JP3665830B2 - 熱可塑性粒子の熱処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、トナー等の熱可塑性粒子を処理槽内で熱風により熱処理して、この熱可塑性粒子を球形化させるのに使用する熱可塑性粒子の熱処理装置に係り、特に、熱可塑性粒子が熱風により処理槽内で均一に熱処理されるようにした点に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真装置において現像剤として使用されるトナー等の熱可塑性粒子においては、トナーを規制部材によって規制する場合に、トナーが割れるのを防止したり、また記録紙に対するトナーの転写性を向上させる等の目的で、トナー等の熱可塑性粒子を熱処理して球形化させることが行われていた。
【0003】
ここで、トナー等の熱可塑性粒子を熱処理して球形化させる従来の熱処理装置においては、図1に示すように、トナー等の熱可塑性粒子1を熱処理する処理槽10の上部に筒状の熱風供給部材20を設け、この熱風供給部材20を通して処理槽10内に熱風を吹き込むようにしている。
【0004】
また、上記の処理槽10の上部において熱風供給部材20の周囲に分散室30を設け、原料供給部材31から熱可塑性粒子1が分散された分散気流をこの分散室30内に吹き込むようにしている。
【0005】
そして、図2に示すように、この分散室30の内周側にその周方向に所要間隔を介して複数の原料噴射ノズル32を設け、各原料噴射ノズル32から上記のように分散室30内に吹き込まれた分散気流を上記の熱風供給部材20から噴射される熱風に向けて処理槽10内に噴射させ、この分散気流中における熱可塑性粒子1を上記の熱風により熱処理して球形化させると共に、処理槽10の上面に設けられた空気導入口11から冷風を処理槽10内に導入し、この冷風により熱処理された熱可塑性粒子1を冷却させて、熱処理された熱可塑性粒子1相互が結合するのを抑制するようにしている。
【0006】
ここで、上記のように筒状になった熱風供給部材20から処理槽10内に噴射される熱風は整流された状態ではなく、また熱風供給部材20の中心部から噴射される熱風の風速がその周辺部から噴射される熱風の風速よりも速くて、処理槽10内に噴射された熱風に渦等の乱れが生じた。
【0007】
このため、上記のように各原料噴射ノズル32から熱可塑性粒子1が分散された分散気流を、この熱風供給部材20から噴射される熱風に向けて噴射させた場合、この分散気流中に含まれる熱可塑性粒子1の一部が熱風の乱れにより熱風から遠ざかって、分散気流中に分散された熱可塑性粒子1が熱風によって均一に熱処理されくなるという問題があり、また熱可塑性粒子1が集まった状態で熱風により熱処理されたり、熱処理された熱可塑性粒子1がうまく冷却されなかったりして、熱可塑性粒子1相互が結合する等の問題があった。
【0008】
また、上記のように原料供給部材31から熱可塑性粒子1が分散された分散気流を分散室30内に吹き込み、この分散気流を分散室30の内周側に周方向に所要間隔を介して設けられた複数の原料噴射ノズル32から噴射させるようにした場合、図2に示すように、分散室30内に吹き込まれた分散気流中に含まれる熱可塑性粒子1が上記の原料噴射ノズル32間の部分に滞留して蓄積した。
【0009】
そして、このように原料噴射ノズル32間に蓄積した熱可塑性粒子1がある程度溜まった段階で原料噴射ノズル32に流れ込んで、一度に多くの熱可塑性粒子1が原料噴射ノズル32から熱風に向けて噴射されるようになり、各原料噴射ノズル32から熱風に向けて噴射される分散気流中における熱可塑性粒子1の量が一定せず、これにより十分に熱処理されない熱可塑性粒子1が生じたり、熱可塑性粒子1が集まった状態で熱風により熱処理されて、熱可塑性粒子1相互が結合したりする等の問題があった。
【0010】
さらに、上記のように原料供給部材31を通して分散室30内に吹き込まれた熱可塑性粒子1を含む分散気流を複数の原料噴射ノズル32から噴射させるようにした場合、原料供給部材31に近い位置における原料噴射ノズル32から噴射される分散気流の量が多くなる一方、原料供給部材31から離れた位置における原料噴射ノズル32から噴射される分散気流の量が少なくなり、各原料噴射ノズル32から噴射される分散気流の量、すなわち熱可塑性粒子1の量が異なり、各原料噴射ノズル32から噴射された熱可塑性粒子1に対して均一な熱処理が行われなくなり、十分に熱処理されない熱可塑性粒子1が生じたり、熱可塑性粒子1が集まった状態で熱風により熱処理されて、熱可塑性粒子1が結合したりする等の問題もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、トナー等の熱可塑性粒子を処理槽内で熱風により熱処理して、この熱可塑性粒子を球形化させるのに使用する熱可塑性粒子の熱処理装置における上記のような様々な問題を解決することを課題とするものである。
【0012】
すなわち、この発明においては、上記のように熱可塑性粒子を熱風によって熱処理する処理槽と、この処理槽内に熱風を噴射する熱風供給部材と、この熱風供給部材の周囲に設けられた分散室と、この分散室内に熱可塑性粒子を分散させた分散気流を吹き込む原料供給部材と、分散室内に供給された分散気流を上記の熱風供給部材から噴射される熱風に向けて分散室から処理槽内に噴射させる原料噴射ノズルとを有する熱可塑性粒子の熱処理装置において、熱風供給部材から噴射される熱風の乱れ等によって、原料噴射ノズルから噴射された分散気流中における熱可塑性粒子が十分に熱処理されなくなったり、熱処理された熱可塑性粒子相互が結合したりするのを抑制し、分散気流中における熱可塑性粒子が熱風によって均一に熱処理されるようにすることを課題とするものである。
【0013】
また、この発明においては、上記のような熱処理装置において、原料供給部材から熱可塑性粒子が分散された分散気流を分散室内に吹き込み、この分散気流を分散室に設けられた複数の原料噴射ノズルから噴射させるにあたり、分散気流中に含まれる熱可塑性粒子が原料噴射ノズル間の部分に滞留して蓄積したり、各原料噴射ノズルから噴射される分散気流の量が異なったりするのを抑制し、各原料噴射ノズルから一定した量の熱可塑性粒子を含む分散気流が安定して熱風に向けて噴射されて、各原料噴射ノズルから噴射された分散気流中における熱可塑性粒子が熱風によって均一に熱処理されるようにすることを課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1における熱可塑性粒子の熱処理装置においては、上記のような課題を解決するため、熱可塑性粒子を熱風によって熱処理する処理槽と、この処理槽内に熱風を噴射する熱風供給部材と、この熱風供給部材の周囲に設けられた分散室と、この分散室内に熱可塑性粒子を分散させた分散気流を吹き込む原料供給部材と、分散室内に供給された分散気流を上記の熱風供給部材から噴射される熱風に向けて分散室から処理槽内に噴射させる原料噴射ノズルとを有する熱可塑性粒子の熱処理装置において、上記の処理槽内に噴射する熱風を整流させる整流手段として、上記の熱風供給部材内に仕切り部材を設けるようにした。
【0015】
そして、この請求項1における熱可塑性粒子の熱処理装置のように、処理槽内に噴射する熱風を整流させる整流手段として、熱風供給部材内に仕切り部材を設け、この熱風供給部材から処理槽内に噴射される熱風をこの整流手段によって整流させると、上記のように原料噴射ノズルから熱可塑性粒子が分散された分散気流をこの熱風供給部材から噴射される熱風に向けて噴射させた場合に、この分散気流中に含まれる一部の熱可塑性粒子が熱風の乱れによって熱風から遠ざかるのが抑制され、熱可塑性粒子が分散された分散気流がこの熱風とうまく合流して、熱可塑性粒子が均一に熱処理されるようになると共に、熱処理された熱可塑性粒子相互が結合するのも抑制される。
【0016】
ここで、熱風供給部材から処理槽内に噴射される熱風を上記の整流手段によって整流させるにあたっては、熱風供給部材内に板状になった仕切り部材を設けるようにしたり、熱風供給部材から噴射させる熱風を多数の小径の管材に導き、各管材を通して熱風を整流させる等の方法を用いることができる。
【0017】
また、この請求項1における熱処理装置において、請求項2に示すように、熱風供給部材の各部分から噴射される熱風の風量を均一化手段によって均一化させると、この熱風によって分散気流中に含まれる熱可塑性粒子がより均一に熱処理されるようになる。
【0018】
【0019】
【0020】
また、この発明の請求項3における熱可塑性粒子の熱処理装置においては、上記のような課題を解決するため、熱可塑性粒子を熱風によって熱処理する処理槽と、この処理槽内に熱風を噴射する熱風供給部材と、この熱風供給部材の周囲に設けられた分散室と、この分散室内に熱可塑性粒子を分散させた分散気流を吹き込む原料供給部材と、分散室内に供給された分散気流を上記の熱風供給部材から噴射される熱風に向けて分散室から処理槽内に噴射させる複数の原料噴射ノズルとを有する熱可塑性粒子の熱処理装置において、上記の原料供給部材とは別に分散室内に気流を吹き込む気流導入手段を設けるようにした。
【0021】
そして、この請求項3に示す熱可塑性粒子の熱処理装置のように、原料供給部材とは別に分散室内に気流を吹き込む気流導入手段を設け、この気流導入手段から分散室内に気流を導入させると、分散室内において原料噴射ノズル間の部分に熱可塑性粒子が滞留するのが抑制され、従来のように、原料噴射ノズル間に蓄積した熱可塑性粒子がある程度溜まった段階で原料噴射ノズルに流れ込んで、一度に多くの熱可塑性粒子が原料噴射ノズルから熱風に向けて噴射されるのが抑制され、各原料噴射ノズルから噴射される分散気流中における熱可塑性粒子の量が一定化して、分散気流中における熱可塑性粒子が熱風によって均一に熱処理されるようになる。特に、請求項4に示すように、上記の気流導入手段から分散室内に吹き込む気流と、上記の原料供給部材から分散室内に吹き込む分散気流との吹き込み方向や吹き込み風速を異ならせると、この分散室内に原料供給部材から吹き込まれた分散気流と異なった流れが生じ、原料噴射ノズル間に熱可塑性粒子が滞留するのがより一層抑制され、分散気流中における熱可塑性粒子が熱風によってより均一に熱処理されるようになる。
【0022】
また、この発明の請求項5における熱可塑性粒子の熱処理装置においては、上記のような課題を解決するため、熱可塑性粒子を熱風によって熱処理する処理槽と、この処理槽内に熱風を噴射する熱風供給部材と、この熱風供給部材の周囲に設けられた分散室と、この分散室内に熱可塑性粒子を分散させた分散気流を吹き込む原料供給部材と、分散室内に供給された分散気流を上記の熱風供給部材から噴射される熱風に向けて分散室から処理槽内に噴射させる複数の原料噴射ノズルとを有する熱可塑性粒子の熱処理装置において、上記の原料供給部材と各原料噴射ノズルとを上下方向に所要間隔を介するようにして分散室に設けると共に、この分散室内に原料供給部材と各原料噴射ノズルとの間を所要間隔の隙間を介して分離させる隔壁を設けるようにした。
【0023】
そして、この請求項5に示す熱可塑性粒子の熱処理装置のように、分散室に原料供給部材と各原料噴射ノズルとを上下方向に所要間隔を介するように設けると共に、この分散室内に隔壁を設けて原料供給部材と各原料噴射ノズルとの間を所要間隔の隙間を介して分離させると、上記の原料供給部材から熱可塑性粒子が分散された分散気流を分散室内に吹き込んだ場合、この分散気流が隔壁によって分離された原料供給部材側の分散室内において均一化されようになる。そして、このように均一化された分散気流が上記の隙間を通して各原料噴射ノズル側の分散室内に導かれて各原料噴射ノズルに供給され、各原料噴射ノズルから噴射される分散気流の量が一定化して、分散気流中における熱可塑性粒子が熱風によって均一に熱処理されるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態に係る熱可塑性粒子の熱処理装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0025】
(実施形態1)
この実施形態における熱処理装置は、図3に示すように、図1に示した熱処理装置と同様に、トナー等の熱可塑性粒子を熱処理する処理槽10の上部に筒状の熱風供給部材20を設けると共に、この熱風供給部材20の周囲に分散室30を設けている。また、この分散室30の外周側に熱可塑性粒子が分散された分散気流を分散室30内に吹き込む原料供給部材31を接続させる一方、この分散室30の内周側に、その周方向に所要間隔を介して複数の原料噴射ノズル32を設けている。
【0026】
そして、上記の熱風供給部材20から処理槽10内に熱風を噴射させる一方、上記の原料供給部材31から熱可塑性粒子が分散された分散気流を分散室30内に吹き込み、このように分散室30内に吹き込まれた分散気流を、上記の熱風供給部材20から噴射される熱風に向けて各原料噴射ノズル32から処理槽10内に噴射させるようにしている。
【0027】
ここで、上記のように各原料噴射ノズル32から分散気流を熱風供給部材20から噴射される熱風に向けて噴射させる場合、各原料噴射ノズル32から噴射される分散気流と熱風供給部材20から噴射される熱風とのなす角度が大きくなると、分散気流が熱風を横切るように噴射され、原料噴射ノズル32から噴射される分散気流が衝突して、分散気流中における熱可塑性粒子が凝集しやすくなる。一方、各原料噴射ノズル32から噴射される分散気流と熱風供給部材20から噴射される熱風とのなす角度が小さくなると、各原料噴射ノズル32から噴射された分散気流が熱風中に十分に導入されず、分散気流中における熱可塑性粒子が十分に熱処理されなくなる。このため、各原料噴射ノズル32から噴射される分散気流と熱風供給部材20から噴射される熱風とのなす角度を20〜40°、好ましくは25〜35°の範囲になるようにする。
【0028】
そして、この実施形態における熱処理装置においては、上記の熱風供給部材20から処理槽10内に噴射させる熱風を整流させる整流手段40として、図3に示すように、熱風供給部材20内に仕切り部材41を設け、熱風供給部材20内を通過する熱風の通路をこの仕切り部材41により複数の小さな通路に分離させている。
【0029】
このように熱風供給部材20内に仕切り部材41を設け、熱風供給部材20内を通過する熱風を仕切り部材41により仕切られた複数の小さな通路を通過させると、この小さな通路を通過する間に熱風の乱れが是正され、熱風供給部材20から処理槽10内に熱風が整流された状態で噴射されるようになる。
【0030】
そして、このように整流された熱風を熱風供給部材20から処理槽10内に噴射させると共に、この熱風に向けて上記の各原料噴射ノズル32から処理槽10内に熱可塑性粒子が分散された分散気流を噴射させると、上記の熱風における乱れが少なくなっているため、分散気流中に含まれる一部の熱可塑性粒子が熱風の乱れによって熱風から遠ざかったり、分散気流中に含まれる熱可塑性粒子が熱風中において集合するのが抑制され、分散気流中に含まれる熱可塑性粒子が均一に熱処理されるようになると共に、処理槽10の上面に設けられた空気導入口11から処理槽10内に導入された冷風によって、熱処理された熱可塑性粒子が適切に冷却され、熱可塑性粒子相互が結合するのも抑制される。
【0031】
ここで、上記の仕切り部材41としては、例えば、図4に示すように、上記の熱風供給部材20の中心から放射状に多数の板材41aを設けたものや、図5に示すように、熱風供給部材20の中心から放射状に多数の板材41aを設けると共に直径の異なる2つの円管41b,41cを設けたものや、図6に示すように、直径の異なる2つの円管41b,41cを設けると共に内周側の円管41bから90°の角度を介して放射状に延びた板材41aを設けたもの等、様々な形状の仕切り部材41を用いることができる。
【0032】
また、上記のように熱風供給部材20内に仕切り部材41を設ける場合、熱風供給部材20内においては、その中心部における熱風の風速が周辺部における熱風の風速よりも速くなるため、上記の図4や図5に示すように中心部における熱風の通路が狭くなる仕切り部材41を設け、熱風供給部材20から処理槽10内に噴射される熱風の速度を均一化させることが好ましい。
【0033】
なお、この実施形態における熱処理装置においては、熱風供給部材20から処理槽10内に噴射させる熱風を整流させる整流手段40として、熱風供給部材20内に仕切り部材41を設けるようにしたが、整流手段40はこのようなものに限定されず、熱風供給部材20から処理槽10内に熱風を整流させて噴出させることができればどのようなものであってもよい。
【0034】
例えば、図7に示すように、処理槽10内に熱風を噴射させる熱風供給部材20の先端部に複数の管材42aを集合させた整流部材42を設け、熱風供給部材20から処理槽10内に噴射させる熱風を、この整流部材42における各管材42a内を通過させて熱風の乱れを是正し、各管材42aから熱風を処理槽10内に整流させた状態で噴射させることも可能である。
【0035】
ここで、このように複数の管材42aを集合させた整流部材42としては、図8に示すように、同一径の管材42aを多数集合させたものや、図9に示すように、その中心から外周側に向かうに連れて管材42aの径が大きなるようにして径の異なる管材42aを多数集合させたもの等を用いることができる。
【0036】
ここで、図8に示すように、同一径の管材42aを多数集合させた整流部材42の場合、熱風供給部材20から処理槽10内に噴射される熱風がこの整流部材42における各管材42a内を通過して整流された状態で処理槽10内に噴射されるようになるが、熱風供給部材20内を通過する熱風の中心部と周辺部との風速の差はそのままで、この整流部材42における中心部の管材42aから噴射される熱風の風速が周辺部における管材42aから噴射される熱風の風速よりも速くなる。このため、このように同一径の管材42aを多数集合させた整流部材42を用いた場合には、噴射される熱風の風速を均一化させる均一化手段として管材42aの入口に調整弁等を設け、中心部における管材42a内を流れる熱風の風速を周辺部における管材42a内を流れる熱風の風速に合わせるようにすることが好ましい。
【0037】
一方、図9に示すように、中心から外周側に向かうに連れて管材42aの径が大きくなるようにして径の異なる管材42aを多数集合させた整流部材42の場合には、熱風供給部材20から処理槽10内に噴射される熱風がこの整流部材42の中心部における径の小さな管材42aよりも外周側における径の大きな管材42aを通過しやすくなり、各管材42aから処理槽10内に噴射される熱風の風速が均一化される。
【0038】
次に、上記の図3に示した実施形態1の熱処理装置を用いた具体的な実施例について説明すると共に、この実施例の熱処理装置を用いて熱可塑性粒子を熱処理した場合に、熱可塑性粒子の熱処理が均一に行えることを比較例を挙げて明らかにする。
【0039】
ここで、熱処理を行う熱可塑性粒子としては、下記のようにして製造した2種類のトナーAとトナーBとを用いるようにした。
【0040】
(トナーA)
トナーAを製造するにあたっては、軟化点Tgが65℃のポリエステル樹脂100重量部に対して、着色剤であるカーボンブラック(三菱化学工業社製:MA#8)を2重量部の割合で混合し、これを混練して冷却させた後、この混練物を粉砕し、分級してトナー粒子を得た後、このトナー粒子100重量部に対して、流動化剤である疎水性シリカ(日本アエロジル社製:R−974)を1重量部の割合で添加し、これをヘンシェルミキサー(商品名:三井鉱山社製)により30m/秒の速度で2分間混合してトナーAを得た。
【0041】
(トナーB)
トナーBを製造するにあたっては、上記のトナーAの場合と同様にして製造したトナー粒子をそのまま用いるようにし、トナー粒子に対して流動化剤である疎水性シリカを加えないようにした。
【0042】
ここで、上記のトナーA及びトナーBについて、それぞれ平均粒径を粒径測定器(コールター社製:マルチサイザー2)を用いて測定すると共に、形状測定器(東亜医用電子社製:FPIA−2000)を用いて円形度を測定した結果、下記の表1に示すように、トナーA及びトナーBは何れも平均粒径が8.0μm、円形度が0.931であった。なお、円形度は、粒子投影像の周囲長と、この粒子の投影面積に等しい円の周囲長とを測定して下記の式により求めた。
円形度=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
【0043】
(実施例1−1)
実施例1−1においては、上記の図3に示した実施形態1の熱処理装置において、上端部の直径が300mm,下端部の直径が50mm,深さが350mmになった処理槽10を用い、上記の熱風供給部材20内に前記の図4に示した仕切り部材41を設けて、上記のトナーAとトナーBとをそれぞれ熱処理するようにした。
【0044】
ここで、この実施例1−1の熱処理装置において、これらのトナーA,Bを熱処理するにあたっては、何れのトナーの場合も、上記のように図4に示す仕切り部材41が設けられた熱風供給部材20から上記の処理槽10内に温度が350℃の熱風を風量0.5m3 /分の条件で噴射させる一方、上記の原料供給部材31から分散室30内に吹き込む分散気流の風量を0.05m3 /分にして、上記のトナーを2kg/時間の割合で供給するようにした。そして、このように分散室30内に吹き込まれた分散気流を、上記の熱風供給部材20から噴射される熱風に向けて上記の各原料噴射ノズル32から処理槽10内に噴射させ、分散気流中に含まれるトナーを熱処理するようにした。
【0045】
そして、このように熱処理されたトナーA,Bにおける平均粒径と円形度とを上記のようにして測定すると共に、熱処理されたトナーA,Bにおける円形度のばらつきを示す円形度の標準偏差(円形度SD)を求め、これらの結果を下記の表1に示した。
【0046】
(実施例1−2)
実施例1−2においては、上記の図3に示した実施形態1の熱処理装置において、上記の熱風供給部材20内に前記の図5に示した仕切り部材41を設けるようにし、それ以外については、上記の実施例1−1の場合と同様にして、上記のトナーAとトナーBとをそれぞれ熱処理するようにした。
【0047】
そして、このように熱処理されたトナーA,Bにおける平均粒径と円形度とを上記のようにして測定すると共に、上記の円形度SDを求め、これらの結果を下記の表1に示した。
【0048】
(比較例1)
比較例1においては、前記の図1に示した熱処理装置のように、上記の熱風供給部材20内に仕切り部材41を設けないようにし、それ以外については、上記の実施例1−1の場合と同様にして、上記のトナーAとトナーBとをそれぞれ熱処理するようにした。
【0049】
そして、このように熱処理されたトナーA,Bにおける平均粒径と円形度とを上記のようにして測定すると共に、上記の円形度SDを求め、これらの結果を下記の表1に示した。
【0050】
【表1】
【0051】
この結果、上記の実施例1−1及び実施例1−2の熱処理装置を用いてトナーA,Bを熱処理した場合、比較例1の熱処理装置を用いて熱処理を行った場合に比べ、熱処理されたトナー相互が結合するのが抑制され、熱処理後における各トナーA,Bの平均粒径の増加が比較例1のものに比べて少なくなっており、また熱処理後の各トナーA,Bにおける円形度SDも比較例1のものに比べて少なくなって、円形度のばらつきも抑制され、各トナーA,Bが均一に熱処理されるようになった。
【0052】
(参考形態2)
この参考形態における熱処理装置も、図10に示すように、図1に示した熱処理装置と同様に、トナー等の熱可塑性粒子を熱処理する処理槽10の上部に筒状の熱風供給部材20を設けると共に、この熱風供給部材20の周囲に分散室30を設け、この分散室30の外周側に熱可塑性粒子が分散された分散気流を分散室30内に吹き込む原料供給部材31を接続させる一方、この分散室30の内周側にその周方向に所要間隔を介して複数の原料噴射ノズル32を設けている。
【0053】
そして、上記の熱風供給部材20から処理槽10内に熱風を噴射させる一方、上記の分散室30内に原料供給部材31から熱可塑性粒子が分散された分散気流を吹き込み、このように分散室30内に吹き込まれた分散気流を、上記の熱風供給部材20から噴射される熱風に向けて各原料噴射ノズル32から処理槽10内に噴射させるようにしている。
【0054】
ここで、この参考形態における熱処理装置においては、上記の処理槽10内において、熱風供給部材20から噴射される熱風と、原料噴射ノズル32から噴射される熱可塑性粒子が分散された分散気流とが合流する部分に上方に向かってラッパ状に広がった筒状の案内部材50を設け、熱風供給部材20から噴射された熱風と原料噴射ノズル32から噴射された分散気流とをこの案内部材50内で合流させて整流させるようにしている。
【0055】
そして、このように熱風供給部材20から噴射された熱風と原料噴射ノズル32から噴射された分散気流とをこの案内部材50内で合流させて整流させると、処理槽10の上面に設けられた空気導入口11から処理槽10内に導入された冷風が、この処理槽10の上面と上記の案内部材50との間の隙間を通して案内部材50内に流れ込み、分散気流に含まれる熱可塑性粒子が処理槽10の上面と案内部材50との間の隙間を通して案内部材50の外に流出するのが抑制されると共に、熱可塑性粒子を含む分散気流が熱風と合流して案内部材50内を通過している間に、分散気流中に含まれている熱可塑性粒子が熱風により均一に熱処理されるようになる。
【0056】
また、上記のように処理槽10の上面と案内部材50との間の隙間を通して案内部材50内に流れ込んだ冷風により熱処理された熱可塑性粒子が適切に冷却されて、熱可塑性粒子相互が結合するのが抑制されると共に、案内部材50の内面に沿って流れる冷風によって熱処理された熱可塑性粒子が案内部材50の内面に融着するのも防止される。
【0057】
なお、図10に示した熱処理装置においては、上記のように案内部材50を処理槽10内における適当な位置に設けるようにしたが、図11に示すように、処理槽10内に上下方向に伸びた案内棒51を設け、この案内棒51に上記の案内部材50を移動可能に取り付け、この案内部材50を案内棒51に沿って上下方向に移動させ、処理槽10内に設ける案内部材50の位置を適宜変更させることも可能である。
【0058】
ここで、上記のようにして処理槽10内に設ける案内部材50の位置を変更させるにあたり、上記の熱風供給部材20から噴射される熱風や原料噴射ノズル32から噴射される分散気流の量を多くした場合には、この案内部材50を上方に移動させて、この案内部材50と処理槽10の上面との間の間隔を狭くすることが好ましい。すなわち、このように案内部材50と処理槽10の上面との間の間隔を狭くすると、分散気流中に含まれる熱可塑性粒子が処理槽10の上面と案内部材50との間の隙間を通して案内部材50の外に流出するのが抑制されると共に、原料噴射ノズル32から噴射された分散気流が熱風と速やかに合流して、この分散気流中に含まれる熱可塑性粒子が熱風によって速やかに熱処理されるようになる。
【0059】
また、図10に示した熱処理装置においては、処理槽10の上面に設けられた空気導入口11から処理槽10内に導入された冷風が処理槽10の上面と上記の案内部材50との間の隙間を通して案内部材50内に流れ込むようにしただけであるが、図12に示すように、上記の処理槽10の上面に空気を噴射させる複数の空気噴射ノズル52を案内部材50の内面側に向けて設け、各空気噴射ノズル52から案内部材50の内面側に向けて冷風を噴射させるようにしたり、図13に示すように、上記の案内部材50の上端の周囲に冷風案内部53を設けると共にこの冷風案内部53に噴射口53aを設け、この噴射口53aから案内部材50の内面側に向けて冷風を噴射させることも可能である。
【0060】
ここで、上記の図12や図13に示すように、各空気噴射ノズル52や、冷風案内部53に設けられた噴射口53aから案内部材50の内面側に向けて冷風を噴射させると、熱処理された熱可塑性粒子が適切に冷却されて、熱可塑性粒子相互が結合するのが一層抑制されると共に、案内部材50の内面に沿って流れる冷風によって熱処理された熱可塑性粒子が案内部材50の内面に融着するのも一層防止されるようになる。
【0061】
次に、上記の図10、図12及び図11に示した参考形態2の熱処理装置を用いた具体的な参考例について説明すると共に、これらの参考例の熱処理装置を用いて熱可塑性粒子を熱処理した場合に、熱可塑性粒子の熱処理が均一に行えることを明らかにする。
【0062】
(参考例2−1)
参考例2−1においては、上記の図10に示した熱処理装置を使用し、上記の実施例1−1の場合と同じ、上端部の直径が300mm,下端部の直径が50mm,深さが350mmになった処理槽10を用いる一方、上記の案内部材50としては、上端の直径が100mm,下端の直径が65mm,高さが70mmになったものを使用し、この案内部材50を処理槽10内において、その上端が上記の原料噴射ノズル32の先端より65mm下に位置するように設け、前記のトナーA,Bを熱処理するようにした。
【0063】
ここで、この参考例2−1の熱処理装置において、これらのトナーA,Bを熱処理するにあたっては、何れのトナーの場合も、上記の熱風供給部材20から上記の処理槽10内に温度が350℃の熱風を風量0.5m3 /分の条件で噴射させる一方、上記の原料供給部材31から分散室30内に吹き込む分散気流の風量を0.05m3 /分にして、上記のトナーを2kg/時間の割合で供給するようにした。そして、このように分散室30内に吹き込まれた分散気流を、上記の熱風供給部材20から噴射される熱風に向けて上記の各原料噴射ノズル32から処理槽10内に噴射させ、このように噴射された分散気流と上記の熱風とを上記の案内部材50内で合流させて、分散気流中に含まれるトナーを熱処理するようにした。
【0064】
そして、このように熱処理されたトナーA,Bにおける平均粒径と円形度とを前記の場合と同様にして測定すると共に、熱処理されたトナーA,Bにおける上記の円形度SDを求め、これらの結果を下記の表2に示した。
【0065】
(参考例2−2)
参考例2−2においては、上記の図12に示した熱処理装置を使用し、上記の参考例2−1の場合と同様に、上端部の直径が300mm,下端部の直径が50mm,深さが350mmになった処理槽10を用いると共に、この処理槽10内において、上端の直径が100mm,下端の直径が65mm,高さが70mmになった案内部材50をその上端が上記の原料噴射ノズル32の先端より65mm下に位置するように設け、さらにこの処理槽10の上面に、案内部材50の内面側に向けて冷風を噴射させる12個の空気噴射ノズル52を円周方向に所要間隔を介して設けるようにした。
【0066】
そして、この参考例2−2の熱処理装置において、前記のトナーA,Bを熱処理するにあたっては、何れのトナーの場合も、各空気噴射ノズル52からの合計の風量が0.01m3 /分になるようにして冷風を案内部材50の内面側に噴射させ、それ以外は、上記の参考例2−1の場合と同様にして、トナーA,Bを熱処理した。
【0067】
そして、このように熱処理されたトナーA,Bにおける平均粒径と円形度とを前記の場合と同様にして測定すると共に、熱処理されたトナーA,Bにおける上記の円形度SDを求め、これらの結果を下記の表2に示した。
【0068】
【表2】
【0069】
この結果、上記の参考例2−1及び参考例2−2の熱処理装置を用いてトナーA,Bを熱処理した場合も、前記の比較例1の熱処理装置を用いて熱処理を行った場合に比べ、熱処理後における各トナーA,Bの平均粒径の増加が少なくなっており、熱処理されたトナー相互が結合するのが抑制され、また熱処理後の各トナーA,Bにおける円形度SDも比較例1のものに比べて少なくなって、円形度のばらつきも抑制され、各トナーA,Bが均一に熱処理されるようになった。特に、各空気噴射ノズル52から冷風を案内部材50の内面側に噴射させるようにした実施例2−2の熱処理装置を用いた場合においては、熱処理されたトナーA,Bの平均粒径の増加が小さく、熱処理されたトナー相互が結合するのが一層抑制されると共に、熱処理後の各トナーA,Bにおける円形度のばらつきも一層少なく、各トナーA,Bがより一層均一に熱処理されるようになった。
【0070】
(参考例2−3)
参考例2−3においては、上記の図11に示した熱処理装置を用い、上記の参考例2−1の場合と同様に、上端部の直径が300mm,下端部の直径が50mm,深さが350mmになった処理槽10を用いると共に、この処理槽10内ににおいて、上端の直径が100mm,下端の直径が65mm,高さが70mmになった案内部材50を案内棒51に沿って上下方向に移動させるようした。
【0071】
ここで、この参考例2−3の熱処理装置においては、前記のトナーAを熱処理するにあたり、上記の熱風供給部材20から上記の処理槽10内に温度が350℃の熱風を風量0.5m3 /分の条件で噴射させる一方、上記の原料供給部材31から分散室30内に吹き込む分散気流の風量を0.1m3 /分にして、上記のトナーAを5kg/時間の割合で供給するようにした。
【0072】
そして、この参考例2−3の熱処理装置においては、処理槽10内において前記の案内部材50を設ける位置を変更させ、条件1では、前記の参考例2−1の場合と同様に、案内部材50の上端が上記の原料噴射ノズル32の先端より65mm下に位置するようにし、また条件2では、案内部材50を上記の条件1よりも上方に移動させ、案内部材50の上端が上記の原料噴射ノズル32の先端より35mm下に位置するようにして、それぞれトナーAを熱処理した。
【0073】
そして、上記の条件1と条件2とにおいて熱処理されたトナーAの平均粒径と円形度とを前記の場合と同様にして測定すると共に、熱処理されたトナーAにおける上記の円形度SDを求め、これらの結果を下記の表3に示した。
【0074】
【表3】
【0075】
この結果、原料供給部材31から分散室30内に吹き込む分散気流の風量や処理するトナーAの量を多くした場合には、条件2に示すように、案内部材50を上方に移動させて、案内部材50の上端と原料噴射ノズル32の先端との間隔を狭くするほうが、熱処理後におけるトナーAの平均粒径の増加が少なくなっており、熱処理されたトナー相互が結合するのが抑制されると共に、熱処理されたトナーAにおける円形度SDの値も低くなって円形度のばらつきも少なくなり、トナーAが均一に熱処理されるようになった。
【0076】
(実施形態3)
この実施形態における熱処理装置も、図14(A),(B)に示すように、図1に示した熱処理装置と同様に、トナー等の熱可塑性粒子を熱処理する処理槽10の上部に筒状の熱風供給部材20を設けると共に、この熱風供給部材20の周囲に分散室30を設け、この分散室30の外周側に熱可塑性粒子が分散された分散気流を分散室30内に吹き込む原料供給部材31を接続させる一方、この分散室30の内周側にその周方向に所要間隔を介して複数の原料噴射ノズル32を設けている。
【0077】
そして、上記の熱風供給部材20から処理槽10内に熱風を噴射させる一方、上記の分散室30内に原料供給部材31から熱可塑性粒子が分散された分散気流を吹き込み、このように分散室30内に吹き込まれた分散気流を、上記の熱風供給部材20から噴射される熱風に向けて各原料噴射ノズル32から処理槽10内に噴射させるようにしている。
【0078】
ここで、この実施形態における熱処理装置においては、上記の原料供給部材31の他に分散室30内に気流を導入させる気流導入手段60として、分散室30の外周側に、その周方向に所要間隔を介して複数の空気供給ノズル61を設け、各空気供給ノズル61から圧縮空気を分散室30に設けられた前記の原料噴射ノズル32の間に向けて吹き付けるようにしている。
【0079】
そして、このように各空気供給ノズル61から圧縮空気を分散室30に設けられた前記の原料噴射ノズル32の間に向けて吹き付けると、原料供給部材31から分散室30内に吹き込まれた分散気流中における熱可塑性粒子が原料噴射ノズル32間に溜まるのが抑制され、従来のように原料噴射ノズル32間に蓄積した熱可塑性粒子がある程度溜まった段階で原料噴射ノズル32に流れ込んで、一度に多くの熱可塑性粒子が原料噴射ノズル32から熱風に向けて噴射されるということがなくなると共に、この圧縮空気により分散室30内に上記の原料噴射ノズル32から噴射される分散気流の流れとは異なった流れが生じ、各原料噴射ノズル32から熱可塑性粒子を含む分散気流が一定した状態で処理槽10内に噴射されるようになる。
【0080】
そして、このように各原料噴射ノズル32から噴射された分散気流が熱風供給部材20から噴射される熱風と合流し、分散気流中における熱可塑性粒子が熱風によって均一に熱処理されるようになる。
【0081】
なお、この実施形態における熱処理装置においては、上記のように原料供給部材31の他に分散室30内に気流を導入させる気流導入手段60として、分散室30の外周側に複数の空気供給ノズル61を設け、各空気供給ノズル61から圧縮空気を分散室30に設けられた前記の原料噴射ノズル32の間に向けて吹き付けるようにしたが、図15に示すように、上記の分散室30の外周側の下端部にリング状になった空気導入部62を設けると共に、この空気導入部62と分散室30とを連通させる空気導入口62aをこの空気導入部62に沿ってリング状に形成し、この空気導入口62aを通して分散室30の周囲から圧縮空気を吹き付けることも可能である。そして、このようにした場合にも、空気導入口62aを通して分散室30に吹き込まれた周囲から原料供給部材31から分散室30内に吹き込まれた空気によって、分散気流中における熱可塑性粒子が原料噴射ノズル32間に溜まるのが抑制され、分散気流中における熱可塑性粒子が熱風によって均一に熱処理されるようになる。
【0082】
また、上記の実施形態における気流導入手段60においては、圧縮空気だけを分散室30内に吹き込むようにしたが、この気流導入手段60により圧縮空気と共に熱処理を行う熱可塑性粒子1を分散室30内に吹き込むようにすることも可能である。
【0083】
次に、上記の図14及び図15に示した実施形態3の熱処理装置を用いた具体的な実施例について説明すると共に、これらの実施例の熱処理装置を用いて熱可塑性粒子を熱処理した場合に、熱可塑性粒子の熱処理が均一に行えることを明らかにする。
【0084】
(実施例3−1)
実施例3−1においては、上記の図14に示した熱処理装置を使用して、前記のトナーA,Bをそれぞれ熱処理するようにした。なお、処理槽10としては、前記の実施例1−1の場合と同じものを用いるようにした。
【0085】
ここで、この実施例3−1の熱処理装置においては、前記のトナーA,Bをそれぞれ熱処理するにあたり、上記の熱風供給部材20から上記の処理槽10内に温度が350℃の熱風を風量0.5m3 /分の条件で噴射させる一方、上記の分散室30内に原料供給部材31から吹き込む分散気流の風量を0.05m3 /分にして、上記のトナーを2kg/時間の割合で供給すると共に、前記の各空気供給ノズル61から圧縮空気を合計の風量が0.02m3 /分になるようにして、分散室30内に設けられた前記の原料噴射ノズル32の間に向けて吹き付けるようにした。
【0086】
そして、上記のように原料供給部材31から分散室30内に吹き込まれた分散気流と各空気供給ノズル61から分散室30内に吹き込まれた圧縮空気とを、熱風供給部材20から噴射される熱風に向けて上記の各原料噴射ノズル32から処理槽10内に噴射させ、トナーA,Bを熱処理するようにした。
【0087】
また、このように熱処理されたトナーA,Bにおける平均粒径と円形度とを前記の場合と同様にして測定すると共に、熱処理されたトナーA,Bにおける上記の円形度SDを求め、これらの結果を下記の表4に示した。
【0088】
(実施例3−2)
実施例3−2においては、上記の図15に示した熱処理装置を使用して、前記のトナーA,Bをそれぞれ熱処理するようにした。なお、処理槽10としては、前記の実施例1−1の場合と同じものを用いるようにした。
【0089】
ここで、この実施例3−2の熱処理装置においては、前記のトナーA,Bをそれぞれ熱処理するにあたり、上記の熱風供給部材20から上記の処理槽10内に温度が350℃の熱風を風量0.5m3 /分の条件で噴射させる一方、上記の分散室30内に原料供給部材31から吹き込む分散気流の風量を0.05m3 /分にして、トナーを2kg/時間の割合で供給すると共に、前記の空気導入部62に圧縮空気を0.02m3 /分の風量で供給し、この空気導入部62と分散室30とを連通する空気導入口62aを通して圧縮空気を分散室30の周囲から分散室30内に吹き込むようにした。
【0090】
そして、上記のように原料供給部材31から分散室30内に吹き込まれた分散気流と空気導入口62aを通して分散室30内に吹き込まれた圧縮空気とを、熱風供給部材20から噴射される熱風に向けて上記の各原料噴射ノズル32から処理槽10内に噴射させて、トナーA,Bを熱処理するようにした。
【0091】
また、このように熱処理されたトナーA,Bにおける平均粒径と円形度とを前記の場合と同様にして測定すると共に、熱処理されたトナーA,Bにおける上記の円形度SDを求め、これらの結果を下記の表4に示した。
【0092】
【表4】
【0093】
この結果、上記の実施例3−1及び実施例3−2の熱処理装置を用いてトナーA,Bを熱処理した場合も、前記の比較例1の熱処理装置を用いて熱処理を行った場合に比べ、熱処理後における各トナーA,Bの平均粒径の増加が前記の比較例1の場合に比べて少なくなっており、熱処理されたトナー相互が結合するのが抑制され、また熱処理後の各トナーA,Bにおける円形度SDの値も比較例1の場合に比べて低くなって、円形度のばらつきも少なくなり、各トナーA,Bが均一に熱処理されるようになった。
されるようになった。
【0094】
(実施形態4)
この実施形態における熱処理装置も、図16に示すように、図1に示した熱処理装置と同様に、トナー等の熱可塑性粒子を熱処理する処理槽10の上部に筒状の熱風供給部材20を設けると共に、この熱風供給部材20の周囲に分散室30を設け、この分散室30の外周側に熱可塑性粒子が分散された分散気流を分散室30内に吹き込む原料供給部材31を接続させる一方、この分散室30の内周側にその周方向に所要間隔を介して複数の原料噴射ノズル32を設けている。
【0095】
そして、上記の熱風供給部材20から処理槽10内に熱風を噴射させる一方、上記の分散室30内に原料供給部材31から熱可塑性粒子が分散された分散気流を吹き込み、このように分散室30内に吹き込まれた分散気流を、上記の熱風供給部材20から噴射される熱風に向けて各原料噴射ノズル32から処理槽10内に噴射させるようにしている。
【0096】
ここで、この実施形態における熱処理装置においては、図16及び図17に示すように、上記の分散室30の外周側の上部に上記の原料供給部材31を接続させる一方、上記の原料噴射ノズル32を分散室30の内周側の下部に設け、上記の原料供給部材31と原料噴射ノズル32との間において、この分散室30内にその内周側の壁面から外周側に向けて突出し、外周側の内壁面との間に所要間隔の隙間sが形成されるようにしてリング状になった隔壁33を設け、この隔壁33により分散室30内を上方に位置する第1室30aと下方に位置する第2室30bとに分離させている。
【0097】
このように分散室30内を隔壁33により上方に位置する第1室30aと下方に位置する第2室30bとに分離させ、上記のように原料供給部材31から熱可塑性粒子が分散された分散気流をこの分散室30内に吹き込むと、原料供給部材31から吹き込まれた分散気流が分散室30内の上方に位置する第1室30aに導かれ、分散気流がこの第1室30a内において均一化され、このように均一化された分散気流が上記の隙間sを通して下方に位置する第2室30bに導かれて、分散室30の内周側の下部に位置する各原料噴射ノズル32に供給されるようになる。
【0098】
このため、原料供給部材31に近い位置における原料噴射ノズル32から噴射される分散気流の量と原料供給部材31から離れた位置における原料噴射ノズル32から噴射される分散気流の量との差が少なくなり、各原料噴射ノズル32から噴射される分散気流の量が一定化し、各原料噴射ノズル32から噴射された分散気流中における熱可塑性粒子が、上記の熱風供給部材20から噴射される熱風によって均一に熱処理されるようになる。
【0099】
なお、この実施形態における熱処理装置においては、上記のようにリング状になった隔壁33を分散室30内の内周側の壁面から外周側に突出させて、外周側の内壁面との間に所要間隔の隙間sを形成するようにしたが、このリング状になった隔壁33を分散室30内の外周側の内壁面から内周側に突出させて、内周側の壁面との間に所要間隔の隙間sを形成することも可能であり、また図18に示す熱処理装置のように、上記の原料供給部材31と原料噴射ノズル32との間において、分散室30内に第1及び第2の2つの隔壁33a,33bを設け、この分散室30内を上下方向に第1〜第3の3つの室30a,30b,30cに分離させることも可能である。
【0100】
ここで、図18に示す熱処理装置においては、上記のように分散室30内を第1及び第2の2つの隔壁33a,33bによって第1〜第3の3つの室30a,30b,30cに分離させるにあたり、上に位置する第1の隔壁33aを分散室30内の内周側の壁面から外周側に突出させて、外周側の内壁面との間に第1の隙間s1 を設ける一方、下に位置する第2の隔壁33bを分散室30内の外周側の内壁面から内周側に突出させて、内周側の壁面との間に第2の隙間s2 を設け、第1の隙間s1 と第2の隙間s2 の位置を異ならせている。
【0101】
このようにすると、原料供給部材31から分散室30内に吹き込まれた分散気流が分散室30内の上方に位置する第1室30aにおいて均一化され、このように均一化された分散気流が上記の第1の隙間s1 を通してその下方に位置する第2室30bに導かれるようになる。ここで、上記のように第1の隙間s1 と第2の隙間s2 の位置が異なっているため、この第2室30bに導かれた分散気流がそのまま第2の隙間s2 を通してその下方に位置する第3室30cに導かれることがなく、この第2室30bを分散気流が流れてさらに均一化される。
【0102】
そして、このように第2室30bにおいてさらに均一化された分散気流が上記の第2の隙間s2 を通してその下方に位置する第3室30cに導かれ、このように第3室30cに導かれた分散気流が上記の各原料噴射ノズル32に供給されて、各原料噴射ノズル32からより均一になった分散気流が噴射され、分散気流中における熱可塑性粒子が熱風供給部材20から噴射される熱風によってより均一に熱処理されるようになる。
【0103】
また、上記の実施形態における熱処理装置においては、リング状になった隔壁33を分散室30内における所定の位置に設けるようにしたが、図19に示すように、分散室30内の内周側の壁面に接触して上下方向に移動するスライド部材34を設け、このスライド部材34にリング状になった隔壁33を取り付け、スライド部材34を上下方向に移動させて隔壁33の位置を変更させ、分散室30内の上方に位置する第1室30aと下方に位置する第2室30bとの容積の比率を変更させることも可能である。
【0104】
ここで、このようにスライド部材34により隔壁33の位置を変更させて、分散室30内の上方に位置する第1室30aと下方に位置する第2室30bとの容積の比率を変更させるにあたっては、例えば、原料供給部材31から分散室30内に供給する分散気流の量を多くした場合に、上記のスライド部材34により隔壁33を下方に移動させ、上方に位置する第1室30aの容積を大きくし、分散気流がこの第1室30a内において十分に均一化されるようにすることが好ましい。
【0105】
また、上記の実施形態における熱処理装置においては、分散室30内を分離させるリング状になった隔壁33として、その表面が平坦なものを用いるようにしたが、図20(A),(B)に示すように、リング状になった隔壁33の表面に複数の突起33cを設けたり、図21に示すように、リング状になった隔壁33の表面に複数の溝33dを設けることも可能である。そして、このように隔壁33の表面に複数の突起33cや溝33dを設けると、この突起33cや溝33dによって分散気流が散乱されて、分散気流が分散室30内においてより均一化されるようになる。
【0106】
次に、上記の図16〜図20に示した実施形態4の熱処理装置を用いた具体的な実施例について説明すると共に、これらの実施例の熱処理装置を用いて熱可塑性粒子を熱処理した場合に、熱可塑性粒子の熱処理が均一に行えることを明らかにする。
【0107】
(実施例4−1)
実施例4−1においては、上記の図16及び図17に示した熱処理装置を使用し、上記の隔壁33によって分散室30内を上方に位置する第1室30aと下方に位置する第2室30bとが1:1の容積比になるように分離させると共に、この隔壁33の部分と隙間sとの面積比が8:2になるようにして、前記のトナーA,Bをそれぞれ熱処理するようにした。なお、処理槽10としては、前記の実施例1−1の場合と同じものを用いるようにした。
【0108】
ここで、この実施例4−1の熱処理装置においては、前記のトナーA,Bをそれぞれ熱処理するにあたり、上記の熱風供給部材20から上記の処理槽10内に温度が350℃の熱風を風量0.5m3 /分の条件で噴射させる一方、上記の分散室30内に原料供給部材31から吹き込む分散気流の風量を0.05m3 /分にして、トナーを2kg/時間の割合で供給し、この分散気流を上記のように第1室30a内において均一化させた後、下方に位置する第2室30bに導くようにした。そして、このように均一化されて第2室30bに導かれた分散気流を、熱風供給部材20から噴射される熱風に向けて上記の各原料噴射ノズル32から処理槽10内に噴射させて、トナーA,Bを熱処理するようにした。
【0109】
そして、このように熱処理されたトナーA,Bにおける平均粒径と円形度とを前記の場合と同様にして測定すると共に、熱処理されたトナーA,Bにおける上記の円形度SDを求め、これらの結果を下記の表5に示した。
【0110】
(実施例4−2)
実施例4−2においては、上記の図18に示した熱処理装置を使用し、上記の第1及び第2の2つの隔壁33a,33bによって分散室30内を第1〜第3の3つの室30a,30b,30cに分離させ、第1室30aと第2室30bと第3室30cとの容積比が3:2:2になるようにすると共に、この各隔壁33a,33bに対する各隙間s1 ,s2 の面積比が8:2になるようにして、前記のトナーA,Bをそれぞれ熱処理するようにした。なお、処理槽10としては、前記の実施例1−1の場合と同じものを用いるようにした。
【0111】
ここで、この実施例4−2の熱処理装置において、前記のトナーA,Bをそれぞれ熱処理するにあたっては、上記の熱風供給部材20から上記の処理槽10内に温度が350℃の熱風を風量0.5m3 /分の条件で噴射させる一方、上記の分散室30内に原料供給部材31から吹き込む分散気流の風量を0.05m3 /分にして、トナーを2kg/時間の割合で供給し、上記のようにこの分散気流を第1室30a内において均一化させた後、下方に位置する第2室30bに導き、この第2室30b内においても分散気流を均一化させ、その後、このように均一化された分散気流を下方に位置する第3室30cに導くようにした。そして、このように均一化されて第3室30cに導かれた分散気流を、熱風供給部材20から噴射される熱風に向けて上記の各原料噴射ノズル32から処理槽10内に噴射させて、トナーA,Bを熱処理するようにした。
【0112】
そして、このように熱処理されたトナーA,Bにおける平均粒径と円形度とを前記の場合と同様にして測定すると共に、熱処理されたトナーA,Bにおける上記の円形度SDを求め、これらの結果を下記の表5に示した。
【0113】
(実施例4−3)
実施例4−3においては、上記の実施例4−1において、上記の隔壁33として、図20(A),(B)に示すように、その上面に高さが2mmになった複数の突起33cを設けたものを用いるようにし、それ以外は、上記の実施例4−1の場合と同様にして、前記のトナーA,Bをそれぞれ熱処理するようにした。
【0114】
そして、このように熱処理されたトナーA,Bにおける平均粒径と円形度とを前記の場合と同様にして測定すると共に、熱処理されたトナーA,Bにおける上記の円形度SDを求め、これらの結果を下記の表5に示した。
【0115】
【表5】
【0116】
この結果、上記の実施例4−1、実施例4−2、及び実施例4−3の熱処理装置を用いてトナーA,Bを熱処理した場合も、前記の比較例1の熱処理装置を用いて熱処理を行った場合に比べ、熱処理後における各トナーA,Bの平均粒径の増加が少なくなっており、熱処理されたトナー相互が結合するのが抑制され、また熱処理後の各トナーA,Bにおける円形度のばらつきも比較例1の場合に比べて少なく、各トナーA,Bが均一に熱処理されるようになった。特に、上面に複数の突起33cを設けた隔壁33によって分散室30内を分離させるようにした実施例4−3の熱処理装置を用いた場合には、熱処理されたトナー相互が結合するのが一層抑制されると共に、熱処理後の各トナーA,Bにおける円形度のばらつきも一層少なくなり、各トナーA,Bがより一層均一に熱処理されるようになった。
【0117】
(実施例4−4)
実施例4−4においては、上記の図19に示した熱処理装置を用いて、前記のトナーAをそれぞれ熱処理するようにした。なお、処理槽10としては、前記の実施例1−1の場合と同じものを用いるようにした。
【0118】
ここで、この実施例4−4の熱処理装置においては、前記のトナーAを熱処理するにあたり、上記の熱風供給部材20から上記の処理槽10内に温度が350℃の熱風を風量0.5m3 /分の条件で噴射させる一方、上記の原料供給部材31から分散室30内に吹き込む分散気流の風量を0.07m3 /分にして、上記のトナーAを4kg/時間の割合で供給するようにした。
【0119】
そして、この実施例4−4の熱処理装置においては、上記のスライド部材34を上下方向に移動させて隔壁33の位置を変更させ、分散室30内の上方に位置する第1室30aと下方に位置する第2室30bとの容積比を変更させるようにし、条件1では、前記の実施例4−1の場合と同様に、上方に位置する第1室30aと下方に位置する第2室30bとが1:1の容積比になるように分散室30内を分離させ、また条件2では、上記のスライド部材34により隔壁33を条件1より下方に移動させて、上方に位置する第1室30aと下方に位置する第2室30bとが2:1の容積比になるように分散室30内を分離させて、それぞれトナーAを熱処理した。
【0120】
そして、上記の条件1と条件2とにおいて熱処理されたトナーAの平均粒径と円形度とを前記の場合と同様にして測定すると共に、熱処理されたトナーAにおける上記の円形度SDを求め、これらの結果を下記の表6に示した。
【0121】
【表6】
【0122】
この結果、原料供給部材31から分散室30内に吹き込む分散気流の風量や処理するトナーAの量を多くした場合には、条件2に示すように、隔壁33の位置を下方に移動させて、原料供給部材31から分散気流が導かれる第1室30aの容積を大きくすると、分散気流がこの第1室30aにおいて十分に均一化されるようになり、このように均一化された分散気流が各原料噴射ノズル32から噴射されて、分散気流中における熱可塑性粒子が熱風供給部材20から噴射される熱風によって均一に熱処理されるようになった。
【0123】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明の請求項1における熱可塑性粒子の熱処理装置においては、熱風供給部材に整流手段を設け、この熱風供給部材から処理槽内に噴射される熱風をこの整流手段によって整流させるようにしたため、熱可塑性粒子が分散された分散気流をこの熱風供給部材から噴射される熱風に向けて噴射させた場合に、この分散気流中に含まれる一部の熱可塑性粒子が熱風の乱れにより熱風から遠ざかるのが抑制されると共に、熱可塑性粒子が分散された分散気流がこの熱風とうまく合流して、熱可塑性粒子に対する熱処理の不均一も抑制され、熱可塑性粒子が均一に熱処理されると共に、熱処理された熱可塑性粒子相互が結合するということも少なくなった。
【0124】
【0125】
また、この発明の請求項3における熱可塑性粒子の熱処理装置においては、原料供給部材とは別に分散室内に気流を吹き込む気流導入手段を設け、この気流導入手段から分散室内に気流を導入させるようにしたため、分散室内において原料噴射ノズル間の部分に熱可塑性粒子が滞留するのが抑制され、従来のように原料噴射ノズル間に蓄積した熱可塑性粒子がある程度溜まった段階で原料噴射ノズルに流れ込んで、一度に多くの熱可塑性粒子が原料噴射ノズルから熱風に向けて噴射されるのが抑制され、各原料噴射ノズルから噴射される分散気流中における熱可塑性粒子の量が一定化して、分散気流中における熱可塑性粒子が熱風によって均一に熱処理されるようになった。
【0126】
また、この発明の請求項5における熱可塑性粒子の熱処理装置においては、分散室に原料供給部材と各原料噴射ノズルとを上下方向に所要間隔を介するように設けると共に、この分散室内に隔壁を設けて原料供給部材と各原料噴射ノズルとの間を所要間隔の隙間を介して分離させるようにしたため、上記の原料供給部材から熱可塑性粒子を分散させた分散気流を分散室内に吹き込んだ場合、この分散気流が隔壁によって分離された原料供給部材側の分散室内において均一化され、このように均一化された分散気流が上記隙間を通して各原料噴射ノズル側の分散室内に導かれて各原料噴射ノズルに供給されるようになり、各原料噴射ノズルから噴射される分散気流の量が一定化して、分散気流中における熱可塑性粒子が熱風によって均一に熱処理されるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の熱処理装置の概略説明図である。
【図2】 図1に示した従来の熱処理装置において、分散室に設けられた原料噴射ノズル間の部分に熱可塑性粒子が蓄積する状態を示した断面説明図である。
【図3】 この発明の実施形態1における熱処理装置において、整流手段として熱風供給部材内に仕切り部材を設けた状態を示した概略説明図である。
【図4】 図3に示した熱処理装置において、熱風供給部材内に第1の仕切り部材を設けた状態を示した概略説明図である。
【図5】 図3に示した熱処理装置において、熱風供給部材内に第2の仕切り部材を設けた状態を示した概略説明図である。
【図6】 図3に示した熱処理装置において、熱風供給部材内に第3の仕切り部材を設けた状態を示した概略説明図である。
【図7】 この発明の実施形態1における熱処理装置において、熱風供給部材の先端部に整流手段を設けた状態を示した概略説明図である。
【図8】 図7に示した熱処理装置において、熱風供給部材の先端部に設ける整流手段として、同一径の管材を多数集合させた状態を示した概略説明図である。
【図9】 図7に示した熱処理装置において、熱風供給部材の先端部に設ける整流手段として、径の異なる管材を多数集合させた状態を示した概略説明図である。
【図10】 この発明の参考形態2における熱処理装置において、熱風供給部材から噴射される熱風と、原料噴射ノズルから噴射される熱可塑性粒子が分散された分散気流とが合流する部分に筒状の案内部材を設けた状態を示した概略説明図である。
【図11】 参考形態2における熱処理装置において、上記の案内部材を上下方向に移動可能に設けた変更例の概略説明図である。
【図12】 参考形態2における熱処理装置において、処理槽の上面に案内部材の内面側に向けて冷風を噴射させる複数の空気噴射ノズルを設けた変更例の概略説明図である。
【図13】 参考形態2における熱処理装置において、案内部材の上端の周囲に冷風案内部を設けた変更例の概略説明図である。
【図14】 この発明の実施形態3における熱処理装置において、分散室内に気流を導入させる気流導入手段として、分散室の外周側に複数の空気供給ノズルを設けた状態を示した横断面説明図及び縦断面説明図である。
【図15】 実施形態3における熱処理装置において、分散室の外周側の下端部に設けられたリング状になった空気導入部から空気導入口を通して分散室内に空気を吹き込むようにした変更例の概略説明図である。
【図16】 この発明の実施形態4における熱処理装置において、原料供給部材と原料噴射ノズルとの間の位置に隔壁を設けて分散室内を分離させた状態を示した縦断面説明図である。
【図17】 図16の熱処理装置において、分散室内に隔壁を設ける状態を示した横断面説明図である。
【図18】 実施形態4における熱処理装置において、原料供給部材と原料噴射ノズルとの間の位置に2つの隔壁を設けた変更例の概略説明図である。
【図19】 実施形態4における熱処理装置において、原料供給部材と原料噴射ノズルとの間に設ける隔壁の位置をスライド部材によって変更できるようにした変更例の概略説明図である。
【図20】 実施形態4における熱処理装置において、隔壁の上面に複数の突起を設けた状態を示した平面図及び側面図である。
【図21】 実施形態4における熱処理装置において、隔壁の上面に複数の溝を設けた状態を示した平面図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性粒子
10 処理槽
20 熱風供給部材
30 分散室
31 原料供給部材
32 原料噴射ノズル
33,33a,33b 隔壁
40 整流手段
41 仕切り部材
50 案内部材
60 気流導入手段
61 空気供給ノズル
62 空気導入部
62a 空気導入口
Claims (5)
- 熱可塑性粒子を熱風によって熱処理する処理槽と、この処理槽内に熱風を噴射する熱風供給部材と、この熱風供給部材の周囲に設けられた分散室と、この分散室内に熱可塑性粒子を分散させた分散気流を吹き込む原料供給部材と、分散室内に供給された分散気流を上記の熱風供給部材から噴射される熱風に向けて分散室から処理槽内に噴射させる原料噴射ノズルとを有する熱可塑性粒子の熱処理装置において、上記の処理槽内に噴射する熱風を整流させる整流手段として、上記の熱風供給部材内に仕切り部材を設けたことを特徴とする熱可塑性粒子の熱処理装置。
- 請求項1に記載した熱可塑性粒子の熱処理装置において、上記の熱風供給部材の各部から噴射される熱風の風量を均一化させる均一化手段を設けたことを特徴とする熱可塑性粒子の熱処理装置。
- 熱可塑性粒子を熱風によって熱処理する処理槽と、この処理槽内に熱風を噴射する熱風供給部材と、この熱風供給部材の周囲に設けられた分散室と、この分散室内に熱可塑性粒子を分散させた分散気流を吹き込む原料供給部材と、分散室内に供給された分散気流を上記の熱風供給部材から噴射される熱風に向けて分散室から処理槽内に噴射させる複数の原料噴射ノズルとを有する熱可塑性粒子の熱処理装置において、上記の原料供給部材とは別に分散室内に気流を吹き込む気流導入手段を設けたことを特徴とする熱可塑性粒子の熱処理装置。
- 請求項3に記載した熱可塑性粒子の熱処理装置において、上記の気流導入手段から分散室内に吹き込む気流と、上記の原料供給部材から分散室内に吹き込む分散気流との吹き込み方向及び/又は吹き込み風速を異ならせたことを特徴とする熱可塑性粒子の熱処理装置。
- 熱可塑性粒子を熱風によって熱処理する処理槽と、この処理槽内に熱風を噴射する熱風供給部材と、この熱風供給部材の周囲に設けられた分散室と、この分散室内に熱可塑性粒子を分散させた分散気流を吹き込む原料供給部材と、分散室内に供給された分散気流を上記の熱風供給部材から噴射される熱風に向けて分散室から処理槽内に噴射させる複数の原料噴射ノズルとを有する熱可塑性粒子の熱処理装置において、上記の原料供給部材と各原料噴射ノズルとを上下方向に所要間隔を介するようにして分散室に設けると共に、この分散室内に原料供給部材と各原料噴射ノズルとの間を所要間隔の隙間を介して分離させる隔壁を設けたことを特徴とする熱可塑性粒子の熱処理装置。
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