JP3662651B2 - アモルファス磁性合金ストリップ積層体コイルの製造方法及び装置 - Google Patents

アモルファス磁性合金ストリップ積層体コイルの製造方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変圧器等の静止誘導電気機器の鉄心材料として用いるアモルファス磁性合金ストリップの積層体をコイルの形で製造するアモルファス磁性合金ストリップ積層体コイルの製造方法及び該方法を実施するために用いる製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
損失が少い鉄心材料として、アモルファス磁性合金が注目されている。アモルファス磁性合金は0.025 mm程度の厚さのきわめて薄いストリップ(薄帯)の形で提供されるため、この磁性合金を用いて鉄心を構成する場合には、巻鉄心の構造が多く採用される。
【0003】
アモルファス磁性合金ストリップの積層体を用いて巻鉄心を製作する場合には、工数の削減を図るために、ストリップ単体を扱うのではなく、所定枚数(例えば8〜16枚)のアモルファス磁性合金ストリップを積層したものを積層体として、該積層体を取り扱うようにするのが望ましい。ストリップの積層体を用いて巻鉄心を製造する場合には、ストリップの積層体を切断することにより、順次長さが2πt(tは積層体の厚さ)ずつ長くなる多数の単位積層体を形成する。次いで、順次2πtずつ長さが長くなっている複数の単位積層体を、それぞれの長手方向の端部位置を所定のずらし寸法ずつずらしながら積層することにより鉄心の各部を構成する積層体ブロックを複数個作成する。次いで複数の積層体ブロックを巻き枠の回りに順次巻き付けて各単位積層体の両端を突き合わせ接合(バット接合)または重ね合わせ接合(ラップ接合)することにより、継鉄部に接合部が階段状に分布した構造の巻鉄心を製作する。
【0004】
上記のような巻鉄心を製作する場合には、その基本素材として、アモルファス磁性合金ストリップを所定の枚数積層して構成した積層体を用意する必要がある。アモルファス磁性合金ストリップは長尺のものが巻枠にコイルの形に巻回された状態で提供されるため、該ストリップの積層体もコイルの形にしてストックするのが有利である。
【0005】
図4はアモルファス磁性合金ストリップの積層体コイルを製造するために従来用いられていた積層体コイル製造装置を示したものである。図4の装置においては、複数台のアンコイラUC1 ,UC2 ,…が整列した状態で配置され、これらのアンコイラから巻戻される素材ストリップS1 ,S2 ,…の移動方向(矢印X方向)の前方に1台のリコイラRCが配置されている。
【0006】
各アンコイラは、図示しないアンコイラモータにより回転駆動される回転軸1を備えていて、アンコイラUC1 ,UC2 ,…の回転軸1にそれぞれアモルファス磁性合金ストリップを製造する素材メーカから提供される素材コイルC1 ,C2 ,…が支持されている。素材コイルC1 ,C2 ,…は、アモルファス磁性合金ストリップS1 ,S2 ,…を巻枠2にコイル状に巻回したもので、それぞれの巻枠2がアンコイラの回転軸1に装着されている。
【0007】
リコイラRCは、図示しないリコイラモータにより回転駆動される回転軸3を備えていて、該回転軸3に積層体コイルMCを巻回する巻枠4が装着されている。
【0008】
アンコイラUC1 ,UC2 ,…に対して、対のガイドローラ(G11,G21),(G12,G22),…と、これらの対のガイドローラに近接した位置と該対のガイドローラから離間した位置との間を上下に直線変位し得るように支持されたダンサローラD1 ,D2 ,…とを備えた弛み形成機構が設けられている。アンコイラUC1 ,UC2 ,…によりそれぞれ巻戻された素材ストリップS1 ,S2 ,…は、ガイドローラG11,G12,…とダンサローラD1 ,D2 ,…とガイドローラG21,G22,…とを経由するように対応するガイドローラ及びダンサローラに掛け渡されて弛みが形成された後、更にガイドローラG31,G32,…及びG41,G42,…を経由してリコイラRCに支持された巻枠4に導かれている。
【0009】
各ダンサローラは少くともガイドローラに近い位置に設定された原点位置Po とガイドローラから所定の距離を隔てた位置に設定された限界位置P1 との間を往復変位し得るように設けられていて、バネやエアシリンダ等の図示しない付勢手段により、常時限界位置P1 側に付勢されている。
【0010】
ここで、ダンサローラの原点位置Po は、素材ストリップSの弛みが最小(許容範囲の下限)になる位置であり、限界位置P1 は、素材ストリップSの弛みが最大(許容範囲の上限)になる位置である。ダンサローラD1 ,D2 ,…にはそれぞれドグ5が取り付けられ、各ダンサローラの原点位置Po 付近及び限界位置P1 付近にはそれぞれドグ5により駆動されるリミットスイッチLSo 及びLS1 が配置されている。リミットスイッチLSo ,LS1 はそれぞれダンサローラが原点位置Po 及び限界位置P1 に達したことを検出するために設けられたもので、各ダンサローラがそれぞれ原点位置及び限界位置に達したときにドグ5がリミットスイッチLSo 及びLS1 の接触子に接触してそれぞれのリミットスイッチを動作させるようになっている。
【0011】
図4に示した積層コイル製造装置においては、アンコイラUC1 ,UC2 ,…によりそれぞれ巻戻された素材ストリップS1 ,S2 ,…がダンサローラD1 ,D2 ,…と複数のガイドローラとを経由した後重ね合わされてリコイラRCの回転軸に保持された巻枠4に巻き取られる。
【0012】
リコイラRCにより素材ストリップS1 ,S2 ,…を巻き取ると、各アンコイラのダンサローラが原点位置Po に向けて上昇していく。ダンサローラD1 ,D2 ,…のいずれかが原点位置Po に達してリミットスイッチLSo を動作させたときにリコイラRCの回転軸を停止させ、積層体コイルMCの巻回を中断する。リコイラが停止している間にアンコイラUC1 ,UC2 ,…の回転軸を回転させて素材コイルC1 ,C2 ,…からそれぞれ素材ストリップS1 ,S2 ,…を巻戻す。素材ストリップS1 ,S2 ,…を巻戻すと、ダンサローラD1 ,D2 ,…が限界位置P1 に向けて下降していく。各ダンサローラが限界位置に達してリミットスイッチLS1 を動作させたときに、そのダンサローラが設けられているアンコイラの回転軸を停止させる。すべてのアンコイラの回転が停止した後リコイラRCによる積層体の巻回を再開させる。これらの動作を繰り返すことにより積層体コイルMCを形成する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示した従来の積層体コイル製造装置では、いずれかのアンコイラのダンサローラが原点位置に達したときにリコイラを停止させ、すべてのアンコイラのダンサローラが限界位置に達した後にリコイラを起動させる必要がある。そのため、積層体コイルの巻回を連続的に行なうことができず、積層体コイルの形成に長時間を要するという問題があった。
【0014】
本発明の目的は、各アンコイラをリコイラと同期回転させて積層体コイルの巻回を連続的に行なうことができるようにしたアモルファス磁性合金ストリップ積層体コイルの製造方法及び装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アモルファス磁性合金からなる素材ストリップをコイル状に巻回して構成した素材コイルを回転自在に支持して該素材コイルから素材ストリップを巻戻すアンコイラを複数台設け、該複数台のアンコイラによりそれぞれ巻戻された複数の素材ストリップを重ね合わせて積層体としてリコイラにより巻き取ることによりアモルファス磁性合金ストリップの積層体コイルを製造する方法に係わるものである。
【0016】
本発明においては、リコイラに巻き込まれる素材ストリップの積層体の線速度(以下この線速度をリコイラの巻取線速度とも呼ぶことにする。)を設定値に保つようにリコイラの巻取回転速度(リコイラの回転軸の回転速度)を制御し、各アンコイラから繰り出される素材ストリップの線速度(以下この線速度をアンコイラの巻戻し線速度とも呼ぶことにする。)を上記設定値に等しくするように各アンコイラの巻戻し回転速度(アンコイラの回転軸の回転速度)を制御する。
【0017】
上記のように、リコイラの巻取線速度と各アンコイラの巻戻し線速度とを同じ設定値に等しくするように制御すると、各アンコイラをリコイラと同期させて連続回転させることができるため、積層体コイルの形成を連続的に行なわせることができ、積層体コイルの製造を能率よく行なわせることができる。
【0018】
リコイラの巻取線速度を設定値に保つようにリコイラの巻取回転速度を制御するためには、積層体コイルの径の変化を検出する必要がある。また各アンコイラの巻戻し線速度を設定値に保つように各アンコイラの巻戻し回転速度を制御するためには、各アンコイラに支持されている素材コイルの径の変化を検出する必要がある。
【0019】
ところが、多くの場合、積層体コイルの径の検出及び素材コイルの径の検出には誤差が伴うため、単に積層体コイルの径及び素材コイルの径の検出値に基づいてリコイラ及びアンコイラを制御しただけでは、リコイラの巻取線速度と各アンコイラの巻戻し線速度とを厳密に一致させることができない。
【0020】
そこで上記の検出誤差を吸収するために、各アンコイラから巻戻された素材ストリップに弛みを形成するダンサローラを設けて、該ダンサローラの位置を基準位置に保つように各アンコイラの巻戻し回転速度の目標値を修正するようにするのが好ましい。
【0021】
このように、アンコイラの巻戻し回転速度の目標値を修正しながらアンコイラの巻戻し回転速度の制御を行なう場合には、各アンコイラの近傍に変位自在に支持されて一方向に付勢されたダンサローラを設けて、各アンコイラにより巻き戻された素材ストリップを対応するダンサローラを経由させることにより該素材ストリップに弛みを形成するようにしておく。
【0022】
またリコイラにより巻回されつつある積層体コイルの径を検出する積層体コイル径検出手段と、各アンコイラに支持されている素材コイルの径を検出する素材コイル径検出手段と、ダンサローラの位置を検出するダンサローラ位置検出手段とを設けておく。
【0023】
リコイラ側では、積層体コイル径検出手段により検出された積層体コイルの径からリコイラに巻き込まれる積層体の線速度を設定値に等しくするために必要な巻取回転速度の目標値を演算して、リコイラの巻取回転速度を演算された目標値に保つように制御する。
【0024】
アンコイラ側では、各アンコイラに支持された素材コイルの外径を検出する素材コイル径検出手段が検出した素材コイルの径から各アンコイラより繰り出される素材ストリップの線速度を上記設定値に保つために必要な各アンコイラの巻戻し回転速度を各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値として演算する。また各アンコイラに対応するダンサローラの位置を検出するダンサローラ位置検出手段が検出しているダンサローラの位置を基準位置に一致させるために各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値に乗じる必要がある補正係数を演算し、この補正係数を暫定目標値に乗じることにより各アンコイラの巻戻し回転速度の目標値を演算して、各アンコイラの巻戻し回転速度を演算された目標値に一致させるように制御する。
【0025】
上記の方法を実施する積層体コイル製造装置は、例えば、アモルファス磁性合金からなる素材ストリップをコイル状に巻回して構成した素材コイルをアンコイラモータにより駆動される回転軸に支持して該素材コイルから素材ストリップを巻戻す複数台のアンコイラと、該複数台のアンコイラによりそれぞれ巻戻された複数の素材ストリップを重ね合わせることにより形成した積層体をリコイラモータにより駆動される回転軸に支持された巻枠に巻き取って積層体コイルを形成するリコイラと、複数台のアンコイラのそれぞれの近傍で少くとも原点位置と限界位置との間を変位するように設けられて複数台のアンコイラによりそれぞれ巻戻されてリコイラに供給される複数の素材ストリップにそれぞれ弛みを形成する複数のダンサローラと、リコイラにより巻回されつつある積層体コイルの径を検出する積層体コイル径検出手段と、積層体コイル径検出手段により検出された積層体コイルの半径r1 に対してリコイラにより巻き取られる素材ストリップの線速度を設定値Vr に等しくするために必要なリコイラの巻取回転速度の目標値N1 =Vr /(2πr1 )を演算する巻取速度目標値演算手段と、リコイラの回転軸を前記巻取速度目標値演算手段により演算された目標値N1 で回転させるようにリコイラの回転軸を駆動するリコイラモータを制御するリコイラモータ制御器と、複数台のアンコイラのそれぞれに対して設けられて複数台のアンコイラの回転軸にそれぞれ支持された素材コイルの径を検出する素材コイル径検出手段と、各アンコイラに対して設けられた素材コイル径検出手段により検出された素材コイルの半径r2 に対して各アンコイラから巻戻される素材コイルの線速度を設定値Vr に等しくするために必要な各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値N2 ´=Vr /(2πr2 )を各アンコイラ毎に演算する巻戻し速度暫定目標値演算手段と、各ダンサローラに対して設けられて各ダンサローラの実際の位置と前記原点位置との間の距離Lx を検出するダンサローラ位置検出手段と、各アンコイラに対応するダンサローラの原点位置と限界位置との間の距離をLo とし、各ダンサローラの限界位置と予め設定した基準位置との間の距離をL1 として、該距離Lo 及びL1 と前記距離Lx とから各アンコイラに対応するダンサローラの位置を基準位置に一致させるために各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値に乗じる必要がある補正係数K1 =(Lo −Lx )/L1 を演算する補正係数演算手段と、各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値N2 ´に各アンコイラに対して演算された補正係数K1 を乗じることにより各アンコイラの巻戻し回転速度の目標値N2 =N2 ´×K1 を演算する巻戻し速度目標値演算手段と、各アンコイラの回転軸を前記目標値N2 で回転させるように各アンコイラの回転軸を駆動するアンコイラモータを制御するアンコイラモータ制御器とにより構成することができる。
【0026】
上記積層体コイル径検出手段は、定位置から積層体コイルの外周までの距離ax を検出する積層体コイル径センサと、前記定位置から積層体コイルの中心までの距離ao と前記積層体コイル径検出用距離センサが検出した距離ax とから積層体コイルの半径r1 =ao −ax を演算する積層体コイル径演算手段とにより構成できる。
【0027】
また素材コイル径検出手段は、定位置から素材体コイルの外周までの距離bx を検出する素材コイル径センサと、前記定位置から素材コイルの中心までの距離bo と前記素材コイル径検出用距離センサが検出した距離bx とから素材コイルの半径r2 =bo −bx を演算する素材コイル径演算手段とにより構成することができる。
【0028】
上記積層体コイル径センサ及び素材コイル径センサとしては、非接触式の距離センサを用いるのが好ましい。非接触式の距離センサとしては例えば、被測定対象物に向けて超音波を発射する超音波発生器と、被測定対象物で反射して戻ってくる超音波を検出する超音波検出器とを備えて、超音波が発射されてから被測定対象物で反射して戻ってくるまでの時間から被測定対象物までの距離を測定する超音波式の距離センサを用いることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1ないし図3を参照して説明する。
【0030】
図1及び図2は本発明に係わる積層体コイル製造装置の機械的な構成の一例を概略的に示したもので、図1はアンコイラ側の構成を示し、図2はリコイラ側の構成をリコイラに最も近い位置に配置される1台のアンコイラとともに示している。また図3は本発明に係わる積層体コイル製造装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
図1において、UC1 ,UC2 ,…はそれぞれアンコイラで、このアンコイラは、積層体を構成するストリップの数だけ設けられて、一列に整列した状態で配置される。各アンコイラは、図示しないアンコイラモータにより駆動される回転軸1を備えていて、アンコイラUC1 ,UC2 ,…の回転軸1にそれぞれ素材コイルC1 ,C2 ,…の巻枠2が装着されている。アンコイラUC1 ,UC2 ,…はそれぞれ素材コイルC1 ,C2 ,…から巻き戻した素材コイルS1 ,S2 ,…を同じ方向に繰り出すように設けられている。
【0032】
アンコイラUC1 ,UC2 ,…の近傍にはそれぞれ対のガイドローラ(G11,G21),(G12,G22),…とダンサローラD1 ,D2 ,…とからなる弛み形成機構A1 ,A2 ,…が設けられている。対のガイドローラ(G11,G21),(G12,G22),…はそれぞれアンコイラUC1 ,UC2 ,…に支持された素材コイルC1 ,C2 ,…よりも高い位置に設定された定位置に僅かな間隔を隔てて配置されている。一連の対のガイドローラの内、対応するアンコイラに近い側に配置されたガイドローラG11,G12,…は、それぞれ弛み形成機構A1 ,A2 ,…の入口側ガイドローラを構成し、他のガイドローラG21,G22,…はそれぞれ弛み形成機構A1 ,A2 ,…の出口側ガイドローラを構成している。
【0033】
図示のダンサローラD1 ,D2 ,…は、対応する対のガイドローラ(G11,G21),(G12,G22),…の間をそれぞれ2分する垂直線に沿って、ガイドローラ(G11,G21),(G12,G22),…よりも僅かに下方の位置に設定された原点位置Po とそれぞれの素材コイルC1 ,C2 ,…の下端よりも更に下方の位置に設定された限界位置P1 との間を直線変位し得るように設けられている。図示してないが、ダンサローラD1 ,D2 ,…をそれぞれ付勢する付勢手段が設けられて、該付勢手段により、各ダンサローラが限界位置P1 側に付勢されている。この付勢手段はバネやエアシリンダなどにより構成される。
【0034】
素材ストリップS1 ,S2 ,…の繰り出し方向の前方側の最端部に配置されたアンコイラUC1 の側方にリコイラRC(図2参照)が配置されている。リコイラRCは、図示しないリコイラモータにより回転駆動される回転軸3を備えていて、該回転軸3に積層体を巻回するための巻枠4が装着されている。
【0035】
アンコイラUC1 ,UC2 ,…にそれぞれ支持された素材コイルC1 ,C2 ,…からそれぞれ巻戻された素材ストリップS1 ,S2 ,…は、弛み形成機構の入口側ガイドローラG11,G12,…とダンサローラD1 ,D2 ,…とを経由した後更に出口側ガイドローラG21,G22,…を経由するようにこれらのローラに掛け渡されていて、各ダンサローラにより各素材ストリップに弛みが形成される。ガイドローラG21,G22,…をそれぞれ経由した素材ストリップS1 ,S2 ,…は互いに整合した状態で更に他のガイドローラG31,G32,…及びG41,G42,…を経てリコイラRCに支持された巻枠4に導かれ、該リコイラRCにより、素材ストリップS1 ,S2 ,…の積層体が一括して巻枠4に巻き取られて積層体コイルMCが製造される。
【0036】
素材コイルC1 ,C2 ,…はアモルファス磁性合金を製造するメーカから提供されるものである。素材コイルC1 ,C2 ,…のそれぞれには、同じ幅のアモルファス磁性合金の素材ストリップが巻回されているが、それぞれのコイルの外径にはばらつきがあるのが普通である。
【0037】
なお、弛み形成機構A1 ,A2 ,…のそれぞれの出口側のガイドローラG21,G22,…とリコイラ側に配置されたガイドローラG31,G32,…との間には、必要に応じて更に他のガイドローラ等のガイド手段が配置される。
【0038】
本発明においては、リコイラRCの巻取線速度(リコイラに巻き込まれる素材ストリップの積層体の線速度)を設定値Vr に保つようにリコイラRCの巻取回転速度(回転軸3の回転速度)を制御し、アンコイラUC1 ,UC2 ,…のそれぞれの巻戻し線速度(アンコイラUC1 ,UC2 ,…からそれぞれ繰り出される素材ストリップS1 ,S2 ,…の線速度)を上記設定値Vr に等しくするようにアンコイラUC1 ,UC2 ,…のそれぞれの巻戻し回転速度(回転軸1の回転速度)を制御する。
【0039】
このような制御を行なわせるためには、リコイラ及びアンコイラを例えば次のように制御すればよい。
【0040】
即ち、リコイラRC側には、該リコイラにより巻回されつつある積層体コイルMCの径を検出する積層体コイル径検出手段を設けておき、該積層体コイル径検出手段により検出された積層体コイルの径からリコイラに巻き込まれる積層体の線速度を設定値Vr に等しくするために必要な巻取回転速度の目標値を演算し、リコイラRCの巻取回転速度を演算された目標値に保つようにリコイラモータを制御する。
【0041】
図1及び図2に示した例では、積層体コイルMCの径を検出するために、リコイラRCの近傍の定位置に、該リコイラにより巻回されつつある積層体コイルMCの外周との間の距離ax を検出する積層体コイル径センサHa が配置されている。
【0042】
図2に示したように、リコイラRCにより巻回されつつある積層体コイルMCの半径をr1 とし、積層体コイル径センサHa とリコイラRCの回転軸の中心との間の距離をao とすると、積層体コイルMCの半径r1 は次式により与えられる。
【0043】
r1 =ao −ax …(1)
リコイラRCの巻取線速度の設定値をVr とすると、リコイラの巻取線速度を設定値Vr に等しくするために必要なリコイラRCの回転軸の回転速度の目標値N1 [rpm ]は下記の式で与えられる。
【0044】
N1 =Vr /(2πr1 ) …(2)
従って、リコイラRCの回転軸3の回転速度を検出して、検出された回転速度を(2)式により与えられる目標値N1 に等しくするようにリコイラモータを制御することにより、リコイラRCの巻取線速度を設定値Vr に等しくすることができる。
【0045】
アンコイラ側には、アンコイラUC1 ,UC2 ,…にそれぞれ支持されている素材コイルC1 ,C2 ,…の径を検出する素材コイル径検出手段と、ダンサローラD1 ,D2 ,…の位置を検出するダンサローラ位置検出手段とを設けておき、アンコイラUC1 ,UC2 ,…にそれぞれ支持された素材コイルC1 ,C2 ,…の径を検出する素材コイル径検出手段が検出したそれぞれの素材コイルの径から各アンコイラの巻戻し線速度を設定値に保つために必要な各アンコイラの巻戻し回転速度を各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値N2 ´として演算する。また各アンコイラに対応するダンサローラの位置を検出するダンサローラ位置検出手段が検出しているダンサローラの位置を基準位置に一致させるために各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値に乗じる必要がある補正係数K1 を演算する。そして、この補正係数K1 を暫定目標値N2 ´に乗じることにより各アンコイラの巻戻し回転速度の目標値を演算し、各アンコイラの巻戻し回転速度を演算された目標値に一致させるように各アンコイラモータを制御する。
【0046】
図1及び図2に示した例では、アンコイラUC1 ,UC2 ,…にそれぞれ支持された素材コイルC1 ,C2 ,…の径を検出するために、アンコイラUC1 ,UC2 ,…のそれぞれの近傍の定位置に、素材コイルC1 ,C2 ,…の外周との間の距離bx (図2参照)を検出する素材コイル径センサHb1,Hb2,…が配置されている。
【0047】
図2に示したように、各アンコイラに支持された素材コイルの半径をr2 とし、素材コイル径センサHb1,Hb2,…のそれぞれとアンコイラの回転軸の中心との間の距離をbo とすると、各素材コイルの半径r2 は、次式により与えられる。
【0048】
r2 =bo −bx …(3)
各アンコイラから繰り出される素材ストリップの線速度の設定値をVr とすると、各アンコイラの巻戻し線速度が設定値Vr に等しいときのアンコイラの回転軸の回転速度N2 ´[rpm ]は下記の式で与えられる。
【0049】
N2 ´=Vr /(2πr2 ) …(4)
積層体コイル径センサ及び素材コイル径センサに検出誤差がないとすれば、リコイラの回転軸の回転速度(巻取回転速度)を前記(2)式で与えられる回転速度N1 に等しくするようにリコイラモータを制御し、各アンコイラの回転軸の回転速度(巻戻し回転速度)を(4)式で与えられる回転速度N2 ´に等しくするように各アンコイラの回転軸を駆動するアンコイラモータを制御することにより、リコイラ及びアンコイラを同期させて、一連の素材コイルからの素材ストリップの巻戻し、及び積層体の巻回を連続的に行なわせることができる。
【0050】
しかしながら、各センサに検出誤差がある場合には、上記の制御を行なっただけでは、各アンコイラとリコイラとを同期させることは難しい。そこで、本発明においては、各センサに検出誤差が生じるのを避けられない場合に、(4)式により与えられるN2 ´を各アンコイラの回転軸の回転速度の暫定目標値とし、ダンサローラの位置を検出して、該ダンサローラの位置を基準位置に保つように、各アンコイラの回転軸の回転速度の目標値を修正する。
【0051】
図1及び図2に示した例では、アンコイラUC1 ,UC2 ,…にそれぞれ対応するダンサローラD1 ,D2 ,…のそれぞれの位置を検出するために、各ダンサローラにドグ5が取り付けられていて、ダンサローラD1 ,D2 ,…のそれぞれの原点位置Po に相応する位置に、ダンサローラD1 ,D2 ,…に取り付けられたドグ5との間の距離(原点位置Po と各ダンサローラの実際の位置との間の距離)を検出するダンサ位置センサHc1,Hc2,…が配置されている。
【0052】
図2に示したように、ダンサローラの原点位置Po から限界位置P1 までの距離をLo 、限界位置P1 と基準位置Ps との間の距離をL1 とし、ダンサローラの実際の位置と原点位置Po との間の距離をLx として、下記の式により補正係数K1 を演算する。
【0053】
K1 =(Lo −Lx )/L1 …(5)
この補正係数は、ダンサローラの位置が基準位置Ps に一致したときに1となり、ダンサローラが限界位置に達したときに零になる。この補正係数K1 を各アンコイラ毎に設けて、下記の(6)式のように各アンコイラの回転軸の回転速度の暫定目標値N2 ´に補正係数K1 を乗じることにより、各アンコイラの回転軸の回転速度(巻戻し回転速度)の目標値N2 を求める。
【0054】
N2 =N2 ´×K1 …(6)
各アンコイラの巻戻し線速度がリコイラの巻取線速度に等しいときには、ダンサローラの位置が基準位置に一致しているため、(5)式により与えられる補正係数K1 が1に等しくなり、(6)式により与えられる各アンコイラの巻戻し回転速度の目標値N2 は(4)式により与えられる暫定目標値N2 ´に等しくなる。各アンコイラの巻戻し線速度がリコイラの巻取線速度よりも速い場合には、ダンサローラが基準位置を超えて限界位置側に変位するため、(5)式により与えられる補正係数K1 は1よりも小さくなり、(6)式により与えられるアンコイラの巻戻し回転速度の目標値は(4)式により与えられる暫定目標値N2 ´よりも遅くなる。いずれかのアンコイラから繰り出される素材ストリップの線速度が速くなり過ぎて、そのアンコイラに対応するダンサローラが限界位置に達したときには、(5)式により与えられる補正係数K1 が零になり、(6)式により与えられる巻戻し回転速度の目標値N2 が零になるため、そのアンコイラの回転軸は停止させられる。また各アンコイラから繰り出される素材ストリップの線速度がリコイラに巻き込まれる積層体の線速度よりも遅い場合には、ダンサローラが基準位置よりも原点位置側に変位するため、(5)式により与えられる補正係数K1 は1よりも大きくなり、(6)式により与えられるアンコイラの巻戻し回転速度の目標値は(4)式により与えられる暫定目標値N2 ´よりも速くなる。
【0055】
上記のように、各アンコイラに対して(6)式により与えられる目標値N2 を求めて、各アンコイラの巻戻し回転速度を(6)式により与えられる目標値N2 に一致させるようにアンコイラモータを制御すると、距離センサの誤差により、アンコイラの巻戻し線速度とリコイラの巻取線速度との間に差が生じても、その差をダンサローラにより吸収して、修正できるため、積層体コイルの巻回を連続的に行なわせることができる。
【0056】
本発明に係わる積層体コイルの製造方法を実施するために用いる装置の制御部の構成の一例を図3に示した。
【0057】
図3に示した制御部は、アンコイラ側制御部UCCと、リコイラ側制御部RCCと、これらの制御部に巻戻し線速度及び巻取線速度の設定値Vr を与える速度設定器10とにより構成されている。
【0058】
アンコイラ側制御部UCCにおいては、素材コイルの外周との間の距離bx を検出して該距離bx に比例したアナログ出力電圧Vb を出力する素材コイル径センサHbn(n=1,2,…)と、該センサHbnのアナログ出力Vb をデジタル信号Vbdに変換するA/D変換器11と、A/D変換器11の出力Vbdから素材コイルCn (n=1,2,…)の半径r2 を演算する素材コイル径演算手段12とにより、素材コイル径検出手段が構成されている。
【0059】
素材コイル径センサHbnの出力電圧Vb は、素材コイルの外周との間の距離に応じて0〜10[V]の範囲で変化する。素材コイル径演算手段12は、先ずA/D変換器11の出力Vbdを下記の(7)式を用いてセンサHbnから素材コイルCn (n=1,2,…)の外周との間の距離bx に換算する。
【0060】
bx =(Vbd/DIV)×L …(7)
ここで、DIVはA/D変換の分解値(単位距離当りのビット数)であり、Lは素材コイル径センサHbnの出力電圧が10[V](最大値)のときの実距離である。
【0061】
素材コイル径演算手段12は更に(3)式を用いて素材コイルCn の半径r2 を演算する。
【0062】
またダンサローラDn との間の距離Lx を検出して該距離Lx に比例したアナログ出力電圧VL を出力するダンサ位置センサHcn(n=1,2,…)と、該センサHcnのアナログ出力電圧VL をデジタル信号VLdに変換するA/D変換器13とによりダンサローラ位置検出手段が構成されている。ダンサ位置センサHcnが出力するアナログ出力電圧VL は該センサとダンサローラとの間の距離に応じて0〜10[V]の範囲で変化する。A/D変換器13の出力VLdは補正係数演算手段14に与えられ、該補正係数演算手段14により、補正係数K1 が演算される。
【0063】
補正係数演算手段14は、先ず信号VLdを下記の式によりセンサHcnとダンサローラDn との間の距離Lx に換算する。
【0064】
Lx =(VLd/DIV)×L …(8)
補正係数演算手段14はまた、(8)式により演算された距離Lx と(5)式とを用いて、補正係数K1 を演算する。
【0065】
素材コイル径演算手段12により演算された素材コイルの半径r2 は、前記(4)式を用いて巻戻し回転速度の暫定目標値N2 ´を演算する巻戻し速度暫定目標値演算手段15に与えられる。演算手段15により演算された暫定目標値N2 ´は、補正係数演算手段14により演算された補正係数K1 とともに巻戻し速度目標値演算手段15に与えられる。巻戻し速度目標値演算手段15は、暫定目標値N2 ´に補正係数K1 を乗じて巻戻し回転速度の目標値N2 を演算する。
【0066】
巻戻し回転速度の目標値N2 は、回転速度/係数変換手段17に与えられて係数V2 に変換され、この係数V2 はD/A変換器18によりアンコイラモータ回転指令電圧Eumに変換される。
【0067】
回転速度/係数変換手段17は、下記の式により巻戻し回転速度の目標値N2 に相応する係数V2 を演算する。
【0068】
V2 =(N2 /N2m)×DIV …(9)
ここでN2mは、アンコイラモータ回転指令Eumが10[V](最大値)のときのアンコイラモータの回転速度であり、DIVは、D/A変換の分解値(ビット数)である。この係数V2 はD/A変換器18により0[V]から10[V]まで変化するアンコイラモータ回転指令電圧Eumに変換される。
【0069】
D/A変換器18が出力するアンコイラモータ回転指令電圧Eumは、目標値N2 に相応するアナログ信号電圧で、この回転指令電圧Eumはアンコイラの回転軸1の回転速度を目標値に保つように制御するモータ制御器19に与えられる。モータ制御器19は、アンコイラの回転軸1の回転速度を検出するセンサを備えていて、該センサにより検出されたアンコイラの回転軸の回転速度をモータ回転指令Eumにより与えられる目標値(N2 )に一致させるようにアンコイラモータの回転速度を制御する。
【0070】
上記素材コイル径センサHbn、A/D変換器11、素材コイル径演算手段12、ダンサ位置センサHcn、A/D変換器13、補正係数演算手段14、巻戻し速度暫定目標値演算手段15、巻戻し速度目標値演算手段16、回転速度/係数変換手段17、D/A変換器18及びアンコイラモータ制御器19により、アンコイラ側制御部UCCが構成されている。
【0071】
上記アンコイラ制御部UCCは、アンコイラUC1 ,UC2 ,…のそれぞれに対して設けられている。速度設定器10が出力する設定値Vr は、アンコイラUC1 ,UC2 ,…のそれぞれに対して設けられたアンコイラ制御部UCCに分配される。
【0072】
またリコイラ制御部RCCは、積層体コイル径センサHa の出力Va をデジタル信号Vadに変換するA/D変換器20と、A/D変換器20の出力VadをセンサHa と積層体コイルの外周との間の距離ax に変換した後(1)式を用いて積層体コイル径r1 を演算する積層体コイル径演算手段21と、積層体コイル径r1 と前記(2)式とを用いてリコイラの巻取回転速度の目標値N1 を演算する巻取回転速度目標値演算手段22と、巻取回転速度の目標値N1 を係数に変換する回転速度/係数変換手段23と、回転速度/係数変換手段23により変換された係数を0〜10[V]の範囲を変化するリコイラモータ回転指令電圧Ermに変換するD/A変換器24と、リコイラモータ回転指令電圧Ermを入力として、リコイラの巻取回転速度を目標値N1 に一致させるようにリコイラモータの回転速度を制御するリコイラモータ制御器25とにより構成されている。このリコイラ制御部においては、積層体コイル径センサHa と、A/D変換器20と、積層体コイル径演算手段21とにより、積層体コイル径検出手段が構成されている。
【0073】
積層体コイル径演算手段21は、A/D変換器20の出力Vadを下記の式により、センサHa と積層体コイルとの間の距離ax に換算する。
【0074】
ax =(Vad/DIV)×L …(10)
積層体コイル径演算手段21は更にこの距離ax と(1)式とを用いて積層体コイルMCの半径r1 を演算する。
【0075】
巻取速度目標値演算手段22は、上記半径r1 と(2)式とを用いてリコイラの巻取回転速度の目標値N1 を演算する。
【0076】
回転速度/係数変換手段23は、下記の演算を行なって、リコイラの巻取回転速度の目標値N1 を係数V1 に変換する。
【0077】
V1 =(N1 /N1m)×DIV …(11)
ここで、N1mはリコイラモータ回転指令電圧Ermが10[V](最大値)のときのモータの回転速度であり、DIVはD/A変換の分解値である。
【0078】
リコイラモータ制御器25は、リコイラの回転軸3の回転速度を検出する手段を備えていて、該検出手段により検出されたリコイラの回転軸の回転速度をリコイラモータ回転指令電圧Ermにより与えられる目標値(N1 )に一致させるようにリコイラモータを制御する。
【0079】
図3に示した装置において、積層体コイル径センサHa 、素材コイル径センサHbn及びダンサ位置センサHcnをそれぞれ構成する距離センサとしては、前述した超音波式距離センサのような非接触式のものを用いるのが望ましい。
【0080】
また素材コイル径演算手段12、巻戻し速度暫定目標値演算手段15、補正係数演算手段14、巻戻し速度目標値演算手段16および回転速度/係数変換手段17、積層体コイル径演算手段21、巻取速度演算手段22および回転速度/係数変換手段23は、マイクロコンピュータにより実現することができる。
【0081】
上記の積層体コイル製造装置を用いてアモルファス磁性合金ストリップの積層体コイルを製造するに当たっては、先ず一連のアンコイラUC1 ,UC2 ,…からそれぞれ所定長さの素材ストリップS1 ,S2 ,…を巻戻して、これらの素材ストリップをリコイラRC側に導き、該素材ストリップS1 ,S2 ,…の積層体の先端をリコイラRCに支持された巻枠4に固定する。アンコイラUC1 ,UC2 ,…にそれぞれ対応するダンサローラD1 ,D2 ,…はそれぞれの基準位置Ps 付近に位置させておく。
【0082】
次いでリコイラRCと一連のアンコイラUC1 ,UC2 ,…とを同時に起動させ、アンコイラUC1 ,UC2 ,…からそれぞれ巻戻された素材ストリップS1 ,S2 ,…を積層体としてリコイラRCにより巻き取って積層体コイルMCを形成する。
【0083】
積層体コイルMCを巻回する過程で、リコイラRC側では、積層体コイル径センサHa とA/D変換器20と積層体コイル径演算手段21とにより構成される積層体コイル径検出手段により積層体コイルの半径r1 を検出し、検出された積層体コイルの半径r1 を巻取速度演算手段22に与えてリコイラRCに巻き込まれる積層体の線速度を設定値Vr に等しくするために必要な巻取回転速度の目標値を演算する。演算された目標値を回転速度/係数変換手段23により係数V1 に変換した後D/A変換器23によりリコイラモータ回転指令電圧Ermに変換し、該指令電圧Ermをリコイラモータ制御器25に与える。リコイラモータ制御器25によりリコイラモータの回転速度を指令電圧Ermにより与えられる目標回転速度に保つように制御してリコイラRCの巻取回転速度を演算された目標値N1 に保つ。
【0084】
アンコイラ側では、素材コイル径センサHbnとA/D変換器11と素材コイル径演算手段12とにより構成される素材コイル径検出手段により、各アンコイラに支持された素材コイルの半径を検出し、検出された素材コイルの径から各アンコイラより繰り出される素材ストリップの線速度を設定値Vr に保つために必要な各アンコイラの巻戻し回転速度を各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値N2 ´として演算する。
【0085】
またダンサ位置センサHcnとA/D変換器13とにより構成されるダンサローラ位置検出手段により各アンコイラに対応するダンサローラの位置を検出し、検出されたダンサローラの位置を補正係数演算手段14に与えて、各ダンサローラの位置を基準位置Ps に一致させるために各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値N2 ´に乗じる必要がある補正係数K1 を演算する。この補正係数K1 を巻戻し速度目標値演算手段16に与えて、暫定目標値N2 ´に補正係数K1 を乗じる演算を行なわせることにより各アンコイラの巻戻し回転速度の目標値N2 を演算する。この目標値N2 を回転速度/係数変換手段17に与えて係数V2 に変換した後、D/A変換器18によりアンコイラモータ回転指令電圧Eumに変換し、該指令電圧を各アンコイラモータ制御器19に与えて各アンコイラの巻戻し回転速度を演算された目標値N2 に一致させるように各アンコイラモータを制御する。
【0086】
以上説明した実施の形態では、素材コイルの径を検出することにより、巻戻し線速度を設定値に保つために必要なアンコイラの回転軸の回転速度の目標値を求めて、アンコイラの回転軸の回転速度を該目標値に等しくするようにアンコイラモータを制御するようにしたが、各アンコイラから繰り出される素材ストリップに接触して回転するローラの回転数から巻戻し線速度を求めて、該巻戻し線速度を設定値に保つようにアンコイラモータを制御するようにしてもよい。
【0087】
また同様に、リコイラに巻き込まれる素材ストリップに接触して回転するローラの回転数を検出することにより巻取線速度を検出して、該巻取線速度を設定値に保つようにリコイラモータを制御するようにしてもよい。
【0088】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、リコイラに巻き込まれる積層体の線速度と各アンコイラから巻戻される素材ストリップの線速度とを同じ設定値に等しくするようにアンコイラ及びリコイラを制御するようにしたので、各アンコイラをリコイラと同期させて連続回転させることができ、積層体コイルの形成を連続的に行なわせて積層体コイルの製造を能率よく行なわせることができる。
【0089】
本発明において、ダンサローラの位置を基準位置に保つように各アンコイラの巻戻し回転速度の目標値を修正するようにした場合には、積層体コイルの径の検出及び素材コイルの径の検出に誤差が生じた場合でも該誤差を吸収してリコイラの巻取線速度と各アンコイラの巻戻し線速度とを一致させることができるため、積層体コイルの巻回作業を円滑に行なわせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる積層体コイル製造装置のアンコイラ側の構成例を概略的に示した構成図である。
【図2】本発明に係わる積層体コイル製造装置のリコイラ側の構成例をリコイラに最も近い位置に配置される1台のアンコイラとともに示した概略構成図である。
【図3】本発明に係わる積層体コイル製造装置の制御部の構成例を示したブロック図である。
【図4】従来の積層体コイル製造装置の構成を概略的に示した構成図である。
【符号の説明】
UC1 ,UC2 ,UC3 アンコイラ
RC リコイラ
MC 積層体コイル
C1 ,C2 ,C3 素材コイル
S1 ,S2 ,S3 素材ストリップ
D1 ,D2 ,D3 ダンサローラ
Ha 積層体コイル径センサ
Hb1,Hb2,Hb3 素材コイル径センサ
Hc1,Hc2,Hc3 ダンサ位置センサ
1 アンコイラの回転軸
3 リコイラの回転軸
4 巻枠

Claims (2)

  1. アモルファス磁性合金からなる素材ストリップをコイル状に巻回して構成した素材コイルを回転自在に支持して該素材コイルから素材ストリップを巻戻すアンコイラを複数台設け、前記複数台のアンコイラによりそれぞれ巻戻された複数の素材ストリップを重ね合わせて積層体としてリコイラにより巻き取ることによりアモルファス磁性合金ストリップの積層体コイルを製造する方法であって、
    変位自在に支持されて一方向に付勢されたダンサローラを前記複数のアンコイラのそれぞれに対して設けて、各アンコイラにより巻き戻された素材ストリップを対応するダンサローラを経由させることにより該素材ストリップに弛みを形成するようにしておき、
    前記リコイラにより巻回されつつある積層体コイルの径を検出する積層体コイル径検出手段と、各アンコイラに支持されている素材コイルの径を検出する素材コイル径検出手段と、前記ダンサローラの位置を検出するダンサローラ位置検出手段とを設けておき、
    前記積層体コイル径検出手段により検出された積層体コイルの径からリコイラに巻き込まれる積層体の線速度を設定値に等しくするために必要な巻取回転速度の目標値を演算して、リコイラの巻取回転速度を演算された目標値に保つように制御し、
    各アンコイラに支持された素材コイルの径を検出する素材コイル径検出手段が検出した素材コイルの径から各アンコイラより繰り出される素材ストリップの線速度を前記設定値に保つために必要な各アンコイラの巻戻し回転速度を各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値として演算し、
    各アンコイラに対応するダンサローラの位置を検出するダンサローラ位置検出手段が検出しているダンサローラの位置を基準位置に一致させるために前記各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値に乗じる必要がある補正係数を演算し、 前記暫定目標値に補正係数を乗じることにより各アンコイラの巻戻し回転速度の目標値を演算して、各アンコイラの巻戻し回転速度を演算された目標値に一致させるように制御することを特徴とするアモルファス磁性合金ストリップ積層体コイルの製造方法。
  2. アモルファス磁性合金からなる素材ストリップをコイル状に巻回して構成した素材コイルをアンコイラモータにより駆動される回転軸に支持して該素材コイルから素材ストリップを巻戻す複数台のアンコイラと、前記複数台のアンコイラによりそれぞれ巻戻された複数の素材ストリップを重ね合わせることにより形成した積層体をリコイラモータにより駆動される回転軸に支持された巻枠に巻き取って積層体コイルを形成するリコイラと、前記複数台のアンコイラによりそれぞれ巻戻されて前記リコイラに供給される複数の素材ストリップにそれぞれ弛みを形成する複数のダンサローラとを備え、各ダンサローラは各アンコイラの近傍で少くとも原点位置と素材ストリップの弛みを最大にする限界位置との間を往復変位し得るように設けられていて常時限界位置側に付勢されているアモルファス磁性合金ストリップ積層体コイルの製造装置であって、
    前記リコイラにより巻回されつつある積層体コイルの径を検出する積層体コイル径検出手段と、
    前記積層体コイル径検出手段により検出された積層体コイルの半径r 1 に対して前記リコイラにより巻き取られる素材ストリップの線速度を設定値V r に等しくするために必要なリコイラの巻取回転速度の目標値N 1 =V r /(2πr 1 )を演算する巻取速度目標値演算手段と、
    前記リコイラの回転軸を前記巻取速度目標値演算手段により演算された目標値N 1 で回転させるように各リコイラの回転軸を駆動するリコイラモータを制御するリコイラモータ制御器と、
    前記複数台のアンコイラのそれぞれに対して設けられて複数台のアンコイラの回転軸にそれぞれ支持された素材コイルの径を検出する素材コイル径検出手段と、
    各アンコイラに対して設けられた素材コイル径検出手段により検出された素材コイルの半径r 2 に対して各アンコイラから巻戻される素材コイルの線速度を設定値V r に等しくするために必要な各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値N 2 ´=V r /(2πr 2 )を各アンコイラ毎に演算する巻戻し速度暫定目標値演算手段と、
    各ダンサローラに対して設けられて各ダンサローラの実際の位置と前記原点位置との間の距離L x を検出するダンサローラ位置検出手段と、
    各アンコイラに対応するダンサローラの原点位置と限界位置との間の距離をL o とし、各ダンサローラの限界位置と予め設定した基準位置との間の距離をL 1 として、該距離L o 及びL 1 と前記距離L x とから各アンコイラに対応するダンサローラの位置を基準位置に一致させるために各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値に乗じる必要がある補正係数K 1 =(L o −L x )/L 1 を演算する補正係数演算手段と、
    各アンコイラの巻戻し回転速度の暫定目標値N 2 ´に各アンコイラに対して演算された補正係数K 1 を乗じることにより各アンコイラの巻戻し回転速度の目標値N 2 =N 2 ´×K 1 を演算する巻戻し速度目標値演算手段と、
    各アンコイラの回転軸を前記目標値N 2 で回転させるように各アンコイラの回転軸を駆動するアンコイラモータを制御するアンコイラモータ制御器と、
    を具備したことを特徴とするアモルファス磁性合金ストリップ積層体コイルの製造装置。
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