JP3665972B2 - 診療記録簿管理システム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、医療機関で使用される診療記録簿(カルテ)の記載情報をデータベース化した診療記録簿管理システムに関し、特に医師が入力したデータをそれぞれ病名とリンクさせて、分類による特定症状のみまたは特定問題点のみを抽出し、それらを効率的に画面表示し、診療品質の向上を図ることができる診療記録簿の管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、診療記録簿(カルテ)は、医師がカードに手書きで診療結果等を書き込み、それを後日のために保存することが目的であった。従って、医師が診療に直接この診療記録簿(カルテ)を利用することは難しかった。
その後、手書きで作成されていたカルテをパソコンで作成できる電子カルテが出現したが、やはり診療データを保存するという目的からは脱出できなかった。一般に、パソコンでデータを管理する場合、入力項目を設定して各データを項目毎に分類するのが普通である。ところが、医師は、患者の症状や検査結果等のデータの経過を見ながら徐々に病名を絞り込むのが普通であって、従来の画一的なデータ管理システムではこれに対応できなかった。
SOAP(Subjective, Objective, Assesment,Plan)分類や、POMR(Problem Orented Medical Record:問題点志向型診療記録)に基づいた診療品質の向上が望まれているにもかかわらず、依然として上述のような従来の方法、つまり平旦な記録しか参照できないため、医師の熟練に依存した診療を行っており、診療にカルテを十分に利用することができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、従来は、医師の診療にカルテが十分に利用されているとは言えず、その結果、無駄な処理が多くなり、患者に対するサービスも低下していた。診療/処方における患者との信頼関係を向上させるとともに、診療品質の向上および経営効率の向上を図るためには、患者が自分自身で診療/服薬を納得すること、医療費を納得すること、および待ち時間を短縮することが必要である。
そのためには、診療記録簿(カルテ)に書かれている内容(情報)を判り易い分類にすること、カルテの保管を改善すること、および院内の業務を迅速化することが大きな課題となる。
Weedが提唱するPOMR(Problem Oriented Medical Record:問題点志向型診療記録簿)は、このような課題を解決する有用な考えであると言える。
本発明の目的は、これら従来の課題を解決し、診療記録簿(カルテ)の記述手法として、SOAPおよびPOMRに沿った電子カルテ、つまり記録品質の向上およびカルテ記載のデータベース化を実現することができる診療記録簿管理システムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明の診療記録簿管理システムでは、患者の全病歴参照項目設定画面を有する診療記録簿管理システムにおいて、当該患者の病歴分類項目が表示される病歴、およびコメントの各領域と、背景情報、身体所見、検査所見、その他の欄が表示される病歴分類項目領域と、診療日の日付の行を表示するために選択される日付領域と、処方、注射、処置、会計、保険病名、保険情報、点数表示の項目が選択されるレセプト領域と、問題点の表示方法を選択するための問題表示領域と、表示中の設定を保存し、次回以降も同じ設定でカルテを表示するために選択される保存領域とを具備した全病歴参照項目設定画面を有することを特徴としている。
【0005】
【作用】
本発明においては、患者のデータが増加する度毎に、データを入力し、分類を行い、そのデータと病名をリンクさせるという作業を繰り返すことにより、最終的に1つの病名を導き出すことが可能になる。この場合、1つのデータを複数の病名にリンクさせたり、逆に2つのデータを1つの病名に結合させることも、医師の判断に従って行うことができる。
すなわち、本発明では、カルテに記載された文章の分類による特定項目の内容を抽出して表示する機能と、抽出した内容を時系列に表示する機能とを具備している。その結果、類似患者のデータを参照することができ、特定症状のみを抽出して表示することもでき、また経過の時系列表示も可能となる。また、問診等の結果をランダムに記録簿に特定の項目で分類することができる。
さらに、問題点志向型に沿って、記載された文章の問題点への関連付けによる特定問題点に関連した内容を抽出して表示する機能と、抽出した内容の時系列に表示する機能も具備している。具体的には、体温、食欲、服用薬、自覚症状等を病名とリンクすることが可能であって、例えば、咳という症状のデータに対しては、肺炎、風邪にリンクすることができる。
これにより、医師は患者の病状/診療変移を容易に管理できるようになり、診療支援や患者への説明に対して極めて有効となる。全体システムとしても、業務の簡略化が図れ、多くの患者を短時間に診療できるようになる。
【0006】
【実施例】
以下、本発明の実施例を、図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例を示すカルテの入力や参照画面のフローチャートである。
全病歴画面(カルテ)1(図3参照)を呼び出すには、受付患者リスト3、受付患者リスト(来院歴)3′または患者検索画面4において、それぞれ〔選択〕を選ぶことにより表示することができる。全病歴画面1において、〔病歴入力〕を選択すれば、病歴入力画面2(図5参照)になり、〔病名/問題〕を選択すれば、問題点リスト画面8となり、〔検体検査結果〕を選択すれば、検体検査結果参照画面5となる。また、〔表示項目の変更〕を選択すれば、全病歴参照項目の設定画面10(図4参照)となり、〔受付患者リスト〕を選択すれば、受付患者リスト画面3となり、〔全病歴参照〕を選択すれば、患者検索画面4となり、〔保険病名表示〕を選択すれば、保険病名参照画面9となる。なお、全病歴参照を選択したあとの患者検索画面4において、〔選択〕を選択すれば、全病歴画面(参照用)1になる。また、病歴入力画面2において、〔定型パターン登録/編集〕を選択すれば、定型パターン登録画面7になり、〔文書プレビュー〕を選択すれば、文書プレビュー画面6になり、〔病名/問題の編集〕を選択すれば、問題点リスト画面8となる。
【0007】
図2は、医療機関内の業務/カルテの流れを示す図である。
図2において、患者の移動は太線矢印で示すように、受付窓口11から診療室12で診察を受け、診療室からの指示により処置室17、検査室18またはレントゲン室19で処置を受けた後、薬局15で投薬を受け取り、会計窓口16で支払を済ませて終了となる。
一方、カルテまたはその情報の移動は実線矢印で示すように、受付窓口11から病歴課(カルテ保管区)13を経由して診療室12へ、または受付窓口11から直接、診療室12へ運搬され、ここでカルテに処置内容、投薬内容、問診情報、所見等が記述され、処置室17等に処置指示、薬局15に投薬指示、会計窓口16に会計指示が出される。
次に、医師による診療業務中の作業の流れを述べる。
受付登録リストで患者の受付順を確認しながら、カルテを画面に表示する。患者の診察を行い、診察が終了したならば、医事会計システムに診療行為や処方箋等を入力する。
カルテ画面に対して、〔業務メニュー〕から〔病歴入力〕を選択すると、患者検索画面4が表示されるので、患者を検索し、病歴入力する患者を選択する。病歴入力画面2(図5参照)が表示されるので、病歴を入力した後、入力した内容を分析し、病歴項目や問題点と関連付ける。必要に応じて問題点の登録・編集を行う。また、必要に応じて診断書、紹介状等の文書を作成、印刷する。入力が終了したならば、別の患者を選択する。
【0008】
医師による診察の順序をパターン化して考えると、次のようになる。
先ず、患者の訴え等を聞き、問題点を推測し、その問題点に対して質問を行い、その回答から問題点を絞り込んだり、新たな問題点を推測する。推測した問題点から患部を接触することにより、問題点の絞り込み、再び推測する。問題点に合致した処方/投薬を決定する。その場合に、薬物アレルギー等を聞き出す。
また、再診の場合には、患者の訴えを聞き、問題点が変移したか否かを推測する。前回処方/投薬した結果、症状が変化したか否かを確認し、問題点の絞り込みを行う。また前回の検査結果を基にして、推測した問題点を絞り込む。
次に、本発明のカルテに対する記述/表示方法の特徴を述べる。
フリーフォーマットで入力できること、簡単にSOAP(患者の訴え(症状)、背景情報(家族情報/他の病歴)、身体所見、検査所見、医師のコメント等の分類)に分類できること、記載された内容(文章毎)に対して問題点を関連付けできること、各文章に対して問題点は複数個設定できること、問題点の集約関係を設定できること、SOAP分類/問題点の両方で絞り込み表示できること、過去カルテ/他の患者カルテが同時表示できること、である。
これにより、医師は次々と思考を巡らせながら、その内容を入力することができ、SOAP分類と患者の抱えている問題点の把握変移(時系列の分類)とのマトリックスに分類することができる。
【0009】
図3は、本発明の一実施例を示す全病歴画面(カルテ)の図である。
図3に示すカルテ画面を表示して、日付、項目、問題点等を指定して、必要なデータだけを取り出して表示することができる。
先ず、カルテの表示内容を変える場合、指定した日付のカルテを表示するため、日付一覧で表示する日付をダブルクリックする。
次に、特定の病歴分類の内容を表示するためには、〔表示項目の変更〕を選択し、〔全病歴参照項目の設定〕画面10(図4参照)で表示する病歴分類を選択した後、〔OK〕を選択する。
次に、特定の問題点に関連付けた内容を表示するためには、〔表示項目の変更〕を選択して、図4に示す〔全病歴参照項目の設定〕画面10を表示し、〔個別の問題内容を表示〕を選択した後、〔OK〕を選択する。〔全病歴画面〕の問題点一覧で、表示する問題点を選択する。複数の問題点も選択することができる。選択するときには、シフトキーを押しながらクリックすればよい。そして、〔再表示〕を選択する。
次に、問題点一覧の表示内容を変える場合、インアクティブな問題点を表示するために、〔インアクティブも表示〕を選択する。
また、問題点の集約関係を表示するためには、集約関係を表示する問題点を選択し、複数の問題点を選択するときには、シフトキーを押しながらクリックする。そして、〔集約関係を表示〕を選択する。
次に、病歴を入力する場合、当日の病歴を入力するには、〔病歴入力〕を選択する。
また、過去の病歴を編集するには、日付一覧で日付を選択し、〔病歴入力〕を選択する。なお、カルテ表示欄で編集したい内容をダブルクリックして、病歴入力画面を表示することもできる。
なお、全病歴画面(参照用)は、別の患者のカルテを参照する場合に表示する。この画面に病歴入力はできない。従って、図3の全病歴画面よりボタンの数が少なくなっている。
【0010】
図5は、本発明の一実施例を示す病歴入力画面の図である。
これは患者の病歴を入力するための画面である。入力した内容は、病歴分類や問題点と関連付けて管理される。また、この画面で診断書や紹介状等の文書の作成・印刷ができる。
中央部分のカルテ入力欄に病歴を文字入力する。次に、病歴分類項目で分類する。病歴分類のタグ(黒四角)で分類するため、タグを挿入する位置にカーソルを移動する。分類を取り消すときは、タグをデリートキーで削除すればよい。
入力した内容を登録してある問題点に関連付けるためには、〔問題リスト〕を選択し、問題点一覧を表示する。マウスボタンを押しながら移動させて、問題点にリンクする範囲を選択する。問題点一覧で、関連付ける問題点を選択する。これにより、〔問題点リンク状況〕の欄に問題の名称と、関連付けた部分が表示される。問題点の関連付けを解除するためには、〔問題点リンク状況〕から解除する部分をデリートキーで削除する。
証明書や紹介状を自動作成するためには、病歴分類一慮から〔文書〕を選択し、文字入力する。または、定型パターンの一覧から文書パターンを選択する。文書の印刷結果は、〔文書プレビュー〕により確認できる。
【0011】
図4は、本発明の一実施例を示す全病歴参照項目の設定画面の図である。
この全病歴参照項目の設定画面10を表示するためには、全病歴画面1において、〔表示項目の変更〕を選択すればよい。
全病歴画面のカルテ欄に表示する項目や、問題点の表示方法を選択する。
〔全情報の表示〕を選択すれば、病歴〜文書、およびレセプトの項目が全て選択される。〔病歴〕,〔コメント〕を選択すれば、表示する病歴分類項目を選択する。〔背景情報〕,〔身体所見〕,〔検査所見〕,〔その他〕を選択した場合も、表示する病歴分類項目を選択する。〔日付〕は、表示する内容がないときも、診察日の日付の行を表示するときに選択する。〔レセプト〕は、処方〜点数表示の項目が全て選択される。
〔問題の表示〕は、問題点の表示方法を選択する。これには、〔全部の問題内容を表示〕と、〔問題内容を表示しない〕と、〔個別の問題内容を表示〕とがある。また、〔保存〕は、表示中の設定を保存し、次回以降も同じ設定でカルテを表示するときに選択する。〔OK〕は、設定した内容でカルテを表示する。そして、〔全病歴参照項目〕を終了する。〔キャンセル〕は、設定した内容を取り消して、〔全病歴参照項目〕を終了する。
【0012】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、カルテに記載された文章の分類による特定項目の内容のみを抽出表示する機能と、抽出した内容を時系列表示する機能を有しているので、種々の情報が混在するカルテの中で必要のない情報を参照してしまう時間と無駄な労力を削減することができる。また、カルテに記載された文章の問題点への関連付けにより、特定問題点に関連した内容を抽出表示する機能(病名へのリンク機能)と、抽出した内容を時系列表示する機能を有しているので、平旦なカルテ情報から問題点志向の情報に変換することにより、記録品質の向上を図ることができる。その結果、診療品質の向上と診療に対する患者自身の納得が得られ、患者へのサービスを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すカルテの入力や参照画面のフローチャートである。
【図2】医療機関内の業務/カルテの流れを示す図である。
【図3】本発明の一実施例を示す全病歴画面の図である。
【図4】本発明の一実施例を示す全病歴参照項目の設定画面の図である。
【図5】本発明の一実施例を示す病歴入力画面の図である。
【符号の説明】
1…全病歴画面、2…病歴入力画面、3…受付患者リスト、4…患者検索画面、5…検体検査結果参照画面、6…文書プレビュー画面、
7…定型パターン登録画面、8…問題点リスト画面、9…保険病名参照画面、
10…全病歴参照項目の設定画面、11…受付窓口、12…診療室、
13…病歴課(カルテ保管区)、14…処置室等、15…薬局、
16…会計窓口、17…処置室、18…検査室、19…レントゲン室。
Claims (1)
- 患者の全病歴参照項目設定画面を有する診療記録簿管理システムにおいて、
当該患者の病歴分類項目が表示される病歴、およびコメントの各領域と、
背景情報、身体所見、検査所見、その他の欄が表示される病歴分類項目領域と、
診療日の日付の行を表示するために選択される日付領域と、
処方、注射、処置、会計、保険病名、保険情報、点数表示の項目が選択されるレセプト領域と、
問題点の表示方法を選択するための問題表示領域と、
表示中の設定を保存し、次回以降も同じ設定でカルテを表示するために選択される保存領域と
を具備した全病歴参照項目設定画面を有することを特徴とする診療記録簿管理システム。
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