMに保持した。ポリメラーゼ反応を、a、b、およびcのサブパネルに示すように、各々、周囲温度、37℃、および72℃で測定した。各条件では、Tne添加による重合の開始から4分後に反応を停止させた。
【図2】周囲温度でのリポフェクタミン(商標)を使用したTne DNAポリメラーゼによって触媒された5’−3’エキソヌクレアーゼ反応の阻害を示す。Pは34merのDNA基質の位置を示す。レーンQは、オリゴヌクレオチド基質の対照レーンである。パネルI、II、III、IV、およびVは、種々の濃度のリポフェクタミン(商標)でのTne DNAポリメラーゼによって触媒された3’−5’エキソヌクレアーゼ反応を示す。パネルIは、リポフェクタミン(商標)の非存在下での反応を示す。パネルII、III、IV、およびVは、10mM、20mM、40mM、および60mMのリポフェクタミン(商標)の存在下での反応を示す。各反応条件について、DNA基質およびTne DNAポリメラーゼ濃度を、それぞれ約10nMおよび70nMに保持した。34mer基質のエキソヌクレアーゼ消化を、a、b、およびcのサブパネルに示すように、各々、周囲温度、37℃、および72℃で測定した。各条件では、Tne添加による反応の開始から20分後に消化を停止させた。
Claims (55)
- 1つまたはそれ以上の核酸分子に結合するか親和性を有することができる1つまたはそれ以上のカチオン性またはポリカチオン性分子および/または化合物を含む、核酸合成阻害用組成物。
- 分子または化合物が、ヒストン、プロタミン、スペルミン、スペルミジン、および可動性の高い基を有するタンパク質からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
- 分子または化合物が、合成もしくは天然の分子または化合物である、請求項1に記載の組成物。
- 合成分子または合成化合物が、ポリマー、両親媒性凝集物、カチオン性脂質、およびカチオン性リポソーム製剤からなる群より選択される、請求項3に記載の組成物。
- ポリマーが、DEAE−デキストラン、ポリブレン、ポリヒスチジン、カチオン性ポリペプチド、およびポリリジンからなる群より選択される、請求項4に記載の組成物。
- ポリマーがポリリジンである、請求項1に記載の組成物。
- 両親媒性凝集物が、ポリアミドアミンカスケードポリマー、リポポリアミン、およびポリエチレンイミンからなる群より選択される、請求項4に記載の組成物。
- カチオン性脂質またはカチオン性リポソーム製剤が、「トランスフェクタム(商標)」、「ドータップ(商標)」、「ヒュージーン6(商標)」、「エックストリームジーンQ2(商標)」、「ジーンジェイマー(商標)」、「ジーンポーター(商標)」、「イフェクテン(商標)」、「スーパーフェクト(商標)」、「リポフェクチン(商標)」、「リポフェクトエース(商標)」、「リポフェクタミン(商標)」、「リポフェクタミン 2000(商標)」、「セルフェクチン(商標)」、および「ディーエムリー−C(商標)」からなる群より選択される、請求項4に記載の組成物。
- カチオン性脂質またはリポソーム製剤は、「リポフェクタミン(商標)」である、請求項8に記載の組成物。
- 分子または化合物が熱不安定性である、請求項1に記載の組成物。
- 分子または化合物の結合または親和性が、核酸合成条件下で阻害されるか、減少するか、実質的に減少するか、または消失する、請求項1に記載の組成物。
- 分子または化合物が、核酸合成条件下で解離するか、変性するか、不活化する、請求項1に記載の組成物。
- 分子または化合物がポリペプチド由来である、請求項1に記載の組成物。
- 核酸ポリメラーゼ活性を有する1つまたはそれ以上の酵素をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
- 酵素が好熱性である、請求項14に記載の組成物。
- 高熱性酵素が核酸合成条件下でポリメラーゼ活性を維持している、請求項15に記載の組成物。
- 核酸ポリメラーゼ活性を有する酵素が、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、および逆転写酵素からなる群より選択される、請求項15に記載の組成物。
- DNAポリメラーゼが、Taq、Tne、Tma、Pfu、ベント(商標)、ディープベント(商標)、KOD、およびTth DNAポリメラーゼ、ならびにその変異体、変異型、および誘導体からなる群より選択される、請求項17に記載の組成物。
- 逆転写酵素が、M−MLV逆転写酵素、RSV逆転写酵素、AMV逆転写酵素、RAV逆転写酵素、MAV逆転写酵素、およびHIV逆転写酵素、ならびにその変異体、変異型、および誘導体からなる群より選択される、請求項17に記載の組成物。
- 逆転写酵素のRNアーゼH活性が実質的に減少する、請求項17に記載の組成物。
- 少なくとも1つの核酸鋳型と1つまたはそれ以上の請求項1に記載の分子または化合物を混合して混合物を形成する工程と、
混合物を鋳型の全部または一部に相補的に第1の核酸分子の合成に十分な条件下でインキュベートする工程を含む、核酸分子の合成法。 - 混合を、核酸合成の防止および/または分子または化合物の1つまたはそれ以上の核酸合成基質への結合を可能にする条件下で行う、請求項21に記載の方法。
- 第1の核酸分子の合成を、前記分子または化合物の解離、変性、または不活化および/または前記分子または化合物の1つまたはそれ以上の核酸合成基質への結合の阻害、減少、実質的な減少、または消失に十分な条件下で行う、請求項21に記載の方法。
- 合成を、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、ポリメラーゼ活性を有する1つまたはそれ以上のポリペプチド、および1つまたはそれ以上のプライマーからなる群より選択される少なくとも1つの成分の存在下で行う、請求項21に記載の方法。
- 混合物が、二本鎖核酸鋳型/プライマー複合体、一本鎖鋳型、および一本鎖プライマーからなる群より選択される1つまたはそれ以上の核酸分子を含む、請求項21に記載の方法。
- 核酸分子を第1の核酸分子の全部または一部に相補的な第2の核酸分子の作製に十分な条件下でインキュベートする工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
- 請求項21に記載の方法によって作製された、核酸分子。
- 少なくとも1つの核酸鋳型と少なくとも1つの請求項1に記載の1つまたはそれ以上の分子とを混合する工程と、
混合物を鋳型の全部または一部に相補的な核酸分子の増幅に十分な条件でインキュベートする工程とを含む、核酸分子の増幅法。 - 混合を、核酸増幅を防止するおよび/または分子または化合物の1つまたはそれ以上の核酸増幅基質への結合を可能にする条件下で行う、請求項28に記載の方法。
- 増幅を、分子もしくは化合物の解離、不活化、または変性および/または前記分子もしくは化合物の1つまたはそれ以上の核酸合成基質への結合の阻害、減少、実質的な減少、または消失に十分な条件下で行う、請求項28に記載の方法。
- 増幅を、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、ポリメラーゼ活性を有する1つまたはそれ以上のポリペプチド、および1つまたはそれ以上のプライマーからなる群より選択される少なくとも1つの成分の存在下で行う、請求項28に記載の方法。
- 混合物が、二本鎖核酸鋳型/プライマー複合体、一本鎖鋳型、および一本鎖プライマーからなる群より選択される1つまたはそれ以上の核酸分子を含む、請求項28に記載の方法。
- 請求項28に記載の方法によって増幅された、核酸分子。
- 少なくとも1つの配列決定すべき核酸分子と1つまたはそれ以上の請求項1に記載の分子と、1つまたはそれ以上の終止剤とを混合する工程と、
混合物を配列決定すべき分子の全部または一部に相補的な分子集団の合成に十分な条件下でインキュベートする工程と、
集団を分離して前記配列決定すべき分子の全部または一部のヌクレオチド配列を決定する工程とを含む、核酸分子の配列決定法。 - 混合を、核酸合成の防止および/または分子または化合物の1つまたはそれ以上の核酸合成基質への結合に十分な条件下で行う、請求項34に記載の方法。
- 配列決定すべき分子の全部または一部に相補的な分子集団の合成を、分子または化合物の解離、変性、または不活化および/または前記分子または化合物の1つまたはそれ以上の核酸合成基質への結合の阻害、減少、実質的な減少、または消失に十分な条件下で行う、請求項34に記載の方法。
- 合成を、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、ポリメラーゼ活性を有する1つまたはそれ以上のポリペプチド、および1つまたはそれ以上のプライマーからなる群より選択される少なくとも1つの成分の存在下で行う、請求項34に記載の方法。
- 混合物が、配列決定すべき二本鎖分子/プライマー複合体、配列決定すべき一本鎖分子、および一本鎖プライマーからなる群より選択される1つまたはそれ以上の核酸分子を含む、請求項34に記載の方法。
- 1つまたはそれ以上の請求項1に記載の分子または化合物を含む、核酸分子合成用のキット。
- 1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上のDNAポリメラーゼ、1つまたはそれ以上の逆転写酵素、1つまたはそれ以上の適切な緩衝液、1つまたはそれ以上のプライマー、および1つまたはそれ以上の終止剤からなる群より選択される1つまたはそれ以上の成分をさらに含む、請求項39に記載のキット。
- 核酸に高い親和性を示す1つまたはそれ以上のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子または化合物を含む、阻害組成物。
- 少なくとも1つの核酸鋳型と、1つまたはそれ以上の請求項1に記載の分子または化合物を核酸合成の防止または阻害に十分な条件下で混合する工程と、
混合物を鋳型の全部または一部に相補的な核酸分子の合成に十分なカチオン性分子または化合物の解離、変性、または不活化に十分な条件下でインキュベートする工程とを含む、核酸分子の合成法。 - (a)1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上の請求項1に記載の分子または化合物、および少なくとも1つのターミネーターヌクレオチドを使用して、核酸合成の防止または阻害に十分な条件下で配列決定すべき第1のDNA分子を得る工程と、
(b)合成DNA分子の長さが第1のDNA分子よりも短く、前記合成DNA分子が5’末端にターミネーターヌクレオチドを含む、工程(a)の混合物を前記第1のDNA分子に相補的なDNA分子の無作為な集団の合成に十分な分子または化合物の解離または不活化または変性に十分な条件下でインキュベートする工程と、
(c)第1のDNA分子のヌクレオチド配列の少なくとも一部を決定することができるように該合成DNA分子をサイズで分離する工程とを含む、DNA分子の配列決定法。 - (a)第1および第2のプライマーを得る工程であって、分子または化合物が核酸合成を予防または阻害するような条件下で、第1のプライマーがDNA分子の第1の鎖の3’末端または3’末端付近に相補的であり、第2のプライマーが、該DNA分子および1つまたはそれ以上の請求項1に記載の分子または化合物の第2の鎖の3’末端または3’末端付近の配列に相補的であり、
(b)第1の鎖に相補的な第3のDNA分子および第2の鎖に相補的な第4のDNA分子の合成に十分な分子または化合物の解離、不活化、または変性に十分な条件下でインキュベートする工程と、
(c)該第1および第3の鎖ならびに第2および第4の鎖を変性する工程と、
工程(a)から(b)または(c)を1回またはそれ以上繰り返す工程とを含む、二本鎖DNA分子の増幅法。 - 1つまたはそれ以上のmRNA鋳型と1つまたはそれ以上の請求項1に記載の分子または化合物とを混合する工程と、
混合物を鋳型の全部または一部に相補的なcDNA分子の合成に十分な条件下でインキュベートする工程とを含む、mRNAからのcDNAの調製法。 - 少なくとも1つの核酸鋳型と1つまたはそれ以上の請求項1に記載の分子または化合物を核酸増幅の防止または阻害に十分な条件下で混合する工程と、
混合物を鋳型の全部または一部に相補的な核酸分子の増幅に十分な分子または化合物の解離、変性、または不活化に十分な条件下でインキュベートする工程とを含む、核酸分子の増幅法。 - 1つまたはそれ以上の核酸リガンドを得る工程と、
ヌクレアーゼ活性を有する1つまたはそれ以上のヌクレアーゼによる核酸分子の分解の防止または阻害に十分な条件下でリガンドを1つまたはそれ以上の核酸分子に接触させる工程とを含む、核酸分解を防止または阻害する方法。 - リガンドがポリカチオン性もしくはカチオン性の分子または化合物である、請求項47に記載の方法。
- 1つまたはそれ以上のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子または化合物を含む、核酸合成を阻害するための組成物。
- 分子または化合物が1つまたはそれ以上の核酸分子に結合するか親和性を有する、請求項49に記載の組成物。
- 1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上の核酸鋳型、1つまたはそれ以上のプライマー、および1つまたはそれ以上の核酸ポリメラーゼ活性を有する酵素からなる群より選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、請求項49に記載の組成物。
- 少なくとも1つの核酸鋳型と1つまたはそれ以上のカチオン性もしくはポリカチオン性の分子または化合物とを混合する工程と、混合物を鋳型の全部または一部に相補的な核酸分子の合成の阻害または防止に十分な条件下でインキュベートする工程とを含む、核酸合成を阻害または予防する方法。
- 混合物が、1つまたはそれ以上のヌクレオチド、1つまたはそれ以上の核酸鋳型、1つまたはそれ以上のプライマー、および1つまたはそれ以上の核酸ポリメラーゼ活性を有する酵素からなる群より選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、請求項52に記載の組成物。
- 1つまたはそれ以上の核酸リガンドの存在下で1つまたはそれ以上の核酸分子を合成または増幅する工程と、
リガンドの存在下で1つまたはそれ以上の宿主または宿主細胞中に合成または増幅した核酸分子を導入する工程とを含む、宿主または宿主細胞中の1つまたはそれ以上の核酸分子の導入法。 - 少なくとも1つのリガンドがカチオン性もしくはポリカチオン性の化合物または分子である、請求項54に記載の方法。
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