JP3663188B2 - 光学的記録媒体 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保護膜用組成物、それを硬化させた保護膜、その保護膜を有する光学的記録媒体にかかり、特に、好適な滑性・摺動性を与える保護膜用組成物、それを硬化させた保護膜、その保護膜を有する光学的記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、書き換え可能な光学的記録媒体として、光磁気記録媒体の普及は目覚しいものがある。図1の符号2はそのような光磁気記録媒体であり、ポリカーボネート等の透明プラスチック基板10を有している。透明プラスチック基板10上には、第1の誘電膜11と、光磁気記録膜12と、第1の誘電膜11と同様の材料から成る第2の誘電膜13と、保護膜14とがこの順序で形成されている。
【0003】
上記構成の光磁気記録媒体2に書き込みを行う場合には、保護膜14表面に磁気ヘッドを当接させ、光磁気記録膜12に透明プラスチック基板10側からレーザを照射し、光磁気記録膜12を部分的にキュリー点まで昇温させ、その後降温する際に、磁気ヘッドから光磁気記録膜12に対して記録信号をバイアスし、所望のデータが書き込まれる。
【0004】
その際には、光磁気記録媒体2は高速で回転するため、保護膜14と磁気ヘッドは高速で摺動する。従って、保護膜14は、摩擦係数が低い方が望ましいが、バインダ材を硬化させただけの保護膜では、磁気ヘッドあるいは保護膜に、摩耗、傷つきが発生してしまう。
【0005】
そこで保護膜の摩擦係数を低くするために、従来から多くの検討がなされており、例えば、紫外線硬化型樹脂等のバインダ材にシリコーンオイル等の潤滑剤を添加した光磁気記録媒体(特開平2−40149号、2−308445号、4−19842号、7−161088号)が開発されている。
【0006】
しかしながら、上記の記録媒体の保護膜でも、その特性は未だ不十分であり、より高い滑性・摺動性を有する保護膜の開発が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の課題を解決するために創作されたものであり、その目的は、滑性・潤滑性が高い保護膜、その保護膜を形成できる保護膜用組成物、その保護膜を有する光学的記録媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、従来技術の保護膜の滑性・摺動性が不十分な原因を、保護膜を構成するバインダ材と潤滑剤の組み合わせの観点から調査し、以下の知見を得た。
先ず、バインダ材に対し、そのバインダ材とは非相溶性の潤滑剤を組み合わせた場合には、保護膜を形成した際に潤滑剤がその表面に析出するので、良好な滑性が発現される。
【0009】
しかし、この場合には、磁気ヘッドとの摺動によって表面の滑性剤は消耗されるため、結局、摺動回数に伴い滑性が低下するという欠点がある。
【0010】
ここで、滑性の低下を防ぐために潤滑剤を多量に添加することも考えられるが、潤滑剤が過剰に含まれると保護膜の機械的強度が低下し、さらには表面に過剰な潤滑剤が析出し、ゴミや埃が付着し易くなるという新たな問題が発生する。
【0011】
また、このような保護膜を製造する場合には、液体状の保護膜用組成物が時間の経過により相分離し易くなり、従って、均一な保護膜を製造できなくなるという欠点もある。
【0012】
他方、バインダ材に対し、そのバインダ材に相溶性がある潤滑剤を組み合わせた場合には、潤滑剤がバインダ材中に取り込まれてしまうため、期待通りの滑性を得ることができない。
【0013】
ここで、潤滑剤を、相溶性のバランスが崩れる程多量に添加した場合には、潤滑剤が保護膜表面に析出するため、結局、保護膜の滑性・摺動性は高まるが、上記した強度低下やゴミ付着の問題が発生してしまう。
【0014】
ところで、保護膜の滑性を高めるのではなく、保護膜上に潤滑剤からなる層(=潤滑性膜)を形成した光磁気記録媒体(特開平5−128611号、6−176401号、7−138589号等)も検討されており、その場合には保護膜自体の機械的強度は高く、且つ十分な滑性・摺動性が得られるが、潤滑性膜のべとつきが酷く、ゴミ、埃が付着しやすく、また一度付着するととれなくなるのでクラッシュ等の新たな問題が発生する。
【0015】
また、保護膜上に潤滑性膜を形成する工程を余分に必要とするばかりでなく、潤滑性膜を薄く均一に形成させるために、潤滑剤を有機溶剤に稀釈して塗布する必要があり、有機溶剤の使用は避けられないという問題が発生する。
【0016】
以上のことから、バインダ材に、そのバインダ材に非相溶性を示す第2の潤滑剤を含有させて保護膜を形成する場合に、第2の潤滑剤を表面に析出させずに、できるだけ多量に含有させる技術が必要になると考えられる。
【0017】
そこで本発明者は、非相溶性の第2の潤滑剤を安定化させた保護膜用組成物を得ることを着想した。
【0018】
しかしながら、非相溶性の第2の潤滑剤をバインダ材中に安定に分散させる方法は未だ公知ではなく、本発明者らが鋭意研究した結果、バインダ材に相溶性な第1の潤滑剤とバインダ材に非相溶性な第2の潤滑剤とが、互いに相溶性を有する場合には、その2種類の潤滑剤(第1、第2の潤滑剤)をバインダ材中に混合することで、第2の潤滑剤がバインダ材中に均一、安定に分散することを見出した。
【0019】
その理由は、第1の潤滑剤がバインダ材中に均一、安定に分散する際に、一緒に第2の潤滑剤が分散されるからと考えられる。そして、バインダ材、第1の潤滑剤、第2の潤滑剤のいわゆる3成分系をバランスよく配合した場合には、得られた分散液は、第1の潤滑剤の働きによって、極めて安定になると考えられる。
【0020】
その分散液は、それ自体を保護膜組成物として用いることができる他、さらに他種類のバインダ材等を加えて保護膜用組成物を作成することができる。
【0021】
分散液として用いた場合、僅かな添加量で保護膜の滑性・摺動性を向上させることが可能であり、保護膜用組成物の溶液粘度に影響を与えない。従って、得られた保護膜用組成物を通常の方法で記録膜上に塗布・硬化させるだけで、滑性・摺動性が高い光学的記録媒体を完成することができる。
【0022】
本発明は上記考え方に基づいて創作されたものであり、請求項1記載の発明は、光磁気記録膜と、前記光記録膜上に配置された保護膜とを有する光学的記録媒体であって、前記保護膜は、硬化可能なバインダ材と、前記バインダ材に相溶性を示す第1の潤滑剤と、前記バインダ材に非相溶性を示し、前記第1の潤滑剤に相溶性を示す第2の潤滑剤とが互いに分散された保護膜用組成物が硬化されて形成された光学的記録媒体である。
請求項2記載の発明は、前記バインダ材は2種類以上の物質を含み、前記第1の潤滑剤は、各バインダ材に相溶性を示し、前記第2の潤滑剤は、前記各バインダ材に非相溶性を示し、且つ前記第1の潤滑剤に相溶性を示す請求項1記載の光学的記録媒体である。
請求項3記載の発明は、前記第1の潤滑剤と前記第2の潤滑剤とはシリコーン系潤滑剤であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の光学的記録媒体である。
請求項4記載の発明は、前記第1の潤滑剤は、プロピレンオキシド系、エチレンオキシド系、プロピレンオキシド及びエチレンオキシド系の変性シリコーンオイルのいずれか1種又は2種以上の変性シリコーンオイルで構成され、前記第2の潤滑剤は、ジメチルシロキサン系の未変性シリコーンオイルで構成された請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の光学的記録媒体である。
請求項5記載の発明は、前記第2の潤滑剤が、0.01wt%以上3.0wt%以下の割合で含有されている請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の光学的記録媒体である。
請求項6記載の発明は、前記第1の潤滑剤が、3.0wt%以下の割合で含有されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の光学的記録媒体である。
請求項7記載の発明は、前記バインダ材は紫外線硬化型の樹脂である請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の光学的記録媒体である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の保護膜用組成物は、バインダ材と、該バインダ材と相溶性を示す第1の潤滑剤と、バインダ材とは非相溶性であるが、第1の潤滑剤とは相溶性を示す第2の潤滑剤とを含有しており、第1、第2の潤滑剤がバインダ材中に分散処理されて構成されている。
【0024】
本発明の保護膜を形成する場合には、バインダ材中に第2の潤滑剤を分散させるため、バインダ材自体は液状のものが便利であるが、有機溶剤等によって稀釈し、液状化したものであっても構わない。
【0025】
なお、液状を示すバインダ材においては、保護膜を形成する際に硬化させる必要がある。その場合、加熱によって硬化するものでもよいが、紫外線等によって硬化するバインダ材の方が好ましい。
【0026】
このような観点から、本発明の保護膜用組成物のバインダ材としては、モノマーあるいはオリゴマーを好ましく使用することができる。
【0027】
そのモノマーとしては、例えば「UV硬化技術入門」(中原正二、加藤清視共著、高分子刊行会)の46頁〜48頁に記載された各種のモノマーを使用することができる。また、オリゴマーとしては、例えば、同書57頁に記載された各種のオリゴマーを使用することができる。
なお、オリゴマーが固体である場合は、そのモノマーによって稀釈し、液状化させるとよい。
【0028】
本発明において、第1、第2の潤滑剤は、使用するバインダ材との組み合わせにより決定される。
使用するバインダ材に対し、潤滑剤を3.0wt%(3.0重量%)の割合で混合し、十分に攪拌した場合に、時間の経過によっても分離しない場合に、その潤滑剤は相溶性があるものとし、反対に、十分攪拌しても白濁する場合、又は時間の経過によって相分離する場合に、非相溶性であるものとする。
【0029】
ここで、バインダ材がモノマーの場合には、バインダ材に相溶性な第1の潤滑剤として、変性シリコーンオイルを好ましく使用することができる。たとえば、エチレンオキサイド変性シリコーンオイル、プロピレンオキサイド変性シリコーンオイル、又はプロピレンオキシド及びエチレンオキシド変性シリコーンオイル等のポリエーテル変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイルを使用することができる。
他方、バインダ材とは非相溶性な第2の潤滑剤としては、ジメチルシリコーンオイル等の未変性シリコーンオイルがある。
【0030】
また、そのような第1、第2の潤滑剤は、互いに相溶性を示すことが必要である。潤滑剤同士の相溶性の有無については、いずれか一方に対し、他方を3.0wtの割合で含有させ、攪拌させた場合に白濁が無く、時間の経過によっても分離しない組合せについて相溶性があるものとする。一般に、2種類の潤滑剤について相溶性を必要とする場合、化学構造が基本的に類似の潤滑剤を用いるとよい。
【0031】
ここで、バインダがモノマーであり、第1の潤滑剤がポリエーテル変性シリコーンオイルの場合は、例えば、第2の潤滑剤としてジメチルポリシロキサンやフッ素変性シリコーンオイルを用いることができる。
【0032】
次に、保護膜の組成中、バインダ材、第1の潤滑剤、第2の潤滑剤の3成分の比率は各成分の種類により異なるが、典型的には、バインダ材と第1、第2の潤滑剤の合計重量に対し、第1の潤滑剤が0.01〜3.0wt%、及び第2の潤滑剤が0.01〜3.0wt%の割合で調整するとよい。
【0033】
【実施例】
<製造方法>
次に、本発明の保護膜用組成物の製造方法を説明する。
最初に、バインダ材を30〜70重量部、第1の潤滑剤を5〜15重量部、第2の潤滑剤を5〜50重量部の割合で混合し、ホモジナイザーの分散装置を使用して分散させ、分散液を得る。
【0034】
同種類又は他の種類のバインダ材中に得られた分散液を添加すると、本発明の保護膜用組成物を作成することができる。この場合、バインダ材の材質が同じであれば、特に再分散処理することなく混合することができる。
【0035】
分散液を添加する溶液に用いるバインダ材は、第1の潤滑剤と相溶性を有し、第2の潤滑剤とは非相溶性を有することが必要である。
また、その溶液には、予め第1の潤滑剤や第2の潤滑剤の一部を添加しておくこともできる。
【0036】
結局、用いたバインダ材と分散材を合計した重量に対し、第1の潤滑剤が0.01〜3.0重量部、第2の潤滑剤が0.01〜3.0重量部の範囲で含まれていれば、保護膜表面には第1、第2の潤滑剤が過剰に析出しない状態で、十分な滑性・潤滑性を有する保護膜を形成することができる。
【0037】
なお、本発明の保護膜に用いるバインダ材がモノマー、オリゴマーの場合には、重合を促進させるために光重合開始剤を添加することができる。そのような開始材には、例えば、同書62頁の表22に記載の光重合開始剤を挙げることができる。
【0038】
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない程度に、フィラー、顔料、金属粉、酸化防止剤、イオン交換体を添加することができる。
【0039】
得られた保護膜用組成物は、常法に従って、すなわち、スピンコート法、スクリーン印刷法等のコーティング手段を使って光学的記録媒体の記録膜上、あるいは誘電膜上に塗布し、硬化させることで本発明の保護膜を形成することができる。
【0040】
【実施例】
次に、実施例を用いて、さらに製造方法と得られた保護膜の特性について、より詳細に説明する。
【0041】
<実施例1>
(1)分散液の作成
2官能性モノマー(NPGDA、日本化薬(株))を保護膜形成用のバインダ材(A)としたときに、そのバインダ材(A)と相溶性のあるエチレンオキサイド変性シリコーンオイル(TSF4441、東芝シリコーン(株))を第1の潤滑剤とし、バインダ材(A)とは非相溶性であるが、第1の潤滑剤とは相溶性があるジメチルシロキサン(KF96、信越化学工業(株))を第2の潤滑剤とし、バインダ材(A)50重量部に対し、第1の潤滑剤を10重量部、第2の潤滑剤を30重量部を配合して乳化状物をつくり、ホモジナイザーを用いて数分間分散処理し、目的の分散液を得た。
【0042】
(2)保護膜用組成物の作成
バインダ材(A)とは異なる種類のバインダ材として、第1の潤滑剤とは相溶性があるが、第2の潤滑剤とは非相溶性である多官能オリゴマー(アロニックスM6250:東亞合成(株))をバインダ材(B)とし、分散液に用いたバインダ材(A)80重量部に対し、多官能オリゴマーであるバインダ材(B)を30重量部と、上記第1の潤滑剤を1.3重量部と、微量の開始剤(イルガキュアー184:チバスペシャリティーカミカルズ(株))とを混合し、上記分散液を0.2重量滴下し、、目的の保護膜用組成物を得た。
【0043】
(3)光学的記録媒体の作成
ポリカーボネート基板上に、透明誘電体膜、光磁気記録膜、透明誘電体膜を形成した後、最上層の透明誘電体膜上に、上記手順により作成した保護膜用組成物を滴下し、スピンコートによってポリカーカーボネート基板を2500RPMで回転させ、厚さ10μmの分散液層を形成し、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射し、保護膜を形成した。
この保護膜が形成された光学的記録媒体の特性を測定した。
【0044】
(4)諸特性
イ.摩擦係数の測定
線速度1.4m/secで上記記録媒体を回転させ、その保護膜上に荷重2gのダミーヘッドを接触させ、3000回転させた後の摩擦係数の平均値を測定した。
【0045】
ロ.埃・塵の除去
摩擦係数の測定が終了した光学的記録媒体を、その保護膜を上面にして室内に配置し、24時間放置することで埃・塵を付着させた後、保護膜表面にエアーを吹き付け、その結果、埃・塵が除去されたかを目視によって確認した。
【0046】
ハ.結果
測定結果を下記表1に示す。含有率は、用いたバインダ材と、第1、第2の潤滑剤との合計重量に対する比率である。
【0047】
【表1】
Figure 0003663188
【0048】
得られた保護膜は、全潤滑剤成分量が1.3と低いにもかかわらず、摩擦係数は0.44と実用上十分であって、埃・塵の除去も良好であった。
【0049】
【実施例】
<実施例2、3、4>
第1、第2の潤滑剤の含有率を変えた他は実施例1と同じ条件で保護膜を形成し、評価した。第1、第2の潤滑剤の含有率及び評価結果を上記表1中に示す。
この実施例2、3、4の保護膜は、潤滑剤の含有率がそれぞれ1.5、1.7、2.2重量%であり、含有率が低いのにもかかわらず、摩擦係数は0.42〜0.30と小さく、良好な滑性・摺動性を示した。
また、埃・塵の除去も問題がなかった。
【0050】
【実施例】
<実施例5>
実施例4で作成した分散液に、実施例4で調整した保護膜用バインダ材を添加して、目的の保護膜用組成物を作成した。さらに、実施例4と同様の方法で、保護膜を形成し、評価した。第1、第2の潤滑剤の含有率及び評価結果を上記表1に示す。
【0051】
実施例5は、実施例4と保護膜用組成物を作成する順序を逆にしたものであるが、特に結果に変化はなく、滑性・摺動性に優れた光学的記録媒体が得られた。
実施例1〜5の第2の摩擦係数と、第2の潤滑剤の含有率との関係を図2のグラフに示す。含有率が大きくなると、摩擦係数は小さくなっている。
【0052】
【実施例】
比較例を以下に記載する。
<比較例1>
上記バインダ材(A)80重量部と、上記バインダ材(B)30重量部に対し、実施例1で用いた第1の潤滑剤1.3重量部と、微量の開始剤(イルガノキュアー184)とを混合し、目的の保護膜用組成物を得た。そして、実施例1と同様な方法で評価した。その結果を上記表1中に示す。
比較例1の保護膜では、第2の潤滑剤が混合されていないため、摩擦係数が0.5と高く滑性・摺動性が劣るものであった。
【0053】
<比較例2>
実施例1で用いたのと同じ、バインダ材(A)、(B)及び第1の潤滑剤を用い、それぞれ、80、30、7.4重量部と、微量の開始剤(イルガキュアー)とを混合し、実施例1と同じ形成条件で、目的の保護膜用組成物を得た。そして、実施例1と同様な方法で評価した。その結果を上記表1中に示す。
比較例2の保護膜は、潤滑剤の含有率が6.7重量%と高いもかかわらず摩擦係数は0.46と大きく、滑性・摺動性が若干劣っている。
また、埃・塵が十分に除去されず、クラッシュ等が発生する危険性が高いものであった。
【0054】
<比較例3>
上記第1の潤滑剤を用い、比較例1の光学的記録媒体の保護膜上に潤滑性膜を作成した。そして、実施例1と同様に評価した。その結果を、上記表1中に示す。
この場合の評価結果は、保護膜自体の評価ではなく、潤滑性膜の評価になるため、摩擦係数は0.3と低いものであるが、第1の潤滑剤であるジメチルシロキサンが、保護膜表面で液状になっており、埃・塵の付着が多く、また除去することができなかった。
【0055】
【発明の効果】
本発明の保護膜用組成物では、バインダ材とは非相溶性の第2の潤滑剤が、バインダ材中に安定して分散しているので、高い潤滑性がある。
さらに、この潤滑性組成物を同種又は他種のバインダ材で稀釈し、あるいは同種又は他種のバインダ材中へ添加した保護膜用組成物では、少ない潤滑剤量で摩擦係数を低くすることができる。従って、光磁気ディスクの保護膜として特に有用である。
さらにまた、このような保護膜を有する光磁気記録媒体は、磁気ヘッドや記録膜を傷めることがないので、信頼性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学的記録媒体の構造を示す図
【図2】潤滑剤含有率と摩擦力の関係を示すグラフ
【符号の説明】
2……光学的記録媒体
10……透明プラスチック基板
11、13……誘電膜
12……光磁気記録膜
14……保護膜

Claims (7)

  1. 光磁気記録膜と、前記光記録膜上に配置された保護膜とを有する光学的記録媒体であって、
    前記保護膜は、硬化可能なバインダ材と、前記バインダ材に相溶性を示す第1の潤滑剤と、前記バインダ材に非相溶性を示し、前記第1の潤滑剤に相溶性を示す第2の潤滑剤とが互いに分散された保護膜用組成物が硬化されて形成された光学的記録媒体。
  2. 前記バインダ材は2種類以上の物質を含み、
    前記第1の潤滑剤は、各バインダ材に相溶性を示し、
    前記第2の潤滑剤は、前記各バインダ材に非相溶性を示し、且つ前記第1の潤滑剤に相溶性を示す請求項1記載の光学的記録媒体。
  3. 前記第1の潤滑剤と前記第2の潤滑剤とはシリコーン系潤滑剤であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の光学的記録媒体。
  4. 前記第1の潤滑剤は、プロピレンオキシド系、エチレンオキシド系、プロピレンオキシド及びエチレンオキシド系の変性シリコーンオイルのいずれか1種又は2種以上の変性シリコーンオイルで構成され、
    前記第2の潤滑剤は、ジメチルシロキサン系の未変性シリコーンオイルで構成された請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の光学的記録媒体。
  5. 前記第2の潤滑剤が、0.01wt%以上3.0wt%以下の割合で含有されている請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の光学的記録媒体。
  6. 前記第1の潤滑剤が、3.0wt%以下の割合で含有されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の光学的記録媒体。
  7. 前記バインダ材は紫外線硬化型の樹脂である請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の光学的記録媒体。
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