JP3662300B2 - 焼成炉用冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、石灰やドロマイトなどの焼成に広く用いられているロータリーキルン等の高温で製品が排出される装置に設置する冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生石灰やドロマイトの焼成を行うロータリーキルンには、熱効率の高さから充填層式の竪型冷却装置が広く採用されているが、その多くはキルンで焼成された直後の製品が保有する高い顕熱で最終的な脱炭酸(焼成)が行われた後に製品の冷却が開始されるように構成されている。一般に最終の脱炭酸を行う部分は熟成層と呼ばれ、キルンの中で900〜1,100℃に加熱された製品を温度低下させること無く一定の時間充填保持し、自己の保有熱で未焼成の部分の脱炭酸を行っている。本発明で対象とするレベルはこの熟成層の高さに関するものであるが、普通このレベルの検知には連続的検知の場合は冷却装置全体の重量をロードセル等を用いて検出するか、断続的検知の場合は温度計を高さ方向に複数点設置しその温度の変化でレベルを検知するか、又は、水冷や空冷を充分に施した通常のレベルセンサー等を設置している。これらの方法には雰囲気が高温であるためと、場合によってはセンサーが直接高温製品と接触するために耐用期間が短く、また、その検知精度の信頼性が著しく低いなどの欠点を有しているため、最終的には目視による確認に頼ることが必要であった。
【0003】
冷却装置からの製品の取出しは下部にテーブルフィーダー等を取付けて1ヶ所から排出する方法と、複数の排出口を設け各々にフィーダー等を取付けて複数ヶ所から排出する方法とがあるが、いずれも冷却装置内部の状況とは無関係に定量的な排出を行っているため、冷却装置内部に発生する冷却効果のアンバランスや製品の偏流等による製品温度の不均一が生じている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
冷却装置内における熟成層のレベルを一定の高さに制御することはそこでの熱仕事を一定にすることに直結し、効率的な運転をする上での重要な操作の一つである。この操作を実現するには信頼性のある高い精度でレベルを検知する事が最も重要であり、更に検知したレベルに基づき任意のレベルが維持できるように冷却装置からの製品排出速度が制御されることが重要である。また、冷却装置では効率的に製品の冷却を行うことが求められるが、この操作は製品の持つ顕熱を冷却のため吹込まれる空気により安定的に回収し、キルン内に還元するという熱効率向上の目的を有している。従ってこの安定的熱回収のためには取出される製品の温度に斑が生じないよう制御される必要がある。
【0005】
しかし、従来の冷却装置は雰囲気温度が高温のためにそこに使用される検出装置は非常に高価でありながら信頼性に乏しく、かつ耐用年数が短く適正な製品の冷却と効率的な運転は著しく困難なものであった。本発明はこれらの欠点を補いながら、更に製品の冷却を完全かつ効果的に行う装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の焼成炉用冷却装置は、塊状の石灰又はドロマイト等の焼成炉に付属する竪型送風冷却装置において、装置本体内の高温製品充填部に1本又は複数本の空気吹込み管を任意の深さまで挿入し、各吹込み管を空気源と連結し、各空気吹込み管に圧力センサを設けて管内の背圧力を検出することで充填部分の頂部レベルを検知可能にしたのである。
【0007】
また、この冷却装置において、複数の製品取出し部付近に製品の温度センサを設け、その温度センサで検知した複数の製品温度の平均値と個々の測定温度を比較するデータ処理装置を設け、各製品取出し部コントローラを設けて温度が低い部分の製品取出し部からは多くの製品を取出し、高い部分からは少なく取出すようにし、更に検知した充填部のレベルが予め設定した値より高い場合は全ての製品取出し部の取出し量を前記温度による取出し量割合のままで増加させ、レベルが低いときは減少させるように各製品取出し部を制御するように構成した。
【0008】
【作用】
本発明は上記のような目的で制御が必要な熟成層内のレベルと製品温度の安定化とを同時に制御し得る装置を提供するものである。本発明では第1発明で信頼性のあるレベル検出装置を提供し、第2発明で任意のレベルに制御しながら製品温度の安定化を図る装置を提供している。第1発明ではレベルの検出要素として高温雰囲気から離れた場所で測定可能な空気圧力を用いることにした。
【0009】
冷却装置内の熟成層には塊状の石灰又はドロマイト等の高温製品が充填されている。固体充填層の任意の深さまでパイプを挿入しこのパイプ先端から一定量の空気を吹き出さそうとすると、パイプ先端から上方にある充填部分の深さに比例した圧力が必要なことが知られている。本発明ではこの原理を応用し、熟成層の任意の深さまでレベル検出用パイプを複数本挿入し、その各々に送風機から一定量の大気を吹込むように構成した。この吹込み空気は同時に熟成層に挿入したパイプの冷却空気となり、センサーとして重要な役割を持つ検出管の寿命を著しく長くすることで信頼性を高くする事ができる。各々独立した送風機から吹込まれる空気の圧力は、各配管途中で普通の圧力検出機構を用いて容易に検出が可能であり、この圧力から熟成層内の充填深さに比例した値を得ることができる。挿入する検出用パイプは1本でも可能だが、好ましくは複数本であることが精度を向上でき、その複数本から得られる値は個々に使用しても良く、また、その平均値を使用しても機能に影響しない。
【0010】
第2発明は冷却装置全体としての熱仕事量を安定化させるもので、その制御要素は第1発明で得られるレベルの値と、冷却装置から排出される製品の温度及び排出の速度である。冷却装置から排出される一群の製品温度は、その製品の冷却装置内での滞留時間(排出速度)、冷却装置内を流れる冷却空気の偏り程度、製品の熱履歴(焼成率)、製品粒径の偏り等に左右されるために、一定の速度で偏り無く排出したからといって必ずしも一定の温度を得ることは困難である。従って本発明では、複数の排出口又は1ヶ所排出の場合は排出される前の充填状態の複数個所の温度を測定し、その値により人為的に調整可能な該当部排出速度(滞留時間)を調整することにした。測定された温度が高い場合はその部分の排出速度を遅くすることで冷却される滞留時間を長くし、低い場合はその部分の排出速度を早くする。しかし、冷却装置へ供給される製品量は焼成を行っているロータリーキルン側が支配しており、冷却装置からの排出速度を温度指標のみで行えば焼成設備全体としてのバランスが保てない状況が発生する。このため、本発明では第1発明で検知した冷却装置内熟成層レベルにより冷却装置から排出される全製品量を制御することにした。即ち、複数の排出口から排出される個々の排出速度割合は各ヶ所の温度により決定され、全体の排出量は熟成層内の任意レベルが一定になるよう前記割合のまま、レベルが上昇すれば多く排出し、下降すれば少なく排出されるように制御する。
【0011】
ここで説明を簡単にするため1本のレベル検出用パイプと2ヶ所の排出装置を備えた例についてその動きを説明する。
充填部分に挿入したパイプから一定量の空気を吹込めば、その埋没深さに比例した背圧力が取出せることは前述の通りである。今、充填層レベルが低下しパイプ先端が充填層に埋没していない状態になったとしたら、その背圧力はパイプの中を流れる空気の管路抵抗と先端からの吹き出し抵抗のみとなり、これが最もレベルが低下したときの状態となる。このまま充填層のレベルを上昇させればパイプの先端部のみが充填層に埋没状態となり、一定量の空気を吹き出すためには先の抵抗に加えてその空気が充填層の外側に流出するための充填層抵抗が加わり背圧力が上昇する結果となる。この充填層抵抗は製品の充填高さに比例して大きくなるため、その結果検知される背圧力は製品の充填高さに比例したものになる。
【0012】
一方、塊状の石灰又はドロマイト等の製品の温度は前述したように多くの要素が複雑に影響しあい決定される性格のものだが、一番影響の大きいものは冷却されている充填部分での滞留時間であり、この時間は充填層下部からの抜き出し量によって決定される。即ち、多く抜き出せば短い滞留時間となり、少なく抜き出せば長い滞留時間が得られ、前者は製品の温度が上昇傾向、後者は下降する結果を得ることができる。
【0013】
本発明で行う制御の動きは次の通りとなる。今、2ヶ所の排出部において一方の製品温度が高く他方が低い場合、その排出装置の排出速度は高い方側が遅く、温度が低い方側が速くなるように自動調整される。更にこの時レベル検出結果が予め定めた範囲内にあればそのままの排出速度を維持することになるが、もし定めたレベル範囲より高い位置にあるときは2ヶ所の排出装置の速度を温度により定められた速度の割合を維持したままで上昇させる。また、定めた位置より低い場合は同様に速度を下降させる。このようにして製品熟成層のレベルを一定に保ちながら、更に2ヶ所の排出部から排出される製品の温度を平均化させるよう常に自動的に運転調整される。
【0014】
更に、塊状の石灰又はドロマイト等の製品の温度が異常に高い場合は後続の設備などに大きな影響を与えるため、熟成層レベルを許される限りの高い位置まで上げることで製品冷却帯滞留時間を長くし温度を下げ、正常状態に戻れば再び熟成層レベルを普通のレベルに戻すなどの自動制御を行うことも可能である。
【0015】
【実施例】
以下図1,2によって本発明を適用した実施例について説明する。
図1において塊状の石灰又はドロマイト等の製品はロータリーキルン1の中を転動しながらバーナー2の燃焼熱によって焼成されている。次に製品は冷却装置3の中に設置された熟成層11に入り、自己の保有する熱によって仕上げの焼成が成される。熟成層11は連続して冷却部12に入り吹込まれる空気によって冷却される。冷却された製品は製品取出し装置4a,4bにより外部へ取出され製品となる。熟成層11には上方から複数のレベル検出管6a,6b,6cが挿入され、同管には送風機7a,7b,7cから一定量の空気が送り込まれている。また同管の途中からは各々の背圧力を取出し、この圧力を変換器8a,8b,8cで電気信号に変換しデータ処理装置9へ入力している。
【0016】
製品の温度は製品取出し装置4a,4bの上部に取付けた温度計5a,5bで測定し、その信号をデータ処理装置9へ入力している。データ処理装置9では図2に示すように、温度計5a,5bで測定した温度の平均値を求め、その値と個々の温度とを比較し高ければ該当個所の製品取出し装置4a又は4bの速度制御を行うコントローラ10a又は10bに対し温度差に見合った速度上昇信号を発信する。逆に低ければ速度下降信号を発信する。もし、その温度差が許容できる範囲内にあるか、又は調整の結果範囲内に入ればその時点の速度信号を維持させる。更にデータ処理装置9では圧力変換器8a,8b,8cから受信する信号の合計値又は平均値を求め、予め把握しておいたレベル高さとその時のレベル検出空気背圧力との関係から、求めた値をレベル高さに換算し、その高さと制御目標高さとを比較してレベル偏差を求めている。得られた偏差がレベル高側にあれば製品取出し装置コントローラ10a,10bに対し、温度差により制御している制御量に上乗せする形で速度上昇信号を発信する。もしレベル低側の偏差であれば制御量の減少を行う。また、レベル偏差が許容される範囲内にあれば、温度差により制御している制御量に対して干渉を行わない。
【0017】
このようにして運転した結果、本発明完成前後において次のように顕著な差異が確認できた。なお、本発明完成前はレベル確認を10〜30分おきに目視で行い、製品温度は30分毎に記録計の記録値を確認し、その結果必要な運転調整を運転員が行っていたものである。
【0018】
製品熟成層のレベル偏差は、その充填層全高さ2.8mに対し1.5〜2.5mの変動を生じていたが、本発明完成後は充填層上部から0.3〜0.8mの範囲内で安定している。製品の温度は各点が69〜366℃の範囲で激しく上下していたが、本発明適用後は33〜92℃の範囲内で安定している。また、製品の顕熱を奪うことで温度上昇する冷却空気の冷却後温度は556〜725℃迄の間を変動していたものが、573〜632℃の間の変動に納まりロータリーキルン側への熱変動も改善された。
【0019】
【発明の効果】
本発明による冷却装置は石灰製造業を始めとした窯業界に適用が可能であり、特筆すべき効果としては次の点がある。
従来取扱いが容易で、高温雰囲気に耐えかつ安価な投資で信頼性のあるレベル検出装置を得ることは困難であったが、本発明はそれを可能とした。また、温度のみでなく、高粉塵雰囲気でメンテナンスを行うにも困難な環境であっても、耐久性に優れているのでメンテナンスを必要としない等優れた特性を有している。
【0020】
更に、製品温度の均一化は運転操作の中でもかなり熟練と集中監視を必要とする操作であったが、本発明を適用することで無人化制御ができるばかりでなく、その製品温度は充分に低い安定したものとなるため以後の製品輸送設備などの寿命延長にも貢献できる。また、製品温度が安定化すると供に冷却後の空気温度も安定化されたものとなり、ロータリーキルンへの熱変動が少なくなることで焼成設備全体の安定が図れる結果となる。
従って、本発明はロータリーキルン設備の運転の合理化・省力化とエネルギー使用の合理化に対し大きく貢献できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焼成炉用冷却装置の半図解式縦断面図である。
【図2】同装置における制御フローシートである。
【符号の説明】
1 ロータリーキルン
2 バーナー
3 冷却装置
4a 製品取出装置
4b 製品取出装置
5a 温度計
5b 温度計
6a レベル検出管
6b レベル検出管
6c レベル検出管
7a 送風機
7b 送風機
7c 送風機
8a 圧力変換器
8b 圧力変換器
8c 圧力変換器
9 データ処理装置
10a コントローラ
10b コントローラ
11 熟成層
12 冷却部

Claims (2)

  1. 塊状の石灰又はドロマイト等の焼成炉に付属する竪型送風冷却装置において、装置本体内の高温製品充填部に1本又は複数本の空気吹込み管を任意の深さまで挿入し、各吹込み管を空気源と連結し、各空気吹込み管に圧力センサを設け、該圧力センサが製品の充填高さに比例して検出する管内の背圧力から充填部の頂部レベルを検知するデータ処理装置を設けたことを特徴とする焼成炉用冷却装置。
  2. データ処理装置は、複数の製品取出し部付近に製品の温度センサを設け、該温度センサで検知した複数の製品温度の平均値と個々の測定温度を比較してなり、各製品取出し部コントローラを設けて測定温度が製品温度の平均値より低い部分の製品取出し部からは多くの製品を取出し、逆に測定温度が製品温度の平均値より高い部分からは少なく取出すようにし、更に検知した充填部の頂部レベルが予め設定した値より高い場合は全ての製品取出し部の取出し量を前記温度による取出し量割合のままで増加させ、逆に検知した充填部の頂部レベルが予め設定した値より低いときは減少させるように各製品取出し部を制御してなる請求項1記載の焼成炉用冷却装置。
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