JP3663439B2 - X線撮像装置および方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、X線撮像装置及び方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、様々な物質の動きや事象変化を動画像として撮影可能なX線撮像装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
レントゲン写真に代表される透過型X線や回折・散乱X線などの角度発散の小さいX線を画像化することは、X線領域に感度を持つカメラシステムを用いることで容易に可能であるが、蛍光X線のような全方向に発散するX線を対象とする画像化は困難である。従来の蛍光X線技術において、このような全方向に発散するX線を画像化する方法、すなわち、試料上の位置的分布を得る方法として、走査型の蛍光X線分析法を用いた手法が公知である。これは、X線、電子線、または、イオンビームのビーム径を小さく絞り、試料上の限られた部位のみを照射し、試料表面より発生する蛍光X線強度を測定し、試料またはビームを2次元的に走査し、蛍光X線画像を生成する方法である。このような走査型の蛍光X線顕微鏡技術を高度化するために、特に放射光を用いる技術の研究開発においては、ビーム径の小さいX線、電子線、または、イオンビームを得ることを目的とした集光ミラーなどの光学系の高精度化に関して主眼が置かれてきた。
【0003】
しかし、以上の方法においては、1枚の画像を取得するために、半日から1日という極めて長時間の測定が必要となるために、画像を連続的に取得することは、非常に困難であると考えられていた。また、解像度においても画素数が数千〜数万のオーダーであり、撮影像の高解像度化が求められていた。
【0004】
この出願の発明者らは、蛍光X線の角度発散を制限する光学素子を用い、さらに、光学素子と1次元検出器または2次元検出器とを試料に対して極めて近接させた配置を取ることにより、試料またはビームを走査することなく蛍光X線のイメージングが実現されることを見出した(特開2000−55842)。この出願の発明者らが提案したX線撮像分析方法によれば、例えば数十μmオーダーの分解能で100万画素のX線像を、数分程度の時間で取得可能となった。
【0005】
以上で示した従来技術は、試料の表面近傍に存在する元素を厳密に分析することを主な用途としており、半導体ウェハーの汚染評価に用いられているほか、各種の工業材料、環境試料、生物試料など多様な対象に適用されている。
【0006】
その一方で、品質管理やプロセス制御において、各種の工業材料、環境試料、生物試料などを構成する元素の分布や組成の時間的な変化を詳細に観察することが必要となっており、蛍光X線画像を動画像として取り扱うことに対する要求が高まってきている。しかしながら、蛍光X線画像の動画像化はまったく実用化されていないのが現状であり、上記のこの出願の発明者らにより提案されたX線撮像分析方法より、更に高速に測定が行われる必要がある。
【0007】
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、蛍光X線動画像として、物質の表面における元素の分布または組成の経時変化を、表示または記録することを可能とするX線撮像装置および方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、ビームを物質の表面に照射するためのビーム照射手段と、X線領域の波長に対して感度を有する撮像手段と、撮像手段に入射するX線の角度発散を制御するための角度発散制限手段と、撮像手段で撮像されるX線画像を表示するためのX線画像表示手段と、からなるX線撮像装置であって、前記ビーム照射手段がビームとしてX線を物質の表面に全反射臨界角より深い入射角度で照射すること、前記撮像手段において前記ビームが物質に照射されることで発生する蛍光X線および散乱X線を撮像し、撮像された画像をX線画像表示手段に動画像として表示すること、前記ビーム照射手段が任意のエネルギーの単色X線を照射可能であること、及び、X線画像の連続撮像中に前記単色X線のエネルギーを変更可能であることを特徴とするX線撮像装置を提供する。
【0009】
第2には、ビームを物質の表面に照射するためのビーム照射手段と、X線領域の波長に対して感度を有する撮像手段と、撮像手段に入射するX線の角度発散を制御するための角度発散制限手段と、撮像手段で撮像されるX線画像を記録するためのX線画像記録手段と、からなるX線撮像装置であって、前記ビーム照射手段がビームとしてX線を物質の表面に全反射臨界角より深い入射角度で照射すること、前記撮像手段において前記ビームが物質に照射されることで発生する蛍光X線および散乱X線を撮像し、撮像された画像をX線画像記録手段に動画像として記録すること、前記ビーム照射手段が任意のエネルギーの単色X線を照射可能であること、及び、X線画像の連続撮像中に前記単色X線のエネルギーを変更可能であることを特徴とするX線撮像装置を提供する。
【0010】
第3には、前記の全反射臨界角より深い入射角度が1〜2度であることを特徴とするX線撮像装置を提供する。
【0013】
には、物質と撮像手段との間に角度発散制限手段を設置し、かつ、撮像手段および角度発散制限手段を前記ビーム照射手段により物質に照射されるビームの入射波と反射波の光路を妨げない範囲で可能な限り物質に近接させて設置することを特徴とするX線撮像装置を、第には、撮像手段としてX線領域の波長の光子を直接に検出する電荷結合素子を備えること、及び、前記ビーム照射手段が当該電荷結合素子のサイズの視野にビームを照射することを特徴とするX線撮像装置を提供する。
【0014】
またさらに、この出願の発明は、第には、ビームとしてX線を物質の表面に全反射臨界角より深い入射角度で照射し、物質表面のビーム照射領域近傍より蛍光X線および散乱X線を発生させ、蛍光X線および散乱X線の撮像手段に対する入射角度の発散を角度発散制限手段により制御しつつ、蛍光X線および散乱X線を撮像し、撮像されたX線画像を動画像として表示すること、物質の表面に照射されるX線が任意のエネルギーの単色X線であること、及び、X線画像の連続撮像中に前記単色X線のエネルギーを変えることを特徴とするX線撮像方法を提供する。
【0015】
には、ビームとしてX線を物質の表面に全反射臨界角より深い入射角度で照射し、物質表面のビーム照射領域近傍より蛍光X線および散乱X線を発生させ、蛍光X線および散乱X線の撮像手段に対する入射角度の発散を角度発散制限手段により制御しつつ、蛍光X線および散乱X線を撮像し、撮像されたX線画像を動画像として記録すること、物質の表面に照射されるX線が任意のエネルギーの単色X線であること、及び、X線画像の連続撮像中に前記単色X線のエネルギーを変えることを特徴とするX線撮像方法を提供する。
【0016】
には、前記の全反射臨界角より深い入射角度が1〜2度であることを特徴とするX線撮像方法を提供する。
【0019】
には、物質と撮像手段との間に角度発散制限手段を設置し、かつ、撮像手段および角度発散制限手段を物質の表面に照射されるビームの入射波と反射波の光路を妨げない範囲で可能な限り物質に近接させて設置することを特徴とするX線撮像方法を、第10には、撮像手段としてX線領域の波長の光子を直接に検出する電荷結合素子を用いること、及び、物質の表面の当該電荷結合素子のサイズの視野にビームが照射されることを特徴とするX線撮像方法を提供する。
【0020】
この出願の発明は、これまでの表面敏感性に優れた従来技術のX線撮像装置とは、コンセプトを全く異にするものである。すなわち、従来技術においては、X線を全反射臨界角近傍の浅い角度で物質表面に入射させ、表面に近い深さに局在した元素分布を得ることに特化していたが、この出願の発明では、入射角度は、例えば、1〜2度程度あってよく、このように深い入射角度に設定することで、入射角度が浅い場合に問題となる、物質表面の凹凸によるシャドーイング(かげができて、その部分の画像情報が欠落すること)の発生を防ぐことが可能となる。加えて、全反射を基本とする装置とは異なり、X線と試料の位置・角度関係に厳密さが軽減することから、精密なコンピュータ制御等が不要となり、簡易な装置構成が実現する。従来の蛍光X線分析装置において長時間を要していた画像の撮像時間を短縮し、連続的に動画像として撮像する点にも大きな特徴がある。
【0021】
この発明のX線撮像方法および装置は、以下のような発想に基づいてなされたものである。可視光を用いる光学顕微鏡においては、試料に対して周囲より照明をおこない、その反射光を撮像する。可視光であるため、レンズ等の結像光学系が利用可能であり、試料上の座標と撮像手段における撮像面上の座標とを1対1で対応させることができる。
【0022】
この出願の発明のX線撮像装置においては、光学顕微鏡と同様に、試料に対して周囲よりX線や粒子線による照明をおこない、試料を構成する特定の元素の内殻電子を励起し、その際に、この元素より放射される蛍光X線を撮像する。蛍光X線は、極めて波長が短いため、結像光学系を適用することが困難であるが、角度発散制限手段を用いて撮像手段に入射する蛍光X線を平行光とすることで、試料上の座標と撮像面上の座標とを1対1で対応させることができる。
【0023】
このとき、撮像の解像度は、平行性のレベルと試料表面から撮像素子までの距離により決定するため、撮像手段および角度発散制限手段は、試料に対して極限的に近接する必要がある。この出願の発明のX線撮像装置においては、蛍光X線とともに散乱X線を画像として撮像することにより、形態観察をおこなうことも可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態につ
いて説明する。
【0025】
この出願の発明においては、図1に示すように、ビーム照射手段(1)よりX線または粒子線を物質(2)に対して照射し、物質(2)の元素から放出される蛍光X線およびX線を照射した場合にはそれに加えて散乱X線(3)を撮像手段(4)により撮像し、元素の分布を連続的に動画像として得るものであって、蛍光X線および散乱X線(3)の角度発散を、物質(2)と撮像手段(4)との間において角度発散制限手段(5)を用い、且つ撮像手段(4)および角度発散制限手段(5)を物質(2)にできる限り近接させることにより制限することを特徴としたものである。
【0026】
撮像手段(4)により撮像されたX線画像は、画像表示手段(6)により画像表示されたり、または、画像記録手段(7)により記録されたりする。画像表示手段は、画像表示が可能なものであれば、どのようなものであってもよいが、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどから適宜選択されるものである。画像記録手段は、画像を動画像として記録できるものであれば、どのようなものであってもよく、例えば、メモリ、ハードディスク、レイドシステム、DVDなどの高速・大容量の記憶媒体などが用いられる。アナログ画像に変換してVTRレコーダに記憶することが可能であることは言うまでもない。
【0027】
ここで、物質にできる限り近接させた状態とは、X線もしくは粒子線を物質表面に照射する場合においては入射波と反射波の光路を妨げない範囲で可能な限り近い状態を意味し、物質に接触しない範囲で可能な限り近く検出器および角度発散制限手段が位置した状態を意味する。
【0028】
したがって、このような状態となれば、高精度かつ短時間で元素の位置的分布が得られるというこの発明の効果を実現させることができるので、物質との間隔を表す具体的数値自体が限定されるものではない。間隔数値の一例としては、たとえば、実験室レベルの出力を有するX線源もしくは粒子線源の場合において約0.5〜5.0mm程度とすることができる。
【0029】
上記の通り、この出願の発明は、これまでの表面敏感性に優れた従来技術のX線撮像装置とは、コンセプトを全く異にするものであり、撮像対象は蛍光X線に限定されず、同時に散乱X線も撮像する。すなわち、従来技術においては、X線を全反射臨界近傍の浅い角度で物質表面に入射させ、表面に近い深さに局在した元素分布を得ることに特化していたが、この出願の発明では、入射角度は、例えば、1〜2度程度あってもよく、このように深い入射角度に設定することで、入射角度が浅い場合に問題となる、物質表面の凹凸によるシャドーイング(かげができて、その部分の画像情報が欠落すること)の発生を防ぐことが可能となる。加えて、全反射を基本とする装置とは異なり、X線と試料の位置・角度関係に厳密さが軽減することから、精密なコンピュータ制御等が不要となり、簡易な装置構成が実現する。
【0030】
この出願の発明において、角度発散制限手段としては、微細管集合体が用いられる。この微細管集合体は、たとえば図2に例示したような構造を有するもの、すなわち、ガラス板に精密に規則正しく穴あけ加工が施されてなるもの、あるいは微細なガラスパイプが規則正しく配列され一体化されてなるガラス板とすることができ、この場合では穴(またはガラスパイプ)の内径とガラス板の厚さとの比によって、蛍光X線の角度発散が制限されることとなる。このような微細管集合体は、一般にキャピラリプレート(またはコリメータ板)と呼ばれている。
【0031】
また、このキャピラリプレートと同様な構造を有し、微細管集合体として利用すること
ができるものに、電極構造が作り付けられたマイクロチャンネルプレートと呼ばれるものもある。なお、これらのプレートにおけるキャピラリまたはチャンネルの内壁をコーティングしたり、または非球面の形状をなすように加工したりすることにより、集光または像の拡大を行なうなどの改良が施されたものも、この発明の効果が得られる限り、微細管集合体として用いることができることは言うまでもない。もちろん、プレート自体の外形も円形や矩形等のように様々なものとすることができる。
【0032】
さらにまた、金属箔が規則正しく配列してなるソーラースリットを二つ組み合わせても、撮像の分析領域を制約せずに、角度発散を二次元的に抑えることができるので、角度発散制限手段として利用することができる。また、リソグラフィの技術により、任意の材質の基板にチャンネル加工を施しても、同様の効果を得ることができる。このように、蛍光X線および散乱X線の角度発散を制限するという機能を有しているものであれば、様々な公知の手段またはその機能を有するように新たに作製された手段を角度発散制限手段として用いることができる。
【0033】
撮像手段としては、X線領域の波長に対して感度を有するものであればどのようなものであってもよく、たとえば電荷結合型素子(CCD)カメラなどを用いることができる。ダイオードアレイ、MOSイメージセンサ、位置敏感型ガス比例計数管などの各種一次元検出器を、並列に配置し2次元検出器として用い、撮像をおこなってもよい。また、X線領域の波長に対して感度を持たない撮像手段であっても、蛍光体を撮像面上部に配置し、蛍光X線を可視光に変換することで、間接的に撮像可能となる。撮像対象を撮像するサンプリングレートは、撮像手段の仕様により適宜選択できる。標準的なサンプリングレートは、一般のビデオで用いられるような1/30秒である。撮像手段としてハイスピードカメラを用いることにより、1秒間に数千フレームの撮像も可能となる。
【0034】
この出願の発明は、以上の特徴を持つものであるが、以下に実施例を示し、さらに具体的に説明する。
【0035】
【実施例】
この出願の発明のX線撮像装置を、図3に示すような、放射光施設のビームラインに設置し、実際にX線動画像の撮像を行った。
【0036】
放射光は水平方向に長いビーム形状をしており、撮像手段として用いた電荷結合型素子のサイズである12mm角を視野とすることができる。ビーム照射装置は、任意のエネルギーの単色X線を照射することが可能である。エネルギー量を選択して励起することで、異なる元素の識別や同じ元素の化学状態の差異を識別することが可能となる。電荷結合型素子は、X線光子を直接検出することが可能である。電荷結合型素子において、検出されるX線を単色に設定しない場合には、撮像されるX線のエネルギー強度を分析することも可能である。
【0037】
図4は、金属イオンがイオン交換樹脂に捕集される様子を撮像したものである。Dowex A−1を硫酸銅水溶液に浸し、銅イオンが樹脂に捕集される過程を、1分間隔で連
続的に撮像・記録した。入射X線のエネルギーは、銅の吸収端の上(9.1keV)である。図4に示した画像は、得られた画像の内、経過時間52分、88分、および135分におけるフレームである。時間の経過とともに、銅イオンがパーティクル状の樹脂の表面から徐々に取り込まれていく様子がわかる。銅の吸収端より若干低いエネルギー(8.8keV)においては、撮像される画像が、散乱X線像であり、形態によるコントラストが得られている。
【0038】
図5は、銅の樹枝状晶の成長過程を撮像した結果を示した図である。硫酸銅水溶液を浸
したろ紙上にスズの小粒を配置し、銅とスズのイオン化傾向の差により銅が析出する様子を、連続的に撮像・記録した。これにより、この出願の発明であるX線撮像装置が、複数の金属が混じっている複雑な系における結晶析出など元素の違いについて識別可能であることがわかった。
【0039】
図6は、銅および亜鉛の2元素からなる系について、形状と元素分布の両方の時間的な変化に着目した観察を行った結果を示した図である。電解セルに、CuSO4とZnSO4とを混合してなる混合水溶液を満たし、直流の一定電圧を印加した。KEK PF BL−4Aにおいて、単色化した放射光を用いた。図6に析出過程を示す。(A)〜(D)の順に時間を追って撮像し、入射X線のエネルギーを変えることで、(A)および(C)においては銅からの蛍光X線を、また、(B)および(D)においては銅、亜鉛の両方からの蛍光X線が得られた。図6にインポーズされたグラフは、電解セルを流れる電流の時間変化を示している。(A)の銅の分布(樹枝状に明るい部分)と、(B)の亜鉛の分布(より明るい部分)とは、ほとんど重なっており、銅と亜鉛が析出していることがわかる。電流増加の勾配が急に変化する(C)においては、銅の分布が(D)の亜鉛の分布と比して、陰極から遠方の領域に大きく広がっており、パターン自体には大きな変化はないが、銅を多く含む枝が成長していることがわかる。以上の通り、蛍光X線を用いてこの出願の発明を適用した動画像観察を行い、析出物中の組成・元素分布が直ちに把握でき、析出モードの移り変わりを明らかにすることが可能となった。
【0040】
【発明の効果】
以上、詳しく説明した通り、この出願の発明により、蛍光X線動画像として、物質の表面における元素の分布または組成の経時変化を、表示または記録することを可能とするX線撮像装置および方法が提供される。
【0041】
この出願の発明は、蛍光X線顕微鏡を光学顕微鏡のように利用するという、極めて独創性に富む発想によりなされたものであり、これまで実用化されていないX線画像の動画像化が、この出願の発明によりはじめて可能となるものである。多くの元素を含む系においては元素別の、または同一元素であっても異なる化学状態別の動画像を得ることができる。
【0042】
この出願の発明は、物質を構成する元素の分布や組成の経時変化を詳細に観察することを支援する技術として、多種多様な工業製品の品質管理やプロセス制御へ応用されるものと、その実用化が強く期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この出願の発明であるX線撮像装置の構成について示した概要図である。
【図2】 この出願の発明であるX線撮像装置の角度発散制限手段について示した概要図である。
【図3】 この出願の発明の実施例で用いたX線撮像装置の構成について示した写真である。
【図4】 この出願の発明の実施例において撮像された金属イオンがイオン交換樹脂に捕集される様子を示した図である。
【図5】 この出願の発明の実施例において撮像された銅の樹枝状晶の成長過程を示した図である。
【図6】 銅および亜鉛の2元素からなる系について、形状と元素分布の両方の時間的な変化に着目した観察を行った結果を示した図である。
【符号の説明】
1 ビーム照射手段
2 物質
3 蛍光X線および散乱X線
4 撮像手段
5 角度発散制限手段
6 画像表示手段
7 画像記録手段

Claims (10)

  1. ビームを物質の表面に照射するためのビーム照射手段と、X線領域の波長に対して感度を有する撮像手段と、撮像手段に入射するX線の角度発散を制御するための角度発散制限手段と、撮像手段で撮像されるX線画像を表示するためのX線画像表示手段と、からなるX線撮像装置であって、前記ビーム照射手段がビームとしてX線を物質の表面に全反射臨界角より深い入射角度で照射すること、前記撮像手段において前記ビームが物質に照射されることで発生する蛍光X線および散乱X線を撮像し、撮像された画像をX線画像表示手段に動画像として表示すること、前記ビーム照射手段が任意のエネルギーの単色X線を照射可能であること、及び、X線画像の連続撮像中に前記単色X線のエネルギーを変更可能であることを特徴とするX線撮像装置。
  2. ビームを物質の表面に照射するためのビーム照射手段と、X線領域の波長に対して感度を有する撮像手段と、撮像手段に入射するX線の角度発散を制御するための角度発散制限手段と、撮像手段で撮像されるX線画像を記録するためのX線画像記録手段と、からなるX線撮像装置であって、前記ビーム照射手段がビームとしてX線を物質の表面に全反射臨界角より深い入射角度で照射すること、前記撮像手段において前記ビームが物質に照射されることで発生する蛍光X線および散乱X線を撮像し、撮像された画像をX線画像記録手段に動画像として記録すること、前記ビーム照射手段が任意のエネルギーの単色X線を照射可能であること、及び、X線画像の連続撮像中に前記単色X線のエネルギーを変更可能であることを特徴とするX線撮像装置。
  3. 前記の全反射臨界角より深い入射角度が1〜2度であることを特徴とする請求項1または請求項2のX線撮像装置。
  4. 物質と撮像手段との間に角度発散制限手段を設置し、かつ、撮像手段および角度発散制限手段を前記ビーム照射手段により物質に照射されるビームの入射波と反射波の光路を妨げない範囲で可能な限り物質に近接させて設置することを特徴とする請求項1からのいずれかのX線撮像装置。
  5. 撮像手段としてX線領域の波長の光子を直接に検出する電荷結合素子を備えること、及び、前記ビーム照射手段が当該電荷結合素子のサイズの視野にビームを照射することを特徴とする請求項1からのいずれかのX線撮像装置。
  6. ビームとしてX線を物質の表面に全反射臨界角より深い入射角度で照射し、物質表面のビーム照射領域近傍より蛍光X線および散乱X線を発生させ、蛍光X線および散乱X線の撮像手段に対する入射角度の発散を角度発散制限手段により制御しつつ、蛍光X線および散乱X線を撮像し、撮像されたX線画像を動画像として表示すること、物質の表面に照射されるX線が任意のエネルギーの単色X線であること、及び、X線画像の連続撮像中に前記単色X線のエネルギーを変えることを特徴とするX線撮像方法。
  7. ビームとしてX線を物質の表面に全反射臨界角より深い入射角度で照射し、物質表面のビーム照射領域近傍より蛍光X線および散乱X線を発生させ、蛍光X線および散乱X線の撮像手段に対する入射角度の発散を角度発散制限手段により制御しつつ、蛍光X線および散乱X線を撮像し、撮像されたX線画像を動画像として記録すること、物質の表面に照射されるX線が任意のエネルギーの単色X線であること、及び、X線画像の連続撮像中に前記単色X線のエネルギーを変えることを特徴とするX線撮像方法。
  8. 前記の全反射臨界角より深い入射角度が1〜2度であることを特徴とする請求項または請求項に記載のX線撮像方法。
  9. 物質と撮像手段との間に角度発散制限手段を設置し、かつ、撮像手段および角度発散制限手段を物質の表面に照射されるビームの入射波と反射波の光路を妨げない範囲で可能な限り物質に近接させて設置することを特徴とする請求項からのいずれかのX線撮像方法。
  10. 撮像手段としてX線領域の波長の光子を直接に検出する電荷結合素子を用いること、及び、物質の表面の当該電荷結合素子のサイズの視野にビームが照射されることを特徴とする請求項からのいずれかのX線撮像方法。
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