JP3661116B2 - 電磁石 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電磁弁に装着される電磁石に関し、さらに、可動プランジャを緩速に摺動させることに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、電磁弁は、スプールを有する弁体と前記弁体に装着される電磁石とを有して構成され、電磁石内に配設される可動プランジャを摺動させることによって、可動プランジャに連結されたスプールを移動する。そして、スプールを移動することによって弁体内に流れる油の流路を開閉可能にし、弁体に接続されたアクチュエータを作動させている。この際弁体内の油は電磁石側にも流れ、可動プランジャの潤滑の役目をしている。
【0003】
従来、電磁石の可動プランジャは図7に示されるように、可動プランジャ51の端面に軸方向に沿って貫通するように油溝52が形成されていた。この油溝52の溝孔は比較的大きく可動プランジャ51の外周面を潤滑するとともに、油の流れがよいため、可動プランジャ51はコイルの励磁とともに比較的速い速度で摺動することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、電磁弁に接続されたアクチュエータには各種の用途があり、例えば、アクチュエータに作動される作動体が、素早い動きで移動されたり、また逆に、衝撃を少なくするために緩速な動き(ショックレス機能)を要求されたりする。特に、緩速な動きを要求される電磁弁は、従来、弁体内の弁機構の中でショックレス機能を形成するようにしていた。しかし、弁体側にショックレス機能を形成する電磁弁は特殊な電磁弁として位置付けられ、また、複雑な機構を設けなければならないのでコストアップに繋がり、互換性も悪くなる。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するものであり、ショックレス機能を有し互換性のよく廉価な電磁弁を提供するために、簡単な構造で廉価に製造できる電磁石を提供することを目的とする。
【0006】
【発明を解決するための手段】
この発明にかかわる電磁石では、上記の課題を解決するために以下のように構成するものである。即ち、
電磁弁の弁体に装着され前記弁体に通じる油の通路を有するとともに、固定磁極に対して接近離隔するように摺動可能な可動プランジャを有する電磁石であって、
前記可動プランジャが、プランジャ本体と前記プランジャ本体の反吸着側端面に配設される補助体とを有し、前記プランジャ本体に軸方向に対して貫通する大径の油孔が形成され、前記補助体に前記油孔より小径で前記油孔と対向する位置に軸方向に貫通する絞り孔が形成されることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
本形態の電磁石1は、図1に示されるように、樹脂で形成されるケース体3と、コイル5とボビン6を有しケース体3内に配置される中空状のコイル体7と、コイル体7内に固定配設される固定磁極9と、コイル体7内に配設されるパイプ11にガイドされ、固定磁極9に対して接近離隔するように摺動される可動プランジャ13と、コイル体の回りに配設されるヨーク16と、を有している。さらに、一端が可動プランジャ13の吸着側面に当接され他端が弁体25のスプール27に当接されるピン17が固定磁極9内に配設されている。
【0011】
第1の形態の可動プランジャ13は、固定磁極9との吸着面14aを有するプランジャ本体14とプランジャ本体14の反吸着面に接着されて取り付けられる補助板15とを有している。プランジャ本体14はパイプ11内を摺動できるように円柱状に形成されるとともに、プランジャ本体14には、プランジャ本体14を貫通するように軸方向に油孔14bが形成されている。また、補助板15は、図1〜2に示されるように、プランジャ本体14と略同径に形成され、プランジャ本体14に形成される油孔14bと対向する位置に、補助板15を貫通するように絞り孔15aが形成されている。補助板15に形成される絞り孔15aは、プランジャ本体14に形成される油孔14bより小さく油が通過する流量を絞るように形成されている。
【0012】
固定磁極9内に配設されるピン17は、図3に示されるように、丸状の外周面の両側に切欠面17aが形成され、この切欠面17aによって、固定磁極9とピン17の切欠面17aとの間に油の流路9aが設けられることになる。
【0013】
可動プランジャ13の補助板15の上方(図1参照)には、ケース体3より外方に突出されたパイプ11に螺合されて、ケース体3の中空部を閉口するようにキャップ19が取り付けられ、キャップ19内に可動プランジャ13の位置を調整する調整ピン21が配設されている。そして、補助板15とキャップ19との間の空間部が油溜り23として形成される。
【0014】
油Oの流れは図4に示されるように、弁体25内に流れる油Oがスプール27の電磁石1側から電磁石1に向かって流入し、固定磁極9と固定磁極9内に配置されるピン17の切欠面17aとの間に形成される流路9aを通り、プランジャ本体14の油孔14bを通った後、補助板15の絞り孔15aでその流量を絞られながら油溜り23に貯溜される。また、油Oは固定磁極9の流路9aからプランジャ本体14の外周面を通過することにより、プランジャ本体14の摺動に対する潤滑の役目をする。そして、可動プランジャ13の摺動により、油Oは弁体25のスプール27の電磁弁1側端部と空間部23との間でそれぞれの流路に沿って、往き来することになる。その際、補助板15の絞り孔15aで油の流量が絞られることによって、可動プランジャ13の摺動速度を緩速することになる。従って、この電磁石1を電磁弁内に装着することによって、ショックレス機能を有する電磁弁が製造できる。
また、可動プランジャに形成される絞り孔は上記形態に限らず、図5に示される第2の形態であってもよい。可動プランジャ31には、軸方向に平行に形成される大径の油孔32と、油孔32に連接され、可動プランジャ31の固定磁極9との吸着面31a側に向かって形成される油孔32より小径の絞り孔33と、が形成されている。絞り孔33は油孔32に比べて、その形成される長さは極めて短い。この形態における油Oは、固定磁極9とピン17との間に形成される流路9aから可動プランジャ31の外周面に流入されるとともに、可動プランジャ31の絞り孔33を通り、油孔32を通って油溜り23に流入される。油Oが絞り孔33を通過する際に油の流量が絞られ、可動プランジャ31の摺動速度を緩速にさせる。この場合、絞り孔32は可動プランジャ31の反吸着面側に形成するようにしてもよい。
【0015】
さらに、図6に示されるように、可動プランジャ41に、軸方向と平行に可動プランジャ41を貫通する大径の油孔42を形成し、油孔42内に小径の絞り孔43aが形成された絞り部材43を、油孔42内のいずれかの位置に埋設させるようにしてもよい。
【0016】
なお、第1の形態の可動プランジャ13では、可動プランジャ13の緩速を調整する場合、適宜な大きさの絞り孔15aが形成された補助板15をプランジャ本体14に取り付けることができるので廉価なコストで容易に調整できる。
【0017】
また、第2の形態の可動プランジャ31では、補助板を必要とすることがなく容易に可動プランジャ31を製作できるのでコンパクトな電磁石を提供することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明の電磁石によれば、電磁石は弁体に装着され前記弁体に通じる油の通路を有するとともに、固定磁極に対して接近離隔するように摺動可能な可動プランジャを有するものであり、前記可動プランジャに軸方向に対して貫通する油通路が形成され、前記油通路に油の流量を絞るための絞り孔が形成されることを特徴としている。そのため、ショックレス機能を電磁弁の弁体側でなく電磁石側に配設できるので互換性のよく廉価なコストで製作できる電磁弁を提供することができる。
【0019】
また、この電磁石は、前記プランジャが、プランジャ本体と前記プランジャ本体の反吸着側端面に配設される補助体とを有し、前記プランジャ本体に軸方向に対して貫通する大径の油孔が形成され、前記補助体に前記油孔より小径で前記油孔と対向する位置に軸方向に貫通する絞り孔が形成されることを特徴としているので、ショックレス機能を電磁弁の電磁石側に配設することができ、さらに適宜な大きさの絞り孔が形成された補助板を交換することによって、可動プランジャの摺動速度を必要に応じて調整することが可能になる。従って、提供される電磁弁は互換性がよくしかも廉価なコストで製作できる。
【0020】
さらに、この電磁石は、前記可動プランジャに形成される油通路が、大径の油孔と、前記油孔に連接され前記油孔より小径に形成される絞り孔と、を有することを特徴としているので、ショックレス機能を電磁弁の電磁石側に配設することができ、さらにコンパクトな可動プランジャを使用できる。従って互換性がよくしかもコンパクトな電磁弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態による電磁石を示す断面図
【図2】図1における補助板の平面を示す図
【図3】図1におけるピンの断面を示す図
【図4】図1の電磁石を使用した電磁弁の油の流れの概略を示す図
【図5】可動プランジャの別の形態を示す図
【図6】可動プランジャのさらに別の形態を示す図
【図7】従来の可動プランジャの断面を示す図
【符号の説明】
1…電磁石
3…ケース体
5…コイル
6…ボビン
7…コイル体
9…固定磁極
9a…流路
13、31、41…可動プランジャ
14…プランジャ本体
14b、32、42…油孔
15…補助板
15a、33、…絞り孔
17…ピン
23…油溜り
25…弁体
27…スプール
43…絞り弁
43a…絞り孔
Claims (1)
- 電磁弁の弁体に装着され前記弁体に通じる油の通路を有するとともに、固定磁極に対して接近離隔するように摺動可能な可動プランジャを有する電磁石であって、
前記可動プランジャが、プランジャ本体と前記プランジャ本体の反吸着側端面に配設される補助体とを有し、前記プランジャ本体に軸方向に対して貫通する大径の油孔が形成され、前記補助体に前記油孔より小径で前記油孔と対向する位置に軸方向に貫通する絞り孔が形成されることを特徴とする電磁石。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06648797A JP3661116B2 (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | 電磁石 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06648797A JP3661116B2 (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | 電磁石 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10261519A JPH10261519A (ja) | 1998-09-29 |
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Family
ID=13317210
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06648797A Expired - Lifetime JP3661116B2 (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | 電磁石 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3661116B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4151335B2 (ja) * | 2001-08-07 | 2008-09-17 | 株式会社デンソー | 電磁弁 |
-
1997
- 1997-03-19 JP JP06648797A patent/JP3661116B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10261519A (ja) | 1998-09-29 |
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