JP3662008B2 - 180°回転式ガス栓 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンドルを開の位置から左右どちらに90°回転してもガスコックを閉じることのできる所謂180°回転式ガス栓に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の180°回転式ガス栓としては、本件出願人が出願し、実用新案登録された実公平5−37096号公報に掲載のものが公知である。この公知例のガス栓(ガスコック)を図4(A)(B)に示し、その作用を図5(A)(B)並びに図6に示す。
図4(A)において、ガス栓本体1は、上口2内に形成した回転円周溝3の上縁4には、半径が同一で、中央に小縁6を残して二岐切欠部5、5aを形成すると共に、この二岐切欠部5、5aの180°反対側には、二岐切欠部5、5aと半径は同一で、切り欠き角は小さい単一切欠部7を形成し、一方、ハンドル8の下面に形成した胴部8aには、前記二岐切欠部5、5aの半径及び切欠角度よりもやや小さい二岐係合リブ9、9aを形成すると共に、この二岐係合リブ9、9aの180°反対側には、前記単一切欠部7の半径及び切欠角度よりもやや小さい単一係合リブ10を形成した構成となっている。
【0003】
このガス栓は、ガス栓本体1にハンドル8を組む場合には、ガス栓本体1の上口2の上にハンドル8を持ち、二岐切欠部5、5aと二岐係合リブ9、9a、単一切欠部7と単一係合リブ10とを夫々合致させ、ハンドル8を上口2内に押し込み、夫々の係合リブを回転円周溝3内に位置させる。次に図4(B)に示すように、ハンドル8を左右何れかの方向に180°回転させることにより、回転円周溝3を経由して二岐切欠部5、5aの中間の小縁6に単一係合リブ10を係合させ、単一切欠部2の左右の縁に二岐係合リブ9、9aを半分係合させることにより、ガス栓本体1とハンドル8の組み付けを終了する。なお、この状態でガス栓は全開である。
【0004】
ガス栓は、上記の状態で配管に取り付けられ、使用時には、上記の状態から左右何れかの方向に90°回転することで閉、更に左右何れかの方向に90°回転することで開となる。このように、ハンドル8は開の位置から、左右何れの方向に90°回転しても閉となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし乍ら、上記従来の180°回転式のガス栓においては、次のような欠点がある。
ハンドル8とガス栓本体1内に組み込まれた栓体11との間には、図6に示すように、栓体11をテーパー状の組み込み穴12内に組み込んだときに、そのシール性を確保するために、コイルスプリング13が装入されていて、ハンドル8側には、常にコイルスプリング13の反力が作用している。
【0006】
この反力は、ハンドル8側の二岐係合リブ9、9aと単一係合リブ10と回転円周溝3の上縁4及び小縁6との係合で受け止められているが、ハンドル8を全開の位置から左又は右に少し回転したときの二岐係合リブ9、9aと単一係合リブ10は、図5(A)又は(B)に示すように、二岐係合リブ9、9aにあっては、何れか一方は単一切欠部7から外れており、一方、単一係合リブ10は、その半分だけが小縁6に係合し、あとの半分は、二岐切欠部5、5aの何れか一方の中にあり、係合から外れている。
この結果、ハンドル8が受けているコイルスプリング13の反力により、ハンドル8は、図6に示すように係合関係が一部外れている側において浮き上がり、θに示す傾きが発生する。
【0007】
そして、このようにハンドル8が傾くと、係合切欠部5、5a、単一切欠部7の角においてカジリが発生したり、ハンドル8の回転がスムーズに行われなかったりする。又、このハンドル8の傾きにより、隙間が発生することから、ガス栓内に埃や水が侵入してトラブルの原因となったり、栓体11のシール性にも悪い影響が出るようになる。
【0008】
本発明は、斯る点に鑑みて提供されるものであって、その目的は、ハンドルの傾きが発生するのを防止してその回転をスムーズに行えるように構成すると共に、ガス栓内に埃や水が侵入したり、栓体のシール性に悪い影響が出ない180°の回転機構を備えたガス栓を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、180°回転式ガス栓 において、コック本体の上口内に形成した回転円周溝の上縁には、半径が同一で、中央 に小縁を残して二岐切欠部を形成すると共に、この二岐切欠部の180°反対側には、 二岐切欠部と半径は同一で、切り欠き角は小さい単一切欠部を形成し、一方、ハンドル の下面に形成した胴部には、前記二岐切欠部の半径及び切欠角度よりもやや小さい二岐 係合リブを形成すると共に、この二岐係合リブの180°反対側には、前記単一切欠部 の半径及び切欠角度よりもやや小さい単一係合リブを形成して成る180°回転式ガス コックにおいて、前記回転円周溝の上縁であって、前記二岐切欠部と単一切欠部の中間 位置には、夫々中間切欠部を形成し、一方、ハンドル側の二岐係合リブと単一係合リブ の中間位置には、前記中間切欠部の半径及び切欠角度よりやや小さい中間係合リブを 夫々形成して成ることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】
上記構成のガス栓は、先ずハンドルをガス栓本体内に組み付ける際には、ガス栓本体内に栓体、コイルスプリングを組み込んだのち、二岐切欠部には二岐係合リブを合わせ、単一切欠部には単一係合リブを合わせ、中間切欠部には中間係合リブを合わせたのち、ハンドルを押し込んで各リブを回転円周溝に合わせ、180°回転する。このようにすると、ハンドル側の二岐係合リブは単一切欠部の両サイドに係合し、単一係合リブはその中央が二岐切欠部間の小縁に係合する。但し、中間係合リブと中間切欠部はそのまま合致し、係合していない。この状態のとき、ガス栓は全開である。そして、左右何れかの方向に回転を開始すると、中間係合リブは中間切欠部から逃れて回転円周溝の上縁に対称位置で係合を始め、更に、二岐係合リブの何れか一方は完全に回転円周溝の上縁に係合し、単一係合リブは小縁から外れるときには回転円周溝の上縁に係合を始める。この結果、ハンドルの回転時には、合計4ヶ所において係合関係が成立する。
【0011】
このように、ハンドルとガス栓本体は、ハンドルの回転時においては、その回転軸を中心として、十文字方向(各90°方向)においてリブと回転円周溝の上縁及び小縁との係合が常に行われることから、ハンドルの回転はスムーズであり、また、コイルスプリングの反力でハンドルが傾くことはない。
また、ハンドルを90°回転して全閉とした位置においては、二岐係合リブは中間切欠部の両サイドにおいて回転円周溝の上縁に係合し、一つの中間係合リブは回転円周溝の小縁に係合し、単一係合リブは中間切欠部の両サイドにおいて回転円周溝の上縁に係合し、片方の中間係合リブのみ単一切欠部内に位置していて、合計で5ヶ所において係合が成立している。この結果、特に全閉時においてガス栓(栓体)のシール性が確実に保障されることになる。
【0012】
【実施例】
図1〜図3に基づいて本発明に係る180°回転式ガス栓の実施例とその作用を詳述する。1はガス栓本体、2はこのガス栓本体1内に栓体(図示せず)を組み込むための上口、3は上口2内に形成された回転円周溝、4はこの円周溝3の上縁である。5、5aは上縁4に形成された二岐切欠部にして、この二岐切欠部5、5aの中内には小縁6が形成されている。7は前記二岐切欠部5、5aの180°反対側に形成された単一切欠部、14、14aは前記二岐切欠部5、5aと単一切欠部7の中間90°の位置に夫々形成された中間切欠部であって、前記各切欠部は、上縁4を回転円周溝3よりやや大きく切り込んであり、二岐切欠部5、5aの左右の幅は単一切欠部7の幅(開き角度)よりもやや大きく、中間切欠部14、14aの幅(開き角度)は単一切欠部7の幅よりも小さい。
【0013】
8はハンドル、9、9aはハンドル8の下面に形成された胴部8aから水平方向に突出するように形成された二岐係合リブであって、この二岐係合リブ9、9aは、二岐切欠部5、5aよりやや小さい相似形である。10は前記二岐係合リブ9、9aの180°反対側において、胴部から水平方向に突出するように形成された単一係合リブであって、この単一係合リブ10は、単一切欠部7よりもやや小さい相似形である。15、15aは前記二岐係合リブ9、9'と単一係合リブ10の中間に形成された中間係合リブであって、この中間係合リブ15、15aは、中間切欠部14、14aよりやや小さい相似形である。
【0014】
次に、上記構成から成るガス栓について、先ずその組み立て手順を説明する。先ずハンドル8をガス栓本体1に組み付ける際には、ガス栓本体1内に栓体11、コイルスプリング13を組み込んだのち、二岐切欠部5、5aに二岐係合リブ9、9aを合わせ、単一切欠部7に単一係合リブ10を合わせ、中間切欠部14、14aに中間係合リブ15、15aを合わせたのち(図1(A))、ハンドル8を押し込んで各リブを回転円周溝3のところに合わせ、180°回転する(図1(B))。このようにすると、ハンドル8側の二岐係合リブ9、9aは単一切欠部7の両サイドに係合し、単一係合リブ10はその中央が小縁6に係合する。但し、中間係合リブ15、15aと中間切欠部14、14aはそのまま合致し、係合は成立していない。この状態のとき、ハンドル8とガス栓本体1との係合関係は3ヶ所であり、ガス栓(栓体5)は全開である。そして、左右何れかの方向にハンドル8の回転を開始すると、図3(A)(B)に示すように中間係合リブ15、15aは中間切欠部14、14aから逃れて回転円周溝3の上縁4に180°の対称位置で係合を始め、更に、二岐係合リブ9、9aの何れか一方は完全に回転円周溝3の上縁4に係合し、単一係合リブ10は小縁6から外れるときには回転円周溝3の上縁4に係合を始める。
【0015】
この結果、ハンドル8とガス栓本体1は、5ヶ所においてリブと円周回転溝3の上縁4、及び小縁6との係合が常に行われることから、ハンドル8の回転時にコイルスプリング13の反力でハンドル8が傾くことはない。
そして、ハンドル8を90°回転して全閉とした位置においては、二岐係合リブ9、9aは中間切欠部14又は14aの両サイドにおいて上縁4に係合し、単一係合リブ10は中間切欠部14又は14aの両サイドにおいて上縁4に係合し、中間係合リブ15又は15aは小縁6に係合し、合計5ヶ所においてハンドル8とガス栓本体1との係合が成立している(図2(A)(B))。
【0016】
このような作用によって、ハンドル8は、全開(図1(B))では3ヶ所でガス栓本体1側と係合し、ハンドル8の回転時(図3(A)(B))では4ヶ所において回転円周溝3の上縁4及び小縁6に係合し、ハンドル8の全閉時では5ヶ所において係合が保たれていることから、ハンドル8の回転はスムーズに行われると共に、係合関係はバランスがとれているため、コイルスプリング13の反力でハンドルが傾いたりはしない。
【0017】
【発明の効果】
本発明は以上のように、ガス栓本体側に二岐切欠部と単一切欠部及び中間切欠部を90°間隔で形成し、ハンドル側には二岐係合リブと単一係合リブ及び中間係合リブを形成したことにより、ハンドルの回転時においては常に4ヶ所において各係合リブが回転円周溝内において上縁及び小縁に係合する。この結果、コイルスプリングの反力を受けても、ハンドルは傾いたりせず、そのスムーズな回転を保障する効果がある。また、ハンドルは、傾いたりしないことから、ガス栓本体とハンドル間に隙間が発生して埃や水が内部に侵入したりしない。また、ガス栓本体とハンドルとの係合は、特に閉止時には5ヶ所において係合が成立していることから、コイルスプリングの反力を均一に受け止めることができる。この結果、栓体のシール性を確実に保障する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はハンドルを組み込む直前の説明図、(B)はハンドルを組み込んで180°回転させた全開時の説明図。
【図2】(A)はハンドルを右方向に90°回転した全閉状態の説明図、(B)はハンドルを左方向に90°回転した全閉状態の説明図。
【図3】(A)はハンドルを全開から右方向に約25°回転した状態の説明図、(B)はハンドルを全開から左方向に約25°回転した状態の説明図。
【図4】(A)は従来の180°回転ガス栓において、ハンドルを組み込む直前の説明図、(B)はハンドルを組み込んで180°回転させた全開時の説明図。
【図5】(A)はハンドルを全開から右方向に約25°回転した状態の説明図、(B)はハンドルを全開から左方向に約25°回転した状態の説明図。
【図6】従来の180°回転ガス栓の断面図であって、ハンドルがコイルスプリングの反力でθ角傾いた状態の説明図。
【符号の説明】
1 ガス栓本体
2 上口
3 回転円周溝
4 上縁
5、5a 二岐切欠部
6 小縁
7 単一切欠部
8 ハンドル
9、9a 二岐係合リブ
10 単一係合リブ
11 栓体
12 組込穴
13 コイルスプリング
14、14a 中間切欠部
15、15a 中間係合リブ

Claims (1)

  1. コック本体の上口内に形成した回転円周溝の上縁には、半径が同一で、中央に小縁を残して二岐切欠部を形成すると共に、この二岐切欠部の180°反対側には、二岐切欠部と半径は同一で、切り欠き角は小さい単一切欠部を形成し、一方、ハンドルの下面に形成した胴部には、前記二岐切欠部の半径及び切欠角度よりもやや小さい二岐係合リブを形成すると共に、この二岐係合リブの180°反対側には、前記単一切欠部の半径及び切欠角度よりもやや小さい単一係合リブを形成して成る180°回転式ガスコックにおいて、前記回転円周溝の上縁であって、前記二岐切欠部と単一切欠部の中間位置には、夫々中間切欠部を形成し、一方、ハンドル側の二岐係合リブと単一係合リブの中間位置には、前記中間切欠部の半径及び切欠角度よりやや小さい中間係合リブを夫々形成して成る180°回転式ガス栓。
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