JP3668142B2 - 埋設管の異常発見方法並びにこの方法で用いられる異常発見用治具及びこの治具を備えた異常発見装置 - Google Patents

埋設管の異常発見方法並びにこの方法で用いられる異常発見用治具及びこの治具を備えた異常発見装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、埋設管の異常発見方法並びにこの方法で用いられる異常発見用治具及びこの治具を備えた異常発見装置に関し、より詳しくは、検査対象となる埋設管の一端側に位置するマンホールにのみ作業員を配置すれば足り、作業員の数、作業工数、及び作業時間を大幅に削減することができると共に埋設管を傷付けることが無い埋設管の異常発見方法並びにこの方法で用いられる異常発見用治具及びこの治具を備えた異常発見装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
送電用の地中ケーブルは、合成樹脂やセラミックス等からなる埋設管内に収容された状態で配置されている。この埋設管及び地中ケーブルを設置するために又その管内点検のために所定間隔(通常、300m程度)でマンホールが埋設されており、このマンホール同士を結ぶような形で前記埋設管が配置されている。
埋設管は地震や道路工事等の影響により、管そのものが変形したり、管の接続部に段差ができたり、管の接続部において管同士が離れたり、管の接続部をシールするゴムパッキンが管内にめくれ出すことが多く、このために、管内の状況を定期的に点検することが行われている。
【0003】
図16は、従来行われていた管内点検時の様子を示す図であり、図17は、この点検で使用される異常発見用治具を示す図である。
従来の異常発見用治具(20)は、図17に示すように、両端部にワイヤ連結部(21a),(21b)が設けられた棒状の本体(22)と、この本体(22)の2箇所に外嵌されたリング状の管内面接触部(23)とから構成されており、全体が金属から構成されるとともに、管内面接触部(23)は鉛等の柔らかい金属から構成されている。
【0004】
この異常発見用治具(20)を用いた点検方法では、図16に示す如く、埋設管(24)の両端部に接続された2個のマンホール(25a),(25b)の双方に作業員が配置され、双方の作業員が協力し合いながら点検作業が行われる。
【0005】
まず、一方のマンホール(25a)内の作業員が、可撓性の有る押し込み用ロッド(図示せず)を埋設管(24)内に押し込み、他方のマンホール(25b)内へ押し込み用ロッドの先端部を到達させる。
他方のマンホール(25b)内の作業員が、到達した押し込み用ロッドの先端部にワイヤ(26b)を取り付ける。
一方のマンホール(25a)の作業員が、押し込み用ロッドを引っ張って一方のマンホール(25a)内へワイヤ(26b)の先端部を到達させる。
【0006】
次に、一方のマンホール(25a)内の作業員が、到達したワイヤ(26b)の先端部に異常発見用治具(20)の一方のワイヤ連結部(21b)を取り付け、他方のワイヤ連結部(21a)には一方のマンホール(25a)内に配置した別のワイヤ(26a)の一端部を取り付ける。
他方のマンホール(25b)の作業員が、ワイヤ(26b)を引っ張って異常発見用治具(20)を引き寄せる。このとき、管内に異常があれば、異常発見用治具(20)が管内で引っ掛かって移動できなくなるか、若しくは引っ張るときの抵抗が極端に大きくなるので、その時点で異常を発見することができる。
次いで、他方のマンホール(25b)内の作業員が、両方のワイヤ連結部(21a),(21b)から両方のワイヤ(26a),(26b)を外す。
一方のマンホール(25a)内の作業員がワイヤ(26a)を引っ張ってワイヤ(26a)を回収する。
【0007】
尚、異常個所の状態を正確に把握したい場合には、異常発見用治具(20)を回収した後、可撓性の有る押し込み用ロッドの先端にCCDカメラ(図示せず)を取り付け、このCCDカメラを押し込み用ロッドによってマンホール(25a)から埋設管(24)内へ導入し、先程発見した異常個所でCCDカメラを止めて管内部を撮影し、管内の状態を、マンホール(25a)内若しくは地上に設けたディスプレイ(図示せず)によって確認する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した従来の技術には、以下のような課題が存在した。
従来の異常発見用治具(20)は、ワイヤ(26a)で引っ張って使用するものであったため、治具(20)を引っ張り可能な状態とするために埋設管(24)の両側に位置するマンホール(25a),(25b)にそれぞれ作業員を配置する必要があり、多くの人員を必要とするとともに作業工数と検査に要する時間も多くなるという問題があった。
【0009】
また、ワイヤ(26a),(26b)は強度が大きい金属線の束であり表面に多くの凹凸があるため、異常発見用治具(20)を取り付けた状態でワイヤ(26a),(26b)を引っ張ると、ワイヤ(26a),(26b)表面が埋設管(24)内面に強く擦れ、このときに管内面を傷付けてしまうという問題があり、埋設管(24)が湾曲しているときにはその傾向は顕著であった。
また、従来の異常発見用治具(20)は金属から構成されているために非常に重く、このために引っ張り作業における負担が非常に大きく、埋設管(24)がセラミックス等から構成されている場合には、異常発見用治具(20)が管内面に少し強く当たっただけで埋設管(24)が破損してしまうという問題もあった。また、非常に重いために、作業員の足元に異常発見用治具(20)が落下した場合には、足に大怪我をしてしまうという危険性もあった。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、検査対象となる埋設管の一端側に位置するマンホールにのみ作業員を配置すれば足り、作業員の数、作業工数、及び作業時間を大幅に削減することができると共に埋設管を傷付けることが無い埋設管の異常発見方法並びにこの方法で用いられる異常発見用治具及びこの治具を備えた異常発見装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、マンホール同士を結ぶように配置された埋設管の異常を発見する方法であって、前記埋設管内を車輪の転動によって移動可能な異常発見用治具を前記埋設管内に配置する工程と、一端部が前記治具に取り付けられた可撓性ロッドを介して一方のマンホール内から該治具を片押しする工程と、可撓性ロッドから得られる感触によって埋設管内の異常を発見する工程からなり、前記治具は、埋設管内を転動可能であるとともに埋設管内の異常を検知する略半球形状の車輪部と、この車輪部を回転可能に支持する本体とからなると共に全体形状が略球状に構成され、その全体の径が埋設管の内径より僅かに小径とされ、前記本体は、この治具を片押し可能な前記可撓性ロッドの一端部を挿通保持するロッド挿通孔を有し、前記車輪部表面には、異常部分の状態を現わす傷が形成可能な軟質合成樹脂膜が形成され、前記本体と車輪部のうち少なくともいずれか一方に通水孔が形成されることを特徴とする埋設管の異常発見方法である。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記可撓性ロッドの前記一端部側の先端にカメラが設けられ、前記一方のマンホール内或いは地上には前記カメラから送られてきた管内映像を表示するディスプレイ部が設けられており、前記治具を片押ししているとき若しくは埋設管内の異常を発見して前記治具を停止させたときに、前記ディスプレイ部を監視して埋設管内の状態を詳細に把握することを特徴とする請求項1に記載の埋設管の異常発見方法である。
【0013】
請求項3記載の発明は、マンホール同士を結ぶように配置された埋設管の異常を発見するための治具であって、前記埋設管内を転動可能であるとともに該埋設管内の異常を検知する略半球形状の車輪部と、この車輪部を回転可能に支持する本体とからなると共に全体形状が略球状に構成され、その全体の径が埋設管の内径より僅かに小径とされ、前記本体は、この治具を片押し可能な可撓性ロッドの一端部を挿通保持するロッド挿通孔を有し、前記車輪部表面には、異常部分の状態を現わす傷が形成可能な軟質合成樹脂膜が形成され、前記本体と車輪部のうち少なくともいずれか一方に通水孔が形成されることを特徴とする埋設管の異常発見用治具である。
【0014】
請求項4記載の発明は、少なくとも前記車輪が合成樹脂からなることを特徴とする請求項3に記載の埋設管の異常発見用治具である。
【0015】
請求項5記載の発明は、マンホール同士を結ぶように配置された埋設管の異常を発見するための装置であって、前記埋設管内を車輪の転動によって移動可能な異常発見用治具と、一端部が前記治具に取り付けられ該治具を片押し可能な可撓性ロッドと、このロッドの前記一端部の先端に設けられたカメラと、このカメラから送られてきた管内映像をマンホール内或いは地上で表示するディスプレイ部とからなり、前記治具は、埋設管内を転動可能であるとともに該埋設管内の異常を検知する略半球形状の車輪部とこの車輪部を回転可能に支持する本体とからなると共に全体形状が略球状に構成され、その全体の径が埋設管の内径より僅かに小径とされ、前記本体が前記可撓性ロッドの一端部を挿通保持するロッド挿通孔を有し、前記車輪部表面には、異常部分を現わす傷が形成可能な軟質合成樹脂膜が形成され、前記本体と車輪部のうち少なくともいずれか一方に通水孔が形成されることを特徴とする埋設管の異常発見装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る埋設管の異常発見方法で使用される異常発見用治具を示す正面図である。図2は、図1に示す異常発見用治具の側面図(A方向矢視図)である。図3は、図2に示す異常発見用治具のB−B線断面図である。
【0017】
本発明に係る異常発見用治具(1)は、マンホール(2)(図10参照)同士を結ぶように配置された埋設管(3)の異常を発見するための治具であって、埋設管(3)内を転動可能な車輪部(4)(図1乃至3参照)と、この車輪部(4)を回転可能に支持する本体(5)とからなると共に全体形状が略球状に構成され、その全体の径が埋設管(3)の内径より僅かに小径とされ(図9参照)、本体(5)は、この治具(1)を片押し可能な可撓性ロッド(6)(図9参照)の一端部を挿通保持するロッド挿通孔(7)を有するものである。
【0018】
埋設管(3)は検査の対象となるものであり、複数本の埋設管(3)をその軸長方向に連結してなる連結体の両端部が、それぞれマンホール(2)(図10参照)の側壁の開口部に接続されている。埋設管(3)の種類は特に限定されないが、例えば送電ケーブルを収容する埋設管に平行して埋設される検査用の空きの埋設管が検査の対象とされる。
【0019】
図4は異常発見用治具(1)の車輪部(4)を示す正面図、図5は図4に示す車輪部(4)のC方向矢視図である。
車輪部(4)は半球状の部材であって、その頂部から底面中心部を貫くように車軸挿通孔(8)が形成されている。車軸挿通孔(8)における前記頂部側端部にはボルト頭部の収容部(8a)が設けられており、ボルト(9)(図3参照)の頭部及びワッシャ(10)を収容できるように車軸挿通孔(8)よりも若干拡径されている。ボルト(9)は通常、六角穴付きボルトとされる。
車軸挿通孔(8)における前記底面中心部側の端部には、車軸(11)の内側端部に一体成形された円板状の車軸支持板(12)を回転可能に収容する支持板収容部(13)が設けられている。
【0020】
図6は異常発見用治具(1)における車軸(11)の構造を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
車軸(11)は車輪部(4)を回転可能に支持するものであり、その一端部にはボルト(9)の脚部が螺入される雌ねじ孔(14)が形成され、他端部には車軸支持板(12)が一体に設けられている。
【0021】
車軸支持板(12)は車軸(11)を本体(5)に固定するためのものである。車軸支持板(12)はボルト(90)(図3参照)によって本体(5)に固定可能となっており、ボルト(90)の脚部が螺入される雌ねじ孔(140)と、ボルト(90)の頭部を収容可能な頭部収容部(150)とを有し、頭部収容部(150)は雌ねじ孔(140)よりも拡径されている。
車軸支持板(12)と車軸(11)は一体成形されており、その材質は特に限定されないが、強度の面から見て金属から構成することが好ましく、例えば真鍮から構成することができる。
【0022】
図7は本体(5)の構造を示す正面図、図8は図7に示す本体(5)のD方向矢視図である。
本体(5)は、車輪部(4)を回転可能に支持するためのものであり、図3に示す例では車軸(11)を介して車輪部(4)を支持している。本体(5)は円板状に構成され、その両側にそれぞれ車輪部(4)が配置される。本体(5)は、前記したように、治具(1)を片押し可能な可撓性ロッド(6)の一端部を挿通保持するロッド挿通孔(7)を有しており、このロッド挿通孔(7)は、本体(5)の周面の一点からその反対側に位置する一点の間を貫通するように形成されている。図示例では、本体(5)は2枚の円板状体(5a),(5b)から構成されており、これら2枚の円板状体(5a),(5b)をボルト(91)(図3参照)で一体化することにより構成されている。ボルト(91)の頭部は本体(5)内部に収容される。
【0023】
本体(5)及び車輪部(4)の材質は特に限定されるものではないが、金属に比べて軽量な合成樹脂から構成することが好ましく、より好ましくは、機械的強度及び耐有機溶剤性に優れたエンジニアリングプラスチック、中でもジュラコン、デルリン(いずれも商品名)等のポリアセタール樹脂を好適に使用することができる。
【0024】
本体(5)の径は車輪部(4)の底面部の径よりも若干小さく設定されている(図1及び3参照)。これにより、異常発見用治具(1)を移動させる際に本体(5)が埋設管(3)内面に接触することがない。
また、異常発見用治具(1)は前記したように全体形状が略球状に構成され、その全体の径が埋設管(3)の内径より僅かに小径とされる。どの程度小さく設定するかは特に限定されないが、通常、5mm程度小さく設定される。
【0025】
尚、埋設管(3)内にこの異常発見用治具(1)を配置し、車輪部(4)を転動させて異常発見用治具(1)を移動させる際、埋設管(3)内に地下水が溜まっているとこの地下水が異常発見用治具(1)のスムースな移動を妨げるので、車輪部(4)、本体(5)の少なくともいずれか一方に通水孔(図示せず)を形成しておくことが好ましい。
通水孔を形成した場合、地下水が通水孔内を通過するので、異常発見用治具(1)が地下水から受ける抵抗を大幅に低減することができ、異常発見用治具(1)を管内でスムースに移動させることができる。
【0026】
また、異常発見用治具(1)の使用前に車輪部(4)に柔らかい合成樹脂(図示せず)を塗布しておくと、以下の面で好都合である。つまり、車輪部(4)を転動させながら異常発見用治具(1)を管内で移動させた際、管内に異常個所があればそこに車輪部(4)表面の軟質合成樹脂膜が接触する。このとき、軟質合成樹脂膜に異常部分の状態に応じた傷が付くので、その傷の状態を確認することにより、管内にどのような異常が発生しているのかを把握することができる。
【0027】
次に、本発明において異常発見用治具(1)を片押しする際に使用される可撓性ロッド(6)について説明する。
可撓性ロッド(6)(図9参照)は、埋設管(3)内に配置された異常発見用治具(1)を片押し可能な可撓性素材から構成され、例えばFRP(繊維強化プラスチック)から構成することができる。その表面は滑らかに形成される。
この可撓性ロッド(6)は、少なくとも、異常発見用治具(1)の発車位置に相当するマンホール(2)(図10参照)から該治具(1)の最大到達位置に相当する隣のマンホール(図示せず)まで伸長させなければならないため、これらマンホール間の距離よりも長く形成されており、巻取りドラム(16)(図10参照)に巻回された状態で現場に持ち込まれ、巻取りドラム(16)から送り出される。
【0028】
可撓性ロッド(6)の送り出し側の端部は、前記したように、異常発見用治具(1)のロッド挿通孔(7)に挿通保持される(図9参照)。可撓性ロッド(6)の具体的な保持手段は特に限定されないが、例えば、ロッド挿通孔(7)の進行方向前端部から可撓性ロッド(6)の先端を突出させ、その突出部に筒状の抜け止め部材(19)を外嵌し、更に、ロッド挿通孔(7)の進行方向後端部近傍において可撓性ロッド(6)に同じく筒状の抜け止め部材(19)を外嵌し、これら外嵌部材(19),(19)で異常発見用治具(1)を挟むようにして、可撓性ロッド(6)の一端部に異常発見用治具(1)を固定することができる。
【0029】
次に、上記した異常発見用治具(1)及び可撓性ロッド(6)を用いた埋設管の異常発見方法の第1実施形態について説明する。異常発見用治具(1)と可撓性ロッド(6)とからなる装置が、この第1実施形態に対応する本発明の異常発見装置である。
第1実施形態に係る埋設管の異常発見方法は、マンホール(2)同士を結ぶように配置された埋設管(3)の異常を発見する方法であって、埋設管(3)内を車輪部(4)の転動によって移動可能な異常発見用治具(1)を埋設管(3)内に配置し(図10参照)、一端部が異常発見用治具(1)に取り付けられた可撓性ロッド(6)を介して一方のマンホール(2)内から異常発見用治具(1)を片押しし、可撓性ロッド(6)から得られる感触によって埋設管(3)内の異常を発見するという方法である。
【0030】
この方法では、前記した一方のマンホール(2)から他方のマンホール(図示せず)に向けて異常発見用治具(1)を片押しする。埋設管(3)内に異常があれば、異常発見用治具(1)がその異常部分に進行を阻害されて進行できなくなるか、若しくは進行に要する力が多大に必要になるので、その時点で埋設管(3)に何らかの異常が発生していることが判る。異常個所の位置については、可撓性ロッド(6)の挿入長さを電子計尺機(30)等で測定することより把握することができる。
【0031】
埋設管(3)に発生する異常としては、管同士の接続部において埋設管(3)が相互に離れてしまう「開き」(図11(a)参照)、管同士の接続部において埋設管(3)の中心軸線がずれてしまう「段差ずれ」(図11(b)参照)、管同士の接続部において埋設管(3)の中心軸線が屈曲する「折れ」(図11(c)参照)、管同士の接続部において止水用のゴムパッキン(31)が内側へめくれる「パッキンめくれ」(図12(a)参照)、埋設管(3)そのものの内面が内側に突出変形する「突き出し」(図12(b)参照)、埋設管(3)内面からねじ等の異物(32)が突出する「異物突き出し」(図13(a)参照)、埋設管(3)内に砕石(33)や汚泥が堆積する「堆積」(図13(b)参照)等が挙げられるが、本発明における埋設管の異常発見方法を用いれば、そのいずれであっても確実に発見することができる。
【0032】
また、本発明方法では、一方のマンホール(2)から挿入して検査を終えた異常発見用治具(1)を、可撓性ロッド(6)によって同じマンホール(2)側へ引っ張り、同マンホール(2)内で回収することができる。従って、作業員は一方のマンホール(2)に配置すれば足り、作業員数を大幅に削減することができる。
また、ワイヤを用いておらず、可撓性ロッド(6)の表面には凹凸が殆ど無く表面が滑らかであるので、異常発見用治具(1)移動時に埋設管(3)内面が傷付かない。
また、ワイヤの挿入作業が不要であるから、作業工数と作業時間を大幅に削減することができる。
【0033】
次に、上記した異常発見用治具(1)及び可撓性ロッド(6)を用いた埋設管の異常発見方法の第2実施形態について、図14及び図15を参照しつつ説明する。
第2実施形態に係る埋設管の異常発見方法は、基本的には上記した第1実施形態と同様であるが、第1実施形態とは以下の点で異なる。
【0034】
第2実施形態では、可撓性ロッド(6)の送り出し側の先端にカメラ(17)が設けられ、異常発見用治具(1)を挿入する側に相当する一方のマンホール(2)内或いは地上には、カメラ(17)から送られてきた管内映像を表示するディスプレイ部(18)が設けられており、異常発見用治具(1)を片押ししているとき、若しくは可撓性ロッド(6)から得られる感触によって埋設管(3)内の異常を発見し異常発見用治具(1)を停止させたときに、ディスプレイ部(18)を監視して埋設管(3)内の状態を詳細に把握する、という付加構成がある。
【0035】
カメラ(17)は広義の画像取り込み装置を意味し、その例として、CCDカメラ、光ファイバーを用いたファイバースコープの対物部等を例示することができ、図示例ではCCDカメラ(17)を採用している。
カメラ(17)から入った管内映像は、可撓性ロッド(6)に内蔵した映像伝達路を介して、一方のマンホール(2)内或いは地上に設けたディスプレイ部(18)に表示される。
【0036】
カメラ(17)がCCDカメラの場合には映像伝達路は電線であり、カメラ(17)がファイバースコープの対物部である場合には映像伝達路は光ファイバーである。
ディスプレイ部(18)の構成は特に限定されるものではないが、例えば、CRT等の画像表示装置を挙げることができ、カメラ(17)がファイバースコープの対物部である場合にはディスプレイ部(18)をファイバースコープの接眼部とすることもできる。
【0037】
カメラ(17)には照明部(図示せず)が設けられており、この照明部から放たれる光によって管内を明るく照らすことができる。照明部の構成は特に限定されるものではないが、例えば、光ファイバーを利用して光を供給するものや、電球、LED等によって発光するようにしたものを採用することができる。
【0038】
第2実施形態に係る埋設管の異常発見方法によれば、異常発見用治具(1)を進めながらディスプレイ部(18)で埋設管(3)内の状態を詳細に把握することができる。従って、異常発見用治具(1)での検査工程と、カメラ(17)での確認工程とを同時に行うことができ、これらの工程を別々に行っていた従来に比べて作業時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0039】
【発明の効果】
請求項1に係る埋設管の異常発見方法によれば、作業員を一方のマンホールに配置すれば足り、作業員数を大幅に削減することができる。また、異常発見用治具を移動させるに際し、ワイヤで引っ張るのではなく、可撓性ロッドを用いて押し込むことで移動させるので、埋設管内面が傷付かない。また、ワイヤの挿入作業が不要であるから、作業工数と作業時間を大幅に削減することができる。
【0040】
請求項2に係る埋設管の異常発見方法によれば、異常発見用治具を進めながらディスプレイ部で埋設管内の状態を詳細に把握することができる。従って、異常発見用治具での検査工程と、カメラでの確認工程とを同時に行うことができ、これらの工程を別々に行っていた従来に比べて作業時間の大幅な短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る異常発見用治具を示す正面図である。
【図2】図1に示す異常発見用治具の側面図(A方向矢視図)である。
【図3】図2に示す異常発見用治具のB−B線断面図である。
【図4】異常発見用治具の車輪部を示す正面図である。
【図5】図4に示す車輪部のC方向矢視図である。
【図6】異常発見用治具の車軸を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【図7】異常発見用治具の本体を示す正面図である。
【図8】図7に示す本体のD方向矢視図である。
【図9】本発明に係る異常発見用治具の使用状態の一例を示す図である。
【図10】本発明に係る異常発見装置を用いて埋設管の点検作業を行っている様子の一例を示す図である。
【図11】埋設管の異常状態を示す図である。
【図12】埋設管の異常状態を示す図である。
【図13】埋設管の異常状態を示す図である。
【図14】本発明に係る異常発見用治具の使用状態の他の例を示す図である。
【図15】本発明に係る異常発見装置を用いて埋設管の点検作業を行っている様子の他の例を示す図である。
【図16】従来の埋設管の点検作業の様子を示す図である。
【図17】従来の埋設管の異常発見用治具を示す図である。
【符号の説明】
1・・・・・異常発見用治具
2・・・・・マンホール
3・・・・・埋設管
4・・・・・車輪部
5・・・・・本体
6・・・・・可撓性ロッド
7・・・・・ロッド挿通孔
17・・・・カメラ
18・・・・ディスプレイ部

Claims (5)

  1. マンホール同士を結ぶように配置された埋設管の異常を発見する方法であって、
    前記埋設管内を車輪の転動によって移動可能な異常発見用治具を前記埋設管内に配置する工程と、
    一端部が前記治具に取り付けられた可撓性ロッドを介して一方のマンホール内から該治具を片押しする工程と、
    可撓性ロッドから得られる感触によって埋設管内の異常を発見する工程からなり、
    前記治具は、埋設管内を転動可能であるとともに埋設管内の異常を検知する略半球形状の車輪部と、この車輪部を回転可能に支持する本体とからなると共に全体形状が略球状に構成され、
    その全体の径が埋設管の内径より僅かに小径とされ、
    前記本体は、この治具を片押し可能な前記可撓性ロッドの一端部を挿通保持するロッド挿通孔を有し、
    前記車輪部表面には、異常部分の状態を現わす傷が形成可能な軟質合成樹脂膜が形成され、
    前記本体と車輪部のうち少なくともいずれか一方に通水孔が形成されることを特徴とする埋設管の異常発見方法。
  2. 前記可撓性ロッドの前記一端部側の先端にカメラが設けられ、
    前記一方のマンホール内或いは地上には前記カメラから送られてきた管内映像を表示するディスプレイ部が設けられており、
    前記治具を片押ししているとき若しくは埋設管内の異常を発見して前記治具を停止させたときに、
    前記ディスプレイ部を監視して埋設管内の状態を詳細に把握することを特徴とする請求項1に記載の埋設管の異常発見方法。
  3. マンホール同士を結ぶように配置された埋設管の異常を発見するための治具であって、
    前記埋設管内を転動可能であるとともに該埋設管内の異常を検知する略半球形状の車輪部と、
    この車輪部を回転可能に支持する本体とからなると共に全体形状が略球状に構成され、その全体の径が埋設管の内径より僅かに小径とされ、
    前記本体は、この治具を片押し可能な可撓性ロッドの一端部を挿通保持するロッド挿通孔を有し、
    前記車輪部表面には、異常部分の状態を現わす傷が形成可能な軟質合成樹脂膜が形成され、
    前記本体と車輪部のうち少なくともいずれか一方に通水孔が形成されることを特徴とする埋設管の異常発見用治具。
  4. 少なくとも前記車輪が合成樹脂からなることを特徴とする請求項3に記載の埋設管の異常発見用治具。
  5. マンホール同士を結ぶように配置された埋設管の異常を発見するための装置であって、
    前記埋設管内を車輪の転動によって移動可能な異常発見用治具と、
    一端部が前記治具に取り付けられ該治具を片押し可能な可撓性ロッドと、
    このロッドの前記一端部の先端に設けられたカメラと、
    このカメラから送られてきた管内映像をマンホール内或いは地上で表示するディスプレイ部とからなり、
    前記治具は、埋設管内を転動可能であるとともに該埋設管内の異常を検知する略半球形状の車輪部とこの車輪部を回転可能に支持する本体とからなると共に全体形状が略球状に構成され、
    その全体の径が埋設管の内径より僅かに小径とされ、
    前記本体が前記可撓性ロッドの一端部を挿通保持するロッド挿通孔を有し、
    前記車輪部表面には、異常部分を現わす傷が形成可能な軟質合成樹脂膜が形成され、
    前記本体と車輪部のうち少なくともいずれか一方に通水孔が形成されることを特徴とする埋設管の異常発見装置。
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