JP2003329622A - X線撮像装置および方法 - Google Patents

X線撮像装置および方法

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JP2003329622A JP2002138834A JP2002138834A JP2003329622A JP 2003329622 A JP2003329622 A JP 2003329622A JP 2002138834 A JP2002138834 A JP 2002138834A JP 2002138834 A JP2002138834 A JP 2002138834A JP 2003329622 A JP2003329622 A JP 2003329622A
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健次 桜井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛍光X線動画像として、物質の表面における
元素の分布または組成の経時変化を、表示または記録す
ることを可能とするX線撮像装置および方法を提供す
る。 【解決手段】 X線、粒子線、またはイオンビームのい
ずれかのビームを物質(2)の表面に照射するためのビ
ーム照射手段(1)と、X線領域の波長に対して感度を
有する撮像手段(4)と、撮像手段に入射するX線の角
度発散を制御するための角度発散制限手段(5)と、撮
像手段(4)で撮像されるX線画像を表示するためのX
線画像表示手段(6)と、からなるX線撮像装置であっ
て、前記撮像手段において前記ビームが物質に照射され
ることで発生する蛍光X線および散乱X線(3)を撮像
し、撮像された画像をX線画像表示手段(6)に動画像
として表示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、X線撮像
装置に関するものである。さらに詳しくは、この出願の
発明は、様々な物質の動きや事象変化を動画像として撮
影可能なX線撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】レントゲン写真に代表される
透過型X線や回折・散乱X線などの角度発散の小さいX
線を画像化することは、X線領域に感度を持つカメラシ
ステムを用いることで容易に可能であるが、蛍光X線の
ような全方向に発散するX線を対象とする画像化は困難
である。従来の蛍光X線技術において、このような全方
向に発散するX線を画像化する方法、すなわち、試料上
の位置的分布を得る方法として、走査型の蛍光X線分析
法を用いた手法が公知である。これは、X線、電子線、
または、イオンビームのビーム径を小さく絞り、試料上
の限られた部位のみを照射し、試料表面より発生する蛍
光X線強度を測定し、試料またはビームを2次元的に走
査し、蛍光X線画像を生成する方法である。このような
走査型の蛍光X線顕微鏡技術を高度化するために、特に
放射光を用いる技術の研究開発においては、ビーム径の
小さいX線、電子線、または、イオンビームを得ること
を目的とした集光ミラーなどの光学系の高精度化に関し
て主眼が置かれてきた。
【0003】しかし、以上の方法においては、1枚の画
像を取得するために、半日から1日という極めて長時間
の測定が必要となるために、画像を連続的に取得するこ
とは、非常に困難であると考えられていた。また、解像
度においても画素数が数千〜数万のオーダーであり、撮
影像の高解像度化が求められていた。
【0004】この出願の発明者らは、蛍光X線の角度発
散を制限する光学素子を用い、さらに、光学素子と1次
元検出器または2次元検出器とを試料に対して極めて近
接させた配置を取ることにより、試料またはビームを走
査することなく蛍光X線のイメージングが実現されるこ
とを見出した(特開2000−55842)。この出願
の発明者らが提案したX線撮像分析方法によれば、例え
ば数十μmオーダーの分解能で100万画素のX線像
を、数分程度の時間で取得可能となった。
【0005】以上で示した従来技術は、試料の表面近傍
に存在する元素を厳密に分析することを主な用途として
おり、半導体ウェハーの汚染評価に用いられているほ
か、各種の工業材料、環境試料、生物試料など多様な対
象に適用されている。
【0006】その一方で、品質管理やプロセス制御にお
いて、各種の工業材料、環境試料、生物試料などを構成
する元素の分布や組成の時間的な変化を詳細に観察する
ことが必要となっており、蛍光X線画像を動画像として
取り扱うことに対する要求が高まってきている。しかし
ながら、蛍光X線画像の動画像化はまったく実用化され
ていないのが現状であり、上記のこの出願の発明者らに
より提案されたX線撮像分析方法より、更に高速に測定
が行われる必要がある。
【0007】そこで、この出願の発明は、以上の通りの
事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を
解消し、蛍光X線動画像として、物質の表面における元
素の分布または組成の経時変化を、表示または記録する
ことを可能とするX線撮像装置および方法を提供するこ
とを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、第1には、X線、粒子
線、またはイオンビームのいずれかのビームを物質の表
面に照射するためのビーム照射手段と、X線領域の波長
に対して感度を有する撮像手段と、撮像手段に入射する
X線の角度発散を制御するための角度発散制限手段と、
撮像手段で撮像されるX線画像を表示するためのX線画
像表示手段と、からなるX線撮像装置であって、前記撮
像手段において前記ビームが物質に照射されることで発
生する蛍光X線および散乱X線を撮像し、撮像された画
像をX線画像表示手段に動画像として表示することを特
徴とするX線撮像装置を提供する。
【0009】また、この出願の発明は、第2には、X
線、粒子線、またはイオンビームのいずれかのビームを
物質の表面に照射するためのビーム照射手段と、X線領
域の波長に対して感度を有する撮像手段と、撮像手段に
入射するX線の角度発散を制御するための角度発散制限
手段と、撮像手段で撮像されるX線画像を記録するため
のX線画像記録手段と、からなるX線撮像装置であっ
て、前記撮像手段において前記ビームが物質に照射され
ることで発生する蛍光X線および散乱X線を撮像し、撮
像された画像をX線画像記録手段に動画像として記録す
ることを特徴とするX線撮像装置を提供する。
【0010】また、この出願の発明においては、第3に
は、X線領域の波長に対して感度を有する撮像手段と、
撮像手段に入射するX線の角度発散を制御するための角
度発散制限手段と、撮像手段で撮像されるX線画像を表
示するためのX線画像表示手段と、からなるX線撮像装
置であって、放射性同位元素を含む物質から発生する蛍
光X線を撮像し、撮像された画像をX線画像表示手段に
動画像として表示することを特徴とするX線撮像装置
を、第4には、X線領域の波長に対して感度を有する撮
像手段と、撮像手段に入射するX線の角度発散を制御す
るための角度発散制限手段と、撮像手段で撮像されるX
線画像を記録するためのX線画像記録手段と、からなる
X線撮像装置であって、放射性同位元素を含む物質から
発生する蛍光X線を撮像し、撮像された画像をX線画像
記録手段に動画像として記録することを特徴とするX線
撮像装置を提供する。
【0011】さらに、この出願の発明においては、第5
には、物質と撮像手段との間に角度発散制限手段を設置
し、かつ、撮像手段および角度発散制限手段を物質に可
能な限り近接させて設置することを特徴とするX線撮像
装置を、さらに、第6には、撮像手段としてX線領域の
波長の光子を直接に検出する電荷結合素子を備えること
を特徴とするX線撮像装置を、そして、第7には、角度
発散制限手段として微細管集合体を備えることを特徴と
するX線撮像装置を提供するものである。
【0012】そして、この出願の発明は、第8に、X
線、粒子線、またはイオンビームのいずれかのビームを
物質の表面に照射し、物質表面のビーム照射領域近傍よ
り蛍光X線および散乱X線を発生させ、蛍光X線および
散乱X線の撮像手段に対する入射角度の発散を角度発散
制限手段により制御しつつ、蛍光X線および散乱X線を
撮像し、撮像されたX線画像を動画像として表示するこ
とを特徴とするX線撮像方法を、第9に、X線、粒子
線、またはイオンビームのいずれかのビームを物質の表
面に照射し、物質表面のビーム照射領域近傍より蛍光X
線および散乱X線を発生させ、蛍光X線および散乱X線
の撮像手段に対する入射角度の発散を角度発散制限手段
により制御しつつ、蛍光X線および散乱X線を撮像し、
撮像されたX線画像を動画像として記録することを特徴
とするX線撮像方法を提供する。
【0013】第10には、放射性同位元素を含む物質か
ら発生する蛍光X線を、撮像手段に対する入射角度の発
散を角度発散制限手段により制御しつつ撮像し、撮像さ
れた画像を動画像として表示することを特徴とするX線
撮像方法を、第11には、放射性同位元素を含む物質か
ら発生する蛍光X線を、撮像手段に対する入射角度の発
散を角度発散制限手段により制御しつつ撮像し、撮像さ
れた画像を動画像として記録することを特徴とするX線
撮像方法を提供する。
【0014】さらには、第12に、物質と撮像手段との
間に角度発散制限手段を設置し、かつ、撮像手段および
角度発散制限手段を物質に可能な限り近接させて設置す
ることを特徴とするX線撮像方法を、第13に、撮像手
段としてX線領域の波長の光子を直接に検出する電荷結
合素子を用いることを特徴とするX線撮像方法を、そし
て、第14には、角度発散制限手段として微細管集合体
を用いることを特徴とするX線撮像装置を提供するもの
である。
【0015】すなわち、この出願の発明は、従来の蛍光
X線分析装置において長時間を要していた画像の撮像時
間を短縮し、物質表面の状態を連続的に動画像として撮
像する点に大きな特徴がある。
【0016】この発明のX線撮像分析方法および装置
は、以下のような発想に基づいてなされたものである。
可視光を用いる光学顕微鏡においては、試料に対して周
囲より照明をおこない、その反射光を撮像する。可視光
であるため、レンズ等の結像光学系が利用可能であり、
試料上の座標と撮像手段における撮像面上の座標とを1
対1で対応させることができる。
【0017】この出願の発明のX線撮像装置において
は、光学顕微鏡と同様に、試料に対して周囲よりX線や
粒子線による照明をおこない、試料を構成する特定の元
素の内殻電子を励起し、その際に、この元素より放射さ
れる蛍光X線を撮像する。蛍光X線は、極めて波長が短
いため、結像光学系を適用することが困難であるが、角
度発散制限手段を用いて撮像手段に入射する蛍光X線を
平行光とすることで、試料上の座標と撮像面上の座標と
を1対1で対応させることができる。
【0018】このとき、撮像の解像度は、平行性のレベ
ルと試料表面から撮像素子までの距離により決定するた
め、撮像手段および角度発散制限手段は、試料に対して
極限的に近接する必要がある。この出願の発明のX線撮
像装置においては、蛍光X線とともに散乱X線を画像と
して撮像することにより、形態観察をおこなうことも可
能である。
【0019】
【発明の実施の形態】この出願の発明は上記のとおりの
特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態につい
て説明する。
【0020】この出願の発明においては、図1に示すよ
うに、ビーム照射手段(1)よりX線、粒子線、また
は、イオンビームなどを物質(2)に対して照射し、物
質(2)の元素から放出される蛍光X線および散乱X線
(3)を撮像手段(4)により撮像し、元素の分布を連
続的に動画像として得るものであって、蛍光X線および
散乱X線(3)の角度発散を、物質と撮像手段との間に
おいて角度発散制限手段(5)を用い、且つ撮像手段
(4)および角度発散制限手段(5)を物質(2)にで
きる限り近接させることにより制限することを特徴とし
たものである。
【0021】撮像手段(4)により撮像されたX線画像
は、画像表示手段(6)により画像表示されたり、また
は、画像記録手段(7)により記録されたりする。画像
表示手段は、画像表示が可能なものであれば、どのよう
なものであってもよいが、例えば、CRTディスプレ
イ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどから
適宜選択されるものである。画像記録手段は、画像を動
画像として記録できるものであれば、どのようなもので
あってもよく、例えば、メモリ、ハードディスク、レイ
ドシステム、DVDなどの高速・大容量の記憶媒体など
が用いられる。アナログ画像に変換してVTRレコーダ
に記憶することが可能であることは言うまでもない。
【0022】ここで、物質にできる限り近接させた状態
とは、X線もしくは粒子線を物質表面に照射する場合に
おいては入射波と反射波の光路を妨げない範囲で可能な
限り近い状態を意味し、物質に接触しない範囲で可能な
限り近く検出器および角度発散制限手段が位置した状態
を意味する。
【0023】したがって、このような状態となれば、高
精度かつ短時間で元素の位置的分布が得られるというこ
の発明の効果を実現させることができるので、物質との
間隔を表す具体的数値自体が限定されるものではない。
間隔数値の一例としては、たとえば、実験室レベルの出
力を有するX線源もしくは粒子線源の場合において約
0.5〜5.0mm程度とすることができる。
【0024】上記の通り、この出願の発明は、これまで
の表面敏感性に優れた従来技術のX線撮像装置とは、コ
ンセプトを全く異にするものであり、撮像対象は蛍光X
線に限定されず、同時に散乱X線も撮像する。すなわ
ち、従来技術においては、X線を全反射臨界近傍の浅い
角度で物質表面に入射させ、表面に近い深さに局在した
元素分布を得ることに特化していたが、この出願の発明
では、入射角度は特に限定されることはない。入射角度
は、例えば、1〜2度程度あってもよく、このように深
い入射角度に設定することで、入射角度が浅い場合に問
題となる、物質表面の凹凸によるシャドーイング(かげ
ができて、その部分の画像情報が欠落すること)の発生
を防ぐことが可能となる。加えて、全反射を基本とする
装置とは異なり、X線と試料の位置・角度関係に厳密さ
が軽減することから、精密なコンピュータ制御等が不要
となり、簡易な装置構成が実現する。
【0025】もちろん、X線を全反射臨界近傍の浅い角
度で物質表面に入射させたり、または、電子線やイオン
ビームなどの粒子線をX線の全反射の場合と同じ程度の
浅い角度で物質表面に入射させたりしてもよいことはい
うまでもない。その場合には、蛍光X線が物質の照射領
域表面近傍から発生し、従来技術のように高い精度での
元素の位置的な分布を得ることができる。
【0026】この出願の発明において、角度発散制限手
段としては、微細管集合体が用いられる。この微細管集
合体は、たとえば図2に例示したような構造を有するも
の、すなわち、ガラス板に精密に規則正しく穴あけ加工
が施されてなるもの、あるいは微細なガラスパイプが規
則正しく配列され一体化されてなるガラス板とすること
ができ、この場合では穴(またはガラスパイプ)の内径
とガラス板の厚さとの比によって、蛍光X線の角度発散
が制限されることとなる。このような微細管集合体は、
一般にキャピラリプレート(またはコリメータ板)と呼
ばれている。
【0027】また、このキャピラリプレートと同様な構
造を有し、微細管集合体として利用することができるも
のに、電極構造が作り付けられたマイクロチャンネルプ
レートと呼ばれるものもある。なお、これらのプレート
におけるキャピラリまたはチャンネルの内壁をコーティ
ングしたり、または非球面の形状をなすように加工した
りすることにより、集光または像の拡大を行なうなどの
改良が施されたものも、この発明の効果が得られる限
り、微細管集合体として用いることができることは言う
までもない。もちろん、プレート自体の外形も円形や矩
形等のように様々なものとすることができる。
【0028】さらにまた、金属箔が規則正しく配列して
なるソーラースリットを二つ組み合わせても、撮像の分
析領域を制約せずに、角度発散を二次元的に抑えること
ができるので、角度発散制限手段として利用することが
できる。また、リソグラフィの技術により、任意の材質
の基板にチャンネル加工を施しても、同様の効果を得る
ことができる。このように、蛍光X線および散乱X線の
角度発散を制限するという機能を有しているものであれ
ば、様々な公知の手段またはその機能を有するように新
たに作製された手段を角度発散制限手段として用いるこ
とができる。
【0029】撮像手段としては、X線領域の波長に対し
て感度を有するものであればどのようなものであっても
よく、たとえば電荷結合型素子(CCD)カメラなどを
用いることができる。ダイオードアレイ、MOSイメー
ジセンサ、位置敏感型ガス比例計数管などの各種一次元
検出器を、並列に配置し2次元検出器として用い、撮像
をおこなってもよい。また、X線領域の波長に対して感
度を持たない撮像手段であっても、蛍光体を撮像面上部
に配置し、蛍光X線を可視光に変換することで、間接的
に撮像可能となる。撮像対象を撮像するサンプリングレ
ートは、撮像手段の仕様により適宜選択できる。標準的
なサンプリングレートは、一般のビデオで用いられるよ
うな1/30秒である。撮像手段としてハイスピードカ
メラを用いることにより、1秒間に数千フレームの撮像
も可能となる。
【0030】この出願の発明は、以上の特徴を持つもの
であるが、以下に実施例を示し、さらに具体的に説明す
る。
【0031】
【実施例】この出願の発明のX線撮像装置を、図3に示
すような、放射光施設のビームラインに設置し、実際に
X線動画像の撮像を行った。
【0032】放射光は水平方向に長いビーム形状をして
おり、撮像手段として用いた電荷結合型素子のサイズで
ある12mm角を視野とすることができる。ビーム照射
装置は、任意のエネルギーの単色X線を照射することが
可能である。エネルギー量を選択して励起することで、
異なる元素の識別や同じ元素の化学状態の差異を識別す
ることが可能となる。電荷結合型素子は、X線光子を直
接検出することが可能である。電荷結合型素子におい
て、検出されるX線を単色に設定しない場合には、撮像
されるX線のエネルギー強度を分析することも可能であ
る。
【0033】図4は、金属イオンがイオン交換樹脂に捕
集される様子を撮像したものである。Dowex A−
1を硫酸銅水溶液に浸し、銅イオンが樹脂に捕集される
過程を、1分間隔で連続的に撮像・記録した。入射X線
のエネルギーは、銅の吸収端の上(9.1keV)であ
る。図4に示した画像は、得られた画像の内、経過時間
52分、88分、および135分におけるフレームであ
る。時間の経過とともに、銅イオンがパーティクル状の
樹脂の表面から徐々に取り込まれていく様子がわかる。
銅の吸収端より若干低いエネルギー(8.8keV)に
おいては、撮像される画像が、散乱X線像であり、形態
によるコントラストが得られている。
【0034】図5は、銅の樹枝状晶の成長過程を撮像し
た結果を示した図である。硫酸銅水溶液を浸したろ紙上
にスズの小粒を配置し、銅とスズのイオン化傾向の差に
より銅が析出する様子を、連続的に撮像・記録した。こ
れにより、この出願の発明であるX線撮像装置が、複数
の金属が混じっている複雑な系における結晶析出など元
素の違いについて識別可能であることがわかった。
【0035】図6は、銅および亜鉛の2元素からなる系
について、形状と元素分布の両方の時間的な変化に着目
した観察を行った結果を示した図である。電解セルに、
CuSO4とZnSO4とを混合してなる混合水溶液を満
たし、直流の一定電圧を印加した。KEK PF BL
−4Aにおいて、単色化した放射光を用いた。図6に析
出過程を示す。(A)〜(D)の順に時間を追って撮像
し、入射X線のエネルギーを変えることで、(A)およ
び(C)においては銅からの蛍光X線を、また、(B)
および(D)においては銅、亜鉛の両方からの蛍光X線
が得られた。図6にインポーズされたグラフは、電解セ
ルを流れる電流の時間変化を示している。(A)の銅の
分布(樹枝状に明るい部分)と、(B)の亜鉛の分布
(より明るい部分)とは、ほとんど重なっており、銅と
亜鉛が析出していることがわかる。電流増加の勾配が急
に変化する(C)においては、銅の分布が(D)の亜鉛
の分布と比して、陰極から遠方の領域に大きく広がって
おり、パターン自体には大きな変化はないが、銅を多く
含む枝が成長していることがわかる。以上の通り、蛍光
X線を用いてこの出願の発明を適用した動画像観察を行
い、析出物中の組成・元素分布が直ちに把握でき、析出
モードの移り変わりを明らかにすることが可能となっ
た。
【0036】
【発明の効果】以上、詳しく説明した通り、この出願の
発明により、蛍光X線動画像として、物質の表面におけ
る元素の分布または組成の経時変化を、表示または記録
することを可能とするX線撮像装置および方法が提供さ
れる。
【0037】この出願の発明は、蛍光X線顕微鏡を光学
顕微鏡のように利用するという、極めて独創性に富む発
想によりなされたものであり、これまで実用化されてい
ないX線画像の動画像化が、この出願の発明によりはじ
めて可能となるものである。多くの元素を含む系におい
ては元素別の、または同一元素であっても異なる化学状
態別の動画像を得ることができる。
【0038】この出願の発明は、物質を構成する元素の
分布や組成の経時変化を詳細に観察することを支援する
技術として、多種多様な工業製品の品質管理やプロセス
制御へ応用されるものと、その実用化が強く期待され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明であるX線撮像装置の構成につ
いて示した概要図である。
【図2】この出願の発明であるX線撮像装置の角度発散
制限手段について示した概要図である。
【図3】この出願の発明の実施例で用いたX線撮像装置
の構成について示した写真である。
【図4】この出願の発明の実施例において撮像された金
属イオンがイオン交換樹脂に捕集される様子を示した図
である。
【図5】この出願の発明の実施例において撮像された銅
の樹枝状晶の成長過程を示した図である。
【図6】銅および亜鉛の2元素からなる系について、形
状と元素分布の両方の時間的な変化に着目した観察を行
った結果を示した図である。
【符号の説明】
1 ビーム照射手段 2 物質 3 蛍光X線および散乱X線 4 撮像手段 5 角度発散制限手段 6 画像表示手段 7 画像記録手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G001 AA01 AA03 AA05 AA09 AA10 BA04 BA14 CA01 DA01 DA02 DA09 FA06 GA03 GA07 HA12 HA13 KA20 NA13 NA17 SA02 SA30 2G088 EE30 FF02 FF03 JJ05 JJ13

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線、粒子線、またはイオンビームのい
    ずれかのビームを物質の表面に照射するためのビーム照
    射手段と、X線領域の波長に対して感度を有する撮像手
    段と、撮像手段に入射するX線の角度発散を制御するた
    めの角度発散制限手段と、撮像手段で撮像されるX線画
    像を表示するためのX線画像表示手段と、からなるX線
    撮像装置であって、前記撮像手段において前記ビームが
    物質に照射されることで発生する蛍光X線および散乱X
    線を撮像し、撮像された画像をX線画像表示手段に動画
    像として表示することを特徴とするX線撮像装置。
  2. 【請求項2】 X線、粒子線、またはイオンビームのい
    ずれかのビームを物質の表面に照射するためのビーム照
    射手段と、X線領域の波長に対して感度を有する撮像手
    段と、撮像手段に入射するX線の角度発散を制御するた
    めの角度発散制限手段と、撮像手段で撮像されるX線画
    像を記録するためのX線画像記録手段と、からなるX線
    撮像装置であって、前記撮像手段において前記ビームが
    物質に照射されることで発生する蛍光X線および散乱X
    線を撮像し、撮像された画像をX線画像記録手段に動画
    像として記録することを特徴とするX線撮像装置。
  3. 【請求項3】 X線領域の波長に対して感度を有する撮
    像手段と、撮像手段に入射するX線の角度発散を制御す
    るための角度発散制限手段と、撮像手段で撮像されるX
    線画像を表示するためのX線画像表示手段と、からなる
    X線撮像装置であって、放射性同位元素を含む物質から
    発生する蛍光X線を撮像し、撮像された画像をX線画像
    表示手段に動画像として表示することを特徴とするX線
    撮像装置。
  4. 【請求項4】 X線領域の波長に対して感度を有する撮
    像手段と、撮像手段に入射するX線の角度発散を制御す
    るための角度発散制限手段と、撮像手段で撮像されるX
    線画像を記録するためのX線画像記録手段と、からなる
    X線撮像装置であって、放射性同位元素を含む物質から
    発生する蛍光X線を撮像し、撮像された画像をX線画像
    記録手段に動画像として記録することを特徴とするX線
    撮像装置。
  5. 【請求項5】 物質と撮像手段との間に角度発散制限手
    段を設置し、かつ、撮像手段および角度発散制限手段を
    物質に可能な限り近接させて設置することを特徴とする
    請求項1から4のいずれかのX線撮像装置。
  6. 【請求項6】 撮像手段としてX線領域の波長の光子を
    直接に検出する電荷結合素子を備えることを特徴とする
    請求項1から5のいずれかのX線撮像装置。
  7. 【請求項7】 角度発散制限手段として微細管集合体を
    備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかのX
    線撮像装置。
  8. 【請求項8】 X線、粒子線、またはイオンビームのい
    ずれかのビームを物質の表面に照射し、物質表面のビー
    ム照射領域近傍より蛍光X線および散乱X線を発生さ
    せ、蛍光X線および散乱X線の撮像手段に対する入射角
    度の発散を角度発散制限手段により制御しつつ、蛍光X
    線および散乱X線を撮像し、撮像されたX線画像を動画
    像として表示することを特徴とするX線撮像方法。
  9. 【請求項9】 X線、粒子線、またはイオンビームのい
    ずれかのビームを物質の表面に照射し、物質表面のビー
    ム照射領域近傍より蛍光X線および散乱X線を発生さ
    せ、蛍光X線および散乱X線の撮像手段に対する入射角
    度の発散を角度発散制限手段により制御しつつ、蛍光X
    線および散乱X線を撮像し、撮像されたX線画像を動画
    像として記録することを特徴とするX線撮像方法。
  10. 【請求項10】 放射性同位元素を含む物質から発生す
    る蛍光X線を、撮像手段に対する入射角度の発散を角度
    発散制限手段により制御しつつ撮像し、撮像された画像
    を動画像として表示することを特徴とするX線撮像方
    法。
  11. 【請求項11】 放射性同位元素を含む物質から発生す
    る蛍光X線を、撮像手段に対する入射角度の発散を角度
    発散制限手段により制御しつつ撮像し、撮像された画像
    を動画像として記録することを特徴とするX線撮像方
    法。
  12. 【請求項12】 物質と撮像手段との間に角度発散制限
    手段を設置し、かつ、撮像手段および角度発散制限手段
    を物質に可能な限り近接させて設置することを特徴とす
    る請求項8から11のいずれかのX線撮像方法。
  13. 【請求項13】 撮像手段としてX線領域の波長の光子
    を直接に検出する電荷結合素子を用いることを特徴とす
    る請求項8から12のいずれかのX線撮像方法。
  14. 【請求項14】 角度発散制限手段として微細管集合体
    を用いることを特徴とする請求項8から13のいずれか
    のX線撮像方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100764003B1 (ko) 2005-01-05 2007-10-08 한국과학기술원 렌즈 없는 칩위의 광학 현미경 및 이를 이용한 영상 획득시스템
WO2022137662A1 (ja) * 2020-12-24 2022-06-30 浜松ホトニクス株式会社 X線検出装置

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