JP3661063B2 - 車両用能動振動騒音制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車輌の走行等により発生する振動及びこれらの振動に起因して生ずる騒音、特にロードノイズを能動的に制御して低減させる車両用能動振動騒音制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、振動制御装置としては、振動源(一次振動源)から発生する振動を能動的に制御して振動および騒音の低減化を図る能動振動騒音制御装置と呼称されるものがある。
【0003】
従来、この種の能動振動騒音制御装置のうちロードノイズを低減するものとして、図10に示すように、一次振動源(例えば、サスペンション)からの振動に関連する信号を検出し、その検出信号に基づいて参照信号を生成する参照信号生成手段(例えば、加速度(G)センサ)101と、該生成された参照信号に基づいて、被制御空間における制御対象振動と逆位相の相殺信号を生成する適応制御回路102と、適応制御回路102により生成された相殺信号に応じて相殺振動を発生するスピーカ(相殺振動発生手段)103と、スピーカ103により発生された相殺振動と制御対象振動との相殺誤差を検出するマイクロホン(誤差検出手段)104とを主要部として構成されたものが知られている(例えば、特表平1−501344号公報)。
【0004】
上記従来の能動振動騒音制御装置においては、参照信号生成手段101により生成された参照信号はA/Dコンバータ105によってサンプリングされ、デジタルデータの参照信号x(n)として適応制御回路102に入力される。該適応制御回路102からは上述のように生成された相殺信号が出力されてD/Aコンバータ106でアナログ信号に変換され、アンプ107により増幅されてスピーカ103から相殺振動(二次振動)が発せられる。
【0005】
一方、マイクロホン104はスピーカ103からの相殺振動と振動源からの振動との相殺誤差を検出し、該相殺誤差εはアンプ108により増幅され、A/Dコンバータ109によりサンプリングされ、デジタルデータの誤差信号e(n)として取り出され、適応制御回路102にフィードバックされる。即ち、誤差信号は、一次振動と二次振動との相殺誤差を示すものであり、上記能動振動騒音制御装置においては前記誤差信号が最小値となるように相殺信号の伝達特性を変更することにより振動の低減が図られている。
【0006】
適応制御回路102は、FIR型適応デジタルフィルタ(以下、「ADF」という)1021と、スピーカ103からマイクロホン104までの、この伝達制御系特有の伝達特性が同定されて設定されたフィルタ1022と、フィルタ1022を介してフィルタリングされた参照信号r(n)および前記誤差信号e(n)に基づいて、例えば、LMSアルゴリズム(LMS:Least Mean Square)によりADF1021のフィルタ係数を変更するLMS処理部(フィルタ係数変更手段)1023とにより構成される。
【0007】
LMSアルゴリズムは下記数式(1)で示されるアルゴリズムであり、このLMSアルゴリズムを使用することにより、LMS処理部1023は、前記フィルタ1022からの信号r(n)および前記誤差信号e(n)に基づいて、ADF1021のフィルタ係数Wnを変更する。
【0008】
Wn+1 = Wn + μ・e(n)・r(n) ‥‥(1)
ここで、μはステップサイズパラメータ(毎回の繰り返しにおける補正量の大きさを制御するパラメータ)である。
【0009】
ところで、制御対象であるロードノイズ等の振動騒音はランダム性を有し、また、ロードノイズの伝達経路はタイヤから乗員の耳までサスペンション等の構成部材を通して、複数の経路が考えられるので、通常、マルチチャンネルの能動振動騒音制御装置によって振動騒音制御を行っている。
【0010】
図11は、従来のマルチチャンネルの能動振動騒音制御装置の概略構成を示すブロック図であり、図10のシングルチャンネルの能動振動騒音制御装置の適応制御回路を複数個(本例では、8個)用いて、複数の振動騒音源(例えば、4輪タイヤ)からの振動騒音に対する低減効果を図っている。
【0011】
同図において、各々1対の適応制御回路から成る4個の適応制御回路ブロック115〜118が設けられている。各車輪のサスペンションに設置された加速度(G)センサ111〜114の出力は、それぞれ図示しないA/Dコンバータを介して適応制御回路ブロック115〜118に供給され、各適応制御回路ブロック115〜118からの2つの出力は、それぞれ加算器119,120に供給される。そして、加算器119,120の相殺信号出力は、それぞれ図示しないD/Aコンバータを介して、相殺信号を相殺振動に変換するためのスピーカ121,122に供給され、被制御空間に相殺振動が発せられる。スピーカ121から発せられた相殺振動は、スピーカ121からマイクロホン123またはマイクロホン124までのこの伝達制御系特有のそれぞれの伝達特性C11または伝達特性C21により、その振幅および位相が変更される。同様に、スピーカ122から発せられた相殺振動も、スピーカ122からマイクロホン123またはマイクロホン124までのそれぞれの伝達特性C12または伝達特性C22により、その振幅および位相が変更される。
【0012】
このようにして変更された相殺振動は、車輪からこの伝達制御系特有の伝達経路を通って被制御空間に発生しているロードノイズと干渉される。そして、その干渉結果は、マイクロホン123およびマイクロホン124を介して検出され、それぞれ図示しないA/Dコンバータを介してデジタルの誤差信号として前記適応制御回路ブロック115〜118にフィードバックされる。
【0013】
ここで、適応制御回路ブロック115は、前記図10の適応制御回路102と同様の構成を成す適応制御回路1151,1152により構成され、例えば、適応制御回路1151は、ADF11511と、前記伝達特性C11,C21をそれぞれ同定した伝達特性C^11,C^21をそれぞれ有するフィルタ11512,11513と、MEFX(Multiple Error Filtered-X)LMSアルゴリズムによりADF11511のフィルタ係数W11を変更するMEFX−LMS処理部11514とにより構成されている。なお、MEFX−LMSアルゴリズムは、前記LMSアルゴリズムをマルチチャンネルのシステムに適用したものである。さらに、適応制御回路1152も適応制御回路1151と同様の構成を成し、適応制御回路ブロック116〜118も、適応制御回路ブロック115と同様の構成を成している。
【0014】
図12は、図11のマルチチャンネルの能動振動騒音制御装置の制御アルゴリズムを示すフローチャートである。
【0015】
同図において、まず、加速度(G)センサ111〜114から検出された各サスペンション加速度信号(参照信号のことであり、以下、「サス加速度信号」と略す)の入力処理、即ち、増幅処理やA/D変換処理等を行い(ステップS101)、マイクロホン123,124から検出された残留騒音(誤差信号)の入力処理、即ち増幅処理やA/D変換処理等を行う(ステップS102)。
【0016】
次に、各適応制御回路ブロック115〜118のフィルタC^11〜C^22により、それぞれ各サス加速度信号と前記同定された伝達特性C^11〜C^22との畳み込み演算を行い(ステップS103)、その演算結果および前記ステップS102で処理された誤差信号に基づいて各MEFX−LMS処理部によりMEFX−LMS演算処理を行い(ステップS104)、この演算結果に基づいて、適応制御回路ブロック115〜118を構成するADFの各フィルタ係数W11〜W42を変更する更新処理を行う(ステップS105)。
【0017】
さらに、更新されたフィルタ係数W11〜W42に基づいて、各ADFにより各サス加速度信号をフィルタリング(フィルタ演算処理)し(ステップS106)、そのフィルタリング結果を相殺信号として前記加算器119,120に出力する(ステップS107)。
【0018】
そして、この相殺信号が、スピーカ121,122から相殺振動として被制御空間に出力され、被制御空間内のロードノイズと干渉し合って騒音の低減化が図られる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のマルチチャンネルの能動振動騒音制御装置では、サス加速度信号や誤差信号等をサンプリングするサンプリングクロック毎に、図12の制御アルゴリズムに応じた演算を行っているために、多数の入出力装置(加速度センサ、スピーカ、マイクロホン)により、より消音性能を向上させた制御を行おうとすると、前記フィルタ係数W11〜W42を変更するための更新処理、即ち、前記すべてのフィルタC^11〜C^22による前記各サス加速度信号に対するフィルタ係数C^11〜C^22の畳み込み演算処理やMEFX−LMS処理部によるMEFX−LMS演算処理の処理量が大幅に増加する。その結果、高性能の演算処理装置を用いて演算処理を行う必要が生じ、それに伴ってコストの増加を招くという問題が生じた。
【0020】
なお、一般に、演算処理装置として、DSP(Digital Signal Processor)が用いられる。
【0021】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、演算処理量を低減するとともに性能の低い演算処理装置によっても十分な振動騒音低減効果を向上することができ、これによりコストの低減化を図り、車載用として十分現実的な能動振動騒音制御装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、車室内に発生する振動騒音に関連する信号を検出し参照信号を生成する複数の参照信号生成手段と、該生成された参照信号に基づいて前記振動騒音を相殺する相殺信号を複数の適応フィルタを用いて生成する相殺信号生成手段と、該生成された相殺信号を相殺振動に変換する相殺振動発生手段と、該変換された相殺振動と前記車室内の振動騒音との相殺誤差を検出し誤差信号を発生する誤差検出手段と、該誤差信号と前記参照信号とに基づいて、それぞれ対応する前記適応フィルタのフィルタ係数値を変更する複数のフィルタ係数変更手段とを備えた車両用能動振動騒音制御装置において、前記複数のフィルタ係数変更手段の1つ以上をサンプリングクロック毎に所定の順序で順次選択し、該選択されたフィルタ係数変更手段にその対応する適応フィルタのフィルタ係数を変更させる制御手段と、路面状態を検出する路面状態検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、車体姿勢を検出する車体姿勢検出手段と、前記路面状態、前記車速および前記車体姿勢に対して、追加選択すべきフィルタ係数変更手段を決定するためのマップを記憶する記憶手段と、前記検出手段によってそれぞれ検出された路面状態、車速および車体姿勢に基づいて、前記マップを検索することにより、現在選択中のフィルタ係数変更手段に追加選択すべきフィルタ係数変更手段を決定する決定手段とを有し、前記制御手段は、前記決定手段によって決定されたフィルタ係数変更手段を前記サンプリングクロック毎に現在選択中のフィルタ係数変更手段に追加選択し、その結果選択されたすべてのフィルタ係数変更手段にその対応する適応フィルタのフィルタ係数を変更させることを特徴とする。
【0026】
【作用】
本発明の構成に依れば、制御手段により複数のフィルタ係数変更手段の1つ以上がサンプリングクロック毎に所定の順序で順次選択される。そして、検出手段によってそれぞれ検出された路面状態、車速および車体姿勢に基づいてマップを検索することで決定されたフィルタ係数変更手段が、前記サンプリングクロック毎に現在選択中のフィルタ係数変更手段に追加選択され、その結果選択されたすべてのフィルタ係数変更手段により、その対応する参照信号生成手段からの参照信号および誤差検出手段からの誤差信号に基づいて、その対応する適応フィルタのフィルタ係数が変更され、この変更後のフィルタ係数を有する適応フィルタおよびこれ以外の適応フィルタにより、それぞれ対応する参照信号がフィルタリングされて相殺信号が生成され、相殺振動発生手段により相殺振動に変換され車室内に出力される。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
なお、以下に説明する実施例は、本発明を、ロードノイズを能動的に制御して低減させるいわゆるロードノイズキャンセラーに適用したものであり、適応制御アルゴリズムとしては前記MEFX−LMSアルゴリズムを用いて、多入力多出力制御を行うものである。
【0032】
図1は、本発明の第1実施例に係る能動振動騒音制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0033】
同図において、本実施例の能動振動騒音制御装置は、加速度(G)センサ1〜4と、適応制御回路ブロック5〜8と、加算器9,10と、スピーカ11,12と、マイクロホン13,14と、各加速度センサ1〜4からのサス加速度信号(参照信号)の各適応制御回路ブロック5〜8のフィルタ係数変更手段(ブロック5の場合は512,513,514,522,523,524、ブロック6以下はブロック5に準じる)への入力・遮断を行うスイッチ15〜18と、各スイッチ15〜18のオン/オフをサンプリングクロック毎にこの順序で順次切り換える判断処理部19とにより構成されている。前記適応制御回路ブロック5〜8は、各1対の適応制御回路から成り、例えばブロック5は適応制御回路51,52から構成されている。なお、構成要素1〜14は、それぞれ前述した図11の構成要素111〜124と同一の構成及び作用を有するため、その説明を省略する。
【0034】
加速度センサ1〜4からそれぞれ出力された参照信号r1(n)〜r4(n),(n=1,2,‥‥)は、各々2つの信号に分岐され、一方は、そのまま適応制御回路ブロック5〜8を構成するADF(例えば、適応制御回路ブロック5の場合にはADF511,521)に供給され、他方は、スイッチ15〜18を介して、伝達特性C^11〜C^22をそれぞれ有するフィルタ(以下、「フィルタC^11〜C^22」と云う)(例えば、適応制御回路ブロック5の場合にはフィルタ512,513,522,523)に供給される。
【0035】
各スイッチ15〜18の制御入力側には前記判断処理部19の出力側が接続され、判断処理部19は、各スイッチ15〜18をオン/オフして、参照信号r1(n)〜r4(n)のその対応する前記フィルタC^11〜C^22への供給/停止を制御する。
【0036】
図2〜図5は、本実施例の能動振動騒音制御装置が行う制御処理の手順を示すフローチャートである。なお、本実施例の能動振動騒音制御装置の演算処理部、例えば、適応制御回路5〜8、加算器9,10、判断処理部19等は、DSPにより構成され、図2〜図5の制御処理は、DSPに内蔵した中央処理装置(図示せず)により制御される。
【0037】
図2は、判断処理部19によりスイッチ15がオンとなった時の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0038】
同図において、まず、サス加速度信号(参照信号)入力処理を行い(ステップS1)、次に、残留騒音(誤差信号)入力処理を行う(ステップS2)。そして加速度センサ1のサス加速度信号入力に対して前記伝達特性C^11〜C^22の畳み込み演算処理を行う(ステップS3)。
【0039】
次に、上記畳み込み演算結果および前記ステップS2で処理された誤差信号に基づいてMEFX−LMS演算処理を行った(ステップS4)後に、この演算結果に基づいて、適応制御回路ブロック5を構成するADF511,521の各フィルタ係数W11,W12を更新する(ステップS5)。
【0040】
さらに、各加速度センサ1〜4からのサス加速度信号をぞれぞれ各適応制御回路5〜8のADFによりフィルタリング(フィルタ演算処理)し(ステップS6)、そのフィルタリング結果を前記加算器9,10に出力して相殺信号(スピーカ駆動信号)を生成する(ステップS7)。
【0041】
図3〜図5は、判断処理部19によりスイッチ16〜18がそれぞれオンとなった時の適応制御回路ブロック5〜8が行う制御処理の手順を示すフローチャートであり、図2のフローチャートに対して、加速度センサ2〜4のサス加速度信号入力に対するC^演算、MEFX−LMS演算処理およびフィルタ係数更新処理がそれぞれ行われるMEFX−LMS処理部およびADFが異なるのみであるので、図3〜図5のステップにおいて図2のステップと同一処理を行うステップには同一番号を付し、その説明を省略するとともに、異なるステップの説明も省略する。
【0042】
前記図2〜図5のフローチャートの制御処理は、前記各サンプリングクロック毎に、スイッチ15〜18に連動して順次実行される。即ち、判断処理部19は、サンプリングクロック毎にスイッチ15〜18をこの順序で順次オンしてゆき、これに連動してDSPの中央処理装置が図2〜図5のプログラムを順次起動させて実行する。具体的には、最初は、スイッチ15がオンされて、図2のフローチャートの制御処理が実行され、次に、次のサンプリングクロックが入力されて加速度センサ1〜4から新たなサス加速度信号がサンプリングされると、スイッチ15がオフにされるとともにスイッチ16がオンされ、図3のフローチャートの制御処理が実行されるというように、サンプリングクロック毎にシーケンシャルに制御処理を切り替えて行く。
【0043】
このように、例えば、図2の制御処理の実行時には、適応制御回路ブロック5のADFのフィルタ係数W11,W12のみの更新が行われ、その他の適応制御回路6〜8のADFのフィルタ係数の更新変更は行われない。したがって、適応制御回路6〜8のADFによるサス加速度信号のフィルタリングは、以前に更新されたフィルタ係数によりなされる。
【0044】
以上説明したように、本実施例では、1回の加速度センサ1〜4の入力に対して、適応制御回路ブロック5〜8の内、1つの適応制御回路ブロックにおいてのみMEFX−LMS演算処理およびフィルタ係数変更処理を行うように構成したので、演算量および演算時間が低減され、高性能の演算処理装置を使用する必要なく十分な演算処理を行うことができ、コストの低減化を図ることが可能となる。
【0045】
なお、本実施例では、ADFのフィルタ係数W11〜W42の更新を適応制御回路ブロック毎に行う、即ち、フィルタ係数Wn1,Wn2(n=1,2,3,4)を1組にして行うように構成したが、これに限らず、フィルタ係数毎、即ち、フィルタ係数Wnk(n=1,2,3,4;k=1,2)毎に行うようにしてもよい。
【0046】
図6は、本発明の第2実施例に係る能動振動騒音制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0047】
本実施例は、前記第1実施例のシーケンシャル制御に加えて、路面状態、車速状態、車体状態等の走行状態情報を検出し、この検出結果に応じて更新すべきADFのフィルタ係数Wn1,Wn2(n=1,2,3,4)を選択する点が異なっているのみであるので、図6中、図1と対応する構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
図6において、21は、各加速度センサ1〜4の検出信号の振幅からサス加速度平均値を検出する振幅検出装置であり、該振幅検出装置21の出力側は、詳細は後述するマップメモリ22の入力側に接続され、マップメモリ22の他の入力側には、車速状態を検出する車速検出装置23および車体の姿勢を検出する車体姿勢検出装置24の出力側が接続されている。そして、マップメモリ22の出力側は、判断処理部19の入力側に接続されている。
【0049】
ここで、振幅検出装置21は、路面状態を検出するためのものであり、路面状態の検出は振幅検出装置21に限らず、路面センサ等路面状態を検出できるものであれば、どのようなものであってもよい。前記車速検出装置23は、本実施例では車速パルスを検出して車速を算出する装置を想定しているが、これに限らず、車速を検出できるものであればどのようなものであってもよい。前記車体姿勢検出装置24は、本実施例では車高センサを想定しているが、これに限らず、車体姿勢を検出できるものであればどのようなものであってもよい。
【0050】
また、前記マップメモリ22は、入力された路面状態、車速状態、車体状態に応じて、更新すべきフィルタ係数Wn1,Wn2(n=1,2,3,4)を決定するためのものであり、具体的には、前記判断処理部19に対して、オン/オフすべきスイッチ15〜18の情報を提供するものである。
【0051】
図7は、図6のマップメモリ22に格納されるマップを視覚的に表現したものであり、x軸、y軸、z軸は、それぞれ路面状態(路面変化)、車速状態(車速変化)、車体状態(車体姿勢変化)を示している。ここで、x軸には路面状態の変化点(1点のみ)が目盛りされ、y軸には加速および減速の各点が目盛りされ、z軸には左旋回および右旋回の各点が目盛りされている。
【0052】
また、図中、FR,FL,RR,RLは、それぞれ加速度センサ1〜4の取り付け位置、即ち、前輪右側、前輪左側、後輪右側、後輪左側、具体的には、更新すべきフィルタ係数Wn1,Wn2(n=1,2,3,4)の情報を示している。
【0053】
図7において、例えば、路面状態が変化した場合、即ち、粗目路面から良路面に変化した場合や、逆に良路面から粗目路面に変化した場合にはx軸の1点が選択され、RR,RLに対応するADFのフィルタ係数が変更すべきフィルタ係数であるとされる。また、加速しながら右旋回している場合には点a、即ち、RLが選択され、RLに対応するADFのフィルタ係数が変更すべきフィルタ係数であるとされる。以下、同様にして、路面状態、車速状態および車体姿勢状態に応じて、変更すべきフィルタ係数が選択される。
【0054】
なお、原点Oは、旋回もせず、加減速もしない点であるが、この点が選択されることがないように構成されている。即ち、この点が選択されたときには、前記第1実施例のようにシーケンシャル制御のみ行うようにすればよいが、この点が選択される直前の制御を続けるようにしても問題はないからであり、本実施例は、この制御方法を採用している。
【0055】
図8および図9は、本実施例の能動振動騒音制御装置が行う制御処理の手順を示すフローチャートであり、この制御処理は、前記第1実施例で説明したDSPにより行われる。なお、図8において、図2と同一処理を行うステップには同一符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
図8は、メインルーチンの処理手順を示すフローチャートであり、サンプリングクロック毎に1回、本ルーチンが呼び出される。
【0057】
同図において、前記ステップS2で処理された残留誤差およびステップS3で畳み込み演算された演算結果に応じて、MEFX−LMS演算処理、即ち、RAM(図示せず)に確保されたソフトカウンタ領域nが指示するADFのフィルタ係数Wn1,Wn2の演算処理を行い(ステップS41)、フィルタ係数更新処理、即ち、その演算されたフィルタ係数Wn1,Wn2を当該ADFに更新設定する処理を行う(ステップS42)。
【0058】
次に、追加更新処理をするべきフィルタ係数W′(このフィルタ係数の決定方法は後述する)の変更があるか否かを判別し(ステップS43)、ないときには前回に追加更新処理を行ったフィルタ係数W′のMEFX−LMS演算処理を行い(ステップS44)、その演算処理結果を当該ADFに更新設定するフィルタ係数更新処理を行う(ステップS45)。一方、ステップS43の判別で、変更があるときには新しいフィルタ係数W′のMEFX−LMS演算処理を行い(ステップS46)、その演算処理結果を当該ADFに更新設定するフィルタ係数更新処理を行う(ステップS47)。
【0059】
次に、カウンタnを1だけインクリメントし(ステップS48)、カウンタnが“5”であるか否かを判別し(ステップS49)、“5”のときには値nを“1”に初期設定する(ステップS50)。一方、カウンタnが“5”でないときにはステップS50をスキップしてステップS6に進む。
【0060】
図9は、割り込み処理を構成するサブルーチン処理の手順を示すフローチャートであり、前記追加変更処理をするべきフィルタ係数W′の決定処理を行う。
【0061】
同図において、まず、図6の車速検出装置23から車速状態を読み込み(ステップS51)、振幅検出装置21からサス加速度信号平均値を読み込み(ステップS52)、車体姿勢検出装置24から車体姿勢情報を読み込む(ステップS53)。
【0062】
次に、前記ステップS51で読み込まれた車速状態と前回の車速状態とを比較することにより車速の変化、即ち、加速中か減速中かまたは定速運行中かを判別し(ステップS54)、前記ステップS52で読み込まれたサス加速度信号平均値と前回のサス加速度信号平均値とを比較することにより路面の変化、即ち、粗目路面から良路面へ変化したかその逆の変化をしたか、または、変化をしなかったかを判別し(ステップS55)、前記ステップS53で読み込まれた車体姿勢情報に基づいて車体姿勢変化、即ち、左旋回中か、右旋回中か、または直進中かを判別する(ステップS56)。
【0063】
さらに、前記ステップS54〜ステップS56の判別結果と、前記図7で説明したマップにより追加変更処理するべきフィルタ係数W′を推定した(ステップS57)後に、本サブルーチン処理を終了する。
【0064】
なお、前記ステップS57で推定されるフィルタ係数W′は、2つの適応制御回路にまたがる場合がある。例えば、前記図7で説明した路面状態が変化した場合には、RR,RLに対応するフィルタ係数が推定され、選択される。この場合には、ステップS46,S47において、最初のサンプリングクロックでRRに対応するフィルタ係数の更新変更処理を行い、次のサンプリングクロックでRLに対応するフィルタ係数の更新変更処理を行うようにする。
【0065】
以上説明したように、本実施例に依れば、前記第1実施例のシーケンシャル制御に加えて、変化が大きいと推定されるフィルタ係数W′の更新変更処理を、同一サンプリングクロック内で追加して行うように構成したので、車室内の振動騒音に対してより追従性のよい能動振動騒音制御を行うことが可能になる。また、追加すべきフィルタ係数の更新変更処理は、多くとも1つの適応制御回路ブロックに含まれるADF(本実施例では、2個)のフィルタ係数のみであるため、本能動振動騒音制御装置を構成するDSPに過大な負担を及ぼすこともなく、コストが増大することもない。
【0066】
なお、本実施例では、第1実施例のシーケンシャル制御に加えて、走行状態に応じたADFのフィルタ係数Wn1,Wn2(n=1,2,3,4)を更新するように構成したが、シーケンシャル制御を行わず、走行状態に応じたADFのフィルタ係数Wn1,Wn2(n=1,2,3,4)のみを更新するようにしてもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明に依れば、車室内に発生する振動騒音に関連する信号を検出し参照信号を生成する複数の参照信号生成手段と、該生成された参照信号に基づいて前記振動騒音を相殺する相殺信号を複数の適応フィルタを用いて生成する相殺信号生成手段と、該生成された相殺信号を相殺振動に変換する相殺振動発生手段と、該変換された相殺振動と前記車室内の振動騒音との相殺誤差を検出し誤差信号を発生する誤差検出手段と、該誤差信号と前記参照信号とに基づいて、それぞれ対応する前記適応フィルタのフィルタ係数値を変更する複数のフィルタ係数変更手段とを備えた車両用能動振動騒音制御装置において、前記複数のフィルタ係数変更手段の1つ以上を所定の順序で順次選択し、該選択されたフィルタ係数変更手段にその対応する適応フィルタのフィルタ係数を変更させる制御手段を有するので、C^による演算量の増大を抑制するとともに性能の低い演算処理装置によっても十分な振動騒音低減効果を向上することができ、これによりコストの低減化を図ることが可能となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る能動振動騒音制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1のスイッチ15がオンの時の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】図1のスイッチ16がオンの時の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図1のスイッチ17がオンの時の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図1のスイッチ18がオンの時の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施例に係る能動振動騒音制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】図6のマップメモリ22に格納されるマップを視覚的に表現したものである。
【図8】第2実施例の制御処理を行うメインルーチンを示すフローチャートである。
【図9】割り込み処理を構成するサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】従来の能動振動騒音制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図11】従来のマルチチャンネルの能動振動騒音制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図12】図11のマルチチャンネルの能動振動騒音制御装置の制御アルゴリズムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1〜4 加速度センサ(参照信号生成手段、フィルタ係数変更手段)
5〜8 適応制御回路(相殺信号生成手段)
11,12 スピーカ(相殺振動発生手段)
13,14 マイクロフォン(誤差検出手段)
514,524 MEFX−LMS処理部(フィルタ係数変更手段)
15〜18 スイッチ(制御手段)
19 判断処理部(制御手段)
Claims (1)
- 車室内に発生する振動騒音に関連する信号を検出し参照信号を生成する複数の参照信号生成手段と、該生成された参照信号に基づいて前記振動騒音を相殺する相殺信号を複数の適応フィルタを用いて生成する相殺信号生成手段と、該生成された相殺信号を相殺振動に変換する相殺振動発生手段と、該変換された相殺振動と前記車室内の振動騒音との相殺誤差を検出し誤差信号を発生する誤差検出手段と、該誤差信号と前記参照信号とに基づいて、それぞれ対応する前記適応フィルタのフィルタ係数値を変更する複数のフィルタ係数変更手段とを備えた車両用能動振動騒音制御装置において、
前記複数のフィルタ係数変更手段の1つ以上をサンプリングクロック毎に所定の順序で順次選択し、該選択されたフィルタ係数変更手段にその対応する適応フィルタのフィルタ係数を変更させる制御手段と、
路面状態を検出する路面状態検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
車体姿勢を検出する車体姿勢検出手段と、
前記路面状態、前記車速および前記車体姿勢に対して、追加選択すべきフィルタ係数変更手段を決定するためのマップを記憶する記憶手段と、
前記検出手段によってそれぞれ検出された路面状態、車速および車体姿勢に基づいて、前記マップを検索することにより、現在選択中のフィルタ係数変更手段に追加選択すべきフィルタ係数変更手段を決定する決定手段と
を有し、
前記制御手段は、前記決定手段によって決定されたフィルタ係数変更手段を前記サンプリングクロック毎に現在選択中のフィルタ係数変更手段に追加選択し、その結果選択されたすべてのフィルタ係数変更手段にその対応する適応フィルタのフィルタ係数を変更させることを特徴とする車両用能動振動騒音制御装置。
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-
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