JP3665930B2 - ロール駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、処理液を蓄える貯液領域に配置したロールを回転駆動するためのロール駆動装置の改良に関するものである。該ロール駆動装置を備えた設備としては、貯液領域に貯えられている処理液に、ロールに案内されて走行するプラスチックフィルム、紙又は金属箔等のシート等の被処理物を接触させて処理するものがある。ロールを回転駆動するのは、ロールと走行する被処理物との間で大きな滑りを生じさせないようにして、被処理物に擦り傷や大きなバックテンションを発生させないようにするためである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ロール駆動装置1は、図5に示す如く、貯液槽2の内側に形成した貯液領域Aに配置したロール3を伝動装置4で駆動するものである。伝動装置4は、ロール3に取り付けた従動側チエーンスプロケット5と、貯液領域Aの外側に配置した原動側チエーンスプロケット6と、両チエーンスプロケット5,6に張架したエンドレスのチエーン7とで構成されている。ロール3に案内されて走行する被処理物Sは、貯液領域Aに貯えられている処理液Bと接触して処理される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ロール駆動装置1は、貯液領域Aの内側と外側との間を移動する伝動装置4のチエーン7と処理液Bとの接触により、チエーン7や原動側チエーンスプロケット6に腐食が生じ、円滑な駆動ができなかったり処理液を汚染させたりするため、被処理物の処理に重大な問題を招くことがある。
【0004】
そこで、本発明は、上記問題を解決するために、腐食するチエーンを用いないでロール駆動を行うロール駆動装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
腐食するチエーンを用いないでロール駆動を行い、ノズルから噴出した処理液を貯液領域へ円滑に導くために請求項1記載の本発明が採用した手段は、処理液を貯える貯液領域に配置したロールを伝動装置で回転させるロール駆動装置において、前記伝動装置は、前 記貯液領域に配置されて受けた流体の噴出圧をロール駆動力に変換する受圧具と、前記貯液領域に配置されて該受圧具に向かって流体を噴出するノズルとを備え、前記貯液領域に、前記ロールの軸部が貫通するケーシングを設け、該ケーシングで前記貯液領域をケーシング内側の領域とケーシング外側の領域に区画し、該ケーシング内側の領域に前記受圧具及びノズルを備えると共に、該ケーシング外側の領域に前記ロールの筒部を配置させ、該ケーシング内側から該ケーシング外側に処理液排出管を延設すると共に、該ケーシング外側の領域に処理液排出管の複数個の排出口を分散したことを特徴とするロール駆動装置である。
【0006】
請求項1記載の本発明にあつては、ノズルから処理液中に浸漬する受圧具に向かって流体を噴出してロールを駆動することができるため、腐食するチエーンを用いないでロール駆動することが可能となる。更に、受圧具を回転させた後の処理液を、ケーシング内側の領域及び処理液排出管で導いて、複数個の排出口から分散するように貯液領域のケーシング外側の領域へ放流することが可能となる。
【0007】
ノズルから噴出する気体でロール駆動するために請求項2記載の本発明が採用した手段は、処理液を貯える貯液領域に配置したロールを伝動装置で回転させるロール駆動装置において、前記伝動装置は、前記ロールの軸部が貫通する密閉のケーシングと、該ケーシングの内側に配置されて受けた気体の噴出圧をロール駆動力に変換する受圧具と、該ケーシングの内側に配置されて該受圧具へ向かって気体を噴出するノズル噴出口と、該ケーシングの内側から前記貯液領域の外側へ延設した気体排出管と、該気体排出管に設けられて該ケーシングの内側の気圧を調節する圧力調節具とを備えたことを特徴とするロール駆動装置である。貫通するロールの軸部とケーシングとの間にシール部材を設けることもある。
【0008】
請求項2記載の本発明にあつては、ノズル噴出口から受圧具に向かって気体を噴出してロールを駆動することができるため、腐食するチエーンを用いないでロール駆動することが可能となり、密閉のケーシングの内側に受圧具及びノズル噴出口を配置することで、受圧具及びノズルと処理液との接触を断つことが可能となり、受圧具に衝突した後の気体を、ケーシングの内側及び気体排出管で導いて貯液領域の外側へ放出することで、気体と処理液との接触を断つことが可能となり、圧力調節具を調節することで、ケーシングの内側の気圧を処理液の浸入を阻止できる圧力とすることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るロール駆動装置(以下、「本発明装置」という)を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1及び図2は本発明外のロール駆動装置の第1の実施の形態を示すものであり、図1は断面した正面図、図2は図1のa−a線における拡大した断面図である。
【0011】
本実施の形態に係るロール駆動装置11は、内側に処理液Bを貯える貯液領域Aを形成した上端開口の貯液槽12と、貯液槽12の貯液領域Aに配置したロール13と、ロール13を回転駆動するための伝動装置14とを備えている。ロール13は、軸部13aと筒部13bとを備え、貯液槽12の内側又は外側で、軸部13aの両端を軸受具15,15で支持してある。貯液槽12は、貯液領域Aに一定量の処理液Bを貯溜するためのオーバーフロー口(図示略)を設け、オーバーフローした処理液Bを槽外へ排出するようにしてある。
【0012】
上記伝動装置14は、貯液領域Aに回転可能に配置された受圧具16と、受圧具6に向かって流体を噴出するためのノズル17とを備えている。受圧具16は、ロール13に取付けられ、その回転中心がロール13の回転中心線Dと同芯となっている。受圧具16は、外周面に複数個の受圧部16aが形成され、前記ノズル17から噴出した流体が受圧部16aに衝突して回転することにより、流体の噴出圧をロール駆動力に変換するようになっている。該受圧部16aは、図2に示すようなラチエット爪状の段部、半径方向へ突出した複数枚の羽根(図示略)またはローレット加工された凹凸部(図示略)等で形成され、ロール回転に必要なトルク及びロール回転速度等の条件により形状が適宜選択される。
【0013】
前記ロール13に対する受圧具16の取付けは、ロール13の軸部13aと筒部13bとが一体となっている場合には、軸部13a又は筒部13bに受圧具16を取付け、また、ロール13の軸部13aに軸受部材(図示略)を介して筒部13bを回転自由に取付けた場合には、軸部13aに受圧具16を取付け、軸部13aを回転駆動することで筒部13bを連れ回りさせるようにする。図2に示すものは、ロール13の筒部13bに受圧具61をビス止め18してある。なお、受圧具16は、図示は省略したが、ロール13の筒部13bと一体となるように筒部13bの左右端の一方又は両方に形成することもある。
【0014】
前記ノズル17は、貯液領域Aに噴出口17aを位置させ、受圧具16の受圧部16aに向かって流体を噴出するようにしてある。前記ノズル17は、流量調節弁等からなる流量調節具20を介して流体供給用の配管19に接続され、噴出口17aから噴出する流体の流量や噴出圧の調節を流量調節具20の調節で行うようにしてある。ノズル17から噴出する流体としては、貯液領域Aに貯溜される処理液Bを選択する場合と、処理液Bや被処理物Sに腐食等の悪影響を及ぼさない気体(例えば、窒素ガス等の不活性ガス)を選択する場合とがある。処理液Bを選択する場合には、貯液領域Aに供給する処理液Bの供給圧を利用して、処理液Bを受圧具16に向かって噴出し、噴出後の処理液Bを貯液領域Aに貯えるようにすることができる。
【0015】
次に、前記ロール駆動装置11を用いたロール駆動方法の実施の形態を説明する。準備段階として、ロール13にシート状の被処理物Sが巻き掛けられると共に、貯液槽12に処理液Bを供給して貯溜する。次に、ノズル17から流体を噴出させることで伝動装置14を起動させ、回転するロール13で走行する被処理物Sを案内させつつ、走行する被処理物Sを処理液Bに接触させて処理を行う。ノズル17の噴出口17aから処理液中に浸漬する受圧具16に向かって噴出した流体は、受圧具16の受圧部16aに衝突して受圧具16に回転力を生じさせ、ロール13を回転駆動する。
【0016】
前記ロール駆動装置11を用いたロール駆動方法によれば、ノズル17から噴出する流体でロール13を駆動するため、従来(図5参照)の如き腐食するチエーン7やスプロレット6等のメカニカル駆動手段を用いないでロール駆動することが可能となり、回転駆動するロール13で被処理物Sを円滑に案内することができると共に、磨耗等による粉塵の発生もない。ノズル17から噴出する流体として処理液Bを用いる場合には、ポンプアップされた処理液Bの供給圧を有効利用してロール駆動することができ、処理液Bを供給するためのポンプや配管等をロール駆動に用いて駆動装置全体をコンパクにすることが可能となる。
【0017】
(第2の実施の形態)
図3は本発明装置の第2の実施の形態を示す断面した正面図である。
【0018】
本実施の形態に係るロール駆動装置21が前記ロール駆動装置11と相違する点は、貯液領域Aに、ロール13の軸部13aが貫通するケーシング22を設け、ケーシング22で貯液領域Aをケーシング内側22aの領域とケーシング外側の領域とに区画し、ケーシング内側22aに受圧具16及び処理液を噴出するノズル17の噴出口17aを備え、ケーシング外側にロール13の筒部13bを配置させ、ケーシング内側22aから貯液領域Aのケーシング外側に処理液排出管23を延設すると共に、ケーシング外側の領域に処理液排出管23の複数個の排出口23aを分散し、ノズル17から噴出した処理液を貯液領域Aへ円滑に導いて放流するようにしたことである。この相違点以外の構成は、前記第1の実施形態に係るロール駆動装置11と実質的に同一であり、同一符号は同一の構成部材等を示す。
【0019】
上記ケーシング22は、貯液領域Aに配置され、貯液槽12等に接合24して固定される。ケーシング22は、ノズル17からケーシング内側22aへ噴出した処理液Bが、ロール貫通部22bから多量に漏れださないように、ロール13の軸部13aとロール貫通部22bとの隙間を小さくするか、ロール13の軸部13aとロール貫通部22bとの間にOリング等のシール部材(図示略)を配置することもある。
【0020】
本実施の形態に係るロール駆動装置21を用いたロール駆動方法は、前記第1の実施形態に係るロール駆動装置11と共通する構成に基づく駆動方法については実質的に同一となるので、その説明を省略する。ロール駆動装置21を用いたロール駆動方法では、受圧具16を回転させた後の処理液Bを、ケーシング22の内側22a及び処理液排出管23で導いて、複数個の排出口23aから分散するように貯液領域Aのケーシング外側の領域へ放流する。なお、走行中の被処理物Sへ向けて処理液Bを放流したくないときには、図3に示す如く、排出口23aを被処理物Sが通過する被処理物用通路へ指向させないようにする。逆に、走行中の被処理物Sと処理液Bとの接触を積極的に図りたいときには、図示は省略したが、排出口23aを被処理物Sが通過する被処理物用通路(例えば、ロール13の筒部13bの外周面)へ指向させる。
【0021】
(第3の実施の形態)
図4は本発明装置の第3の実施の形態の要部を拡大して示す断面した正面図である。
【0022】
本実施の形態に係るロール駆動装置31が前記ロール駆動装置11と相違する点は、貯液領域Aに、ロール13の軸部13aが貫通する密閉のケーシング32を設け、ケーシング32の内側32aに、受圧具16及び気体(例えば、窒素ガス等の不活性ガスや空気等)を噴出するノズル17の噴出口17aを備え、ケーシング32の内側32aから貯液領域Aの外側へ気体排出管33を延設し、気体排出管33に、ケーシング内側32aの気圧を調節する圧力調節具35を設けたことである。この相違点以外の構成は、前記第1の実施形態に係るロール駆動装置11と実質的に同一であり、同一符号は同一の構成部材等を示す。
【0023】
上記ケーシング32は、内側32aに軸受具15が内蔵され、貯液槽12等にシール部材36を介して気密状態に接合34してある。ケーシング32は、内側32aの気体が漏れださないように、貫通するロール軸部13aとケーシング32の貫通部32bとの間にシール部材37を設けることもある。ケーシング32は、圧力調節具35を調節することで、ケーシング内側32aの気圧(静圧)が処理液Bの浸入を阻止できる圧力値を保持するようになっている。
【0024】
本実施の形態に係るロール駆動装置31を用いたロール駆動方法は、前記第1の実施形態に係るロール駆動装置11と共通する構成に基づく駆動方法については実質的に同一となるので、その説明を省略する。ロール駆動装置31を用いたロール駆動方法では、密閉のケーシング32の内側32aに受圧具16及びノズル17を配置することで、受圧具16及びノズル17と貯液領域Aの処理液Bとの接触を断つことができ、また、受圧具16に衝突した後の気体を、ケーシング内側32a及び気体排出管33で導いて貯液領域Aの外側へ放出することで、気体と処理液Bとの接触を断つことができる。
【0025】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明装置は、腐食するチエーンを用いないでロール駆動を行うことにより、円滑なロール駆動を維持できると共に、汚染されない処理液で被処理物の安定した処理ができる。また、本発明装置は、受圧具を回転させた後の処理液を処理液排出管の複数個の排出口から分散するようにロールの筒部を配置させる貯液領域の領域へ放流することにより、処理液を該領域へ円滑に導くことができる。
【0026】
請求項2記載の本発明装置は、腐食するチエーンを用いないでロール駆動を行うことにより、円滑なロール駆動を維持できると共に、汚染されない処理液で安定した処理ができる。更に、本発明装置は、ケーシングの内側への処理液の浸入を阻止すると共に、受圧具に衝突した後の気体を貯液領域の外側へ放出するため、気体と処理液との接触を断って安定した処理ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明外のロール駆動装置の第1の実施の形態を示す断面した正面図である。
【図2】図1のa−a線における拡大した断面図である。
【図3】本発明装置の第2の実施の形態を示す断面した正面図である。
【図4】本発明装置の第3の実施の形態の要部を拡大して示す断面した正面図である。
【図5】従来のロール駆動装置を示す断面した正面図である。
【符号の説明】
13…ロール、14…伝動装置、16…受圧具、17…ノズル、22…ケーシング、23…処理液排出管、32…ケーシング、33…気体排出管、36…圧力調節具、37…シール部材
Claims (2)
- 処理液を貯える貯液領域に配置したロールを伝動装置で回転させるロール駆動装置において、前記伝動装置は、前記貯液領域に配置されて受けた流体の噴出圧をロール駆動力に変換する受圧具と、前記貯液領域に配置されて該受圧具に向かって流体を噴出するノズルとを備え、前記貯液領域に、前記ロールの軸部が貫通するケーシングを設け、該ケーシングで前記貯液領域をケーシング内側の領域とケーシング外側の領域に区画し、該ケーシング内側の領域に前記受圧具及びノズルを備えると共に、該ケーシング外側の領域に前記ロールの筒部を配置させ、該ケーシング内側から該ケーシング外側に処理液排出管を延設すると共に、該ケーシング外側の領域に処理液排出管の複数個の排出口を分散したことを特徴とするロール駆動装置。
- 処理液を貯える貯液領域に配置したロールを伝動装置で回転させるロール駆動装置において、前記伝動装置は、前記ロールの軸部が貫通する密閉のケーシングと、該ケーシングの内側に配置されて受けた気体の噴出圧をロール駆動力に変換する受圧具と、該ケーシングの内側に配置されて該受圧具へ向かって気体を噴出するノズル噴出口と、該ケーシングの内側から前記貯液領域の外側へ延設した気体排出管と、該気体排出管に設けられて該ケーシングの内側の気圧を調節する圧力調節具とを備えたことを特徴とするロール駆動装置。
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