JP3662333B2 - 蛍光化抗血清およびIgG画分 - Google Patents

蛍光化抗血清およびIgG画分 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、抗原として実質的に蛍光性でない色素に対する抗血清、抗体、およびIgG画分であって、該色素と混合することにより、蛍光性となる前記抗血清、抗体、およびIgG画分に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生体内での代謝物質や環境中での汚染物質の変化の過程において微量物質の分析方法として従来から分光分析法がよく利用されている。特に吸収スペクトル分析、蛍光スペクトル分析法は、測定方法が簡便であり広く使用されている。
【0003】
吸収スペクトル分析法は、後に説明する蛍光分析法に比較して検出感度は低いけれども、測定対象物質が紫外可視部の光吸収を持つものが多いため広く利用されてきた。
【0004】
すなわち、吸光分析において吸光度(Absorbance)と測定対象物質の濃度cは次の式にしたがう。
【0005】
吸光度=log(I0/I)=εcl
0:入射光の強度、
I:試料を通過した光の強度
ε:測定対象物質の吸光度係数、
l:光路長
式が示すように、吸光度の測定で得られるのは入射光と透過光の比であり、これは光源強度や検出器の感度を上げても変化することはない。
【0006】
これに対し、被測定物質が蛍光性であれば、蛍光分析法を利用でき、この場合は、励起光をあてたときに物質が発する光の量を測るものであり、それゆえ光源を強くしたり検出器の感度を上げることで測定の感度を向上させることが出来る。
【0007】
すなわち、蛍光として放出される光の強度Fと蛍光物質の濃度c、励起光強度I0との間には
F=ΦI0(1−10-εcl
0:入射光の強度、
ε:測定対象物質の吸光度係数、
l:光路長、
Φ:蛍光の量子収率
の関係があり入射光の強度 に比例する。
【0008】
さらに測定対象物質が多成分からなる混合物試料中に含まれている場合は、吸光度の測定では、夾雑物の吸収スペクトルが分析対象物質の吸収スペクトルと重なる場合が多く、分析対象物質の吸光度だけを選択的に測定することは困難である。
【0009】
一方測定対象物質が多成分からなる混合物試料中に含まれている場合であっても、蛍光分析法では、蛍光性でない侠雑物は無視できるし、また蛍光性の供雑物が共存する場合でも、励起波長と蛍光波長を選択することにより分析対象物質だけを選択的に測定することが可能である。
【0010】
それゆえ、検出感度および混合物の測定可能性の点からは蛍光分析法が吸光分析法に比較して優れている。
【0011】
従って、従来から、蛍光分析法の高感度測定が可能であるという利点と、抗原抗体反応における高選択性を利用する分析技術として、蛍光色素に対する抗体の調整が行なわれてきた。これらの抗体は、色素と反応して色素の蛍光強度を減少させるか、増加させる。
【0012】
そこで、これらの蛍光強度の変化を用いて、これら色素の特異的定量分析が行われてきた。
【0013】
しかしながら、上記の抗原抗体反応を利用した高感度高選択的蛍光分析技術は分析対象物が実質的に蛍光性でない場合は使用できないという本質的な制限があった。
【0014】
一方、通常の測定条件下においては実質的に蛍光性でない色素が、特殊な条件下では、蛍光測定が可能となること、すなわち蛍光性となることが知られている。
【0015】
例えば、マラカイトグリーンは通常蛍光性でないが、グリセリン中で蛍光性となることが知られている。このことは、溶媒等の影響により、色素分子の構造が固定され、その結果色素分子が蛍光性となると説明されている。
【0016】
さらに、生体内には多くの蛍光物質が存在し、これらの蛍光(自家発光)は、生体試料の蛍光測定の際にバックグラウンドとなり、検出感度を減少させ得るものであり、また、タイタープレートを用いた蛍光免疫測定の場合においても、プレートのプラスチック材質が発する蛍光も同様にバックグラウンドとなり、検出感度を減少させ得るものであり、これらは従来の高感度の蛍光測定を妨げる原因であった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は以上の点に鑑み、通常の測定条件下においては実質的に蛍光性でない色素に特異的に結合し、その結合により色素分子の分子構造を固定することにより蛍光性を増大または発現させることが可能な抗体を見いだすことを目的とする。また、極めて低いバックグラウンド蛍光により、他の色素に比較して高感度の測定が可能となる蛍光色素を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る抗血清は、蛍光性でない色素を有する抗原に対する抗体を含むものであって、前記実質的に蛍光性でない色素との混合物が蛍光性を有することを特徴とするものである。
【0019】
本発明に係るIgG画分は、蛍光性でない色素を有する抗原に対する抗体を含む抗血清中のIgG画分であって、前記実質的に蛍光性でない色素との混合物が蛍光性を有することを特徴とするものである。
【0020】
本発明に係る抗体は、蛍光性でない色素を有する抗原に対する抗体であって、前記実質的に蛍光性でない色素との混合物が蛍光性を有することを特徴とするものである。
【0021】
すなわち、本発明は、実質的に蛍光性でない色素を有する抗原に対する抗体を含む抗血清であって、前記抗血清または前記抗体と前記色素との混合物が蛍光性を有することを特徴とする抗血清に係るものである。
【0022】
また本発明は、実質的に蛍光性でない色素を有する抗原に対する抗体を含む抗血清中のIgG画分であって、前記IgG画分と前記色素との混合物が蛍光性を有することを特徴とするIgG画分に係るものである。
【0023】
さらに本発明は、実質的に蛍光性でない色素を有する抗原に対する抗体であって、前記抗体と前記色素との混合物が蛍光性を有することを特徴とする抗体に係るものである。
【0024】
本発明の抗血清、抗体およびIgG画分においては、前記色素が、前記抗体と結合体を形成していない時には実質的に蛍光性でなく、前記抗体と結合体を形成することにより蛍光性となるものであることが好ましい。
【0025】
また本発明の抗血清、抗体およびIgG画分においては、前記抗体が、実質的に蛍光性でない色素に結合し、その結合により前記色素の分子構造を固定することにより蛍光性を増大または発現させることが可能なものであることが好ましい。
【0026】
また本発明の抗血清、抗体およびIgG画分においては、前記抗原が、免疫性物質に前記色素を付加して形成したものであることが好ましい。
【0027】
さらに本発明の抗血清、抗体およびIgG画分においては、前記免疫性物質が、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、ウサギ血清卵白アルブミン、ウシガンマグロブリン、ウマ血清グロブリン、ヒトガンマグロブリン、ヒツジガンマグロブリン、ウシチログロブリン、ブタチログロブリン、ヘモシアニン、合成ポリペプチドからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0028】
本発明の抗血清、抗体およびIgG画分においては、前記色素が、トリフェニルメタン構造を有する色素であることが好ましい。
【0029】
このようなトリフェニルメタン構造を有する色素としては、マラカイトグリーンが特に好ましい。
【0030】
また本発明の抗血清、抗体およびIgG画分においては、前記色素が、ジフェニルメタン構造を有する色素であってもよい。
【0031】
このようなジフェニルメタン構造を有する色素としては、オーラミンOが特に好ましい。
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
(実質的に蛍光性でない色素)
本発明において使用可能な色素は、水中等通常の溶媒中で実質的に蛍光性を示さないもの、または蛍光性を示すが弱いものであれば特に制限されない。
【0034】
すなわち、本発明において実質的に蛍光性でないとは、通常の測定条件では蛍光スペクトルを示さないか、もしくは極めて弱い蛍光のみ示し、実質的には市販の装置等により、蛍光分光分析ができないとされているものをいう(西川泰治等、”蛍光リン光分析法”、共立出版、30ページ、1984年)。
【0035】
本発明においては、蛍光量子収率が特定の条件で1%以下の場合は、ここでいう実質的に蛍光性を示さない色素であり、蛍光量子収率が特定の条件で10ー2%以下の場合は、特に実質的に蛍光性を示さない色素を意味する。
【0036】
ただし、特別な測定条件、測定装置等により極微弱な蛍光を検出可能である場合においては、本発明において実質的に蛍光性でない色素が本発明に係る処理により蛍光性となり、蛍光分析が可能となるという意味は、該色素の蛍光量子収率が通常の測定条件では極めて小さい(例えば0.01%以下)が、本発明に係る処理により抗体と相互作用することにより大きく変化する(例えば1%以上)ということを意味するものとする。
【0039】
本発明においては、上記の蛍光量子収率増大が少なくとも10倍以上であることが望ましいが、100倍、さらには1000倍以上(より好ましくは10000倍以上)増加することが望ましい。
【0040】
例えば、マラカイトグリーンについては、約1000倍以上の蛍光量子収率の増加が得られ得る。
【0041】
また本発明で使用可能な色素とは必ずしも可視部の吸収(350nm以上に吸収極大を有する)を有する必要はなく、紫外部(350nm以下に吸収極大を有する)の吸収を有するもの、または吸収バンドが可視部にまで及んでいるものでもよい。
【0042】
本発明で使用可能な色素の分子構造は特に制限されず、種々の発色団(クロモファ)を含むものが可能である。
【0043】
特に、pHが中性附近で安定な発色団を含むものが望ましい。
【0044】
例えば、分子構造中にトリフェニルメタン骨格を有する色素が特に好ましく(例えば、講談社サイエンティフィック社、大河原信編「色素ハンドブック」参照)、さらに分子構造中にトリフェニルメタン骨格を有する色素であるマラカイトグリーン等が特に好ましく使用される。
【0045】
またジフェニルメタン骨格を有する色素(例えば、講談社サイエンティフィック社、大河原信編「色素ハンドブック」参照)も好ましく使用可能である。ジフェニルメタン系の色素としては例えばオーラミン系色素が好適に使用可能である。特にオーラミンOの使用が好ましい。
【0046】
(免疫性物質)
本発明で使用可能な免疫性物質としては特に制限されない。
【0047】
一般的に使用可能な、例えばアルブミン(ウシ血清、ヒト血清)、ウサギ卵白アルブミン、血清グロブリン(ウシガンマグロブリン、ウマ血清グロブリン、ヒトガンマグロブリン、ヒツジガンマグロブリン)、チログロブリン(ウシチログロブリン、ブタチログロブリン)、ヘモシアニン、合成ポリペプチド等が好適に使用可能である。
【0048】
(実質的に蛍光性でない色素を有する抗原の作製)
本発明で、実質的に蛍光性でない色素を有する抗原の作製方法については特に制限されない。
【0049】
例えば、上記免疫性物質と実質的に蛍光性でない色素を所定時間撹拌混合し、ゲル瀘過クロマトグラフィを用いて該色素を有する抗原の画分を分離することが可能である。
【0050】
さらに必要な場合には例えば免疫反応を利用する精製手段を使用することにより精製することも可能である(川島紘一郎(訳):”イムノアッセイ入門”、南山堂、70ページ、1987)。
【0051】
得られた該色素を有する抗原の濃度は例えばLowry法で定量可能である。
【0052】
(抗血清作製)
本発明の抗体は、免疫工程で好ましく作製可能である。
【0053】
免疫動物としては特に制限されないが、ウサギ、およびモルモットが好適に使用可能である。
【0054】
本発明で使用可能な免疫アジュバントは特に制限されないが、一般的なフロイント不完全アジュバント、アルミニウムアジュバント等が好適に使用可能である。
【0055】
本発明で使用可能な免疫注射法については特に制限はないが、例えばモルモットにおいては皮下注射、腹こう内注射等が好適に使用され得る。
【0056】
本発明においては、抗血清の産生確認と採取については、必要ならば追加免疫を実施し、試験採取を行い抗体価を調べることにより行うことが可能である。
【0057】
本発明において、採取された抗血清の分離には特に制限はなく、一般的な方法、例えば採決血液を凝固させた後、遠心分離により血清を分離することが可能である。得られた抗血清の抗体色素に対する特異的抗体活性は、酵素免疫反応等で好ましく測定可能である(”生物活性を用いる測定法”、丸善、新基礎生化学実験法6、98ページ)。
【0058】
(IgG画分)
本発明においては、抗血清からのIgG画分の精製法は特に制限されない。塩析法、ゲル瀘過法、イオン交換クロマトグラフ法等が好ましく使用可能であり、特にプロテインA法が好ましく使用可能である。さらに得られたIgG画分はまた、遠心法により濃縮可能であり所定の濃度に調整可能である。
【0059】
(蛍光スペクトル測定法)
本発明においては、上記抗血清または抗体と蛍光性でない色素を混合することにより、当該混合溶液が蛍光性となり、得られた混合液の蛍光スペクトルを種々の測定法で測定することが可能である(蛍光・リン光分析法、西川・平本著、共立出版、第2章49〜99ページ)。
【0060】
特に、共存物の干渉を受けずに、色素からの蛍光のみを高感度で定量することが、対照混合物との蛍光差スペクトルを測定することにより可能となる。
【0061】
本発明において発現する蛍光量子収率は、色素、免疫性物質、免疫動物、免疫工程、分離精製手段等に依存する。
【0062】
さらに本発明により、発現した蛍光性を利用して色素の定量分析が可能となる。定量分析の限界は、上記量子収率に依存する。
【0063】
(トリフェニルメタン系色素)
例えば、マラカイトグリーンについて次のように吸光度感度と蛍光検出による測定感度の比較が可能である。
【0064】
マラカイトグリーンをPBSに溶解し、4〜4000nMの濃度範囲の希釈系列を調製する。
【0065】
これらの溶液の617nmの吸光度を測定(日立557型二波長分光光度計、光路長1cm石英セル、対照PBS)し(表1)、濃度−吸光度曲線を作成する(図6)。
【0066】
表1
濃度(nM) 4 12 40 120 400 1200 4000
吸光度(617nm) 0 0 0.002 0.009 0.036 0.132 0.464
図に示されるように、40〜4000nMの範囲で濃度ー吸光度の間に直線的な相関が得られたが、12nM以下では測定できなかった。
【0067】
一方、モルモット1由来の本発明のIgG画分を一定量(最終濃度0.2μM)添加し、色素濃度を0〜12nMの範囲に調節したマラカイトグリーンの希釈系列(PBS溶液)を調製した。
【0068】
これらの溶液の蛍光を測定(日立蛍光分光光度計850型、励起側光路長1cm石英セル、励起波長617nm,発光波長650nm、励起光と発光のバンドパス幅はともに5nm,光電子倍増管の利得はHigh,時定数は1.5秒、蛍光の積算時間は30秒)し(表2)、濃度ー蛍光強度曲線を作成する(図5)。
【0069】
蛍光強度は蛍光分光光度計の出力値(任意の相対値)で示した。
【0070】
表2
濃度(nM) 0 0.04 0.12 0.4 1.2 4 12
蛍光強度(650nm) 0.026 0.026 0.034 0.066 0.18 0.487 1.22
図に示されるように、0.12nM〜12nMの範囲で濃度ー蛍光強度に直線的な相関が得られ、この濃度範囲で定量分析可能であることが示される。
【0071】
従って、吸光度測定では12nMは検出できないが、本発明の抗体を用いた蛍光検出では12nMよりさらに2桁低濃度の0.12nMまで定量性良く高感度(吸光度による感度の300倍)で検出可能である。
【0072】
(ジフェニルメタン系色素)
さらに、ジフェニルメタン系色素であるオーラミンO(AO)を用いた場合においても、ローダミンと同様の効果を示す。すなわちAOの吸収スペクトルにおいて抗MG−KLH IgG混合液は、吸収強度の減少及び長波長へのシフトが見られる(図7)。
【0073】
またオーラミンOは、抗MG−KLH IgGと混合することにより蛍光性を発現する(図8)。蛍光強度は、マラカイトグリーン程度と推定される。
【0074】
以上の結果は、本発明に係る抗MG−KLH IgGが色素分子の少なくともジフェニルメタン基を認識して結合し得ることを示している。
【0075】
(マラカイトグリーンを用いた低バックグラウンド蛍光に基づく測定)
生体内には多くの蛍光物質が存在する。例えば、レチノール(ビタミンA)
は470nm付近に(生化学事典東京化学同人1373ページ)、またリボフラビンは536nm付近に極大をもつ蛍光を発する(同1350ページ)。これらの蛍光(自家蛍光)は、生体試料の蛍光測定の際にバックグラウンドとなり、検出感度を減少させ得るものである。
【0076】
また、タイタープレートを用いた蛍光免疫測定の場合においては、プレートのプラスチック材質が発する蛍光も同様にバックグラウンドとなり、検出感度を減少させ得るものである。
【0077】
この場合、励起波長および蛍光波長を、これらのバックグラウンド蛍光の励起、蛍光波長からより短波長側またはより長波長側に設定できれば、バックグラウンド蛍光の影響を効果的に減少させることができる。
【0078】
この目的においては、蛍光色素として、自家蛍光の波長から分離した励起、蛍光波長を持つ蛍光色素が有用となる。例えば、本発明で使用するマラカイトグリーンはその好適な色素の1つである。
【0079】
実際、マラカイトグリーンは、血清中成分の蛍光免疫測定において以下に説明するように極めて有効な色素であることが示される。すなわち、被検物質に対する抗体にマラカイトグリーン(以下MG)を共有結合で標識し、その抗体に抗MG抗体を反応させ、発する蛍光スペクトルを観測することが可能となる。すなわち、抗MG抗体を用いれば、抗体に標識されたMGが蛍光標識として有用であることが示される。さらにこの際、試料のバックグラウンド蛍光量(タイタープレート等の種々のバックグラウンド蛍光)、スペクトルを、MGの励起波長で観測した場合と、より短波長で励起した場合と比較することにより、MGで標識した場合においては、極めて低いバックグラウンド蛍光のみであり、他の色素に比較して高感度の測定が可能となる。
【0080】
【作用】
本発明によれば、実質的に蛍光性でない色素を有する抗原に対する抗体を含む抗血清と、さらにそのIgG画分を分離し、これら分離した抗血清またはIgG画分と該色素とを混合することで、色素分子が蛍光性を発現、または増大することとなる。この混合物からの蛍光を測定することにより、上記色素の微量分析が可能となる。抗MG抗体を用いれば、抗体に標識されたMGが蛍光標識として有用であることが示される。
【0081】
さらに、マラカイトグリーン色素で標識した場合においては、試料のバックグラウンド蛍光量を有効に減少させることが可能となり、従って、他の色素と比較して、高感度の測定が可能となる。
【0082】
【実施例】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0083】
(1)マラカイトグリーン標識ヘモシアニン、およびマラカイトグリーン標識ウシ血清アルブミンの調整
ヘモシアニン(Keyhole Lympet Hemocyanin 、Calbiochem社製)(KLH)9.6mgを10ml三角フラスコ中で、0.5M炭酸緩衝液(pH9.5)10mlに溶解した。これにマラカイトグリーンイソチオシアネイト(MGITC、Molecular Probe 社製)6.5mgを加え、遮光し4℃にて一昼夜撹拌した。
【0084】
上記の反応液をゲル濾過クロマトグラフィ−(リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で平衡化された Bio-Rad 社製 Econo-Pac 10DG)に供し、未反応のMGITCとMG標識KLH(以下MG−KLH)を分離した。
【0085】
得られたMG標識KLH画分の蛋白質濃度は220μg/ml(Lowry法)であった。
【0086】
ウシ血清アルブミン9.5mgを10ml三角フラスコ中で、0.5M炭酸緩衝液(pH9.5)10mlに溶解した。これにマラカイトグリーンイソチオシアネイト(MGITC、Molecular Probe 社製)6.5mgを加え、遮光し4℃にて一昼夜撹拌した。
【0087】
上記の反応液をゲル濾過クロマトグラフィ−(リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で平衡化された Bio-Rad 社製 Econo-Pac 10DG)に供し、未反応のMGITCとMG標識BSA(以下MG−BSA)を分離した。
【0088】
得られたMG標識BSA画分の蛋白質濃度は237μg/ml(Lowry法)であった。
【0089】
(2)実験動物への免疫
(i)初回免疫
(1)で調整したMG−KLH溶液1.0mlを生理食塩水1.0mlで希釈し抗原溶液とした。これを0.22μmのフィルターをつけた注射器(5ml)を用い、無菌条件でRAS(Ribi Adjuvant System, Ribi社製)バイアルに注入した。その後、このバイアルを2分間激しく振揺し、抗原溶液とアジュバントとのエマルジョンを調整した。
【0090】
得られたエマルジョンをモルモット(Hartley、メス、SPF,n=3)に麻酔下(ネンプタール、投与量は8mg/モルモット)で、一匹あたり0.5mlを投与した(後背部皮下に0.1ml×4カ所、腹腔内に0.1ml)。
【0091】
(ii)追加免疫
初回免疫から3週間間隔で2回、初回と同じ抗原量およびアジュバントを用いて追加免疫を行った。
【0092】
(3)抗血清の坑体価測定
(i)抗体価測定の時期は以下の予備試験により決定した。
【0093】
1回目の追加免疫の2週間後、心臓採血により、免疫したモルモットからそれぞれ血液0.5mlを部分採取し、抗体価を測定し、追加免疫2週間後に十分な抗体価の上昇が見られることを確認した。
【0094】
この結果、2回目の追加免疫から2週間後に全採血を行い、その後同様にして最終的な抗体価を測定した。
【0095】
(ii)抗血清の調整
採血した血液をインキュベーター中にて37℃で1時間放置し、血餅の生成を促進させた。ついで4℃で一夜放置し血餅を収縮させた後、遠心分離により抗血清を分離した。
【0096】
得られた抗血清のマラカイトグリーンに対する特異的抗体活性を、以下のように酵素免疫測定法により確認した。
【0097】
(iii)酵素免疫測定法
MG−KLH溶液(KLHとして220μg/ml)150μlを50mM炭酸緩衝液(pH9.6)15mlに溶解し、プラスチック製の96穴イムノタイタープレイト(greiner 社製、ELISA−PLATE F−form)の各ウェルに0.1mlずつ分注した。これを4℃で一夜放置し、MG−KLHをタイタープレイト内壁に吸着させた。
【0098】
このイムノタイタープレイトに洗浄液(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、0.05%Tween20 含む)を0.1ml/ウェル加えたのち排出した。この洗浄工程を3回繰り返した。つぎにブロッキング溶液(1%ゼラチンPBS)を0.1ml/ウェル加え、4℃で一夜放置した。
【0099】
その後再び洗浄液で同様に洗浄し、抗血清の希釈溶液(100〜6400倍の希釈系)と、対照として免疫を施していないモルモットの血清(希釈せず)を各ウェルに0.1ml加えた。このタイタープレイトを室温下6時間静置し、抗原と抗体を反応させた。
【0100】
その後前記の洗浄液で洗浄し、horseradish peroxidase標識ヤギ抗モルモットIgG抗体溶液(最終濃度=16μg/ml、Cappel社製)を0.1ml/ウェル加え4℃で一夜放置し、抗血清由来のIgGと酵素抗体を反応させた。
【0101】
その後洗浄液で同様に洗浄し、反応基質溶液(ABTS Peroxidase Substrate System, Kirkegaad & Perry Laboratories社製)を各ウェルに0.1ml添加した。これを37℃で10分間加熱し酵素反応を行わせた後、反応停止液(1%SDS水溶液)を添加した。このイムノタイタープレイトをプレートリーダー(Bio−Rad社製、モデル3550)にセットし、405nmでの吸光度を測定した。
【0102】
図1に、2回目の追加免疫から1週間後に全採血した血清について抗体価を測定した一例を示す。3200倍希釈まで対照に比し有意な抗体活性を示すことが示されている。
【0103】
また、マラカイトグリーン標識ウシ血清アルブミン(MG−BSA)に対しても抗体活性を示し、ウシ血清アルブミン(BSA)には活性を示さなかったことから、本抗血清はマラカイトグリーンを特異的に認識することが示される。
【0104】
(4)IgG画分の精製
得られた抗血清から、プロテインAを用いてIgG画分を精製した。プロテインA固定カラム(抗体精製用プロテインAカラムキット Ampure PA Kit、Amersham 社製)を使用し、本抗血清1mlからIgG画分、約4mlを得た。
【0105】
得られたIgG画分を試料前処理用カートリッジ(遠心濃縮用 ULTRACENT-10 東ソー(株)製)に1〜1.5mlずつを入れ、4℃冷却下、5000rpmで30〜60分遠心した。これを繰り返すことにより、約4mlを最終的に0.7mlまで濃縮した。
【0106】
(5)坑体とマラカイトグリーンとの反応
標準試料としてウシγグロブリンを用いて前記得られた濃縮IgG画分の蛋白定量(Bio−Radプロテインアッセイ、Bio−Rad社製)した。
【0107】
その結果は以下の通りである。
【0108】
Figure 0003662333
この結果に従って抗血清をその蛋白質濃度がIgG画分と等しくなるように希釈した。この希釈液およびIgG画分それぞれの100倍〜6400倍希釈液を調整し、MG−KLH,MG−BSAを吸着させた96穴イムノタイタープレートの各ウェルに0.1mlずづ添加し4℃で一夜放置し抗原抗体反応を行った。その後、抗体価の測定と同様の手順で酵素免疫反応を行い、抗血清とIgG画分の抗体活性を比較した。その結果を図2に示す。これによりIgG画分が抗血清に比べ著しく高い活性を示し、IgG画分を精製したことにより比活性が上昇したことが分かる。
【0109】
(6)吸収スペクトル
上記蛋白濃度が最終的に2μM,またMGが4μMになるように蛋白と色素の濃度を希釈調整し、さらにモルモットのγグロブリンを抗MG−KLH IgGに対する対照(ブランクIgG)として、上記IgG画分とMGの混合の吸収スペクトルを測定した(図3)。
【0110】
図3に示すように、MGとブランクIgGの混合液の吸収スペクトルはMGのみのスペクトルと吸収極大波長に変化はみられないが、抗MG−KLH活性を持つIgG画分とMGの混合液は、MGのみに比べ吸収極大波長が6〜7nm長波長側にシフトしていることがわかる。
【0111】
これは、抗MG−KLHがMGに特異的に結合し結合体を形成することにより、色素の電子状態が変化し、吸収極大波長がシフトしたものと考えられる。
【0112】
(7)蛍光スペクトル
さらに上記混合物の蛍光スペクトルを測定した(図4、HITACHI850蛍光分光光度計(日立製)、励起波長617nm,蛍光波長630〜800nm,バンドパス5nm(励起側、蛍光側)、scan60nm/分,時定数0.5秒、光電子倍増管利得LOW)。
【0113】
図4は抗MG−KLH活性を持つIgG画分とMGの混合液の蛍光スペクトル(励起光617nm、蛍光630〜800nm)から、ブランクIgGとMGの混合液の蛍光スペクトルを差し引いた差スペクトルであり、差スペクトルをとることで、セル自体の蛍光や溶媒のラマン散乱など蛍光分析で問題となるノイズを除去し、純粋に試料の蛍光スペクトルを得ることが可能となる。
【0114】
差スペクトルにより、抗MG−KLH IgG結合体のMGが蛍光性であることが明確に示される。すなわち、蛍光性でないMGがこの抗体と特異的に結合体を形成することにより蛍光性となることが示される。
【0115】
したがって、上記の処理により蛍光性となったMGを特異的に、かつ定量的に蛍光分析することが可能となる。
【0116】
(8)マラカイトグリーン使用によるバックグラウンド蛍光の減少
以下のように、被検物質に対する抗体にマラカイトグリーン(以下MG)を共有結合で標識し、その抗体に抗MG抗体を反応させ、発する蛍光スペクトルを観測し、これにより、抗MG抗体を用いることによりバックグラウンド蛍光が減少し、従って、抗体に標識されたMGが蛍光標識として極めて有用であることを示した。
【0117】
マウス血清成分をタイタープレートに結合させた試料を調製し、この試料のバックグラウンド蛍光量、スペクトルを、MGの励起波長で観測した場合と、より短波長で励起した場合と比較した。
【0118】
以下にその手順と結果を詳しく記述する。
【0119】
(A)蛍光免疫測定の蛍光標識としてのMG
(i)ウサギ抗マウスIgG抗体へのMGの標識
リン酸緩衝化生理食塩水(20mM、pH7.3、以下PBSとする)0.5mlにウサギ抗マウスIgG抗体(ワコー製)1.05mgを溶解し、これに炭酸緩衝液(0.5M、pH9.0)9.5mlを加え撹拌した。この溶液に、マラカイトグリーンソチオシアネート(MGITC、MPInc製)0.3mgを溶解したジメチルスルホキシド(DMSO)40μlを加え、反応混合液を調製した。これを遮光し、4℃にて一夜撹拌し、MGITCをIgGに共有結合させて標識した。
【0120】
この反応混合液を、PBSで平衡化した脱塩カラム(10DG、Bio−Rad社製)に供し、PBSを溶離液としてゲル濾過クロマトグラフィーを行い、未反応のMGITCを分離除去し、MG標識ウサギ抗マウスIgG抗体(以下MG標識抗体という)の画分を得た。
【0121】
この画分100μlにPBS900μlを加え、同画分の10倍希釈液を調製し、その吸収スペクトルを測定した。結果を図9に示した。対照にはPBSを用いた。620nm付近に吸収極大が認められることにより、抗体にMGが標識されていることが確認された。
【0122】
(ii)MG標識抗体と抗MG抗体との反応および蛍光スペクトル
上記のMG標識抗体の画分100μlに抗MG抗体画分5μl、PBS895μlを加え、室温下、1時間撹拌し、MGと抗MG抗体の抗原抗体反応を十分、平衡化した。
【0123】
つぎにこの溶液の蛍光スペクトルを分光蛍光光度計(HITACHI850型)にて測定した。励起波長は620nm、発光波長は630〜750nm。励起側バンドパス5.0nm、発光側バンドパス5.0nm、スキャン速度60nm/分、光電子倍増管ゲインはhighとした。
【0124】
結果を図10の(a)に示す。650〜660nmの間に極大を持つ蛍光が観測された。これにより、抗体に標識されたMGが蛍光性になったことが確認される。さらに図10の(b)はMG標識抗体をブランク抗体(MGと結合しない抗体)と反応させたときの蛍光スペクトルであるが、ほとんど蛍光を示さない。これにより、MG標識抗体と抗MG抗体の反応が特異的であることが示された。
【0125】
(B)血清のバックグラウンド蛍光量の比較
(i)血清の調製
マウス(BALB/C、オス、adult)より血液を採取し、室温30分放置して血液を凝固させた。これを4℃にて一夜放置し、血液凝固でできた血餅を分離し、血清を採取した。
【0126】
(ii)タイタープレートへの血清成分の結合
マウス血清をプラスチック製タイタープレート(greiner社製、96穴)の各ウエルに50μl入れ、室温で6時間放置し、血清成分をタイタープレートに結合させた。その後、同タイタープレートの各ウエルを洗浄用バファー(リン酸緩衝化生理食塩水、0.5%Tween20を含む)にて洗浄し、結合していない血清成分を除去した。
【0127】
(iii)バックグラウンド蛍光量の測定
(B)で調製したタイタープレートを分光蛍光光度計(HITACHI850型)のセルホルダー内にセットした。その際、タイタープレート底面を励起光・検出器両者に対し、ともに45度かたむけた(図11)。この配置により、タイタープレート底面で反射された励起光は直接、検出器にはいらないようにした。また、励起光照射や蛍光測定の妨げとなるタイタープレートの余分な部分はあらかじめ切断した。なお、ここで観察されるバックグラウンド蛍光は、血清中成分とタイタープレート材質の両者に由来する蛍光が重ね合わせられたものである。
【0128】
測定条件は以下の2通りである。
【0129】
図12の(a):励起波長440nm、蛍光波長450〜600nmおよび
図12の(b):励起波長620nm、蛍光波長630〜780nmであり(a)の場合は、CCJV(9−(2−carboxy−2−cyanovinyl)julolidine)の蛍光測定の条件であり、また、蛍光免疫測定で一般的に用いられる蛍光色素フルオレセインの測定条件(励起極大波長=483.5nm、蛍光極大波長525nm、生化学事典、東京化学同人、1091ページ)にも近いものである。測定の結果、(b)の場合は440nmで励起した場合(a)に比べ、バックグラウンド蛍光量が著しく減少していることが明らかである。
【0130】
以上の結果から、蛍光測定にMGを用いる事は、CCJVやフルオレセインを用いる場合に比較して、バックグラウンドレベルを極めて低減でき、高感度の測定が可能となるという利点を有すると結論できる。
【0131】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、実質的に蛍光性でない色素を抗原とした抗体を作製し、この抗体と該色素を混合することにより実質的に蛍光性でない色素を蛍光性とすることが可能となり、該色素の微量蛍光分析を可能とする。またMGを用いる事により、他の色素、CCJVやフルオレセインを用いる場合に比較して、バックグラウンドレベルを極めて低減でき、高感度の測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る坑マラカイトグリ−ン標識ヘモシアニン血清の抗体価を示す図である。
【図2】本発明に係る抗血清とIgG画分の抗体活性の比較を示す図である。
【図3】本発明に係る坑マラカイトグリ−ン標識ヘモシアニン血清からのIgG画分と、マラカイトグリ−ンの混合液の吸収スペクトルを示す図である。
【図4】本発明に係る坑マラカイトグリ−ン標識ヘモシアニン血清からのIgG画分と、マラカイトグリ−ンの混合液の蛍光差スペクトルを示す図である。
【図5】マラカイトグリーンの濃度−蛍光強度曲線を示す図である。
【図6】マラカイトグリーンの濃度−吸光度曲線を示す図である。
【図7】本発明に係る坑マラカイトグリ−ン標識ヘモシアニン血清からのIgG画分と、オーラミンOの混合液の吸収スペクトルを示す図である。
【図8】本発明に係る坑マラカイトグリ−ン標識ヘモシアニン血清からのIgG画分と、オーラミンOの混合液の蛍光差スペクトルを示す図である。
【図9】本発明に係るMG標識マウスIgGの吸収スペクトルを示す図である。
【図10】MG標識ウサギ抗マウスIgG抗体の蛍光スペクトルを示す図であり、(a)は本発明に係る抗MG抗体を反応させた場合の蛍光スペクトルを示す図であり、また(b)はブランクを反応させた場合の蛍光スペクトルを示す図である。
【図11】本発明に係る分光光度計内のタイタープレートの配置を示す図である。
【図12】マウス血清成分を結合させたタイタープレートのバッックグラウンド蛍光を示す図であり、(a)は励起光440nm、蛍光波長450〜600nmで測定した図であり、(b)は励起光620nm、蛍光波長630〜780nmで測定した図である。

Claims (21)

  1. 実質的に蛍光性でない色素を有する抗原に対する抗体を含む抗血清であって、前記抗血清または前記抗体と前記色素との混合物が蛍光性を有することを特徴とする抗血清。
  2. 前記色素が、前記抗体と結合体を形成していない時には実質的に蛍光性でなく、前記抗体と結合体を形成することにより蛍光性となるものであることを特徴とする請求項1記載の抗血清。
  3. 前記抗体が、実質的に蛍光性でない色素に結合し、その結合により前記色素の分子構造を固定することにより蛍光性を増大または発現させることが可能なものであることを特徴とする請求項1または2に記載の抗血清。
  4. 前記抗原が、免疫性物質に前記色素を付加して形成したものであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の抗血清。
  5. 前記免疫性物質が、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、ウサギ血清卵白アルブミン、ウシガンマグロブリン、ウマ血清グロブリン、ヒトガンマグロブリン、ヒツジガンマグロブリン、ウシチログロブリン、ブタチログロブリン、ヘモシアニン、合成ポリペプチドからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項4に記載の抗血清。
  6. 前記色素が、トリフェニルメタン構造を有する色素およびジフェニルメタン構造を有する色素からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の抗血清。
  7. 前記色素が、マラカイトグリーンおよび/またはオーラミンOであることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の抗血清。
  8. 実質的に蛍光性でない色素を有する抗原に対する抗体を含む抗血清中のIgG画分であって、前記IgG画分と前記色素との混合物が蛍光性を有することを特徴とするIgG画分。
  9. 前記色素が、前記抗体と結合体を形成していない時には実質的に蛍光性でなく、前記抗体と結合体を形成することにより蛍光性となるものであることを特徴とする請求項8記載のIgG画分。
  10. 前記抗体が、実質的に蛍光性でない色素に結合し、その結合により前記色素の分子構造を固定することにより蛍光性を増大または発現させることが可能なものであることを特徴とする請求項8または9に記載のIgG画分。
  11. 前記抗原が、免疫性物質に前記色素を付加して形成したものであることを特徴とする請求項8〜10のうちのいずれか一項に記載のIgG画分。
  12. 前記免疫性物質が、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、ウサギ血清卵白アルブミン、ウシガンマグロブリン、ウマ血清グロブリン、ヒトガンマグロブリン、ヒツジガンマグロブリン、ウシチログロブリン、ブタチログロブリン、ヘモシアニン、合成ポリペプチドからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項11に記載のIgG画分。
  13. 前記色素が、トリフェニルメタン構造を有する色素およびジフェニルメタン構造を有する色素からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項8〜12のうちのいずれか一項に記載のIgG画分。
  14. 前記色素が、マラカイトグリーンおよび/またはオーラミンOであることを特徴とする、請求項8〜13のうちのいずれか一項に記載のIgG画分。
  15. 実質的に蛍光性でない色素を有する抗原に対する抗体であって、前記抗体と前記色素との混合物が蛍光性を有することを特徴とする抗体。
  16. 前記色素が、前記抗体と結合体を形成していない時には実質的に蛍光性でなく、前記抗体と結合体を形成することにより蛍光性となるものであることを特徴とする請求項15記載の抗体。
  17. 前記抗体が、実質的に蛍光性でない色素に結合し、その結合により前記色素の分子構造を固定することにより蛍光性を増大または発現させることが可能なものであることを特徴とする請求項15または16に記載の抗体。
  18. 前記抗原が、免疫性物質に前記色素を付加して形成したものであることを特徴とする請求項15〜17のうちのいずれか一項に記載の抗体。
  19. 前記免疫性物質が、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、ウサギ血清卵白アルブミン、ウシガンマグロブリン、ウマ血清グロブリン、ヒトガンマグロブリン、ヒツジガンマグロブリン、ウシチログロブリン、ブタチログロブリン、ヘモシアニン、合成ポリペプチドからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項18に記載の抗体。
  20. 前記色素が、トリフェニルメタン構造を有する色素およびジフェニルメタン構造を有する色素からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項15〜19のうちのいずれか一項に記載の抗体。
  21. 前記色素が、マラカイトグリーンおよび/またはオーラミンOであることを特徴とする、請求項15〜20のうちのいずれか一項に記載の抗体。
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