JP3666845B2 - スポットネットワーク受電設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビルディング用電気負荷等に電力を供給するスポットネットワーク受電設備に関するもので、特に、ネットワーク回線に設置されるネットワーク継電器の差電圧検出機能に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来のスポットネットワーク受電設備の一例を示すもので、(A)は主回路機器構成、(B)はプロテクタ遮断器の極間に発生する差電圧のモデル回路、(C)は差電圧ベクトルとネットワーク継電器の差電圧検出機能の特性の関係、(D)はネットワーク継電器の差電圧検出機能のブロック図、(E)は差電圧検出機能の内部構成をそれぞれ示す図である。 図3(A)に示すように、2本の配電線1a,1bは、それぞれ配電線遮断器2a,2bを介して商用電源3に接続されている。そして、各配電線1a,1bは所定位置でネットワーク回線4a,4bに分岐しており、ネットワーク母線5に接続している。各ネットワーク回線4a,4bは、それぞれ配電線1a,1bとネットワーク母線5との間に直列に挿入された一次開閉器6a,6bと、ネットワーク変圧器7a,7bと、ネットワーク変流器8a,8bと、プロテクタ遮断器9a,9bとを備えている。なお、10a,10bはネットワーク回線4a,4bに設けられたネットワーク継電器である。
【0003】
スポットネットワーク受電設備の通常の運転状態では、一次開閉器6a,6bとプロテクタ遮断器9a,9bは投入状態であり、配電線1aと配電線1bの負荷は平衡している。そして、ネットワーク継電器10a,10bが常時ネットワーク変圧器7a,7bの二次相電圧と電流とネットワーク母線5の相電圧を監視しており、ネットワーク継電器10a,10bの制御信号に基づいてプロテクタ遮断器9a,9bを自動開閉制御し、個々のネットワーク回線4a,4bを配電線1a,1bやネットワーク母線5から切り離したり、接続したりする。
【0004】
上記制御の一例として、ネットワーク継電器10aによるプロテクタ遮断器9aの自動開閉制御について述べる。
配電線1aの計画停電のため配電線遮断器2aを開放する場合は、ネットワーク回線4aには配電線1bからネットワーク回線4bおよびネットワーク母線5を経由して逆電力が発生する。これをネットワーク継電器10aの逆電力検出機能が検出し、この制御信号によりプロテクタ遮断器9aは開放され、配電線1aは停電状態になる。
また、配電線1aに短絡事故が発生した場合は、配電線遮断器2aは開放されるが、計画停電と同様にネットワーク回線4aには配電線1bからネットワーク回線4bおよびネットワーク母線5を経由して逆電力が発生する。これをネットワーク継電器10aの逆電力検出機能が検出し、この制御信号によりプロテクタ遮断器9aは開放され、配電線1aは停電状態になる。
計画停電の終了や短絡事故の復旧により配電線1aが復電したときに、スポットネットワーク受電設備にある程度の負荷の発生に伴って有効電力が発生していれば、プロテクタ遮断器9aの極間に差電圧が発生する。これをネットワーク継電器10aの差電圧検出機能が検出し、この制御信号によりプロテクタ遮断器9aは投入され、通常の運転状態に戻る。これらの制御によって、スポットネットワーク受電設備は通常の運転状態においてネットワーク回線4a,4bの両方から受電することができ、負荷に電力を安定供給でき、かつ、電力供給信頼度を高めることができる。
【0005】
また、図3(B)に示すように、上記差電圧検出機能への入力であるプロテクタ遮断器9aの開放時の極間に発生する差電圧ベクトルVについては、配電線インピーダンスベクトルZL、ネットワーク変圧器インピーダンスベクトルZT、負荷電流ベクトルIN、不平衡電流ベクトルIRを用いたモデル回路で表される。また、インピーダンスベクトルの大きさの関係は、|ZL|《|ZT|である。配電線1aの負荷が通常の運転状態のとき、すなわち不平衡電流ベクトルIRが0であるときの差電圧ベクトルVの理論式は近似的に次のように表される。
【0006】
【数1】
【0007】
図3(C)に示すように、数1式のベクトルの関係については、負荷電流ベクトル28に対する差電圧ベクトル27の位相はネットワーク変圧器インピーダンス角29だけ進んでおり、その大きさは負荷電流ベクトル28の大きさに比例して増減する。また、通常の運転状況では、ネットワーク母線相電圧ベクトル23に対する負荷電流ベクトル28の負荷電流位相角30は、ネットワーク母線5の電圧上昇を防止するため、0度より遅れ方向に維持され、かつ、ネットワーク変圧器インピーダンス角29の角度は80度から85度であるため、差電圧ベクトル27は座標の第1象限又は第4象限に存在する。
【0008】
また、ネットワーク継電器10aの差電圧検出機能は差電圧検出感度特性21と差電圧位相特性22を備えている。差電圧検出感度特性21は、ネットワーク母線相電圧ベクトル23に対して進み方向へ最高感度角24の固定された傾きを持つ最高感度直線25と直交する直線で表され、その位置は最高感度直線25上を原点から検出感度26だけ移動した位置に配置される。最高感度角24については、上記差電圧ベクトル27が座標の第1象限又は第4象限に存在するため、最高感度角24は0度でよいが、ネットワーク継電器10a,10bの製作上の容易さから、逆電力検出機能の逆電力検出感度特性33の最高感度角である1度から5度程度としている場合が多い。
【0009】
一方、差電圧位相特性22は原点を通る直線で表され、その傾きである位相角整定値は可変であり、通常ネットワーク母線相電圧ベクトル23に対して進み方向に5度から遅れ方向に20度の範囲内に整定される。最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分が検出感度26以上(差電圧ベクトル27と差電圧検出感度特性21が交差している状態を示している)であり、かつ、その位相が差電圧位相特性22より進み180度以内である状態のときに差電圧検出機能が制御信号を出力し、プロテクタ遮断器9aを投入制御する。上記の一連の動作は配電線1bにおいても同様である。
【0010】
また、図3(D)に示すように、差電圧検出機能は中央処理部41を中心にして、これに電圧入力部42、差電圧検出感度特性検出感度入力器44、差電圧位相特性位相角入力器45、出力部46をそれぞれ接続したものであり、これらはいずれもネットワーク継電器10a,10bに搭載される。電圧入力部42はネットワーク変圧器7a,7bの二次相電圧とネットワーク母線5の相電圧を入力する。また、差電圧検出感度特性検出感度入力器44は差電圧検出感度特性21の検出感度26の大きさの整定を行い、差電圧位相特性位相角入力器45は差電圧位相特性22の位相角の整定を行う。
電圧入力部42と差電圧検出感度特性検出感度入力器44と差電圧位相特性位相角入力器45の出力は中央処理部41に記憶された演算式のパラメータであり、中央処理部41はこれらの情報を演算式に代入し、図3(C)の関係を演算する。中央処理部41は演算結果の数値の符号が正のときに出力部46に制御信号を出力する指令を出力する。出力部46は中央処理部41の指令に基づき外部に制御信号を出力する。
【0011】
また、図3(E)に差電圧検出機能の内部構成を示す。電圧入力部42は変圧器61と高調波フィルタ62とA/D変換器63を直列に接続した回路で構成する。変圧器61はネットワーク変圧器7a,7bの二次相電圧とネットワーク母線5の相電圧であるアナログ電圧入力を高調波フィルタ62とA/D変換器63の定格電圧以下に変圧する。高調波フィルタ62は変圧器61で変圧したアナログ電圧に含まれる高調波成分を除去し、正弦波成分のみを出力する。A/D変換器63は高調波フィルタ62からの正弦波のアナログ電圧をデジタル信号に変換し、出力する。
差電圧検出感度特性検出感度入力器44は検出感度選択部64とメモリ65を直列に接続した回路で構成する。検出感度選択部64は差電圧検出感度特性21の検出感度26の整定値を複数備えており、そのうちの一つを人間が選択する。メモリ65は検出感度選択部64で選択された整定値に基づきデジタル信号を出力する。
【0012】
差電圧位相特性位相角入力器45は位相角選択部66とメモリ67を直列に接続した回路で構成する。位相角選択部66は差電圧位相特性22の位相角の整定値を複数備えており、そのうちの一つを人間が選択する。メモリ67は位相角選択部66で選択された整定値に基づきデジタル信号を出力する。
中央処理部41はCPU70で構成する。CPU70はA/D変換器63とメモリ65とメモリ67からの入力を受け、これに基づいて演算し、デジタル信号を出力するか否かを判定する。
出力部46はリレー駆動部71とリレー72で構成する。リレー駆動部71はCPU70からのデジタル信号が入力されたときにアナログ電圧を出力する。リレー72はリレー駆動部71からのアナログ電圧を受けて接点出力を行う。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のスポットネットワーク受電設備では、通常の運転状態、すなわち配電線1a,1bの負荷が平衡している状態において、何らかの原因により負荷電流ベクトル28の負荷電流位相角30が進むことがある。このときに、プロテクタ遮断器9aが開放状態になると、差電圧ベクトル27の位相角は負荷電流位相角30とネットワーク変圧器インピーダンス角29を加えた角度になる。したがって、最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分は減少する。
【0014】
この状況において、プロテクタ遮断器9aの投入制御を行うには、最高感度角24を拡大させるか、又は、差電圧ベクトル27の大きさを増加させる必要がある。しかし、最高感度角24は固定値であるため、拡大することはできない。つまり、負荷電流ベクトル28の大きさを増加させねばならない。言い換えれば、ネットワーク継電器10aによるプロテクタ遮断器9aの投入制御は負荷電流ベクトル28が小さいときには容易にはできない。さらに、差電圧ベクトル27が最高感度直線25に対して90度以上進みになり、最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分が0になったときは、負荷電流ベクトル28の大きさを無限大に増加させてもプロテクタ遮断器9aの投入制御は不可能である。
【0015】
また、通常運転時には配電線1a,1bの負荷は平衡しているが、何らかの原因により配電線1aの負荷が配電線1bよりも重負荷となったとき、すなわち不平衡になったときは、差電圧ベクトルVの理論式は次のように表される。
【0016】
【数2】
【0017】
配電線1a,1b間の負荷が不平衡のときは数2式の右辺第2項の影響により、プロテクタ遮断器9aの開放時における極間の差電圧は平衡時よりも減少し、差電圧ベクトル27の大きさも同様に減少することがわかる。つまり、最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分も減少する。この状況においても、最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分を増加させ、プロテクタ遮断器9aの投入制御を行うには、負荷電流ベクトル28の大きさを増加させねばならない。
上記二つの課題は配電線1bにおいても同様である。
【0018】
そこで、本発明は負荷電流を極力増大させることなく、容易にプロテクタ遮断器の投入制御ができ、これによって電力を安定供給でき、かつ、供給信頼度を高めることができるスポットネットワーク受電設備を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のスポットネットワーク受電設備においては、ネットワーク回線およびネットワーク母線の電圧を入力する電圧入力部と、感度特性の検出感度の大きさを整定する差電圧検出感度特性検出感度入力器と、位相特性の位相角を整定する差電圧位相特性位相角入力器と、前記電圧入力部と前記差電圧検出感度特性検出感度入力器と前記差電圧位相特性位相角入力器からの情報を演算し、出力部に制御信号を出力する指令を出力するか否かを判定する中央処理部で構成される差電圧検出機能においては、最高感度角を可変にする差電圧検出感度特性最高感度角入力器を設定する。
請求項2記載のスポットネットワーク受電設備においては、最高感度角の範囲は0度からネットワーク変圧器インピーダンス角の間とする。
【0020】
上記スポットネットワーク受電設備においては、従来と比較して差電圧ベクトルの有効分が検出感度以上になるときの負荷電流ベクトルの大きさを削減でき、より小さい負荷電流で差電圧検出機能の制御信号の出力が可能になる。また、負荷電流ベクトルの位相角が極端な進みのときや、配電線間の負荷が不平衡のときでも差電圧検出機能の制御信号の出力が可能になる。すなわち、プロテクタ遮断器の投入制御を容易に行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態の一例で、(A)はネットワーク継電器の差電圧検出機能のブロック図、(B)は差電圧検出機能の内部構成をそれぞれ示している。図2は差電圧検出機能の位相特性と差電圧ベクトルの関係を示しており、(A)は負荷力率が遅れのとき、すなわち負荷電流ベクトルの位相がネットワーク母線相電圧ベクトルに対して遅れのとき、(B)は負荷力率が進みのとき、すなわち負荷電流ベクトルの位相がネットワーク母線相電圧ベクトルに対して進みのとき、(C)は負荷電流ベクトルの位相がネットワーク母線相電圧ベクトルに対して進み90度、すなわち負荷電流の有効分が0のとき、(D)は配電線間の負荷が不平衡のとき、(E)は最高感度角の整定方法をそれぞれ示している。
図1(A)において、ネットワーク継電器の差電圧検出機能には、中央処理部51を中心にして、これに電圧入力部42、差電圧検出感度特性検出感度入力器44、差電圧位相特性位相角入力器45、出力部46、差電圧検出感度特性最高感度角入力器47がそれぞれ接続され、これらはいずれもネットワーク継電器10a,10bに搭載される。差電圧検出感度特性最高感度角入力器47は差電圧検出感度特性21の最高感度角24の整定を行う。中央処理部51は電圧入力部42、差電圧検出感度特性検出感度入力器44、差電圧位相特性位相角入力器45、差電圧検出感度特性最高感度角入力器47から入力を受ける。電圧入力部42と差電圧検出感度特性検出感度入力器44と差電圧位相特性位相角入力器45と差電圧検出感度特性最高感度角入力器47の出力は中央処理部51に記憶された演算式のパラメータであり、中央処理部51はこれらの情報を演算式に代入し、後述の図2(A)の関係を演算する。
【0022】
図1(B)において、差電圧検出機能の内部構成では、差電圧検出感度特性最高感度角入力器47は整定値選択部68とメモリ69を直列に接続した回路で構成する。最高感度角選択部68は差電圧検出感度特性21の最高感度角24の整定値を複数備えており、そのうちの一つを人間が選択する。メモリ69は最高感度角選択部68で選択された整定値に基づきデジタル信号を出力する。
中央処理部51はCPU80で構成する。CPU80はA/D変換器63とメモリ65とメモリ67とメモリ69からの入力を受け、これに基づいて演算し、デジタル信号を出力するか否かを判定する。
【0023】
図2(A)において、差電圧検出機能の位相特性には、差電圧検出感度特性21と差電圧位相特性22が備えられる。差電圧検出感度特性21は、ネットワーク母線相電圧ベクトル23に対して進み方向へ最高感度角24の傾きを持つ最高感度直線25と直交する直線で表され、その位置は最高感度直線25上において原点から検出感度26だけ移動した位置に配置される。最高感度角24は可変であり、その整定範囲は0度以上ネットワーク変圧器インピーダンス角29以下で、最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分が増加する方向に増大され、整定される。
【0024】
一方、差電圧位相特性22は原点を通る直線で表され、その傾きは可変であり、通常ネットワーク母線相電圧ベクトル23に対して進み方向に5度から遅れ方向に20度の範囲内に整定される。最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分が検出感度26以上であり、かつ、差電圧ベクトル27の位相が差電圧位相特性22より進み180度以内である状態のときに差電圧検出機能が制御信号を出力する。
【0025】
上記発明のスポットネットワーク受電設備においては、図2(B)に示すように、負荷力率が進みのとき、すなわち負荷電流ベクトル28の負荷電流位相角30がネットワーク母線相電圧ベクトル23に対して進みのときは、差電圧ベクトル27の進み位相角はネットワーク変圧器インピーダンス角29に負荷電流位相角30を加えた角度になるが、差電圧検出感度特性最高感度角入力器47によって最高感度角24を拡大して整定することにより、最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分を増加させ、検出感度26以上とすることができる。
【0026】
次に、図2(C)に示すように、負荷電流ベクトル28の負荷電流位相角30がネットワーク母線相電圧ベクトル23に対して進み90度、すなわち負荷電流の有効分が0のときは、差電圧ベクトル27の進み位相角は負荷電流位相角30である90度にネットワーク変圧器インピーダンス角29を加えた角度になる。このとき、差電圧検出感度特性最高感度角入力器47によって最高感度角24を整定範囲の最大値であるネットワーク変圧器インピーダンス角29と同じ角度まで拡大して整定すると、最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分は0になる。この状態から負荷が発生し、負荷電流の有効分が増加すると、負荷電流ベクトル28と差電圧ベクトル27は遅れ方向に推移し、最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分が増加する。
これにより、負荷電流位相角30が極端な進みであっても、ある程度負荷電流ベクトル28を増加させることにより、最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分を増加させ、検出感度26以上とすることができる。
【0027】
次に、図2(D)に示すように、配電線1a,1bの負荷が不平衡のときは、差電圧ベクトル27は負荷差電圧ベクトル31と不平衡差電圧ベクトル32の合成で表され、その大きさは平衡時よりも減少し、その位相も推移する。このため、最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分は減少するので、検出感度26以上とすることができる。しかし、差電圧検出感度特性最高感度角入力器47によって最高感度角24を拡大することにより最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分を増加させ、検出感度26以上とすることができる。
【0028】
次に、図2(E)に最高感度角24の整定方法を示す。最高感度角24が負荷電流位相角30とネットワーク変圧器インピーダンス角29を加え90度を引いた角度に等しい場合は、差電圧ベクトル27が差電圧検出感度特性21と平行な状態になるが、負荷電流ベクトル28の大きさに係わらず最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分は0であり、検出感度26以上にすることはできない。この状態から負荷電流ベクトル28が遅れ方向に推移すると、差電圧ベクトル27も遅れ方向に推移し、最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分が増加するので、ある程度負荷電流ベクトル28を増加させることにより、最高感度直線25に対する差電圧ベクトル27の有効分を増加させ、検出感度26以上とすることができる。したがって、最高感度角24の整定方法としては、スポットネットワーク受電設備ごとに差電圧の検出に必要な最大進み負荷電流位相角を決定しておき、これにネットワーク変圧器インピーダンス角29を加え90度を引いた角度を最高感度角24に整定する。これにより、負荷電流位相角30が負荷電流最大進み位相角よりも遅れ方向の範囲で差電圧の検出が可能になる。
【0029】
【発明の効果】
請求項1記載の発明のスポットネットワーク受電設備によれば、最高感度角が可変であるので、自由に最高感度角を拡大して整定することができる。
請求項2記載の発明のスポットネットワーク受電設備によれば、小さい負荷電流のときや、負荷電流の位相の極端な進みのときや、配電線間の負荷が不平衡のときでも差電圧検出機能の制御信号の出力が可能になる。すなわち、プロテクタ遮断器の投入制御を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスポットネットワーク受電設備の実施の形態の一例で、(A)はネットワーク継電器の差電圧検出機能のブロック図、(B)は差電圧検出機能の内部構成をそれぞれ表した図である。
【図2】そのネットワーク継電器の差電圧検出機能の位相特性と差電圧ベクトルの関係を表しており、(A)は負荷力率が遅れのとき、すなわち負荷電流ベクトルの位相がネットワーク母線相電圧ベクトルに対して遅れのとき、(B)は負荷力率が進みのとき、すなわち負荷電流ベクトルの位相がネットワーク母線相電圧ベクトルに対して進みのとき、(C)は負荷電流ベクトルの位相がネットワーク母線相電圧ベクトルに対して進み90度、すなわち負荷電流の有効分が0のとき、(D)は配電線間の負荷が不平衡のとき、(E)は最高感度角の整定方法をそれぞれ表した図である。
【図3】従来のスポットネットワーク受電設備の実施の形態の一例で、(A)は主回路機器構成、(B)はプロテクタ遮断器の極間に発生する差電圧のモデル回路、(C)は差電圧ベクトルとネットワーク継電器の差電圧検出機能の位相特性の関係、(D)はネットワーク継電器の差電圧検出機能を示すブロック図、(E)は差電圧検出機能の内部構成をそれぞれ表した図である。
【符号の説明】
1a,1b 配電線
4a,4b ネットワーク回線
5 ネットワーク母線
7a,7b ネットワーク変圧器
9a,9b プロテクタ遮断器
10a,10b ネットワーク継電器
21 差電圧検出感度特性
22 差電圧位相特性
23 ネットワーク母線相電圧ベクトル
24 最高感度角
25 最高感度直線
26 検出感度
27 差電圧ベクトル
28 負荷電流ベクトル
29 ネットワーク変圧器インピーダンス角
30 負荷電流位相角
31 負荷差電圧ベクトル
32 不平衡差電圧ベクトル
41 中央処理部
42 電圧入力
44 差電圧検出感度特性検出感度入力器
45 差電圧位相特性位相角入力器
46 出力部
47 差電圧検出感度特性最高感度角入力器
51 中央処理部
63 A/D変換器
68 最高感度角整定部
69 メモリ
70 CPU
71 リレー駆動部
80 CPU
Claims (2)
- 複数の配電線とネットワーク母線を各配電線ごとに、一次開閉器とネットワーク変圧器とネットワーク変流器とプロテクタ遮断器を有するネットワーク回線により接続し、前記ネットワーク回線には前記プロテクタ遮断器の極間の差電圧を検出する差電圧検出機能を備えたネットワーク継電器を実装し、前記ネットワーク継電器の差電圧検出機能は、前記ネットワーク回線および前記ネットワーク母線の電圧を入力する電圧入力部と、検出感度特性の検出感度の大きさを整定する差電圧検出感度特性検出感度入力器と、位相特性の位相角を整定する差電圧位相特性位相角入力器と、前記電圧入力部と前記差電圧検出感度特性検出感度入力器と前記差電圧電圧位相特性位相角入力器からの情報を演算し、出力部に制御信号を出力する指令を出力するか否かを判定する中央処理部とを備え、前記ネットワーク継電器からの制御信号に基づいて前記プロテクタ遮断器を投入するようにしたスポットネットワーク受電設備において、
前記ネットワーク継電器の差電圧検出機能は、検出感度特性の最高感度角の整定範囲を0度からネットワーク変圧器インピーダンス角度の間の範囲にし、最高感度角を可変にしたことを特徴とするスポットネットワーク受電設備。 - 最高感度角の整定範囲を0度からネットワーク変圧器インピーダンス角度の間の範囲にした、
ことを特徴とする請求項1記載のスポットネットワーク受電設備。
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