JP3660886B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、動画表示に好適に用いられる液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、例えばパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、アミューズメント機器、テレビ装置などに用いられている。液晶表示装置の応答特性を改善し、高画質の動画表示を得るための検討がなされている。
【0003】
特開平4−288589号公報は、中間調表示での応答速度を高速化して残像を低減するため、高域成分を予め強調した入力画像信号を液晶表示部に供給することにより、応答の立ち上がりおよび立ち下がりを高速化した液晶表示装置を開示している。なお、液晶表示装置(液晶パネル)における「応答速度」は、液晶層の配向状態が印加された電圧に対応した配向状態に達するのに要する時間(応答時間)の逆数に相当する。図14を参照しながら、この液晶表示装置の駆動回路の構成を説明する。
【0004】
上記の液晶表示装置の駆動回路は、入力画像信号S(t)の少なくとも一枚のフィールド画像を保持する画像用記憶回路61と、この記憶回路61に保持された画像信号と入力画像信号S(t)とから各絵素の時間軸方向のレベル変動を検出して時間軸方向に高域強調フィルタをかける時間軸フィルタ回路63とを備えている。入力画像信号S(t)は、ビデオ信号をR、G、B信号に分解した後の信号であるが、R、G、B信号に対して同じ処理になるので、ここではそれらのうちの1チャンネルのみ示している。
【0005】
入力画像信号S(t)は、少なくとも1フィールド分の画像信号を記憶する画像用記憶回路61に保持される。差分器62は、入力画像信号S(t)と画像用記憶回路61とから、対応する各絵素信号の差をとるもので、1フィールドの間の信号レベルの変化を検出するレベル変化検出回路となっている。この差分器62から得られる時間軸方向の差信号Sd(t)は、入力画像信号S(t)と共に時間軸フィルタ回路63に入力される。
【0006】
時間軸フィルタ回路63は、差信号Sd(t)に応答速度に応じた重み係数αをかける重み付け回路66と、重み付けられた差信号と入力画像信号S(t)とを加算する加算器67とから構成されている。時間軸フィルタ回路63は、レベル変動検出回路の出力と入力画像信号の各絵素の入力レベルとによりフィルタ特性が変化させられる適応型フィルタ回路である。この時間軸フィルタ回路63によって入力画像信号S(t)は時間軸方向の高域が強調される。
【0007】
こうして得られた高域強調信号は、極性反転回路64によって交流信号に変換され、液晶表示部65に供給される。液晶表示部65は、複数本のデータ信号配線とこれと交差する複数本の走査信号配線の各交差部に表示電極(絵素電極ともいう。)を持つ、アクティブマトリクス方式の液晶表示部である。
【0008】
図15は、この駆動回路により応答特性が改善される様子を示す信号波形である。説明を分かり易くするために、入力画像信号S(t)が1フィールド周期で変化するものとし、図では2フィールドで信号レベルが急激に変化している場合を示している。この場合、時間軸方向における入力画像信号S(t)の変化、すなわち差信号Sd(t)は図に示すように、入力画像信号S(t)が正に変化するときに1フィールド間に亘り正となり、負に変化するときに1フィールド間に亘り負となる。
【0009】
基本的にはこの差信号Sd(t)を入力画像信号S(t)に加えることにより、高域強調ができる。実際には、入力画像信号S(t)の変化の程度と透過率の変化の程度との関係は、液晶層の応答速度に依存するので、オーバーシュートが生じない範囲で補正するように重み係数αを決める。その結果、図15に示したような高域強調された高域補正信号Sc(t)が液晶表示部に入力されることにより、光学応答特性I(t)は、破線で示す従来のものに対して、実線で示すように改善される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示されている駆動方法には、有効な高域強調ができる入力画像信号S(t)に制限があるという問題があった。つまり、高域補正信号Sc(t)は、高域限度信号(ここでは、液晶表示部に入力される入力画像信号S(t)の中で最も電圧の高い信号と定義する。)を超えることはできないので、高域補正信号Sc(t)≦高域限度信号の場合には、入力画像信号の高域強調は可能であるが、高域補正信号Sc(t)>高域限度信号の場合には、十分な透過率変化を起こすほどの補正信号を液晶表示部に入力することができない。従って、中間調レベルでは応答速度が高速化するが、高域になるほど(液晶表示部に印加する電圧が高くなるほど)光学応答特性を改善する効果が小さくなる。
【0011】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、少なくとも高域レベルの応答特性を改善した液晶表示装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置は、マトリクス状に配置された複数の絵素容量と、前記複数の絵素容量のそれぞれに電気的に接続された薄膜トランジスタとを有する液晶パネルと、前記液晶パネルに駆動電圧を供給する駆動回路とを有し、前記複数の絵素容量が入力画像信号に対応する充電状態となることによって、1垂直期間毎に表示を更新する液晶表示装置であって、前記複数の絵素容量のそれぞれは、絵素電極と、対向電極と、前記絵素電極と前記対向電極との間に設けられた液晶層とから形成される液晶容量と、前記液晶容量に電気的に並列に接続された蓄積容量とを有し、前記蓄積容量の前記液晶容量に対する容量比が1以上であって、前記絵素容量は、少なくとも最高の階調電圧が印加されたとき、1垂直期間に亘って充電電圧の90%以上を保持し、そのことによって、上記目的が達成される。
【0013】
前記駆動回路は、1垂直期間前の入力画像信号と現垂直期間の入力画像信号の組合せに応じて、予め決められた、現垂直期間の入力画像信号に対応する階調電圧がオーバーシュートされた駆動電圧を、前記液晶パネルに供給する構成であることが好ましい。
【0014】
前記駆動回路は、全ての階調の入力画像信号について、現垂直期間の入力画像信号に対応する階調電圧がオーバーシュートされた駆動電圧を前記液晶パネルに供給する構成としてもよい。
【0015】
前記液晶パネルが有する前記液晶層は、正の誘電異方性を有するネマティック液晶材料を有し、前記複数の絵素容量のそれぞれに含まれる前記液晶層は、配向方向が互いに異なる第1領域と第2領域とを有し、前記液晶パネルは、前記液晶層を介して直交クロス状態に配置された一対の偏光子と、黒表示状態における前記液晶層の屈折率異方性を補償する位相差補償素子とをさらに有する構成としてもよい。
【0016】
あるいは、前記液晶層はホモジニアス配向型液晶層であってもよい。
【0017】
前記液晶パネルは、位相差補償素子をさらに備え、前記位相差補償素子は、屈折率楕円体の3つの主屈折率na、nb、ncがna=nb>ncの関係を有し、前記液晶層のリタデーションの少なくとも一部を相殺するように配置されていることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1に本発明による実施形態の液晶表示装置の構成を模式的に示す。なお、液晶表示装置は、例えばインターレース駆動され、1枚の画像に対応する1フレームを2つのフィールドに分割し、各フィールド毎に入力画像信号に対応する階調電圧が表示部に印加される。勿論、1フレームが3以上のフィールドに分割されることもあり得るし、ノンインターレース駆動されてもよい。ノンインターレース駆動においては、各フレーム毎に入力画像信号に対応する階調電圧が表示部に印加される。インターレス駆動における1フィールドまたはノンインターレース駆動における1フレームをここでは1垂直期間と称する。以下の実施形態においては、1フィールドが1垂直期間に相当するインターレース駆動方式の液晶表示装置を例に説明する。
【0020】
この液晶表示装置は、液晶パネル15と駆動回路10とを有する。液晶パネル15は、マトリクス状に配置された複数の絵素容量Cpixと、絵素容量Cpixのそれぞれに電気的に接続された薄膜トランジスタ(以下、「TFT」と称する。)1とを有する。TFT1のゲート電極1Gが走査線2に接続され、ソース電極1Sが信号線3に接続されており、駆動回路10から、それぞれ走査電圧および駆動電圧が印加される。TFT1のドレイン電極1Dが絵素容量Cpixに接続されている。
【0021】
絵素容量Cpixのそれぞれは、絵素電極と、対向電極と、絵素電極と対向電極との間に設けられた液晶層とから形成される液晶容量Clcと、前記液晶容量に電気的に並列に接続された蓄積容量Csとを有している。TFT1を介して、駆動回路10から供給される駆動電圧によって絵素容量Cpixが充電され、入力画像信号に対応する充電状態となることによって、1フィールド毎に表示状態が更新される。ここで、蓄積容量Csの液晶容量Clcに対する容量比(表記の簡単さのために「Cs/Clc」と表すことにする。)が1以上(Cs/Clc≧1)に設定されており、且つ、絵素容量Cpixは、少なくとも最高の階調電圧が印加されたとき、1フィールド間に亘って充電電圧の90%以上を保持する。すなわち、蓄積容量Csの液晶容量Clcに対する容量比をCs/Clc≧1とすることによって、絵素容量の充電特性の応答速度(ステップ応答特性)が改善され、絵素容量Cpixが、少なくとも最高の階調電圧が印加されたとき、1フィールド間に亘って充電電圧の90%以上を保持する。
【0022】
まず、蓄積容量Csについて説明する。蓄積容量Csは、TFT型液晶表示装置に、従来から一般的に設けられている。蓄積容量Csは、液晶層の漏れ電流によって液晶容量Clcに保持される電荷(電圧)が低下することを抑制するために、液晶容量Clcに並列に接続される。蓄積容量Csは、いわゆる平行電極コンデンサ(キャパシタ)で、走査線(ゲートバスライン)もしくは走査線と同じ導電層から形成されるCsバスラインを片方の電極とし、絵素電極を形成する導電層(典型的にはITO層)を他方の電極として形成される。これらの電極間の誘電体は、TFTのゲート絶縁膜と同様に、例えば、TaOx層とその上に形成されたSiNx層とから形成される。蓄積容量Csの容量(キャパシタンス)は、蓄積容量Csの静電容量を指し、表記の簡単さのために、「Cs」は、キャパシタとしての蓄積容量およびその静電容量の両方を指すことにする。
【0023】
また、液晶容量Clcの容量(キャパシタンス)は、液晶容量Clcの静電容量を指し、表記の簡単さのために、「Clc」は、キャパシタとしての液晶容量およびその静電容量の両方を指すことにする。なお、液晶容量Clcは、液晶層を誘電体層とするキャパシタであり、液晶層の誘電率は印加電圧によって液晶層の配向状態が変化するのに伴って変化する。従って、蓄積容量Csと液晶容量Clcとの容量比は、印加電圧によって変化する。そこで、上述の蓄積容量Csの液晶容量Clcに対する容量比の関係:Cs/Clc≧1は、絵素容量Cpixに対して最高の階調電圧(例えば、7V)が印加されたときの液晶容量Clcの静電容量(実際の表示における最大の静電容量)を基準とすることとする。
【0024】
本願明細書において、液晶表示装置において表示を行うために絵素容量Cpixに印加される電圧を階調電圧Vgと呼び、例えば、0階調(黒)〜63階調(白)の全64階調表示を行う場合、電圧が最も低い階調電圧をV0、電圧が最も高い階調電圧をV63で示す。ノーマリホワイトモード(以下、「NWモード」と称する。)の液晶表示装置の場合、V0が最高階調を表示するための電圧であり、V63が最低階調を表示するための電圧となる。これに対し、ノーマリブラックモード(以下、「NBモード」と称する。)の液晶表示装置においては、逆に、V0が最低階調を表示するための階調電圧であり、V63が最高階調を表示するための階調電圧となる。
【0025】
以下においては、液晶表示装置で表示すべき画像情報を与える信号を入力画像信号Sと呼び、それぞれの入力画像信号Sに応じて絵素容量Cpixに印加される電圧を階調電圧Vgと呼ぶ。64階調の入力画像信号(S0〜S63)は、階調電圧V0〜V63に一対一で対応する。但し、入力画像信号S(階調データ)と階調電圧Vgとの対応関係は、NWモードとNBモードでは逆になる。また、階調電圧V0〜V63の値は液晶表示装置によって異なり得る。階調電圧Vgは、それぞれの階調電圧Vgが印加された液晶層が定常状態に到達したときに、それぞれの入力画像信号Sに対応する透過率(表示状態)となるように設定される。このときの透過率を定常状態透過率と称する。
【0026】
TFT型液晶表示装置は、その応答特性がステップ応答特性を示すことが知られている。図2に、TFT型液晶表示装置の光学特性(透過率)のステップ応答特性を模式的に示す。図2では、縦軸を透過率として示したが、絵素容量Cpixの充電電圧と置き換えることができる。図2を参照しながら、透過率(または充電電圧)のステップ応答特性の原理を説明する。
【0027】
TFT型液晶表示装置では、1つの絵素容量Cpixに蓄積される電荷(Q)は、TFTがON状態の間(走査電圧がゲート電極に印加されている期間:水平走査期間と呼ばれることもある。)に、絵素容量Cpixに印加される電圧(V:絵素電極と対向電極との電位差に相当)と、そのときの絵素容量Cpixの静電容量(C=Clc+Cs)によってきまる。この関係は、Q=CVで示される。つまり、一旦、TFTがON状態になると、絵素容量CpixにQ=CVで決まる電荷(Q)が蓄積されるまで絵素容量Cpixは充電され、絵素容量Cpixの電圧保持率が100%であれば(漏れ電流がなければ)、次のフィールド(またはフレーム、以下では1フィールドとする。)において、再び、TFTがON状態とされるまで、この電荷(Q)が保持される。
【0028】
絵素容量Cpixが充電された電荷を保持している期間(1フィールドに相当)に、絵素容量Cpixの電圧(V)は徐々に下がっていく。なぜならば、対向する一対の電極の電極面に平行に配向した△ε>0の液晶分子は、印加された電圧に応じて電極面の法線方向に立ち上がる(電界に平行に配向する)。この液晶分子の配向の変化に伴い、液晶層の誘電率が上昇するので、液晶容量Clcの静電容量が大きくなる。すなわち、絵素容量Cpixの静電容量が大きくなる。絵素容量Cpixの静電容量(C)が大きくなると、Q=CVの関係に従って、絵素容量Cpixにかかる電圧(V)は低下する。このように、1フィールドの間に絵素容量Cpixが保持する電圧が低下するので、図2に示したように、透過率(または充電電圧)が1フィールド毎にステップ状に変化(ステップ応答)するのである。
【0029】
なお、このステップ応答は、絵素容量Cpixに1フィールドに亘って電圧を印加し続ける、いわゆるスタティック駆動では起こらない。このように、液晶パネルがステップ応答するTFT型液晶表示装置では、液晶層に電圧が印加し続けるスタティック駆動による液晶表示装置に比べ、応答速度が遅くなり、残像の程度が大きくなるので、動画表示の品位が劣る。
【0030】
本発明では、蓄積容量Csの液晶容量Clcに対する容量比がCs/Clc≧1の関係を満足するので、液晶分子の配向変化によって液晶容量Clcの静電容量が増大しても、絵素容量Cpixの静電容量の変化が抑制されるので、上記の透過率(または充電電圧)のステップ応答が抑制される。また、蓄積容量Csの液晶容量Clcに対する容量比がCs/Clc≧1の関係を満足すれば、絵素容量Cpixは、入力画像信号Sに対応する充電電圧の90%以上を1フィールド間に亘って保持することが可能で、その結果、液晶パネルは、1フィールド内に入力画像信号Sに対応する所定の透過率の90%以上に達することができる。蓄積容量Csの静電容量を大きくするには、蓄積容量Csの面積を大きくする、あるいは、誘電体層の厚さを薄くする、あるいは、より誘電率の大きい材料を用いて誘電体層を形成すればよい。
【0031】
図3を参照しながら、NWモードの液晶表示装置において、入力画像信号S(60Hz)が、最低の階調電圧(V0)から最高の階調電圧(例えば、V63)に変わったときの透過率の時間変化を説明する。図3の横軸には、入力画像信号Sが切り替った時点を基準に、1フィールド16.7msec毎の目盛りを示している。3つの曲線は、蓄積容量Csと液晶容量Clcとの静電容量の比(Cs/Clc)および液晶材料の粘度が異なる液晶パネルについての透過率の時間変化を示している。図3において、1フィールド後の目的の透過率への変化が曲線L1では約95%であり、曲線L2では約90%であり、曲線L3では約60%であることが示されている。
【0032】
図3に示した様に、1フィールド後(時間16.7msec)の透過率と透過率変化が終了するフィールド数の関係を見ると、曲線L1およびL2で示したように、1フィールド後の透過率変化がほぼ90%以上ある場合、透過率変化は2フィールド以内(33.4msecまで)で完了していることがわかる。これに対し、1フィールド後の透過率変化が90%未満の場合(従来の液晶表示装置の場合)、図3中の曲線L3で示したように、透過率変化が終了するまで2フィールドよりも多くの時間を要している。
【0033】
このように、透過率変化が完了するまで2フィールドよりも多くの時間を要する液晶表示装置と、2フィールド以内で完了する液晶表示装置との動画表示特性を比較すると、後者の液晶表示装置の方が明らかに残像が低減されていた。
【0034】
図4は、種々のCs/Clc値を有するNWモードの液晶表示装置において、前フィールドと現フィールドの入力画像信号S(階調電圧Vg)が異なる場合の透過率変化の様子を示している。縦軸の透過率比は、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧Vgの定常状態透過率に対する1フィールド後の透過率の比を示している。すなわち、1フィールド以内に現フィールドの所定の透過率に到達した場合、縦軸の透過率比は1となる。また、凡例の左側の数字が前フィールドの階調電圧(例えば、48は、階調電圧V48)を、右側の数字が現フィールドの階調電圧を示している。64階調の場合、V0が最低の階調電圧、V63が最高の階調電圧(最高限度信号に相当する。)である。図4から、Cs/Clcの値を1以上とすることによって、最高の階調電圧V63を入力したときの1フィールド後の透過率変化が90%以上(透過率比0.9以上)となることがわかる。すなわち、Cs/Clcの値を1以上とすることによって、絵素容量Cpixは、最高の階調電圧V63が印加されたとき、1フィールド間に亘って充電電圧の90%以上を保持していることがわかる。
【0035】
(オーバーシュート駆動)
上述したように、Cs/Clcの値を1以上とすることによって、最高の階調電圧V63を印加したときに、1フィールド後の透過率変化を90%以上とできるが、最高の階調電圧V63よりも低い階調電圧(中間階調電圧)を各階調について印加したとき、応答速度は改善されるものの遅く、Cs/Clcの値を1以上に設定しても、1フィールド後の透過率比は0.9に到達していない。
【0036】
このような、中間階調表示状態における応答速度は、オーバーシュート駆動を行うことによって改善することができる。すなわち、1フィールド前の入力画像信号Sと現フィールドの入力画像信号Sとの組合せに応じて、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧Vgがオーバーシュートされた予め決められた駆動電圧を液晶パネルに供給することによって改善できる。なお、一般に液晶表示装置は、交流駆動を行っているが、電圧−透過率特性では、対向電極の電位を基準として、液晶に印加される電圧の絶対値と透過率との関係を表している。
【0037】
オーバーシュートされた電圧とは、前フィールド(直前のフィールド)と現フィールドとの入力画像信号Sを比較し、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧Vgが前フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧Vgよりも低い場合には、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧Vgよりもさらに低い電圧であり、逆に、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧Vgが前フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧Vgよりも高い場合には、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧Vgよりもさらに高い電圧を指す。
【0038】
オーバーシュート電圧を検出するための入力画像信号Sの比較は、全ての絵素のそれぞれに対する前フィールドの入力画像信号Sと現フィールドの入力画像信号Sとの間で行われる。1フレームの画像情報が複数のフィールドに分割されるインターレース駆動の場合でも、1フレーム前のその絵素に対する入力画像信号Sや上下のラインの入力画像信号Sが補完信号として使用され、1垂直期間中に全ての絵素に相当する信号が与えられる。そして、前フィールドと現フィールドのこれらの入力画像信号Sが比較される。
【0039】
オーバーシュートされた階調電圧Vgと所定の階調電圧Vg(現フィールドの入力画像信号に対応する階調電圧)との差をオーバーシュート量ということもある。また、オーバーシュートされた階調電圧Vgをオーバーシュート電圧と呼ぶこともある。
【0040】
オーバーシュート電圧は、所定の階調電圧Vgに対して所定のオーバーシュート量を有する他の階調電圧Vgであってもよいし、オーバーシュート駆動のために予め準備されたオーバーシュート駆動専用電圧であってもよい。最高の階調電圧(階調電圧のなかで最も電圧値の高い階調電圧)および最低の階調電圧(階調電圧のなかで最も電圧値の低い階調電圧)に対してオーバーシュートする電圧として、高電圧側オーバーシュート駆動専用電圧および低電圧側オーバーシュート駆動専用電圧がそれぞれ用意され得る。中間階調表示状態の応答速度を改善するためには、階調電圧Vgから設定されたオーバーシュート駆動電圧を用いる。さらに改善の効果を得たいときは、オーバーシュート駆動専用電圧を用いてもよい。
【0041】
(オーバーシュート駆動を行う回路)
図5を参照しながら、本発明の実施形態の液晶表示装置における駆動回路10の構成を説明する。
【0042】
駆動回路10は、外部から入力画像信号Sを受け取り、それに応じた駆動電圧を液晶パネル15に供給する。駆動回路10は、画像用記憶回路11と、組合せ検出回路12と、オーバーシュート電圧検出回路13と、極性反転回路14とを有する。
【0043】
画像用記憶回路11は、入力画像信号Sの少なくとも1枚のフィールド画像を保持する。もちろん、1フレームが複数のフィールドに分割されない場合、画像用記憶回路11は、少なくとも1枚のフレーム画像を保存する。組合せ検出回路12は、現フィールドの入力画像信号Sと、画像用記憶回路11に保持された前フィールドの入力画像信号Sとを比較し、その組合せを示す信号をオーバーシュート電圧検出回路13に出力する。オーバーシュート電圧検出回路13は、組合せ検出回路12で検出された組合せに対応する駆動電圧を、階調電圧Vgおよびオーバーシュート駆動専用電圧の中から検出する。極性反転回路14は、オーバーシュート電圧検出回路13で検出された駆動電圧を交流信号に変換し、液晶パネル(表示部)15に供給する。
【0044】
それぞれの回路の入力・出力信号について、オーバーシュート駆動に使用する電圧が入力画像信号Sに対応する階調電圧Vgよりも高電圧側の階調電圧Vgに予め設定されている場合について説明する。
【0045】
まず、画像用記憶回路11は、現フィールドの入力画像信号Sより1フィールド前の入力画像信号Sを保持する。組合せ検出回路12は、各絵素ごとに、現フィールドの入力画像信号Sと画像用記憶回路11に保持された前フィールドの入力画像信号Sとの組合せを検出する。ここでは、説明の容易さのために、組合せ検出回路12が検出した入力画像信号S(階調データ)の組合せをそれぞれに対応する階調電圧の組合せで示す。例えば、NWモードの場合、1フィールド前の入力画像信号S63と現フィールドの入力画像信号S35との組合せは、それぞれに対応する階調電圧の組合せ(V0,V28)で示される。
【0046】
オ一バーシュート電圧検出回路13は、組合せ検出回路12によって検出された組み合わせ(V0,V28)に対して予め決められていた階調電圧V44を検出し、階調電圧V44を駆動電圧として極性反転回路14に供給する。この動作は、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧がV28からV44に変換されたことに相当する。組合せ検出回路12によって検出された組合せ(V0,V28)に対して、これに対応する予め決められたオーバーシュート電圧として、階調電圧V44を検出する過程は、例えば、ルックアップテーブル法を用いて行ってもよいし、予め決められた演算を実行することによって行ってもよい。
【0047】
最後に、極性反転回路14は、階調電圧V44を交流信号に変換し、液晶パネル15に供給する。
【0048】
現フィールドの入力画像信号Sに対して、オーバーシュートされた階調電圧Vg(駆動電圧)を設定する具体的な方法を説明する。前フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧がV0で、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧がV28のときに、オーバーシュートされた階調電圧V44(V28に対してオーバーシュートされている)を駆動電圧として用いる場合を例に説明する。
【0049】
図6に、階調電圧(入力画像信号)の変化による透過率の経時変化を示す。実線は、前フィールドの階調電圧V0の定常状態透過率で安定した状態から、現フィールドの階調電圧V28が供給され、それ以降のフィールドにおいて続けて階調電圧V28が供給された場合の透過率変化を示す。1フィールドは16.7msecである。図6中の破線は、前フィールドの階調電圧V0の定常状態透過率で安定した状態から、現フィールドの階調電圧V44が供給され、それ以降のフィールドにおいて続けて階調電圧V44が供給された場合の透過率変化を示す。
【0050】
図6から、階調電圧V28が印加されてから透過率が安定するまで、約3フィールドを要していることがわかる。つまり、階調電圧V28で定常状態透過率に達するまで、約3フィールドを要している。一方、階調電圧V44を印加した場合は、約1フィールドで、階調電圧V28の定常状態透過率に達した後、階調電圧V44の定常状態透過率に近づいている。
【0051】
このことから分かるように、液晶パネルの透過率をV0の定常状態透過率からV28の定常状態透過率に、1フィールド以内に変化(更新)させるには、V28に換えてV44を供給すればよい。このようにして、全ての入力画像信号Sの組合せ(前フィールドと現フィールドの組合せ)に対して、透過率が1フィールドで、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧Vgの定常状態透過率(所望の透過率)に達するように、オーバーシュート電圧を予め決める。
【0052】
全ての階調電圧に対して、オーバーシュート駆動を行う方法を説明する。特に、階調電圧が最高の階調電圧(V63)および最低の階調電圧(V0)に対するオーバーシュート電圧の設定方法を、最高の階調電圧の場合を例に説明する。
【0053】
まず、予め64階調の階調電圧(V0〜V63)に対し、128階調(V’0〜V’127)の電圧を用意する。例えば、V0〜V63(64階調)の電圧にV’32〜V’95(64階調)の電圧を割り当て、V’0〜V’31を低電圧側オーバーシュート駆動専用電圧とし、V’96〜V’127を高電圧側オーバーシュート駆動専用電圧とする。
【0054】
例えば、入力画像信号Sに対応する階調電圧がV44から1フィールド後にV63に切り換わるとする。これらの階調電圧V44、V63は、128階調の階調電圧を割り当てる回路(6ビットのデジタル信号を7ビットのデジタル信号に変換する回路)により、それぞれ、V’76およびV’95に対応するデジタル信号として、画像用記憶回路11(図5参照)に入力される。組合せ検出回路12では組合せ(V’76,V’95)が検出される。そして、オーバーシュート電圧検出回路13は、1フィールド以内にV’95の定常状態透過率に達するように予め決められたV’100を検出し、これを駆動電圧として極性反転回路14に出力する。その後、この駆動電圧V’100が、極性反転回路14で交流信号に変換された後、液晶パネル15に供給される。同様にして、最低の階調電圧(V0)の場合についても、最低の階調電圧(V0)よりも低い駆動電圧を液晶パネル15に供給することができる。
【0055】
このように、64階調の階調電圧に対して、予め128階調の電圧(64階調のオーバーシュート駆動専用電圧を含む)を用意することによって、最高の階調電圧(64階調のV63)よりも高い電圧や、最低の階調電圧(V0)よりも低い電圧をオーバーシュートすることが可能になる。ただし、ドライバーの耐圧向上やコントローラの拡張が必要となる。
【0056】
上述したように、蓄積容量Csと液晶容量Clcとの静電容量の比(Cs/Clc)を1以上に設定し、かつ、オーバーシュート駆動を行うことによって、全ての階調における応答速度の高速化を実現する。また、ドライバー(駆動回路、典型的にはドライバIC)の耐圧やコントローラの拡張の問題によって、V0より低い電圧やV63より高い電圧を液晶パネルに印加できないときでも、V0からV63の範囲内の階調電圧を用いたオーバーシュート駆動は有効である。
【0057】
これまでは、低い階調電圧から高い階調電圧へ変化したとき(応答の立ち上がり)の光学的な応答特性(充電特性に対応)について説明したが、本発明は、高い階調電圧から低い階調電圧へ変化したとき(応答の立ち下がり)の光学的な応答特性(放電特性に対応)の改善にも有効である。オーバーシュート駆動の効果は、放電時の液晶応答が充電時の液晶応答に対して比較的遅いので、むしろ、立ち下がり応答特性の改善として観察されやすい。
【0058】
具体的なオーバーシュート電圧の設定方法の例を表1に示す。表1は、蓄積容量Csと液晶容量Clcとの静電容量の比が1以上の場合であり、比較のために、蓄積容量Csと液晶容量Clcとの静電容量の比が1未満の場合を表2に示す。
【0059】
それぞれの表において、右横の列に示した数値は、前フィールド(表示すべきフィールドの直前のフィールド)の入力画像信号Sに対応する階調電圧についての階調データ(例えば、階調電圧V255の場合の255)であり、最下行に示した数値は、現フィールド(表示すべきフィールド)の入力画像信号Sに対応する階調電圧についての階調データを示している。また、表中の各欄中の数値は、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧の定常状態透過率に1フィールド以内に到達するために必要なオーバーシュート量を階調レベルの差で示している。例えば、表1の第9行、第3列の数値「−39」は、前フィールドにおいてV255に対応する表示を行った後、現フィールドでV64に対応する表示を行うためには、V25(64−39=25)の階調電圧を駆動電圧として供給する必要があることを示している。この表から明らかなように、現フィールドの階調データが同じでも、前フィールドの階調データに応じて、オーバーシュート量を調整することが好ましい。また、表1と表2との比較から、蓄積容量Csと液晶容量Clcとの静電容量の比が1未満の場合(表2)、現フィールドの階調データが大きい程、必要とされるオーバーシュート量が大きいことが分かる。すなわち、上述したように、蓄積容量Csと液晶容量Clcとの静電容量の比を1以上とすることによって、高域(階調電圧が高い領域)の応答特性を改善できることが分かる。
【0060】
また、表中の※印を付した数値は、その数値で示されるオーバーシュート量では、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧の定常状態透過率に1フィールド以内に到達しないことを示している。すなわち、オーバーシュート駆動専用電圧を別途用意する必要がある。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
(液晶材料)
本発明の液晶表示装置において用いられる液晶材料としては、ε//が大きく、且つ、△εは応答性能を下げない程度に小さいものが好ましい。理由を以下に説明する。
【0064】
液晶分子の配向変化に伴う絵素容量Cpixの静電容量の増加(電圧降下)に起因するステップ応答を低減するためには、液晶分子が垂直に配向したときの静電容量と、平行に配向したときの静電容量との差が小さいことが好ましい。すなわち、誘電率異方性が正(△ε>0)の液晶材料であれば、(Cs+Clc⊥)/(Cs+Clc//)=1−△ε(S/d)/(Cs+Clc//)が大きいことが好ましい。Clc⊥およびClc//は、それぞれ、液晶分子が垂直に配向したときの液晶容量Clcの静電容量および液晶分子が平行に配向したときの液晶容量Clcの静電容量を示す。また、△ε=ε//−ε⊥、Clc⊥=ε0 ・ε⊥(S/d)、Clc//=ε0 ・ε//(S/d)である。Sは、液晶容量Clcの絵素(典型的には絵素電極)の面積、dは液晶層の厚さである。
【0065】
これらのことより、△εは小さいことが好ましいが、△εが小さいと、液晶分子の電界に対する応答性能が低下してしまう。したがって、△εはなるべく下げず、ε//は大きいことが好ましい。但し、ε//が大きくなると、一般的には、液晶材料の粘度が高くなり、電界に対する液晶分子の応答性能が劣化するので、なるべく粘度の低いものが好ましい。
【0066】
これまでは、NWモードの液晶表示装置を例に本発明の実施形態を説明したが、本発明はNBモードの液晶表示装置にも適用できる。
【0067】
(表示モード)
本発明は、種々の液晶表示装置に適用することができる。液晶パネルの応答特性は、液晶層の応答速度(液晶材料や配向形態など)に依存する。従って、応答速度の速い液晶層を用いることによって、高速応答特性を有し、かつ視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることができる。さらにこのような液晶表示装置に本発明を適用することによって、より有効に残像が低減され、視野角特性に優れた高画質な液晶表示装置を得ることができる。
【0068】
図7に、応答速度が速く、視野角特性に優れたNWモードの液晶モードとして知られている、平行配向(ホモジニアス配向)型液晶層を用いたECB(電界制御複屈折)モードの透過型液晶パネル20を模式的に示す。
【0069】
液晶パネル20は、液晶セル20aと、液晶セル20aを挟持するように設けられた一対の偏光子25および26と、偏光子25および26と液晶セル20aとの間にそれぞれ配置された位相差補償素子23および24を備えている。
【0070】
液晶セル20aは、一対の基板21と22との間に設けられた液晶層27を有している。基板21および22は、透明基板(例えばガラス基板)と、その液晶層27側の表面に設けられた、液晶層27に電圧を印加するための透明電極(不図示)および液晶層27の液晶分子27aの配向方向を規定するための配向膜(不図示)を有している。もちろん、必要に応じてカラーフィルタ層(不図示)などをさらに有してもよい。透明電極は、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)を用いて形成される。
【0071】
液晶層27の液晶材料は、屈折率異方性(Δn)が0.06であり、液晶層27の厚さは4.5μmに調整されている。液晶層27は平行配向型液晶層であり、液晶層27中の液晶分子27aは、電圧無印加時には、液晶層27の層面(基板表面に平行)に実質的に平行(但し、プレチルト角分だけ僅かに平行からずれる)でかつ、液晶分子27a同士も実質的に互いに平行(プレチルト角の影響を受けない。)である。配向膜(不図示)によってアンカリングされている、液晶層27中の液晶分子(「アンカリング層」と呼ぶ。)の屈折率楕円体は、液晶層27の層面(すなわち表示面)をXY平面とするXYZ座標系において、X軸を中心軸として、時計方向にプレチルト角分だけ僅かに傾斜している。
【0072】
平行配向型液晶層は、液晶層27の両側に設けられる配向膜を反平行にラビング処理することによって得られる(図7中のラビング方向を示す矢印参照)。なお、液晶層の両側に設けられる配向膜に対して平行にラビング処理を施すと、一方の配向膜上の液晶分子と他方の配向膜上の液晶分子とが、プレチルト角の2倍の角度をなすので、液晶分子27a同士が平行でなくなる。
【0073】
一対の偏光子(例えば、偏光板や偏光フィルム)25および26は、その吸収軸(図7中の矢印)が互いに直交し、かつ前述のラビング方向(液晶分子の層面内の配向方向)とそれぞれ45度の角度をなすように配置されている。
【0074】
位相差補償素子(例えば、位相差板や位相差フィルム)23および24は、図7に示したように、その屈折率楕円体(主軸a、bおよびcを有する)は、液晶層27の層面(すなわち表示面)をXY平面とするXYZ座標系において、X軸と平行に配置されたa軸を中心軸として、僅かに回転している。ここでは、Y軸はラビング方向と平行(または反平行)に設定されており、屈折率楕円体のb軸は、このY軸から傾斜するように配置されている。すなわち、屈折率楕円体の長軸(b軸)はYZ平面内でX軸に対して反時計方向に傾斜している。このように配置された位相差補償素子23および24を傾斜型位相差補償素子と呼ぶ。
【0075】
この位相差補償素子23および24は、液晶層27中のアンカリング層のリタデーションを補償する機能を有する。液晶層27に、例えば、7Vの電圧を印加しても、アンカリング層中の液晶分子は液晶層27の層面に平行な配向を維持するので、液晶層27のリタデーションは零にならない。このリタデーションを位相差補償素子23および24が補償(相殺)する。なお、液晶層27のリタデーションは、液晶材料の最大の屈折率と最小の屈折率との差(Δn)に液晶層の厚さ(d)を乗じた値である。
【0076】
典型的な例として、各主軸方向の主屈折率na、nbおよびncがna=nb>ncとする。図8に模式的に示すように、位相差補償素子23および24の屈折率楕円体の傾斜角(b軸がY軸に対して成す角)が0度であれば、位相差補償素子23および24の正面リタデーション(表示面法線方向(図中のZ軸に平行)から入射する光に対するリタデーション)は零であるが、傾斜角が大きくなるにつれて、リタデーションが発生し大きくなっていく。つまり、図8に示したように、表示面法線方向から見たとき、傾斜角0度の屈折率楕円体は完全な円に見えるのに対し、傾斜角が大きくなるにつれて楕円に見えることから理解できる。
【0077】
従って、上述のように傾斜した屈折率楕円体を有する位相差補償素子23および24を、傾斜方向(b軸方向)とラビング方向とを互いに平行または反平行に配置すれば、アンカリング層のリタデーションを位相差補償素子23および24の正面リタデーションで相殺することができる。従って、前述の例でいうと、7V印加時の液晶層27のリタデーションを相殺(7V印加時の液晶パネルとしてのリタデーションを零にする)し、透過率を0%、すなわち黒表示を実現することができる。なお、「液晶パネルとしてのリタデーション」とは、NWモードの場合には、電圧無印加時の液晶層27のリタデーションと位相差補償素子23および24のリタデーションとの和を意味し、液晶パネル20の表示面(液晶層27の層面に平行)に垂直に入射する光に対するリタデーションを指す。勿論、位相差補償素子23および24を設けていない構成においては、液晶パネル20としてのリタデーションは、電圧無印加時の液晶層27のリタデーションである。また、NBモードにおける「液晶パネルとしてのリタデーション」とは、表示に利用し得る最大の電圧を印加したときの液晶層27のリタデーションと位相差補償素子23および24のリタデーションとの和を意味し、液晶パネル20の表示面に垂直に入射する光に対するリタデーションを指す。位相差補償素子23および24を設けていない構成においては、液晶パネル20としてのリタデーションは、表示に利用し得る最大の電圧を印加したときの液晶層27のリタデーションである。
【0078】
位相差補償素子23および24の正面リタデーションは、その屈折率楕円体の主屈折率、傾斜角、厚さによって調整することができる。位相差補償素子23および24の正面リタデーションの大きさを変化させることによって、相殺される液晶セル20aのリタデーションの大きさを変えられる。従って、液晶層27のアンカリング層によるリタデーションだけでなく、ある電圧を印加したときの液晶層27のリタデーションを相殺することによって、階調電圧Vgの範囲を任意に調整することができる。例えば、屈折率楕円体の主屈折率および傾斜角を一定にし、位相差補償素子23および24の厚さd(表示面法線方向の厚さ)のみを変化させた場合の、液晶パネル20の電圧−透過率曲線を図9に示す。なお、透過率は、表示面法線方向における透過率である。このように、位相差補償素子23および24の光学特性の制御により、電圧−透過率曲線を制御できることがわかる。もちろん、屈折率楕円体の傾斜角、主屈折率を制御しても同様の効果が得られることは上記説明から明らかである。
【0079】
液晶パネル20の応答時間(オーバーシュート駆動を用いない従来の駆動方法による)は、従来のTNモードの液晶パネルの典型例な応答時間である30msecの約半分である。TNモードの液晶パネルの液晶層が捻じれ配向構造を有しているのに対し、ホモジニアス配向では捻じれ配向構造がないので、配向構造の単純性から応答時間が短いと解釈できる。
【0080】
また、平行配向型液晶層を有する液晶パネル20は、位相差補償素子23および24を除外した液晶層27のみのリタデーションd・△nが約270nm〜約340nmであることが好ましく、液晶層27の厚さを4.5μmとすると、△n=0.06〜0.075となり、TNモードの液晶材料の典型的な屈折率異方性△n=0.08程度よりも、△nの小さな液晶材料を用いることができる。一般に、△nを小さくすると液晶材料の粘性が下がるため、このことも液晶の応答時間の短縮化に効果がある。逆に、TNモードの液晶パネルと同様に△n=0.08程度の液晶材料を用いる場合、液晶層27の厚みをより薄くできる。液晶層27の厚さを薄くすると、厚さの減少分の2乗にほぼ比例して、応答時間は短縮される。従って、ホモジニアス配向型液晶層を用いることで、視野角特性だけではなく、動画表示の品位の向上に大きな効果を得ることができる。
【0081】
さらに、この液晶パネル20に、表示面法線方向およびそれに近い方向の透過光(表示光)を、観察者の視線に対して上下方向に拡散する、すなわち一次元方向にのみレンズの効果を有する光学素子(例えば、住友3M株式会社製のBEFフィルム)を表示面に配置することによって、あらゆる角度から見ても、ほとんどその表示品位が変化しない、極めて広い視野角を有する液晶パネルを得ることができる。
【0082】
図10に、応答速度が速く、視野角特性に優れたNBモードの液晶モードとして知られている、平行配向(ホモジニアス配向)型液晶層を用いたECB(電界制御複屈折)モードの液晶パネル100を模式的に示す。
【0083】
液晶パネル100は、液晶層101と、液晶101に電圧を印加する一対の電極100aおよび100bと、液晶層101の両側に配置された一対の位相差板(勿論、位相差補償フィルムを用いてもよい)102および103と、さらに、位相差板102および103のそれぞれの外側に設けられた位相差板104および105と位相差板110および111と、これらを挟持し、直交ニコル状態に配置された一対の偏光板108および109とを有している。なお、位相差板104および105と位相差板110および111は省略してもよいし、1枚または任意の組合せで複数枚設けても良い。
【0084】
図10に示された各位相差板中の矢印は各位相差板の屈折率楕円体(全て正の一軸性の特性を有する)の最大の屈折率を有する軸(すなわち遅相軸)であり、偏光板108および109中の矢印は偏光板の偏光軸(偏光軸=透過軸、偏光軸⊥吸収軸)である。
【0085】
図10は、電圧を印加していない状態の液晶層101における一つの表示絵素領域内の液晶分子(図10中の楕円)の配向を示している。液晶材料としては、正の誘電異方性を有するネマティック液晶材料を用いる。液晶分子は、電圧無印加状態において、一対の基板(不図示)の表面に概平行に配向している。液晶層101を挟持するように一対の基板の液晶層101側に形成された電極100aおよび100bに電圧を印加することによって、基板の表面に略垂直な方向の電界が液晶層101に生成される。液晶層101は、図10に示したように、各表示絵素領域内で互いに異なる配向状態を有する第1ドメイン101aおよび第2ドメイン101bを有している。図10の例では、第1ドメイン101a内の液晶分子と第2ドメイン101b内の液晶分子のダイレクターが互いに180°異なる方位角方向に配向している。
【0086】
電極100aと100bとの間に電圧を印加すると、第1ドメイン101a内の液晶分子は時計回りに立ちあがり、第2ドメイン101b内の液晶分子101bは反時計回りに立ちあがるように、すなわち互いに反対方向に立ち上がるように、液晶分子の配向が制御されている。この様な液晶分子のダイレクターの配向は、配向膜を用いた公知の配向制御技術を用いて実現できる。ダイレクターの配向方向が180°異なる第1ドメインと第2ドメインを一つの表示絵素領域内に複数形成すると、より小さい単位で表示特性を平均化できるので、視野角特性を更に均一にすることができる。
【0087】
位相差板102および103は、典型的にはともに正の一軸性の屈折率異方性を有し、その遅相軸(図10中の矢印)は、電圧無印加時の液晶層101の遅相軸(不図示)と直交するように配置されている。従って、電圧無印加状態(黒表示状態)における液晶分子の屈折率異方性に起因する光漏れ(黒浮き)を抑制することができる。
【0088】
位相差板104および105は、典型的にはともに正の一軸性の屈折率異方性を有し、その遅相軸(図10中の矢印)は、基板表面に対して垂直(すなわち、液晶層101、位相差板102および103の各遅相軸と垂直)に配置されており、視角変化に伴う透過率変化を補償する。したがって、位相差板104および105を設けることにより、さらに視野角特性が優れた表示を提供することができる。両位相差板104および105を省略しても良いし、いずれか一方のみ用いても良い。
【0089】
位相差板110および111は、典型的にはともに正の一軸性の屈折率異方性を有し、その遅相軸(図10中の矢印)は、偏光板108および109の偏光軸に対して直交(すなわち、液晶層101、位相差板102および103の遅相軸と45°をなす)に配置されており、楕円偏光の偏光軸の回転を調節する。したがって、位相差板110および111を設けることにより、さらに視野角特性が優れた表示を提供することができる。両位相差板110および111を省略しても良いし、いずれか一方のみ用いても良い。上記の位相差板102,103,104,105,110および111は、必ずしも一軸性の屈折率異方性を有する必要はなく、正の二軸性屈折率異方性を有しても良い。
【0090】
(実施形態1)
実施形態1の液晶表示装置は、図1に示したTFT型液晶表示装置であって、図7に示した液晶パネル20と図5に示した駆動回路10とを有する、NWモードの表示装置である。図1、図5および図7を参照しながら説明する。
【0091】
TFT型の液晶パネルを構成するTFT基板21およびカラーフィルタ基板(以下「CF基板」と呼ぶ。)22を公知の方法で作製する。このTFT基板21の1つの蓄積容量Csの静電容量は、例えば0.200pFとする。これらの基板21および22の液晶層27側の表面に配向膜(例えば、ポリイミドやポリビニルアルコールを用いて形成される。)を形成後、配向膜の表面を一方向にラビングする。
【0092】
得られたTFT基板21とCF基板22とを、互いにそのラビング方向が反平行になるように貼り合わせたのち、△ε>0のネマティック液晶材料を注入することによって、液晶セル20aを得る。この液晶セル20aの1つの液晶容量Clcの静電容量は、例えば0.191pF(最高階調電圧(7V)印加時)である。
【0093】
TFT基板21とCF基板22の外側にそれぞれ位相差板23および24を貼り付ける。位相差板23および24の配置は、それぞれの屈折率楕円体の傾斜した方向(図7において反時計方向)と液晶分子のプレチルト方向(図7において時計方向)とが反対方向となるようにする。さらに、その外側に、一対の偏光子25および26を、その吸収軸が互いに直交するように、かつラビング方向とそれぞれ45度の角度をなすように貼り付け、液晶パネル20が得られる。
【0094】
駆動回路10は、図5を参照しながら説明したように、外部から入力画像信号Sを受け取り、それに応じた駆動電圧を液晶パネル15に供給する。駆動回路10は、画像用記憶回路11と、組合せ検出回路12と、オーバーシュート電圧検出回路13と、極性反転回路14とを有する。画像用記憶回路11は、入力画像信号Sの少なくとも1枚のフィールド画像を保持する。組合せ検出回路12は、現フィールドの入力画像信号Sと、画像用記憶回路11に保持された前フィールドの入力画像信号Sとを比較し、その組合せを示す信号をオーバーシュート電圧検出回路13に出力する。オーバーシュート電圧検出回路13は、組合せ検出回路12で検出された組合せに対応する駆動電圧を、階調電圧Vgおよびオーバーシュート駆動専用電圧の中から検出する。極性反転回路14は、オーバーシュート電圧検出回路13で検出された駆動電圧を交流信号に変換し、液晶パネル(表示部)15に供給する。ここでは、最高および最低階調電圧に対してもオーバーシュート駆動を行う。
【0095】
図11(a)は、本実施形態の液晶表示装置の応答特性と、従来の液晶表示装置の応答特性とを示している。入力画像信号Sは1フィールド60Hzであり、階調レベルは、第3フィールドにおいて第2フィールドの階調レベルから急激に変化している。本実施形態の駆動回路10は、図11(b)に示したように、第3フィールドにおける階調レベルの変化に対応して、第3フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧(第4フィールド以降に印加されている)をオーバーシュート(図中のOSがオーバーシュート量)した電圧を駆動電圧として、第3フィールドにおいて液晶パネル15に供給する。第3フィールド以降は、入力画像信号Sの階調レベルに変化はなく、駆動回路10は、階調電圧をオーバーシュートせず、入力画像信号Sに対応する階調電圧を駆動電圧として液晶パネル15に供給する。
【0096】
このように、第3フィールドでオーバーシュートされた(高域が強調された)階調電圧が液晶パネル15に供給されることにより、オーバーシュートされていない階調電圧が入力される従来の液晶表示装置(図中の破線)に対して、応答特性が大幅に改善されていることが分かる。
【0097】
(実施形態2)
実施形態2の液晶表示装置は、図1に示したTFT型液晶表示装置であって、図10に示した液晶パネル100と図5に示した駆動回路10とを有する、NBモードの表示装置である。図1、図5および図10を参照しながら説明する。
【0098】
TFT型の液晶パネル100を構成するTFT基板100bおよびCF基板100aを公知の方法で作製する。TFT基板100bの1つの蓄積容量Csの静電容量は、例えば0.200pFとする。
【0099】
これらの基板100aおよび100bの液晶層側の表面に配向膜を形成する。配向膜の表面を1つの絵素毎に2つの領域AおよびBに分割して、UV光(紫外線)を照射する。領域AではCF基板100aの配向膜に対してUV光を照射し、領域BではTFT基板100bの配向膜に対してUV光を照射する。その後、それぞれの配向膜の表面を一方向にラビングする。TFT基板100bとCF基板100aとを、互いにそのラビング方向が平行になるように貼り合わせたのち、△ε>0のネマティック液晶材料を注入し、液晶セルを得る。得られた液晶セルの1つの液晶容量Clcの静電容量は、例えば、0.191pF(最高階調電圧(7V)印加時)である。
【0100】
この液晶セルにおける液晶分子の配向状態を図12を参照しながら説明する。図12(a)は1つの絵素201内の2つの領域AおよびBのラビング方向202および203が互いに等しいことを示している。上述したUV照射を行わないと、図12(b)に示したように、電圧無印加時には、液晶層のほぼ中間層の液晶分子206は基板表面とほぼ平行に配向しており、この液晶層に電圧を印加すれば中間層の液晶分子206は矢印207あるいは208の方向に同一の確率で立ち上がる。しかしながら、ここでは、領域A内の配向膜205と領域B内の配向膜204がUV照射されているので、それぞれUV照射された配向膜上でのプレチルト角が小さくなっている。その結果、図12(c)に示したように、領域Aの液晶層のほぼ中間層の液晶分子は矢印207の方向に回転し、領域Bの液晶層のほぼ中間層の液晶分子は矢印208の方向に回転する。すなわち、液晶層の中間層付近の液晶分子のプレチルト方向が互いに180°異なるように制御されている。このような、配向状態の液晶層は、2つの領域AとBとが互いに視角依存性を補償するので、優れた視野角特性を有する。なお、上記に配向を有する液晶層が好ましいが、液晶分子の配向が互いに異なる領域を2つ以上有する液晶層を用いれば視野角特性を向上することができる。
【0101】
得られた液晶セルに、図10に示したように、位相差板および偏光板を貼り付けることによって、液晶パネル100が得られる。
【0102】
各領域の配向パラメーターは次の通りである。
【0103】
【表3】
【0104】
偏光板108および109のパラメーターは以下の通りである。なお、偏光板108および109の透過軸の角度は、液晶分子の配向方向に対する角度である。
【0105】
【表4】
【0106】
位相差板102〜105,110および111のパラメータは以下の通りである。位相差板の屈折率楕円体の3つの主屈折率をna、nbおよびncとし、位相差板の厚さをdとし、液晶パネル100の表示面内に平行な面内のリタデーションをd・(na−nb)、厚さ方向のリタデーションをd・(na−nc)とする。na軸の角度は液晶分子の配向方向に対する角度である。
【0107】
【表5】
【0108】
液晶パネル100は、絵素ごとに、液晶分子の配向方向が互いに異なる領域Aおよび領域Bを有し、さらに、位相差板によって、視野角特性が補償されているので、広い視野角特性を有する。
【0109】
駆動回路10は、実施形態1と同様であり、ここでの説明を省略する。
【0110】
図13は、本実施形態の液晶表示装置の応答特性を示している。実施形態1と同様、入力画像信号Sは1フィールド60Hzであり、階調レベルは、第3フィールドにおいて第2フィールドの階調レベルから急激に変化している。また、駆動回路10は、実施形態1について図11(b)に示したように、第3フィールドにおける階調レベルの変化に対応して、第3フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧(第4フィールド以降に印加されている)をオーバーシュート(図中のOSがオーバーシュート量)した電圧を駆動電圧として、第3フィールドにおいて液晶パネル15に供給する。第3フィールド以降は、入力画像信号Sの階調レベルに変化はなく、駆動回路10は、階調電圧をオーバーシュートせず、入力画像信号Sに対応する階調電圧を駆動電圧として液晶パネル15に供給する。
【0111】
このように、第3フィールドでオーバーシュートされた(高域が強調された)階調電圧が液晶パネル15に供給されることにより、オーバーシュートされていない階調電圧が入力される従来の液晶表示装置(図中の破線)に対して、応答特性が大幅に改善されていることが分かる。
【0112】
なお、1フィールドが1垂直期間に相当するインターレース駆動方式の液晶表示装置を例に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限られず、1フレームが1垂直期間に相当するノンインターレス駆動方式の液晶表示装置にも適用できる。
【0113】
【発明の効果】
本発明によると、蓄積容量Csと液晶容量Clcとの静電容量の比(Cs/Clc)を1以上とすることによって、絵素容量の充電特性の応答速度(ステップ応答特性)が改善され、絵素容量Cpixが、少なくとも最高の階調電圧が印加されたとき、1垂直期間に亘って充電電圧の90%以上を保持するので、高域(階調電圧が高い領域)における応答特性が改善された液晶表示装置が提供される。さらに、応答速度が遅い中間階調では、オーバーシュート駆動することにより高速応答を実現する。
【0114】
本発明を広視野角特性を有し、応答速度が比較的速い液晶モードの表示装置に適用することによって、広視野角特性を有する動画表示特性に優れた液晶表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施形態のTFT型液晶表示装置の模式図である。
【図2】TFT型液晶表示装置におけるステップ応答を説明するための模式図である。
【図3】入力画像信号の階調レベルが変わったときの透過率の時間変化を模式的に示す図である。
【図4】種々のCs/Clc値を有するNWモードの液晶表示装置において、前フィールドと現フィールドの入力画像信号(階調電圧)が異なる場合の透過率変化の様子を示すグラフである。
【図5】本発明による実施形態の液晶表示装置が備える駆動回路を模式的に示す図である。
【図6】階調電圧(入力画像信号)の変化による透過率の経時変化を示す図である。
【図7】本発明による実施形態の液晶表示装置が備える、平行配向型液晶層を用いたNWモードの透過型液晶パネルを模式的に示す図である。
【図8】実施形態で用いられる位相差補償素子の機能を説明するための図である。
【図9】液晶パネルの電圧−透過率曲線に与える、位相差補償素子の厚さの影響を示すグラフである。
【図10】本発明による実施形態の液晶表示装置が備える、配向分割型液晶層を用いたNBモードの透過型液晶パネルを模式的に示す図である。
【図11】本発明による実施形態1の液晶表示装置の応答特性(a)および駆動電圧(b)を示す図である。
【図12】本発明による実施形態2の液晶表示装置の液晶層における液晶分子の配向を説明するための図である。
【図13】本発明による実施形態2の液晶表示装置の応答特性を示す図である。
【図14】従来の液晶表示装置の駆動回路の構成を示す模式図である。
【図15】図14に示した駆動回路によって応答特性が改善される様子を示す、信号波形図である。
【符号の説明】
10 駆動回路
11 画像用記憶回路
12 組合せ検出回路
13 オーバーシュート電圧検出回路
14 極性反転回路
15、20 液晶パネル
20a 液晶セル
21、22 基板
23、24 位相差補償素子
25、26 偏光子
27 液晶層
27a 液晶分子
Claims (5)
- マトリクス状に配置された複数の絵素容量と、前記複数の絵素容量のそれぞれに電気的に接続された薄膜トランジスタとを有する液晶パネルと、前記液晶パネルに駆動電圧を供給する駆動回路とを有し、前記複数の絵素容量が入力画像信号に対応する充電状態となることによって、1垂直期間毎に表示を更新する液晶表示装置であって、
前記複数の絵素容量のそれぞれは、絵素電極と、対向電極と、前記絵素電極と前記対向電極との間に設けられた液晶層とから形成される液晶容量と、前記液晶容量に電気的に並列に接続された蓄積容量とを有し、前記蓄積容量の前記液晶容量に対する容量比が1以上であって、
前記絵素容量は、少なくとも最高の階調電圧が印加されたとき、1垂直期間に亘って充電電圧の90%以上を保持し、
前記駆動回路は、1垂直期間前の入力画像信号と現垂直期間の入力画像信号の組合せに応じて、予め決められた、現垂直期間の入力画像信号に対応する階調電圧がオーバーシュートされた駆動電圧を、前記液晶パネルに供給する、液晶表示装置。 - 前記駆動回路は、全ての階調の入力画像信号について、現垂直期間の入力画像信号に対応する階調電圧がオーバーシュートされた駆動電圧を前記液晶パネルに供給する、請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶パネルが有する前記液晶層は、正の誘電異方性を有するネマティック液晶材料を有し、前記複数の絵素容量のそれぞれに含まれる前記液晶層は、配向方向が互いに異なる第1領域と第2領域とを有し、
前記液晶パネルは、前記液晶層を介して直交クロス状態に配置された一対の偏光子と、黒表示状態における前記液晶層の屈折率異方性を補償する位相差補償素子とをさらに有する請求項1または2に記載の液晶表示装置。 - 前記液晶層はホモジニアス配向型液晶層である請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記液晶パネルは、位相差補償素子をさらに備え、
前記位相差補償素子は、屈折率楕円体の3つの主屈折率na、nb、ncがna=nb>ncの関係を有し、前記液晶層のリタデーションの少なくとも一部を相殺するように配置されている請求項1から4のいずれかに記載の液晶表示装置。
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