JP3557144B2 - 交流電圧制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、負荷に供給する交流電圧の振幅や位相を適正に保つための交流電圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
負荷に供給する交流電圧を不連続的に変化させる手法として、二次巻線に複数のタップが設けられた変成器の一次巻線に交流電源を接続し、負荷を接続する対象のタップを切り替える手法が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、タップを切り替える上述の手法では、変成器の二次巻線や、タップや、タップと負荷とを接続する接点には、負荷に流れる電流が流れる。また、変成器の一次巻線には、負荷に供給される電力が変圧される前の電力が供給される。このため、二次巻線やタップや接点を、負荷に流れる電流に耐える構造とする必要があり、一次巻線も、負荷に供給される電力に耐える構造とする必要があった。このため、変成器やタップや接点が大型で重量も重くなっていた。
【0004】
また、タップを切り替える上述の手法では、タップを切り替えるときに負荷への電力の供給がとぎれるという問題があり、この問題を解決するため、現に負荷が接続されているタップと、これから負荷を接続しようとするタップとを互いに短絡する必要がある。従って、短絡された各タップ間に大きな電流が流れ、タップや、タップと負荷との接点や二次巻線などが劣化しあるいは破壊するという危険があった。
【0005】
そして、タップ、接点、二次巻線などの劣化あるいは破壊を防ぐためには、タップや接点や二次巻線を、タップ間の短絡時に流れる電流に耐える構造とする必要があった。この点も、変成器や、タップと負荷との接点の容積が大きくなる原因となっていた。
【0006】
この発明は上記実状に鑑みてなされたもので、小型・軽量な構成で、負荷に印加する電圧を変化させつつ交流電力を供給することが可能な交流電圧制御装置や、負荷に流れる電流がとぎれないようにして、負荷に印加する電圧を変えつつ交流電力を供給するための交流電圧制御装置や、負荷に流れるべき電流が短絡回路を流れないようにして、負荷に印加する電圧を変えつつ交流電力を供給するための交流電圧制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の交流電圧制御装置は、
一次巻線と、前記一次巻線に誘導結合され、一端が単相交流電力を供給する外部の電力源の一対の出力端の一方に接続され、他端が外部の負荷の一端に接続された二次巻線と、を備える変成器と、
前記一次巻線の一端が前記電力源の出力端の前記一方に接続され、他端が前記電力源の出力端の他方に接続された第1の状態、及び、前記一次巻線の一端が前記電力源の出力端の前記他方に接続され、他端が前記電力源の出力端の前記一方に接続された第2の状態のうちの一つの状態になるよう、前記一次巻線の各端の接続先を切り替えるとともに前記一次巻線の少なくとも一方の端が前記電力源に接続されない状態を経るようにして前記一次巻線の各端の接続先を切り替える切替手段と、
前記一次巻線の前記一端と前記二次巻線の前記一端との間に接続された第1のキャパシタと、
前記一次巻線の前記他端と前記二次巻線の前記一端との間に接続された第2のキャパシタと、を備える、
ことを特徴とする。ただし、前記一次巻線の両端間に流れる交流電流によって前記一次巻線の前記一端に発生する電圧と、当該交流電流が流れることにより前記二次巻線の前記一端に発生する電圧とは、互いに実質的に同相であるものとする。
【0008】
このような交流電圧制御装置によれば、変成器の一次巻線の両端間に電圧が印加され、変成器の一次巻線に電流が流れることにより二次巻線には起電力が誘起される。そして、二次巻線は電力源とカスケードに接続されているので、負荷に印加される電圧は、一次巻線の両端間に印加される電圧の変化に応じて増減する。そして、一次巻線に供給される電力は、負荷に供給される電力の増減分に相当する。このため、二次巻線に流れる電流を変化させるために二次巻線と電力源との接続状態を切り替える切替手段は、負荷に供給される電力に耐えるものである必要がない。
従って、このような交流電圧制御装置は、小型・軽量な構成で、負荷に印加する電圧を変化させつつ交流電力を供給する。
【0009】
前記切替手段は、前記一次巻線の少なくとも一方の端が前記電力源に接続されない状態を経るようにして前記一次巻線の各端の接続先を切り替えるものとすれば、電力源の両出力端間が短絡されないので、負荷に流れるべき電流が短絡回路を流れるという事態が防止される。
この場合、前記交流電圧制御装置は、
前記一次巻線の前記一端と前記二次巻線の前記一端との間に接続された第1のキャパシタと、
前記一次巻線の前記他端と前記二次巻線の前記一端との間に接続された第2のキャパシタと、を備えていてもよい。
この場合、一次巻線の少なくとも一方の端が電力源に接続されていない間、一次巻線と第1及び/又は第2のキャパシタとを含む閉ループが形成される結果、二次巻線両端間のインピーダンスの急激な増加が抑制される。従って、負荷の両端間に印加される電圧が急激に変化する事態が防止される。
【0010】
前記切替手段は、前記第1の状態、前記第2の状態、及び、前記一次巻線の両端間を実質的に短絡された第3の状態のうちの一つの状態になるよう、前記一次巻線の各端の接続先を切り替える手段を備えるものであってもよい。
この場合、切替手段が第3の状態にあれば、二次巻線の両端間のインピーダンスは実質的に0となり、二次巻線両端間での電力の損失の発生が防止される。
【0011】
前記切替手段が、前記一次巻線の少なくとも一方の端が前記電力源に接続されない状態を経るようにして前記一次巻線の各端の接続先を切り替えるものであって、前記切替手段が、前記第1の状態、前記第2の状態、及び、前記一次巻線の両端間を実質的に短絡された第3の状態のうちの一つの状態になるよう、前記一次巻線の各端の接続先を切り替える手段を備えるものである場合、前記交流電圧制御装置は、例えば、前記一次巻線の前記一端と前記電力源の出力端の前記他方との間に接続された昇圧用キャパシタを備えていてもよい。
この場合、一次巻線の一端が電力源に接続されていない間、電力源から一次巻線へと電流が供給され、この電流が、負荷の両端間の電圧を増大させる向きの起電力を二次巻線に誘起する。従って、前記交流電圧制御装置が第3の状態から第2の状態に移る間に両端間に印加される電圧が急激に変化する事態が防止される。
【0012】
前記切替手段は、例えば、
操作者の操作に従い、前記一次巻線の前記一端が前記電力源に接続されない状態を経てから、前記一次巻線の前記一端を前記電力源の一対の出力端のいずれかに接続する第1のスイッチと、
操作者の操作に従い、前記一次巻線の前記他端が前記電力源に接続されない状態を経てから、前記一次巻線の前記他端を前記電力源の一対の出力端のいずれかに接続する第2のスイッチと、を備えることにより、一次巻線の少なくとも一方の端が電力源に接続されない状態を経るようにして、第1〜第3の状態のうちの一つの状態になるよう、一次巻線の各端の接続先を切り替えることを可能とする。
【0013】
前記切替手段は、
前記電力源の各出力端間の電圧が所定のしきい値を超えているか否かを判別し、判別結果を示す信号を出力する電圧監視手段と、
前記電圧監視手段が出力した前記信号を取得し、取得した信号が、前記電力源の各出力端間の電圧が所定のしきい値を超えていることを示しているとき、前記第1及び第2の状態のうち一方の状態になるよう前記一次巻線の各端の接続先を切り替え、超えていないことを示しているとき、前記第1及び第2の状態のうち他方の状態になるよう前記一次巻線の各端の接続先を切り替える遠隔スイッチング手段を備えるものであってもよい。
これにより、切替手段は、電力源が発生する電圧に応じて、第1及び第2の状態のうちの一つの状態になるよう、一次巻線の各端の接続先を自動的に切り替える。
【0014】
前記遠隔スイッチング手段は、例えば、
前記電圧監視手段が出力した前記信号を取得し、取得した信号が、前記電力源の各出力端間の電圧が所定のしきい値を超えていることを示しているとき、前記一次巻線の一端を前記電力源の各出力端の一方に接続し、超えていないことを示しているとき、前記一次巻線の前記一端を前記電力源の各出力端の他方に接続する第1のスイッチング素子と、
前記電圧監視手段が出力した前記信号を取得し、取得した信号が、前記電力源の各出力端間の電圧が所定のしきい値を超えていることを示しているとき、前記一次巻線の他端を前記電力源の各出力端の前記他方に接続し、超えていないことを示しているとき、前記一次巻線の前記他端を前記電力源の各出力端の前記一方に接続する第2のスイッチング素子と、を備えることにより、電力源が発生する電圧に応じて、第1及び第2の状態のうちの一つの状態になるよう、一次巻線の各端の接続先を切り替える。
【0015】
前記切替手段は、
前記電力源の各出力端間の電圧が、所定の第1のしきい値を超えている第1の電圧範囲、前記第1のしきい値より小さい所定の第2のしきい値を下回る第2の電圧範囲、及び、前記第1及び第2の電圧範囲のいずれにも属さない第3の電圧範囲、のいずれに属するかを判別し、判別結果を示す信号を出力する電圧監視手段と、
前記電圧監視手段が出力した前記信号を取得し、取得した信号が、前記電力源の各出力端間の電圧が前記第1の電圧範囲に属すことを示しているとき、前記第1及び第2の状態のうち一方の状態になるよう前記一次巻線の各端の接続先を切り替え、前記第2の電圧範囲に属すことを示しているとき、前記第1及び第2の状態のうち他方の状態になるよう前記一次巻線の各端の接続先を切り替え、前記第3の電圧範囲に属すことを示しているとき、前記第3の状態になるよう前記一次巻線の各端の接続先を切り替える遠隔スイッチング手段を備えるものであってもよい。
これにより、切替手段は、電力源が発生する電圧に応じて、第1〜第3の状態のうちの一つの状態になるよう、一次巻線の各端の接続先を自動的に切り替える。
【0016】
前記遠隔スイッチング手段は、例えば、
前記電圧監視手段が出力した前記信号を取得し、取得した信号が、前記電力源の各出力端間の電圧が前記第1の電圧範囲に属すことを示しているとき、前記一次巻線の一端を前記電力源の各出力端の一方に接続し、前記第2及び第3の電圧範囲のいずれかに属すことを示しているとき、前記一次巻線の前記一端を前記電力源の各出力端の他方に接続する第1のスイッチング素子と、
前記電圧監視手段が出力した前記信号を取得し、取得した信号が、前記電力源の各出力端間の電圧が前記第1及び第3のいずれかの電圧範囲に属すことを示しているとき、前記一次巻線の他端を前記電力源の各出力端の前記他方に接続し、前記第2の電圧範囲に属すことを示しているとき、前記一次巻線の前記他端を前記電力源の各出力端の前記一方に接続する第2のスイッチング素子と、を備えることより、電力源が発生する電圧に応じて、第1〜第3の状態のうちの一つの状態になるよう、一次巻線の各端の接続先を切り替える。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態にかかる交流電圧制御装置を、交流電力を供給する電源装置を例として説明する。
【0018】
図1は、この発明の実施の形態にかかる電源装置の物理的構成を示す。
図示するように、この電源装置は、変成器Tと、コンデンサC1及びC2と、スイッチSW1及びSW2とより構成される。
【0019】
変成器Tは一次巻線と、一次巻線に誘導結合された二次巻線を備える。
変成器Tの一次巻線の一端は、スイッチSW1の後述する端子acomに接続されており、他端は、スイッチSW2の後述する端子bcomに接続されている。
変成器Tの二次巻線の一端は、単相交流電力を供給する外部の交流電源ACVが備える一対の出力端の一方に接続されており、二次巻線の他端は、単相交流電力を供給する対象である外部の負荷Zの一端に接続されている。
【0020】
ただし、変成器Tの二次巻線の両端のうち、交流電源ACVに接続している方の端は、一次巻線の両端間に交流電源が流れた場合、一次巻線の両端のうちスイッチSW1の端子acomに接続されている方の端と実質的に同相の電圧を発生するように選ばれているものとする。
【0021】
スイッチSW1は、1回路2接点のトグルスイッチ等から構成されており、端子acom、a1及びa2を備える。スイッチSW1は、操作者の操作に従って、自己の端子acomと端子a1との間、及び端子acomと端子a2との間のうち、いずれか一つを導通させる。
【0022】
ただし、スイッチSW1は、端子acom−端子a1間が接続された状態から、端子acom−端子a2間が接続された状態へと移るとき、まず端子acom−端子a1間及び端子acom−端子a2間がいずれも切断された状態を経てから、端子acom−端子a2間が接続された状態へと移る。同様に、端子acom−端子a2間が接続された状態から端子acom−端子a1間が接続された状態へと移るときは、まず端子acom−端子a1間及び端子acom−端子a2間がいずれも切断された状態を経てから、端子acom−端子a1間が接続された状態へと移る。
【0023】
スイッチSW1の端子acomは、変成器Tの一次巻線の両端のうち、一次巻線に交流電流を流したとき、変成器Tの二次巻線のうち交流電源ACVに接続されている方の端と実質的に同相の電圧が発生する方の端に接続されている。端子a1は、変成器Tの二次巻線の両端のうち、交流電源ACVに接続している方の端に接続されている。端子a2は、交流電源ACVの両出力端のうち変成器Tに接続されていない方の端と、負荷Zの両端のうち変成器Tに接続されていない方の端に接続されている。
【0024】
スイッチSW2は、スイッチSW1と実質的に同一の構成を有しており、端子bcom、b1及びb2を備える。スイッチSW2は、操作者の操作に従って、自己の端子bcomと端子b1との間、及び端子bcomと端子b2との間のうち、いずれか一つを導通させる。
スイッチSW2は、端子bcom−端子b1間が接続された状態から、端子bcom−端子b2間が接続された状態へと移るとき、まず端子bcom−端子b1間及び端子bcom−端子b2間がいずれも切断された状態を経てから、端子bcom−端子b2間が接続された状態へと移る。同様に、端子bcom−端子b2間が接続された状態から端子bcom−端子b1間が接続された状態へと移るときは、まず端子bcom−端子b1間及び端子bcom−端子b2間がいずれも切断された状態を経てから、端子bcom−端子b1間が接続された状態へと移る。
【0025】
スイッチSW2の端子bcomは、変成器Tの一次巻線の両端のうち、スイッチSW1に接続されていない方の端に接続されている。端子b1は、スイッチSW1の端子a1に接続されている。端子b2は、交流電源ACVの両出力端のうち変成器Tに接続されていない方の端と、負荷Zの両端のうち変成器Tに接続されていない方の端に接続されている。
【0026】
コンデンサC1は、スイッチSW1の端子acomと端子a1との間に接続されている。コンデンサC2は、スイッチSW2の端子bcomと端子b1との間に接続されている。
【0027】
次に動作を説明する。
まず、この電源装置のスイッチSW1の端子acom−端子a1間が互いに接続され、スイッチSW2の端子bcom−端子b2間が互いに接続された状態(以下、「第1の状態」と呼ぶ)で、交流電源ACVの出力端の両極間に交流電圧が発生したとする。
【0028】
この場合、交流電源ACVから、スイッチSW1の端子a1−端子acom間、変成器Tの一次巻線、及びスイッチSW2の端子bcom−端子b2間を経て交流電源ACVに戻るループが形成されるので、変成器Tの一次巻線には交流電源ACVから供給される交流電流が流れる。従って、変成器Tの二次巻線には、変成器Tの一次巻線に流れる電流により相互誘導された起電力が発生する。
【0029】
ただし、第1の状態において、交流電源ACVから変成器Tの二次巻線を経て負荷Zへと向かう電流の位相と、交流電源ACVからスイッチSW1、変成器Tの一次巻線、スイッチSW2を順に経て交流電源ACVに戻る電流の位相とは、互いに実質的に同相の関係になる。従って、第1の状態で変成器Tの二次巻線に相互誘導される起電力の向きは、負荷Zの両端間に印加される交流電圧を減少させる向きとなる。
このため、第1の状態では、負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅は、交流電源ACVの両出力端間に発生している交流電圧の振幅より小さくなる。
【0030】
次に、スイッチSW1の端子acom−端子a2間が互いに接続され、スイッチSW2の端子bcom−端子b1間が互いに接続された状態(以下、「第2の状態」と呼ぶ)で、交流電源ACVの出力端の両極間に交流電圧が発生したとする。
【0031】
この場合、交流電源ACVから、スイッチSW2の端子b1−端子bcom間、変成器Tの一次巻線、及びスイッチSW1の端子acom−端子a2間を経て交流電源ACVに戻るループが形成される。従って、この場合も、変成器Tの一次巻線には交流電源ACVから供給される交流電流が流れ、変成器Tの二次巻線には、変成器Tの一次巻線に流れる電流により相互誘導された起電力が発生する。
【0032】
ただし、第2の状態において、交流電源ACVから変成器Tの二次巻線を経て負荷Zへと向かう電流の位相と、交流電源ACVからスイッチSW1、変成器Tの一次巻線、スイッチSW2を順に経て交流電源ACVに戻る電流の位相とは、互いに実質的に逆相の関係になる。従って、第2の状態で変成器Tの二次巻線に相互誘導される起電力の向きは、負荷Zの両端間に印加される交流電圧を増大させる向きとなる。
このため、第2の状態では、負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅は、交流電源ACVの両出力端間に発生している交流電圧の振幅より大きくなる。
【0033】
次に、スイッチSW1の端子acom−端子a1間が互いに接続され、スイッチSW2の端子bcom−端子b1間が互いに接続された状態(以下、「第3の状態」と呼ぶ)で、交流電源ACVの出力端の両極間に交流電圧が発生したとする。
【0034】
この場合において、交流電源ACVの両端間の電圧、変成器Tの二次巻線の両端間の電圧、及び負荷Zの両端間の電圧を複素数表現した場合、負荷Zの両端間の電圧は、交流電源ACVの両端間の交流電圧から、変成器Tの二次巻線の両端間に発生した電圧を差し引いたものに実質的に等しくなる。
【0035】
そして、変成器Tの一次巻線の両端は、スイッチSW1の端子acom−端子a1間及びスイッチSW2の端子bcom−端子b1間を介して短絡されている。一方、一般に、一次巻線の巻数がn、二次巻線の巻数がnである変成器の一次巻線の両端間に、インピーダンスがZである素子を接続した場合、この変成器の二次巻線の両端間のインピーダンスは、{(n /n )・Z}となる。従って、第3の状態における変成器Tの二次巻線の両端のインピーダンスは、ほぼ0となる。
【0036】
この結果、第3の状態では、負荷Zの両端間の電圧は、交流電源ACVの両端間の交流電圧に実質的に等しくなる。
【0037】
なお、第3の状態では、コンデンサC1は、スイッチSW1の端子acom及びa1を介して短絡され、コンデンサC2は、スイッチSW2の端子bcom及びb2を介して短絡されている。従って、コンデンサC1及びコンデンサC2の各両端間の電圧はほぼ0ボルトとなり、コンデンサC1にもコンデンサC2にも、実質的に電流が流れない。
【0038】
次に、交流電源ACVの両出力端に交流電圧が発生している状態で、この電源装置を第3の状態から第1の状態へと変化させたとする。
この場合、端子bcom−端子b1間が切断されてから端子bcom−端子b2間が接続されるまでの間は、交流電源ACVから変成器Tの一次巻線及びスイッチSW2の端子bcom−端子b2間を経て交流電源ACVへと戻る電流路が未だ形成されない。
【0039】
しかし、端子bcom−端子b1間が切断されてから端子bcom−端子b2間が接続されるまでの間は、変成器Tの一次巻線から、スイッチSW1の端子acom−端子a1間、コンデンサC2を経て変成器Tの一次巻線に戻るループが形成される。そして、このループには、変成器Tの二次巻線及び負荷Zに流れる電流(負荷電流)により変成器Tの一次巻線に誘起される起電力による電流が流れる。
【0040】
従って、端子bcom−端子b1間が切断されてから端子bcom−端子b2間が接続されるまでの間における変成器Tの二次巻線の両端間のインピーダンスは、二次巻線の自己インダクタンスに起因するリアクタンスより小さな値となる。
これにより、この電源装置が第3の状態から第1の状態に移る間に負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅が、変成器Tの二次巻線の両端間のインピーダンスの急激な変化に起因して急激に変化するという事態が防止される。
【0041】
なお、交流電源ACVから変成器Tの二次巻線を経て負荷Zへと向かう電流の位相と、変成器Tの一次巻線から、スイッチSW1の端子acom−端子a1間、コンデンサC2を経て変成器Tの一次巻線に戻る電流の位相とは、互いに実質的に同相の関係になる。従って、端子bcom−端子b1間が切断されてから端子bcom−端子b2間が接続されるまでの間に変成器Tの二次巻線に相互誘導される起電力の向きは、負荷Zの両端間に印加される交流電圧を減少させる向きとなる。
一方、この電源装置が第3の状態から第1の状態に移ると、負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅は減少する。従って、この電源装置が第3の状態から第1の状態に移る間に変成器Tの一次巻線に流れる電流も、負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅が急激に変化するという事態の防止に寄与する。
【0042】
また、交流電源ACVの両出力端に交流電圧が発生している状態で、この電源装置を第1の状態から第3の状態へと変化させたとする。(すなわち、操作者等がスイッチSW1を操作することにより、端子bcom−端子b2間を切断し、次いで端子bcom−端子b1間を接続したとする。)
この場合も、変成器Tの一次巻線から、スイッチSW1の端子acom−端子a1間、コンデンサC2を経て変成器Tの一次巻線に戻るループが形成される。これにより、この電源装置が第1の状態から第3の状態に移る間に負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅が、変成器Tの二次巻線の両端間のインピーダンスの急激な変化に起因して急激に変化するという事態が防止される。
【0043】
また、交流電源ACVの両出力端に交流電圧が発生している状態で、この電源装置を第3の状態から第2の状態へと変化させたとする。(すなわち、操作者等がスイッチSW1を操作することにより、端子acom−端子a1間を切断し、次いで端子acom−端子a2間を接続したとする。)
この場合、端子acom−端子a1間が切断されてから端子acom−端子a2間が接続されるまでの間は、交流電源ACVからスイッチSW1の端子acom−端子a1間を経て変成器Tの一次巻線へと至る電流路は遮断される。
【0044】
しかし、端子acom−端子a1間が切断されてから端子acom−端子a2間が接続されるまでの間は、変成器Tの一次巻線から、コンデンサC1、スイッチSW2の端子b1−端子bcom間を経て変成器Tの一次巻線に戻るループが形成される。そして、このループには、負荷電流により変成器Tの一次巻線に誘起される起電力による電流が流れる。
【0045】
従って、端子acom−端子a1間が切断されてから端子acom−端子a2間が接続されるまでの間における変成器Tの二次巻線の両端間のインピーダンスは、二次巻線の自己インダクタンスに起因するリアクタンスより小さな値となる。
これにより、この電源装置が第3の状態から第2の状態に移る間に負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅が、変成器Tの二次巻線の両端間のインピーダンスの急激な変化に起因して急激に変化するという事態が防止される。
【0046】
また、交流電源ACVの両出力端に交流電圧が発生している状態で、この電源装置を第2の状態から第3の状態へと変化させたとする。(すなわち、操作者等がスイッチSW1を操作することにより、端子acom−端子a2間を切断し、次いで端子acom−端子a1間を接続したとする。)
この場合も、変成器Tの一次巻線から、コンデンサC1、スイッチSW2の端子b1−端子bcom間を経て変成器Tの一次巻線に戻るループが形成される。これにより、この電源装置が第2の状態から第3の状態に移る間に負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅が、変成器Tの二次巻線の両端間のインピーダンスの急激な変化に起因して急激に変化するという事態が防止される。
【0047】
なお、交流電源ACVから変成器Tの二次巻線を経て負荷Zへと向かう電流の位相と、変成器Tの一次巻線から、コンデンサC1、スイッチSW2の端子b1−端子bcom間を経て変成器Tの一次巻線に戻る電流の位相とは、互いに実質的に同相の関係になる。従って、端子bcom−端子b1間が切断されてから端子bcom−端子b2間が接続されるまでの間に変成器Tの二次巻線に相互誘導される起電力の向きは、負荷Zの両端間に印加される交流電圧を減少させる向きとなる。
一方、この電源装置が第2の状態から第3の状態に移ると、負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅は減少する。従って、この電源装置が第2の状態から第3の状態に移る間に変成器Tの一次巻線に流れる電流も、負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅が急激に変化するという事態の防止に寄与する。
【0048】
なお、スイッチSW1の端子acom−端子a2間が互いに接続され、スイッチSW2の端子bcom−端子b2間が互いに接続された状態(以下、「第4の状態」と呼ぶ)では、変成器Tの一次巻線の両端は、スイッチSW1の端子acom−端子a2間及びスイッチSW2の端子bcom−端子b2間を介して短絡される。
従って、第4の状態においても、第3の状態と同様、変成器Tの二次巻線の両端のインピーダンスはほぼ0となり、負荷Zの両端間の電圧は、交流電源ACVの両端間の交流電圧に実質的に等しくなる。
【0049】
また、この電源装置を第4の状態から第1の状態へと変化させた場合、端子acom−端子a2間が切断されてから端子acom−端子a1間が接続されるまでの間は、端子acom−端子a1間及び端子acom−端子a2間がいずれも切断される。
また、この電源装置を第1の状態から第4の状態へと変化させた場合は、端子acom−端子a1間が切断されてから端子acom−端子a2間が接続されるまでの間、端子acom−端子a1間及び端子acom−端子a2間がいずれも切断され、交流電源ACVから変成器Tの一次巻線へと至る電流路が遮断される。
【0050】
そして、端子bcom−端子b2間が接続されており、端子acom−端子a1間及び端子acom−端子a2間がいずれも切断されている間は、変成器Tの一次巻線、コンデンサC1及びC2の三者を含む閉ループが形成される。このため、この電源装置が第1の状態と第4の状態の相互間で遷移する間も、負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅が、変成器Tの二次巻線の両端間のインピーダンスの急激な変化に起因して急激に変化するという事態が防止される。
【0051】
また、この電源装置を第4の状態から第2の状態へと変化させた場合、端子bcom−端子b2間が切断されてから端子bcom−端子b1間が接続されるまでの間は、端子bcom−端子b1間及び端子bcom−端子b2間がいずれも切断される。
また、この電源装置を第2の状態から第4の状態へと変化させた場合は、端子bcom−端子b1間が切断されてから端子bcom−端子b2間が接続されるまでの間、端子bcom−端子b1間及び端子bcom−端子b2間がいずれも切断され、交流電源ACVから変成器Tの一次巻線へと至る電流路が遮断される。
【0052】
そして、端子acom−端子a2間が接続されており、端子bcom−端子b1間及び端子bcom−端子b2間がいずれも切断されている間も、変成器Tの一次巻線、コンデンサC1及びC2の三者を含む閉ループが形成される。このため、この電源装置が第2の状態と第4の状態の相互間で遷移する間も、負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅が、変成器Tの二次巻線の両端間のインピーダンスの急激な変化に起因して急激に変化するという事態が防止される。
【0053】
なお、この電源装置の構成は上述のものに限られない。
例えば、図2に示すように、コンデンサC1は、スイッチSW1の端子acomと端子a2との間に接続されていてもよい。
この電源装置が図2に示す構成を有している場合、端子bcom−端子b1間が接続されていて、端子acom−端子a1間及び端子acom−端子a2間がいずれも切断されている間は、交流電源ACVから、変成器Tの一次巻線及びコンデンサC1を経て交流電源ACVに至る電流路が形成される。
【0054】
そして、この電源装置が図2に示す構成を有している場合、交流電源ACVから変成器Tの二次巻線を経て負荷Zへと向かう電流の位相と、交流電源ACVから、変成器Tの一次巻線及びコンデンサC1を経て交流電源ACVに至る電流電流の位相とは、互いに実質的に逆相の関係になる。従って、端子bcom−端子b1間が接続されていて、端子acom−端子a1間及び端子acom−端子a2間がいずれも切断されている間に変成器Tの二次巻線に相互誘導される起電力の向きは、負荷Zの両端間に印加される交流電圧を増大させる向きとなる。
従って、図2の電源装置が第3の状態から第2の状態に移る間に変成器Tの一次巻線に流れる電流は、負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅が急激に変化するという事態の防止に寄与する。
【0055】
また、この電源装置は、図3に示すように、電圧監視部REFを更に備えていてもよい。そしてこの場合、図1におけるスイッチSW1及びSW2に代えて、例えば、図示するように、スイッチング素子SWD1及びSWD2を備えるようにすればよい。
【0056】
電圧監視部REFは、ピークホールド回路及びウィンドウコンパレータ等より構成されており、一対の参照端refin+及びrefin−と、制御出力端aref及びbrefとを備える。
【0057】
電圧監視部REFは、自己の参照端refin−の電位を基準とした参照端refin+の電圧の最大値を検出する。そして、検出した最大値が、以下(1)〜(3)として示す条件のいずれに合致するか、すなわち、
(1)検出した最大値が所定の上限値を超えているか、又は、
(2)所定の下限値を下回っているか、又は、
(3)上述の(1)又は(2)のいずれの条件にも合致しない(すなわち、上限値を下回り、且つ、下限値を超えている)か、
を判別する。
【0058】
そして、(1)の条件に合致すると判別すると、自己の制御出力端arefから、スイッチング素子SWD2の後述する制御入力端bcontへと、所定の制御信号を供給する。また、(2)の条件に合致すると判別すると、自己の制御出力端brefから、スイッチング素子SWD1の後述する制御入力端acontへと制御信号を供給する。一方、(3)の条件に合致すると判別したときは、制御出力端aref及びbrefのいずれからも制御信号を供給しない。
【0059】
スイッチング素子SWD1は、例えば、1回路2接点のリレー等より構成され、制御入力端acontと、端子acom、a1及びa2を備える。スイッチング素子SWD1は、自己の制御入力端acontに上述の制御信号が供給されると、自己の端子acomと端子a2との間を導通させ、端子acomと端子a1との間を遮断する。一方、制御入力端acontに制御信号が供給されていないときは、端子acom−端子a1間を導通させ、端子acom−端子a2間を遮断する。なお、制御入力端acontと、端子acom、a1及びa2との間は、実質的に絶縁状態にある。
【0060】
ただし、スイッチング素子SWD1は、端子acom−端子a1間が接続された状態から、端子acom−端子a2間が接続された状態へと移るとき、まず端子acom−端子a1間及び端子acom−端子a2間がいずれも切断された状態を経てから、端子acom−端子a2間が接続された状態へと移る。同様に、端子acom−端子a2間が接続された状態から端子acom−端子a1間が接続された状態へと移るときは、まず端子acom−端子a1間及び端子acom−端子a2間がいずれも切断された状態を経てから、端子acom−端子a1間が接続された状態へと移る。
【0061】
スイッチング素子SWD1の制御入力端acontは、電圧監視部REFの制御出力端arefに接続されている。スイッチング素子SWD1の端子acomは、図1の構成においてスイッチSW1の端子acomが接続されている箇所に接続され、スイッチング素子SWD1の端子a1は、図1の構成においてスイッチSW1の端子a1が接続されている箇所に接続され、スイッチング素子SWD1の端子a2は、図1の構成においてスイッチSW1の端子a2が接続されている箇所に接続されている。
【0062】
スイッチング素子SWD2は、スイッチング素子SWD1と実質的に同一の構成を有しており、制御入力端bcontと、端子bcom、b1及びb2を備える。スイッチング素子SWD2は、自己の制御入力端bcontに制御信号が供給されると、自己の端子bcomと端子b2との間を導通させ、端子bcomと端子b1との間を遮断する。また、制御入力端bcontに制御信号が供給されていないときは、端子bcom−端子b1間を導通させ、端子bcom−端子b2間を遮断する。なお、制御入力端bcontと、端子bcom、b1及びb2との間は、実質的に絶縁状態にある。
【0063】
ただし、スイッチング素子SWD2は、端子bcom−端子b1間が接続された状態から、端子bcom−端子b2間が接続された状態へと移るとき、まず端子bcom−端子b1間及び端子bcom−端子b2間がいずれも切断された状態を経てから、端子bcom−端子b2間が接続された状態へと移る。同様に、端子bcom−端子b2間が接続された状態から端子bcom−端子b1間が接続された状態へと移るときは、まず端子bcom−端子b1間及び端子bcom−端子b2間がいずれも切断された状態を経てから、端子bcom−端子b1間が接続された状態へと移る。
【0064】
スイッチング素子SWD2の制御入力端bcontは、電圧監視部REFの制御出力端brefに接続されている。スイッチング素子SWD2の端子bcomは、図1の構成においてスイッチSW2の端子bcomが接続されている箇所に接続され、スイッチング素子SWD2の端子b1は、図1の構成においてスイッチSW2の端子b1が接続されている箇所に接続され、スイッチング素子SWD2の端子b2は、図1の構成においてスイッチSW2の端子b2が接続されている箇所に接続されている。
【0065】
図3の構成において、交流電源ACVの出力端の両極間に交流電圧が発生した場合、交流電源ACVの出力端の両極間の電圧が(3)の条件に合致すると(つまり、交流電源ACVの出力端の両極間の電圧が上限値を下回り、且つ、下限値を超えていると)、電圧監視部REFは、制御出力端aref及びbrefのいずれからも制御信号を供給しない。
【0066】
この結果、スイッチング素子SWD1の端子acom−端子a1間が互いに接続され、スイッチング素子SWD2の端子bcom−端子b1間が互いに接続された状態となる。従って、この電源装置は、図1の構成の電源装置が第3の状態になった場合と実質的に同一の動作を行う。
このため、負荷Zの両端間の電圧は、交流電源ACVの両端間の交流電圧に実質的に等しくなり、また、負荷Zに供給される交流電流の位相は、コンデンサC1及びC2が交流電源ACVに並列に接続されていない場合に比べて進む。
【0067】
また、図3の構成において、交流電源ACVの出力端の両極間の電圧が(1)の条件に合致すると(つまり、交流電源ACVの出力端の両極間の電圧が上限値を超えていると)、電圧監視部REFは、制御入力端brefより制御信号を供給する。
【0068】
すると、スイッチング素子SWD1の端子acom−端子a1間が互いに接続され、スイッチング素子SWD2の端子bcom−端子b2間が互いに接続された状態となる。従って、この電源装置は、図1の電源装置が第1の状態になった場合と実質的に同一の動作を行う。この結果、負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅は、交流電源ACVの両出力端間の交流電圧の振幅より小さくなる。
【0069】
また、図3の構成において、交流電源ACVの出力端の両極間の電圧が(2)の条件に合致すると(つまり、交流電源ACVの出力端の両極間の電圧が下限値を下回ると)、電圧監視部REFは、制御入力端arefより制御信号を供給する。
【0070】
すると、スイッチング素子SWD1の端子acom−端子a2間が互いに接続され、スイッチング素子SWD2の端子bcom−端子b1間が互いに接続された状態となる。従って、この電源装置は、図1の電源装置が第2の状態になった場合と実質的に同一の動作を行う。この結果、負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅は、交流電源ACVの両出力端間の交流電圧の振幅より大きくなる。
【0071】
なお、図3の電源装置は、交流電源ACVの出力端の両極間の電圧が(3)の条件に合致する状態から(1)の条件に合致する状態に移ると、図1の電源装置が第3の状態から第1の状態へと変化した場合の動作と実質的に同一の動作を行う。
また、交流電源ACVの出力端の両極間の電圧が(3)の条件に合致する状態から(2)の条件に合致する状態に移ると、図1の電源装置が第3の状態から第2の状態へと変化した場合の動作と実質的に同一の動作を行う。
また、交流電源ACVの出力端の両極間の電圧が(1)の条件に合致する状態から(3)の条件に合致する状態に移ると、図1の電源装置が第1の状態から第3の状態へと変化した場合の動作と実質的に同一の動作を行う。
また、交流電源ACVの出力端の両極間の電圧が(2)の条件に合致する状態から(3)の条件に合致する状態に移ると、図1の電源装置が第2の状態から第3の状態へと変化した場合の動作と実質的に同一の動作を行う。
【0072】
これにより、交流電源ACVの出力端の両極間の電圧が、(3)の条件に合致する状態と(1)又は(2)の条件に合致する状態との間で状態が遷移する間にも、負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅の急激に変化するという事態が防止される。
【0073】
なお、電圧監視部REFがスイッチング素子SWD1及びSWD2に供給する制御信号の形式は任意である。
例えば、電圧監視部REFは、交流電源ACVの両端間の電圧が上述の(1)の条件に合致すると判別すると制御出力端brefから制御信号を供給せず制御出力端arefから制御信号を供給し、(2)の条件に合致すると判別すると制御出力端arefから制御信号を供給せず制御出力端brefから制御信号を供給し、(3)の条件に合致すると判別したときは、制御出力端aref及びbrefの両方から制御信号を供給するようにしてもよい。
この場合、スイッチング素子SWD1は、制御入力端acontに制御信号が供給されたとき端子acom−端子a1間を導通させて端子acom−端子a2間を遮断し、制御入力端acontに制御信号が供給されていないときは端子acom−端子a2間を導通させ端子acom−端子a1間を遮断するものであればよい。そして、スイッチング素子SWD2は、制御入力端bcontに制御信号が供給されたとき端子bcom−端子b1間を導通させて端子bcom−端子b2間を遮断し、制御入力端bcontに制御信号が供給されていないときは端子bcom−端子b2間を導通させ端子bcom−端子b1間を遮断するものであればよい。
【0074】
また、電圧監視部REFは、交流電源ACVの両端間の電圧が上述の(1)〜(3)のいずれの条件に合致するかを示す三値以上の任意の形式の制御信号を出力してもよい。そして、スイッチング素子SWD1は、この制御信号を取得し、取得した制御信号が、交流電源ACVの両端間の電圧が(1)及び(3)のいずれかの条件に合致していることを示しているとき端子acom−端子a1間を接続して端子acom−端子a2間を切断し、(2)の条件に合致していることを示しているとき端子acom−端子a2間を接続して端子acom−端子a1間を切断すればよい。一方、スイッチング素子SWD2もこの制御信号を取得し、取得した制御信号が、交流電源ACVの両端間の電圧が(2)及び(3)のいずれかの条件に合致していることを示しているとき端子bcom−端子b1間を接続して端子bcom−端子b2間を切断し、(1)の条件に合致していることを示しているとき端子bcom−端子b2間を接続して端子bcom−端子b1間を切断すればよい。
【0075】
また、電圧監視部REFは、自己の参照端refin−の電位を基準とした参照端refin+の電圧の最大値が所定のしきい値を超えているか否かを判別し、超えていると判別したとき制御出力端brefから制御信号を供給し、超えていないと判別したとき制御出力端arefから制御信号を供給するようにしてもよい。
この場合、スイッチング素子SWD2の制御入力端bcontと制御出力端arefとが互いに接続されていてもよく、更に、電圧監視部REFは制御出力端brefを備えなくてもよい。
ただし、制御入力端bcontと制御出力端arefとが互いに接続されている場合、スイッチング素子SWD2は、スイッチング素子SWD1の端子acom−端子a2間が導通するとき自己の端子bcom−端子b1間を導通させ、スイッチング素子SWD1の端子acom−端子a1間が導通するとき自己の端子bcom−端子b2間を導通させるものとする。
【0076】
また、図3の構成の電源装置におけるコンデンサC1は、図4に示すように、スイッチング素子SWD1の端子acomと端子a2との間に接続されていてもよい。
コンデンサC1がスイッチSW1の端子acomと端子a2との間に接続された場合、図4の電源装置が第3の状態から第2の状態に移る間に変成器Tの一次巻線に流れる電流は、負荷Zの両端間に印加される交流電圧の振幅が急激に変化するという事態の防止に寄与する。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、小型・軽量な構成で、負荷に印加する電圧を変化させつつ交流電力を供給することが可能な交流電圧制御装置や、負荷に流れる電流がとぎれないようにして、負荷に印加する電圧を変えつつ交流電力を供給するための交流電圧制御装置や、負荷に流れるべき電流が短絡回路を流れないようにして、負荷に印加する電圧を変えつつ交流電力を供給するための交流電圧制御装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかる電源装置の基本構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電源装置の変形例の基本構成を示すブロック図である。
【図3】図1の電源装置の変形例の基本構成を示すブロック図である。
【図4】図1の電源装置の変形例の基本構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
ACV 交流電源
C1、C2 コンデンサ
REF 電圧監視部
SW1、SW2 スイッチ
SWD1、SWD2 スイッチング素子
T 変成器
Z 負荷

Claims (8)

  1. 一次巻線と、前記一次巻線に誘導結合され、一端が単相交流電力を供給する外部の電力源の一対の出力端の一方に接続され、他端が外部の負荷の一端に接続された二次巻線と、を備える変成器と、
    前記一次巻線の一端が前記電力源の出力端の前記一方に接続され、他端が前記電力源の出力端の他方に接続された第1の状態、及び、前記一次巻線の一端が前記電力源の出力端の前記他方に接続され、他端が前記電力源の出力端の前記一方に接続された第2の状態のうちの一つの状態になるよう、前記一次巻線の各端の接続先を切り替えるとともに、前記一次巻線の少なくとも一方の端が前記電力源に接続されない状態を経るようにして前記一次巻線の各端の接続先を切り替える切替手段と、
    前記一次巻線の前記一端と前記二次巻線の前記一端との間に接続された第1のキャパシタと、
    前記一次巻線の前記他端と前記二次巻線の前記一端との間に接続された第2のキャパシタと、
    を備え、
    前記一次巻線の両端間に流れる交流電流によって前記一次巻線の前記一端に発生する電圧と、当該交流電流が流れることにより前記二次巻線の前記一端に発生する電圧とは、互いに実質的に同相である、
    ことを特徴とする交流電圧制御装置。
  2. 一次巻線と、前記一次巻線に誘導結合され、一端が単相交流電力を供給する外部の電力源の一対の出力端の一方に接続され、他端が外部の負荷の一端に接続された二次巻線と、を備える変成器と、
    前記一次巻線の一端が前記電力源の出力端の前記一方に接続され、他端が前記電力源の出力端の他方に接続された第1の状態、及び、前記一次巻線の一端が前記電力源の出力端の前記他方に接続され、他端が前記電力源の出力端の前記一方に接続された第2の状態のうちの一つの状態になるよう、前記一次巻線の各端の接続先を切り替えるとともに、前記一次巻線の少なくとも一方の端が前記電力源に接続されない状態を経るようにして、前記第1の状態、前記第2の状態、及び、前記一次巻線の両端間を実質的に短絡された第3の状態のうちの一つの状態になるよう、前記一次巻線の各端nの接続先を切り替える切替手段と、
    前記一次巻線の前記一端と前記電力源の出力端の前記他方との間に接続された昇圧用キャパシタと、
    を備え、
    前記一次巻線の両端間に流れる交流電流によって前記一次巻線の前記一端に発生する電圧と、当該交流電流が流れることにより前記二次巻線の前記一端に発生する電圧とは、互いに実質的に同相である、
    ことを特徴とする交流電圧制御装置。
  3. 前記切替手段は、前記第1の状態、前記第2の状態、及び、前記一次巻線の両端間を実質的に短絡された第3の状態のうちの一つの状態になるよう、前記一次巻線の各端の接続先を切り替える手段を備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の交流電圧制御装置。
  4. 前記切替手段は、
    操作者の操作に従い、前記一次巻線の前記一端が前記電力源に接続されない状態を経てから、前記一次巻線の前記一端を前記電力源の一対の出力端のいずれかに接続する第1のスイッチと、
    操作者の操作に従い、前記一次巻線の前記他端が前記電力源に接続されない状態を経てから、前記一次巻線の前記他端を前記電力源の一対の出力端のいずれかに接続する第2のスイッチと、
    を備えたことを特徴とする請求項又はに記載の交流電圧制御装置。
  5. 前記切替手段は、
    前記電力源の各出力端間の電圧が所定のしきい値を超えているか否かを判別し、判別結果を示す信号を出力する電圧監視手段と、
    前記電圧監視手段が出力した前記信号を取得し、取得した信号が、前記電力源の各出力端間の電圧が所定のしきい値を超えていることを示しているとき、前記第1及び第2の状態のうち一方の状態になるよう前記一次巻線の各端の接続先を切り替え、超えていないことを示しているとき、前記第1及び第2の状態のうち他方の状態になるよう前記一次巻線の各端の接続先を切り替える遠隔スイッチング手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の交流電圧制御装置。
  6. 前記遠隔スイッチング手段は、
    前記電圧監視手段が出力した前記信号を取得し、取得した信号が、前記電力源の各出力端間の電圧が所定のしきい値を超えていることを示しているとき、前記一次巻線の一端を前記電力源の各出力端の一方に接続し、超えていないことを示しているとき、前記一次巻線の前記一端を前記電力源の各出力端の他方に接続する第1のスイッチング素子と、
    前記電圧監視手段が出力した前記信号を取得し、取得した信号が、前記電力源の各出力端間の電圧が所定のしきい値を超えていることを示しているとき、前記一次巻線の他端を前記電力源の各出力端の前記他方に接続し、超えていないことを示しているとき、前記一次巻線の前記他端を前記電力源の各出力端の前記一方に接続する第2のスイッチング素子と、
    を備えたことを特徴とする請求項に記載の交流電圧制御装置。
  7. 前記切替手段は、
    前記電力源の各出力端間の電圧が、所定の第1のしきい値を超えている第1の電圧範囲、前記第1のしきい値より小さい所定の第2のしきい値を下回る第2の電圧範囲、及び、前記第1及び第2の電圧範囲のいずれにも属さない第3の電圧範囲、のいずれに属するかを判別し、判別結果を示す信号を出力する電圧監視手段と、
    前記電圧監視手段が出力した前記信号を取得し、取得した信号が、前記電力源の各出力端間の電圧が前記第1の電圧範囲に属すことを示しているとき、前記第1及び第2の状態のうち一方の状態になるよう前記一次巻線の各端の接続先を切り替え、前記第2の電圧範囲に属すことを示しているとき、前記第1及び第2の状態のうち他方の状態になるよう前記一次巻線の各端の接続先を切り替え、前記第3の電圧範囲に属すことを示しているとき、前記第3の状態になるよう前記一次巻線の各端の接続先を切り替える遠隔スイッチング手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項又はに記載の交流電圧制御装置。
  8. 前記遠隔スイッチング手段は、
    前記電圧監視手段が出力した前記信号を取得し、取得した信号が、前記電力源の各出力端間の電圧が前記第1の電圧範囲に属すことを示しているとき、前記一次巻線の一端を前記電力源の各出力端の一方に接続し、前記第2及び第3の電圧範囲のいずれかに属すことを示しているとき、前記一次巻線の前記一端を前記電力源の各出力端の他方に接続する第1のスイッチング素子と、
    前記電圧監視手段が出力した前記信号を取得し、取得した信号が、前記電力源の各出力端間の電圧が前記第1及び第3のいずれかの電圧範囲に属すことを示しているとき、前記一次巻線の他端を前記電力源の各出力端の前記他方に接続し、前記第2の電圧範囲に属すことを示しているとき、前記一次巻線の前記他端を前記電力源の各出力端の前記一方に接続する第2のスイッチング素子と、
    を備えたことを特徴とする請求項に記載の交流電圧制御装置。
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