JP3668102B2 - 配膳車 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、病院やその他施設などで給食に使用される配膳車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の配膳車は、例えば実開平8−1597号公報に記載されている。
【0003】
このものは、温蔵又は冷蔵可能な食膳収納庫内の対向する側壁に1対の棚を多段に配置し、調理物を配膳した食膳を棚に収納して、所望の場所に移動する配膳車が記載されている。さらに、ヒータを埋設した壁面に陽極酸化皮膜層を施したアルミニウム合金板を用いて、ヒータ熱により遠赤外線輻射熱を発生させ、配膳車の庫内に収納した配膳の調理物を加熱するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、配膳車の庫内の数量に関係なく、所定の発熱量で加熱するため、すべての棚に食膳を配置したときにちょうどよい温度に保温できる発熱量に設定しておくと、食膳数が少ない場合、調理物の保温温度が高くなり、調理物の温度が高くなり、また乾燥してしまい、最適な状態を保持できない。
【0005】
逆に、棚に収納した食膳数が少ないときにちょうどよい温度に保温できる発熱量に設定しておくと、収納する食膳数が多くなると、保温温度を維持できず、調理物が冷めてしまうことになる。
【0006】
本発明は、斯かる課題を解決するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の配膳車は、誘導加熱可能な食器を載置した食膳を収納する食膳収納庫と、該食膳収納庫の内部に配置し、前記食膳が載置されたり取り出したりされる複数の棚と、該複数の棚毎に設置された誘導加熱コイルと、該各棚に配置された各誘導加熱コイルを並列接続した誘導加熱コイル群と共振コンデンサとスイッチング素子とから構成されるインバータ回路と、前記スイッチング素子に設定値に応じた駆動信号を出力する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、誘導加熱可能な食器を載置した食膳を収納する食膳収納庫と、該食膳収納庫の内部に配置し、前記食膳が載置されたり取り出したりされる複数の棚と、該複数の棚毎に設置され、直列に接続された複数の誘導加熱コイルからなる誘導加熱コイルユニットと、該誘導加熱コイルユニットを並列接続した並列回路と共振コンデンサとスイッチング素子とから構成されるインバータ回路と、前記スイッチング素子に設定値に応じた駆動信号を出力する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、所望の出力となるように前記制御手段の設定値を変更する設定変更手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0010】
また、前記インバータ回路への入力電流を検出する入力電流検出手段と、該入力電流検出手段で許容最大入力電流以上の入力電流を検出したとき、前記設定値を減少させる保護手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、前記食器は磁性材料が裏面または内部に配置され、また前記食器への加熱出力は、前記誘導加熱コイルに対向する前記磁性材料の面積の大きさまたは前記誘導加熱コイルと前記磁性材料との距離により設定することを特徴とする。
【0012】
さらに、前前記食膳は、前記棚の前記誘導加熱コイルと対向する位置に前記食器の載置範囲を表示していることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1において、1は配膳車を示し、2は該配膳車の天井部、3は窓部4およびドア5,6を有する側壁部、7は配膳車1下面の各コーナー部付近に配置した車輪部8を有する土台部である。
【0014】
前記ドア5および6は、中央部から左右方向に引いて開放できる構成となっており、さらに各ドア5、6には窓部5a、6aが設けられている。
【0015】
9は天井部2、側壁部3および土台部7で囲んで形成した食膳収納庫であり、内部には食膳10を載置するための複数段の載置棚11が配置されている。
【0016】
前記食膳10は、ドア5、6を開放することにより、前記載置棚11へ載置したり取り出したりすることができる。
【0017】
なお、配膳車1は、図示しない電源プラグにより、外部のコンセントと接続して電源を供給できる構成となっている。
【0018】
前記食膳10および載置棚11を、図2により詳細に説明する。
【0019】
まず食膳10は、食品を盛った食器12aおよびbを載置するためのものである。該食器12aおよびbは、図3に示すように、陶磁器やプラスチックなどの非磁性体材料で形成した側壁部121及び底面部122と、該側壁部121及び底面部122で囲われて構成する食品収納部123と、前記底面部122から下方に延設され食器12a、12bを支持する糸底124と、底面部122に裏面に設置または内部に埋設され、後述する誘導加熱コイル13と電磁結合して熱を発する、即ち誘導加熱される磁性材料125と、から構成されている。
【0020】
前記磁性材料125は、底面部122の裏面に溶射されたり、貼り付けたり、または埋め込まれたりして取り付けられている。
【0021】
また、後述する誘導加熱コイル13と食器12a、12bの磁性材料125との電磁結合を確実なものとするために、誘導加熱コイル13の配置位置に近傍する位置に10a、10bのような載置範囲を色の塗布などにより表示している。
【0022】
次に載置棚11は、食膳収納庫9の内壁面に固定され、例えば図2中の点線で示す位置に、前記食器12aおよびbを加熱する誘導加熱コイル13を埋め込んでいる。この誘導加熱コイル13は、図2中では1つの載置棚11内に2個配置し、これら誘導加熱コイル13を全て配線13aで直列接続し、載置棚11から出る配線13aの数を2本に減少させている。その接続の様子を図4に示す。また、これら各誘導加熱コイル13の巻き数は、同じ設定されているため、生産コスト低減または部品の歩留まりの向上に寄与している。なお、載置棚11の誘導加熱コイル13は、1つでもまた3以上の複数としても良い。
【0023】
係る構成の制御回路を図5に示す。該制御回路は、配膳車1の天井部2内に収納されている。
【0024】
14は交流電源となり、図示しないプラグと接続することにより供給される商用電源、15は商用電源を全波整流するダイオードブリッジ、16はダイオードブリッジ15の+端子と−端子との間に接続され、脈流を平滑する平滑コンデンサ、17は前記各棚に配置された誘導加熱コイル13、13、…、13を並列接続した誘導加熱コイル群、18は該誘導加熱コイル群17と直列接続して平滑コンデンサ16に並列接続される共振コンデンサ、19は共振コンデンサ18に並列接続するパワートランジスタ、20は該パワートランジスタに逆並列に接続したダイオードである。
【0025】
前記誘導加熱コイル群17、共振コンデンサ18、パワートランジスタ19及びダイオード20でインバータ回路21を構成する。
【0026】
22はインバータ回路21の出力を設定するために、パワートランジスタ19のオン期間を設定する設定手段、23は誘導加熱コイル群17の両端電圧を検出してオンタイミングを取得し、前記設定手段22で設定されたオン期間パワートランジスタ19をオンさせるためのオン信号を出力するオン制御手段、24はオン制御手段23のオン信号に基づいてパワートランジスタ19の駆動信号を生成するドライブ手段である。
【0027】
前記設定手段22は、例えば手動により可変抵抗の抵抗値を変化させ、該変化させた抵抗値に応じた出力を設定するものである。
【0028】
25は商用電源14からインバータ回路21への入力電流を検出する入力電流検出手段に相当するカレントトランス、26は該カレントトランス25で検出した入力電流が最大許容電流値以上を検出し、最大許容電流値以下となるように前記オン制御手段23に指示する最大電流制御手段である。
【0029】
かかる構成の動作を以下に説明する。
【0030】
まず、一例として、食器12aおよびbが載置された1つの食膳10を載置棚11に載置されている場合について説明する。
【0031】
インバータ回路21の駆動に先立って、設定手段22で保温出力を設定しておく。そして、図示しない電源スイッチをオンすることにより、インバータ回路21及び各制御手段に電源が供給される。この電源供給に応じて、オン制御手段23は、ドライブ手段24に起動信号を出力し、パワートランジスタ19をオンする。この動作にしたがって、ダイオードブリッジ15からの電流が、誘導加熱コイル群17を介してパワートランジスタ19に流れる。このときの電流は、時間の経過に略比例して増加するように流れる。
【0032】
オン制御手段23は、設定手段22で設定されたオン時間に達すると、パワートランジスタ19をオフさせるためにオン信号の出力を停止する。このときパワートランジスタ19はオフすると同時にインバータ回路21内で共振が始まる。
【0033】
オン制御手段23は、この共振期間中に誘導加熱コイル群17の両端電圧を比較して、そこから次のパワートランジスタ19のオンタイミングを得る。オン制御手段23は、このオンタイミングを得たとき、ドライブ手段24にオン信号を出力し、パワートランジスタ19をオンさせる。
【0034】
以上の動作を繰り返し行うことにより、インバータ回路21の発信動作を継続するのである。
【0035】
次の例として、食器12aおよびbが載置された複数の食膳10をそれぞれ載置棚11に載置されている場合について説明する。
【0036】
この場合の動作は、前述の1つの食膳を配置した場合と同じである。異なる点は、前記パワートランジスタ19がオフしてから次にオンするまでの期間、すなわちパワートランジスタ19のオフ期間の長さが異なり、それに伴って、インバータ回路21の発振周波数が異なる点である。
【0037】
すなわち、インバータ回路21の発振周波数は、誘導加熱コイル群17と共振コンデンサ18との直列インピーダンス及び載置された食器12aおよびbの磁性材料の固有インピーダンスの総和により決定する。ゆえに、食器12aおよびbを載置した食膳10を食膳収納庫9内に収納する数が増加すれば、食器の固有インピーダンスも増加し、パワートランジスタ19のオフ期間は長くなるが、各食器12aおよびbへの加熱出力はパワートランジスタ19のオン期間に依存するため、影響はない。
【0038】
前述の動作において、食膳収納庫9内に収納される食膳数が多くなる、即ち食器の数が多くなると、インバータ回路21内での消費電力も増加するため入力電流も増加する。しかし、配電の最大容量を越えると、配電盤のブレーカが切れるという不具合が発生するので、最大電流を最大電流検出手段26で監視し、最大電流に到達すれば、出力を低下させるようにオン制御手段23に指示している。
【0039】
以上のことより、食膳収納庫内に収納した各食器を誘導加熱するため、載置された食器はそこで電力が消費されて発熱するが、食器が載置されていない載置棚では、誘導加熱コイルの内部抵抗分以外に電力消費されないので、例えば壁面に埋め込まれたヒータによる加熱に比べ、その分電力が節約できる。
【0040】
また、各食器毎に適切な加熱量で加熱するため、従来のように余分に加熱しすぎることが抑制でき、調理物を乾燥させず、食するのに最適な状態を保持して保温することが可能となる。
【0041】
さらに、各食器12a、12bへの加熱出力は、(1)誘導加熱コイル13に対向する磁性材料125の面積の大きさ、(2)誘導加熱コイル13と磁性材料125との間の距離、で調整することができる。具体的には、前述の(1)では、図6に示すように、誘導加熱コイル13の面積と磁性材料125の面積との面積比と誘導加熱コイル13の出力を1としたときの食器の加熱出力の割り合いとの関係では、磁性材料125の面積を小さくすれば食器の加熱出力も低下することがわかる。また前述の(2)では、糸底124の高さを変えて、図3中の磁性材料125の底面と誘導加熱コイル13との距離Aと、誘導加熱コイル13の出力を1としたときの食器の加熱出力の割り合いとの関係でも、図7に示すように、距離Aが大きくなるに従い加熱出力が低下することが分かる。
【0042】
これらのことより、誘導加熱可能な食器12a、12bの位置は固定されても主菜や副菜の食器の位置が固定されないので、配膳担当者が間違って食器12a、12bを配膳したとしても、食品収納部123に収納した食品の仕上がり温度に影響せず、常に適温の食膳を提供することができる。
【0043】
なお、前述の実施例において、インバータ回路21の発振周波数は、パワートランジスタ19のオン期間とオフ期間との総和で決まり、食膳収納庫9に収納する食膳10の数が多くなれば発振周波数も低くなるが、20kHz以下となると可聴領域になり、人に耳障りな音が聞こえるので、20kHz以下とならないように最低周波数制御も行っている。
【0044】
また、前述の実施例では、食器に磁性材料を配置した構成を説明したが、本発明はこれに限定されず、食器を載置する食膳10内に埋め込むなどして配置してもよい。
【0045】
【発明の効果】
この発明によれば、各食器毎に適切な加熱量で加熱するため、従来のように余分に加熱しすぎることが抑制でき、調理物を乾燥させず、食するのに最適な状態を保持して保温することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配膳車の外観図である。
【図2】食膳および載置棚の外観図である。
【図3】食器の構造図である。
【図4】載置棚の構造図である。
【図5】本発明の配膳車の制御ブロック図である。
【図6】誘導加熱コイルの面積と磁性材料の面積との面積比と、誘導加熱コイルの出力を1としたときの食器の加熱出力の割り合いとの関係を示す図である。
【図7】磁性材料の底面と誘導加熱コイルとの距離Aと、誘導加熱コイルの出力を1としたときの食器の加熱出力の割り合いとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 配膳車
9 食膳収納庫
10 食膳
11 載置棚
12a、b 食器
13 誘導加熱コイル

Claims (6)

  1. 誘導加熱可能な食器を載置した食膳を収納する食膳収納庫と、該食膳収納庫の内部に配置し、前記食膳が載置されたり取り出したりされる複数の棚と、該複数の棚毎に設置された誘導加熱コイルと、該各棚に配置された各誘導加熱コイルを並列接続した誘導加熱コイル群と共振コンデンサとスイッチング素子とから構成されるインバータ回路と、前記スイッチング素子に設定値に応じた駆動信号を出力する制御手段と、を備えたことを特徴とする配膳車。
  2. 誘導加熱可能な食器を載置した食膳を収納する食膳収納庫と、該食膳収納庫の内部に配置し、前記食膳が載置されたり取り出したりされる複数の棚と、該複数の棚毎に設置され、直列に接続された複数の誘導加熱コイルからなる誘導加熱コイルユニットと、該誘導加熱コイルユニットを並列接続した並列回路と共振コンデンサとスイッチング素子とから構成されるインバータ回路と、前記スイッチング素子に設定値に応じた駆動信号を出力する制御手段と、を備えたことを特徴とする配膳車。
  3. 所望の出力となるように前記制御手段の設定値を変更する設定変更手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配膳車。
  4. 前記インバータ回路への入力電流を検出する入力電流検出手段と、該入力電流検出手段で許容最大入力電流以上の入力電流を検出したとき、前記設定値を減少させる保護手段とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の配膳車。
  5. 前記食器は磁性材料が裏面または内部に配置され、また前記食器への加熱出力は、前記誘導加熱コイルに対向する前記磁性材料の面積の大きさまたは前記誘導加熱コイルと前記磁性材料との距離により設定することを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1つに記載の配膳車。
  6. 前記食膳は、前記棚の前記誘導加熱コイルと対向する位置に前記食器の載置範囲を表示していることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか1つに記載の配膳車。
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